JP2013036359A - 内燃機関制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関に関する制御のために用いる内燃機関の回転数と吸気圧とを単一のセンサによって検出できるようにした内燃機関制御システムを提供する。
【解決手段】内燃機関1の吸気路2の吸気圧を検出する吸気圧センサ14を備える内燃機関制御システムにおいて、吸気圧センサ14による吸気圧の検出値の変動周期に基づいて内燃機関1の回転数を推定する回転数推定手段を含み、吸気圧センサ14による吸気圧の検出値と、回転数推定手段により推定した回転数とを用いて制御処理を実行する制御処理ユニット13を備える。制御処理ユニット13は、排気路5の触媒装置6の上流側に2次空気を供給する2次供給通路8を開閉する電動バルブ11の開閉を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に係わる制御を行う内燃機関制御システムに関する。
吸気系及び排気系を含めた内燃機関システムにおいて、内燃機関の負荷や回転数に応じて内燃機関の運転や、吸気、排気等に関する種々の制御を行うことが従来より一般に行なわれている。
例えば特許文献1には、排ガス浄化のための触媒の直前の排気系に2次空気を導入することで、触媒に進入する排気の空燃比をリッチ側とリーン側とに繰り返し変動させるようにしたシステムにおいて、排気の空燃比の変動態様を内燃機関の回転数や負荷に応じて変化させることが記載されている。
特開昭58−8220号公報
特許文献1に記載されている如き制御等、内燃機関システムの各種の制御を内燃機関の回転数や負荷に応じて行なう場合、これらの回転数及び負荷を検出する必要がある。この場合、内燃機関の回転数は、内燃機関のクランク角(クランク軸の回転角度)に応じた信号を出力するクランク角センサを用いて検出することが従来より一般に行なわれている。
また、内燃機関の負荷は、内燃機関の回転数と、内燃機関の吸気路の吸気圧とに密接な相関性を有することから、上記クランク角センサを用いて検出した内燃機関の回転数と、内燃機関の吸気路に備えた吸気圧センサにより検出した吸気圧とを基に、内燃機関の負荷を検出することが従来より一般に行なわれている。
このように、従来の内燃機関システムでは、内燃機関の負荷を検出するために、上記の如く内燃機関の回転数と吸気圧とをそれぞれ各別のセンサを用いて検出することが一般に行なわれている。
しかるに、このように内燃機関の回転数と吸気圧とを各別のセンサを用いて検出するものでは、内燃機関システムに備えられるセンサが多くなりやすい。このため、特に、低コスト化あるいは小型化の要求が高い自動二輪車等に備えられる内燃機関システムにおいて、システム構成の小型化やコスト低減の妨げとなるという不都合があった。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、内燃機関に関する制御のために用いる内燃機関の回転数と吸気圧とを単一のセンサによって検出できるようにした内燃機関制御システムを提供することを目的とする。
本発明の内燃機関制御システムは、内燃機関の吸気路の吸気圧を検出する吸気圧センサを備える内燃機関制御システムにおいて、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値の変動周期に基づいて前記内燃機関の回転数を推定する回転数推定手段を含み、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、該回転数推定手段により推定した回転数とを用いて制御処理を実行する制御処理ユニットを備えることを特徴とする(第1発明)。
ここで、内燃機関の吸気路の吸気圧は、内燃機関の燃焼サイクルに同期した波形パターンで変化する。従って、該吸気圧の変動周期と内燃機関の回転数との間には比例関係が成立する。そこで、第1発明では、前記制御処理ユニットに、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値の変動周期に基づいて前記内燃機関の回転数の推定する回転数推定手段を備えるようにした。
これにより、単一の吸気圧センサの出力から、前記吸気路の吸気圧を検出することができるだけでなく、内燃機関の回転数をも推定できることとなる。そして、制御処理ユニットは、これらの吸気圧の検出値と内燃機関の回転数の推定値とを用いて内燃機関に関する所要の制御処理を実行する。
よって、第1発明の内燃機関制御システムによれば、内燃機関に関する制御のために用いる内燃機関の回転数と吸気圧とを単一のセンサによって検出できる。そして、内燃機関の回転数と吸気圧とを単一のセンサによって検出できることから、内燃機関制御システムの所定の装置において、センサの個数を少なくすることができ、ひいては、内燃機関制御システムのコスト低減や小型化を図ることができる。
かかる第1発明では、より具体的な形態の一例として、前記内燃機関の排気路に設けられた触媒装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給通路と、該2次空気供給通路を開閉する電動バルブとを備える。そして、前記制御処理ユニットは、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定した前記内燃機関の回転数とに応じて前記電動バルブの開閉のデューティ比を変化させるように該電動バルブの開閉制御を行う電動バルブ制御手段を含むことが好ましい(第2発明)。
なお、前記2次空気供給通路には、触媒装置の上流側の排気圧に応じて開閉するリードバルブが備えられていてもよい。
この第2発明によれば、前記電動バルブ制御手段による前記電動バルブの開閉制御によって、前記触媒装置に内燃機関の排気と共に2次空気を適宜供給することができるため、所謂、排気空燃比を調整できる。このため、内燃機関の回転数と吸気圧とを単一のセンサ(吸気圧センサ)によって検出し得る簡易なシステム構成で、触媒装置による排気の良好な浄化性能を安定に確保することができる。
この場合、特に、前記制御処理ユニットは、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定した前記内燃機関の回転数とに応じて前記電動バルブの開閉のデューティ比(電動バルブのデューティ制御における1周期に対する閉弁時間又は開弁時間の比率)を変化させることで、触媒装置に供給する2次空気の供給量を、該内燃機関の吸気圧及び回転数の対応する内燃機関の負荷に適した量に制御することができる。ひいては、触媒装置の適切な浄化性能を、内燃機関の幅広い負荷状態で実現することが可能となる。
上記第2発明では、前記電動バルブは閉弁状態に付勢された常開型の電磁弁であり、前記電動バルブ制御手段は、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定された前記内燃機関の回転数とにより示される前記内燃機関の負荷が高負荷である場合に、該負荷が高負荷よりも低い負荷である場合よりも、前記電磁弁の閉弁時間を短くするか、又は該閉弁時間をゼロにするように、前記デューティ比を変化させることが好ましい(第3発明)。
すなわち、内燃機関の高負荷時には、触媒装置の上流側への2次空気の供給量が不足する現象があることから、上記の如くデューティ比を変化させることが好ましい。
この第3発明によれば、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定された前記内燃機関の回転数とにより示される前記内燃機関の負荷が高負荷である場合に、該負荷が高負荷よりも低い負荷である場合よりも、前記電動バルブ(電磁弁)の開弁時間が相対的に長くなる。このため、内燃機関の回転数が高速となるような高負荷時において、触媒装置の適切な浄化性能を確保するために十分な量の2次空気を触媒の装置の上流側に供給することができる。
また、内燃機関の負荷が高負荷である場合には、内燃機関やその排気が高温になって、その熱の影響を前記電動バルブが受けやすくなるものの、該電動バルブが常開型の電磁弁であるため、その開弁状態では該電動バルブに電流が通電されない。このため、内燃機関の高負荷運転時には、電動バルブの通電による発熱が防止され、該電動バルブの温度が過剰に昇温するのを防止することができる。その結果、電動バルブ(電磁弁)の動作性能や耐久性が過熱によって低下するようなことを防止することができ、触媒装置の上流側への2次空気の供給量を適切な量に制御することを安定に行なうことができる。ひいては、触媒装置の適切な浄化性能を安定に保つことができる。
上記第3発明では、前記電動バルブと吸気圧センサとは、前記2次空気を前記触媒装置の上流側に供給するための2次空気供給装置の本体として前記2次空気供給通路に介装された構造体に一体に組み付けられていることが好ましい(第4発明)。
この第4発明によれば、上記した如く、前記電動バルブ(電磁弁)の温度が過剰に昇温するのを防止することができ、又は、内燃機関やその排気が高温のときに前記電動バルブ(電磁弁)から発生する熱を抑えられるので、前記吸気圧センサが前記構造体に電動バルブと一体に組み付けられていても、該吸気圧センサが電動バルブの発熱の影響を受けるのを防止することができる。このため、前記構造体をコンパクトに構成することができる。
また、吸気圧センサが、電動バルブの発熱によって過熱状態となるようなことを防止できるので、該吸気圧センサの性能低下や耐久性の低下を防止することができる。ひいては、触媒装置の上流側への2次空気の供給量を適切な量に制御することの安定性を高めることができ、触媒装置の浄化性能の安定性を高めることができる。
本発明の一実施形態における内燃機関制御システムの構成を示す図。 実施形態における吸気路の吸気圧の時間的変化を示すグラフ。 図3(a)は内燃機関の負荷と電磁弁のデューティ制御のデューティ比との関係を示すグラフ、図3(b)は、内燃機関の負荷と触媒装置の上流側への2次空気の供給量との関係を示すグラフ。 触媒装置に進入する排気の空燃比と浄化率との関係を例示するグラフ。
以下に本発明に一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の内燃機関制御システムは、内燃機関1の排気路5に設けられた触媒装置6に2次空気を供給するめの2次空気供給装置7を備えたシステムである。
内燃機関1は、本実施形態の例では、例えば自動二輪車等に搭載される単気筒の4サイクルエンジンである。
この内燃機関1の吸気路2には、気化器3と、その上流側のエアクリーナボックス4とが設けられている。これにより、内燃機関1の運転時に吸気路2に流入する空気(大気)は、エアクリーナボックス4でゴミ等が除去された後、気化器3で燃料と混合され、その混合気が内燃機関1の燃焼室に供給されるようになっている。
また、内燃機関1の排気路5には、3元触媒等により構成された触媒装置6が設けられており、内燃機関1の燃焼室から排気路5に流出する排気が触媒装置6により浄化されるようになっている。
触媒装置6に2次空気を供給する2次空気供給装置7は、エアクリーナボックス4と、排気路5のうちの触媒装置6の上流側部分との間を接続する2次空気供給通路としてのバイパス通路8と、このバイパス路8の途中箇所に介装された構造体(組物部品)としての装置本体9とを備え、吸気路2に流入する空気の一部を、触媒装置6に対する2次空気として、エアクリーナボックス4からバイパス通路8(装置本体9の内部を通る通路8aを含む)を介して触媒装置6の上流側の排気路5部分に供給するように構成されている。
この場合、2次空気供給装置7は、触媒装置6の上流側に供給する2次空気の供給量を制御し、ひいては触媒装置6に流入する排気の空燃比(排気中の酸素濃度により示される空燃比)を制御するために、次のような構成を装置本体9に備えている。
すなわち、2次空気供給装置7の装置本体9は、その筐体10の内部に、バイパス通路8(8a)を開閉する電動バルブ11及びリードバルブ12と、電動バルブ11の開閉制御を行う制御処理ユニット13(以下、ECU13という)と、吸気路2の吸気圧を検出する圧力センサである吸気圧センサ14とを一体的に組み込んで構成されている。
電動バルブ11は、本実施形態では、図示しないバネによって開弁状態に付勢された常開型の電磁弁であり、そのコイル11a(ソレノイド)に通電することによって閉弁し、また、コイル11aの通電を遮断することで開弁するようになっている。
リードバルブ12は、内燃機関1の燃焼室から排気路5に流入する排気がバイパス通路8の下流側から上流側(内燃機関1の吸気系側)に逆流するのを防止するための弁であり、電動バルブ11(以下、電磁弁11という)の下流側に設けられている。
このリードバルブ12は、触媒装置6に進入する排気の圧力に応じて開閉する圧力応動弁であり、その排気の脈動に同期して開閉する。より詳しくは、リードバルブ12は、触媒装置6の上流側の排気の圧力が、吸気路2に流入する空気の圧力(大気圧)よりも高い状態で閉弁し、触媒装置6の上流側の排気の圧力が、吸気路2に導入される空気の圧力(大気圧)よりも低い状態で開弁するようになっている。
吸気圧センサ14は、吸気路2のうちの気化器3の下流側の部分に菅路15を介して接続されており、この菅路15を介して吸気路2の吸気圧が付与されることで、この吸気圧の検出信号を出力する。なお、吸気圧センサ14で検出する吸気圧は、より詳しくは、吸気路2に備えられているスロットル弁(図示省略)と上記気化器3との下流側における吸気路2内の圧力である。
ECU13は、マイクロコンピュータを含む電子回路ユニットであり、吸気圧センサ14から出力される検出信号が入力されるようになっている。そして、このECU13は、入力された吸気圧センサ14の検出信号によって、吸気路2の吸気圧の検出値を逐次認識しつつ、あらかじめ実装されたプログラムによる制御処理を実行する。
この場合、この制御処理により実現される機能として、ECU13は、吸気圧の検出値の時系列データにより示される該吸気圧の時間的な変化に基づいて内燃機関1の回転数を推定する回転数推定手段としての機能を有している。
さらに、ECU13は、電磁弁11を開閉制御する電動バルブ制御手段としての機能も有しており、電磁弁11のコイル11aに所謂デューティ制御によって通電することで、該電磁弁11の開閉を行なわせる。この場合、ECU13の電動バルブ制御手段は、電磁弁11の開閉のデューティ比を、内燃機関1の吸気圧の検出値と回転数の推定値とに応じて可変的に設定することで、触媒装置6に進入する排気の空燃比が、触媒装置6による排気の浄化が良好に行なわれるような空燃比に保たれるように触媒装置6の上流側に供給する2次空気の供給量を制御する。
また、2次空気供給装置7の装置本体9には、ECU13や電磁弁11の動作用の電源電力が、バッテリ16から運転スイッチ17を介して供給されるようになっている。
次に、ECU13の制御処理を中心に、本実施形態の内燃機関制御システムの作動を以下に説明する。
ECU13は、内燃機関1の運転中において、所定の制御処理周期で、回転数推定手段及び電動バルブ制御手段としての処理を実行する。
上記回転数推定手段による内燃機関1の回転数の推定処理は次のように実行される。まず、その推定手法の概要を説明すると、内燃機関1の吸気路2の吸気圧は、内燃機関1の燃焼サイクルに同期して周期的に変動する。例えば、本実施形態における内燃機関1の一例としての単気筒の4サイクルエンジンにおいては、図2の実線aのグラフで示すように、その気筒の燃焼サイクルと同じ周期で、すなわち内燃機関1のクランク軸の2回転を1周期として、吸気圧が周期的に変動する。
具体的には、内燃機関1の各燃焼サイクルのうちの吸気行程の終了時近辺(圧縮行程の開始時近辺)で吸気圧が最小となり、排気行程の終了時近辺(吸気行程の開始時近辺)で吸気圧が最大となる。
従って、吸気圧センサ14の検出信号が示す吸気圧の検出値の変動の1周期の時間間隔、例えば吸気圧の検出値が最小となる時間間隔、又は、該検出値が最大となる時間間隔を計測すれば、その時間間隔(=内燃機関1のクランク軸の2回転分の時間間隔)の計測値から、内燃機関1の回転数(回転速度)を推定することができることとなる。
そこで、本実施形態では、ECU13の回転数推定手段は、吸気圧センサ14の検出信号が示す吸気圧の検出値を逐次観測しつつ、その検出値が最小値及び最大値の一方、例えば最小値となるタイミングを特定し、その検出値が最小値となる時間間隔(図2のTp)を、吸気圧の変動の1周期の時間間隔として計測する。
そして、この時間間隔Tpが、内燃機関1のクランク軸の2回転分の時間間隔であるので、ECU13は、例えば次式(1)により内燃機関1の回転数([rpm]の単位での回転数)の推定値を算出する。

回転数[rpm]=120/Tp[秒] ……(1)

この場合、かかる回転数の推定処理において、吸気圧の検出値の最小値のタイミングは、例えば次のように特定される。すなわち、吸気圧の検出値があらかじめ定められた所定値Pth(最大値と最小値との間の値となるように定められた所定値)以下になると、それをトリガーとして、ECU13は、吸気圧の検出値の変化(減少中か増加中か)を所定の制御処理周期で逐次観測する。そして、ECU13は、吸気圧の検出値が減少状態から増加状態に転じた場合に、その変転タイミングを、吸気圧の検出値が最小値となったタイミングとして特定する。
なお、本実施形態では、吸気圧の変動の1周期を、吸気圧の検出値が最小値となる時間間隔によって計測したが、吸気圧の検出値が最大値となる時間間隔によって計測してもよい。
補足すると、本実施形態では、内燃機関1が単気筒エンジンであるので、吸気圧の変動の1周期が、内燃機関1のクランク軸の2回転分の時間に相当するが、内燃機関1が複数気筒のエンジンである場合には、吸気圧の変動の1周期あたりの内燃機関1のクランク軸の回転数は、その気筒数に応じて定まる回転数となる。従って、内燃機関1が複数気筒のエンジンであっても、吸気圧の検出値の1周期分の時間間隔から、上記と同様の手法で内燃機関1の回転数を推定することができる。
ECU13は、上記のように内燃機関1の回転数を推定しつつ、前記電動バルブ制御手段としての処理を実行することで、内燃機関1の負荷に応じて2次空気供給装置7の電磁弁11の開弁のデューティ制御を行う。
具体的には、ECU13の電動バルブ制御手段は、吸気圧センサ14の検出信号により示される吸気圧の検出値と、回転数推定手段により推定した内燃機関1の回転数の推定値とに応じて電磁弁11の開閉のデューティ比を決定する。この場合、ECU13は、吸気圧の検出値と回転数の推定値とから、あらかじめ記憶保持されたマップに基づいて、デューティ比を決定する。
このマップでは、基本的には、図3(a)の実線bのグラフで示す如く、吸気圧の検出値と回転数の推定値とにより示される内燃機関1の負荷が高負荷(吸気圧又は回転数が比較的高い負荷状態)である場合に、該高負荷よりも低い負荷(低負荷もしくは中負荷)である場合よりも、電磁弁11の開弁時間(デューティ制御の1周期当たりの開弁時間)を長くするように、吸気圧及び回転数と、デューティ比との間の関係が設定されている。
なお、本実施形態の説明でのデューティ比は、図3(a)に併記した如く、電磁弁11の開閉のデューティ制御の1周期T(これは本実施形態では一定値である)に対する電磁弁11の閉弁時間Tcの比率(Tc/T)である。
さらに詳細には、本実施形態では、吸気圧の検出値と回転数の推定値とにより示される内燃機関1の負荷状態を高負荷領域、アイドル領域、制御領域、及び低負荷領域の4種類に大別しており、それぞれの領域に応じて電磁弁11の開弁のデューティ比を決定するようにしている。
この場合、高負荷領域は、吸気路2の吸気圧が所定の第1閾値P1以上となるか、又は、内燃機関1の回転数が所定の第1閾値NE1以上で且つ吸気圧が所定の第2閾値P2(<P1)以上となる負荷状態とされている。
吸気圧に関する上記第1閾値P1は例えば60kPaに設定され、上記第2閾値P2は、内燃機関1のアイドリング運転時の吸気圧以下の値、例えば25kPaに設定されている。また、回転数に関する上記第1閾値NE1は、例えば5000rpmに設定されている。
また、アイドル領域は、内燃機関1の回転数が所定の第2閾値NE2(<NE1)以下で、且つ吸気圧が上記第1閾値P1と第2閾値P2との間の範囲の値となる負荷状態とされている。回転数に関する上記第2閾値NE2は、内燃機関1のアイドル運転時の回転数にほぼ一致する値、例えば1600rpmに設定されている。
また、制御領域は、内燃機関1の回転数が上記第1閾値NE1と第2閾値NE2との間の範囲の値となり、且つ、吸気圧が上記第1閾値P1と第2閾値P2との間の範囲の値となる負荷状態とされている。この制御領域は、内燃機関1の中負荷程度の負荷領域である。
また、低負荷領域は、吸気圧が、上記第2閾値P2以下となる負荷状態とされている。この負荷状態は、内燃機関1の減速時の状態に相当する。
そして、本実施形態では、吸気圧の検出値と回転数の推定値とにより示される内燃機関1の負荷状態が前記高負荷領域の状態である場合には、前記マップにより決定されるデューティ比は例えば0%とされている。
従って、内燃機関1の負荷状態が高負荷領域の状態である場合には、ECU13の電動バルブ制御手段は、電磁弁11を開弁状態に保持するように(ひいては触媒装置6の上流側への2次空気の供給量が最大量になるように)、デューティ比を決定することとなる。
また、内燃機関1の負荷状態が前記制御領域の状態である場合には、前記マップにより決定されるデューティ比は例えば50%とされている。従って、内燃機関1の負荷状態が制御領域の状態である場合には、ECU13の電動バルブ制御手段は、電磁弁11の開閉を周期的に行なわせるようにデューティ比を決定することとなる。この状況では、電磁弁11の開弁時間(デューティ制御の1周期当たりの開弁時間)は、内燃機関1の負荷状態が高負荷領域の状態である場合よりも短いものとなる。
また、内燃機関1の負荷状態が前記低負荷領域の状態である場合には、前記マップにより決定されるデューティ比は例えば100%とされている。従って、内燃機関1の負荷状態が低負荷領域の状態である場合には、ECU13の電動バルブ制御手段は、電磁弁11を閉弁状態に保持するように(ひいては触媒装置6の上流側への2次空気の供給を遮断するように)、デューティ比を決定することとなる。
また、内燃機関1の負荷状態がアイドル領域である場合(内燃機関1のアイドリング運転時の場合)には、前記マップにより決定されるデューティ比は例えば0%とされている。従って、内燃機関1の負荷状態がアイドル領域の状態である場合には、ECU13の電動バルブ制御手段は、電磁弁11を開弁状態に保持するように、デューティ比を決定することとなる。
なお、内燃機関1の負荷状態が、ある領域から他の領域に移行する際には、ECU13の電動バルブ制御手段は、移行前の領域に対応するデューティ比の値から、移行後の領域に対応するデューティ比の値に向ってデューティ比を徐々に変化させるように決定する。
以上のようにして、吸気圧の検出値と回転数の推定値とにより示される内燃機関1の負荷状態に応じて電磁弁11の開閉のデューティ比を決定した後、ECU13の電動バルブ制御手段は、決定したデューティ比に従って、電磁弁11のコイル11aの通電制御を行う。これにより、電磁弁11の開閉がデューティ比に従って制御され、ひいては、バイパス通路8によって触媒装置6の上流側に供給される2次空気の供給量が制御されることとなる。
この場合、リードバルブ12の開弁状態において、電磁弁11の開弁時に、触媒装置6の上流側にバイパス通路6から2次空気が供給され、電磁弁11の閉弁時には、その2次空気の供給が遮断される。
以上説明したECU13の制御処理による電磁弁11の開閉制御(デューティ制御)によって、触媒装置6に進入する排気の空燃比が、電磁弁11の開閉に応じて変化する。すなわち、図4を参照して、電磁弁11の閉弁状態では、排気の空燃比が破線f1で示す如きリッチ側の空燃比になり、電磁弁11の開弁状態では、排気の空燃比が、破線f2で示す如きリーン側の空燃比になる。
従って、例えば内燃機関1の負荷状態が前記制御領域の状態である場合に、前記の如く決定したデューティ比で電磁弁11の開閉を行なわせることで、触媒装置6に進入する排気の平均的な空燃比が、理論空燃比近傍の空燃比、すなわち、触媒装置6による排気中のNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)及びHC(炭化水素)の浄化率がほぼ最適となるような空燃比に制御される。
なお、図4中の実線e1,e2,e3のグラフは、それぞれ、触媒装置6によるNOxの浄化率、COの浄化率、HCの浄化率と、触媒装置6に進入する排気の空燃比との関係を例示するグラフである。
ここで、内燃機関1の負荷状態が高負荷領域の状態である場合に、仮に、前記制御領域におけるデューティ比(本実施形態では50%)と同じデューティ比で電磁弁11の開閉制御を行うと、図3(b)に破線dで示したように、触媒装置6への2次空気の供給量が、制御領域での2次空気の供給量に比して少なくなりやすい。
これは、内燃機関1の高負荷運転時には、通常、内燃機関1の回転数が高いために、電磁弁11の開弁時における触媒装置6への2次空気の供給が行われ難くなるからである。
そこで、本実施形態では、内燃機関1の負荷状態が前記高負荷領域の状態である場合に、電磁弁11の開閉のデューティ比を、高負荷領域領域よりも相対的に負荷の小さい制御領域でのデューティ比よりも小さな値(本実施形態では0%)に決定するようにした。
このため、内燃機関1の負荷が、制御領域の負荷から高負荷領域の負荷に増加した場合に、図3(a)の実線bのグラフで示した如く、デューティ比が、制御領域でのデューティ比から減少することとなる。
これにより、内燃機関1の負荷状態が前記高負荷領域の状態である場合に、電磁弁11の開弁時間が、制御領域での開弁時間よりも長い時間に制御されることとなる。その結果、図3(b)の実線cのグラフで示す如く、内燃機関1の負荷状態が高負荷領域の状態であっても、制御領域の場合と同様に、触媒装置6による排気の浄化を良好に行なう上で適切な量の2次空気を触媒装置6の上流側に供給することができる。ひいては、内燃機関1の高負荷運転時にも、触媒装置6による排気の浄化を良好に行なうことができる。
また、内燃機関1の負荷が前記高負荷領域の負荷である場合には、一般に内燃機関1の発熱量が多くなって、内燃機関1の機関温度や排気温度が高くなる。ひいては、その輻射熱等によって2次空気供給装置7の装置本体9の各部品(電磁弁11や吸気圧センサ14)の温度が上昇しやすい。このため、内燃機関1の負荷状態が前記高負荷領域の状態である場合に、仮に、電磁弁11の開弁のためにコイル11aに通電を行なうようにすると、その通電に伴う発熱によって、装置本体9の電磁弁11やその周辺の吸気センサ14等の部品の温度が過剰に高温になる恐れがある。
しかるに、本実施形態における電磁弁11は、常開型の電磁弁であるので、内燃機関1の負荷状態が前記高負荷領域の状態である場合に、電磁弁11を開弁状態にするために、コイル11aに通電する必要が無い。このため、内燃機関1の高負荷運転時に、電磁弁11が発熱することがなく、該電磁弁11やその周辺の吸気圧センサ14等の部品が過剰に高温になるのを防止することができる。ひいては、電磁弁11、吸気圧センサ14の動作不良や、耐久性の低下等が発生するのを防止することができる。
また、本実施形態では、内燃機関1のアイドリング運転時、すなわち、内燃機関1の負荷状態が前記アイドル領域の状態である場合には、電磁弁11の開閉のデューティ比を0%として、電磁弁11を開弁状態に保持するようにした。
ここで、内燃機関1のアイドリング運転時には、一般に、燃料温度が比較的低い等の理由によって内燃機関1の排気中のNOxの含有量が十分に微小なものとなる。そのため、内燃機関1のアイドリング運転時には、触媒装置6によるCOやHCの浄化率を高めることを重視することが望ましい。
そこで、本願実施形態では、内燃機関1のアイドリング運転時に、電磁弁11を開弁状態に保持して、触媒装置6の上流側に積極的に2次空気を供給することによって、触媒装置6に進入する排気の空燃比をリーン側に偏らせるようにした。これにより、図4の実線e2,e3のグラフを参照して判るように、内燃機関1のアイドリング運転時における排気中のCOやHCの浄化率を最大限に高めることができる。
そして、このアイドリング運転時には、常開型の電磁弁11を開弁状態に保持するために、コイル11aに通電する必要が無いので、該電磁弁11による電力消費が発生しない。このため、内燃機関1のアイドリング運転時におけるバッテリ16の電力消費を抑制し、所謂バッテリ上がりが生じるのを防止することができる。
また、内燃機関1の低負荷領域では、空燃比がリーンとなり、アフターバーンが発生し易くなる。これは、空燃比がリーンとなる結果、燃焼が不安定になり、排気行程での爆発が発生した場合に、2次空気を触媒装置6の上流側に供給すると、アフターバーンを助長するからである。そこで、本実施形態では、内燃機関1の負荷状態が低負荷領域である場合に、電磁弁11の開閉のデューティ比を100%にして、触媒装置6の上流側への2次空気の供給を停止するようにした。これにより、アフターバーンの発生を防止することができる。
以上の如く、本実施形態の内燃機関制御システムによれば、内燃機関1の幅広い運転領域において、触媒装置6による排気の浄化が良好に行なわれるように、2次空気供給装置7によって、触媒装置6の上流側に適量の2次空気を供給することができる。
また、内燃機関1の高負荷運転時やアイドリング運転時における電磁弁11の電力消費が生じないことによって、装置本体7の電磁弁11や吸気圧センサ14等の各部品の温度が過剰に高温になるのを防止することできる。そのため、電磁弁11や吸気圧センサ14の熱による動作不良が生じたり、それらの耐久性が低下するのを防止することができる。ひいては、ECU13による電磁弁11の開弁制御を安定に行うことができ、その結果、触媒装置6による良好な浄化性能を安定に確保することができる。
また、本実施形態では、吸気圧センサ14の検出信号から、吸気路2の吸気圧を検出するだけでなく、内燃機関1の回転数も推定するようにしているため、該吸気圧と回転数とに依存する内燃機関1の負荷に応じて、触媒装置2の上流側に適量の2次空気を供給する制御を、単一の吸気圧センサ14を用いて行なうことができる。このため、2次空気供給装置7を安価で且つコンパクトな構成とすることができる。
特に本実施形態では、内燃機関1の高負荷運転時における電磁弁11のコイル11aの通電に伴う発熱が発生しないので、2次空気供給装置7の装置本体9の小型化を容易に実現することができる。
なお、以上説明した実施形態では、内燃機関1の負荷が高負荷領域又はアイドル領域である場合の電磁弁11の開閉のデューティ比を0%に設定したが、0%よりも若干大きいデューティ比に設定してもよい。
また、前記実施形態では、電動バルブとして電磁弁11を使用したが、電動モータの動力によって開閉するような構造の電動バルブを使用してもよい。
また、前記実施形態では、内燃機関1として、単気筒の内燃機関を例示したが、内燃機関1は、複数気筒の内燃機関であってもよい。
また、前記実施形態では、触媒装置6の上流側に2次空気を供給するシステムについて説明したが、本発明の内燃機関制御システムは、吸気圧センサ14の検出信号により示される吸気路2の吸気圧の検出値と、この吸気圧の変化に基づいて推定した内燃機関1の回転数の推定値とを使用して、上記2次空気の供給制御とは別の制御を行うシステムであってもよい。
1…内燃機関、2…吸気路、5…排気路、6…触媒装置、7…2次空気供給装置、8…バイパス通路(2次空気供給通路)、9…装置本体(構造体)、13…制御処理ユニット(回転数推定手段、電動バルブ制御手段)、14…吸気圧センサ。

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気路の吸気圧を検出する吸気圧センサを備える内燃機関制御システムにおいて、
    前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値の変動周期に基づいて前記内燃機関の回転数を推定する回転数推定手段を含み、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、該回転数推定手段により推定した回転数とを用いて制御処理を実行する制御処理ユニットを備えることを特徴とする内燃機関制御システム。
  2. 請求項1記載の内燃機関制御システムにおいて、
    前記内燃機関の排気路に設けられた触媒装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給通路と、該2次空気供給通路を開閉する電動バルブとを備えており、
    前記制御処理ユニットは、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定した前記内燃機関の回転数とに応じて前記電動バルブの開閉のデューティ比を変化させるように該電動バルブの開閉制御を行う電動バルブ制御手段を含むことを特徴とする内燃機関制御システム。
  3. 請求項2記載の内燃機関制御システムにおいて、
    前記電動バルブは閉弁状態に付勢された常開型の電磁弁であり、
    前記電動バルブ制御手段は、前記吸気圧センサによる吸気圧の検出値と、前記回転数推定手段により推定された前記内燃機関の回転数とにより示される前記内燃機関の負荷が高負荷である場合に、該負荷が高負荷よりも低い負荷である場合よりも、前記電磁弁の閉弁時間を短くするか、又は該閉弁時間をゼロにするように、前記デューティ比を変化させることを特徴とする内燃機関制御システム。
  4. 請求項3記載の内燃機関制御システムにおいて、
    前記電動バルブと吸気圧センサとは、前記2次空気を前記触媒装置の上流側に供給するための2次空気供給装置の本体として前記2次空気供給通路に介装された構造体に一体に組み付けられていることを特徴とする内燃機関制御システム。
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