JP2013043576A - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボンネット3前部に設けたストライカ17と、ストライカ17に係脱可能なラッチ機構19と、ボンネット3を開閉可能に車体側に取付けるヒンジ機構22とが設けられ、ヒンジ機構22には、ボンネット3の後退を許容する後退許容手段26を備え、ストライカ17に前突時の荷重をボンネット3前端よりも先に伝達する衝突荷重伝達手段17cが設けられたことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
すなわち、ボンネット側のレインフォースメントにラッチ機構を取付け、ラジエータサポートメンバ側には側面視コ字状のストライカを取付けて、該ストライカの上部をその下部に対して長く形成し、ラッチ機構のラッチ爪がストライカの上部に沿って容易に後方へ移動できるように構成し、ボンネット前部における変形可能領域が大きくなるように成したものである。
すなわち、ボンネットの下面に一体的にボンネットレインフォースメントを設け、このボンネットレインフォースメントに対して車両の前後方向に長い側面視凹状のストライカを固定する一方、ボディ側においてラジエータコアサポートの前部にはラッチ機構をボルトアップにて固定し、該ラッチ機構のラッチ爪でストライカを係脱可能に構成したものが開示されている(同公報、第6図参照)。
上記構成によれば、車両の前突時には、上記衝突荷重伝達手段が剛体のストライカに対してボンネット前端よりも先に衝突荷重(後ろ向きの衝突荷重)を伝達して、該ボンネットを後退させることができる。
これにより、ボンネットを補強することなく、かつ該ボンネット前端の破損を抑制することができ、以て、歩行者保護要件を加味したうえで、車両デザインに対応してボンネット前端の前出しが可能となる。
なお、ボンネット前端の前出し位置は、組付け誤差が目立たなくなることを考慮して、意匠面が前に傾く(前のめりとなる)か、下方に屈曲する位置に設定することが好ましい。
上記構成によれば、上記ストライカのレイアウトにより衝突荷重伝達手段を構成したものであって、ストライカそれ自体で衝突荷重伝達手段を構成するので、追加部品を別途設けなくてもよい。
上述のボンネットより車体前方に配設される前側部材としては、バンパフェースやフロントグリルに設定してもよい。
上記構成によれば、荷重伝達部で衝突荷重伝達手段を構成し、該荷重伝達部は前側部材に設けられるので、その荷重伝達面の幅の拡大を図ることができると共に、ストライカのレイアウトも容易となる。なお、上記前側部材は、その一部が上記ボンネットよりも車体前方に突出していれば良く、また突出部位が必ずしもストライカと同じ高さでなくともよい。
上記構成によれば、ヒンジ機構の移動機構(後退許容手段)はボンネット開時に該ボンネットを後方移動させるので、ストライカを前側部材の上面後縁よりも前方に突出配置することができ、ボンネット閉時にはストライカを前側部材の上面後縁にて隠して、見栄えを確保することができ、かつ、ストライカ前端の上記突出配設によりボンネット前端の前出しが可能となり、前突時には剛体のストライカに対してボンネット前端よりも先に衝突荷重を伝達して、該ボンネット前端を破損させることなく、その後退を図ることができる。
それでいて、上記移動機構は、ボンネットを開放する時、該ボンネットを後方に移動しつつ上方に移動させるので、ボンネットの開閉の際に、ストライカと前側部材とが干渉するのを阻止することができる。
上述の第1の後退荷重とは、軽突時の荷重やボンネット開操作時の操作荷重を意味し、上述の第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重とは、車両走行時の走行風による風圧などを意味する。
上記構成によれば、ストライカに第1の後退荷重が入力された時には、後退許容手段によるボンネットの後退を許容するので、軽衝突時におけるボンネットの破損を抑制することができる。
しかも、後退規制機構は、第2の後退荷重の入力時、ボンネットの後退を規制するので、通常の車両走行時においては、走行風の風圧や車両振動等によりボンネットがばたつくのを防止することができる。
図面は車両の前部車体構造を示し、図1は前部車体構造を備えた車両の斜視図、図2はボンネット開放時の概略斜視図、図3はボンネット閉時の車両を車幅方向の中心で縦断面にして示す側面図である。
また、上述のボンネット3よりも車体前方に配設される前側部材としての合成樹脂製のバンパフェース9(所謂、フロントバンパ)を設けている。
なお、一般的には、上述のシュラウドロア部8とバンパフェース9の下部後端9aとの間には、アンダカバーが設けられるが、図示の便宜上、このアンダカバーの図示を省略している。
上述のエンジンルーム2の左右両サイドを車両の前後方向に延びる車体剛性部材としての左右一対のフロントサイドフレーム(図示せず)を設け、左右一対のフロントサイドフレームの前端部にはクラッシュカン(図示せず)をそれぞれ取付けている。
そして、左右の各クラッシュカンを車幅方向に連結するバンパレインフォースメント12を配設している。このバンパレインフォースメント12は、図3に示すように、車両後方側が開放した断面ハット形状のバンパビーム13と、該バンパビーム13の開放部を閉塞する平板状のクロージングプレート14とを備え、これら両者13,14間には車幅方向に延びる閉断面15が形成されている。
また、上述のバンパレインフォースメント12におけるバンパビーム13の前面部には、その車幅方向の略全幅にわたってEA部材16(EAはenergy absorberの略で衝撃緩衝部材のこと)を配置している。
さらに、図3に示すように、ボンネット3の前部と対応してボンネットレインフォースメント4の下部には、剛体のストライカ17を固定している。
図2に示すように、該ストライカ17はボンネットレインフォースメント4の車幅方向中央部に設けられている。
このラッチ19は、前後方向に延びるストライカ17(後述する下片部17b参照)をラッチ爪18で横方向から係合する通常のもので、車体側に設けた該ラッチ19は、上記ストライカ17を係脱可能に係合すると共に、該ストライカ17はラッチ19に前後移動可能に支持されている。
このストライカ17に、前突時の荷重をボンネット3の前端よりも先に伝達する衝突荷重伝達手段を設けるが、この実施例では、図3に示すように、ストライカ17の前端つまり前片部17cを、ボンネット3の前端よりも車両前方に突出して配設することにより、該前片部17c(ストライカ17の前端)にて衝突荷重伝達手段を構成している。
さらに、この実施例では、図3に示すように、ストライカ17の前片部17cと前後方向で対向する前側部材としてのバンパフェース9に対して、ストライカ17への荷重伝達部20が設けられている。
この荷重伝達部20は衝突荷重伝達手段を構成するものであって、該荷重伝達部20はストライカ17の前片部17cの上下方向の長さよりも、上下に長く形成されると共に、ストライカ17の前片部17cの車幅方向の長さよりも、車幅方向に長く、望ましくは、走行風導入口10の車幅方向の長さと略同等の長さを有するように形成されている。
また、この荷重伝達部20は、バンパフェース9と一体に形成してもよく、あるいは、バンパフェース9と別体の荷重伝達部を設け、この別体の荷重伝達部を、ボルト、ファスナ、クリップなどの取付け部材を用いて、バンパフェース9に取付けてもよく、また、本体と脚部とを備えた荷重伝達部を設けて、この別体の荷重伝達部の本体をバンパフェース9とストライカ17との間に配設すると共に、別体の荷重伝達部の脚部をバンパレインフォースメント12やEA部材16に取付ける構成を採用してもよい。
ところで、上述のボンネット3を開閉可能に車体側部材としてのカウルサイドメンバ21に取付けるヒンジ機構22を設けている。
上述のヒンジ機構22は、カウルサイドメンバ21に固定された車体側ヒンジブラケット23と、ボンネットレインフォースメント4に固定されたボンネット側ヒンジブラケット24と、該ボンネット側ヒンジブラケット24に一体的に突出形成されたヒンジピン25とを備えている。
上述のヒンジ機構22は、上記ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ上方に移動させる移動機構を有している。この実施例1では、車体側ヒンジブラケット23に車両前後方向に延びる長孔26を開口形成し、この長孔26に上述のヒンジピン25を挿入して、上記移動機構を構成している。
そして、この移動機構(長孔26とヒンジピン25)により、ボンネット3の後退を許容する後退許容手段を構成したものである。
さらに、上述のボンネット側ヒンジブラケット24の取付け部位よりも前方のボンネットレインフォースメント4と、長孔26の形成部位よりも前方の車体側ヒンジブラケット24との間には、ステーダンパ27を張架している。
すなわち、上記ヒンジ機構22には、上記ストライカ17に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重やボンネット開操作時の操作荷重)が入力された時、上記後退許容手段(長孔26とヒンジピン25参照)による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(車両走行時の走行風による風圧や車両振動参照)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(ステーダンパ27参照)が設けられたものである。
なお、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印UUPは車両の上方を示す。
図3に示すボンネット3の閉時においては、後退規制機構としてのステーダンパ27により該ボンネット3が前方に付勢されているので、通常の車両走行時に第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)がストライカ17およびボンネット3に作用しても、このステーダンパ27によりボンネット3の後退を規制すると共に、該ボンネット3のばたつきを防止することができる。
図3に示すように、ストライカ17それ自体のレイアウトにより衝突荷重伝達手段(前片部17c参照)を設けており、この衝突荷重伝達手段(前片部17c)はストライカ17に前突時の荷重をボンネット3前端よりも先に伝達するように構成している。つまり、ストライカ17の前片部17cを先当てするように構成している。
この結果、車両後ろ向きの衝突荷重が入力される軽衝突時において、ボンネット3の前端が破損するのを抑制することができる。
これにより、ボンネット3を補強することなく、かつ該ボンネット3前端の破損を抑制することができ、以て、歩行者保護要件(ボンネットの低剛性化など)を加味したうえで、車両デザインに対応してボンネット3前端の前出しが可能となる。
なお、ボンネット3前端の前出し位置は、組付け誤差が目立たなくなることを考慮して、意匠面が前に傾く(前のめりとなる)か、あるいは下方に屈曲する位置に設定することが好ましい。
また、上記衝突荷重伝達手段(前片部17c参照)は、上記ストライカ17の前端が上記ボンネット3の前端よりも前方に突出して配設されるものである(図3参照)。
さらに、上記衝突荷重伝達手段(荷重伝達部20参照)は、上記ボンネット3より車体前方に配設される前側部材(バンパフェース9参照)に対し上記ストライカ17への荷重伝達部20が設けられたものである(図3参照)。
加えて、上記ストライカ17の前端(前片部17c参照)が、上記ボンネット3より車体前方に配設される前側部材(バンパフェース9参照)の上面後縁9bよりも下方で、かつ該上面後縁9bよりも前方に突出して配設されると共に、上記ヒンジ機構22は、上記ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ上方に移動させる移動機構(長孔26、ヒンジピン25参照)を有し、該移動機構(長孔26、ヒンジピン25)で上記後退許容手段を構成したものである(図3参照)。
それでいて、上記移動機構(長孔26、ヒンジピン25参照)は、ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ上方に移動させるので、ボンネット3の開閉の際に、ストライカ17と前側部材(バンパフェース9参照)とが干渉するのを阻止することができる。
さらに、上記ヒンジ機構22には、上記ストライカ17に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重やボンネット開操作時の操作荷重)が入力された時、上記後退許容手段(長孔26、ヒンジピン25参照)による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(車両走行時の走行風による風圧や車両振動参照)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(ステーダンパ27参照)が設けられたものである(図3参照)。
しかも、後退規制機構(ステーダンパ27参照)は、第2の後退荷重の入力時、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
また、上述の車体側ヒンジブラケット23の後部から上方に立上がる立片部23aには、ヒンジピン31を介してアーム32を取付けている。
そして、該アーム32と上述のボンネット側ヒンジブラケット30との間に、平行リンク機構33を設けることで、ボンネット3を開閉可能に車体側部材(カウルサイドメンバ21参照)に取付けるヒンジ機構34を構成している。
上述の平行リンク機構33は、リンクピン35,36を介してボンネット側ヒンジブラケット30とアーム32との間に張架した前側のリンク37と、リンクピン38,39を介してボンネット側ヒンジブラケット30とアーム32との間に張架した後側のリンク40とを備え、前側のリンク37と後側のリンク40とを平行に配置したものである。
さらに、この実施例においては、ヒンジ機構34の前方において、ボンネットレインフォースメント4下部に、ステーダンパ取付け用のブラケット41を固定し、カウルサイドメンバ21上部に、ステーダンパ取付け用のブラケット42を固定して、これら上下の両ブラケット41,42間にステーダンパ27を張架している。
また、上述のアーム32には、平行リンク機構33の各リンク37,40が図7に示す前傾姿勢から図8に示す後傾姿勢となった時、これら各リンク37,40のリンクピン36,39を支点とする後方へのさらなる回動を阻止するストッパ43を設けている。ここで、ストッパ43をアーム32に設ける構造に代えて、ストッパをリンク40に設ける構造を採用してもよい。
つまり、この実施例2においては、第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)よりも低い第2の後退荷重(車両走行時の走行風による風圧や車両振動参照)に対してボンネット3の後退を規制する後退規制機構は、ボンネット3閉時に前傾姿勢となるリンク37,40にて構成したものである。
また、この実施例2においても、ヒンジ機構34はボンネット3の後退を許容する後退許容手段としての平行リンク機構33を備えている。
さらに、上記ヒンジ機構34は、ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ上方に移動させる移動機構(平行リンク機構33参照)を有し、この移動機構(平行リンク機構33)で上述の後退許容手段を構成したものである。
加えて、上述のヒンジ機構34には、上記ストライカ17に少なくともボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重やボンネット開操作時の操作荷重)が入力された時、上記後退許容手段(平行リンク機構33)によるボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(車両走行時の走行風による風圧や車両振動)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(リンク37,40の前傾姿勢によりボンネット重量を付加する機構)が設けられたものである。
なお、この実施例2においては、リンク37,40の前傾姿勢(前高後低状に傾斜する姿勢)によりボンネット3の重量を付加する機構(後退規制機構)に加えて、ステーダンパ27による後退規制機構を併用している。
図7に示すボンネット3の閉時においては、リンク37,40の前傾姿勢により該リンク37,40にボンネット3の重量(つまり、ボンネット荷重)が付加されているので、通常の車両走行時に第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)がストライカ17およびボンネット3に作用しても、該ボンネット3のばたつきを防止することができる。
加えて、この実施例2においては、上述のステーダンパ27を併用し、このステーダンパ27によりボンネット3が前方に付勢されているので、走行風による風圧や車両振動などに起因する該ボンネット3のばたつきを、より一層確実に防止することができる。
上述のリンク37,40の遊端は、リンクピン36,35間のリンク長、リンクピン39,38間のリンク長に対応して略後方に移動し、これら各リンクピン35,38の移動軌跡に対応してボンネット3が略後方に移動するので、ストライカ17がバンパフェース9の上面後縁9bと干渉することはない。
つまり、通常のボンネット閉時において、単にボンネット3が下動するのみならず、慣性力の利用により該ボンネット3の前方移動をワンアクションにて行なうことができる。
なお、この実施例2においてもボンネット3前側周辺のストライカ17、ラッチ19および衝突荷重伝達手段については先の実施例1と同様である。
これにより、車両後ろ向きの衝突荷重が入力される軽衝突時において、ボンネット3の前端が破損するのを抑制することができる。
これにより、ボンネット3を補強することなく、かつ該ボンネット3前端の破損を抑制することができ、以て、歩行者保護要件(ボンネットの低剛性化など)を加味したうえで、車両デザインに対応してボンネット前端の前出しが可能となる。
また、上記ストライカ17(図3参照)の前端(前片部17c参照)が、上記ボンネット3より車体前方に配設される前側部材(バンパフェース9)の上面後縁9bよりも下方で、かつ該上面後縁9bよりも前方に突出して配設されると共に、上記ヒンジ機構34は、上記ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ、上方に移動させる移動機構(平行リンク機構33参照)を有し、該移動機構(平行リンク機構33)で上記後退許容手段を構成したものである(図3,図7,図8参照)。
それでいて、上記移動機構(平行リンク機構33)は、ボンネット3を開放する時、該ボンネット3を後方に移動しつつ上方に移動させるので、ボンネット3の開閉の際に、ストライカ17と前側部材(バンパフェース9)とが干渉するのを阻止することができる。
さらに、上記ヒンジ機構34には、上記ストライカ17(図3参照)に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重やボンネット開操作時の操作荷重)が入力された時、上記後退許容手段(平行リンク機構33参照)による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(前傾姿勢のリンク37,40およびステーダンパ27参照)が設けられたものである(図3,図7参照)。
しかも、後退規制機構(前傾姿勢のリンク37,40およびステーダンパ27)は、第2の後退荷重の入力時、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
この実施例3においては、ボンネット3の前端部中央に装飾部材44を設け、この装飾部材44がボンネット3と一体的に開閉するように構成している。
図11に示すように、ボンネット3の前側下部と後側下部とには、ボンネットレインフォースメント4A,4Bが一体的に設けられており、前側のボンネットレインフォースメント4Aの下部には剛体のストライカ17が取付けられている。
このストライカ17も先の各実施例1,2と同様に、その前後方向に延びる部分がラッチ19のラッチ爪18で横方向から係合されるようになっており、該ストライカ17がラッチ19に前後移動可能に支持されている。
図10,図11に示すように、上述のストライカ17の前部乃至前端部は、装飾部材44により車外側から目視不可となるように覆われている。
上述の車体側ヒンジブラケット23には、車両の前後方向に延びる長孔26を開口形成し、この長孔26内の前側に上述のヒンジピン25を挿入している。
上記長孔26内のヒンジピン25以外の部分には、図11,図12に示すように合成樹脂板などから成る脆弱な規制部材47を取付けている。
この規制部材47は、通常時におけるヒンジピン25の位置を保持する一方、ストライカ17にボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)が入力された時、クラッシュして、または、長孔26内から外れてボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)に対して該ボンネットの後退を規制する後退規制機構である。
つまり、この実施例3においては、長孔26とヒンジピン25との両者によりボンネット3の後退を許容する後退許容手段を構成すると共に、ボンネット3それ自体の重量と規制部材47とにより上述の後退規制機構を構成したものである。
なお、図11に示すように、フロントグリル46とクーラコンデンサ5との間において車幅方向に延びるバンパレインフォースメント12は、車両前方側が開放した断面ハット形状のバンパビーム13と、該バンパビーム13の開放部を閉塞する平板状のクロージングプレート14とで構成している。
図11に示すボンネット3の閉時においては、後退規制機構としての規制部材47でヒンジピン25の位置が定位置に保持されると共に、ボンネット重量が下方に付勢されているので、通常の車両走行時に第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)がストライカ17およびボンネット3に作用しても、ボンネット重量および規制部材47によりボンネット3の後退を規制すると共に、該ボンネット3のばたつきを防止することができる。
図11に示すように、ストライカ17それ自体のレイアウトにより衝突荷重伝達手段(前片部17c参照)を形成しており、この衝突荷重伝達手段(前片部17c)はストライカ17に前突時の荷重をボンネット3前端よりも先に伝達するように構成している。
この結果、車両後ろ向きの衝突荷重が入力される軽衝突時において、ボンネット3の前端が破損するのを抑制することができる。
これにより、ボンネット3を補強することなく、かつ該ボンネット前端の破損を抑制することができ、以て、歩行者保護要件(ボンネットの低剛性化など)を加味したうえで、車両デザインに対応してボンネット3前端の前出しが可能となる。
また、上記ヒンジ機構22には、上記ストライカ17に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)が入力された時、上記後退許容手段(長孔26、ヒンジピン25参照)による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(規制部材47参照)が設けられたものである(図11参照)。
しかも、後退規制機構(規制部材47参照)は、第2の後退荷重の入力時、ヒンジピン25の位置をキープして、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
また、ラジエータ6の上部に位置するシュラウドアッパ部7には、その上面がシュラウドアッパ部7の上面と面一または上方に位置し、かつシュラウドアッパ部7から車両前方に突出するように車体側部材としてのブラケット50(いわゆる台座)を取付けている。
そして、このブラケット50の上面部には、ラッチ19を前後方向に移動可能に取付けている。
すなわち、ラッチ19には該ラッチ19から前方に延びる突出部19aを一体または一体的に形成し、この突出部19aに車両の前後方向に延びる長孔19bを開口形成すると共に、ブラケット50の上面部の下面に溶接固定したナット51に対して、長孔19bに挿通させたボルト52の下部を締結したものであって、ラッチ19が車体側部材としてのブラケット50に前後移動可能な機構53(長孔19b、ボルト52、ナット51からなる機構で、以下単に、前後移動機構53と略記する)を介して支持されたものである。
しかも、バンパフェース9の上部背面には、ストライカ17に前突時の荷重をボンネット3の前端よりも先に伝達する衝突荷重伝達手段としての荷重伝達部54を一体形成している。つまり、ボンネット3よりも車体前方に配設される前側部材としてのバンパフェース9に対して上記ストライカ17への荷重伝達部54が設けられたものである。
この荷重伝達部54は、バンパフェース9の上部背面からリヤ側に向けて延びる複数のリブ54a…をハニカム構造(蜂の巣構造)に組合わせたもので、該荷重伝達部54は、図示はしないが車幅方向に所定幅(望ましくは、図1で示した走行風導入口10と略同等の車幅方向の長さ)を有するように形成されている。
上述の複数のリブ54a…のうち、最上部のリブ54aおよび上から2番目のリブ54aはボンネット3閉時におけるストライカ17に可及的近接しており、上から3番目以降の各リブ54aはラッチ19と干渉しない条件下で、かつ該ラッチ19に可及的近接する位置まで後方に延びている。
上述の車体側ヒンジブラケット23には車両前後方向に延びる長孔26を開口形成し、この長孔26内の前部とワッシャ55の孔部とが連通するように、該ワッシャ55を車体側ヒンジブラケット23に溶接固定している。なお、図14ではワッシャ55の溶接箇所を溶接部55aとして黒丸で示している。
そして、上述の長孔26内の前部とワッシャ55の孔部とが連通する連通部に、上述のヒンジピン25を挿入して、ヒンジ機構22を構成したものである。
すなわち、上記ヒンジ機構22には、上記ストライカ17に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重)が入力された時、長孔26とヒンジピン25とからなる後退許容手段による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(ブラケット23に溶接固定されたワッシャ55参照)が設けられたものである。
図14に示すボンネット3の閉時においては後退規制機構としてのワッシャ55でヒンジピン25の位置が定位置に保持されると共に、ボンネット重量が下方に付勢されているので、通常の車両走行時に第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)がストライカ17およびボンネット3に作用しても、ボンネット重量およびワッシャ55によりボンネット3の後退を規制すると共に、該ボンネット3のばたつきを防止することができる。
図13に示すように、ボンネット3より車体前方に配設される前側部材としてのバンパフェース9に対し上記ストライカ17への荷重伝達部54が設けられ、この荷重伝達部54は前突時の荷重をボンネット3前端よりも先にストライカ17に伝達するように構成している。
このストライカ17にボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)が伝達されると、ラッチ爪18で係合された状態のストライカ17はラッチ19を伴って後退し、ボンネットレインフォースメント4を介してヒンジ機構22に荷重が伝達され、ヒンジピン25に後ろ向きの荷重が伝達される。これによりワッシャ55の溶接部55aが外れて、該ワッシャ55がフリーとなるので、長孔26とヒンジピン25とによる後退許容手段がボンネット3の後退を許容し、ヒンジピン25が長孔26内の後部に後退移動する範囲においてボンネット3は後方に移動する。
この結果、車両後ろ向きの衝突荷重が入力される軽衝突時において、ボンネット3の前端が破損するのを抑制することができる。
これにより、ボンネット3を補強することなく、かつ該ボンネット3前端の破損を抑制することができ、以て、歩行者保護要件(ボンネットの低剛性化など)を加味したうえで、車両デザインに対応してボンネット前端の前出しが可能となる。
また、上記衝突荷重伝達手段は、上記ボンネット3より車体前方に配設される前側部材(バンパフェース9参照)に対し上記ストライカ17への荷重伝達部54が設けられたものである(図13参照)。
さらに、上記ヒンジ機構22には、上記ストライカ17に少なくとも上記ボンネット3の車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重(軽突時の荷重)が入力された時、上記後退許容手段(長孔26、ヒンジピン25参照)による該ボンネット3の後退を許容し、上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)に対して該ボンネット3の後退を規制する後退規制機構(ワッシャ55参照)が設けられたものである。
しかも、後退規制機構(ワッシャ55参照)は、第2の後退荷重(走行風による風圧や車両振動など)の入力時、ヒンジピン25の位置をキープして、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
また、実施例で開示したように、荷重伝達部54を複数のリブ54aによるハニカム構造(蜂の巣構造)に成すと、重量の過度な増加を招くことなく荷重伝達部54の強度が向上するので、荷重伝達効率の向上を図ることができ、ストライカ17に対してボンネット前端よりも先に前突時の荷重をより一層確実に伝達することができる。
なお、荷重伝達部54はハニカム構造に代えて、格子構造と成してもよい。
さらに、上記荷重伝達部54が車幅方向に所定幅を有すると、斜め方向からの軽衝突時や車両センタから車幅方向にずれた位置に前突された場合においても、該荷重伝達部54を介してストライカ17に前突荷重を適切に伝達することができる。
上述の車体側のヒンジブラケット23には車両前後方向に延びる長孔26を開口形成している。また、上述のヒンジピン25の基部には大径部25aを一体形成している。
そして、上述の長孔26内の前部に、ボルトから成るヒンジピン25のネジ部25bを挿入し、該ヒンジピン25のネジ部25bが長孔26から突出した部分に平ワッシャ56およびスプリングワッシャ57を装着した後に、ネジ部25bに対してナット58を締結したもので、締結力を付加する各要素25,56,57,58から成る取付け部材59により後退規制機構を構成したものである。
つまり、ナット58の締結力は車両に軽衝突荷重が入力された時、ヒンジピン25の後退を許容するようになっている。
また、車体側ヒンジブラケット23とボンネット側ヒンジブラケット24との間において、ヒンジピン25の大径部25a外周には、スペーサ49を装着して、ボンネット側ヒンジブラケット24が不所望に車幅方向に移動するのを防止している。
しかも、後退規制機構(取付け部材59)は、第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重の入力時、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、ボンネット3の重量の下方への付勢と相俟って、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
上述の車体側ヒンジブラケット23は、カウルサイドメンバ21に当接固定されるベース部23bと、このベース部23bから上方に立上がる立片部23aとを車両正面視でL字形状に一体形成したものである。
また、車体側ヒンジブラケット23のベース部23bには、車両前後方向に延びる少なくとも1つの長孔61を開口形成している。図17に示すこの実施例6では互いに平行または一直線上に並ぶ複数の長孔61,61を開口形成している。
上記各長孔61,61内の後部に対して、そのネジ孔が上下方向に一致するように、上述のカウルサイドメンバ21の下部にはナット62,62を溶接固定している。
そして、上述の各長孔61,61内の後部に、上方から下方に向けてボルト63,63を挿入し、これら各ボルト63,63の先端部を上述のナット62,62に締結したものであり、上述の長孔61,61によりボンネット3の後退を許容する後退許容手段を構成すると共に、締結力を付加するボルト63とナット62とで後退規制機構を構成したものである。
要するに、ボルト63とナット62との締結力により、通常の車両走行時の走行風の風圧や車両振動ではヒンジブラケット23が後退しないように構成すると共に、軽衝突時の荷重入力により上記締結力に抗してヒンジブラケット23が後方へ移動するように構成したものである。
このように構成すると、ストライカ17(図11または図13参照)に第1の後退荷重(軽衝突時の荷重)が入力された時には、後退許容手段(長孔61参照)によるボンネット3の後退を許容するので、軽衝突時におけるボンネット3の破損を抑制することができる。
しかも、後退規制機構(ボルト63、ナット62参照)は、第2の後退荷重の入力時、ボンネット3の後退を規制するので、通常の車両走行時においては、ボンネット3の重量の下方への付勢と相俟って、走行風の風圧や車両振動等によりボンネット3がばたつくのを防止することができる。
さらに、図17で示したこの実施例6においては、ヒンジピン25を締め付けていないので、ボンネット3の開閉抵抗が小さく、ボルト63、ナット62による締結箇所は、ヒンジピン25とは別のボディ側(カウルサイドメンバ21側)で行うので締結力の調整が容易となる。
この発明のラッチ機構は、実施例のラッチ19に対応し、
以下同様に、
ボンネットを取付ける車体側部材は、カウルサイドメンバ21に対応し、
ラッチ機構を前後移動可能に支持する車体側部材は、ブラケット50に対応し、
前後移動可能な機構は、前後移動機構53に対応し、
後退許容手段は、ヒンジピン25と長孔26、平行リンク機構33、長孔61に対応し、
衝突荷重伝達手段は、ストライカ17の前片部17c、荷重伝達部20,54に対応し、
ボンネットより車体前方に配設される前側部材は、バンパフェース9に対応し、
移動機構は、ヒンジピン25と長孔26、平行リンク機構33に対応し、
後退規制機構は、ステーダンパ27、リンク37,40、規制部材47、ワッシャ55、取付け部材59、または、締結力を付加するボルト63、ナット62あるいは、ボンネット3それ自体の重量に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、実施例3〜6の構成に対して、実施例1で示したステーダンパ27を併用して、通常の車両走行時において走行風の風圧や車両振動等に起因するボンネット3のばたつきを、より一層確実に防止すべく構成してもよく、また、ボンネットより車体前方に配設される前側部材は、バンパフェース9に代えて、フロントグリルであってもよい。
9…バンパフェース
17…ストライカ
17c…前片部(衝突荷重伝達手段)
19…ラッチ(ラッチ機構)
20,54…荷重伝達部(衝突荷重伝達手段)
21…カウルサイドメンバ(車体側部材)
22,34…ヒンジ機構
25…ヒンジピン(後退許容手段)
26,61…長孔(後退許容手段)
27…ステーダンパ(後退規制機構)
33…平行リンク機構(後退許容手段)
37,40…リンク(後退規制機構)
47…規制部材(後退規制機構)
50…ブラケット(車体側部材)
53…前後移動機構(前後移動可能な機構)
55…ワッシャ(後退規制機構)
59…取付け部材(後退規制機構)
62…ナット(後退規制機構)
63…ボルト(後退規制機構)
Claims (5)
- ボンネット前部に配設された剛体のストライカと、
該ストライカに係脱可能な車体側のラッチ機構と、
上記ボンネットを開閉可能に車体側部材に取付けるヒンジ機構とが設けられ、
上記ストライカが上記ラッチ機構に前後移動可能に支持、または、ラッチ機構が車体側部材に前後移動可能な機構を介して支持され、
上記ヒンジ機構には、ボンネットの後退を許容する後退許容手段を備えた
車両の前部車体構造であって、
上記ストライカに前突時の荷重をボンネット前端よりも先に伝達する衝突荷重伝達手段が設けられたことを特徴とする
車両の前部車体構造。 - 上記衝突荷重伝達手段は、上記ストライカの前端が上記ボンネットの前端よりも前方に突出して配設される
請求項1記載の車両の前部車体構造。 - 上記衝突荷重伝達手段は、上記ボンネットより車体前方に配設される前側部材に対し上記ストライカへの荷重伝達部が設けられた
請求項1または2記載の車両の前部車体構造。 - 上記ストライカの前端が、上記ボンネットより車体前方に配設される前側部材の上面後縁よりも下方で、かつ該上面後縁よりも前方に突出して配設されると共に、
上記ヒンジ機構は、上記ボンネットを開放する時、該ボンネットを後方に移動しつつ上方に移動させる移動機構を有し、
該移動機構で上記後退許容手段を構成した
請求項2または3記載の車両の前部車体構造。 - 上記ヒンジ機構には、
上記ストライカに少なくとも上記ボンネットの車両前後方向耐力以下の第1の後退荷重が入力された時、
上記後退許容手段による該ボンネットの後退を許容し、
上記第1の後退荷重よりも低い第2の後退荷重に対して該ボンネットの後退を規制する後退規制機構が設けられた
請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。
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