JP2004308491A - 2次空気供給装置の故障診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力サージングや圧力ノイズに起因する圧力脈動による誤判定を抑制することが可能な2次空気供給装置の故障診断装置を提供する。
【解決手段】圧力脈動の周期に基づいて、例えば、この圧力脈動が排気脈動に基づく脈動だと仮定した場合の推定エンジン回転数を求め、これと実際のエンジン回転数とを比較して、それが略一致しない場合には、この圧力脈動は排気脈動によるものでないと判定して圧力脈動の判定に用いる積算値をクリアすることで、排気脈動ありと誤判定することにより、構成部品の故障の誤判定を防止する。
【選択図】 図10
【解決手段】圧力脈動の周期に基づいて、例えば、この圧力脈動が排気脈動に基づく脈動だと仮定した場合の推定エンジン回転数を求め、これと実際のエンジン回転数とを比較して、それが略一致しない場合には、この圧力脈動は排気脈動によるものでないと判定して圧力脈動の判定に用いる積算値をクリアすることで、排気脈動ありと誤判定することにより、構成部品の故障の誤判定を防止する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に配置される排気浄化装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給装置に関し、特に、その構成部品の異常検出が可能な2次空気供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気浄化装置として、排気系に三元触媒を配置し、排気ガス中のCO、HC、NOx成分を低減して浄化を図る装置が知られている。さらに、排気管に接続された開閉弁を有する2次空気供給通路にエアポンプから空気を圧送することで、排気管内に2次空気を供給して酸素濃度を高くして、排気ガス中のHC、COを酸化させることにより排気ガスの浄化を促進する技術が知られている。
【0003】
このような2次空気供給装置において、エアポンプや開閉弁といった構成部品に異常が生じると、排気ガスの浄化効率が低下してしまい、エミッションが悪化するため、その異常を早期に判定する必要がある。そこで、この種の異常を検出する技術として、特許文献1に開示されている技術が知られている。
【0004】
この技術は、2次空気供給装置の作動制御時と非作動制御時における2次空気供給通路内の圧力挙動をそれぞれ検出し、圧力と圧力脈動の組み合わせに応じて故障個所の診断を行うものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−83048号公報(段落0019〜0058、図1〜図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術の判定ロジックは、開閉手段が閉止されている場合には、圧力脈動は発生しないことを前提としているが、エアポンプの構造によっては、開閉手段が閉止されている場合に、エアポンプが作動すると、圧力サージングを発生させて、圧力脈動を生じさせる場合がある。また、圧力センサ自体の出力ノイズを圧力脈動と誤判定してしまう可能性もある。このような場合には、上記技術では、圧力脈動ありとして開閉手段が正常であるにもかかわらず、開異常と誤判定してしまう可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、このような圧力サージングや圧力ノイズに起因する圧力脈動による誤判定を抑制することが可能な2次空気供給装置の故障診断装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置は、内燃機関の排気系の排気浄化装置より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給通路と、この2次空気供給通路の上流側に配置されるエアポンプと、このエアポンプより下流側の2次空気供給通路上に配置される圧力センサと、を備える2次空気供給装置の構成部品の異常状態を、エアポンプの作動時と非作動時における圧力センサの出力に基づいて異常検出部により検出するものであって、圧力センサで得られた圧力値の脈動の周期を基にして該脈動が排気脈動によるものか否かを判定する脈動判定部をさらに備えている。
【0009】
排気脈動の周期は、機関回転数と、気筒配置に依存して変化する。これに対して、センサのノイズや、ポンプの圧力サージングによる圧力変動は、これと異なる周期を有する。したがって、圧力脈動の周期を調べることで、それが排気脈動によるものか否かを判定することが可能である。
【0010】
2次空気供給装置は、圧力センサより下流側に2次空気供給通路の連通・遮断状態を切り替える開閉手段を備えており、脈動判定部は、開閉手段を閉制御している場合に、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かの判定を行うことが好ましい。
【0011】
圧力センサより下流側に開閉手段が設けられている場合、この開閉手段を閉じている場合には、本来、排気脈動は圧力センサ側へと伝播しない。しかしながら、開閉手段が開故障をしている場合には、排気脈動が伝播する可能性がある。また、正常に閉弁している場合に、エアポンプが停止せず作動し続ける故障をしている場合には、サージングによる圧力変動が発生する可能性がある。したがって、開閉手段を閉制御している場合に、圧力変動を検出した場合、これが排気脈動か否かを判定することにより、エアポンプの故障か開閉手段の故障かを判別することができる。
【0012】
圧力変動測定を所定範囲の機関回転数で行えば、排気脈動の周期は一定の範囲に限られるため、圧力変動の周期から排気脈動であるか否かは判定可能である。脈動判定部が、内燃機関の回転数情報を受信し、受信した情報による回転数と圧力値の脈動周期との比較により、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かを判定すれば、広い範囲の回転数に対応することができ、より正確な排気脈動とそれ以外の理由による脈動とを判別することができ、好ましい。
【0013】
異常検出部は、2次空気供給装置の2次空気供給制御時および供給停止制御時の圧力挙動パターンに基づいて各構成部品の故障状態を検出することが好ましい。これにより、各構成部品の故障状態を正確に判別することができる。
【0014】
異常検出部は、圧力脈動の積算値を求める積算手段を備え、脈動判定部によって圧力脈動が排気脈動によるものと判定された場合にのみ、この積算値を利用して圧力挙動パターンを判定することが好ましい。排気脈動の有無を判定するには、圧力脈動の積算値から求める手法が好ましいが、圧力脈動が排気脈動でない場合には、積算値を要せず、排気脈動なしと判定しうる。これにより、正確な判定を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置を含む2次空気供給装置を搭載した内燃機関の構成を示す概略図である。この2次空気供給装置1は、内燃機関である多気筒ガソリンエンジン(以下、単にエンジンと呼ぶ。)2に取り付けられるものである。このエンジン2は、4サイクルエンジンである。ここで、エンジン2には吸気管20と排気管21とが取り付けられており、吸気管20には、スロットル24が配置され、吸気フィルタ25に接続されている。吸気フィルタ25とスロットル24の間には、空気量(一次空気量)を測定するためのエアフローメータ26が配置されている。一方、排気管21下流には、3元触媒からなる排気浄化装置22が配置されており、排気浄化装置の上流と下流の双方に排気中の酸素濃度を検知するためのO2センサ31、32が配置されている。なお、O2センサに代えて、A/Fセンサ、リニアO2センサを用いてもよい。また、エンジン2には、その回転数Neを検出する回転数センサ27が取り付けられ、その出力は、エンジンECU23に入力されている。
【0017】
2次空気供給装置1は、吸気管20の吸気フィルタ25とスロットル24との間の位置と排気管21のエンジン2と上流側O2センサ31との間を接続する2次空気供給通路11を備えており、この2次空気供給通路11上に吸気管20側から電気モータ駆動式のエアポンプ(AP)12、エアスイッチングバルブ(ASV)13、逆止弁であるリード弁(RV)14が配置される。そして、AP12とASV13との間に圧力センサ15が配置されている。このASV13には、吸気管20のスロットル24下流から延びる配管16が接続されており、この配管16上には三方弁17が配置されている。三方弁17の他のポートは、配管18、フィルタ19を介して外気へと接続されている。
【0018】
2次空気供給装置1の動作を制御する制御装置10は、CPU、RAM等で構成されており、エンジンを制御するエンジンECU23と相互に情報をやりとりできるよう接続されているほか、圧力センサ15、O2センサ31、32の出力信号が入力されるとともに、AP12のモータ駆動と三方弁17の開閉を制御する。なお、制御装置10は、エンジンECU23の一部をなしていてもよい。この制御装置10は、本発明に係る故障診断装置を含んでいる。なお、故障診断部を制御装置10から独立させることも可能であり、また、別のシステム、例えば、車両の故障診断装置に組み込んでもよい。
【0019】
この2次空気供給装置1は、所定の条件を満たしたときに、2次空気供給制御(以下、AI制御と称する。)を実行する。この所定の条件とは、例えば、冷間始動時等の燃料濃度が高く、空燃比(A/F)が小さく、かつ、排気浄化装置22が充分に昇温しておらずその機能が充分に発揮されにくい状態が挙げられる。このような条件を満たしたときには、制御装置10は三方弁17を制御して、配管16を吸気管20へと連通させることにより、吸気管20内の負圧をASV13に導いて、ASV13を開制御するとともに、AP12を駆動させる。これにより、エアフィルタ25を通過した空気の一部が2次空気供給通路11を介して排気管21内へと導かれる。この結果、排気中の酸素濃度が上昇し、そのA/Fが上がり、排気中のHC、COの排気管21における2次燃焼が促されて排気の浄化が図られるとともに、排気温度が上昇することにより排気浄化装置22の3元触媒の昇温が促進されてエミッションの悪化が抑制される。なお、ASV13と三方弁17の組み合わせに代えて、ASV13部分に直接、電磁弁を使用することもできる。
【0020】
本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置は、構成部品すなわち、AP12、ASV13、RV14等の異常を検出するものである。具体的には、制御装置10が、2次空気供給通路11上に配置される圧力センサ15で検出される圧力挙動に基づいて構成部品の故障検出を行う。
【0021】
まず、検出原理を簡単に説明する。図2は、図1における圧力センサ部分における圧力挙動として考えられるパターンを模式的に示したグラフである。ここでは、RV14は正常に機能しているものとする。表1にAP12とASV13の作動状態の組み合わせに対する圧力変動パターンをまとめて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から圧力挙動パターンから逆にAP12、ASV13の作動状況を推定することができることが分かる。
【0024】
続いて、図3〜図9を参照して、実際の故障検出ルーチンを説明する。図3はこのルーチンのメインフロー図であり、図4は、この故障検出ルーチンで用いられる圧力のなまし値Psmと圧力脈動の積算値ΔPsumの計算方法を説明する図であり、図5、図7〜図9は、図3の処理のサブルーチンを詳細に示すフローチャートであり、図6は、図5の処理において圧力脈動周期の求め方を説明する図である。図3に示される処理は、この内燃機関を搭載した車両のイグニッションスイッチがオンにされてから、オフにされるまでの間、制御装置10によって、所定のタイミングで定期的に実行される。図5、図7〜図9の処理は、図3のメイン処理からそれぞれ一度ずつ呼び出される。
【0025】
なお、後述する各フラグF11、F12、F13、F14、F21、F22、F23、F24、Xstep1、Xstep2は、起動時に初期値0に設定される。
【0026】
まず、圧力なまし値Psmが読み込まれる(ステップS2)。この圧力なまし値Psmは、今回のタイムステップで検出した圧力値をPs、前回のタイムステップにおける圧力なまし値の計算結果をPsm_oldとするとき、Psm={(n−1)×Psm_old+Ps}/nで表せる。図4は、こうして求められるPsmとPsの時間変化を合わせて示している。ここで、圧力変動の周期の長さTに対して、タイムステップΔtが十分に短く(例えば、4×Δt≦T)、かつ、なまし値を求める際の係数nが十分に大きい(例えば、n×Δt≧2×T)ときには、Psmはサンプリング期間(n×Δt)内における圧力値Psの平均値に近似した値となる。なお、処理開始後のタイムステップ数がnに満たない場合には、nの代わりにタイムステップ数を用いればよい。このようになまし値を用いて計算を行うことで、過去のタイムステップにおける圧力値を記憶しておく必要がなく、必要なメモリ量を軽減することができるともに、計算が簡略化され、制御装置10内の計算機資源を有効に活用することができる。
【0027】
次に、圧力脈動積算値ΔPsumを読み込む(ステップS4)。この圧力脈動積算値ΔPsumは、前回のタイムステップにおける圧力脈動積算値をΔPsum_oldとするとき、ΔPsum=(n−1)/n×ΔPsum_old+|Ps−Psm|で表せる。これは、圧力値Psと平均値(正確には、圧力なまし値Psm)との差分の絶対値をn回分のタイムステップについて積算した値(正確には、そのなまし値。)である。n回分のタイムステップの積算値を正確に求めるためには、n回分の各差分値を記憶しておく必要があるが、このようになまし値を用いることで、上述の圧力なまし値の計算の場合と同様に、過去のn回分のタイムステップにおける計算結果を記憶しておく必要がなく、必要なメモリ量を軽減することができるともに、計算が簡略化され、制御装置10内の計算機資源を有効に活用することができる。
【0028】
なお、計算機資源に余裕がある場合には、n回分のタイムステップの値を格納しておいて、平均値や積算値を正確に計算することも可能である。また、本実施形態では、圧力脈動の判定に圧力脈動積算値ΔPsumを用いているが、Psを時間t−圧力pの座標軸にプロットした際のプロットされた線の軌跡の長さLpsの所定区間内の積算値を用いてもよい(実際の計算ではなまし値を用いてもよい。)。このLpsは、1タイムステップについては、√(Δt2+(Ps−Ps_old)2)で表せる(Ps_oldは圧力Psの前回値である)。もちろん、圧力脈動を所定期間内における実際の圧力の振幅値(最大圧力値と最小圧力値の差)により求めてもよい。
【0029】
次に、圧力脈動の周期を判定する。(ステップS6)。図5にこの圧力脈動周期判定処理の処理フローを示す。図6は、この圧力脈動周期の求め方を説明する図である。まず、回転数センサ27の出力を基にエンジンECU23が求めた回転数なまし値Nesmを読み込む。回転数センサ27の出力Neからのなまし値の求め方は、圧力センサ15の出力Pからの圧力なまし値Psmの場合と同様である。
【0030】
次に、時刻カウンタtxの値をタイムステップΔtだけ増分してカウントアップする(ステップS54)。そして、圧力値の前回値Poldと今回の圧力なまし値Psmの差分が0以下か正かを判定する(ステップS56)。判定結果が0以下、つまり、PsmがPold以上の場合にはステップS58へと移行して今回の圧力値Pと圧力なまし値Psmとの差分が正であるか否かを判定する。一方、判定結果が正、つまり、PsmがPold未満の場合にはステップS60へと移行して今回の圧力値Pと圧力なまし値Psmとの差分が0以下であるか否かを判定する。
【0031】
ステップS58で、判定結果が正、つまり、PがPsmより大きい場合と、ステップS60で、判定結果が0以下、つまり、PがPsm以下の場合には、ステップS62へと移行し、圧力交差カウンタCPclossの値を1増加させる。このCPclossは、図6(a)に示されるように、横軸に時間軸、縦軸にPをとってプロットした場合に、Pの時間変化曲線がPsmと交差する、つまり、PがPsmより大きい状態から小さい状態へと移行したとき、あるいは、その逆の場合に、図6(b)に示されるように、1増分されていく。ステップS58、S60で条件を満たさない場合は、このステップS62の処理はスキップされる。
【0032】
次に、圧力値の前回値Poldに現在の圧力値Pを格納し(ステップS64)、圧力交差カウンタCPclossの値をしきい値CPthと比較する(ステップS66)。このCPthは、例えば、各気筒の行程をずらして行う場合には、気筒数×2として設定される。CPclossがCPth未満の場合には、その後の処理をスキップして終了する。一方、CPclossがCPth以上の場合には、圧力脈動が排気脈動であると仮定したときの推定機関回転数Npを求める(ステップS68、図6(b)参照)。このNpは2×60/txで求められる。なぜなら、エンジン2は4サイクル式であるから、エンジン2が2回転する間に、各気筒は4つの行程を行う。排気脈動はこのうちの排気行程に起因するため、2回転の間に気筒の数だけ排気脈動が発生し、これに伴う圧力交差は脈動の数1回に対して2回発生することになる。したがって、1分間あたりの回転数は、その周期(tx)の逆数の2×60倍として求められる。2つの気筒ずつが同一のタイミングで行程を実施するような場合には、CPthは、気筒数×2ではなく、気筒数に一致させればよい。
【0033】
推定回転数Npを算出したら、カウンタ値CPcloss、txをいずれも0にリセットする(ステップS70)。そして、回転数のなまし値Nesmと求めた推定回転数Npとの差分の絶対値をしきい値Bと比較する。絶対値がしきい値Bを超える場合、つまり、NpとNesmとの差が±B以上である場合には、機関回転数に対して圧力脈動の周期が一致しておらず、この圧力脈動は排気脈動によるものではないと判定し、ΔPsumをリセットする(ステップS74)。一方、絶対値がしきい値B未満の場合、つまり、NpとNesmとの差が±B未満で一致している場合には、圧力脈動は機関回転数に対応しており、排気脈動による可能性が高いと判定し、ステップS74の処理をスキップすることにより、ΔPsumを保持する。
【0034】
ここでは、圧力交差から周期を求める例を説明したが、極大値、極小値、変化量の増減傾向の反転状態等を基にして周期を求めてもよい。
【0035】
こうして圧力脈動周期を判定した後、故障判定済みか否かを判定する(ステップS8)。これは、後述する故障判定フラグXAIの値を調べることにより判定することができる。なお、故障が検出された場合には、各故障判定フラグはイグニッションスイッチがオフにされた場合でも保持され、整備・点検後でないとリセットされない構成とするすることが好ましい。
【0036】
故障判定が完了していない場合には、ステップS10へと移行して、所定のAI実行条件が成立しているか否かを判定する。この実行条件は、エンジンECU23から送られるエンジン冷却水温、吸気温、始動経過時間、バッテリー電圧、負荷条件等により決定される。なお、AI実行中に終了条件が満たされた場合にも、実行条件不成立とされる。
【0037】
AI実行条件が成立した場合には、ステップS12へと移行して、AI制御中であれば、AI制御を継続し、AI制御中でない場合には、AI制御を開始する。具体的には、三方弁17を制御して、配管16を吸気管20へと連通させることにより、吸気管20内の負圧をASV13に導いて、ASV13を開制御するとともに、AP12を駆動させる。これにより、機器が正常に作動していれば、エアフィルタ25を通過した空気の一部が2次空気供給通路11を介して排気管21内へと導かれる。
【0038】
続く、ステップS14では、すでに供給制御時の圧力挙動判定が終了しているか否かを調べる。これは、後述するフラグXstep1の値を調べることにより、判定することができる。判定が終了している場合は、その後の処理をスキップして終了する。
【0039】
供給制御時の圧力挙動判定が終了していない場合には、ステップS16へと移行して、供給制御時の圧力挙動判定を行う。図7にこの供給制御時の圧力挙動判定の処理フローを示す。
【0040】
まず、判定条件が成立しているか否かをチェックする(ステップS102)。この判定条件とは、AI実行から所定の時間が経過してAP12の作動が安定した状態にあり、エンジン2の回転数、負荷や車両の車速条件からエンジンがアイドル状態にあり、圧力挙動を安定的に判定できる状態にあることを示す条件を指す。判定条件が満たされていない場合には、以降の判定処理をスキップして処理を終了する。
【0041】
判定条件が満たされている場合には、圧力脈動積算値ΔPsumを判定しきい値βと比較する(ステップS104)。ΔPsumがβ以上の場合には、排気脈動による圧力脈動ありと判定し、図2で示される脈動の大きなパターン1、2のいずれかであると判定して、ステップS106へと移行する。このステップS106では、圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン1であり、2次空気供給が行われていると判定して、ステップS108へと移行して空気流量Qを算出する。
【0042】
ここで、AP12の供給空気量は、吐出圧力が大きいほど増大する関係がある。そこで、吐出圧力(実際には、圧力センサ15の出力から求めた圧力なまし値Psm)から供給空気量を推定することができる。供給空気量が所定のしきい値Qxより少ないと、排気中の燃料濃度が高いまま維持され、エミッションが悪化するおそれがある。そこで、推定供給空気量がこのQxを上回っているか否かをチェックする(ステップS110)。なお、圧力なまし値PsmをQxに対応する吐出圧力に該当する圧力しきい値Pxと比較してもよい。この場合は、ステップS108とS110の処理を一度の処理で行うことができる。
【0043】
ステップS110で供給空気量が少ないと判定された場合には、ステップS112へと移行して、流量状態を示すフラグXfaildownに流量低下を示す1をセットし、ステップS120へと移行する。供給空気量が充分な場合にはステップS120へと直接移行する。そして、ステップS120では、供給時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF11にパターン1であることを示す1をセットし、ステップS130へと移行して供給制御時の圧力挙動パターンの判定状態を示すフラグXstep1に判定終了を示す1をセットし、このサブルーチンを終了する。
【0044】
ステップS106でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン2であると判定し、ステップS140へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン2であるか否かを示すフラグF12にパターン2であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0045】
ステップS104でΔPsumがβ未満であった場合には、図2で示される脈動のないパターン3、4のいずれかであると判定して、ステップS150へと移行する。そして、ステップS150では、ステップS106と同様に圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン3であると判定し、ステップS160へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン3であるか否かを示すフラグF13にパターン3であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0046】
一方、ステップS150でPmがP0以下であった場合には、圧力挙動パターンはパターン4であると判定し、ステップS170へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF14にパターン4であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0047】
図7のサブルーチン終了後は、処理を終了し、イグニッションスイッチがオンの状態であれば、再び、ステップS2に戻る。
【0048】
ステップS10でAI条件が成立していないと判定された場合には、ステップS18へと移行して、AI待機中、つまり、エンジン始動後、AI条件が成立していない場合か、すでに実行済みかを判定する。実際には、Xstep1の値が判定終了を示す1にセットされているか否かにより判定を行えばよい。Xstep1の値が判定未了を示す初期値0に設定されている場合には、待機中と判定してその後の処理をスキップして終了する。一方、判定完了を示す1にセットされている場合には、ステップS20へと移行し、現在AI制御中か否かを判定する。制御中、つまり現在AI制御継続中の場合には、AI制御の終了処理を行う(ステップS22)。具体的には、三方弁17を制御して、三方弁17よりASV13側の配管16を配管18側へと連通させることで、フィルタ19を通過した外気をASV13に導いて、ASV13を閉制御するとともに、AP12を停止させてAI制御を停止する。
【0049】
AI制御停止後、停止制御時の圧力挙動判定処理を実行する(ステップS24)。図8に、この停止制御時の圧力挙動判定の処理フローを示す。
【0050】
まず、判定条件が成立しているか否かをチェックする(ステップS202)。この判定条件とは、AI停止から所定の時間が経過して、正常に機能している場合のAP12が停止するのに必要な時間が経過しており、エンジン2の回転数、負荷や車両の車速条件からエンジンがアイドル状態にあり、圧力挙動を安定的に判定できる状態にあることを示す条件を指す。判定条件が満たされていない場合には、以降の判定処理をスキップして処理を終了する。
【0051】
判定条件が満たされている場合には、圧力脈動積算値ΔPsumを判定しきい値βと比較する(ステップS204)。ΔPsumがβ以上の場合には、排気脈動による圧力脈動ありと判定し、図2で示される脈動の大きなパターン1、2のいずれかであると判定して、ステップS206へと移行する。このステップS206では、圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、パターン1であると判定して、ステップS220へと移行し、停止時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF21にパターン1であることを示す1をセットする。
【0052】
ステップS206でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン2であると判定し、ステップS240へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン2であるか否かを示すフラグF22にパターン2であることを示す1をセットする。
【0053】
ステップS204でΔPsumがβ未満であった場合には、図2で示される脈動のないパターン3、4のいずれかであると判定して、ステップS250へと移行する。そして、ステップS250では、ステップS208と同様にPsmとP0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン3であると判定し、ステップS260へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン3であるか否かを示すフラグF23にパターン3であることを示す1をセットする。
【0054】
一方、ステップS250でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン4であると判定し、ステップS270へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン4であるか否かを示すフラグF24にパターン4であることを示す1をセットする。
【0055】
フラグF21〜F24をセットした後は、いずれの場合もステップS230へと移行して停止制御時の圧力挙動パターンの判定状態を示すフラグXstep2に判定終了を示す1をセットし、このサブルーチンを終了する。
【0056】
図8のサブルーチンが終了したら、図3に示されるメインフローのステップS26へと移行する。ステップS26では、フラグXstep2の値をチェックすることで、停止時の圧力挙動判定が終了しているか否かをチェックする。Xstep2が1以外の場合には、停止制御時の圧力挙動パターンの判定が未了のため、その後の処理をスキップして終了する。一方、Xstep2が1の場合には、停止制御時の圧力挙動パターンの判定も完了しているので、次の処理ステップS28へと移行する。
【0057】
ステップS28では、ステップS16とS24における圧力挙動パターンの判定結果を基にして構成部品の故障モードを判定する。AP12、ASV13のそれぞれの正常、異常モードの組み合わせに対する供給・停止制御時の圧力挙動パターンの組み合わせを表2にまとめて示す。
【0058】
【表2】
【0059】
この表において、○は正常を、×は機器の故障を表す。
【0060】
このステップS28における判定処理はこの表2を基にして行われる。図9にこの判定処理ルーチンの処理フローを示す。まず、フラグF11が1であるか否かをチェックする(ステップS300)。1の場合は供給制御時の圧力挙動パターンがパターン1であることを示しているので、次にステップS302へと移行し、フラグF24が1であるか否かをチェックする。1の場合は停止制御時の圧力挙動パターンがパターン4であることを示すから、表2から明らかなようにこの組み合わせは表2におけるモード1であり、AP12、ASV13とも正常であることを示す。そこで、ステップS304へと移行して流量状態を示すフラグXfaildownの値をチェックすることで、流量低下が起こっていないか否かをチェックする。Xfaildownが1でない場合には、流量低下が引き起こされておらず、機器がいずれも正常であるから、ステップS306へと移行して、故障診断フラグXAIに正常であることを示す1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、Xfaildownが1の場合には、流量低下があることから、AP12の作動不良の可能性があり、ステップS318へと移行して、故障診断フラグXAIに異常であることを示す−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0061】
ステップS302でF24が1でない場合には、表2におけるモード2、4、5のいずれかであるから、ステップS310へと移行する。このステップS310では、まずフラグF22が1であるか否かをチェックする。F22が1でない場合、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2ではなく、パターン1、3であるモード4、5の場合には、AP12が常時作動している故障状態にあることから、ステップS312へと移行して、エアポンプの故障診断フラグXFAPに常時作動故障であることを示す1をセットしてステップS314へと移行する。一方、F22が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合、つまりモード2の場合には、AP12は正常であるから、ステップS312をスキップしてステップS314へと移行する。
【0062】
続く、ステップS314では、フラグF23が1であるか否かをチェックする。F23が1でない場合、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン3ではなく、パターン1、2であるモード2、5の場合には、ASV13が常時開弁している開固着状態にあることから、ステップS316へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに開固着であることを示す1をセットしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F23が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン3、つまりモード4の場合には、ASV13は正常であるから、ステップS316をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0063】
一方、ステップS300でF11が1でないと判定された場合には、モード3、6〜9のいずれかであることを示す。この場合には、ステップS320へと移行してフラグF12が1であるか否かをチェックする。F12が1、つまり供給制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合はモード7、8のいずれかであり、いずれの場合にもAP12は不作動状態であることから、エアポンプの故障診断フラグXFAPに不作動故障であることを示す−1をセットしてステップS324へと移行する。このステップS324では、フラグF22が1であるか否かをチェックする。F22が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合はモード8であり、ASV13が常時開弁している開固着状態にあることから、ステップS326へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに開固着であることを示す1をセットしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F22が1でない場合はモード7であって、ASV13は正常であるから、ステップS326をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0064】
一方、ステップS320でF12が1でないと判定された場合には、モード3、6、9のいずれかであることになる。いずれの場合もASV13は常時閉弁状態である閉固着状態にあることから、ステップS330へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに閉固着であることを示す−1をセットする。続いて、ステップS332ではフラグF13が1であるか否かをチェックする。F13が1の場合には、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン3であり、モード3、6のいずれかであることを示す。この場合は、ステップS334へと移行してフラグF23が1であるか否かをチェックする。1である場合には、停止制御時の圧力挙動パターンもパターン3であり、モード6であって、AP12が常時作動している故障状態にあることになる。そこで、ステップS336へと移行して、エアポンプの故障診断フラグXFAPに常時作動故障であることを示す1をセットした後、ステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F23が1でない場合はモード3であって、AP12は正常であるから、ステップS336をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0065】
ステップS332でF13が1でないと判定された場合には、モード9であってAP12が不作動の故障状態にあることを示す。そこで、ステップS338へと移行してエアポンプの故障診断フラグXFAPに不作動故障であることを示す−1をセットした後、ステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。図9のサブルーチンが終了したら、メインルーチンの処理も終了し、イグニッションスイッチがオン状態であれば、再度ステップS2から処理を行う。
【0066】
判定処理が終了していた場合(すでに故障が検出され、整備・点検によりリセットされていない場合を含む。)には、前述したステップS8において、故障診断フラグXAIが初期値0以外に設定されていることから、ステップS30へと移行する。ステップS30では、さらに故障診断フラグXAIが故障状態を示す−1に設定されているか否かを調べることで、故障ありか否かを判定する。その値がシステムが正常であることを示す1の場合には、ステップS32をスキップして処理を終了する。一方、その値がシステムに故障があることを示す−1である場合には、ステップS32へと移行して図示していない表示装置やアラームを利用して運転者に対して2次空気供給装置に故障・異常がある旨を通知する警告処理を行い、処理を終了する。
【0067】
本発明に係るこの異常検出ルーチンによれば、エアポンプ、ASVのいずれがどのような故障をしているのかを正確に検知することが可能である。図10は、2次空気供給装置の作動制御から停止制御に切り替えた前後の各状態量の変化を示すタイミングチャートの一例である。ここでは、ASV13は正常であるが、AP12が常時作動故障をしている場合、つまり、表2におけるモード4の状態を表している。
【0068】
この場合、図10(a)に示されるように、停止制御を行った場合、これに伴い、図10(b)に示されるように、AP12による圧力サージングによって圧力値に脈動が発生する。従来の判定方法によれば、図10(c)に破線で示されるように、圧力脈動積算値ΔPsum’がしきい値βを超えているため、圧力挙動をパターン1と誤判定し、その結果、ASV13も開固着していると誤判定する可能性がある。しかしながら、本発明によれば、圧力の脈動周期(具体的には、この脈動が排気脈動であると仮定した場合に推定されるエンジン回転数Np)と実際のエンジン回転数のなまし値Nesmとを比較することにより、図10(d)に示されるように、両者の差の絶対値がしきい値Bの範囲内で一致しない場合には、圧力脈動は排気脈動ではないと判定して、図10(c)に示されるように、圧力脈動積算値ΔPsumを0にリセットするため、ΔPsumがしきい値βを超えることはない。これにより、圧力サージングのように排気脈動によらない圧力脈動の場合には、排気脈動のあるパターン1ではなく、排気脈動のないパターン3であると判定して、ASV13を開固着と誤判定することがなく、正確な判定が可能となる。
【0069】
また、圧力センサ15の出力にノイズが載っている場合も、このノイズの周期と排気脈動の周期の違いから、排気脈動がなくノイズのみによって見かけの圧力脈動が発生している場合には脈動なしであるパターン4またはパターン3であると正確に判定することができるので、構成部品の異常を正確に判定することができる。
【0070】
以上の説明では、AI終了後に停止制御時の圧力挙動判定処理を行い、その後で異常判定処理を行う例を説明したが、AI供給中に強制的に一時供給を停止することにより停止制御時の圧力挙動判定を行うことで、AI供給制御の条件成立中にその異常判定を行ってもよい。このようにすると、AI制御中に故障診断を行うことが可能となる。
【0071】
また、表2に示されるように、機器正常時におけるAI供給制御時の圧力挙動パターンはパターン1に限られることから、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン1以外であった場合には、直ちにAI制御を停止して、停止時の圧力挙動パターン判定に移行してもよい。特に、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン4であった場合には、表2に示されるモード9であることは明らかであるから、停止時の圧力挙動パターン判定を省略することも可能である。
【0072】
圧力センサ15としては大気圧との差圧を出力する相対圧センサのほか、絶対圧センサを用いることもできる。この場合、2次空気系の作動停止時には、大気圧の検出が可能な構成である必要があるが、一般的なAP12では、ハウジングとポンプ回転体とが密着しておらず、非作動時にはその前後が連通する構成となっているため、このようなAP12においては、大気圧検出が可能である。このような構成の場合には、エンジン始動前の出力値を大気圧として用い、その差から相対圧を演算すればよい。これにより、2次空気系の異常検出時および2次空気供給中以外には、圧力センサ15を大気圧センサとして用いることが可能となる。ただし、AP12の常時作動故障時には吐出圧分だけ大気圧を高めに見積もる可能性があるので、この場合はAP12の使用電力、電圧、電流等をチェックして補正すればよい。また、ASV13の開固着時には、エンジン2による排気脈動が伝達される可能性があるが、この場合、平均圧力は大気圧近傍となるので平均化処理により大気圧を検出することが可能である。
【0073】
以上の説明では、圧力脈動が排気脈動と仮定したときの推定機関回転数と実際の機関回転数とを比較して圧力脈動が排気脈動であるか否かを判定する例を説明したが、本発明はこの形態に限られるものではない。例えば、実際の機関回転数から発生する排気脈動の周期を求めて、これと圧力脈動とを比較してもよい。また、圧力脈動を用いた2次空気供給装置の故障判定に際しては、一定の機関回転数の範囲内にある場合の圧力脈動値を用いていることから、推定機関回転数がこの所定範囲内に一致しているか否かや、所定範囲の機関回転数から予想される圧力脈動の周期と実際の圧力脈動の周期が一致しているか否かによって判定してもよい。さらに、周期そのものではなく、所定時間内における圧力交差の発生回数等によって判定を行うこともできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、圧力脈動の周期を基にして、この圧力脈動が排気脈動によるものか否かを判定するため、排気脈動によらないエアポンプの圧力サージングや圧力センサのノイズを排気脈動と誤判定することにより、特に、開閉手段の正常・異常状態を誤判定することがなく、正確な判定を行うことが可能となる。ここで、圧力脈動が排気脈動によるものか否かはその周期と、機関回転数との関係を調べれば、正確な判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置を含む2次空気供給装置を搭載した内燃機関の構成を示す概略図である。
【図2】図1の圧力センサ位置における圧力挙動パターンを模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置における故障検出ルーチンのメインフロー図である。
【図4】図3の処理に用いられる圧力のなまし値Psmと圧力脈動の積算値ΔPsumの計算方法を説明する図である。
【図5】図3の処理における圧力脈動周期判定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図6】図5の処理における圧力脈動周期の求め方を説明する図である。
【図7】図3の処理における供給制御時の圧力挙動判定の処理フローを示すフローチャートである。
【図8】図3の処理における停止制御時の圧力挙動判定の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】図3の処理における判定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】2次空気供給装置の作動制御から停止制御に切り替えた前後の各状態量の変化を示すタイミングチャートの一例である。
【符号の説明】
1…2次空気供給装置、2…エンジン、10…制御装置、11…2次空気供給通路、12…エアポンプ(AP)、13…エアスイッチングバルブ(ASV)、14…リード弁(RV)、15…圧力センサ、16…配管、17…三方弁、18…配管、19…フィルタ、20…吸気管、21…排気管、22…排気浄化装置、23…エンジンECU、24…スロットル、25…吸気フィルタ、26…エアフローメータ、27…回転数センサ、31、32…O2センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気系に配置される排気浄化装置の上流側に2次空気を供給する2次空気供給装置に関し、特に、その構成部品の異常検出が可能な2次空気供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気浄化装置として、排気系に三元触媒を配置し、排気ガス中のCO、HC、NOx成分を低減して浄化を図る装置が知られている。さらに、排気管に接続された開閉弁を有する2次空気供給通路にエアポンプから空気を圧送することで、排気管内に2次空気を供給して酸素濃度を高くして、排気ガス中のHC、COを酸化させることにより排気ガスの浄化を促進する技術が知られている。
【0003】
このような2次空気供給装置において、エアポンプや開閉弁といった構成部品に異常が生じると、排気ガスの浄化効率が低下してしまい、エミッションが悪化するため、その異常を早期に判定する必要がある。そこで、この種の異常を検出する技術として、特許文献1に開示されている技術が知られている。
【0004】
この技術は、2次空気供給装置の作動制御時と非作動制御時における2次空気供給通路内の圧力挙動をそれぞれ検出し、圧力と圧力脈動の組み合わせに応じて故障個所の診断を行うものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−83048号公報(段落0019〜0058、図1〜図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術の判定ロジックは、開閉手段が閉止されている場合には、圧力脈動は発生しないことを前提としているが、エアポンプの構造によっては、開閉手段が閉止されている場合に、エアポンプが作動すると、圧力サージングを発生させて、圧力脈動を生じさせる場合がある。また、圧力センサ自体の出力ノイズを圧力脈動と誤判定してしまう可能性もある。このような場合には、上記技術では、圧力脈動ありとして開閉手段が正常であるにもかかわらず、開異常と誤判定してしまう可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、このような圧力サージングや圧力ノイズに起因する圧力脈動による誤判定を抑制することが可能な2次空気供給装置の故障診断装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置は、内燃機関の排気系の排気浄化装置より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給通路と、この2次空気供給通路の上流側に配置されるエアポンプと、このエアポンプより下流側の2次空気供給通路上に配置される圧力センサと、を備える2次空気供給装置の構成部品の異常状態を、エアポンプの作動時と非作動時における圧力センサの出力に基づいて異常検出部により検出するものであって、圧力センサで得られた圧力値の脈動の周期を基にして該脈動が排気脈動によるものか否かを判定する脈動判定部をさらに備えている。
【0009】
排気脈動の周期は、機関回転数と、気筒配置に依存して変化する。これに対して、センサのノイズや、ポンプの圧力サージングによる圧力変動は、これと異なる周期を有する。したがって、圧力脈動の周期を調べることで、それが排気脈動によるものか否かを判定することが可能である。
【0010】
2次空気供給装置は、圧力センサより下流側に2次空気供給通路の連通・遮断状態を切り替える開閉手段を備えており、脈動判定部は、開閉手段を閉制御している場合に、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かの判定を行うことが好ましい。
【0011】
圧力センサより下流側に開閉手段が設けられている場合、この開閉手段を閉じている場合には、本来、排気脈動は圧力センサ側へと伝播しない。しかしながら、開閉手段が開故障をしている場合には、排気脈動が伝播する可能性がある。また、正常に閉弁している場合に、エアポンプが停止せず作動し続ける故障をしている場合には、サージングによる圧力変動が発生する可能性がある。したがって、開閉手段を閉制御している場合に、圧力変動を検出した場合、これが排気脈動か否かを判定することにより、エアポンプの故障か開閉手段の故障かを判別することができる。
【0012】
圧力変動測定を所定範囲の機関回転数で行えば、排気脈動の周期は一定の範囲に限られるため、圧力変動の周期から排気脈動であるか否かは判定可能である。脈動判定部が、内燃機関の回転数情報を受信し、受信した情報による回転数と圧力値の脈動周期との比較により、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かを判定すれば、広い範囲の回転数に対応することができ、より正確な排気脈動とそれ以外の理由による脈動とを判別することができ、好ましい。
【0013】
異常検出部は、2次空気供給装置の2次空気供給制御時および供給停止制御時の圧力挙動パターンに基づいて各構成部品の故障状態を検出することが好ましい。これにより、各構成部品の故障状態を正確に判別することができる。
【0014】
異常検出部は、圧力脈動の積算値を求める積算手段を備え、脈動判定部によって圧力脈動が排気脈動によるものと判定された場合にのみ、この積算値を利用して圧力挙動パターンを判定することが好ましい。排気脈動の有無を判定するには、圧力脈動の積算値から求める手法が好ましいが、圧力脈動が排気脈動でない場合には、積算値を要せず、排気脈動なしと判定しうる。これにより、正確な判定を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置を含む2次空気供給装置を搭載した内燃機関の構成を示す概略図である。この2次空気供給装置1は、内燃機関である多気筒ガソリンエンジン(以下、単にエンジンと呼ぶ。)2に取り付けられるものである。このエンジン2は、4サイクルエンジンである。ここで、エンジン2には吸気管20と排気管21とが取り付けられており、吸気管20には、スロットル24が配置され、吸気フィルタ25に接続されている。吸気フィルタ25とスロットル24の間には、空気量(一次空気量)を測定するためのエアフローメータ26が配置されている。一方、排気管21下流には、3元触媒からなる排気浄化装置22が配置されており、排気浄化装置の上流と下流の双方に排気中の酸素濃度を検知するためのO2センサ31、32が配置されている。なお、O2センサに代えて、A/Fセンサ、リニアO2センサを用いてもよい。また、エンジン2には、その回転数Neを検出する回転数センサ27が取り付けられ、その出力は、エンジンECU23に入力されている。
【0017】
2次空気供給装置1は、吸気管20の吸気フィルタ25とスロットル24との間の位置と排気管21のエンジン2と上流側O2センサ31との間を接続する2次空気供給通路11を備えており、この2次空気供給通路11上に吸気管20側から電気モータ駆動式のエアポンプ(AP)12、エアスイッチングバルブ(ASV)13、逆止弁であるリード弁(RV)14が配置される。そして、AP12とASV13との間に圧力センサ15が配置されている。このASV13には、吸気管20のスロットル24下流から延びる配管16が接続されており、この配管16上には三方弁17が配置されている。三方弁17の他のポートは、配管18、フィルタ19を介して外気へと接続されている。
【0018】
2次空気供給装置1の動作を制御する制御装置10は、CPU、RAM等で構成されており、エンジンを制御するエンジンECU23と相互に情報をやりとりできるよう接続されているほか、圧力センサ15、O2センサ31、32の出力信号が入力されるとともに、AP12のモータ駆動と三方弁17の開閉を制御する。なお、制御装置10は、エンジンECU23の一部をなしていてもよい。この制御装置10は、本発明に係る故障診断装置を含んでいる。なお、故障診断部を制御装置10から独立させることも可能であり、また、別のシステム、例えば、車両の故障診断装置に組み込んでもよい。
【0019】
この2次空気供給装置1は、所定の条件を満たしたときに、2次空気供給制御(以下、AI制御と称する。)を実行する。この所定の条件とは、例えば、冷間始動時等の燃料濃度が高く、空燃比(A/F)が小さく、かつ、排気浄化装置22が充分に昇温しておらずその機能が充分に発揮されにくい状態が挙げられる。このような条件を満たしたときには、制御装置10は三方弁17を制御して、配管16を吸気管20へと連通させることにより、吸気管20内の負圧をASV13に導いて、ASV13を開制御するとともに、AP12を駆動させる。これにより、エアフィルタ25を通過した空気の一部が2次空気供給通路11を介して排気管21内へと導かれる。この結果、排気中の酸素濃度が上昇し、そのA/Fが上がり、排気中のHC、COの排気管21における2次燃焼が促されて排気の浄化が図られるとともに、排気温度が上昇することにより排気浄化装置22の3元触媒の昇温が促進されてエミッションの悪化が抑制される。なお、ASV13と三方弁17の組み合わせに代えて、ASV13部分に直接、電磁弁を使用することもできる。
【0020】
本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置は、構成部品すなわち、AP12、ASV13、RV14等の異常を検出するものである。具体的には、制御装置10が、2次空気供給通路11上に配置される圧力センサ15で検出される圧力挙動に基づいて構成部品の故障検出を行う。
【0021】
まず、検出原理を簡単に説明する。図2は、図1における圧力センサ部分における圧力挙動として考えられるパターンを模式的に示したグラフである。ここでは、RV14は正常に機能しているものとする。表1にAP12とASV13の作動状態の組み合わせに対する圧力変動パターンをまとめて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表1から圧力挙動パターンから逆にAP12、ASV13の作動状況を推定することができることが分かる。
【0024】
続いて、図3〜図9を参照して、実際の故障検出ルーチンを説明する。図3はこのルーチンのメインフロー図であり、図4は、この故障検出ルーチンで用いられる圧力のなまし値Psmと圧力脈動の積算値ΔPsumの計算方法を説明する図であり、図5、図7〜図9は、図3の処理のサブルーチンを詳細に示すフローチャートであり、図6は、図5の処理において圧力脈動周期の求め方を説明する図である。図3に示される処理は、この内燃機関を搭載した車両のイグニッションスイッチがオンにされてから、オフにされるまでの間、制御装置10によって、所定のタイミングで定期的に実行される。図5、図7〜図9の処理は、図3のメイン処理からそれぞれ一度ずつ呼び出される。
【0025】
なお、後述する各フラグF11、F12、F13、F14、F21、F22、F23、F24、Xstep1、Xstep2は、起動時に初期値0に設定される。
【0026】
まず、圧力なまし値Psmが読み込まれる(ステップS2)。この圧力なまし値Psmは、今回のタイムステップで検出した圧力値をPs、前回のタイムステップにおける圧力なまし値の計算結果をPsm_oldとするとき、Psm={(n−1)×Psm_old+Ps}/nで表せる。図4は、こうして求められるPsmとPsの時間変化を合わせて示している。ここで、圧力変動の周期の長さTに対して、タイムステップΔtが十分に短く(例えば、4×Δt≦T)、かつ、なまし値を求める際の係数nが十分に大きい(例えば、n×Δt≧2×T)ときには、Psmはサンプリング期間(n×Δt)内における圧力値Psの平均値に近似した値となる。なお、処理開始後のタイムステップ数がnに満たない場合には、nの代わりにタイムステップ数を用いればよい。このようになまし値を用いて計算を行うことで、過去のタイムステップにおける圧力値を記憶しておく必要がなく、必要なメモリ量を軽減することができるともに、計算が簡略化され、制御装置10内の計算機資源を有効に活用することができる。
【0027】
次に、圧力脈動積算値ΔPsumを読み込む(ステップS4)。この圧力脈動積算値ΔPsumは、前回のタイムステップにおける圧力脈動積算値をΔPsum_oldとするとき、ΔPsum=(n−1)/n×ΔPsum_old+|Ps−Psm|で表せる。これは、圧力値Psと平均値(正確には、圧力なまし値Psm)との差分の絶対値をn回分のタイムステップについて積算した値(正確には、そのなまし値。)である。n回分のタイムステップの積算値を正確に求めるためには、n回分の各差分値を記憶しておく必要があるが、このようになまし値を用いることで、上述の圧力なまし値の計算の場合と同様に、過去のn回分のタイムステップにおける計算結果を記憶しておく必要がなく、必要なメモリ量を軽減することができるともに、計算が簡略化され、制御装置10内の計算機資源を有効に活用することができる。
【0028】
なお、計算機資源に余裕がある場合には、n回分のタイムステップの値を格納しておいて、平均値や積算値を正確に計算することも可能である。また、本実施形態では、圧力脈動の判定に圧力脈動積算値ΔPsumを用いているが、Psを時間t−圧力pの座標軸にプロットした際のプロットされた線の軌跡の長さLpsの所定区間内の積算値を用いてもよい(実際の計算ではなまし値を用いてもよい。)。このLpsは、1タイムステップについては、√(Δt2+(Ps−Ps_old)2)で表せる(Ps_oldは圧力Psの前回値である)。もちろん、圧力脈動を所定期間内における実際の圧力の振幅値(最大圧力値と最小圧力値の差)により求めてもよい。
【0029】
次に、圧力脈動の周期を判定する。(ステップS6)。図5にこの圧力脈動周期判定処理の処理フローを示す。図6は、この圧力脈動周期の求め方を説明する図である。まず、回転数センサ27の出力を基にエンジンECU23が求めた回転数なまし値Nesmを読み込む。回転数センサ27の出力Neからのなまし値の求め方は、圧力センサ15の出力Pからの圧力なまし値Psmの場合と同様である。
【0030】
次に、時刻カウンタtxの値をタイムステップΔtだけ増分してカウントアップする(ステップS54)。そして、圧力値の前回値Poldと今回の圧力なまし値Psmの差分が0以下か正かを判定する(ステップS56)。判定結果が0以下、つまり、PsmがPold以上の場合にはステップS58へと移行して今回の圧力値Pと圧力なまし値Psmとの差分が正であるか否かを判定する。一方、判定結果が正、つまり、PsmがPold未満の場合にはステップS60へと移行して今回の圧力値Pと圧力なまし値Psmとの差分が0以下であるか否かを判定する。
【0031】
ステップS58で、判定結果が正、つまり、PがPsmより大きい場合と、ステップS60で、判定結果が0以下、つまり、PがPsm以下の場合には、ステップS62へと移行し、圧力交差カウンタCPclossの値を1増加させる。このCPclossは、図6(a)に示されるように、横軸に時間軸、縦軸にPをとってプロットした場合に、Pの時間変化曲線がPsmと交差する、つまり、PがPsmより大きい状態から小さい状態へと移行したとき、あるいは、その逆の場合に、図6(b)に示されるように、1増分されていく。ステップS58、S60で条件を満たさない場合は、このステップS62の処理はスキップされる。
【0032】
次に、圧力値の前回値Poldに現在の圧力値Pを格納し(ステップS64)、圧力交差カウンタCPclossの値をしきい値CPthと比較する(ステップS66)。このCPthは、例えば、各気筒の行程をずらして行う場合には、気筒数×2として設定される。CPclossがCPth未満の場合には、その後の処理をスキップして終了する。一方、CPclossがCPth以上の場合には、圧力脈動が排気脈動であると仮定したときの推定機関回転数Npを求める(ステップS68、図6(b)参照)。このNpは2×60/txで求められる。なぜなら、エンジン2は4サイクル式であるから、エンジン2が2回転する間に、各気筒は4つの行程を行う。排気脈動はこのうちの排気行程に起因するため、2回転の間に気筒の数だけ排気脈動が発生し、これに伴う圧力交差は脈動の数1回に対して2回発生することになる。したがって、1分間あたりの回転数は、その周期(tx)の逆数の2×60倍として求められる。2つの気筒ずつが同一のタイミングで行程を実施するような場合には、CPthは、気筒数×2ではなく、気筒数に一致させればよい。
【0033】
推定回転数Npを算出したら、カウンタ値CPcloss、txをいずれも0にリセットする(ステップS70)。そして、回転数のなまし値Nesmと求めた推定回転数Npとの差分の絶対値をしきい値Bと比較する。絶対値がしきい値Bを超える場合、つまり、NpとNesmとの差が±B以上である場合には、機関回転数に対して圧力脈動の周期が一致しておらず、この圧力脈動は排気脈動によるものではないと判定し、ΔPsumをリセットする(ステップS74)。一方、絶対値がしきい値B未満の場合、つまり、NpとNesmとの差が±B未満で一致している場合には、圧力脈動は機関回転数に対応しており、排気脈動による可能性が高いと判定し、ステップS74の処理をスキップすることにより、ΔPsumを保持する。
【0034】
ここでは、圧力交差から周期を求める例を説明したが、極大値、極小値、変化量の増減傾向の反転状態等を基にして周期を求めてもよい。
【0035】
こうして圧力脈動周期を判定した後、故障判定済みか否かを判定する(ステップS8)。これは、後述する故障判定フラグXAIの値を調べることにより判定することができる。なお、故障が検出された場合には、各故障判定フラグはイグニッションスイッチがオフにされた場合でも保持され、整備・点検後でないとリセットされない構成とするすることが好ましい。
【0036】
故障判定が完了していない場合には、ステップS10へと移行して、所定のAI実行条件が成立しているか否かを判定する。この実行条件は、エンジンECU23から送られるエンジン冷却水温、吸気温、始動経過時間、バッテリー電圧、負荷条件等により決定される。なお、AI実行中に終了条件が満たされた場合にも、実行条件不成立とされる。
【0037】
AI実行条件が成立した場合には、ステップS12へと移行して、AI制御中であれば、AI制御を継続し、AI制御中でない場合には、AI制御を開始する。具体的には、三方弁17を制御して、配管16を吸気管20へと連通させることにより、吸気管20内の負圧をASV13に導いて、ASV13を開制御するとともに、AP12を駆動させる。これにより、機器が正常に作動していれば、エアフィルタ25を通過した空気の一部が2次空気供給通路11を介して排気管21内へと導かれる。
【0038】
続く、ステップS14では、すでに供給制御時の圧力挙動判定が終了しているか否かを調べる。これは、後述するフラグXstep1の値を調べることにより、判定することができる。判定が終了している場合は、その後の処理をスキップして終了する。
【0039】
供給制御時の圧力挙動判定が終了していない場合には、ステップS16へと移行して、供給制御時の圧力挙動判定を行う。図7にこの供給制御時の圧力挙動判定の処理フローを示す。
【0040】
まず、判定条件が成立しているか否かをチェックする(ステップS102)。この判定条件とは、AI実行から所定の時間が経過してAP12の作動が安定した状態にあり、エンジン2の回転数、負荷や車両の車速条件からエンジンがアイドル状態にあり、圧力挙動を安定的に判定できる状態にあることを示す条件を指す。判定条件が満たされていない場合には、以降の判定処理をスキップして処理を終了する。
【0041】
判定条件が満たされている場合には、圧力脈動積算値ΔPsumを判定しきい値βと比較する(ステップS104)。ΔPsumがβ以上の場合には、排気脈動による圧力脈動ありと判定し、図2で示される脈動の大きなパターン1、2のいずれかであると判定して、ステップS106へと移行する。このステップS106では、圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン1であり、2次空気供給が行われていると判定して、ステップS108へと移行して空気流量Qを算出する。
【0042】
ここで、AP12の供給空気量は、吐出圧力が大きいほど増大する関係がある。そこで、吐出圧力(実際には、圧力センサ15の出力から求めた圧力なまし値Psm)から供給空気量を推定することができる。供給空気量が所定のしきい値Qxより少ないと、排気中の燃料濃度が高いまま維持され、エミッションが悪化するおそれがある。そこで、推定供給空気量がこのQxを上回っているか否かをチェックする(ステップS110)。なお、圧力なまし値PsmをQxに対応する吐出圧力に該当する圧力しきい値Pxと比較してもよい。この場合は、ステップS108とS110の処理を一度の処理で行うことができる。
【0043】
ステップS110で供給空気量が少ないと判定された場合には、ステップS112へと移行して、流量状態を示すフラグXfaildownに流量低下を示す1をセットし、ステップS120へと移行する。供給空気量が充分な場合にはステップS120へと直接移行する。そして、ステップS120では、供給時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF11にパターン1であることを示す1をセットし、ステップS130へと移行して供給制御時の圧力挙動パターンの判定状態を示すフラグXstep1に判定終了を示す1をセットし、このサブルーチンを終了する。
【0044】
ステップS106でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン2であると判定し、ステップS140へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン2であるか否かを示すフラグF12にパターン2であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0045】
ステップS104でΔPsumがβ未満であった場合には、図2で示される脈動のないパターン3、4のいずれかであると判定して、ステップS150へと移行する。そして、ステップS150では、ステップS106と同様に圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン3であると判定し、ステップS160へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン3であるか否かを示すフラグF13にパターン3であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0046】
一方、ステップS150でPmがP0以下であった場合には、圧力挙動パターンはパターン4であると判定し、ステップS170へと移行して、供給時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF14にパターン4であることを示す1をセットし、ステップS130の処理を行った後、このサブルーチンを終了する。
【0047】
図7のサブルーチン終了後は、処理を終了し、イグニッションスイッチがオンの状態であれば、再び、ステップS2に戻る。
【0048】
ステップS10でAI条件が成立していないと判定された場合には、ステップS18へと移行して、AI待機中、つまり、エンジン始動後、AI条件が成立していない場合か、すでに実行済みかを判定する。実際には、Xstep1の値が判定終了を示す1にセットされているか否かにより判定を行えばよい。Xstep1の値が判定未了を示す初期値0に設定されている場合には、待機中と判定してその後の処理をスキップして終了する。一方、判定完了を示す1にセットされている場合には、ステップS20へと移行し、現在AI制御中か否かを判定する。制御中、つまり現在AI制御継続中の場合には、AI制御の終了処理を行う(ステップS22)。具体的には、三方弁17を制御して、三方弁17よりASV13側の配管16を配管18側へと連通させることで、フィルタ19を通過した外気をASV13に導いて、ASV13を閉制御するとともに、AP12を停止させてAI制御を停止する。
【0049】
AI制御停止後、停止制御時の圧力挙動判定処理を実行する(ステップS24)。図8に、この停止制御時の圧力挙動判定の処理フローを示す。
【0050】
まず、判定条件が成立しているか否かをチェックする(ステップS202)。この判定条件とは、AI停止から所定の時間が経過して、正常に機能している場合のAP12が停止するのに必要な時間が経過しており、エンジン2の回転数、負荷や車両の車速条件からエンジンがアイドル状態にあり、圧力挙動を安定的に判定できる状態にあることを示す条件を指す。判定条件が満たされていない場合には、以降の判定処理をスキップして処理を終了する。
【0051】
判定条件が満たされている場合には、圧力脈動積算値ΔPsumを判定しきい値βと比較する(ステップS204)。ΔPsumがβ以上の場合には、排気脈動による圧力脈動ありと判定し、図2で示される脈動の大きなパターン1、2のいずれかであると判定して、ステップS206へと移行する。このステップS206では、圧力なまし値Psmと閾値P0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、パターン1であると判定して、ステップS220へと移行し、停止時の圧力挙動パターンがパターン1であるか否かを示すフラグF21にパターン1であることを示す1をセットする。
【0052】
ステップS206でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン2であると判定し、ステップS240へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン2であるか否かを示すフラグF22にパターン2であることを示す1をセットする。
【0053】
ステップS204でΔPsumがβ未満であった場合には、図2で示される脈動のないパターン3、4のいずれかであると判定して、ステップS250へと移行する。そして、ステップS250では、ステップS208と同様にPsmとP0とを比較する。PsmがP0以上の場合には、圧力挙動パターンはパターン3であると判定し、ステップS260へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン3であるか否かを示すフラグF23にパターン3であることを示す1をセットする。
【0054】
一方、ステップS250でPsmがP0未満であった場合には、圧力挙動パターンはパターン4であると判定し、ステップS270へと移行して、停止時の圧力挙動パターンがパターン4であるか否かを示すフラグF24にパターン4であることを示す1をセットする。
【0055】
フラグF21〜F24をセットした後は、いずれの場合もステップS230へと移行して停止制御時の圧力挙動パターンの判定状態を示すフラグXstep2に判定終了を示す1をセットし、このサブルーチンを終了する。
【0056】
図8のサブルーチンが終了したら、図3に示されるメインフローのステップS26へと移行する。ステップS26では、フラグXstep2の値をチェックすることで、停止時の圧力挙動判定が終了しているか否かをチェックする。Xstep2が1以外の場合には、停止制御時の圧力挙動パターンの判定が未了のため、その後の処理をスキップして終了する。一方、Xstep2が1の場合には、停止制御時の圧力挙動パターンの判定も完了しているので、次の処理ステップS28へと移行する。
【0057】
ステップS28では、ステップS16とS24における圧力挙動パターンの判定結果を基にして構成部品の故障モードを判定する。AP12、ASV13のそれぞれの正常、異常モードの組み合わせに対する供給・停止制御時の圧力挙動パターンの組み合わせを表2にまとめて示す。
【0058】
【表2】
【0059】
この表において、○は正常を、×は機器の故障を表す。
【0060】
このステップS28における判定処理はこの表2を基にして行われる。図9にこの判定処理ルーチンの処理フローを示す。まず、フラグF11が1であるか否かをチェックする(ステップS300)。1の場合は供給制御時の圧力挙動パターンがパターン1であることを示しているので、次にステップS302へと移行し、フラグF24が1であるか否かをチェックする。1の場合は停止制御時の圧力挙動パターンがパターン4であることを示すから、表2から明らかなようにこの組み合わせは表2におけるモード1であり、AP12、ASV13とも正常であることを示す。そこで、ステップS304へと移行して流量状態を示すフラグXfaildownの値をチェックすることで、流量低下が起こっていないか否かをチェックする。Xfaildownが1でない場合には、流量低下が引き起こされておらず、機器がいずれも正常であるから、ステップS306へと移行して、故障診断フラグXAIに正常であることを示す1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、Xfaildownが1の場合には、流量低下があることから、AP12の作動不良の可能性があり、ステップS318へと移行して、故障診断フラグXAIに異常であることを示す−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0061】
ステップS302でF24が1でない場合には、表2におけるモード2、4、5のいずれかであるから、ステップS310へと移行する。このステップS310では、まずフラグF22が1であるか否かをチェックする。F22が1でない場合、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2ではなく、パターン1、3であるモード4、5の場合には、AP12が常時作動している故障状態にあることから、ステップS312へと移行して、エアポンプの故障診断フラグXFAPに常時作動故障であることを示す1をセットしてステップS314へと移行する。一方、F22が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合、つまりモード2の場合には、AP12は正常であるから、ステップS312をスキップしてステップS314へと移行する。
【0062】
続く、ステップS314では、フラグF23が1であるか否かをチェックする。F23が1でない場合、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン3ではなく、パターン1、2であるモード2、5の場合には、ASV13が常時開弁している開固着状態にあることから、ステップS316へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに開固着であることを示す1をセットしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F23が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン3、つまりモード4の場合には、ASV13は正常であるから、ステップS316をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0063】
一方、ステップS300でF11が1でないと判定された場合には、モード3、6〜9のいずれかであることを示す。この場合には、ステップS320へと移行してフラグF12が1であるか否かをチェックする。F12が1、つまり供給制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合はモード7、8のいずれかであり、いずれの場合にもAP12は不作動状態であることから、エアポンプの故障診断フラグXFAPに不作動故障であることを示す−1をセットしてステップS324へと移行する。このステップS324では、フラグF22が1であるか否かをチェックする。F22が1、つまり停止制御時の圧力挙動パターンがパターン2の場合はモード8であり、ASV13が常時開弁している開固着状態にあることから、ステップS326へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに開固着であることを示す1をセットしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F22が1でない場合はモード7であって、ASV13は正常であるから、ステップS326をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0064】
一方、ステップS320でF12が1でないと判定された場合には、モード3、6、9のいずれかであることになる。いずれの場合もASV13は常時閉弁状態である閉固着状態にあることから、ステップS330へと移行して、ASVの故障診断フラグXFASVに閉固着であることを示す−1をセットする。続いて、ステップS332ではフラグF13が1であるか否かをチェックする。F13が1の場合には、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン3であり、モード3、6のいずれかであることを示す。この場合は、ステップS334へと移行してフラグF23が1であるか否かをチェックする。1である場合には、停止制御時の圧力挙動パターンもパターン3であり、モード6であって、AP12が常時作動している故障状態にあることになる。そこで、ステップS336へと移行して、エアポンプの故障診断フラグXFAPに常時作動故障であることを示す1をセットした後、ステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。一方、F23が1でない場合はモード3であって、AP12は正常であるから、ステップS336をスキップしてステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。
【0065】
ステップS332でF13が1でないと判定された場合には、モード9であってAP12が不作動の故障状態にあることを示す。そこで、ステップS338へと移行してエアポンプの故障診断フラグXFAPに不作動故障であることを示す−1をセットした後、ステップS318へと移行し、故障診断フラグXAIに−1をセットしてサブルーチンを終了する。図9のサブルーチンが終了したら、メインルーチンの処理も終了し、イグニッションスイッチがオン状態であれば、再度ステップS2から処理を行う。
【0066】
判定処理が終了していた場合(すでに故障が検出され、整備・点検によりリセットされていない場合を含む。)には、前述したステップS8において、故障診断フラグXAIが初期値0以外に設定されていることから、ステップS30へと移行する。ステップS30では、さらに故障診断フラグXAIが故障状態を示す−1に設定されているか否かを調べることで、故障ありか否かを判定する。その値がシステムが正常であることを示す1の場合には、ステップS32をスキップして処理を終了する。一方、その値がシステムに故障があることを示す−1である場合には、ステップS32へと移行して図示していない表示装置やアラームを利用して運転者に対して2次空気供給装置に故障・異常がある旨を通知する警告処理を行い、処理を終了する。
【0067】
本発明に係るこの異常検出ルーチンによれば、エアポンプ、ASVのいずれがどのような故障をしているのかを正確に検知することが可能である。図10は、2次空気供給装置の作動制御から停止制御に切り替えた前後の各状態量の変化を示すタイミングチャートの一例である。ここでは、ASV13は正常であるが、AP12が常時作動故障をしている場合、つまり、表2におけるモード4の状態を表している。
【0068】
この場合、図10(a)に示されるように、停止制御を行った場合、これに伴い、図10(b)に示されるように、AP12による圧力サージングによって圧力値に脈動が発生する。従来の判定方法によれば、図10(c)に破線で示されるように、圧力脈動積算値ΔPsum’がしきい値βを超えているため、圧力挙動をパターン1と誤判定し、その結果、ASV13も開固着していると誤判定する可能性がある。しかしながら、本発明によれば、圧力の脈動周期(具体的には、この脈動が排気脈動であると仮定した場合に推定されるエンジン回転数Np)と実際のエンジン回転数のなまし値Nesmとを比較することにより、図10(d)に示されるように、両者の差の絶対値がしきい値Bの範囲内で一致しない場合には、圧力脈動は排気脈動ではないと判定して、図10(c)に示されるように、圧力脈動積算値ΔPsumを0にリセットするため、ΔPsumがしきい値βを超えることはない。これにより、圧力サージングのように排気脈動によらない圧力脈動の場合には、排気脈動のあるパターン1ではなく、排気脈動のないパターン3であると判定して、ASV13を開固着と誤判定することがなく、正確な判定が可能となる。
【0069】
また、圧力センサ15の出力にノイズが載っている場合も、このノイズの周期と排気脈動の周期の違いから、排気脈動がなくノイズのみによって見かけの圧力脈動が発生している場合には脈動なしであるパターン4またはパターン3であると正確に判定することができるので、構成部品の異常を正確に判定することができる。
【0070】
以上の説明では、AI終了後に停止制御時の圧力挙動判定処理を行い、その後で異常判定処理を行う例を説明したが、AI供給中に強制的に一時供給を停止することにより停止制御時の圧力挙動判定を行うことで、AI供給制御の条件成立中にその異常判定を行ってもよい。このようにすると、AI制御中に故障診断を行うことが可能となる。
【0071】
また、表2に示されるように、機器正常時におけるAI供給制御時の圧力挙動パターンはパターン1に限られることから、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン1以外であった場合には、直ちにAI制御を停止して、停止時の圧力挙動パターン判定に移行してもよい。特に、供給制御時の圧力挙動パターンがパターン4であった場合には、表2に示されるモード9であることは明らかであるから、停止時の圧力挙動パターン判定を省略することも可能である。
【0072】
圧力センサ15としては大気圧との差圧を出力する相対圧センサのほか、絶対圧センサを用いることもできる。この場合、2次空気系の作動停止時には、大気圧の検出が可能な構成である必要があるが、一般的なAP12では、ハウジングとポンプ回転体とが密着しておらず、非作動時にはその前後が連通する構成となっているため、このようなAP12においては、大気圧検出が可能である。このような構成の場合には、エンジン始動前の出力値を大気圧として用い、その差から相対圧を演算すればよい。これにより、2次空気系の異常検出時および2次空気供給中以外には、圧力センサ15を大気圧センサとして用いることが可能となる。ただし、AP12の常時作動故障時には吐出圧分だけ大気圧を高めに見積もる可能性があるので、この場合はAP12の使用電力、電圧、電流等をチェックして補正すればよい。また、ASV13の開固着時には、エンジン2による排気脈動が伝達される可能性があるが、この場合、平均圧力は大気圧近傍となるので平均化処理により大気圧を検出することが可能である。
【0073】
以上の説明では、圧力脈動が排気脈動と仮定したときの推定機関回転数と実際の機関回転数とを比較して圧力脈動が排気脈動であるか否かを判定する例を説明したが、本発明はこの形態に限られるものではない。例えば、実際の機関回転数から発生する排気脈動の周期を求めて、これと圧力脈動とを比較してもよい。また、圧力脈動を用いた2次空気供給装置の故障判定に際しては、一定の機関回転数の範囲内にある場合の圧力脈動値を用いていることから、推定機関回転数がこの所定範囲内に一致しているか否かや、所定範囲の機関回転数から予想される圧力脈動の周期と実際の圧力脈動の周期が一致しているか否かによって判定してもよい。さらに、周期そのものではなく、所定時間内における圧力交差の発生回数等によって判定を行うこともできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、圧力脈動の周期を基にして、この圧力脈動が排気脈動によるものか否かを判定するため、排気脈動によらないエアポンプの圧力サージングや圧力センサのノイズを排気脈動と誤判定することにより、特に、開閉手段の正常・異常状態を誤判定することがなく、正確な判定を行うことが可能となる。ここで、圧力脈動が排気脈動によるものか否かはその周期と、機関回転数との関係を調べれば、正確な判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置を含む2次空気供給装置を搭載した内燃機関の構成を示す概略図である。
【図2】図1の圧力センサ位置における圧力挙動パターンを模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る2次空気供給装置の故障診断装置における故障検出ルーチンのメインフロー図である。
【図4】図3の処理に用いられる圧力のなまし値Psmと圧力脈動の積算値ΔPsumの計算方法を説明する図である。
【図5】図3の処理における圧力脈動周期判定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図6】図5の処理における圧力脈動周期の求め方を説明する図である。
【図7】図3の処理における供給制御時の圧力挙動判定の処理フローを示すフローチャートである。
【図8】図3の処理における停止制御時の圧力挙動判定の処理フローを示すフローチャートである。
【図9】図3の処理における判定処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】2次空気供給装置の作動制御から停止制御に切り替えた前後の各状態量の変化を示すタイミングチャートの一例である。
【符号の説明】
1…2次空気供給装置、2…エンジン、10…制御装置、11…2次空気供給通路、12…エアポンプ(AP)、13…エアスイッチングバルブ(ASV)、14…リード弁(RV)、15…圧力センサ、16…配管、17…三方弁、18…配管、19…フィルタ、20…吸気管、21…排気管、22…排気浄化装置、23…エンジンECU、24…スロットル、25…吸気フィルタ、26…エアフローメータ、27…回転数センサ、31、32…O2センサ。
Claims (5)
- 内燃機関の排気系の排気浄化装置より上流側に2次空気を供給するための2次空気供給通路と、前記2次空気供給通路の上流側に配置されるエアポンプと、前記エアポンプより下流側の前記2次空気供給通路上に配置される圧力センサと、を備える2次空気供給装置の構成部品の異常状態を、前記エアポンプの作動時と非作動時における前記圧力センサの出力に基づいて検出する異常検出部を備えている2次空気供給装置の故障診断装置であって、
前記圧力センサで得られた圧力値の脈動の周期を基にして該脈動が排気脈動によるものか否かを判定する脈動判定部を備えている2次空気供給装置の故障診断装置。 - 前記2次空気供給装置は、前記圧力センサより下流側に前記2次空気供給通路の連通・遮断状態を切り替える開閉手段を備えており、前記脈動判定部は、前記開閉手段を閉制御している場合に、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かの判定を行う請求項1記載の2次空気供給装置の故障診断装置。
- 前記脈動判定部は、内燃機関の回転数情報を受信し、受信した情報による回転数と圧力値の脈動周期との比較により、圧力値の脈動が排気脈動によるものか否かを判定する請求項1または2に記載の2次空気供給装置の故障診断装置。
- 前記異常検出部は、前記2次空気供給装置の2次空気供給制御時および供給停止制御時の圧力挙動パターンに基づいて各構成部品の故障状態を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2次空気供給装置の故障診断装置。
- 前記異常検出部は、圧力脈動の積算値を求める積算手段を備え、前記脈動判定部によって圧力脈動が排気脈動によるものと判定された場合にのみ、この積算値を利用して前記圧力挙動パターンを判定する請求項4記載の2次空気供給装置。
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