JP2021169694A - ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は電界を用いず、高速高温ガスを用いてポリプロピレンナノファイバーを製造する方法を提供する。【解決手段】工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する、および工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、を備えるポリプロピレンナノファイバーの製造方法であって、前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。【選択図】図1

Description

本発明はポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法に関する。
従来技術
従来、ポリプロピレン繊維は溶融紡糸法により製造されていた。しかし溶融紡糸法では極細のポリプロピレン繊維の製造は困難であり、とりわけ直径20μm(単繊維繊度で約3dtex)以下の繊維を安定して得ることは困難であった。一方、極細繊維を製造する方法としてエレクトロスピニング法が知られている。紡糸の際に溶媒を使用しない溶融エレクトロスピニング法も提案されており(特許文献1:特開2007−321246号)、プロピレン系樹脂組成物を溶融エレクトロスピニング法に適用することも試行されている(特許文献2:特開2011−162636号ならびに特許文献3:特開2009−133039号)。しかしながら、これらの方法は高電圧による電解干渉のためにポリマー融液を極細繊維にすることが困難であった。一方、特許文献4(特開2016−156114)には、電解を用いないナノファイバーシートの製造方法が開示されている。しかし、ポリプロピレン単独のナノファイバーの製造方法は具体的に開示されていない。
特開2007−321246号公報 特開2011−162636号公報 特開2009−133039号公報 特開2016−156114号公報
発明者らは、種々のポリプロピレンを用いて特許文献4に記載の方法を試験的に実施したところ、特定のポリプロピレンを用いないとナノファイバーを製造することは困難であることを見出した。かかる事情を鑑み、本発明は電界を用いず、高速高温ガスを用いてポリプロピレンナノファイバーを製造する方法を提供することを課題とする。
発明者らは、特定のメルトフローレート(MFR)を有するポリプロピレンが前記課題を解決することを見出した。よって、前記課題は以下の本発明によって解決される。
[1]工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
を備えるポリプロピレンナノファイバーの製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。
[2]工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ポリプロピレンナノファイバーを付着させてポリプロピレンナノファイバー層を設ける工程、
を備える積層体の製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜
3000g/10分である、製造方法。
[3]工程(D):第2の吐出ノズルから溶融ポリマーを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該溶融ポリマーを延伸して第2のナノファイバーを形成する工程、
工程(E):前記工程(C)で形成したポリプロピレンナノファイバー層の上に第2のナノファイバーを付着させる工程、
をさらに含む、[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]工程(A’):吐出ノズルからポリプロピレン以外の溶融ポリマーを吐出する工程、
工程(B’):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して、前記溶融ポリマーを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C’):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ナノファイバーを付着させてナノファイバー層を設ける工程、
工程(D’):第2の吐出ノズルから請求項1または2に記載のポリプロピレンを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該ポリプロピレンを延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する工程、
工程(E’):工程(C’)で形成した前記ナノファイバー層の上に、工程(D’)で形成したポリプロピレンナノファイバーを付着させる工程を含む、積層体の製造方法。
[5]前記ナノファイバー形成工程に供されるポリプロピレンが添加剤を含まない、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、電界を用いず、高速高温ガスを用いてポリプロピレンナノファイバーを製造する方法を提供できる。
本発明のポリプロピレンナノファイバーの製造方法を示す概要図 本発明の積層体の製造方法を示す概要図
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」は端値であるXおよびYを含む。
1.ポリプロピレンナノファイバーの製造方法
当該製造方法は、工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程を備える。吐出するガスの速度は特に限定されないが、4〜30Nm/分/mが好ましく、温度は250〜350℃の範囲が好ましい。
(1)ポリプロピレン
本発明においてポリプロピレンとは、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンと10mol%未満のα−オレフィンのポリプロピレン共重合体、当該単独重合体を含む組成物、または当該共重合体を含む組成物をいう。具体的には、i)ポリプロピレン単独重合体、ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、i)を含む樹脂組成物、ii)を含む樹脂組成物、i)およびii)からなる樹脂組成物、i)およびii)を含む樹脂組成物等を例示できる。当該樹脂組成物は後述する添加剤を含んでもよい。
本発明で用いるポリプロピレンの230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート(以下単に「MFR」ともいう)は300〜3000g/10分である。MFRが
下限値未満であると十分にナノレベルにまでポリマーを延伸できない。MFRが上限を超えると繊維切れ等が発生する。この観点から、MFRは500〜3000g/10分であることが好ましく、1000〜3000g/10分であることがより好ましい。
本発明で用いるポリプロピレンは、キシレン不溶分の量が95重量%以上であることが好ましく、以下の特徴を備えることがより好ましい。
1)キシレン不溶分のDSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が150℃を超え、170℃未満である。
2)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜5.0である。
3)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が95.0〜99.5%である。
ポリプロピレンのキシレンに不溶な成分は、結晶性であるアイソタクチック成分に相当する。これに対してポリプロピレン中に少量含まれるキシレンに可溶な成分は、非結晶性のアタクチック成分に相当し、キシレンに不溶な成分に比較して分子量も低い。従って、ポリプロピレンの溶融特性や成形品の物性は、主にキシレンに不溶な成分に左右される。
ポリプロピレンのキシレン不溶分の量が95重量%以上であるとは、ポリプロピレンの結晶性成分が95重量%以上であることを意味する。キシレン不溶分の量は、96重量%以上がより好ましく、97重量%以上がさらに好ましい。ポリプロピレンの結晶性成分が95重量%未満の場合は、繊維同士が誤着しやすく、紡糸が困難になる場合がある。
ポリプロピレンの結晶性成分のTmはDSC(示差走査熱量計測定)により融解ピーク温度として測定され、当該温度は150℃を超え、170℃未満であることが好ましい。Tmの下限は152℃以上が好ましく、154℃以上がより好ましい。Tmの上限は、165℃以下が好ましい。ポリプロピレンの結晶性成分のTmが150℃未満であると繊維の耐熱性が十分でなく、170℃を超えると、より高温で結晶化する結果、紡糸が困難になることがある。
ポリプロピレンの結晶性成分の分子量分布(Mw/Mn)は2.0〜5.0であることが好ましい。Mw/Mnが5.0を超えると、バラス効果により、極細繊維を得ることが困難になることがある。また、ポリプロピレンの結晶性成分の立体規則性(mmmm)は95.0〜99.5%であることが好ましい。mmmmが95.0%未満では、繊維の強度と耐熱性が低下することがある。
本発明で用いるポリプロピレンは、(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび内部電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いてモノマーを重合することにより得ることができる。これらの成分としては公知のものを使用できる。しかしながら、比較的高いMFRを達成する観点から、内部電子供与体化合物は1,3−ジエーテルであることが好ましい。あるいは、メタロセン触媒を用いて本発明で用いるポリプロピレンを製造してもよい。
本発明で用いるポリプロピレンは、油展剤、酸化防止剤、造核剤、充填剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、有機および無機顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの、オレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤および顔料を含んでいてもよい。しかしながら紡糸することを考慮すると添加剤を含まないことがより好ましい。
(2)工程(A)
図1を参照して本工程を説明する。図1中、20は溶融ポリプロピレン、22は吐出ノズル、10はガス、12はガスノズルである。本工程では吐出ノズル22から溶融ポリプロピレン20を吐出する。吐出する温度はポリプロピレンが溶融する温度であれば限定されないが、200〜300℃であることが好ましい。ノズル径も特に限定されず、通常のメルトブローン等の紡糸に用いる市販のノズルを用いることができるが、1000μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。ノズル径が大きすぎると細い繊維径が得られない。一方、ノズル径が小さすぎると、ノズルの工作が難しくなると共に、圧力損失が増大する。
(3)工程(B)
本工程では、溶融ポリプロピレン20に対してガスノズル12から高速高温ガス10を吐出して溶融ポリプロピレン20を延伸しナノファイバーを形成する。ナノファイバーとは平均繊維径がナノオーダーである繊維であり、具体的には1000nm未満、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下の繊維である。平均繊維径は、繊維を電子顕微鏡等で観察することによって測定される。
本工程では溶融ポリプロピレン20を過度に冷却しないことが好ましい。よって、ガス10は高温であり、例えば200〜300℃程度である。ガス10の速度によって繊維径を適宜調整できる。従って所望の流速を達成できるようにガス10は高圧で吐出される。高圧ガスとしては、特に限定されないが、0.5〜0.7MPaの圧縮ガスを用いることができる。このように溶融ポリプロピレン20はガス10の流れに乗り、ガス10の吐出方向にポリプロピレンナノファイバーが形成される。プロピレンナノファイバーの拡散を防ぐために、プロピレンナノファイバーの流線の周囲に飛散防止カバーを設けてもよい。ガスとしては、窒素等不活性ガス、あるいは空気等が好ましい。
本発明のポリプロピレンナノファイバーは、後述する積層体の原料の他、薬剤のキャリア、細胞培地等の医療用用途や、断熱性織布の原料等として有用である。
2.積層体の製造方法
図2を参照して当該方法を説明する。図2中、24はポリプロピレンナノファイバー層、40は第2のナノファイバー、42は第2の吐出ノズル、30は第2の高速高温ガス、32は第2のガスノズル、50は基材である。本発明の積層体は、前記方法で製造されたポリプロピレンナノファイバーを、吐出ノズル22またはガスノズル12の対向する位置に設けた基材50に付着させる工程(C)を経て製造される。図2では基材50は紙面下方向に移動できるので、その速度によって層の厚みを調整できる。このようにして基材50上にポリプロピレンナノファイバー層24を有する積層体を製造できる。基材50の種類は限定されず、例えばポリマーシート、紙、ガラス、金属箔等を用いることができる。吐出ノズル22とガスノズル12は角度をつけて配置してある。図2ではガスノズル12と対向するように基材50が配置されているが、吐出ノズル22とガスノズル12の位置を入れ替えて、吐出ノズル22と対向するように基材50を配置してもよい。
さらに、ポリプロピレンナノファイバー層24が形成された後、第2のポリマー40から第2のナノファイバーを形成し、ポリプロピレンナノファイバー層24に付着させて、第2のナノファイバー44層を形成することもできる。第2のナノファイバーは高温状態にあるのでポリプロピレンナノファイバー層24に熱融着する。すなわちポリプロピレンナノファイバー層24を接着層として利用できる。第2のナノファイバーは、第2の吐出ノズル42、第2のガスノズル32、を用いてポリプロピレンナノファイバーと同様に形成できる。第2のポリマーは公知のポリマーであってもよい。当該ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、エチレン系共重合体、ポリオレフィン変性樹脂、ポリウレタン(PU)など、あるいはこ
れらの組み合わせが挙げられる。ただしポリオレフィンがポリプロピレンである場合、当該ポリプロピレンは前記MFRが300〜3000g/10分である。
また、同様の方法により、前記MFRが300〜3000g/10分であるポリプロピレン(「特定MFRのポリプロピレン」ともいう)の代わりに、前記第2のポリマーを用いてナノファイバーによる接着層を形成し、その上に特定MFRのポリプロピレンを用いたナノファイバー層を形成することもできる。
本発明の積層体は、フィルター、マスク等の分離材料、植物培土等として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明についてさらに説明する。実施例における各分析は以下のとおりである。
[MFR]
JIS K 7210に準じ、に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
[ポリプロピレン系樹脂材料のキシレン不溶分の量]
2.5gのポリマーを撹拌しながら135℃において250mlのキシレンに溶解させた。20分後溶液を撹拌しながら25℃に冷却し、次いで30分間静止させた。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素流中で蒸発させ、残留物を一定の重量に達するまで真空下80℃において乾燥した。このようにして25℃におけるキシレンに可溶性のポリマーの重量%を計算した。キシレン不溶分の量(25℃におけるキシレンに不溶性のポリマーの重量%)は、(100−可溶性のポリマーの重量%)で求められ、ポリマーのアイソタクチック成分の量と考えられる。
キシレン不溶分は、沈殿物に残留したキシレンをメタノールで十分に洗い流した後、真空下80℃において乾燥させて採取した。
[キシレン不溶分の融点(Tm)]
上記の方法で得たキシレン不溶分の融点は、パーキンエルマー社製のダイヤモンドDSCを用い、サンプルを230℃で5分間保持した後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却して結晶化し、30℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で230℃まで加熱した際に得られる融解曲線のピーク位置により決定した。なお、低分子量ポリプロピレンの場合、メインの融解ピークの高温側に昇温中の融解再結晶化によって生じる結晶の融解によるサブの融解ピークが生じることがあるが、本発明で用いる融点は、メインの融解ピークの位置より求めた。
[キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)]
上記の方法で得たキシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリマーラボラトリーズ社製PL−GPC220)により測定した。本発明におけるGPC測定では、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、重合体の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して試料を調整した。これにより得た試料溶液の200μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度140℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。
[キシレン不溶分のタクティシティー(mmmm)]
上記の方法で得たキシレン不溶分のmmmmを次のようにして求めた。まず1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解したサンプルを、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数 100MHz)を用いて13C−NMR法
で測定した。次いで得られたスペクトルから、プロピレンモノマーのメソ(m)結合シークエンスが4つ連続したペンタッドに相当するピークの強度の割合を、A.Zambelli,Macromolecules,6,925(1973)に記載された方法に従って求めた。
[平均繊維径]
日本電子社製JSM−6510LA(低真空分析走査電子顕微鏡装置)を用いて紡糸した繊維径の観察を行い、平均繊維径を測定する。
[実施例1]
(1)ポリプロピレン1の製造
以下のようにして、パウダー状のホモポリプロピレン:ポリプロピレン1(MFR=1750g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=97.7重量%、キシレン不溶分のTm=160℃、キシレン不溶分のMw/Mn=4.5、キシレン不溶分のmmmm=98.4%)を製造した。
1)固体触媒成分の調製
欧州特許出願EP728769の実施例1に準じて、成分(A)(固体触媒成分)を調製した。具体的には以下のようにして成分(A)を調製した。
多孔性のバリヤーを備える500mlの反応器に0℃において225mlのTiClを導入した。内容物を撹拌しながら、微小球状のMgCl・2.1COH 10.1(54ミリモル)gを15分間窒素雰囲気下で添加した。当該MgCl・2.1COHの製造方法は後述する。添加の終了時に温度を70℃とし、9ミリモルの9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを添加し、内容物を100℃に加熱し、この温度で2時間反応させた。その後、TiClを濾過して除去した。新たに200mlのTiClと9ミリモルの9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを添加し、内容物を120℃で1時間反応させた。その後、再度濾過して新たに200mlのTiClを添加し、内容物を120℃でさらに1時間反応させた後、濾過して全ての塩素イオンが炉液に存在しなくなるまで60℃においてn−ヘプタンで洗浄した。固体成分を分析し、3.5重量%のTi、および16.2重量%の9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを含有することを確認した。
微小球状のMgCl・2.1COH付加物は以下のようにして調製した。48gのMgCl、77gの無水COH、および830mlのケロシンを、不活性ガス雰囲気下周囲温度において、タービン撹拌器および浸漬パイプを完備する2リットルのオートクレーブに導入した。内容物を撹拌しながら120℃に加熱すると、MgClおよびアルコール間に付加物が形成された。当該付加物は融解し分散剤と混合していた。オートクレーブ内を15気圧の窒素圧に保持した。オートクレーブの浸漬パイプを加熱ジャケットにより外部から120℃に加熱した。加熱ジャケットの内径は1mmで、端から端までの長さは3mであった。混合物を7m/秒の速度でパイプ中を循環させた。分散液を撹拌しながら5リットルのフラスコに集めた。前記フラスコは2.5リットルのケロシンを含み、−40℃の初期温度に保持されているジャケットにより外部から冷却した。乳濁液の最終温度は0℃であった。乳濁液の分散相を構成する球状固体生成物を沈降および濾過により分離し、次いでヘプタンで洗浄して乾燥させた。前記の作業は全て不活性雰囲気中で実施した。最大直径が50μ以下の固体球状粒子の形で130gのMgCl・3.0COHが得られた。次いで生成物から、アルコール含量が、MgClの1モル当たり2.1モルとなるまで窒素流中で50℃から100℃に徐々に温度を上昇させてアルコールを除去し
2)重合
予備接触容器内で、80mlの無水n−ヘキサン中、上記で得た固体触媒成分7mgに
、0.56ミリモルのジシクロペンチルメトキシシラン(DCPMS)および7ミリモルのトリエチルアルミニウム(TEAL)を、10℃において20分間接触させた。得られた触媒系を、馬蹄形撹拌器を具備し、1時間窒素流でパージした4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに導入し、液体プロピレン中懸濁状態で20℃において10分間保持することによって予備重合を行った。続いて液体プロピレンに水素(MFR調整の目的で使用)を15000モルppmになるように供給し、得られた予備重合物を用いて重合温度70℃で内容物を重合した。その後未反応モノマーを除去し、ポリマーを回収し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させた。このようにしてポリプロピレン1を製造した。
(2)積層体の製造
図1に示す装置を用い、当該ポリプロピレンを250℃に加熱し、吐出ノズル22から溶融ポリプロピレン20を吐出する。ガスノズル12から250℃に加熱した加圧ガス10を吐出し、溶融ポリプロピレン20を延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する。当該ポリプロピレンナノファイバーを基材50に付着させて積層体を得る。ポリプロピレンナノファイバーの平均繊維径は500nmである。
[実施例2]
(1)ポリプロピレン2の製造
以下のようにしてパウダー状のホモポリプロピレン:ポリプロピレン2(MFR=1800g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=98.7重量%、キシレン不溶分のTm=154℃、キシレン不溶分のMw/Mn=2.5、キシレン不溶分のmmmm=96.7%)を製造した。
1)触媒成分の調製
PCT/EP2004/00761に記載の方法で触媒系を調製した。ただし、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドに代えて、US−2003/0149199に記載の方法で調製したrac−ジメチルシリレン(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた。
2)重合
前記のとおり調製した触媒泥の形態の触媒系を、予備接触容器内に供給し、その中で約5(kg/時)のプロパンで希釈した。触媒系を、予備接触容器から予備重合ループに供給し、ここに同時にプロピレンを供給した。予備重合ループ内での温度は45℃、触媒の滞留時間は8分間であった。予備重合ループ内で得られた予備重合触媒を、次にループ反応器中に連続的に供給し、プロピレンを供給すると共に、水素(MFR調整の目的で使用)を900モルppmとなるように供給し、重合温度70℃で重合を行った。ポリマーを反応器から取り出し、未反応のモノマーから分離し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させた。
(2)積層体の製造
ポリプロピレン2を用いる以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンナノファイバーの積層体を得る。ポリプロピレンナノファイバーの平均繊維径は300nmである。
[比較例1]
ホモポリプロピレン1の代わりに、水素を4000モルppmになるように供給した以外はホモポリプロピレン1と同様にして得たパウダー状のホモポリプロピレン3(MFR=200g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=98.0重量%)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を製造する。しかしながら、当該例ではポリプロピレンフ
ァイバーの平均繊維径は1500nmであり、ナノファイバーとならない。
[比較例2]
ホモポリプロピレン1の代わりに、DCPMSを使用しないで水素を23000モルppmになるように供給した以外はホモポリプロピレン1と同様にして得たパウダー状のホモポリプロピレン4(MFRは高すぎて測定不能)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を製造する。しかしながら、当該例では繊維切れが発生しポリプロピレンファイバーが得られない。
10 ガス
12 ガスノズル
20 溶融ポリプロピレン
22吐出ノズル
24 ポリプロピレンナノファイバー層
30 第2のガス
32 第2のガスノズル
40 第2のナノファイバー
42 第2の吐出ノズル
44 第2のナノファイバー層
50 基材

Claims (5)

  1. 工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および
    工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
    を備えるポリプロピレンナノファイバーの製造方法であって、
    前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。
  2. 工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、
    工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
    工程(C):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ポリプロピレンナノファイバーを付着させてポリプロピレンナノファイバー層を設ける工程、
    を備える積層体の製造方法であって、
    前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。
  3. 工程(D):第2の吐出ノズルから溶融ポリマーを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該溶融ポリマーを延伸して第2のナノファイバーを形成する工程、
    工程(E):前記工程(C)で形成したポリプロピレンナノファイバー層の上に第2のナノファイバーを付着させる工程、
    をさらに含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。
  4. 工程(A’):吐出ノズルからポリプロピレン以外の溶融ポリマーを吐出する工程、
    工程(B’):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して、前記溶融ポリマーを延伸してナノファイバーを形成する工程、
    工程(C’):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ナノファイバーを付着させてナノファイバー層を設ける工程、
    工程(D’):第2の吐出ノズルから請求項1または2に記載のポリプロピレンを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該ポリプロピレンを延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する工程、
    工程(E’):工程(C’)で形成した前記ナノファイバー層の上に、工程(D’)で形成したポリプロピレンナノファイバーを付着させる工程を含む、積層体の製造方法。
  5. 前記ナノファイバー形成工程に供されるポリプロピレンが添加剤を含まない、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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