JP5623819B2 - ガスシール複合体及び該ガスシール複合体を備えた装置 - Google Patents
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Description
つまり、膨張黒鉛製ガスケット、マイカ等の無機系ガスケットは、ガスケット内の僅かな間隙を通ってガスが漏れるという問題があった。
また、本発明では、一対のガスケット及び金属箔は筒状であり、金属箔は、一方のガスケットの軸方向における端面を覆うとともに、その端面に隣接する内周面の端部とその端面に向かい合う他方のガスケットの端面に隣接する外周面の端部とを覆うように、軸方向に沿って折れ曲がっている。
この構成により、金属箔がガスケットの端面からずれにくくなるので、金属箔によってガスケットの端面及びその周囲を確実に覆うことができる。
(3)本発明は、請求項3に記載の様に、前記金属部材と前記金属部材に対向して配置される相手部材との間に、前記金属部材と前記相手部材との間隙をガスシールする前記請求項1又は2に記載のガスシール複合体を備えた装置である。
以下、本発明の各構成について説明する。
・前記相手部材の材料としては、金属部材の材料とは異なり、同じ条件(押圧力等)下においては金属部材よりも割れやすい例えばセラミック又はガラスを含む材料を採用できる。ここで、セラミックとしては、ジルコニア、安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、窒化珪素、窒化アルミ、酸化チタン等を採用でき、ガラスとしては、シリカガラス、ホウ珪酸ガラス等を採用できる。
バリア層の構成材料としては、例えばジルコニア、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、アルミナ、マグネシア、セリア等、もしくはそれらの材料の混合物もしくは化合物を用いることができる。
密度(嵩密度)が0.6〜1.9g/cm3、圧縮率(JIS−R3453に準拠)が
10〜90%、復元率(JIS−R3453に準拠)が3〜70%、酸化開始温度(空気中での加熱によって重量が1%減少したときの温度)が400℃以上。
[第1実施形態]
ここでは、ガスシール複合体が使用されたガス分離装置を例として説明する。例えば燃料電池に燃料ガス(水素ガス)を供給する水素分離装置(ガス製造装置)について説明する。
図1に模式的に示す様に、本実施形態の水素分離装置1は、一端が閉塞された試験管状の水素分離筒3と、水素分離筒3の開放端側が挿入された筒状の取付金具5と、水素分離筒3の外周面と取付金具5の内周面との間に配置された円筒形のガスシール複合体7と、ガスシール複合体7の先端側(同図上側)を押圧する円筒形の押圧金具9と、押圧金具9に外嵌されて取付金具5に螺合する筒状の固定金具11とを備えている。
図2に詳細に示すように、前記水素分離筒3は、その軸中心の中心孔13に導入された原料ガス(例えばメタンなどの炭化水素ガスと水蒸気の混合ガス及びその反応によって得られた少なくとも水素ガスを含む混合ガス)から、水素を選択的に分離して、水素分離筒3の外周側に供給する部材である。
バリア層19は、例えばYSZ多孔体からなり、多孔質支持管15の金属成分(例えばNi)と水素透過膜21の成分(例えばPd)とが互いに交じり合う(拡散する)ことにより、水素透過膜21の水素透過性能が劣化することを防止するための多孔質層(相互拡散防止層)である。
前記両ガスケット43、45は、前記空間41内にて、押圧金具9の押圧によって圧縮された状態、従って周囲を押圧した状態に保持されているので、この空間41における原料ガスの漏出を防止している。
<水素分離筒3の製造方法>
例えば酸化ニッケル60質量部と、イットリア8モル%を固溶させたジルコニア40質量部(8YSZ)とを混合する。更に造孔剤として黒鉛粉(又はコンスターチ)を混合して混合材を作製する。
次に、有底円筒管を乾燥した後に、脱脂処理を行い、1400℃で1時間焼成して、NiO−YSZで形成された多孔質支持管15を作製する。
次に、このスラリーを、ディップコート法(又はスプレー吹き付け法、印刷法等)により、多孔質支持管15の表面上に塗布してコート層を形成する。
このバリア層19により被覆された多孔質支持管15を、エタノールで30分間超音波洗浄し、120℃で乾燥させる。
次に、水素雰囲気下にて、600℃で3時間還元処理を施し、これにより、水素分離筒3を完成する。
<ガスシール複合体7の製造方法>
・両ガスケット43、45を製造する場合には、例えば膨張黒鉛製のシートを(図示しない心棒等に)巻き付けることにより、筒状の積層体を形成する(心棒等は後に除去する)。
その後、この膨張黒鉛を、例えば0.6〜1.9g/cm3の密度範囲となるように、プレス成形により負荷・圧縮する。
<水素分離装置1の組付方法>
まず、基端側ガスケット45と先端側ガスケット43との間に、金属箔部材47を同軸に配置し、密着させて一体とする。
次に、水素分離筒3の開放端側を、押圧金具9、先端側ガスケット43、金属箔部材47、基端側ガスケット45の各貫通孔を通す様に挿入し、水素分離筒3の端部を取付金具5の凹部33に嵌める。このとき、両ガスケット43、45の内周面から張り出す金属箔部材47の内周縁部は、水素分離筒3の外周面に当たって、基端側(図2下方)に折れ曲がり、基端側ガスケット45の内周面及び水素分離筒3の外周面に密着する。
c)この様に、本実施形態では、取付金具5の内周面と水素分離筒3の外周面との間に、ガスシール複合体7、即ち一対の膨張黒鉛製のガスケット43、45の間に(両ガスケット43、45に密着する様に)金属箔部材47を配置したガスシール複合体7を備えている。
また、本実施形態では、両ガスケット43、45の間に金属箔部材47を備えていることにより、ガスのリークを防止するために、過大な締付力で締め付ける必要がないので、セラミックを含む水素分離筒3の割れを防止できる。
d)次に、本実施形態の水素分離装置1の効果を確認するために行ったガスリークの実験例について説明する。
・また、比較例1として、図5に示す様に、前記実施例1と同様に、水素分離筒71、取付金具73、固定金具75、押圧金具77、ガスシール部材79からなる水素分離装置81を製造した。但し、比較例1の水素分離装置81では、ガスシール部材79は、膨張黒鉛からなる内径φ10mm、外径φ13mm、幅8mmのガスケットのみから構成されている。
その結果、約0.5cc/minのリークが発生したので、実施例1に比べて気密性が低いことが分かる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のガスシール複合体が使用される水素分離装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図6に示す様に、本実施形態の水素分離装置91は、第1実施形態とほぼ同様に、水素分離筒93、取付金具95、固定金具97、押圧金具99、ガスシール複合体101を備えている。
また、金属箔部材115は、例えば銀からなり、その厚みが10〜100μmの範囲(例えば20μm)のガスシール用の部材(箔)である。この金属箔部材115は、内径φ10mm、外径φ13mmの環状中央部117と、環状中央部117の外周に沿って、先端側ガスケット111の外周に沿って(約0.2mm)先端側に伸びる外側環状先端部119と、環状中央部117の内周に沿って、先端側ガスケット111の内周に沿って(約0.2mm)先端側に伸びる内側環状先端部121とから構成されている。
予め、先端側ガスケット111の軸方向の一方の端面(基端側の端面)に、金属箔部材115を同軸に配置し、密着させて一体とする(即ちガスシール複合体101の取付前形状とする)。
次に、基端側ガスケット113を、水素分離筒93に外嵌し、その水素分離筒93の開放端103側を、取付金具95の空間121に嵌める。
次に、先端側ガスケット111の上に、押圧金具99を嵌める。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態のガスシール複合体が使用される水素分離装置について説明するが、前記第2実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図8に示す様に、本実施形態の水素分離装置131は、第2実施形態とほぼ同様に、水素分離筒133、取付金具135、固定金具137、押圧金具139、ガスシール複合体141を備えている。
詳しくは、押圧部材139の下面とフランジ143の上面とに挟まれるように、円環状の一対のガスケット145、147、即ち、外径12.5mm×内径10mm×厚み2mmの内側ガスケット145と、外径15mm×内径12.5mm×厚み2mmの外側ガスケット147を備え、更に、両ガスケット145、147に挟まれるように、円環状の金属箔部材149が配置されている。
b)次に、水素分離装置131の組付方法について説明する。
次に、取付金具135の内部に、水素分離筒133のフランジ143側を嵌める。
次に、内側ガスケット145の上面に、開口部148(図9参照)を有する(曲げられていない状態の)円盤状の金属箔部材149を配置する。
次に、固定金具137を嵌め、この固定金具137によって押圧金具139を(従ってガスシール複合体141を)締め付けて、水素分離装置131を完成する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態のガスシール複合体が使用される水素分離装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図10に示す様に、本実施形態の水素分離装置161は、平板形の装置である。詳しくは、水素分離装置161は、直方体形状の例えばSUS316からなる容器163の内部に、原料ガスから水素を分離する平板状の水素分離板165を配置したものである。
前記図10に示す様に、周囲の温度が600℃の高温の状態で、例えば原料供給管173より容器163内の第1空間171に、例えばH2を含む高圧(例えば0.8MPaG)の原料ガスが供給されると、原料ガスは水素分離板165にて水素と他のガスとが分離され、分離された水素は第2空間177から水素排出管179を介して、外部に供給される。
本実施形態においても、前記第3実施形態と同様な効果を奏する。
・この実験例(Heリーク試験)では、図12に示す様に、水素分離装置161のオフガス排出管175を封止し、水素排出管179を石鹸膜流量計203に接続した。
・また、比較例2として、図示しないが、第4実施形態のガスシール複合体に代えて、正方形の枠状(外側の1辺39mm×幅10mm×厚み4mm)の(前記ガスケットと同様な材料からなる)ガスケットのみを用いた水素分離装置を作製した。
その結果、約1cc/minのリークが発生したので、第4実施形態に比べて気密性が低いことが分かる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態のガスシール複合体が使用される水素分離装置について説明するが、前記第1実施形態と同様な内容の説明は省略する。
図13に示す様に、本実施形態の水素分離装置201は、複数の水素分離板203と直方体形状の金属製(例えばSUS316)の薄型容器205とを交互に積層した積層体207を、金属製(例えばSUS316)の外側容器209内に収容したものである。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、前記第4実施形態と同様な内容の説明は省略する。
具体的には、図15に示す様に、本実施形態は、第4実施形態と同様なガスシール複合体を、直方体形状の(例えばSUS430からなる)金属製の容器301の中に、原料ガスと酸化剤ガス(空気)とを用いて発電を行う板状の発電セル303を配置したSOFC305に適用したものである。
(1)例えば、前記第1実施形態のガスシール複合体に代えて、例えば図16(a)に示す様に、先端側ガスケット401と基端側ガスケット403に挟まれた部分のみに、環状の金属箔部材405を配置したガスシール複合体407を用いてもよい。
3、71、93、133…水素分離筒
5、73、95、135…取付金具
7、101、141、183、217、309、407、417…ガスシール複合体
9、77、99、139…押圧金具
11、75、97、137…固定金具
43、45、79、111、113、145、147、185、187、225、227、315、317、401、403、411、413…ガスケット
47、115、149、189、229、319、405、415…金属箔部材
165、203…水素分離板
181、307…上板
305…固体酸化物形燃料電池(SOFC)
Claims (3)
- 金属部材と、前記金属部材に対向して配置される相手部材との間に配置されて、前記金属部材と前記相手部材との間隙をガスシールするガスシール複合体において、
前記金属部材と前記相手部材との間に配置されて該金属部材と該相手部材との間隙をそれぞれガスシールする一対のガスケットと、
前記金属部材と前記相手部材との間隙を閉塞するように、前記一対のガスケットの間に挟まれるとともに該一対のガスケットに密着して配置された金属箔と、
を備え、
前記一対のガスケット及び前記金属箔は筒状であり、
前記金属箔は、一方のガスケットの軸方向における端面を覆うとともに、該端面に隣接する内周面の端部と該端面に向かい合う他方のガスケットの端面に隣接する外周面の端部とを覆うように、軸方向に沿って折れ曲がっていることを特徴とするガスシール複合体。 - 前記金属箔の厚みは、10〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載のガスシール複合体。
- 前記金属部材と前記金属部材に対向して配置される相手部材との間に、前記金属部材と前記相手部材との間隙をガスシールする前記請求項1又は2に記載のガスシール複合体を備えたことを特徴とするガスシール複合体を備えた装置。
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