JP2013043253A - 締付装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトに構成された、締結部材を締め付けるための締付装置を提供する。
【解決手段】締結部材に対して、当該締結部材を締め付けるためのトルクを与えるモータ5と、前記締結部材に係合可能なソケット8と、前記ソケット8を先端に設け、前記モータ5によって回動するスピンドル14と、前記モータ5に連結され、前記スピンドル14に対して、前記モータ5からの回動を伝えつつ回転軸方向に進退可能に接続されるエクステンションバー7と、を備えた、前記締結部材を締め付けるための締付装置30であって、前記スピンドル14が収容可能であるとともに、当該スピンドル14と回転軸方向に螺旋条にスプライン係合するスピンドルケース12と、前記スピンドルケース12を収容するアウターケース11と、前記スピンドルケース12と前記アウターケース11とを固定又は分離することが選択可能な電磁クラッチ13と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ネジ等の締結部材を締め付ける締付装置に関する。
従来、ボルト及びナット等のネジを締め付ける締付装置(ナットランナとも呼ばれる)が、例えば、自動車用エンジンの組み立てラインにおいて用いられている(特許文献1参照)。
上記のような締付装置では、モータ等の駆動源、駆動源の回転軸に連結されるスピンドル、及びスピンドルの先端に設けられるソケット等を具備し、当該ソケットをネジに係合して駆動源により回転させることでネジの締め付けが行われる。また、締付装置には、特許文献1記載の締付装置のように、ソケットを有するスピンドルがワークに対して昇降可能に構成されたものがある。当該締付装置では、ネジの締め付け時にソケットを有するスピンドルをワークの締結位置へ向けて下降してネジの締め付けを行い、締め付け完了後にワークから上昇させる手段、すなわち、スピンドルを昇降動作させることでスピンドル先端のソケットをワークに対して昇降させるソケット昇降手段を備える。
ソケット昇降手段の方式のひとつとしては、例えば、スピンドルの回転軸方向におけるソケットの位置決めをする場合に、スピンドルを回転軸方向に沿って摺動可能に構成し、スピンドルを動作させるためのアクチュエータを用いてスピンドルを回転軸方向に進退動作させることで、スピンドル先端のソケットの昇降動作を行う方式が知られている。
例えば、図5に示すように、アクチュエータとして汎用のエアシリンダーをスピンドルに隣接して外付けし、当該スピンドルとエアシリンダーのシリンダーロッド先端とをプレートにより連結し、エアシリンダーの伸縮によりプレートを介してスピンドルを進退動作させてスピンドル及びソケットを昇降させる構造のものが知られている。
特開平8−11027号公報
しかし、上記のような従来の締付装置では、ソケットの昇降手段にエアシリンダーのような嵩高いアクチュエータを使用しているため、アクチュエータが装置本体に隣接して外付け配置された、大掛かりな装置になる。さらに、このように、締付装置(ナットランナ)が大掛かりなものになると、複数のナットランナ(多軸ナットランナ)を備えるタイプの締付装置の場合では、ナットランナ同士での干渉領域が多くなり締付効率が悪化する。そのため、締付装置としては、よりコンパクトな装置構成が求められる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コンパクトに構成された、締結部材を締め付けるための締付装置を提供することを目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
締結部材に対して、当該締結部材を締め付けるためのトルクを与える駆動部と、
前記締結部材に係合可能なソケットと、
前記ソケットを先端に設け、前記駆動部によって回動するスピンドルと、
前記駆動部に連結され、前記スピンドルに対して、前記駆動部からの回動を伝えつつ回転軸方向に進退可能に接続されるエクステンションバーと、
を備えた、前記締結部材を締め付けるための締付装置であって、
前記スピンドルが収容可能であるとともに、当該スピンドルと回転軸方向に螺旋条にスプライン係合するスピンドルケースと、
前記スピンドルケースを収容するアウターケースと、
前記スピンドルケースと前記アウターケースとを固定又は分離することが選択可能な選択可能手段と、
を有するものである。
請求項2においては、
前記選択可能手段は、前記アウターケース内に一体的に取り付けられる電磁クラッチであり、
当該電磁クラッチの通電により前記アウターケースに前記スピンドルケースを固定し、かつ前記駆動部の駆動により前記スピンドルを回動した場合、前記スピンドルケースに対して前記スピンドルが進退可能であり、
前記電磁クラッチの通電停止により前記スピンドルケースを前記アウターケースから分離し、かつ前記駆動部の駆動により前記スピンドルを回動した場合、前記スピンドルケースが前記スピンドルと共回りし、前記ソケットに係合される前記締結部材を締め付け可能であるものである。
本発明によれば、駆動部の回動を利用して、スピンドルの進退動作が行えるため、装置をコンパクトにできる。
本発明の一実施形態に係る締付装置の構成を模式的に示す斜視図。 ナットランナを示す一部断面側面図。 ナットランナが備えるソケット昇降手段を示す一部断面側面図。 スピンドルの昇降動作を示す説明図であり、(a)はスピンドル位置が上昇端位置である場合を示す図、(b)はスピンドル位置が中間位置である場合を示す図、(c)はスピンドル位置が下降端位置である場合を示す図。 従来の締付装置を示す一部断面側面図。
次に、発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明の一実施形態である締付装置30について図1、図2及び図3を用いて説明する。
締付装置30は、ワークWに締結部材を締め付けるための装置であり、例えば、自動車用エンジンの組立ラインにおいて、ワークWであるエンジンのシリンダブロックとシリンダヘッドとを締結するための締結部材(本実施形態では、ボルト及びナット等のネジ)を締め付ける際に用いられるものである。締付装置30は、図1に示すように、ナットランナ位置可変手段1、ナットランナ2等を有し、これらの動作を制御する制御手段(図示せず)を備える。
なお、説明の便宜上、図1に示すX・Y・Z軸方向を本実施形態におけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。本実施形態における回転軸方向とは、後述するモータ5、エクステンションバー7、スピンドル14及びソケット8の回転軸方向を意味し、図1においてはZ軸方向となる。
ナットランナ位置可変手段1は、1つのナットランナ2を吊り下げて支持し、当該ナットランナ2を位置可変に支持するX軸位置決め装置である直交ロボット3、Y軸位置決め装置である直交ロボット4から構成される。つまり、ナットランナ位置可変手段1は1つのナットランナ2をX軸方向とY軸方向とに移動可能な二軸可変の直交二軸ロボットとして構成されている。こうして、ナットランナ位置可変手段1は、直交ロボット3及び直交ロボット4によってナットランナ2をX・Y軸の二軸方向にそれぞれ独立して適宜位置変更可能である。すなわち、直交ロボット3及び直交ロボット4によってナットランナ2の先端に有するソケット8のX・Y軸方向位置が変更可能である。直交ロボット3及び直交ロボット4は、配線等を介して接続される制御手段によってその動作が制御される。
ナットランナ2は、ワークWに締結部材を回動して締め付ける締付装置30の本体部であり、図2に示すように、モータ5、トルクトランスデューサー6、エクステンションバー7、ソケット8、ソケット昇降手段9等を主に有する。ナットランナ2は、ナットランナ位置可変手段1の下部に支持されている。
モータ5は、ソケット8を回動駆動させるための回動駆動力を発生するナットランナ2の駆動部であり、ソケット8に係合される締結部材に対して、当該締結部材を締め付けるためのトルクを与えるものである。モータ5は、出力軸である主軸5aを有する。モータ5は、ベースプレート10に固定支持されている。モータ5の主軸5aには、エクステンションバー7が連結されている。モータ5は、配線等を介して接続される制御手段によってその動作が制御される。すなわち、制御手段によって、ナットランナ2による締付(締付量、回動方向、締付トルク等)が制御される。モータ5には、トルクトランスデューサー6が取り付けられている。
トルクトランスデューサー6は、モータ5の回転時のトルクを検出するトルクセンサである。トルクトランスデューサー6は、配線等を介して制御手段に接続されている。トルクトランスデューサー6では、モータ5の回動時のトルクが検出されて、制御手段に出力される。
エクステンションバー7は、図3に示すように、モータ5の主軸5aに連結され、後述するスピンドル14に対して、モータ5からの回動を伝えつつ回転軸方向に進退可能に接続するための部材であり、段付きの円柱状の基部7aと、当該基部7a一端から延出される断面四角形状かつ棒状のバー本体部7bからなる部材である。エクステンションバー7の基部7aの外側端部には、モータ5の主軸5aを連結するための矩形の連結凹部7cが形成されている。エクステンションバー7の基部7aは、連結凹部7cを介してモータ5の主軸5aに一定的回転可能に連結され、バー本体部7bは、スピンドル14が有する挿通孔20(挿通孔20a、摺動孔20b)に挿通される。また、バー本体部7bは、スピンドル14の摺動孔20bに、回転軸方向へ摺動可能かつスピンドル14と一体的に回転可能に嵌合支持される。こうして、モータ5の主軸5aが回動すると、当該主軸5aに連結されたエクステンションバー7及び、当該エクステンションバー7のバー本体部7bに嵌合支持されるスピンドル14が回動する。また、エクステンションバー7は、モータ5の出力軸として回転軸方向に沿って所定長延長可能にするものであり、出力軸の長さを可変にしつつモータ5の回動駆動力をスピンドル14に伝達可能にするものである。
なお、本実施形態に係るエクステンションバー7は、断面四角形状であるが、特に限定するものでなく、エクステンションバー7とスピンドル14とが嵌合して一体的に回動できるような断面形状であれば良い。
ソケット8は、ボルト又はナットに係合可能な部材であり、その基端部側がスピンドル14の先端に着脱可能に固定されており、ソケット8の先端部側には、ボルト又はナットに係合可能な係合凹部8aを備えており、当該係合凹部8aを、例えばボルトの頭部に係合させた状態でソケット8を回動駆動させることにより、ワークWにボルトを締め付けることができる。ソケット8は、スピンドル14に対して着脱自在であり、ワークWを締結する際に用いるボルトやナットの種類等に応じた他のソケット8に適宜交換可能である。
ソケット昇降手段9は、ワークWに対してソケット8の昇降を行うためのものであり、アウターケース11と、スピンドルケース12と、電磁クラッチ13と、スピンドル14とから主に構成される。
アウターケース11は、スピンドル14を収容するためのケース部材である。アウターケース11は、図3に示すように、段付きの円筒状部材であり、大径部11aと小径部11cとからなる筒状のケース部材である。大径部11aと小径部11cの間には、径方向に沿う壁面である段壁面11bを有する。大径部11aは、電磁クラッチ13が配置固定される部分であり、小径部11cは、スピンドルケース12を挿通して配置される部分である。アウターケース11は、その中心軸をモータ5の主軸5aの中心軸である回転軸方向と同一となるように取付部材を介してベースプレート10に取り付けられる。
スピンドルケース12は、スピンドル14が収容可能であるとともに、スピンドル14と回転軸方向に螺旋条にスプライン係合するケース部材である。スピンドルケース12は、スピンドル14に対して回転軸を中心として相対的に回転可能に構成されており、スピンドルケース12がスピンドル14に対して相対的に回転することで、スピンドルケース12がスピンドル14に対して相対的に回転軸方向に進退するように構成されている。
スピンドルケース12は、回転軸方向に貫通孔15が形成された略円筒状の金属製部材(本実施形態では、Al製)であり、図3に示すように、円筒状の円筒部12aと、当該円筒部12aの一端において半径方向外側に突出するフランジ部12bとを有する。スピンドルケース12は、円筒部12aの外径がアウターケース11の小径部11cの内径よりも小さくなるように形成されるとともにフランジ部12bの外形がアウターケース11の小径部11cの内径よりも大きく、かつ大径部11aの内径よりも小さくなるように形成されている。スピンドルケース12は、円筒部12aがアウターケース11の小径部11c内に挿通され、フランジ部12bの一側が段壁面11bに対向するように配置される。すなわち、スピンドルケース12のフランジ部12bは、スピンドルケース12の円筒部12aがアウターケース11の小径部11c内に収容された状態で、スピンドルケース12がアウターケース11から突出しないように段壁面11bに係止するための係止部の役割をする。スピンドルケース12の円筒部12aにおいては、アウターケース11の大径部11a内の両端に設けられた円環状のガイドブッシュ16、17に挿通されており、当該ガイドブッシュ16、17によりスピンドルケース12の軸歪みが抑えられる。
また、スピンドルケース12の貫通孔15の内周面には、回転軸方向に対して螺旋状のスプライン(ネジ溝)が形成されたスプライン噛込み部18(図4(b)参照)を有する。すなわち、スピンドルケース12の貫通孔15の内周面には、螺旋状のネジ溝が設けられ、スピンドルケース12は、いわゆる「雌ネジ」として形成されている。また、スピンドルケース12のフランジ部12bの外側一端には、電磁クラッチ13と対向して、円環状の接合部19がボルトにより取り付けられている。当該接合部19は、磁力により吸着可能な部材により構成されており、例えばFC(ねずみ鋳鉄)等を用いることが可能である。
なお、本実施形態においては、スピンドルケース12がアウターケース11から突出しないために段壁面11bに係止するための係止部としてフランジ部12bをスピンドルケース12の一端に設ける構成としたが特に限定するものではなく、アウターケース11の小径部11cの長さ方向中途部にてボルトをアウターケース内に突出するように取り付けて、当該ボルトの先端によってスピンドルケース12外周面を押圧することでスピンドルケース12を固定する構成することも可能である。
また、本実施形態においてはスピンドルケース12をAl製、接合部19をFC製としているが、特に限定するものではない。例えば、スピンドルケース12を構成する部材として磁力に吸着される部材を用いた場合は、接合部19及び当該接合部19を固定するボルト等は不要である。
電磁クラッチ13は、その中央に挿通穴を有した円筒状の電磁クラッチであり、当該挿通穴にエクステンションバー7を挿通した状態で、当該電磁クラッチ13の一端に形成されたフランジ部13aをアウターケース11の内壁にボルト締結することにより、アウターケース11の大径部11a内に一体的に取り付けられる。電磁クラッチ13の他端は、スピンドルケース12が有する接合部19と電磁力により接合可能である接合面13bを有する。接合部19が一端に取り付けられたスピンドルケース12のフランジ部12bは、アウターケース11の段壁面11bと電磁クラッチ13の接合面13bとの間に回動自在に配置される。アウターケース11の段壁面11bと電磁クラッチ13の接合面13bとの間隔は、接合部19を有するフランジ部12bの回転軸方向の厚さよりも若干大きくなるように構成されている。電磁クラッチ13は、通電/通電停止することで接合面13bから電磁力の発生または発生の停止をすることが可能であり、この電磁力の発生・発生停止によって、電磁クラッチ13の接合面13bに対して接合部19の吸着固定/切り離しを行うことができる。すなわち、スピンドルケース12は、電磁クラッチの通電(ON)により電磁クラッチ13を介してアウターケース11に固定されて、アウターケース11に対して回動不能となり、電磁クラッチ13の通電停止(OFF)により、スピンドルケース12がアウターケース11から分離されるともにアウターケース11に対して回動自在になる。つまり、電磁クラッチ13は、前記スピンドルケース12とアウターケース11との固定又は分離が選択可能な選択可能手段である。
なお、本実施形態においては、選択可能手段として電磁クラッチ13を用いたが特に限定するものではなく、スピンドルケース12とアウターケース11とを固定又は分離することが選択可能な選択可能手段であればよく、例えば機械的なクラッチ機構を用いることも可能である。
また、本実施形態においては、電磁クラッチ13の通電(ON)でスピンドルケース12とアウターケース11とを固定し、電磁クラッチ13の通電停止(OFF)でスピンドルケース12とアウターケース11とが分離する構成としているが、特に限定するものではない。例えば、電磁クラッチ13の通電(ON)でスピンドルケース12とアウターケース11とが分離し、電磁クラッチ13の通電停止(OFF)でスピンドルケース12とアウターケース11とを固定する構成としてもよい。
スピンドル14は、ソケット8を先端に設け、モータ5によって回動されるものであり、図3に示すように、円柱状のスピンドル前端部14a、当該スピンドル前端部14aより大径のスプライン部14b、及び当該スプライン部14bより小径であるスピンドル後端部14c、から構成される。
スピンドル前端部14aは、その先端にソケット8を連結するための矩形の連結凸部14dが形成されている。連結凸部14dを、ソケット8の基端部側に形成される凹部に嵌合することで、スピンドル14とソケット8とを一体的に回転可能に連結することができる。
また、スプライン部14b及びスピンドル後端部14cには、当該スピンドル後端部14c側からエクステンションバー7を挿通するための挿通孔20が設けられている。挿通孔20は、スプライン部14bの内部に形成され、エクステンションバー7のバー本体部7bを挿通可能な挿通孔20aと、エクステンションバー7のバー本体部7bを挿入して摺動可能な断面四角状の摺動孔20bから構成される。スピンドル14は、挿通孔20にエクステンションバー7のバー本体部7bが挿通されることで、エクステンションバー7のバー本体部7bに対して回転軸方向に摺動可能かつ進退可能に支持される。
また、スプライン部14bの外周面には、回転軸方向に対して螺旋状のスプライン(ネジ溝)が形成されたスプライン噛込み部21(図4(b)参照)を有する。すなわち、スプライン部14bの外周面には、螺旋状のネジ溝が設けられ、スプライン部14bは、いわゆる「雄ネジ」として形成されている。スプライン部14bのスプライン噛込み部21とスピンドルケース12が有するスプライン噛込み部18とは、互いに噛み合ってスプライン係合している。換言すれば、スプライン部14bのスプライン噛込み部21は「雄ネジ」部分になり、スピンドルケース12が有するスプライン噛込み部18が「雌ネジ」部分となって、互いに螺合しており、スピンドルケース12側(雌ネジ側)を固定して、スピンドル14(雄ネジ側)を回動すると、スピンドル14はスピンドルケース12内を回転軸方向に進退可能となるものである。例えば、スピンドルケース12側(雌ネジ側)を固定して、スピンドル14(雄ネジ側)を時計周り方向に回転すると、スピンドル14が下降(前進)し、一方、スピンドル14(雄ネジ側)を反時計周り方向に回転すると、スピンドル14が上昇(後退)する。
制御手段は、締付装置30の各動作(スピンドル14の昇降動作、電磁クラッチのON/OFF、モータ5の駆動/停止等)及び直交ロボット3、4等の各動作の制御を行うものであり、例えば、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。また、制御手段は、締付装置30及び直交ロボット3、4等の動作制御を行うための制御プログラムを有し、当該制御プログラムに予め所定の動作パラメータを設定し実行することで締付装置30及び直交ロボット3、4等に所定の動作を行わせることができる。
こうして、ソケット昇降手段9は、モータ5の駆動/停止と電磁クラッチ13のON/OFFによりスピンドル14の昇降動作を行うことが可能である。すなわち、電磁クラッチ13を効かせた状態(通電した状態)では、スピンドルケース12はアウターケース11に固定されるため、モータ5を駆動して主軸5aを回動させると、スプライン部14bのスプライン噛込み部21とスピンドルケース12が有するスプライン噛込み部18とがスプライン係合していることにより、スピンドル14がスピンドルケース12に対して進退動作が可能となる。本実施形態の如く、ナットランナ2を吊り下げて配置して締付装置30を構成した場合は、スピンドル14先端に設けたソケット8を昇降動作させることが可能となる。
なお、本実施形態においては、ソケット8を昇降動作させる場合を例として挙げたが、特に限定するものではない。つまり、ソケット8を有したスピンドル14を所定方向に沿って進退動作させる構成であればよい。例えば、ソケット8を水平方向に進退動作させる構成でもよく、本実施形態の如く、ソケット8を上下方向に動作させる昇降動作のみに限るものではない。
次に、以上のように構成された締付装置30により、ワークWに対して締結部材を締め付ける工程を図4を用いて説明する。具体例として、自動車用エンジン組立ラインにおいて、締付装置30をライン上方に配置し、当該締付装置30を用いてワークWであるシリンダブロック及びシリンダヘッドの締結を行うためにボルトで締め付けを行う工程について説明する。
なお、図4において、彩色された部分が回転する部分を示している。
自動車用エンジンの組立ラインにおいて、一組のワークWとしてシリンダブロック及びシリンダヘッドがライン上を搬送されてくるまで、締付装置30は、待機状態となり、以下に説明するスピンドル14(ソケット8)の上昇端位置に保持された状態となっている。
図4(a)は、スピンドル14がスピンドル14の上昇端位置に保持された状態(電磁クラッチ13:ON、モータ5:OFFの状態)を示したものである。ここで、「スピンドル14の上昇端位置」とは、エクステンションバー7のバー本体部7bがスピンドル14の挿通孔20内に完全に収容され、スピンドル14が最も上昇した位置をいう。このようにスピンドル14が、スピンドル14の上昇端位置に保持された状態は、電磁クラッチ13をON(通電)、かつモータ5をOFF(駆動停止)の状態の場合であって、電磁クラッチ13が通電時には当該電磁クラッチ13における接合面13bに電磁力が発生し、当該接合面13bにスピンドルケース12に取り付けられた接合部19が引き寄せられるとともに吸着固定されている。これにより、スピンドルケース12は、電磁クラッチ13を介してアウターケース11に一体的に固定されている。
ワークWが締付装置30下方の所定位置に搬送されてくると、制御手段は、締付装置30を駆動制御してワークWに対して締結部材の締め付け動作を開始する。以下に、制御手段が、スピンドル14(ソケット8)をワークW上の最初のボルト締結位置へと下降する制御方法について説明する。
図4(b)は、上述したスピンドル14の上昇端位置と後述する下降端位置の間の中間位置でスピンドル14が下降している状態(電磁クラッチ13:ON、モータ5:ONの状態)を示したものである。このようにスピンドル14が中間位置において下降している状態は、電磁クラッチ13をON(通電)、かつモータ5をON(駆動)した場合であって、電磁クラッチ13が通電時には当該電磁クラッチ13における接合面13bに電磁力が発生し、当該接合面13bにスピンドルケース12に取り付けられた接合部19が引き寄せられるとともに吸着固定されている。これにより、スピンドルケース12は、電磁クラッチ13を介してアウターケース11に一体的に固定されている。このようにスピンドルケース12がアウターケース11に一体的に固定されている状態で、さらに、モータ5が駆動されるとモータ5の時計回りの回転により、スピンドルケース12にスプライン係合しているスピンドル14はスプラインに沿って、回転しながらエクステンションバー7に対して摺動動作し、回転するスピンドル14はスピンドルケース12内を回転軸方向に沿って移動する。つまり、スピンドル14はワークW上の最初のボルト締結位置へと下降していく。以下に、制御手段が、スピンドル14(ソケット8)をワークW上の最初のボルト締結位置へと下降した後、ワークWに対して締結部材を締め付ける制御方法について説明する。
図4(c)は、スピンドル14がスピンドル14の下降端位置に保持された状態(電磁クラッチ13:OFF)を示したものである。ここで、「スピンドル14の下降端位置」とは、エクステンションバー7のバー本体部7bに対してスピンドル14が摺動し、エクステンションバー7のバー本体部7b先端部分がスピンドル14の挿通孔20(摺動孔20b)内に位置する、スピンドル14が最も下降した位置をいう。このようにスピンドル14がスピンドル14の下降端位置に保持された状態は、中間位置からさらにスピンドル14が下降していき、スピンドル14の下降端位置に達した場合であり、このスピンドル14の下降端位置において、締結部材(本実施形態では、ボルト又はナット)の締め付けが行われる。すなわち、スピンドル14が下降端位置に達すると、スピンドル14先端に取り付けたソケット8の係合凹部8aにボルトの頭が係合された状態になるとともに、制御手段が電磁クラッチ13をOFF(通電停止)して、当該電磁クラッチ13における接合面13bで発生していた電磁力の発生を停止する。これにより、電磁クラッチ13に接合部19を介して吸着固定されていたスピンドルケース12が電磁クラッチ13から切り離される。これにより、スピンドルケース12がアウターケース11とは独立して回動可能となるため、スピンドル14のスプライン噛込み部21とスピンドルケース12のスプライン噛込み部18がスプライン係合していることで、スピンドルケース12がスピンドル14とともに回転する、すなわち、スピンドルケース12とスピンドル14とがアウターケース11内において回転軸周りに共回りすることが可能となる。そうして、モータ5の回転がスピンドル14及び当該スピンドル14に取り付けられたソケット8に伝達され、ソケット8に係合したボルトをスピンドル14の下降端位置にて締め付けすることができる。
そうして、最初のボルトの締め付けが完了後、制御手段は、再び電磁クラッチ13をON(通電)することでスピンドルケース12をアウターケース11に一体的に固定し、モータ5を反時計周りに回転することで、ソケット8並びにスピンドル14を上昇させ、スピンドル14の上昇端位置に戻る。ワークWの最初のボルト締結位置におけるボルトの締め付けが完了したら、制御手段は、直交ロボット3及び直交ロボット4を操作して、予め設定されている次のボルト締結位置まで、ナットランナ2を移動し、上記と同様に次のボルトの締め付けを続けて行う。こうして、本実施形態に係る締付装置30では、ひとつのナットランナ2を直交ロボット3及び直交ロボット4により移動しながら複数箇所の締結部材の締め付けを行うことができる。
以上の如く、本実施形態の締付装置30は、電磁クラッチ13の通電によりアウターケース11にスピンドルケース12を固定し、かつモータ5の駆動により前記スピンドル14を回動した場合、スピンドルケース12に対してスピンドル14が進退可能である。また、電磁クラッチ13の通電停止によりスピンドルケース12をアウターケース11から分離し、かつモータ5の駆動によりスピンドル14を回動した場合、スピンドルケース12がスピンドル14と共回りし、回転方向にのみ動力を伝えることができるため、ソケット8に係合される締結部材を締め付けることが可能である。
また、従来、ワークWに対して複数の締結部材の締め付けを行うために複数のナットランナ(いわゆる多軸ナットランナ)ユニットを備えた締付装置があるが、このような従来の締付装置では、多軸ナットランナユニット全体を昇降させて締結部材の締め付けを行っていた。多軸ナットランナユニットは、重量が大きく、この重量物を昇降させるための高能力の昇降アクチュエータ(エアシリンダー等)を必要し、装置が大掛かりなものとなったいる。それに対して、本実施形態の締付装置30では、直交二軸ロボット(直交ロボット3及び直交ロボット4)に1つのナットランナ2を取り付け、制御手段が有する制御プログラムにより複数の締結部材の締結箇所を有するワークWに対して1箇所ずつ順に締め付けを行って、1つのソケット8を有するスピンドル14のみを昇降させるものである。そのため、本実施形態の締付装置30では、従来の多軸ナットランナユニットを備えた締付装置に比べて汎用性が高く、軽量コンパクト化が図れる。また、本実施形態の締付装置30によれば、ソケット8を有するスピンドル14のみを昇降させるので、ワークWと干渉しない範囲で最小限の上昇・下降の移動距離で複数箇所の締付作業を行うことができるため、コンパクトな装置構成であり、効率的な締め付けができる。つまり、本実施形態の締付装置30は、従来の多軸ナットランナユニットを備えた締付装置に比べて、より動作自由度の高いフレキシブルな締付装置である。また、本実施形態の締付装置30は、従来の締付装置のように、エアーシリンダーが不要であるため、エアーシリンダーに伴うエアー供給機器等も不要になり、省スペース化、装置の簡素化・コンパクト化が可能である。また、本実施形態の締付装置30は、スピンドル14の昇降動作によりソケット8をワークW上の所望の締結部材の締結箇所に案内することができるため、狭い箇所や孔の内部等の締結箇所においてもソケット8を案内して、締結することが可能である。また、締付装置30が備えるソケット昇降手段9は、従来のエアシリンダーを用いたソケット昇降手段とは異なり、上述した中間位置での停止も容易に可能であるため、ソケット昇降動作の動作範囲が拡大し、さらに効率的に締め付け作業を行うことが可能である。
以上のように、本実施形態の締付装置30によれば、駆動部の回転を利用して、スピンドルの進退動作が行えるため、装置をコンパクトにできる。
なお、本実施形態の締付装置30において、ナットランナ位置可変手段1の上部に、締付装置30を所定の位置に移動可能にするための移動装置を設ける構成とすることできる。このような移動装置の例としては、締付装置30を、自動車組立ライン上にて搬送されるワークWに沿って移動させる装置とすればよく、締付装置30にレール・滑車式の移動機構を設ける構成とすればよい。
5 モータ
7 エクステンションバー
8 ソケット
11 アウターケース
12 スピンドルケース
13 電磁クラッチ
14 スピンドル

Claims (2)

  1. 締結部材に対して、当該締結部材を締め付けるためのトルクを与える駆動部と、
    前記締結部材に係合可能なソケットと、
    前記ソケットを先端に設け、前記駆動部によって回動するスピンドルと、
    前記駆動部に連結され、前記スピンドルに対して、前記駆動部からの回動を伝えつつ回転軸方向に進退可能に接続されるエクステンションバーと、
    を備えた、前記締結部材を締め付けるための締付装置であって、
    前記スピンドルが収容可能であるとともに、当該スピンドルと回転軸方向に螺旋条にスプライン係合するスピンドルケースと、
    前記スピンドルケースを収容するアウターケースと、
    前記スピンドルケースと前記アウターケースとを固定又は分離することが選択可能な選択可能手段と、
    を有することを特徴とする締付装置。
  2. 前記選択可能手段は、前記アウターケース内に一体的に取り付けられる電磁クラッチであり、
    当該電磁クラッチの通電により前記アウターケースに前記スピンドルケースを固定し、かつ前記駆動部の駆動により前記スピンドルを回動した場合、前記スピンドルケースに対して前記スピンドルが進退可能であり、
    前記電磁クラッチの通電停止により前記スピンドルケースを前記アウターケースから分離し、かつ前記駆動部の駆動により前記スピンドルを回動した場合、前記スピンドルケースが前記スピンドルと共回りし、前記ソケットに係合される前記締結部材を締め付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の締付装置。
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