JP6116463B2 - モジュール - Google Patents

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Description

この発明はモジュールに関し、特に、被取付物が取り付けられる取付部を有する、緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体を備えたモジュールに関する。
フランジ構造体を有する部品、装置等のモジュールは、各種存在する。
一般的に、ベルジャのような真空容器等のモジュールに用いられている金属製のフランジ構造体にあっては、円盤状のフランジの端面に円環状の溝が形成され、前記溝内に、例えば金属製のOリング(メタルシール材)が配置される。
そして、前記金属製のOリングを挟んで、フランジの端面と固定部材の固定面とを対峙させ、ボルト等の固定手段を用いることにより、フランジは固定部材に取り付けられる。
このとき、前記金属製のOリングは、フランジの端面及び固定面からの圧縮力によって変形し、前記変形したOリングがフランジの端面と固定面に密着することにより、シール性が確保される。
また、耐熱性あるいは耐薬品性の観点などから、前記したような金属製のフランジ構造体を用いることができない場合には、セラミックス製のフランジ構造体が用いられる。
このセラミックス製のフランジ構造体について、特許文献1に示されたガスフィルタ(モジュール)のフランジ構造体を例にとって、図12に基づいて説明する。
図12に示すように、ガスフィルタ100は、セラミックス多孔質支持体101と、セラミックス製フランジ構造体102とを備えている。
このセラミックス多孔質支持体101は、一端部が封止され管状に形成され、他端部には、焼き嵌め、接合一体化されたセラミックス製フランジ構造体(特許文献1においてはシール部材と表記)102が取り付けられている。
ここで、管状のセラミックス多孔質支持体101は、たとえばアルミナ多孔質体で形成され、前記セラミックス製フランジ構造体102は、ガス不透過性の緻密質なアルミナで形成されている。
そして、前記セラミックス多孔質支持体101に対するフランジ構造体102の焼き嵌め・接合一体化は、セラミックス多孔質支持体101の壁部がガス流の通過領域となるように、前記セラミックス多孔質体支持体1の開口端部外周面に、前記フランジ構造体102を焼き嵌め配置し、管状のセラミックス多孔質支持体101の内外両壁面を隔絶できるようになされている。
また、前記管状のセラミックス多孔質支持体101内壁面には、前記セラミックス多孔質支持体101よりも微細な連通気孔を有するセラミックス層(膜)103が形成されている。このセラミックス層103が実質的にガス濾過を行うフィルタ部分となる。
また、前記フランジ構造体102の上面及び下面は、平坦な面に研削加工され、金属製のOリング(特許文献1においてはメタルOリングと表記)104が載置される配置面が形成される。
そして、前記フランジ構造体102と、図示しないケーシング側の封止・固定面との間に、金属製のOリング104を挟み、ケーシング側の封止・固定面(図示せず)にボルト等の固定手段から押圧力(締付け力)を作用させる。
その結果、金属製のOリング104が変形すると共に、前記金属製のOリング104とフランジ構造体102、ケーシング側の封止・固定面が密着し、フィルタ100を通過するガスの漏れが防止される。
特開平11−192419号公報
ところで、前記フランジ構造体には、上下に配置された環状の金属製シール部材(金属製のOリング)から圧縮力が作用している。このフランジ構造体に作用している応力場を図13に模式的に示す。
図13に示すように、前記フランジ構造体に圧縮力が作用すると、環状の金属製シール部材(金属製のOリング)104の真下には圧縮応力領域Aが発現し、環状の金属製シール部材が位置する部位よりも外側の領域、あるいは内側の領域において、引張力が発現する。より詳細には、前記圧縮応力領域A外側の領域のフランジ構造体の上下面間には、引張力領域Bが発現し、前記圧縮応力領域A外側の領域のフランジ構造体の上下面近傍には、最大引張力が生じる最大引張力領域Cが発現する。
一方、前記フランジ構造体を構成するセラミックス材は、脆性材料であり圧縮荷重(圧縮応力)に対しては非常に優れた耐荷重性を示すが、引張応力に対しては非常に脆い性質を有している。
そのため、引張力がフランジ構造体の強度を上回ると、フランジ構造体、特に最大引張力が生じるフランジ構造体の上下面近傍に、クラック、欠け等の破損が生じるという技術的課題があった。
特に、セラミックス多孔質支持体(セラミックス層)を流通させるガス圧が高くなるほど、硬度がより高い金属からなるシール部材を用い、強い圧縮荷重(圧縮応力)を作用させて、よりシール性を高めることが行われる。このような場合には、前記引張力がフランジ構造体の強度を上回り易く、フランジ構造体の上下面近傍に、クラック、欠け等の破損が生じ易いという技術的課題があった。
上記課題を解決する方法として、環状のシール部材とフランジ構造体との接触面積を大きくし、単位面積当たりの圧縮荷重を減少させ、クラック、欠け等の破損の発生を抑制する方法が考えられる。
しかしながら、前記方法は、単位面積当たりの圧縮荷重が減少することにより、シール性が低下するという新たな課題を招来させるものであった。
本発明は、前記したような状況の下になされたものであり、セラミックスのような緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体を有するモジュールにおいて、クラックあるいは欠け等の破損が抑制され、かつ高いシール性を確保することができるモジュールを提供することを目的とするものでる。
前記した課題を解決するためになされた本発明にかかるモジュールは、円筒状に形成された環状継手部と、前記環状継手部から内周側に突出して形成された、取付部とを備えた緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体と、前記フランジ構造体の取付部に取り付けられる被取付物と、を有し、前記フランジ構造体を、シール部材を介してケーシングに固定したモジュールにおいて、前記環状継手部に、前記環状継手部の上下に軸線方向に突出して形成され、先端部に前記シール部材と当接する平面からなる当接部を有する環状凸部が形成され、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の側壁が、前記平面から90度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、かつ、各環状凸部の当接部が、前記環状継手部の軸線方向において少なくとも重複した位置に配置され、更に、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面での前記当接部の幅が、荷重を受けた前記シール部材の断面平面幅よりも小さいことを特徴としている。
本発明にかかるモジュールは、緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体を有するモジュールである。ここで、モジュールとは、取付部に被取付物が取り付けられる、フランジ構造体を有する部品、装置等をいう。
また、本発明にかかるフランジ構造体は、前記環状継手部の上下に軸線方向に突出して形成され、先端部にシール部材と当接する平面からなる当接部を有する環状凸部とを備えている。
このように、前記環状継手部の軸線方向に突出した環状凸部で圧縮荷重を受けるように構成されているため、前記環状凸部近傍に生じる引張応力の低減を図ることができ、クラック、欠け等の破損を抑制することができる。
また、本発明にあっては、前記環状凸部の当接部が平面で形成されているため、シール部材の位置ずれが抑制され、その結果、シール性の低下を防止することができる。
即ち、環状凸部の当接部が断面半円形状に形成され、当接部の頂点部が点(環状凸部は環状に形成されているため、シール部材との接触は、線接触となる)の場合に比べて、シール部材の位置ずれをより抑制することができる。
また、前記したように、環状凸部の当接部が断面半円形状の場合、断面円形状のシール部材からの荷重は、両者が接する点(平面視上は環状の線)で前記荷重を受けることになるため、本発明のような平面の場合と比べて、単位面積当たりの荷重の増加し、破損の可能性が高くなる。
因みに、前記環状凸部に代えて、凹溝を形成した場合、凹溝底面あるいは凹溝近傍の引張応力が大きくなり、破損する虞がある。
また、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の側壁が、前記平面から90度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設されている。
即ち、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の形状は、極部的な見掛け上は矩形形状、台形形状になされている。
また、本発明にあっては、前記当接部が、前記環状継手部の軸線方向において少なくとも重複した位置に配置され、更に、前記当接部の幅が、荷重を受けた前記シール部材の断面平面幅よりも小さく形成されているため、前記環状継手部の破損をより確実に抑制することができる。
前記当接部が重複した位置に配置されていない場合には、上面下面の異なる位置に荷重が作用し、環状継手部に剪断力が加わり、破損し易く、好ましくない。
また、前記当接部の幅が、荷重を受けた前記シール部材の断面平面幅よりも小さいことによって、少なくとも環状凸部には圧縮応力のみが作用するため、引張力よる環状凸部の破損を抑制することができる。
因みに、前記当接部の幅がシール部材の断面平面幅より大きい場合には、前記当接部一部に微小な引張応力が発生し、前記当接部にクラックが生じる。
ここで、前記環状凸部が、前記環状継手部の上下に形成された相対向する平面部に、前記平面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることが望ましい。
また、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記平面から94度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、斜面を形成し、かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、相対向する前記平面部の厚さaとした場合に、b/aが1.5以下であることが望ましい。
このように、前記環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記平面から94度以上155度以下の角度の斜面になすことによって、環状凸部(当接部)近傍の最大引張応力の抑制を図ることができ、前記環状継手部の破損をより抑制することができる。
また、平面部間の距離aが厚くなるにつれ、環状継手部の強度は増大するが、大きな荷重を作用させた際、前記取付部の最内周面と前記環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bが大きい方に、より大きな引張応力が発生し、クラック等の破損が生じる虞がある。
そこで、前記取付部の最内周面と当接部の中心線との距離bを小さくすることにより、引張応力発生領域(最大引張応力発生領域)を小さく(あるいは除去)し、引張応力の影響を極力少なくすることが望ましい。
このb/aを1.5以下にすることで、引張応力低減効果が大きく耐荷重性がより優れたものとなる。
また、前記各環状凸部が、前記環状継手部の上下に軸線方向に突出して形成された各斜面部に、前記斜面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることが望ましい。
また、前記斜面部と、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の内側の側壁とのなす角度が0度に形成され、かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、前記内側斜面部と前記斜面部により構成される、前記環状継手部の上下の各斜面の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さaとした場合に、b/aが1.5以下であることが望ましい。
このように、前記環状継手部の前記斜面部と同じ角度で、環状凸部の内側側壁(斜面)が形成されている場合には、全体として上下に各一つの台形形状の凸部が形成され、この凸部は前記環状凸部として機能する。
このように、前記斜面部に環状凸部が形成されているため、前記平面部に形成されている場合に比べて、引張応力をより抑制でき、クラック等の破損をより確実に抑制できる。
前記斜面部に環状凸部が形成されている場合においても、前記した場合と同様に、b/aを1.5以下とすることにより、引張応力低減効果が大きく耐荷重性がより優れたものとすることができる。
尚、前記内側斜面部と前記斜面部により構成される、前記環状継手部の上下の各斜面の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さを基準としてのは、長い斜面の方が前記厚さとの関係上、当該斜面で受ける応力が大きいからである。
また、一の環状凸部が、前記環状継手部の上下の一方側に形成された平面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていると共に、
他の環状凸部が、前記環状継手部の上下の他方側に形成された斜面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることが望ましい。
また、前記環状継手部の軸線方向における前記一の環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記平面から94度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、斜面を形成し、前記他の環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記斜面部と前記内側の側壁とのなす角度が0度に形成され、かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、前記内側斜面部と前記斜面部により構成される、前記環状継手部の斜面の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さをaとした場合に、b/aが1.5以下であることが望ましい。
このように、前記環状継手部の上下の一方側に、前記斜面部と同じ角度で、環状凸部の内側側壁が形成され、他方側に平面部に環状凸部が形成されていても良い。
この場合においても、前記した場合と同様に、前記b/aが1.5以下とすることにより、引張応力低減効果が大きく耐荷重性がより優れたものとすることができる。
また、前記環状継手部の外周部に形成された、前記ケーシングの側壁に当接するケーシング当接部を備え、前記ケーシング当接部の垂線と、前記環状凸部の外側の側壁とのなす角度が、25度以上86度以下に形成されていることが望ましい。
このように、前記平面部と、環状凸部の外側の側壁とのなす角度が、25度以上86度以下に形成されている場合には、フランジ構造体をケーシングに精度良く、取り付けることができると共に、シール部材と前記環状凸部との位置合わせをより高精度に行うことができる。尚、前記角度が前記範囲外となる場合には、上記の環状凸部による効果が不十分となる虞がある。
また、前記ケーシング当接部は、軸線方向と垂直方向に突出した突起部であることが望ましい。
また、前記ケーシング当接部が前記環状継手部の外周面であり、かつ前記外周面が環状凸部の外側側壁に接続され、前記環状凸部の外側の側壁と前記外周面との間に平面部が形成されていないことが望ましい。
このように構成されている場合には、前記環状凸部の外側領域に発生する引張応力発生領域を除去でき、引張応力の影響を少なくすることができる。
また、前記被取付物がセラミックス製のフィルタであることを特徴とするモジュールであることが望ましい。
このようなセラミックスフィルタ(モジュール)によれば、気体、液体もしくは溶融金属のいずれの流体の濾過においても、当該流体の流通圧を高めても、高い耐破損性及びシール性を持つセラミックスフィルタとすることができる。
本発明によれば、セラミックスのような緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体を有するモジュールにおいて、クラックあるいは欠け等の破損が抑制され、かつ高いシール性を確保することができるモジュールを得ることができる。
図1は、本発明にかかるモジュールの一実施形態を示す図であって、(a)は断面図、(b)平面図である。 図2は、図1に示したモジュールの一部拡大断面図である。 図3は、図2に示したモジュールの一部拡大断面図である。 図4は、図1に示したフランジ構造体の当接部とシール部材を示す断面図である。 図5は、フランジ構造体の当接部の重なり状態を説明するための断面図である。 図6は、本発明にかかるフランジ構造体の第2の実施形態を示す断面図である。 図7は、本発明にかかるフランジ構造体の第3の実施形態を示す断面図である。 図8は、本発明にかかるフランジ構造体の第4の実施形態を示す断面図である。 図9は、実験1の各態様を示す断面図である。 図10は、実験2を説明するための断面図である。 図11は、実験3を説明するための断面図である。 図12は、従来のガスフィルタの要部構成を示す断面図である。 図13は、従来のフランジ構造体の応力場の模式図である。
本発明にかかるモジュールについて、被取付物をセラミックスフィルタとしたフィルタモジュールを例にとって、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1において、このフィルタモジュール1は、セラミックスフィルタ部(以下、単にフィルタ部2と称す)と、前記フィルタ部2が固定される固定側ケーシング3と、前記固定側ケーシング3に取り付けられた前記フィルタ部3を封止する封止側ケーシング4とを備えている。
前記固定側ケーシング3と封止側ケーシング4に中心部には、貫通孔3a,4aが形成されており、前記貫通孔3aから流入した気体がフィルタ部2によって濾過され、前記貫通孔4aから導出するように構成されている。
尚、図中、符号5は封止側ケーシング4を固定側ケーシング3に固定するためのボルトである。
次に、図2に基づいて、フランジ構造体20を備えるフィルタ部2の構成を詳細に説明する。
フィルタ部2は、セラミックス多孔質支持体2aと、セラミックス製フランジ構造体20とを備えている。
このセラミックス多孔質支持体2aは管状に形成され、一端部がセラミックス製の封止部材23により封止され、他端部には、焼き嵌め・接合一体化されたセラミックス製のフランジ構造体20が取り付けられている。
また、セラミックス製フランジ構造体20は、円筒状に形成された環状継手部21と、前記環状継手部21から内周側に突出して形成された、被取付物であるセラミックス多孔質支持体2aが取り付けられる取付部22とを備えている。
また、前記管状のセラミックス多孔質支持体2aは、たとえばアルミナ多孔質体で形成され、前記セラミックス製のフランジ構造体20及び封止部材23は、ガス不透過性の緻密質無機脆性材料、例えば緻密質なアルミナで形成されている。
尚、緻密質とは、ガスフィルタの場合にはガス不透過性を、また液体フィルタの場合には当該液体不透過性を、また溶融金属フィルタの場合には当該溶融金属不透過性を意味する。即ち、フィルタ部を流通させる流体の不透過性を意味する。また無機脆性材料とは、破壊靱性(JIS R1607 2010)が1MPa・√m以上10MPa・√m以下の無機酸化物、窒化物、炭化物を意味する。
そして、前記セラミックス多孔質支持体2aに対するフランジ構造体20の焼き嵌め、接合一体化は、セラミックス多孔質支持体2aの壁部がガス流の通過領域となるように、前記セラミックス多孔質体支持体2aの開口端部外周面に、前記フランジ構造体20を焼き嵌め配置し、必要に応じ、同材質のセラミックススラリーを塗布し介在させることで、管状のセラミックス多孔質支持体2aの内外両壁面を隔絶できるようになされている。
尚、前記セラミックス製の封止部材23も、前記フランジ構造体20を焼き嵌め時に、同時に焼き嵌め配置することができる。
また、前記管状のセラミックス多孔質支持体2a内壁面には、前記セラミックス多孔質支持体2aよりも微細な連通気孔を有するセラミックス層(膜)2bが形成されている。このセラミックス層2bが実質的にガス濾過を行うフィルタ部分となる。
また、フランジ構造体20は、円筒状に形成された環状継手部21と、前記環状継手部から内周部に突出して形成された、セラミックス多孔質支持体2aが取り付けられる取付部22とを備えている。
前記環状継手部21は、相対向する2つの平面部21a,21bを備えている。前記夫々の平面部21a,21bには、前記環状継手部21の軸線方向に突出して形成され環状凸部21c,21dが形成されている。この環状凸部21c,21dの先端部は平面に形成され、シール部材6と当接する当接部21c1,21d1とされる。
更に、前記平面部21aの内周部には、前記平面部21aから突出して形成された第2の平面部21eが設けられている。
そして、前記セラミックス多孔質支持体2a(フィルタ部2)は、第2の平面部21eの内周側に形成された段部である取付部22に取り付けられる。
前記環状継手部21の軸線方向における前記環状凸部21c、21d断面の側壁が、前記当接部21c1、21d1から90度以上155度以下の角度(図1乃至図5では90度の場合は図示していない)で前記軸線方向に延設され、かつ各環状凸部21c、21dの当接部21c1、21d1が平面で形成されているため、例えば、断面半円形状の当接部上に断面円形状(管状)のシール部材6を載置する場合に比べて、シール部材6の位置ずれを防止することができ、シール性の低下を抑制できることができる。
また、当接部21c1、21d1が断面半円形状の場合、断面円形状のシール部材6からの荷重を、両者が接する点(平面視上は環状の線)で受けることになるため、本発明のような平面の場合と比べて、単位面積当たりの荷重の増加し、破損の可能性が高くなる。
そのため、各環状凸部21c、21dの当接部21c1,21d1が平面で形成されるのが望ましい。
また、図3に示すように、前記環状凸部21c、21dの側壁が前記当接部(平面)21c1、21d1から前記軸線方向に各々延設する内側斜面21c2,21d2のなす角度θ5、θ6が、特に94度以上155度以下に形成される。
このように、前記角度θ5、θ6が94度以上155度以下になすことによって、前記環状凸部21c、21dと平面部21a,21bの境界近傍の最大引張応力を抑制することができ、破損をより顕著に抑制することができる。
尚、前記角度θ5、θ6が94度以上155度以下の場合、前記環状凸部21c、21dの側壁と平面部21a、21bとのなす角度θ1、θ2は、25度以上86度以下になる。
また、図3に示すように、前記取付部22の内周面と当接部21c1,21d1の中心線Lとの距離bと、相対向する2つの平面部21a,21b間の厚さaとした場合に、b/aが1.5以下になるように構成されている。
環状凸部21c、21dに荷重を加えた場合、環状凸部21c、21dには圧縮応力が作用するが、環状凸部21c、21dの内周側の平面部21a、21b、第2の平面部21eには引張応力が発現する。
そして、許容される引張応力(破損に至る引張応力)は、平面部21a,21b間の厚さaが厚くなるにつれて増大する。
このように許容される圧縮応力の増大を受けて、前記環状凸部21c、21dに加える荷重を増大させると、環状凸部21c、21d近傍の平面部21a、21bに生じる引張応力も増大し、クラック等が発生する。
これを抑制するために、図13に示すような引張応力が生じる応力場に対応する部位を除去することは、引張応力低減となる。
言い換えれば、当接部21c1、21d1の中心線l(荷重位置)から取付部22の最内周壁との距離bを小さくすることにより引張応力発生領域を小さくあるいは除去でき、平面部21a,21b間の距離aを大きくした際の引張応力の増大を低減することができる。
特に、前記相対向する2つの平面部21a,21b間の厚さが、4mm以上である場合には、b/aを1.5以下にすることにより、耐荷重性がより優れたものとなる。
また、前記環状継手部21の外周面には、ケーシング当接部21fが形成されている。
図3に示すように、前記環状継手部21の外周面は、環状凸部21c、21dの外側側壁21c3、21d3に接続され、前記環状凸部21cの外側側壁21c3と前記外周面との間に平面部が形成されていない。
このように構成されている場合には、前記環状凸部21cの外側領域に発生する引張応力発生領域を除去でき、引張応力の影響を少なくすることができる。
また、前記ケーシング当接部21fの垂線と、断面が台形形状の環状凸部の外側側壁21c3,21d3とのなす角度θ3、θ4が、25度以上86度以下に形成されている。尚、前記角度θ3、θ4が25度以上86度以下の場合、前記環状凸部21c、21dの側壁と当接部(平面)21c1,21d1とのなす角度θ7、θ8は、94度以上155度以下になる。
このように構成されている場合には、環状凸部21c、21dの外側近傍の引張応力の抑制を図ることができ、破損を抑制することができる。
尚、平面部21a,21bと前記内側側壁21c2,21d2とのなす角度θ1、θ2と、前記ケーシング当接部21fの垂線と外側側壁21c3,21d3とのなす角度θ3、θ4とは、同一の角度であることが好ましい。
また、図3に示すように、前記2つの環状凸部21c、21dに形成された各当接部21c1,21d1の中心線は一致し、各当接部21c1,21d1は同一の幅を有して形成されている。このように形成されている場合には、環状継手部に荷重が均等に作用するため、より破損を抑制することができる。
尚、上記角度θ5、θ6と角度θ7、θ8のうち、角度θ5、θ7と角度θ6、θ8が同一の角度であることが、上記引張応力軽減効果を最大化する上で好ましく、すべての角度がすべて同一であることがより好ましい。
また、図4に示すように、前記当接部2c1の幅Aが、前記荷重を受けた前記シール部材6の断面平面幅(直線状部の幅)Bよりも小さく形成されている。
前記当接部2c1の幅Aが、前記荷重を受けた前記シール部材6の断面平面幅(直線状部の幅)Bよりも小さく形成されることによって、少なくとも環状凸部2c(当接部2c1)においては圧縮応力のみが発生する。
因みに、当接部2c1の幅Aがシール部材6の断面平面幅Bより大きい場合、環状凸部(当接部2c1)の一部に引張応力が発生し、当該当接部2c1に微小クラックが生じることがあり、好ましくない。
次に、図5に示すように、前記2つの環状凸部21c、21dに形成された各当接部21c1,21d1を、前記環状継手部の軸線方向(荷重方向)において少なくとも重複して形成されている。
即ち、前記当接部21d1は幅21dwを有し、前記当接部21c1は幅21cwを有し、両者は重なり合っている(図中の斜線部参照)。
このように、各当接部21c1,21d1が、前記環状継手部の軸線方向(荷重方向)において少なくとも重複している場合には、より破損を抑制することができる。
一方、2つの各当接部21c1,21d1が重複していない場合には、上下から異なった位置に荷重が作用することとなり、環状継手部21に剪断力が加わる。
その結果、環状継手部21の表面に引張応力が発生する。この引張応力は、当接部21c1,21d1の重複した部分から離れるほど大きくなり、クラック等が発生し易い。
したがって、前記2つの環状凸部21c、21dに形成された各当接部21c1,21d1は、前記環状継手部の軸線方向(荷重方向)において、上下の当接部(幅)が完全に一致することがより好ましい。
尚、環状継手部の上下に形成された前記当接部21c1,21d1の各中心線は必ずしも一致する必要はなく、上記したように、各環状凸部の当接部21c1,21d1が、前記環状継手部の軸線方向において少なくとも重複した位置に配置されていれば良い。
環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線が一致しない場合には、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部21c1,21d1の各中心線との距離のうち長い方の距離を、b/aのb値とされる。
次に、第2の実施形態を図6に基づいて説明する。
この第2の実施形態にかかるフランジ構造体30は、前記環状継手部30Aの軸線方向の環状凸部30aの断面形状が矩形形状に形成されている点に特徴がある。
図6に示すように、前記環状継手部30Aが、相対向する2つの平面部30c、30dと、前記夫々の平面部30c、30dから突出して形成され、先端部にシール部材と当接する平面からなる当接部30a1、30b1を有する環状凸部30a,30bとを備えている。
即ち、この第2の実施形態にあっては、前記環状継手部30の軸線方向における前記環状凸部30aの断面の内側側壁が、前当接部30a1の平面から90度(θ9)の角度で、また環状凸部30aの断面の外側側壁が、前記当接部30a1から90度(θ10)の角度で前記軸線方向に延設されている。
また、前記平面部30cの内周部には、前記平面部30cから突出して形成された第2の平面部30eが設けられている。
そして、前記セラミックス多孔質支持体(フィルタ部)は、第2の平面部30eの内周側に取り付けられる。
また、前記環状継手部30Aの外周部には、ケーシング側壁に当接するケーシング当接部30fが形成されている。このケーシング当接部30fは、環状継手部30Aの軸線(荷重方向)に対して垂直方向に突出した突起部である。
このように、環状継手部30Aの外周部にケーシング当接部30fを形成すると、環状凸部30a,30bと、ケーシング当接部30fとの外周面との間に、平面部30f1,30f2(ケーシング当接部の上面、下面)が形成される。
その結果、環状凸部30a,30bと平面部30f1,30f2との境界近傍に引張力が発生するため、第1の実施形態のように、前記環状凸部の外側斜面部と環状継手部の外周面との間に平面部が形成されないように構成することがより好ましい。
次に、第3の実施形態を図7に基づいて説明する。
この第3の実施形態にかかるフランジ構造体40は、前記環状継手部40Aの軸線方向の上側の環状凸部40aの断面の側壁が、当接部(平面)40d1から145度の角度θ11で傾斜、延設され、前記環状継手部40Aの軸線方向下側の環状凸部40bの断面の側壁が、当接部(平面)40d2から90度の角度θ12で延設されている点に特徴がある。
更に言えば、環状継手部40Aの軸線方向の上側の環状凸部40aは、前記環状継手部の軸線方向に突出して形成された斜面部40cに形成されたものであり、前記斜面部40c、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の内側の側壁(斜面40a1)とのなす角度が0度に形成されている。
即ち、前記斜面部40cと前記環状凸部断面の内側の側壁40a1は、一つの平面(斜面)として形成され、全体として上下に一つの環状凸部が形成されている。
このように前記斜面部に環状凸部が形成されている場合には、前記平面部に形成されている場合に比べて、引張応力を抑制でき、クラック等の破損をより抑制できる。
また、前記内側斜面40a1と前記斜面部40cにより構成される、前記環状継手部の斜面の長さmの1/2の点における前記軸線方向の厚さ(平面部40eまでの距離)aが、前記したb/aの値とされる。
前記内側斜面40a1と前記斜面部40cにより構成される、前記環状継手部40Aの斜面の長さmの1/2の点における前記軸線方向の厚さを基準としてのは、斜面の長さmの1/2の点における引張応力が他の点に比べて大きいからである。
尚、b/aにおけるbは、前記したように、当接部40d1、40d2の中心線l(荷重位置)から取付部22の最内周壁との距離である。
次に、第4の実施形態を図8に基づいて説明する。
この第4の実施形態にかかるフランジ構造体50は、前記環状継手部50Aの軸線方向の上側、下側の環状凸部50a、50bの断面の側壁が当接部(平面)50a,50bからいずれも145度の角度θ13、θ14で傾斜、延設されている点に特徴がある。
更に言えば、環状継手部50Aの軸線方向の上側の環状凸部50aは、前記環状継手部の軸線方向に突出して形成された斜面部50c1を有し、下側の環状凸部50bは、前記環状継手部の軸線方向に突出して形成された斜面部50c2を有している。
そして、前記斜面部50c1と、前記環状継手部50Aの軸線方向における前記環状凸部断面の内側の側壁(斜面50a1)とのなす角度が0度に形成されている。同様に、前記斜面部50c2と、前記環状継手部50Aの軸線方向における前記環状凸部断面の内側の側壁(斜面50b1)とのなす角度が0度に形成されている。
即ち、前記環状継手部50Aの前記斜面部50c1と同じ角度で、環状凸部50aの内側側壁の斜面50a1が形成され、前記環状継手部50Aの前記斜面部50c2と同じ角度で、環状凸部50aの内側側壁の斜面50b1が形成されているため、全体として上下に一つの環状凸部が形成される。
このように、前記斜面部50c1,50c2に環状凸部が形成されているため、前記環状凸部が前記平面部に形成されている場合に比べて、引張応力をより抑制でき、クラック等の破損をより抑制できる。
尚、前記内側斜面50a1と前記斜面部50c1により構成される、前記環状継手部の上下の各斜面の長さn1及びn2の長さが異なる場合には、各斜面の長さn1及びn2の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さがb/aのa値とされる。各斜面の長さn1及びn2の長さのうち長い方の1/2の点に大きな引張応力が生じるためである。
(実験1)
フィルタ部を構成する、セラミックス多孔質支持体と、セラミックス製フランジ構造体は、一般的に知られている方法で形成することができる。
セラミックス多孔質支持体は、例えば特開2003−95764号公報に記載された撹拌気泡法によって、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、気孔率30%の円筒状の自焼結SiC多孔体を形成した。
そして、前記セラミックス多孔質支持体の気孔径及び気孔率よりも小さな気孔径及び気孔率を有し、セラミックス多孔質支持体と同材質の自焼結SiCからなるセラミックス層(膜)を、例えば特開平4−2099772号公報に記載された撹拌気泡法を応用することによって、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、前記セラミックス多孔質支持体の内周壁に30μmの厚さで形成した。
また、フランジ構造体は、例えば特開平6−320415号公報に記載された製造方法を応用することにより、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、見掛け密度3.17g/cm3の自焼結SiC緻密体を形成した。
このフランジ構造体は、図9(a)乃至(g)に示す形状に形成され、各形状毎に10個作成した。
また、前記円筒状のセラミックス多孔質支持体の一端部を塞ぐ蓋体(封止部材)を、前記フランジ構造体と同様にして自焼結SiC緻密体で形成した。
また、前記セラミックス多孔質支持体とフランジ構造体及び蓋体(封止部材)は、特開平11−192419号公報に記載されている製造方法を応用することにより、焼き嵌め、接合一体化し、セラミックスフィルタを形成した。
更に、図1に示すようなSUS製の固定側ケーシング及び固定側ケーシング、SUS製のシール部材を用意し、前記セラミックスフィルタをケーシングに装着し、フィルタモジュールを得た。
尚、前記シール部材はリング状であり、ケーシングとフランジ構造体との間に介在させ、線荷重100N/mm以上の荷重を作用させた際、リング径の外径が20mmに変形する硬度の材料を用いた。
更に、フランジ構造体について、図9(a)乃至(g)に基づいて説明する。
尚、セラミックス多孔質支持体は、外径11mm、内径8mm、高さ20mmに形成されている。前記シール部材の直径は1.2mmのものを用いた。
図9(a)に示すように、外径D1が20mm、内径D2が8mm、厚さTが3mmのフランジ構造体を製作した。そして、シール部材中心までの寸法(外径)D3は19.4mmとした。尚、各段部の厚さは、1mmであり、全体として厚さTが3mmとした。
また、図9(b)に示すように、図9(a)のフランジ構造体(外径D1が20mm、内径D2が8mm、厚さTが3mm)の上面に、直径D3が19.4mm、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mmの環状凸部(矩形形状)が形成されたフランジを製作した。尚、環状凸部の外側壁部とフランジ構造体の外周面との間の寸法は、0.2mmに形成されている。
また、図9(c)に示すように、図9(b)のフランジ構造体の下面に、図9(b)示す環状凸部(矩形形状)と同様な環状凸部(矩形形状、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mm)を中心方向に、上面の環状凸部から距離L、0.8mmずらして形成したフランジ構造体を製作した。
尚、フランジの上面に形成された環状凸部と、下面に形成された環状凸部とは、環状継手部の軸線方向(荷重方向)において重なり合わないように形成されている。
また、図9(d)に示すように、図9(c)のフランジ構造体の上面側の環状凸部を半径0.65mmの断面半円状とし、その中心線上のフランジ構造体の下面に、直径D3が19.4mm、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mmの環状凸部(矩形形状)が形成されたフランジを製作した。尚、シール部材中心までの寸法(外径)D3は19.4mmとした。
また、図9(e)に示すように、図9(b)のフランジ構造体の下面に、上面の環状凸部(矩形形状)と同様な環状凸部(矩形形状、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mm)を中心方向に、上面の環状凸から距離L、0.4mmをずらして形成したフランジ構造体を製作した。
尚、フランジの上面に形成された環状凸部と、下面に形成された環状凸部とは、環状継手部の軸線方向(荷重方向)において一部重なり合うように形成されている。但し、一の当接部は、他の当接部の中心線上に形成されていない(当接部の中心線が他の当接部の範囲外に位置するように形成されている)。
また、図9(f)に示すように、図9(b)のフランジ構造体の下面に、上面の環状凸部(矩形形状)と同様な環状凸部(矩形形状、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mm)を中心方向に、上面の環状凸から距離L、0.2mmをずらして形成したフランジ構造体を製作した。
尚、フランジの上面に形成された環状凸部と、下面に形成された環状凸部とは、環状継手部の軸線方向において一部重なり合うように形成されている。また、一の当接部は、他の当接部の中心線上に形成されている(当接部の中心線が他の当接部の範囲内に位置するように形成されている)。
また、図9(g)に示すように、フランジ構造体の上面側に図9(b)に示した前記環状凸部(矩形形状、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mm)が形成され、更にフランジの上面側の環状凸部と同一中心線上のフランジの下面に、同一寸法の環状凸部(矩形形状)が形成されたフランジ構造体を製作した。
そして、垂直断面の外径が1.2mmのSUS製メタルシールを前記フランジ構造体の上面、下面に載置し、9500Nを加圧し(線荷重で160.8N)、破壊試験を行った。尚、図9(a)〜(g)に示されたフランジ構造体を10個製作し、前記破壊試験を行い、破損の有無を検証した。
その結果、図9(c)(d)に示すフランジにあっては5個破損し、図9(a)(b)に示すフランジにあっては4個破損し、図9(e)に示すフランジにあっては2個破損した。
また、図9(f)(g)に示すフランジにあって、破損は発生しなかった。
この結果から、フランジの上面及び下面に形成された、環状凸部の形状がフランジの上面及び下面において同一形状、寸法であり、かつ夫々の環状凸部(当接部)の中心線が、他の環状凸部(当接部)の範囲内にあることにより、破損が抑制されることが確認された。
(実験2)
次に実験2では、環状凸部の内側傾斜面の角度θを変化させ、実験1と同様な破壊試験を行い、破損の有無を検証した。
前記したように、フィルタ部を構成する、セラミックス多孔質支持体と、セラミックス製フランジ構造体は、一般的に知られている方法で形成することができる。
セラミックス多孔質支持体は、例えば特開平11−192419号公報に記載された方法によって、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、焼結Al23多孔質体で形成した。
そして、前記セラミックス多孔質支持体の気孔径及び気孔率よりも小さな気孔径及び気孔率を有し、セラミックス多孔質支持体と同材質、即ち、焼結Al23からなるセラミックス層(膜)を、例えば特開平11−192419号公報に記載された方法によって、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、前記セラミックス多孔質支持体の内周壁に30μmの厚さで形成した。
また、フランジ構造体は、例えば特開平11−192419号公報に記載された方法により、当該公報に記載された原料、成形条件、焼成条件等各パラメータを適宜調整の上、見掛け密度3.93g/cm3の焼結Al23緻密体を形成した。
また、前記円筒状のセラミックス多孔質支持体の一端部を塞ぐ蓋体(封止部材)を、前記フランジ構造体と同様にして形成した。
また、前記セラミックス多孔質支持体とフランジ構造体及び蓋体(封止部材)は、特開平11−192419号公報に記載されている製造方法を応用することにより、同時に焼き嵌め、接合一体化して、セラミックスフィルタを形成した。
更に、図1に示すようなSUS製の固定側ケーシング及び固定側ケーシング、SUS製のシール部材を用意し、前記セラミックスフィルタをケーシングに装着し、モジュールを得た。
尚、前記シール部材はリング状であり、ケーシングとフランジ構造体との間に介在させ、線荷重100N/mm以上の荷重を作用させた際、リング径の外径が20mmに変形する硬度の材料を用いた。
そして、図10に示すように、外径D1が20mm、内径D2が8mm、厚さTが4.0mmのフランジ構造体を製作した。
このフランジ構造体の上面及び下面に、直径D3が19.4mm、高さHが0.2mm、幅Wが0.8mmの断面形状が台形の環状凸部の中心線が一致するように形成した。
そして、図10に示すように、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部21c、21d断面の側壁が、前記当接部(平面)からの角度θを、160度、155度、135度、125度、115度、94度、90度と変化させ、実験1と同様な破壊試験を行い、破損の有無を検証した。尚、環状凸部の外側傾斜面の角度は、前記内側傾斜面と同一の角度とした。
その結果、前記角度θが160度の場合に、10個中2個に微少のクラックが認められた。また90度の場合には、10個中1個に微少のクラックが認められた。
その結果、前記角度が、94度以上155度以下に形成されていることが好ましいことが確認された。
また、上記実験2において、厚さ寸法Tのみを5mmとした以外は、すべて同一条件で同様の実験を行ったところ、やはり前記角度が94度以上155度以下に形成されていることが好ましいことが確認された。即ち、上記厚さTが4mm以上のときに前記角度範囲が最適あることが確認された。
(実験3)
実験2の場合と同様にして、前記セラミックス多孔質支持体とフランジ構造体を形成した。このときのフランジ構造体の各寸法を図11に示す。
尚、環状凸部の内周側斜面部のなす角度θは45度とした。そして、平面部(X)の厚さを1.5mm、1.2mm、0.8mmへと変更したフランジ構造体を形成し、実験2と同様にして、破損の検証を行った。
平面部(X)の厚さを1.5mmにおける、取付部の最内周面と当接部の中心線との距離bと、相対向する前記平面部の厚さaとした場合に、b/aは1.37となる。
また、平面部(X)の厚さを1.2mmにおける、b/aは1.5となり、また、平面部(X)の厚さを0.8mmにおける、b/aは1.71となる。
破損の検証の結果、平面部(X)の厚さを1.5mmの場合(b/aが1.37の場合)、5個のいずれも破損はなかった。
また、平面部(X)の厚さを1.2mmの場合(b/aが1.5の場合)、5個のいずれも破損はなかった。
一方、平面部(X)の厚さを0.8mmの場合(b/aが1.71の場合)、5個中、1個が破損した。
この結果から、b/aが1.5以下であることが望ましいことが確認された。
上記実施形態にあっては、セラミックス製のガスフィルタモジュールを例にとって説明したが、本発明にかかるフランジ構造体は、液体及び溶融金属等のフィルタモジュール、あるいは半導体製造装置に用いられるベルジャ、薄小型容器等のフランジ構造体を有するモジュールに好適に用いることができる。
1 フィルタモジュール
2 フィルタ部
3 固定側ケーシング
4 封止側ケーシング
20 フランジ構造体
21 環状継手部
21a 平面部
21b 平面部
21c 環状凸部
21c1 当接部
21c2 内側側壁
21c3 外側側壁
21d 環状凸部
21d1 当接部
21d2 内側斜面部
21d3 外側斜面部
21e 第2の平面部
21f ケーシング当接部
22 取付部
30 フランジ構造体
30A 環状継手部
30a 環状凸部
30a1 当接部
30b 環状凸部
30b1 当接部
30c 平面部
30d 平面部
30e 第2の平面部
30f ケーシング当接部
40 フランジ構造体
40A 環状継手部
40a 環状凸部
40b 環状凸部
40c 斜面部
40d1 当接部
40d2 当接部
40e 平面部
50 フランジ構造体
50A 環状継手部
50a 環状凸部
50b 環状凸部
50c1 斜面部
50c2 斜面部
θ1、θ2 平面部と内側斜面部とのなす角度
θ3、θ4 ケーシング当接部の垂線と外側斜面部とのなす角度
θ5、θ6 環状凸部の当接部(平面)と環状凸部の内側側壁のなす角度
θ7、θ8 環状凸部の当接部(平面)と環状凸部の外側側壁のなす角度
A 当接部の幅
B シール部材の断面平面幅(直線状部の幅)

Claims (11)

  1. 円筒状に形成された環状継手部と、前記環状継手部から内周側に突出して形成された、取付部とを備えた緻密質無機脆性材料からなるフランジ構造体と、
    前記フランジ構造体の取付部に取り付けられる被取付物と、
    を有し、
    前記フランジ構造体を、シール部材を介してケーシングに固定したモジュールにおいて、
    前記環状継手部に、前記環状継手部の上下に軸線方向に突出して形成され、先端部に前記シール部材と当接する平面からなる当接部を有する環状凸部が形成され、
    前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の側壁が、前記平面から90度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、
    かつ、各環状凸部の当接部が、前記環状継手部の軸線方向において少なくとも重複した位置に配置され、
    更に、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面での前記当接部の幅が、荷重を受けた前記シール部材の断面平面幅よりも小さいことを特徴とするモジュール。
  2. 前記環状凸部が、前記環状継手部の上下に形成された相対向する平面部に、前記平面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載のモジュール。
  3. 前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記平面から94度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、斜面を形成し、
    かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、相対向する前記平面部の厚さaとした場合に、b/aが1.5以下であることを特徴とする請求項2記載のモジュール。
  4. 前記各環状凸部が、前記環状継手部の上下に軸線方向に突出して形成された各斜面部に、前記斜面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることを特徴とする請求項1記載のモジュール。
  5. 前記斜面部と、前記環状継手部の軸線方向における前記環状凸部断面の内側の側壁とのなす角度が0度に形成され、
    かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、前記内側斜面部と前記斜面部により構成される、前記環状継手部の上下の各斜面の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さaとした場合に、b/aが1.5以下であることを特徴とする請求項4記載のモジュール。
  6. 一の環状凸部が、前記環状継手部の上下の一方側に形成された平面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていると共に、
    他の環状凸部が、前記環状継手部の上下の他方側に形成された斜面部から前記環状継手部の軸線方向に突出して形成されていることを特徴とする請求項2記載のモジュール。
  7. 前記環状継手部の軸線方向における前記一の環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記平面から94度以上155度以下の角度で前記軸線方向に延設され、斜面を形成し、
    前記他の環状凸部断面の側壁のうち少なくとも内側の側壁が、前記斜面部と前記内側の側壁とのなす角度が0度に形成され、
    かつ、前記取付部の最内周面と環状継手部の上下に形成された前記当接部の各中心線との距離のうち長い方の距離bと、前記内側斜面部と前記斜面部により構成される、前記環状継手部の斜面の長さのうち長い方の1/2の点における前記軸線方向の厚さをaとした場合に、b/aが1.5以下であることを特徴とする請求項6記載のモジュール。
  8. 前記環状継手部の外周部に形成された、前記ケーシングの側壁に当接するケーシング当接部を備え、
    前記ケーシング当接部の垂線と、前記環状凸部の外側の側壁とのなす角度が、25度以上86度以下に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のモジュール。
  9. 前記ケーシング当接部は、軸線方向と垂直方向に突出した突起部である特徴とする請求項8記載のモジュール。
  10. 前記ケーシング当接部が前記環状継手部の外周面であり、かつ前記外周面が環状凸部の前記外側側壁に接続され、前記環状凸部の外側の側壁と前記外周面との間に平面部が形成されていないことを特徴とする請求項9記載のモジュール。
  11. 前記請求項1乃至請求項10のいずれかに記載された、被取付物がセラミックス製のフィルタである特徴するモジュール。
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