JP2021169694A - ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
を備えるポリプロピレンナノファイバーの製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。
[2]工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ポリプロピレンナノファイバーを付着させてポリプロピレンナノファイバー層を設ける工程、
を備える積層体の製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜
3000g/10分である、製造方法。
[3]工程(D):第2の吐出ノズルから溶融ポリマーを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該溶融ポリマーを延伸して第2のナノファイバーを形成する工程、
工程(E):前記工程(C)で形成したポリプロピレンナノファイバー層の上に第2のナノファイバーを付着させる工程、
をさらに含む、[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]工程(A’):吐出ノズルからポリプロピレン以外の溶融ポリマーを吐出する工程、
工程(B’):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して、前記溶融ポリマーを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C’):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ナノファイバーを付着させてナノファイバー層を設ける工程、
工程(D’):第2の吐出ノズルから請求項1または2に記載のポリプロピレンを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該ポリプロピレンを延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する工程、
工程(E’):工程(C’)で形成した前記ナノファイバー層の上に、工程(D’)で形成したポリプロピレンナノファイバーを付着させる工程を含む、積層体の製造方法。
[5]前記ナノファイバー形成工程に供されるポリプロピレンが添加剤を含まない、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
当該製造方法は、工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程を備える。吐出するガスの速度は特に限定されないが、4〜30Nm3/分/mが好ましく、温度は250〜350℃の範囲が好ましい。
本発明においてポリプロピレンとは、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンと10mol%未満のα−オレフィンのポリプロピレン共重合体、当該単独重合体を含む組成物、または当該共重合体を含む組成物をいう。具体的には、i)ポリプロピレン単独重合体、ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、i)を含む樹脂組成物、ii)を含む樹脂組成物、i)およびii)からなる樹脂組成物、i)およびii)を含む樹脂組成物等を例示できる。当該樹脂組成物は後述する添加剤を含んでもよい。
下限値未満であると十分にナノレベルにまでポリマーを延伸できない。MFRが上限を超えると繊維切れ等が発生する。この観点から、MFRは500〜3000g/10分であることが好ましく、1000〜3000g/10分であることがより好ましい。
1)キシレン不溶分のDSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が150℃を超え、170℃未満である。
2)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜5.0である。
3)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が95.0〜99.5%である。
図1を参照して本工程を説明する。図1中、20は溶融ポリプロピレン、22は吐出ノズル、10はガス、12はガスノズルである。本工程では吐出ノズル22から溶融ポリプロピレン20を吐出する。吐出する温度はポリプロピレンが溶融する温度であれば限定されないが、200〜300℃であることが好ましい。ノズル径も特に限定されず、通常のメルトブローン等の紡糸に用いる市販のノズルを用いることができるが、1000μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。ノズル径が大きすぎると細い繊維径が得られない。一方、ノズル径が小さすぎると、ノズルの工作が難しくなると共に、圧力損失が増大する。
本工程では、溶融ポリプロピレン20に対してガスノズル12から高速高温ガス10を吐出して溶融ポリプロピレン20を延伸しナノファイバーを形成する。ナノファイバーとは平均繊維径がナノオーダーである繊維であり、具体的には1000nm未満、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下の繊維である。平均繊維径は、繊維を電子顕微鏡等で観察することによって測定される。
図2を参照して当該方法を説明する。図2中、24はポリプロピレンナノファイバー層、40は第2のナノファイバー、42は第2の吐出ノズル、30は第2の高速高温ガス、32は第2のガスノズル、50は基材である。本発明の積層体は、前記方法で製造されたポリプロピレンナノファイバーを、吐出ノズル22またはガスノズル12の対向する位置に設けた基材50に付着させる工程(C)を経て製造される。図2では基材50は紙面下方向に移動できるので、その速度によって層の厚みを調整できる。このようにして基材50上にポリプロピレンナノファイバー層24を有する積層体を製造できる。基材50の種類は限定されず、例えばポリマーシート、紙、ガラス、金属箔等を用いることができる。吐出ノズル22とガスノズル12は角度をつけて配置してある。図2ではガスノズル12と対向するように基材50が配置されているが、吐出ノズル22とガスノズル12の位置を入れ替えて、吐出ノズル22と対向するように基材50を配置してもよい。
れらの組み合わせが挙げられる。ただしポリオレフィンがポリプロピレンである場合、当該ポリプロピレンは前記MFRが300〜3000g/10分である。
[MFR]
JIS K 7210に準じ、に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
2.5gのポリマーを撹拌しながら135℃において250mlのキシレンに溶解させた。20分後溶液を撹拌しながら25℃に冷却し、次いで30分間静止させた。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素流中で蒸発させ、残留物を一定の重量に達するまで真空下80℃において乾燥した。このようにして25℃におけるキシレンに可溶性のポリマーの重量%を計算した。キシレン不溶分の量(25℃におけるキシレンに不溶性のポリマーの重量%)は、(100−可溶性のポリマーの重量%)で求められ、ポリマーのアイソタクチック成分の量と考えられる。
キシレン不溶分は、沈殿物に残留したキシレンをメタノールで十分に洗い流した後、真空下80℃において乾燥させて採取した。
上記の方法で得たキシレン不溶分の融点は、パーキンエルマー社製のダイヤモンドDSCを用い、サンプルを230℃で5分間保持した後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却して結晶化し、30℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で230℃まで加熱した際に得られる融解曲線のピーク位置により決定した。なお、低分子量ポリプロピレンの場合、メインの融解ピークの高温側に昇温中の融解再結晶化によって生じる結晶の融解によるサブの融解ピークが生じることがあるが、本発明で用いる融点は、メインの融解ピークの位置より求めた。
上記の方法で得たキシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリマーラボラトリーズ社製PL−GPC220)により測定した。本発明におけるGPC測定では、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、重合体の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して試料を調整した。これにより得た試料溶液の200μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度140℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。
上記の方法で得たキシレン不溶分のmmmmを次のようにして求めた。まず1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解したサンプルを、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数 100MHz)を用いて13C−NMR法
で測定した。次いで得られたスペクトルから、プロピレンモノマーのメソ(m)結合シークエンスが4つ連続したペンタッドに相当するピークの強度の割合を、A.Zambelli,Macromolecules,6,925(1973)に記載された方法に従って求めた。
日本電子社製JSM−6510LA(低真空分析走査電子顕微鏡装置)を用いて紡糸した繊維径の観察を行い、平均繊維径を測定する。
(1)ポリプロピレン1の製造
以下のようにして、パウダー状のホモポリプロピレン:ポリプロピレン1(MFR=1750g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=97.7重量%、キシレン不溶分のTm=160℃、キシレン不溶分のMw/Mn=4.5、キシレン不溶分のmmmm=98.4%)を製造した。
1)固体触媒成分の調製
欧州特許出願EP728769の実施例1に準じて、成分(A)(固体触媒成分)を調製した。具体的には以下のようにして成分(A)を調製した。
多孔性のバリヤーを備える500mlの反応器に0℃において225mlのTiCl4を導入した。内容物を撹拌しながら、微小球状のMgCl2・2.1C2H5OH 10.1(54ミリモル)gを15分間窒素雰囲気下で添加した。当該MgCl2・2.1C2H5OHの製造方法は後述する。添加の終了時に温度を70℃とし、9ミリモルの9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを添加し、内容物を100℃に加熱し、この温度で2時間反応させた。その後、TiCl4を濾過して除去した。新たに200mlのTiCl4と9ミリモルの9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを添加し、内容物を120℃で1時間反応させた。その後、再度濾過して新たに200mlのTiCl4を添加し、内容物を120℃でさらに1時間反応させた後、濾過して全ての塩素イオンが炉液に存在しなくなるまで60℃においてn−ヘプタンで洗浄した。固体成分を分析し、3.5重量%のTi、および16.2重量%の9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレンを含有することを確認した。
予備接触容器内で、80mlの無水n−ヘキサン中、上記で得た固体触媒成分7mgに
、0.56ミリモルのジシクロペンチルメトキシシラン(DCPMS)および7ミリモルのトリエチルアルミニウム(TEAL)を、10℃において20分間接触させた。得られた触媒系を、馬蹄形撹拌器を具備し、1時間窒素流でパージした4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに導入し、液体プロピレン中懸濁状態で20℃において10分間保持することによって予備重合を行った。続いて液体プロピレンに水素(MFR調整の目的で使用)を15000モルppmになるように供給し、得られた予備重合物を用いて重合温度70℃で内容物を重合した。その後未反応モノマーを除去し、ポリマーを回収し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させた。このようにしてポリプロピレン1を製造した。
図1に示す装置を用い、当該ポリプロピレンを250℃に加熱し、吐出ノズル22から溶融ポリプロピレン20を吐出する。ガスノズル12から250℃に加熱した加圧ガス10を吐出し、溶融ポリプロピレン20を延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する。当該ポリプロピレンナノファイバーを基材50に付着させて積層体を得る。ポリプロピレンナノファイバーの平均繊維径は500nmである。
(1)ポリプロピレン2の製造
以下のようにしてパウダー状のホモポリプロピレン:ポリプロピレン2(MFR=1800g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=98.7重量%、キシレン不溶分のTm=154℃、キシレン不溶分のMw/Mn=2.5、キシレン不溶分のmmmm=96.7%)を製造した。
1)触媒成分の調製
PCT/EP2004/00761に記載の方法で触媒系を調製した。ただし、rac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドに代えて、US−2003/0149199に記載の方法で調製したrac−ジメチルシリレン(2−メチル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)(2−イソプロピル−4−(4’−tert−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリドを用いた。
前記のとおり調製した触媒泥の形態の触媒系を、予備接触容器内に供給し、その中で約5(kg/時)のプロパンで希釈した。触媒系を、予備接触容器から予備重合ループに供給し、ここに同時にプロピレンを供給した。予備重合ループ内での温度は45℃、触媒の滞留時間は8分間であった。予備重合ループ内で得られた予備重合触媒を、次にループ反応器中に連続的に供給し、プロピレンを供給すると共に、水素(MFR調整の目的で使用)を900モルppmとなるように供給し、重合温度70℃で重合を行った。ポリマーを反応器から取り出し、未反応のモノマーから分離し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させた。
ポリプロピレン2を用いる以外は実施例1と同様にしてポリプロピレンナノファイバーの積層体を得る。ポリプロピレンナノファイバーの平均繊維径は300nmである。
ホモポリプロピレン1の代わりに、水素を4000モルppmになるように供給した以外はホモポリプロピレン1と同様にして得たパウダー状のホモポリプロピレン3(MFR=200g/10分、25℃でのキシレン不溶分の量=98.0重量%)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を製造する。しかしながら、当該例ではポリプロピレンフ
ァイバーの平均繊維径は1500nmであり、ナノファイバーとならない。
ホモポリプロピレン1の代わりに、DCPMSを使用しないで水素を23000モルppmになるように供給した以外はホモポリプロピレン1と同様にして得たパウダー状のホモポリプロピレン4(MFRは高すぎて測定不能)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層体を製造する。しかしながら、当該例では繊維切れが発生しポリプロピレンファイバーが得られない。
12 ガスノズル
20 溶融ポリプロピレン
22吐出ノズル
24 ポリプロピレンナノファイバー層
30 第2のガス
32 第2のガスノズル
40 第2のナノファイバー
42 第2の吐出ノズル
44 第2のナノファイバー層
50 基材
Claims (5)
- 工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、および
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
を備えるポリプロピレンナノファイバーの製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。 - 工程(A):吐出ノズルから溶融ポリプロピレンを吐出する工程、
工程(B):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して前記溶融ポリプロピレンを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ポリプロピレンナノファイバーを付着させてポリプロピレンナノファイバー層を設ける工程、
を備える積層体の製造方法であって、
前記ポリプロピレンのメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分である、製造方法。 - 工程(D):第2の吐出ノズルから溶融ポリマーを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該溶融ポリマーを延伸して第2のナノファイバーを形成する工程、
工程(E):前記工程(C)で形成したポリプロピレンナノファイバー層の上に第2のナノファイバーを付着させる工程、
をさらに含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。 - 工程(A’):吐出ノズルからポリプロピレン以外の溶融ポリマーを吐出する工程、
工程(B’):ガスノズルから高速高温ガスを吐出して、前記溶融ポリマーを延伸してナノファイバーを形成する工程、
工程(C’):前記吐出ノズルまたはガスノズルの対向する位置に配置した基材に、前記ナノファイバーを付着させてナノファイバー層を設ける工程、
工程(D’):第2の吐出ノズルから請求項1または2に記載のポリプロピレンを吐出し、第2のガスノズルから高速高温ガスを吐出して当該ポリプロピレンを延伸してポリプロピレンナノファイバーを形成する工程、
工程(E’):工程(C’)で形成した前記ナノファイバー層の上に、工程(D’)で形成したポリプロピレンナノファイバーを付着させる工程を含む、積層体の製造方法。 - 前記ナノファイバー形成工程に供されるポリプロピレンが添加剤を含まない、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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