JP2013034913A - 水素分離装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素分離装置1では、水素透過膜17と緻密質支持部13との間に、水素透過膜17の構成材料(Pd)と緻密質支持部13の構成材料(YSZ)とを共に含有し気密性を有する混合層15を備えている。従って、この混合層15と水素透過膜17及び緻密質支持部13とは強固に接合しているので、水素分離筒3の中心孔9に高い圧力の原料ガスを供給した場合でも、その接合部分から原料ガスがリークすることを防止できる。
【選択図】図1
Description
また、支持体P4の開口端側(基端側:同図左側)は、緻密質支持部P6上に設けられた(ロウ材等からなる)シール部P7を介して取付金具P8に固定されていた。
なお、前記多孔質支持部P4、P12に改質触媒を含む場合には、多孔質支持部P4、P12と水素透過膜P2、P10との間に、それらが直接に接触しない様にバリア層(図示せず)が形成されていた。
多孔質支持部の内部に被分離ガス(例えば炭化水素ガス等の原料ガス)を導入し、多孔質支持部に含まれる改質触媒物質により改質反応を起こし、それによって生成した水素を分離する場合には、本構造は顕著に効果を発揮する。
(5)本発明は、第5態様として、前記水素分離膜の構成材料は、Pd又はPd系合金であって、前記混合層のPd又はPd系合金の体積比率は、30〜70体積%であることを特徴とする。
以下に、本発明における各構成例について説明する。
混合層:混合層を厚み方向に破断した断面を電子顕微鏡にて観察する際に、電子顕微鏡の視野の全範囲において、混合層(断面)が観察視野全範囲の20%以上を占めるように調整し、かつ、水素分離膜断面及び混合層断面が全体と(水素分離膜を支持する多孔質支持部等の)支持体の断面の一部とが視野に入るように調整して観察する(SEM写真を撮影して観察する)。
[第1実施形態]
ここでは、水素分離装置として、例えば燃料電池に燃料ガス(水素ガス)を供給するために、原料ガスから水素を分離する水素分離装置について説明する。
図1に模式的に示す様に、本第1実施形態の水素分離装置1は、原料ガスから水素を分離する部材として、一端が閉塞された円筒有底管形状(試験管状)の水素分離筒3を備えるとともに、水素分離筒3が取り付けられる筒状の取付金具5と、水素分離筒3と取付金具5とをシール(気密)して接合する筒状のシール部7とを備えている。以下、各構成について説明する。
前記緻密質支持部13は、YSZからなる円筒形状の緻密質のセラミック焼結体であり、ガスの透過ができない程度に十分に緻密化され、その強度は多孔質支持部11よりも大きくされている。
まず、セラミック支持体19の形状に対応したゴム型を用意し、そのゴム型に緻密質支持部13を形成するYSZの造粒粉を充填し、次に、その上に、多孔質支持部11を形成するYSZと造孔材との混合材料(造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料)からなる造粒粉を充填した。
次に、成形体の緻密質支持部13に対応する外表面(即ち混合層15の形成箇所)に、PdとYSZの体積比が50:50の混合粉末スラリーを塗布し乾燥した。
その後、水素分離筒3の外周面の後端側に例えばAgからなるロウ材を配置して、取付金具5の嵌合部29に嵌め込み、所定温度でロウ付けを行って、水素分離筒3と取付金具5とを接合して一体化し、水素分離装置1を得た。
また、本第1実施形態では、混合層15が気密性を有するように緻密に構成されているので、混合層15上に形成された水素透過膜17の一部にピンホールが形成されていても、ガスリークしないという利点がある。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図3に要部を示す様に、本第2実施形態の水素分離装置31は、原料ガスから水素を分離する部材として、一端が閉塞された円筒有底管形状の水素分離筒33を備えるとともに、水素分離筒33が取り付けられる(第1実施形態と同様な)取付金具35と、水素分離筒33と取付金具35とをシールして接合する(第1実施形態と同様な)シール部37とを備えている。以下、本第2実施形態の特徴部分について説明する。
また、前記第1実施形態と同様に、緻密質支持部43の外周面の先端側を覆う様に、セラミック支持体51の構成材料(例えばYSZ)と水素透過膜49の構成材料(例えばPd)とを所定の割合で含む(例えば50体積%づつ含む)混合層45が形成されている。
このバリア層47は、例えばYSZからなり、多孔質支持部41の金属成分(例えばNi)と水素透過膜49の成分(例えばPd)とが互いに交じり合う(拡散する)ことにより、水素透過膜49の水素透過性能が劣化することを防止するための多孔質層(相互拡散防止層)である。
b)次に、本第2実施形態の水素分離装置31の製造方法について説明する。
まず、セラミック支持体51の形状に対応したゴム型を用意し、そのゴム型に緻密質支持部43を形成するYSZの造粒粉を充填した後、改質触媒機能を有する多孔質支持部41を形成する材料として、NiOとYSZとを重量比で2:8の割合で用いるとともに、造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料の造粒粉を充填した。
次に、成形体の緻密質支持部43に対応する外周面(即ち混合層45の形成箇所)に、PdとYSZの体積比が50:50の混合粉末スラリーを塗布し乾燥した。
次に、めっき法によりPd膜形成およびAg膜形成を行い、更に合金化熱処理することにより水素透過膜49を形成し、水素分離筒33を得た。
c)本第2実施形態では、前記第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、改質機能を有する多孔質支持部41によって原料ガス(炭化水素ガス)の改質ができるという利点がある。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図4に要部を示す様に、本第3実施形態の水素分離装置61は、水素含有ガスから水素を分離する部材として、一端が閉塞された円筒有底管形状の水素分離筒63を備えるとともに、この水素分離筒63が取り付けられる(第1実施形態と同様な)取付金具65と、水素分離筒63と取付金具65とをシールして接合する(第1実施形態と同様な)シール部67とを備えている。以下、本第3実施形態の特徴部分について説明する。
この多孔質支持部69の外周面の基端側(同図左側)には、YSZからなり、円筒形状で気密性を有する例えば厚さ約10μmの緻密質層71が形成されている。
まず、多孔質支持部69の形状に対応したゴム型を用意し、そのゴム型に、(多孔質支持部69を形成する)YSZに造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料の造粒粉を充填した。
次に、YSZ粉末を有機溶媒中に分散させたスラリーを調製し、成形体の外周面の端部(緻密質層71の形成箇所)に、そのスラリーをディップコーティング法により塗布し乾燥した後、その乾燥した層の外周面の端部(混合層75の形成箇所)に、PdとYSZの体積比が50:50の混合粉末スラリーを塗布し乾燥した。
次に、めっき法によりPd膜形成およびAg膜形成を行い、更に合金化熱処理する事により水素分離筒63を得た。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、前記第3実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図5に要部を示す様に、本第4実施形態の水素分離装置81は、原料ガスから水素を分離する部材として、一端が閉塞された円筒有底管形状の水素分離筒83を備えるとともに、この水素分離筒83が取り付けられる(第3実施形態と同様な)取付金具85と、水素分離筒83と取付金具85とをシールして接合する(第3実施形態と同様な)シール部87とを備えている。以下、本第4実施形態の特徴部分について説明する。
この多孔質支持部89は、前記第2実施形態と同様に、改質触媒としての役割と水素透過膜91を支持する役割とを有する通気性を有するセラミック焼結体、具体的にはNiを含むYSZからなる多孔質セラミック(Ni−YSZサーメット)製の支持体であり、この多孔質支持部89では、原料ガスを水蒸気改質して改質ガス(水素を多く含むガス)を生成する。
また、多孔質支持部89の露出した外周面の全表面(緻密質層93で覆われていない部分)と、混合層95の先端側の外周面とを覆うように、例えば厚さ約60μmの例えばYSZからなる多孔質のバリア層97が形成されている。
b)次に、本第4実施形態の水素分離装置81の製造方法について説明する。
まず、多孔質支持部89の形状に対応したゴム型を用意し、そのゴム型に、(改質触媒機能を有する多孔質支持部89を形成する材料として)NiOとYSZとを重量比で2:8の割合で用いるとともに、造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料の造粒粉を充填した。
次に、YSZ粉末を有機溶媒中に分散させたスラリーを調製し、成形体の端部(緻密質層93の形成箇所)に、そのスラリーをディップコーティング法により塗布し乾燥した後、その乾燥した層の端部(混合層95の形成箇所)に、PdとYSZの体積比が50:50の混合粉末スラリーを塗布し乾燥した。
また、YSZ粉末を有機溶媒中に分散させたスラリーを調製し、ディップコーティング法により、そのスラリーを、多孔質支持部89及び混合層95の外周面のうちバリア層97の形成箇所に塗布し乾燥し、1300℃にて熱処理を行ってバリア層97を形成した。
次に、めっき法によりPd膜形成およびAg膜形成を行い、更に合金化熱処理することにより水素分離筒83を得た。
[第1比較例]
次に、後述する実験例に用いる本発明の範囲外の第1比較例について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図6に示す様に、本第1比較例の水素分離装置101は、前記第1実施形態と同様な多孔質支持部103及び緻密質支持部105からなるセラミック支持体107と取付金具109とシール部111とを備えている。
まず、緻密質支持部105を形成するYSZの造粒粉をゴム型に充填した後、多孔質支持部103を形成するYSZと造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料の造粒粉を充填し、その後、80MPaの圧力にてプレス成形を行うことにより、円筒有底管形状の成形体を得た。
[第2比較例]
次に、後述する実験例に用いる本発明の範囲外の第2比較例について説明するが、前記第3実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図7に示す様に、本第2比較例の水素分離装置121は、前記第3実施形態と同様な多孔質支持部123と取付金具125とシール部127とを備えている。
まず、多孔質支持部体123を形成するYSZと造孔材として有機ビーズを50vol%添加した混合材料の造粒粉をゴム型に充填した後、80MPaの圧力にてプレス成形を行うことにより、円筒有底管形状の成形体を得た。
<<実験例>>
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
(実験例1)
本実験例1では、実験に用いる試料として、前記第1〜4実施形態及び第1、2比較例の水素分離装置を製造した。そして、その試料を用いて、室温(25℃)、内圧1.0MPaGの条件にて、水中Heリーク試験を実施した。
(実験例2)
本実験例2は、混合層の組成による効果を検討したものである。
まず、混合層の組成最適化の検討する為に、PdとYSZの体積比率が20:80、30:70、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20の7組成のスラリーを調製した。
PdとYSZの体積割合が80:20の場合は、成形体との同時焼成後に混合層と緻密質支持部との界面で剥離し、水素分離膜を形成するに至らなかった。これは、混合層中のYSZの割合が少ないため、緻密質支持部と密着せず、混合層と緻密質支持部との界面で剥離したと考えられる。
(実験例3)
本実験例3は、混合層の材料の組成と製品における成分との関係を調べたものである。
次に、図9(b)に示す様に、この測定領域の画像を2値化して、2値化画像を作成した。
<その他>
[第1実施形態の変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図8に示す様に、本変形例の水素分離装置141は、前記第1実施形態と同様に、多孔質支持部143及び緻密質支持部145からなるセラミック支持体147と、緻密質支持部145上の混合層149と、多孔質支持部143等の表面を覆う水素透過膜151とを備えている。なお、セラミック支持体147と混合層149と水素透過膜151とにより、水素分離筒153が構成されている。
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
3、33、63、83、115、133、153…水素分離筒
5、35、65、85、109、125、155…取付金具
7、37、67、87、111、127、159…シール部
11、41、69、89、103、123、143…多孔質支持部
13、43、105、145…緻密質支持部
15、45、75、95、149…混合層
17、49、73、91、113、131、151…水素透過膜
19、51、107、147…セラミック支持体
47、97…バリア層
71、93、129…緻密質層
Claims (5)
- ガスの通過が可能な筒状の多孔質支持部と、前記多孔質支持部の軸方向に沿って該多孔質支持部の端部から延びて気密性を有する筒状の緻密質支持部とを有する筒状の支持体と、
前記支持体の外周の表面上において、前記多孔質支持部と前記緻密質支持部とに跨って、前記多孔質支持部の外周の全領域と、前記緻密質支持部の外周の前記多孔質支持部側の近傍領域とを一体に覆うように積層される水素分離膜と、
を備える水素分離装置であって、
前記積層方向において前記水素分離膜と前記緻密質支持部との間に配置され、前記水素分離膜の構成材料と前記緻密質支持部の構成材料とを共に含有し気密性を有する混合層を備えたことを特徴とする水素分離装置。 - ガスの通過が可能な筒状の多孔質支持部と、
前記多孔質支持部の軸方向の端部において、前記多孔質支持部の外周の表面を覆うように積層され気密性を有する筒状の緻密質層と、
前記多孔質支持部及び前記緻密質層の外周の表面上において、前記多孔質支持部と前記緻密質層とに跨って、前記緻密質層の外周の一部の領域と、前記多孔質支持部の外周の前記緻密質層が形成されていない領域とを一体に覆うように積層される水素分離膜と、
を備える水素分離装置であって、
前記積層方向において前記水素分離膜と前記緻密質層との間に配置され、前記水素分離膜の構成材料と前記緻密質層の構成材料を共に含有し気密性を有する混合層を備えたことを特徴とする水素分離装置。 - 前記多孔質支持部が、原料ガスを改質して水素を生成する改質触媒物質を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の水素分離装置。
- 前記多孔質支持部と前記水素分離膜との間に、前記多孔質支持部の改質触媒物質の成分と前記水素分離膜の成分との反応を抑制する多孔質のバリア層を備えたことを特徴とする請求項3に記載の水素分離装置。
- 前記水素分離膜の構成材料は、Pd又はPd系合金であって、前記混合層のPd又はPd系合金の体積比率は、30〜70体積%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素分離装置。
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