JP2020183457A - 自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び自動車内装部品用成形体 - Google Patents

自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び自動車内装部品用成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】シルバーストリークやシワの発生を防ぎ、外観が良好な成形体が得られる、自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに自動車内装部品用成形体の提供。【解決手段】本発明の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が1.8〜2.5dl/gであり、ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが7〜20であり、前記エチレン・プロピレン共重合体の含有割合がポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、前記プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合が0.5質量%以下であり、前記エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合が35〜50質量%であり、MFRが25〜50g/10分である。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び自動車内装部品用成形体に関する。
ポリプロピレンは、耐衝撃性、剛性、透明性、耐薬品性、耐熱性等の物性とそのバランスに優れることから、例えば、自動車部品の樹脂材料として使用される(例えば、特許文献1)。近年、射出成形技術の向上に伴い、成形体の外面が大面積化するとともに、成形体の形状が複雑化している。例えば、自動車のドアトリムのような大型の射出成形体には、製品強度を高めるために、非意匠面にリブが形成される。通常、リブは成形体の厚さよりも薄く設計されるため、溶融樹脂をリブ形成用の溝に充分に充填することができないといった充填不良が起こることがあった。また、溶融樹脂がキャビティ内に流入する際に、キャビティ内に存在する空気が奥に追いやられてリブ形成用溝内に貯留していく場合がある。貯留された空気は、溝内で圧縮されたまま残ったり、溶融樹脂と金型の内周面との隙間から通り抜けようとしたりするため、得られる成形体表面にはシルバーストリークやシワ等の外観不良が発生する問題があった。この問題を防止するために、金型の形状を工夫することが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開平11−216750号公報 特開2012−35586号公報
しかし、シルバーストリークやシワ等の外観不良を防止するために金型の形状を工夫すると、金型設計の自由度が制限され、所望の形状の成形体を得ることができないことがある。シルバーストリークやシワ等の外観不良について、タッチアップスプレー塗装などにより外観不良修正をすることが可能であるが、作業コストが嵩むことに加え、作業者が溶剤を吸い込み健康を損ねるリスクがあることから、成形体を工業的に大量生産する場合には実用面で問題がある。このため、外観不良の発生が低減された樹脂組成物が求められている。
本発明は、シルバーストリークやシワの発生を防ぎ、外観が良好な成形体が得られる、自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに自動車内装部品用成形体を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] プロピレン重合体からなる連続相と、エチレン・プロピレン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.8〜2.5dl/gであり、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分の重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの比率(M/M)が7〜20であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体の含有割合が、前記ポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、
前記プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合が、前記プロピレン重合体の総質量に対して0.5質量%以下であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合が、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して35〜50質量%であり、
温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが25〜50g/10分である、
自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2] 前記プロピレン重合体と前記エチレン・プロピレン共重合体とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂は、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、[1] に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物であるスクシネート系化合物を含有する固体触媒
(B)有機アルミニウム化合物
(C)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
[3] [1]又は[2]に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する、自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物であるスクシネート系化合物を含有する固体触媒
(B)有機アルミニウム化合物
(C)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
[4] [1]又は[2]に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる自動車内装部品用成形体。
[5] 前記自動車内装部品用成形体が、ドアトリム、グローブボックス、コラムカバー、インスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ又はコンソールボックスである[4]に記載の自動車内装部品用成形体。
[6] 前記自動車内装部品用成形体が、ドアトリムである[5]に記載の自動車内装部品用成形体。
本発明の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性・耐衝撃性・流動性のバランスが優れるので、この樹脂組成物を射出成形すると、シルバーストリークやシワの発生が防止され、外観に優れた自動車内装部品用成形体が得られる。特に、従来の樹脂組成物では外観不良が発生し易かったドアトリムなどの大面積の部品を製造する場合にも、本発明の樹脂組成物は優れた外観の射出成形体を供することができる。
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
本発明の一態様の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「ポリプロピレン系樹脂組成物」と略す。)は、ポリプロピレン系樹脂を含有する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRは、25〜50g/10分であり、26〜48g/10分が好ましく、26〜45g/10分がより好ましく、27〜45g/10分がさらに好ましく、28〜44g/10分が特に好ましい。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記下限値以上であると、大面積の部品を製造する際にも射出成形時に溶融流動性不足による成形型内への充填不良を発生させず、特に成形型内の狭い部分や末端部分にも溶融樹脂を到達させることができる。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記上限値以下であると、射出成形体の耐衝撃性を充分に高めることができる。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるポリプロピレン系樹脂は、JIS K6921−1で規定される耐衝撃性ポリプロピレンポリマーの一態様であり、プロピレン重合体の連続相と、その連続相の中に分散相として存在するエチレン・プロピレン共重合体のゴム相を含む二つ以上の相で構成される。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが重合時に混合された混合樹脂であってもよいし、別々に得られたプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが、溶融混練によって混合された混合樹脂であってもよい。剛性と耐衝撃性とのバランス(以下「物性バランス」ともいう。)に優れるものがより安価で得られることから、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが重合時に混合されたもの(重合混合物)であることが好ましい。
重合混合物では、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とがサブミクロンオーダーで混じり合うことが可能であるため、重合混合物をベースとしたポリプロピレン系樹脂組成物は、優れた物性バランスを示す。
一方、別々に得られたプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを溶融混練して得た単なる機械混合物で同様な均一混合を実現して優れた物性バランスを得る場合には、貯蔵・保管・移送・計量・混合・溶融混練等の別工程を経る必要性から製造コストが高くなる。エネルギーコストの観点からも好ましくない。
なお、前記重合混合物と機械混合物とが異なる物性を示す場合があるのは、プロピレン重合体中のエチレン・プロピレン共重合体の分散状態が異なっているためと推測されるが、エチレン・プロピレン共重合体のプロピレン重合体との界面の状態を含めた分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法については後で詳しく説明する。
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(以下、「XSIV」ともいう。)は、1.8〜2.5dl/gであり、1.9〜2.3dl/gが好ましい。
XSIVが上記範囲であると、成形体の耐衝撃性を充分に高めることができる。
ここで、XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。キシレン可溶分は、ポリプロピレン系樹脂の試料をo−キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液を蒸発乾固して得られる成分である。
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(以下、「XI」ともいう。)の重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの比率(M/M)は、7〜20であり、8〜15が好ましく、8〜12がより好ましく、8〜10がさらに好ましい。
XIのM/Mが前記下限値以上であると、成形体の外観を充分に高めることができる。XIのM/Mが前記上限値以下であると、共重合体の分散が充分となり、ポリプロピレン系樹脂組成物を安定に製造することができる。
ここで、XIの重量平均分子量M及び数平均分子量Mは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した値である。XIは、ポリプロピレン系樹脂の試料をo−キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾紙上に残ったものを採取して得られる成分である。
XIのM/Mを前記範囲にすることが容易であることから、プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合してポリプロピレン系樹脂を製造する際に、電子供与体化合物としてスクシネート系化合物を含む触媒(以下「Suc触媒」ともいう)を用いることが好ましい。Suc触媒を用いて重合されたポリマーは、広分子量分布でありかつ高分子量成分と低分子量成分が均一に分散している。分子量分布は物理量であり測定によって決定できる。しかしながらこの測定値では、高分子量成分と低分子量成分の分散度合いを表すことはできない。例えば、パウダーやペレット性状で与えられる高分子量成分と低分子量成分とを押出機等を用いて溶融混練する、あるいはSuc触媒以外の触媒を用いて分子量の異なる成分の多段重合を行うことにより、一見、Suc触媒を用いて重合して得たポリマーと同等の分子量分布(測定値)を有するポリマーを得ることも可能である。しかしこのようにして得たポリマーと、Suc触媒を用いて重合して得たポリマーでは高分子量成分と低分子量成分の分散度合いが異なり、後者は均一な分散度合いが達成されている。その差は、例えば剛性、耐衝撃性、加工性、外観等の性能において顕著である。これは、当該触媒を用いて製造した組成物は高分子量成分と低分子量成分が分子レベルに近い状態で一体となっているが、後者の樹脂組成物は分子レベルに近い状態では混ざり合ってはおらず見かけ上同一の分子量分布を示しているにすぎないためと考えられる。しかし、このことを請求項において言葉で表現することは現実的でない。
なお、本発明におけるXIのM/Mは、比較的大きい値である。XIのM/Mが大きいことは、ポリプロピレン系樹脂を構成するプロピレン重合体の分子量分布が広いことを意味する。プロピレン重合体の分子量分布が広ければ、エチレン・プロピレン共重合体の分子量分布も広い傾向がある。したがって、XIのM/Mが大きいほど、プロピレン重合体部分、エチレン・プロピレン共重合体部分がともに、高分子量成分を相対的に多く含んでいるといえる。高分子量成分は射出成形時に剪断力を受け、流動方向に高度に配向しながら金型ゲートの狭い部分を通過すると考えられる。金型ゲートから金型キャビティ内に押し出される際には配向緩和され糸鞠状に広がろうとする力が働くと考えられる。このとき、流動方向と垂直な方向に力が働くが、この力を法線応力とも呼ぶこともある。XIのM/Mが大きい場合、高分子量成分を相対的に多く含むことで法線応力が有効に働き、成形体の金型転写性向上や金型内でのガス排出効果が向上すると考えられる。金型転写性が良好となる観点からは、光沢ムラ、フローマーク、ヒケなどが抑制され、外観の良好な成形体が得られると考えられる。ガス排出効果の観点では、成形体にリブ等が形成されている場合には溶融樹脂をリブ形成用溝末端にガスを貯めず有効に充填できるので、射出成形を行なった際にシルバーストリークやシワの発生が抑制され、外観の良好な成形体が得られると考えられる。
ポリプロピレン系樹脂におけるエチレン・プロピレン共重合体の含有割合(以下、「BIPO」ともいう。)は、前記ポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、18〜25質量%であることが好ましい。BIPOが前記下限値以上であると、成形体の耐衝撃性が高まる傾向にあり、前記上限値以下であると、成形体の剛性が高まる傾向にある。
プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(以下、「C2」ともいう。)は、前記プロピレン重合体の総質量に対して0.5質量%以下である。したがって、プロピレン重合体中のプロピレン単位の含有割合は99.5質量%以上である。C2が前記上限値以下であると(すなわち、プロピレン単位の含有割合が前記下限値以上であると)、成形体の剛性が高まる傾向にある。
C2の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
したがって、プロピレン重合体は、プロピレン単位のみからなるポリプロピレンホモポリマーであってもよく、99.5質量%以上100質量%未満のプロピレン単位と0質量%超0.5質量%以下のエチレン単位とからなる共重合体であってもよいが、得られる成形体の剛性を高める観点から、C2は0質量%であることが好ましい。
C2は、13C−NMR法によって測定される。
エチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位とプロピレン単位を有する共重合体である。
エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合は、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して、35〜50質量%であり、38〜47質量%が好ましい。エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合が前記範囲内であると、成形体の耐衝撃性が高まる傾向にある。
エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合は、13C−NMR法によって測定される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記ポリプロピレン系樹脂のみからなるものであってもよく、前記ポリプロピレン系樹脂以外の他の成分をさらに含有するものであってもよい。
(他の成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、充填材を含有していてもよい。充填材は主に、成形体の剛性を向上する目的で添加される。
充填材としては、例えばタルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ガラスファイバー等の無機充填材、カーボンファイバー、セルロースファイバー等の有機充填材が挙げられる。これらの充填材は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の分散性を向上させるため、必要に応じて、充填材の表面処理や充填材と樹脂とのマスターバッチの作製を行ってもよい。
充填材の中でも、前記ポリプロピレン系樹脂に容易に混ざり、成形体の剛性を向上させやすいことから、タルクが好ましい。
充填材の添加量は公知の量としてよい。例えばポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であってよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂又はエラストマーを含有してもよい。ポリプロピレン系樹脂組成物が含有してもよい樹脂又はエラストマーは1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、結晶核剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展及び顔料(有機又は無機)等のその他の添加剤を含有していてもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にあっては、前記ポリプロピレン系樹脂を含有し、MFRが25〜50g/10分であるため、成形時のシルバーストリークやシワの発生を抑制し、得られる成形体の外観、剛性及び耐衝撃性が優れる。
<ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記の特性を満たすものであれば、どのような製造方法で製造されたものであってもよい。例えば、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを重合時に混合してポリプロピレン系樹脂を得て、必要に応じて該ポリプロピレン系樹脂に他の成分を混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得てもよい。別々に製造されたプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを溶融混練によって混合してポリプロピレン系樹脂を得て、必要に応じて該ポリプロピレン系樹脂に他の成分を混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得てもよい。
他の成分を含有する場合のポリプロピレン系樹脂と他の成分との混合方法としては特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。
混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂は、前述の通り、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが重合時に混合された重合混合物であることが好ましい。
このような重合混合物は、プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合することにより得られる。この方法では、プロピレン重合体の存在下でエチレン・プロピレン共重合体を生成させることにより、生産性が高くなる上に、プロピレン重合体中のエチレン・プロピレン共重合体の分散性が高くなるため、剛性や耐衝撃性等の物性バランスが向上する。
前記重合混合物の製造方法としては、典型的には、多段重合法が用いられる。例えば、二段の重合反応器を備える重合装置の一段目の重合反応器にて、プロピレン単量体及び必要に応じてエチレン単量体を重合してプロピレン重合体を得て、得られたプロピレン重合体を二段目の重合反応器に供給すると共に、この二段目の重合反応器にてエチレン単量体及びプロピレン単量体を重合することで前記重合混合物を得ることができる。
重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。二段目の重合条件としては、一般的にプロピレンへの溶解性が高い共重合体の製造が容易な気相重合法が挙げられる。
重合温度は50〜90℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。該重合温度が上記範囲の下限値以上であると、生産性及び得られたポリプロピレンの立体規則性がより優れる。
重合圧力は、液相中で行われる場合には25〜60bar(2.5〜6.0MPa)が好ましく、33〜45bar(3.3〜4.5MPa)がより好ましい。気相中で行われる場合には、5〜30bar(0.5〜3.0MPa)が好ましく、8〜30bar(0.8〜3.0MPa)がより好ましい。
重合(プロピレン単量体の重合、エチレン単量体及びプロピレン単量体等の重合)は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。プロピレン重合体やエチレン・プロピレン共重合体の分子量を調整することで、ポリプロピレン系樹脂のMFR、ひいてはポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを調整できる。
一段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予重合を行ってもよい。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。
触媒としては、公知のオレフィン重合触媒を用いることができる。
前記プロピレン重合体の存在下でエチレン単量体及びプロピレン単量体を重合する際の触媒としては、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含む触媒(以下、「触媒(I)」ともいう。)が特に好ましい。
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有し、前記電子供与体化合物がスクシネート系化合物である固体触媒。
(B)有機アルミニウム化合物。
(C)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物。
したがって、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の好ましい一態様は、触媒(I)を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する製造方法である。
触媒(I)を用いることで、XIのM/Mが前記範囲内であるポリプロピレン系樹脂が容易に得られる。触媒(I)を用いると、触媒(I)の電子供与体化合物が他の化合物(例えばフタレート系化合物)である触媒を用いた場合と比べて、XIのM/Mが相対的に大きくなる傾向がある。
なお、触媒の種類に応じて、得られる重合体の性状が異なるが、性状の違いの全てを分析する現実的な手段は知られていない。
成分(A)は、例えば、チタン化合物、マグネシウム化合物及び電子供与体化合物を用いて調製される。
成分(A)に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4−g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。
炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl、TiBr、TiI等のテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(O−isoC)Br等のトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBr等のジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−C等のテトラアルコキシチタン等が挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましくは四塩化チタン(TiCl)である。
成分(A)に用いられるマグネシウム化合物として、マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライド等が挙げられる。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(A)に用いられる電子供与体化合物は、スクシネート系化合物であることが好ましい。スクシネート系化合物を電子供与体として含む触媒(I)を用いると、XIのM/Mが前記範囲内であるポリプロピレン系樹脂が容易に得られる。
スクシネート系化合物は、コハク酸のエステルであってもよく、コハク酸の1位又は2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸のエステルであってもよい。具体例としては、ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート等が挙げられる。
好適なスクシネート系化合物として、下記化学式(I)で表されるスクシネート構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2020183457
式(I)中、R及びRは、互いに同一又は異なり、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。
〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。同じ炭素原子に結合しているRとR、RとRは互いに結合して環構造を形成してもよい。異なる炭素原子に結合しているR〜Rのいずれか2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。
好ましいR及びRは、炭素数1〜8のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRは、第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルが挙げられ、エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
式(I)に示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基の単置換スクシネート化合物である。
好適な単置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(I)に示される化合物の他の好ましいものとして、R〜Rの少なくとも2つの基が、水素ではなく、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択される二置換スクシネート化合物が挙げられる。水素ではない2つの基は同じ炭素原子に結合していることが好ましい。
好適な二置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(I)に示される化合物の特に好ましいものとして、水素とは異なる少なくとも2つの基、則ちR及びR、又はR及びRが異なる炭素原子に結合している化合物も挙げられる。
この化合物の具体例としては、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
式(I)に示される化合物としては、R〜Rのうちの少なくとも2つ以上が結合して環を形成したものも好ましい。
このような化合物として、特表2002−542347号公報に記載されている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンが挙げられる。また、国際公開第2009/069483号、国際公開第2009/057747号に開示されている3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
式(I)に示される化合物のうち、R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は、窒素原子、リン原子等の第15族原子、あるいは、酸素原子、イオウ原子等の第16族原子であることが好ましい。R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号公報に開示されている化合物が挙げられる。R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号公報に開示されている化合物が挙げられる。
成分(A)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
スクシネート系化合物以外の前記固体触媒中の電子供与体化合物としては、フタレート系化合物、ジエーテル系化合物等が挙げられる。
フタレート系化合物としては、例えば、モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、モノノルマルブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチルノルマルブチルフタレート、ジn−プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジn−ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジn−ヘプチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート等が挙げられる。
ジエーテル系化合物としては、例えば、2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−tert−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−クミル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(ジフェニルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−フルオロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−デカヒドロナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジプロピル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジブチル−1,3−ジエトキシプロパン、2−メチル−2−エチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−プロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−プロピル−2−ペンチル−1,3−ジエトキシプロパン、2−メチル−2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−メチルシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(p−メチルフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジエトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジブトキシプロパン、2−イソブチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−sec−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジ−tert−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジネオペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−シクロヘキシルメチル−1,3−ジメトキシプロパン等が挙げられる。
成分(B)の有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニルアルミニウム等のトリアルケニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド、R 2.5Al(OR0.5(R,Rは、各々異なってもよいし同じでもよい炭化水素基である。)で表わされる平均組成を有する、部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド等のジアルキルアルミニウムハロゲニド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハロゲニド、エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミド等のアルキルアルミニウムジハロゲニド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化及びハロゲン化されたアルキルアルミニウム等が挙げられる。上記成分(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(C)の外部電子供与体化合物としては、有機ケイ素化合物が用いられる。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。上記成分(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
触媒(I)としては、成分(B)が、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムであり、成分(C)が、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン等の有機ケイ素化合物であるものが好ましい。
なお、多段重合法により前記重合混合物を得る方法は上記の方法に限定されず、プロピレン重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・プロピレン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。
前記重合混合物を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的又は部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
<自動車内装部品用成形体>
本発明の自動車内装部品用成形体は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより製造できる。
成形温度は一般的には150〜350℃、好ましくは170〜250℃で実施される。成形温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化及び成形不良の原因となり、150℃より低いと外観不良、成形不良が発生する。金型温度については、10〜60℃の範囲で行うことが好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなるばかりか、金型に結露が生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となる。冷却に関わるエネルギーコストの観点からも適さない。
本発明の自動車内装部品用成形体は、製品強度を高めるために、非意匠面にリブが形成されていることが好ましい。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、リブが形成されている場合にも、溶融樹脂をリブ形成用の溝に充分に充填することができるとともに、シルバーストリークやシワの発生を抑制し、外観に優れた成形体となる。具体的には、例えば、乗用車などのドアトリム、グローブボックス、コラムカバー、インスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ、コンソールボックスなど、一般にポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出成形により製造されている自動車内装部品への適用が挙げられる。特に、意匠面の面積が大きいドアトリムへの適用において効果は顕著である。
本発明の自動車内装部品用成形体の曲げ弾性率は、1000MPa以上が好ましく、1100MPa以上がより好ましく、1200MPa以上がさらに好ましい。
曲げ弾性率の値が高い程、剛性に優れた自動車内装部品用成形体であるといえる。
本発明の自動車内装部品用成形体のシャルピー衝撃強さは、5.0kJ/m以上が好ましく、5.5kJ/m以上がより好ましく、6.0kJ/m以上がさらに好ましい。
シャルピー衝撃強さの値が高い程、耐衝撃性に優れた自動車内装部品用成形体であるといえる。
以下に、実施例及び比較例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
本実施例で用いた測定方法を以下に示す。
〔測定方法〕
<ポリプロピレン系樹脂の総エチレン量、プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(C2)>
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C−NMRのスペクトルを得た。
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito,K.Mizunuma and T.Miyatake,Macromolecules,15,1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、ポリプロピレン系樹脂の総エチレン量(質量%)を求めた。
なお、プロピレン重合体を試料として測定する場合、上記方法により得られる総エチレン量(質量%)は、プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(C2)(質量%)となる。
<エチレン・プロピレン共重合体成分中のエチレン単位含有割合>
上記文献に記載された方法でポリプロピレン系樹脂の総エチレン量を測定するに際して求めたTββの積分強度の替わりに、下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、エチレン・プロピレン共重合体成分中のエチレン単位含有割合(質量%)を求めた。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1−0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)であり、上記文献に記載のSαγ及びSαδより算出される。
<ポリプロピレン系樹脂の総質量に対するエチレン・プロピレン共重合体成分の含有割合(BIPO)>
下記式により求めた。
BIPO(単位:質量%)=ポリプロピレン系樹脂の総エチレン量/(エチレン・プロピレン共重合体成分中のエチレン単位含有割合/100)
<ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)>
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレン系樹脂のサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
<ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)のM/M
上記のXSIVの測定においてキシレン可溶分を得る際の濾過の後、濾紙上に残った残留物(キシレン不溶分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過を行った。その後、濾過されずに濾紙上に残った成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて蒸発乾固させ、キシレン不溶分(XI)を得た。
上記のXIを試料とし、以下のように、数平均分子量(M)と重量平均分子量(M)の測定を行い、重量平均分子量(M)を数平均分子量(M)で除して分子量分布(M/M)を求めた。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工株式会社製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、キシレン不溶分の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark−Houwink−Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、ポリプロピレン系樹脂のXIを含むプロピレン重合体に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用した。
<MFR>
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS K 7210−1に従って、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
〔実施例1〕
(ポリプロピレン系樹脂の製造)
本例では、ポリプロピレン系樹脂として、スクシネート系(表中では、「Suc」と表記する。)のチーグラー・ナッタ触媒を用い、一段目と二段目の液相反応器で、プロピレンを重合してプロピレン重合体を形成し、三段目の気相反応器で、該プロピレン重合体存在下、エチレンとプロピレンを共重合させてエチレン・プロピレン共重合体を形成させて得た重合混合物を用いた。具体的に重合混合物は以下のようにして製造した。
特表2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒を以下の手順で調製した。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH(USP−4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、ただし10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、及び9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、二段の液相重合反応器と気相重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の液相重合反応器に導入し、一段目と二段目の重合反応器でプロピレンの液相状態にてプロピレン重合体を製造し、三段目の気相重合反応器でエチレン・プロピレン共重合体を製造した。重合の際には、一段目と二段目及び三段目の重合温度を80℃とし、重合圧力と触媒の添加量を調整するとともに、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合が所定の量となるように、三段目のエチレン供給量とプロピレン供給量を調整して表1に示すC2/(C2+C3)とした。C2/(C2+C3)は、エチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合(モル比)を示す。また、分子量調整剤として水素を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRとポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が所定の値となるように、一段目と二段目、及び三段目の供給量を調整して表1に示す水素濃度とした。また、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合が所定の量となるように、一段目及び二段目と三段目の滞留時間分布を調整した。
得られた重合混合物からなるポリプロピレン系樹脂は、連続相を構成するプロピレン重合体とゴム相を構成するエチレン・αオレフィン共重合体との重合混合物である。プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(C2)、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合(BIPO)、エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)、ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)のM/Mは表2に示すものであった。
(ポリプロピレン系樹脂組成物の製造)
自動車内装部品を想定したポリプロピレン系樹脂組成物として、上記ポリプロピレン系樹脂100質量部と、酸化防止剤(BASF社製B225)0.1質量部と、中和剤(淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレート)0.05質量部と、耐候剤(株式会社ADEKA製LA502XP)0.3質量部と、帯電防止剤(理研ビタミン株式会社製リケマールS−100)0.2質量部とを、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合して溶融混練用混合物を得た。
次いで、前記溶融混練用混合物を、スクリュー温度230℃、スクリュー回転数90rpmに設定した単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製NVC−50)を用いて溶融混練し、ペレット化してMFRが30g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
(評価)
得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、下記方法により、曲げ弾性率(剛性)、シャルピー衝撃強さ(耐衝撃性)、射出成形体の外観を評価した。結果を表2に示す。
<曲げ弾性率>
JIS K6921−2に従い測定した。すなわち、JIS K7171に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、得られた成形体を幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工して測定用試験片(タイプB2)を得た。株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG−X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で、タイプB2測定用試験片の曲げ弾性率を測定した。
<シャルピー衝撃強さ>
JIS K6921−2に従い、曲げ弾性率測定で用いた試験片と同一の操作で得たタイプA1試験片を用いて測定した。すなわち、JIS K7111−1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA−4を用いて幅10mm、厚さ4mm、長さ80mmに加工してから幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、株式会社安田精機製作所製低温槽付き全自動衝撃試験機(No.258−ZA)を用い、温度23℃、相対湿度50%の条件でシャルピー衝撃強さ(エッジワイズ打撃、1eA法)を測定した。
<射出成形体の外観評価>
寸法200mm×400mm×3mmで片面に強度補強リブ(高さ10mm×厚さ1mm)が形成された平板成形用金型を、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J220ELIII)に取り付けた。ペレット状のポリプロピレン系樹脂組成物を用い、成形温度230℃、金型温度40℃、射出時間1秒の条件下で射出成形を行い、自動車内装部品用成形体を模した試験片の外観評価として平板状の射出成形体の強度補強リブが形成された裏面におけるシルバーストリーク発生の有無(外観)を目視で観察した。評価基準は下記の通りである。
「1」: シルバーストリークの発生が無い。
「2」: シルバーストリークの発生が少なく、目立たない。
「3」: 必ずシルバーストリークが発生し、目立つ。
(実施例2)
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合(BIPO)、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂中のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が表2に示す値になるように、重合条件を表1に示す値に調整した以外は実施例1と同様にして、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体との重合混合物をポリプロピレン系樹脂として得た。
ポリプロピレン系樹脂100質量部と、酸化防止剤(BASF社製B225)0.1質量部と、中和剤(協和化学工業株式会社製DHT−4A)0.05質量部と、耐候剤(株式会社ADEKA製LA502XP)0.3質量部と、帯電防止剤(理研ビタミン株式会社製リケマールS−100)0.2質量部と、結晶核剤(株式会社ADEKA製NA18)0.1質量部とを、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合して溶融混練用混合物を得た。次いで、前記溶融混練用混合物を、スクリュー温度230℃、スクリュー回転数90rpmに設定した単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製NVC−50)を用いて溶融混練し、ペレット化してMFRが43g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
(実施例3)
ポリプロピレン系樹脂としてフタレート系(表中では、「Pht」と表記する。)のチーグラー・ナッタ触媒を用いて得た重合混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、MFRが30g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。具体的に重合混合物は以下のようにして製造した。
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持した固体触媒を、特開2004−27218公報の段落0032の21〜36行に記載された方法により調製した。
次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DIPMSの重量比が3.2となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を、三段の重合反応器を直列に備える重合装置の1段目の重合反応器に導入し、一段目と二段目の重合反応器でプロピレンの液相状態にてプロピレン重合体を製造し、三段目の気相重合反応器でエチレン・プロピレン共重合体を製造した。重合の際には、一段目及び二段目の重合温度を70℃、三段目の重合温度を80℃とし、重合圧力と触媒の添加量を調整するとともに、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合が所定の量となるように、三段目のエチレン供給量とプロピレン供給量を調整して表1に示すC2/(C2+C3)とした。また、分子量調整剤として水素を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRとポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)のM/M、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が所定の値となるように、一段目と二段目、及び三段目の供給量を調整して表1に示す水素濃度とした。一段目と二段目で生成されるプロピレン重合体の質量比率は50:50となる様に調整した。また、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合が所定の量となるように、一段目及び二段目と三段目の滞留時間分布を調整した。
(実施例4)
一段目と二段目の反応器での水素濃度、三段目の反応器でC2/(C2+C3)及び水素濃度を表1に示すようにし、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合が所定の量となるように、一段目及び二段目と三段目の滞留時間分布を調整した以外は実施例3と同様にして、ポリプロピレン系樹脂を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂を用い、実施例2と同様にして、MFRが43g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
(比較例1)
実施例3と同じフタレート系のチーグラー・ナッタ触媒を用いて得たポリプロピレン系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。具体的にポリプロピレン系樹脂は以下のようにして製造した。
上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてTEALと、外部電子供与体化合物としてDCPMSを用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、DCPMSに対するTEALの重量比が10となる量で、12℃において24分間これらを接触させて触媒を得た。 得られた触媒を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行い、予重合物を得た。得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、一段目と二段目の重合反応器で液相状態のプロピレンをフィードしてプロピレン重合体を製造し、三段目の気相重合反応器でエチレン・プロピレン共重合体を製造した。重合の際には、一段目と二段目、及び三段目の重合温度を80℃とし、重合圧力と触媒の添加量を調整するとともに、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合が所定の量となるように、三段目のエチレン供給量とプロピレン供給量を調整して表1に示すC2/(C2+C3)とした。また、分子量調整剤として水素を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRとポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が所定の値となるように、一段目と二段目、及び三段目の供給量を調整して表1に示す水素濃度とした。また、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合が所定の量となるように、一段目及び二段目と三段目の滞留時間分布を調整した。
(比較例2)
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合(BIPO)、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂中のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が表2に示す値になるように、重合条件を表1に示す値に調整した以外は比較例1と同様にして、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体との重合混合物をポリプロピレン系樹脂として得た。
得られたポリプロピレン系樹脂を用い、実施例2と同様にして、MFRが43g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
(比較例3)
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合(BIPO)、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂中のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が表2に示す値になるように、重合条件を表1に示す値に調整した以外は実施例2と同様にして、MFRが100g/10minのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
各例において得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2020183457
Figure 2020183457
所定の物性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いた実施例1〜4の射出成形体は、比較例1〜2と比べて、シルバーストリークやシワの発生が抑制され、良好な外観であった。特に、スクシネート系化合物を含有する固体触媒を用いた実施例1〜2の外観が優れていた。
比較例1〜2の外観は著しく劣っていた。この原因はポリプロピレン系樹脂中のキシレン不溶分(XI)のM/Mが小さかったことであると考えられる。
比較例3の外観は優れていたが、シャルピー衝撃強さが低く、自動車内装部品用成形体に求められる耐衝撃性を満たさなかった。この原因はMFRが高すぎたことにあると考えられる。

Claims (6)

  1. プロピレン重合体からなる連続相と、エチレン・プロピレン共重合体からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、
    前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.8〜2.5dl/gであり、
    前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分の重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの比率(M/M)が7〜20であり、
    前記エチレン・プロピレン共重合体の含有割合が、前記ポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、
    前記プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合が、前記プロピレン重合体の総質量に対して0.5質量%以下であり、
    前記エチレン・プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合が、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して35〜50質量%であり、
    温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが25〜50g/10分である、
    自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記プロピレン重合体と前記エチレン・プロピレン共重合体とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂は、下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、請求項1に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物であるスクシネート系化合物を含有する固体触媒
    (B)有機アルミニウム化合物
    (C)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
  3. 請求項1又は2に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    下記(A)〜(C)の成分を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する、自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
    (A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物であるスクシネート系化合物を含有する固体触媒
    (B)有機アルミニウム化合物
    (C)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
  4. 請求項1又は2に記載の自動車内装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる自動車内装部品用成形体。
  5. 前記自動車内装部品用成形体が、ドアトリム、グローブボックス、コラムカバー、インスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ又はコンソールボックスである請求項4に記載の自動車内装部品用成形体。
  6. 前記自動車内装部品用成形体が、ドアトリムである請求項5に記載の自動車内装部品用成形体。
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