JP4206211B2 - 電池セパレータ用不織布 - Google Patents

電池セパレータ用不織布 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池セパレータ用不織布に関し、特に、強度、通気度、電解液の保液性に優れた電池セパレータ用不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン製不織布、特にポリプロピレン製不織布は、電池セパレータ材として、種々の電池に用いられている。これらの電池セパレータは、電池製造工程において、電極と共に巻き締められる時や電池の充放電の繰り返し時において、大きなストレスがかかり、そのためにセパレータ基材、特に、ニッケル水素電池等のセパレータとしては、引張り強度や突刺強度の大きい高強度なポリオレフィン系不織布が求められてきている。さらに、最近の電気自動車用電源などに代表される二次電池の高容量化要求は、電池の軽量化、小型化、薄型化が欠くべからざる課題となってきている。
【0003】
このため、電池の総体積の20〜30%を占めるセパレータの割合をなるべく少なくすることにより、セパレータの薄型化、小型化に対応する試みがあるが、ポリオレフィン系不織布を用いたセパレータを単に薄くすると、電解液の保液量の減少を招き、電池自身の能力低下につながる恐れがある。このため、セパレータ基材である不織布の繊維径を細くすることが考えられるが、不織布の繊維径を細くするとかえって、不織布自身の強度の低下を招く場合がある。したがって、高容量化に対応できる不織布に要求される機能は、低目付重量にすると同時に繊維径を細くして、強度アップをはかるという性能が要求されてきている。従来の不織布を用いたセパレータにおいては、この二つの要素は互いに相反し、薄型化、低目付化、細繊維化、高強度化を満足するのが難しかった。
【0004】
このような問題を解決する不織布の一つとして、鞘部の材質をポリエチレンとする芯鞘構造を有する複合繊維を用いた不織布が検討され、特にメルトブローン法によるポリプロピレン不織布のポリプロピレンの結晶化温度においてポリエチレン部分を融解させてポリプロピレン繊維との結合度を増す技術が開発されているが、鞘部の材質がポリエチレンであり、芯部をポリプロピレンとすると、紡糸性が悪く、極細繊維を得ることが困難であり、好適な電池セパレータを得ることが困難となるという問題があった。
【0005】
さらに、電池用セパレータとしては、正極と負極を隔離し、電気的絶縁性を持ち、また電極より発生する活物質の移動を防止するために、最大孔径が小さく、電解液に短時間で濡れ、かつ保液性が高く、親水性が高く、かつ繊維径が細く、高強度を有し、充電時に正極より発生する酸素ガスを通過するために適当な通気性を有し、正極と負極との微少短絡を防ぐため突刺耐性等を有する不織布が求められているが、そのような不織布は得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、ポリプロピレン系樹脂を用い、繊維径が細く、低目付け重量であって、強度、通気度、電解液の保液性に優れた電池セパレータ用不織布を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メタロセン触媒によって重合された特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を芯鞘型複合繊維の鞘材として用いた不織布が、強度、通気度、電解液の保液性に優れた電池セパレータ用不織布となることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メタロセン触媒によって重合され、下記特性(1)〜(6)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を芯鞘複合繊維の鞘成分とし、メルトブローン法により製造される不織布であって、芯鞘複合繊維の鞘部の割合が30〜70重量%、繊維径が3〜10μm、不織布の目付重量が3〜80g/mである不織布からなることを特徴とする電池セパレータ用不織布が提供される。
特性(1):MFRが5〜2000g/10分
特性(2):Q値が1.5〜4.0
特性(3):Tmが110〜135
特性(4):T80−T202〜8
特性(5):TREF測定時の0℃可溶分量が3重量%以下
特性(6):α−オレフィン含有量が1〜18モル%
(但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、Tmは示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
【0010】
また、本発明の第の発明によれば、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィンがエチレンであり、その含有量が1〜12モル%であることを特徴とする第1の発明に記載の電池セパレータ用不織布が提供される。
【0012】
また、本発明の第の発明によれば、不織布が親水化処理を施されてなることを特徴とする第1又は2の発明に記載の電池セパレータ用不織布が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電池セパレータ用不織布で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、メタロセン触媒を使用して重合した共重合体である。メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用することができる。
【0014】
メタロセン触媒において、シクロペンタジエニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合したものも好ましく用いられる。
【0015】
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド、
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド。
【0016】
また、チタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
【0017】
また、これらの化合物のクロリドの一方あるいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド等に代わった化合物も例示することができる。さらに、上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等に代わった化合物も例示することができる。
【0018】
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。また、必要に応じてこれら化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
【0019】
アルミニウムオキシ化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との反応物を使用することもできる。例えば、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などである。
【0020】
イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
【0021】
また、必要に応じてこれら化合物と共にトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物が使用してもよい。
【0022】
本発明においては、上記メタロセン触媒を使用してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンは、一種類でも二種類以上併用してもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好適であり、特にエチレンが好適である。
【0023】
重合法としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、前述のメタロセン触媒で重合された共重合体であって、次の特性(1)〜(6)を有している必要がある。以下、各特性について説明する。
【0025】
特性(1):MFR
MFRは、JIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレートを表わす。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、5〜2000g/10分であり、好ましくは15〜1500g/10分であり、より好ましくは20〜1000g/10分である。MFRが5g/10分未満である場合、紡糸圧力が高くなりすぎ、高倍率での延伸が困難となり、繊維径の不均一などの弊害が生じる。逆に、2000g/10分を超える場合、分子鎖が短いことから不織布化したときの強度が低くなるといった弊害が生じる。ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量など適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過酸化物添加により調整する方法がある。
【0026】
特性(2):Q値
Q値は、GPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)を表す。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値は、1.5〜4.0であり、好ましくは1.8〜3.7であり、より好ましくは2.0〜3.5である。Q値が4.0を超えると、高分子量の存在により紡糸延伸性が損なわれるといった弊害が生じる。逆に、1.5未満であると、現状メタロセン触媒系でも製造が困難なものである。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値を調整する方法は、好ましくは2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、または重合時に2段以上の多段重合を行うことによりQ値を広く制御することができる。逆にQ値を狭く調整するためには、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練することにより調整することができる。
【0027】
なお、Q値の具体的測定は、次の条件でおこなう。
装置 :Waters社製HLC/GPC 150C
カラム温度:135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン
流量 :1.0ml/min
カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
注入量 :0.15ml(濾過処理無し)
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用。
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
【0028】
特性(3):Tm
Tmは、示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度を表わす。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のTmは、110〜135℃であり、より好ましくは120〜130℃である。Tmが140℃を超える場合、芯鞘複合繊維の鞘材として使用した場合に、熱融着温度を高く設定する必要があり、その結果不織布の収縮や繊維形状の喪失、不織布のフィルム化といった弊害を伴い、電池セパレータ用不織布として適するものではなくなってしまう。逆に、110℃未満の場合、紡糸時の固化が遅く、生産性が損なわれる、また不織布強度や剛性が大きく低下してしまう、あるいはべたつき成分が増加することにより電池セパレータとして使用した際に、電解液を汚してしまうといった弊害が生じる。ポリマーのTmを調節するには、通常コモノマー含量を適宜調節する方法がとられる。
【0029】
なお、Tmの具体的測定は、パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量10mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
【0030】
特性(4):T80−T20(TREFによる溶出量差温度)
80は、温度上昇溶離分離(TREF)によって得られる溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は、20重量%が溶出する温度を表わす。本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、温度上昇溶離分別(TREF:Temperature Rising Elution Fraction)によって得られる溶出曲線において、80重量%が溶出する温度(T80)と20重量%が溶出する温度(T20)の差、T80−T20、2〜8℃である。T80−T20が10℃を超えると、低融点成分が増加するため、構成繊維のべたつき、不織布とした時の表面すべり特性の悪化し、紡糸性能の低下等の弊害が生じる。また、低融点成分に共重合体とすべく導入しているエチレンを多く取られてしまうため、このような成分は電池セパレータとして使用した際に電解液中に溶出してしまう可能性があり、電解液を汚す要因となり好ましくない。ポリマーのT80−T20が上記のように特定の狭い範囲にあることは、ポリマーの分子量分布がより均一であることを意味している。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のT80−T20を調整する方法は、2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより、T80−T20を大きく調整することができる。また、担体にメタロセン触媒成分を担持する際、担持が不均一である触媒を使用して重合した場合、低分子量成分が増え、これに伴いT80−T20が大きくなってしまう。したがってメタロセン触媒成分を担体に均一に担持する技術が重要である。
【0031】
ここで、上記温度上昇溶離分別(TREF)とは、不活性担体の存在下に一定高温下でポリマーを完全に溶解させた後に冷却し、該不活性担体表面に薄いポリマー層を生成させ、次に、温度を連続又は段階的に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグラフ(溶出曲線)により、ポリマーの組成分布を測定する方法である。温度上昇溶離分別(TREF)の測定の詳細については、Journal of Applied Polymer Science第26巻 第4217〜4231頁(1981年)に記載されており、本発明においてもこれに従って行う。
【0032】
なお、T80−T20は、具体的には、次の条件で測定した値である。
測定装置は、ダイヤインスツルメンツ製CFC T−102Lを使用し、まず、測定すべきサンプルを溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用い、3mg/mlとなるように、140℃で溶解し、これを測定装置内のサンプルループ内に注入する。以下の測定は設定条件にしたがって自動的に行われる。サンプルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装置付属のステンレス製カラム)に0.4ml注入される。次に該サンプルを1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却させる。TREFカラムが0℃で更に30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分2mlが1ml/分の流速でTREFカラムからSECカラム(昭和電工製AD806MS 3本)へ注入される。SECで分子サイズの分別が行われている間に、TREFカラムでは次の溶出温度(10℃)に昇温され、その温度に約30分保持される。SECでの各溶出区分の測定は39分間隔で行われる。溶出温度は0℃から40℃まで10℃毎に、40℃から90℃まで5℃毎に、90℃から140℃までは4℃毎に階段的に昇温される。該SECカラムで分子サイズによって分別された溶液は装置付属の赤外線分光光度計で検出され、各溶出温度区分におけるクロマトグラフが得られる。なお、赤外線分光光度計での検出は検出波数3.42μmにおける吸光度を使用して行われ、溶液中のポリマー成分量と吸光度とが比例するものとして以下のデータ処理が行われる。各溶出温度区分におけるクロマトグラムは内蔵のデータ処理ソフトにより処理され、各クロマトグラムの面積を基に、積算が100%となるように規格化された各溶出温度区分の溶出量が計算される。更に、得られた各溶出温度区分の溶出量から、積分溶出曲線が作成される。0℃可溶分量とは0℃で溶出したポリマー成分の量(%)を示すものであり、T20とは積算溶出量が20%となる温度を、T80とは積算溶出量が80%となる温度を示すものである。
【0033】
特性(5):TREF測定時の0℃可溶分量
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のTREF測定時の0℃可溶分量は、3重量%以下であり、好ましくは1.0重量%以下であり、更に好ましくは0.5重量%以下であり、特に好ましくは0.3重量%以下である。TREF測定時の0℃可溶分量は、低分子量成分がそのほとんどを占めており、0℃可溶分量が3重量%を超える場合は、当該成分が電池セパレータとして使用した際に電解液中に溶出し、電解液を汚す原因となるため好ましくない。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のTREF0℃可溶分の量は、担体にメタロセン触媒成分を担持する際、担持が不均一である触媒を使用して重合した場合、低分子量が増え、これに伴いTREF0℃可溶分の量が増加してしまう。したがってメタロセン触媒成分を担体に均一に担持する触媒を使用して重合することによりTREF0℃可溶分の量を3重量%以下に調整することができる。
【0034】
特性(6):α−オレフィン含有量
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン(コモノマー)含有量は、1〜18モル%であり、好ましくは2.5〜10モル%であり、より好ましくは3〜8モル%である。特にコモノマーがエチレンの場合は、1〜12モル%が好ましい。コモノマー含有量が1モル%未満であると、融点が高くなることにより、芯鞘複合繊維の鞘材として使用した場合に、熱融着温度を高く設定する必要があり、その結果不織布の収縮や繊維形状の喪失、不織布のフィルム化といった弊害を伴い、電池セパレータ用不織布として適するものではなくなってしまう。一方、18モル%を超えると、融点が低下しすぎることにより紡糸時の固化が遅く、生産性が損なわれる、また不織布強度や剛性が大きく低下してしまう、あるいはべたつき成分が増加することにより電池セパレータとして使用した際に、電解液を汚してしまうといった弊害が生じる。ポリマー中のα−オレフィン含有量は重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易に調節することができる。なお、本発明において、α−オレフィン含有量は、フーリエ変換赤外分光光度計により定量されるものである。
【0035】
また、本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体には、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶造核剤、銅害防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着色剤、充填剤、エラストマー、石油樹脂などを配合することができる。
【0036】
本発明においては、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体と、必要に応じてこれらの各種添加剤とを、ドライブレンドの状態あるいは溶融混練機を用いて、好ましくは180〜300℃で加熱溶融混練し、粒状に裁断されたペレットの状態で繊維不織布成形材料として提供される。
【0037】
本発明の電池セパレータ用不織布は、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を鞘部分とする芯鞘型複合繊維から得られる不織布である。芯部分を構成する材質は、上記プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体より融点の高い結晶性ポリマー、例えば、ホモポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド等であるのが好ましい。
【0038】
また、芯鞘型複合繊維の鞘部分の割合は、繊維全体の30〜70重量%である。鞘部分の割合が30%未満であると、熱融着部の割合が少なくなるため、不織布強度が低くなり、鞘部分の割合が70%を超えると、熱融着部の割合が多くなりすぎるため、不織布がフィルム状になり通気度が低くなりすぎ電池セパレータとしては適さない。
【0039】
芯鞘型構造を有する繊維からの不織布の製造方法としては、極細繊維不織布を得ることができるメルトブローン法が用いられる。また、不織布は単層での使用だけでなく、積層体として用いてもよい。
【0040】
本発明の電池セパレータ用不織布の繊維径は、3〜10μmであり、目付重量は、3〜80g/mである。繊維径が3μm未満であると、通気性が極端に低下し、電池の内部抵抗あがり好ましくない。一方、繊維径が30μmを超えると、通気性が極端に増加し、電解液の保液率も低くなり好ましくない。また、目付重量が、3g/m未満である場合、不織布として充分な強度を得られず電池に組み込むことができない。一方、目付量が80g/mを超える場合、不織布が厚くなってしまい、サイズの小さい電池に組み込む際に不利である。
【0041】
さらに、本発明の不織布は、厚みが0.03〜0.5mm、引張強度が4.0kg/5cm以上、通気度が5〜100cc/cm/secであるのが好ましい。厚みが0.03mm未満では、電池ショートの原因となり、0.5mmを超えると電池容量が低下する。引張強度が4.0kg/5cm未満では、電池組み込み時に切れ易い。通気度が5cc/cm/sec未満では、電池内部抵抗が高くなり、100cc/cm/secを超えると繊維分散ムラが大きくなる。
【0042】
本発明の電池セパレータ用不織布は、親水化して用いるのが好ましい。不織布の親水化は、不織布の繊維表面を酸化、窒化、スルホン化、グラフト変性等の処理を行うことによって得られる。その際、不織布表面がX線電子分光測定(ESCA)において、スルホン化の場合は、硫黄原子の存在が1〜10原子%(S/C=0.01〜0.1)であるのが好ましく、酸化の場合は、酸素原子の存在が、10〜40原子%(O/C=0.1〜0.4)であるのが好ましい。また、スルホン化と酸化の状態が上記のESCA分析の範囲で混在している状態で用いることもできる。
【0043】
上記のような不織布の繊維表面を酸化、窒化、スルホン化、グラフト変性等の処理を行う方法は、どのような方法であってもよいが、具体的な方法としては、次のような方法が挙げられる。スルホン化処理としては、特開平1−132043号公報等に記載されているような発煙硫酸等に浸漬する方法、特開平10−1551号公報等に記載されているような硫黄酸化ガス存在下で放電プラズマ処理を行う方法等が挙げられる。表面の酸化処理としては、特開平4−74525号公報、特開平6−182195号公報、特開平8−217897号公報等に記載されているガス雰囲気中で1気圧付近でグロー放電を行い、プラズマを照射する常圧プラズマ法等がある。さらに、特開平6−79832号公報等に記載されているような真空プラズマ処理によっても達成される。表面に極性基をグラフトする親水化処理としては、特表昭63−503074号公報等に記載されているアクリル酸等を紫外線処理でグラフトする方法が挙げられる。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例に限定されるものではない。物性等の測定は下記の通りである。また、実施例、比較例で用いたプロピレン・α−オレフィン共重合体の製造方法を重合例に示した。
【0045】
(1)MFR:JIS−K6921−2附属書に準拠し測定した。(条件:温度/230℃、荷重21.18N)
【0046】
(2)Q値:測定は前述の測定方法に従って行った。
検量線 :表1のポリスチレン標準サンプルを使用した。
【0047】
【表1】
Figure 0004206211
【0048】
(3)融解ピーク温度(Tm):前述の方法により測定した。
【0049】
(4)温度上昇溶離分別(TREF)によるT80−T20、0℃可溶分量:前述の方法により測定した。
【0050】
(5)目付重量:試料長さ方向より、25mm×200mmの大きさの試験片を採取し、温度20±2℃、相対湿度65±2℃の状態での水分平衡状態の重さを小数点3桁まで測定し、1m当たりの目付重量に換算して求めた。
【0051】
(6)厚さ:試料長さより、25mm×200mmの大きさの試験片を採取し、(株)三豊製作所製7321ダイヤルシックネスゲージを用い、各試験片を0.001mmまで測定した。
【0052】
(7)通気度:JIS L1096の6.27.1.Aに準拠して測定した。
【0053】
(8)引張強度:試料長さより、50×200mmの試験片を試料長さ方向、及び幅方向より採取し、JIS L1096の6.12.1.A項に準拠し、チャック間隔100mm、引張速度100mm/分で一枚ずつ測定した。
【0054】
(9)平均繊維径:試験片の任意な5箇所を電子顕微鏡で5枚の写真撮影を行い、1枚の写真につき任意の20本の繊維の直径を測定し、これを5枚の写真について行い、合計100本の繊維径を平均して求めた。
【0055】
(10)保液率;10cm×10cm角の大きさの試験片を採取し、温度20±2℃、相対湿度65±2℃の状態での水分平衡状態の重量Wを1mgまで測定する。次に20±2℃における比重1.30の苛性カリ(KOH)溶液中に試験片を浸漬し、1時間放置させた後、苛性カリ溶液から取り出し、68分間、水平棒からぶら下げ、余分な表面の苛性カリ水溶液を滴下させ、次にその試験片の重量W1を1mgまで測定して、つぎの式により算出した。
保液率(%)=(W1−W)/W×100
【0056】
重合例1
(1)触媒の調整
3つ口フラスコ(容積1L)中に硫酸で逐次的に処理されたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイSL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノルマルオクチルアルミニウム50mmolで処理後ヘプタンで洗浄し、スラリー1とした。また別のフラスコ(容積200mL)中に、ヘプタン90mL、〔(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕0.3mmol、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラリー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1時間残重合を、行い予備重合触媒83gを得た。
【0057】
(2)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造
内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、水素、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであり、エチレンの供給量は1.1kg/hrであり、水素の供給量は0.34g/hrであり、TIBAの供給量は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状とし、0.93g/hrでフィードした。その結果、12.3kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体Iを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体Iは、MFR=38.0g/10分、エチレン含量=5.0mol%、Tm=125.4℃、Q値=2.8であった。
【0058】
重合例2
重合例1で調整した固体触媒を用い、エチレンの供給量を1.6kg/hr、水素の供給量を0.45g/hr、予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状としたフィード量を0.66g/hrに変更した以外は、重合例1と同様にして重合を行った。その結果、12.1kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合IIを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IIは、MFR=38.0g/10分、エチレン含量=6.3mol%、Tm=120.5℃、Q値=2.8であった。
【0059】
重合例3
重合例1で調整した固体触媒を用い、エチレンの供給量を0.65kg/hr、水素の供給量を0.01g/hr、予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状としたフィード量を2.70g/hrに変更した以外は、重合例1と同様にして重合を行った。その結果、13.5kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合IIIを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IIIは、MFR=1.5g/10分、エチレン含量=5.0mol%、Tm=124.7℃、Q値=2.7であった。
【0060】
重合例4
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピレンで十分に置換した後、脱水・脱酸素処理したn−ヘプタン60Lを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド16g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エム社製)4.1gを50℃でプロピレン雰囲気下で導入した。更に気相水素濃度を6.0容量%に保ちながら、50℃の温度で、プロピレン5.7kg/時及びエチレン0.28kg/時の速度で4時間フィードした後、更に1時間重合を継続した。その結果、12kgのプロピレン・エチレンランダム共重合体IVを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体IVは、MFR=6.4g/10分、エチレン含量=5.9mol%、Tm=140℃、Q値=4.4であった。
【0061】
重合例5
重合例3でエチレンの供給量を0.35kg/時とした以外は、重合例3と同様にして重合を行い、その結果、11kgのプロピレン・エチレンランダム共重合体Vを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体Vは、MFR=6.0g/10分、エチレン含量=6.5mol%、Tm=130℃、Q値=4.5であった。
【0062】
上記のプロピレンの重合1〜5で製造したプロピレン・エチレンランダム共重合体I〜Vの各物性を表2に示す。表1から明らかな通り、重合体I〜IIは、特性(1)〜(6)を有する本発明のプロピレン・エチレンランダム共重合体であり、重合体III〜Vは、本発明外の共重合体である。
【0063】
【表2】
Figure 0004206211
【0064】
実施例1
表1に示す重合体Iのパウダー100重量部に対して、結晶造核剤として3−メチルブテン重合体のマスターバッチを0.10重量部、酸化防止剤として1、3、5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メチル]−1、3、5−トリアジン−2、4、6(1H、3H、5H)−トリオン(サイテック製、商品名サイアノックス1790)を0.04重量部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガホス168)を0.05重量部、及び中和剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業製、商品名Ca−St)を0.05重量部ヘンシェルミキサーで500rpm、3分間高速混合した後、φ50mm単軸押出機(ユニオンプラスチック社製)を使用し、押出温度230℃の条件で溶融、混練、冷却、カットしてペレット状のプロピレン共重合体組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を芯鞘複合繊維の鞘材として用い、芯材にはMFR50g/10分のホモポリプロピレン(SA05;日本ポリケム社製:50)を用い、下記の条件のメルトブローン法による不織布成形を行った。なお、複合比率(重量)は、芯/鞘で50/50とした。
【0065】
ダイ:ダイサイズ;5インチ、ノズル孔;180個、ノズル径;0.3mm
紡糸条件:紡糸温度;芯鞘とも270℃、空気温度;350℃、空気流量;70Nm/hr
繊維補集条件:エジェクター−コンベア距離;200mm、コンベア速度;3.2m/min
【0066】
得られた不織布をエアースルー型ドライヤーで130℃に加熱し鞘材を溶かし、繊維同士を融着させ、平均繊維径10μm、目付重量30.2g/mの不織布を得た。
次に、この不織布をプラズマ処理装置にセットし、減圧した後、空気を供給し、15KHz、3.8kVの電圧を10秒間印加し、プラズマを発生させて不織布表面の酸化処理を行い、親水性を付与した。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0067】
実施例2
芯/鞘重量比を70/30とした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.5g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0068】
実施例3
芯/鞘重量比比を30/70とした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.1g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0069】
実施例4
鞘成分を重合体IIとした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.4g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0070】
比較例1
芯/鞘重量比を90/10とした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.0g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0071】
比較例2
芯/鞘比を10/90とした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.3g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0072】
比較例3
重合体IV100重量部に対して、結晶造核剤として3−メチルブテン重合体のマスターバッチを0.10重量部、酸化防止剤として1、3、5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メチル]−1、3、5−トリアジン−2、4、6(1H、3H、5H)−トリオン(サイテック製、商品名サイアノックス1790)を0.04重量部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名イルガホス168)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業製、商品名Ca−St)を0.05重量部及び2.5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名:パーヘキサ25B日本油脂社製)を0.05重量部添加し溶融、混練、冷却、カットしてMFRが40g/10minのペレット状のプロピレン共重合体組成物を調製した。
得られた組成物を鞘成分をとし、実施例1と同様にして平均繊維径16μm、目付量30.5g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0073】
比較例4
重合体をVとした以外は、比較例3と同様にして、MFRが40g/10分のペレット状のプロピレン共重合体組成物を調製した。得られた組成物を鞘成分とし、空気流量を50Nm/hrとした以外は実施例1と同様にして平均繊維径21μm、目付量30.2g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0074】
比較例5
空気流量を30Nm/hrとした以外は、実施例1と同様にして平均繊維径35μm、目付量30.8g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0075】
比較例6
芯/鞘比率を100/0とした以外は実施例1と同様にして平均繊維径10μm、目付量30.3g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0076】
比較例7
鞘成分として高密度ポリエチレン:HJ490(日本ポリケム社製)、空気流量を40Nm/hrとした以外は実施例1と同様にして平均繊維径33μm、目付量30.5g/mの親水化不織布を得た。得られた親水性不織布の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0077】
比較例8
重合体をIIIとした以外は、実施例1と同様にして調製、得られた組成物を鞘成分とし、実施例1と同様にして不織布成形を行ったが、ホットエアーによる溶融繊維の延伸追随性が著しく悪く、糸切れが多発し、所定の不織布を得ることができなかった。
【0078】
【表3】
Figure 0004206211
【0079】
表2から明らかなように、本発明の芯鞘型複合繊維からなる不織布は、引張強度、通気度、保液率に優れ電池セパレータ用不織布として好適に用いることができる。一方、鞘部分の割合が少ない複合繊維からなる不織布は繊維同士の融着が不完全で強度不足であり(比較例1)、芯部分の割合が少ない複合繊維からなる不織布は融着し過ぎてフィルム状になり通気性が悪く強度も低い(比較例2)。また、Tm、TREFの物性値が本発明の範囲外の樹脂を用いると融着が不完全で強度が不足する(比較例3及び4)。さらに、繊維が太すぎると、通気度が高すぎ、保液率も低くなる(比較例5)。共重合体を用いないと融着しないため強度が不足し(比較例6)、高密度ポリエチレンを用いると紡糸性が悪く細い繊維径のものが得られず通気度高く、保液率も低い(比較例7)。MFRが低すぎると延伸追随性が悪く紡糸できない(比較例8)。
【0080】
【発明の効果】
本発明の芯鞘型複合樹脂からの不織布は、鞘材としてメタロセン触媒で重合された特定の物性を有するプロピラン・α−オレフィン共重合体を用いているので、強度、通気度、電解液の保液性に優れ、電池セパレータ用不織布として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. メタロセン触媒によって重合され、下記特性(1)〜(6)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を芯鞘複合繊維の鞘成分とし、メルトブローン法により製造される不織布であって、芯鞘複合繊維の鞘部の割合が30〜70重量%、繊維径が3〜10μm、不織布の目付重量が3〜80g/mである不織布からなることを特徴とする電池セパレータ用不織布。
    特性(1):MFRが5〜2000g/10分
    特性(2):Q値が1.5〜4.0
    特性(3):Tmが110〜135
    特性(4):T80−T202〜8
    特性(5):TREF測定時の0℃可溶分量が3重量%以下
    特性(6):α−オレフィン含有量が1〜18モル%
    (但し、MFRはJIS−K6921による230℃、21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCにより測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)、Tmは示差走査熱量計(DSC)によって得られる融解曲線のピーク温度、T80は温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20は20重量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
  2. プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフィンがエチレンであり、その含有量が1〜12モル%であることを特徴とする請求項1に記載の電池セパレータ用不織布。
  3. 不織布が親水化処理を施されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池セパレータ用不織布。
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