JP2013030441A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2013030441A
JP2013030441A JP2011167680A JP2011167680A JP2013030441A JP 2013030441 A JP2013030441 A JP 2013030441A JP 2011167680 A JP2011167680 A JP 2011167680A JP 2011167680 A JP2011167680 A JP 2011167680A JP 2013030441 A JP2013030441 A JP 2013030441A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
active material
electrode active
capacity
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011167680A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5725351B2 (ja
Inventor
Koji Takahata
浩二 高畑
Machiko Abe
真知子 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2011167680A priority Critical patent/JP5725351B2/ja
Publication of JP2013030441A publication Critical patent/JP2013030441A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5725351B2 publication Critical patent/JP5725351B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】容量維持率、反応抵抗、特に、ハイレートでのパルス充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池の提供
【解決手段】
このリチウムイオン二次電池100Aは、負極集電体241Aと、負極集電体241Aに形成された負極活物質層243Aとを有している。負極活物質層243Aは、少なくとも一部が非晶質炭素膜750で覆われた黒鉛粒子710Aと、バインダ730Aとを含んでいる。ここで、黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、TG測定によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃である。
【選択図】図10

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいう。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電子の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
リチウムイオン二次電池について、例えば、特開2004−139743号公報には、負極活物質に、非晶質炭素膜で覆われた黒鉛を用いることが提案されている。また、同文献では、当該非晶質炭素膜で覆われた黒鉛について、アルゴンレーザーラマンにより測定した1350/cmの強度IAと、1580/cmの強度IBとの強度比(IA/IB)が0.2〜0.3の範囲の黒鉛を用いることが提案されている。
特開2004−139743号公報
ところで、リチウムイオン二次電池は、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車やいわゆる電気自動車など、モータを介して車輪を回転させることによって自動車を走行させる機構を備えた車両に対して、動力源として車載されるようになってきている。このような車両駆動用電池としての用途では、例えば、自動車を加速させる時には放電量が多くなる。自動車を走行させる場合には、加速と減速が繰り返されるのが通常であるため、ハイレートでの放電と充電が繰り返されることになる。
車両駆動用電池では、ハイレートでの充放電サイクルに対して性能が維持されること、長期間放置した後の容量維持率を高く維持すること、電池抵抗が低いことなどが要求される。本発明者は、車載駆動用電池として用いられるリチウムイオン二次電池について、負極活物質として、黒鉛粒子を用いることを検討している。黒鉛粒子は非晶質炭素膜で被覆することで、リチウムイオン二次電池の負極活物質としての性能を向上させることができる。しかしながら、複数の異なる黒鉛粒子を用いて評価用セルを作製し、ハイレートでの充電と放電を交互に繰り返す試験を行なったところ、性能に大きな差があった。
リチウムイオン二次電池は、負極集電体と、負極集電体に形成された負極活物質層とを有している。負極活物質層は、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた黒鉛粒子と、バインダとを含んでいる。そして、黒鉛粒子は、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、TG測定によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃である。
これにより、高温環境で長期間放置された場合の容量維持率、高温環境での充放電サイクル後の容量維持率、低温環境での反応抵抗、および、低温環境での極めて高いハイレートでの充放電サイクル(パルス充放電サイクル)後の容量維持率について、性能が良いリチウムイオン二次電池を得ることができる。
この場合、黒鉛粒子は、天然黒鉛であるとよい。また、バインダは、ガラス転移温度Tgが−10℃≦Tg≦−40℃のSBRが含まれているとよい。
図1は、リチウムイオン二次電池の構造の一例を示す図である。 図2は、リチウムイオン二次電池の捲回電極体を示す図である。 図3は、図2中のIII−III断面を示す断面図である。 図4は、正極活物質層の構造を示す断面図である。 図5は、負極活物質層の構造を示す断面図である。 図6は、捲回電極体の未塗工部と電極端子との溶接箇所を示す側面図である。 図7は、リチウムイオン二次電池の充電時の状態を模式的に示す図である。 図8は、リチウムイオン二次電池の放電時の状態を模式的に示す図である。 図9は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を示す図である。 図10は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の負極活物質層の構造を示す断面図である。 図11は、Cole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の典型的な図である。 図12は、二次電池を搭載した車両を示す図である。
ここではまず、リチウムイオン二次電池の一構造例を説明する。その後、かかる構造例を適宜に参照しつつ、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。
図1は、リチウムイオン二次電池100を示している。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300とを備えている。図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII−III断面を示している。
捲回電極体200は、図2に示すように、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を有している。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、それぞれ帯状のシート材である。
≪正極シート220≫
正極シート220は、帯状の正極集電体221と正極活物質層223とを備えている。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体221には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部222が設定されている。図示例では、正極活物質層223は、図3に示すように、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に保持されている。正極活物質層223には、正極活物質が含まれている。正極活物質層223は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電体221に塗工することによって形成されている。
≪正極活物質層223および正極活物質粒子610≫
ここで、図4は、正極シート220の断面図である。なお、図4において、正極活物質層223の構造が明確になるように、正極活物質層223中の正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630とを大きく模式的に表している。正極活物質層223には、図4に示すように、正極活物質粒子610と導電材620とバインダ630が含まれている。
正極活物質粒子610には、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる物質を使用することができる。正極活物質粒子610の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiO或いはLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材620≫
導電材620としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。導電材620としては、このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ630≫
また、バインダ630は、正極活物質層223に含まれる正極活物質粒子610と導電材620の各粒子を結着させたり、これらの粒子と正極集電体221とを結着させたりする。かかるバインダ630としては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
≪増粘剤、溶媒≫
正極活物質層223は、例えば、上述した正極活物質粒子610と導電材620を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた正極合剤を作製し、正極集電体221に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、正極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。上記バインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
正極合剤全体に占める正極活物質の質量割合は、凡そ50wt%以上(典型的には50〜95wt%)であることが好ましく、通常は凡そ70〜95wt%(例えば75〜90wt%)であることがより好ましい。また、正極合剤全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20wt%とすることができ、通常は凡そ2〜15wt%とすることが好ましい。バインダを使用する組成では、正極合剤全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10wt%とすることができ、通常は凡そ2〜5wt%とすることが好ましい。
≪負極シート240≫
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241と、負極活物質層243とを備えている。負極集電体241には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電体241には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電体241の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部242が設定されている。負極活物質層243は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に形成されている。負極活物質層243は、負極集電体241に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。負極活物質層243は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電体241に塗工されている。
≪負極活物質層243≫
図5は、リチウムイオン二次電池100の負極シート240の断面図である。負極活物質層243には、図5に示すように、負極活物質粒子710、増粘剤(図示省略)、バインダ730などが含まれている。図5では、負極活物質層243の構造が明確になるように、負極活物質層243中の負極活物質粒子710とバインダ730とを大きく模式的に表している。
≪負極活物質粒子710≫
負極活物質粒子710としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、または、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。なお、ここでは、負極活物質粒子710は、いわゆる鱗片状黒鉛が用いられた場合を図示しているが、負極活物質粒子710は、図示例に限定されない。
≪増粘剤、溶媒≫
負極活物質層243は、例えば、上述した負極活物質粒子710とバインダ730を溶媒にペースト状(スラリ状)に混ぜ合わせた負極合剤を作製し、負極集電体241に塗布し、乾燥させ、圧延することによって形成されている。この際、負極合剤の溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適な例としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。バインダ730には、上記正極活物質層223(図4参照)のバインダ630として例示したポリマー材料を用いることができる。また、上記正極活物質層223のバインダ630として例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極合剤の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。
≪セパレータ262、264≫
セパレータ262、264は、図1または図2に示すように、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2および図3に示すように、負極活物質層243の幅b1は、正極活物質層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極活物質層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
なお、図1および図2に示す例では、セパレータ262、264は、シート状の部材で構成されている。セパレータ262、264は、正極活物質層223と負極活物質層243とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。したがって、シート状の部材に限定されない。セパレータ262、264は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層223または負極活物質層243の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
≪電池ケース300≫
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
車載用の二次電池では、車両の燃費を向上させるため、重量エネルギ効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、この実施形態では、電池ケース300を構成する容器本体320と蓋体340は、アルミニウム、アルミニウム合金などの軽量金属が採用されている。これにより重量エネルギ効率を向上させることができる。
電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300は、有底四角筒状の容器本体320と、容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には注液孔350と安全弁360とが設けられている。
捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電体221の未塗工部222と負極集電体241の未塗工部242は、それぞれセパレータ262、264の両側において、らせん状に露出している。図6に示すように、この実施形態では、未塗工部222、242の中間部分224、244を寄せ集め、電極端子420、440の先端部420a、440aに溶接している。この際、それぞれの材質の違いから、電極端子420と正極集電体221の溶接には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、電極端子440と負極集電体241の溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。ここで、図6は、捲回電極体200の未塗工部222(242)の中間部分224(244)と電極端子420(440)との溶接箇所を示す側面図であり、図1のVI−VI断面図である。
捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられる。かかる捲回電極体200は、図1に示すように、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されて封止されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
その後、蓋体340に設けられた注液孔350から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、水を溶媒としていない、いわゆる非水電解液が用いられている。この例では、電解液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPF6を約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔350に金属製の封止キャップ352を取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液は、ここで例示された電解液に限定されない。例えば、従来からリチウムイオン二次電池に用いられている非水電解液は適宜に使用することができる。
≪空孔≫
ここで、正極活物質層223は、例えば、正極活物質粒子610と導電材620の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間225を有している(図4参照)。かかる正極活物質層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込み得る。また、負極活物質層243は、例えば、負極活物質粒子710の粒子間などに、空洞とも称すべき微小な隙間245を有している(図5参照)。ここでは、かかる隙間225、245(空洞)を適宜に「空孔」と称する。また、捲回電極体200は、図2に示すように、捲回軸WLに沿った両側において、未塗工部222、242が螺旋状に巻かれている。かかる捲回軸WLに沿った両側252、254において、未塗工部222、242の隙間から、電解液が浸み込みうる。このため、リチウムイオン二次電池100の内部では、正極活物質層223と負極活物質層243に電解液が浸み渡っている。
≪ガス抜け経路≫
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。例えば、過充電が生じた場合などにおいて、リチウムイオン二次電池100の温度が異常に高くなると、電解液が分解されてガスが異常に発生する場合がある。この実施形態では、異常に発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312を通して安全弁360の方へ移動し、安全弁360から電池ケース300の外に排気される。
かかるリチウムイオン二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池100の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
図7は、かかるリチウムイオン二次電池100の充電時の状態を模式的に示している。充電時においては、図7に示すように、リチウムイオン二次電池100の電極端子420、440(図1参照)は、充電器290に接続される。充電器290の作用によって、充電時には、正極活物質層223中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液280に放出される。また、正極活物質層223からは電荷が放出される。放出された電荷は、導電材(図示省略)を通じて正極集電体221に送られ、さらに、充電器290を通じて負極シート240へ送られる。また、負極シート240では電荷が蓄えられるとともに、電解液280中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層243中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。
≪放電時の動作≫
図8は、かかるリチウムイオン二次電池100の放電時の状態を模式的に示している。放電時には、図8に示すように、負極シート240から正極シート220に電荷が送られるとともに、負極活物質層243に貯蔵されたリチウムイオンが、電解液280に放出される。また、正極では、正極活物質層223中の正極活物質に電解液280中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池100の充放電において、電解液280を介して、正極活物質層223と負極活物質層243との間でリチウムイオンが行き来する。また、充電時においては、正極活物質から導電材を通じて正極集電体221に電荷が送られる。これに対して、放電時においては、正極集電体221から導電材を通じて正極活物質に電荷が戻される。
充電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、効率的で急速な充電が可能になると考えられる。放電時においては、リチウムイオンの移動および電子の移動がスムーズなほど、電池の抵抗が低下し、放電量が増加し、電池の出力が向上すると考えられる。
≪他の電池形態≫
なお、上記はリチウムイオン二次電池の一例を示すものである。リチウムイオン二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池或いはラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。なお、ここで説明するリチウムイオン二次電池は、基本的な構造が上述したリチウムイオン二次電池100と同じであるので、適宜に上述したリチウムイオン二次電池100の図を参照して説明する。
≪リチウムイオン二次電池100A≫
図9は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100Aを示している。図9において、本発明の一実施形態では負極シート240Aの構造が、図1に示されるリチウムイオン二次電池100と異なっている。負極シート240Aの未塗工部は、符号242Aで示されている。図10は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100Aの負極シート240Aの断面図である。
このリチウムイオン二次電池100Aは、図10に示すように、負極集電体241Aと、負極集電体241Aに形成された負極活物質層243Aとを有している。負極活物質層243Aは、少なくとも一部が非晶質炭素膜750で覆われた黒鉛粒子710Aとバインダ730Aとを含んでいる。また、この実施形態では、特に、負極活物質層243Aはバインダ730Aとして、ガラス転移温度Tgが−10℃≦Tg≦−40℃のSBRを含んでいる。
≪非晶質炭素膜750≫
負極活物質としての黒鉛粒子710Aは、少なくとも一部が非晶質炭素膜750によって覆われていてもよい。この際、負極活物質の核(芯材)となる黒鉛粒子710Aは、例えば、天然黒鉛を用いるとよい。天然黒鉛としては、例えば、鱗片状の黒鉛粒子(鱗片状黒鉛(Flake Graphite)とも称される。)を用いることができる。ここで、非晶質炭素膜750は、非晶質な炭素材料よりなる膜である。黒鉛粒子710Aは、例えば、核となる天然黒鉛にピッチを混ぜて焼くことによって得られる。
ここで、非晶質炭素膜750で覆われた天然黒鉛中、非晶質炭素膜750の重量割合Xは、凡そ0.01≦X≦0.10であるとよい。当該非晶質炭素膜750の重量割合Xは、より好ましくは、0.02≦Xであるとよく、また上限は、より好ましくはX≦0.08、さらにはX≦0.06であるとよい。これにより、非晶質炭素膜750によって、適当に覆われた天然黒鉛が得られる。非晶質炭素膜750によって適当に覆われた天然黒鉛を負極活物質として用いることにより、電解液と天然黒鉛との副反応を防止でき、リチウムイオン二次電池100Aの性能低下を防止できる。
≪負極活物質層243A≫
リチウムイオン二次電池100Aは、車載用として、特に、ハイブリッド自動車用途では、エンジンをアシストするモータを瞬間的に作動させるための高出力性能や自動車が停止する時のエネルギを回生するための高入力特性が望まれている。かかる観点において、本発明者は、負極活物質層243Aに用いられる黒鉛粒子710Aについて、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、TG測定によるTG熱減少開始温度Hが600℃以下(H≦600℃)であると良いとの知見を得た。
≪吸油量F≫
吸油量Fは、亜麻仁油の吸油量を基に評価した。吸収量(mL/100g)は、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して求める。ここでは、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)に変えて亜麻仁油を用い、検査対象粉末に定速度ビュレットで滴定し、粘度特性の変化をトルク検出器によって測定する。そして、発生した最大トルクの70%のトルクに対応する、検査対象粉末の単位重量当りの試薬液体の添加量を亜麻仁油の吸油量とする。
亜麻仁油の吸油量Fが高いほど、黒鉛粒子710Aは電解液が馴染みやすい傾向がある。黒鉛粒子710Aは電解液が馴染みやすいほど、リチウムイオンの吸収又は放出が容易である。このため、負極活物質層243Aに含まれる黒鉛粒子710Aの亜麻仁油の吸油量Fが高いほど、リチウムイオン二次電池100Aの抵抗を下げることができると考えられる。
≪顕微ラマンR値≫
顕微ラマンR値は、ラマン測定において得られたラマンスペクトルにおいて、1580cm−1付近の最大ピークの強度IAと、1360cm−1付近の最大ピークの強度IBとの強度比IB/IAによって定義される。ここで、顕微ラマンR値は、ラマン測定による20回の平均値で評価している。
ここで、ラマン測定は、ラマン分光器(例えば、日本分光社製ラマン分光器)を用い、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザ光を照射しながら、測定セルをこのレーザ光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。測定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザ光の波長:514.5nm
試料上のレーザーパワー:15〜25mW
分解能:4cm−1
測定範囲:1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理
(単純平均、コンボリューション5ポイント)
1580cm−1付近の最大ピークは、黒鉛結晶質構造に由来するピークであり、1360cm−1付近の最大ピークは、構造欠陥により対称性の低下した炭素原子に由来するピークである。
≪TG熱減少開始温度H≫
TG熱減少開始温度Hは、熱分析によって、黒鉛粒子710Aの温度を制御(加熱)しながら質量変化を測定する熱重量分析(TGA)によって、黒鉛粒子710Aの質量が減少を始める温度である。
TG熱減少開始温度Hの測定は、市販の装置を用いることができる。ここでは、TG熱減少開始温度Hは、株式会社リガク製の熱分析装置(Thermo Plus TG8120)によって測定されている。TG熱減少開始温度Hは、当該熱分析装置を用い、昇温速度を1分当たり5℃(5℃/min)とし、室温から1000℃まで昇温させて、黒鉛粒子710Aの質量が減少を開始する温度を求めた。
ここでは、黒鉛粒子710Aは、非晶質炭素膜750によって少なくとも一部が覆われている。TG熱減少開始温度Hは、非晶質炭素膜750の結晶性が高いほど高くなり、非晶質炭素膜750の結晶性が低いほど低くなる傾向がある。このため、TG熱減少開始温度Hによれば、黒鉛粒子710Aの非晶質炭素膜750の結晶性を評価することができる。
≪評価用セル≫
本発明者は、吸油量F、顕微ラマンR値、TG熱減少開始温度Hが異なる黒鉛粒子を用意した。そして、各黒鉛粒子をそれぞれ負極活物質粒子710Aとして用いて評価用セルを作製した。ここで、評価用セルは、定格容量が800mAhの18650型電池である。
以下、評価用セルの構成を説明する。
≪評価用セルの正極≫
ここで、評価用セルの正極は、厚さ15μmのアルミニウム箔を正極集電体に用いた。正極活物質層を形成する際に用意した正極合剤の固形分は、重量割合において正極活物質:導電材:バインダ=87:10:3とした。正極活物質としては、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)の粒子が用いられており、各評価用セルにおいて共通の正極活物質が用いられている。導電材としてアセチレンブラックが用いられている。バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられている。
≪評価用セルの負極≫
評価用セルの負極は、厚さ10μmの銅箔を負極集電体に用いた。負極活物質層を形成する際に用意した負極合剤の固形分は、重量割合において負極活物質:増粘剤:バインダ=98:1:1とした。ここでは、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられている。また、バインダとしてスチレン・ブタジエンゴム(SBR)が用いられている。
ここで、バインダとしてのスチレン・ブタジエンゴムは、ガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムを用いるとよい。ガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムは、負極シートの柔軟性を高めることができる。負極シート240Aを高速で捲回する場合に適している。ここでは、例えば、凡そ−30℃のスチレン・ブタジエンゴムが用いられている。
評価用セルの負極活物質には、少なくとも一部が非晶質炭素膜750によって覆われた黒鉛粒子710Aが用いられている(図10参照)。黒鉛粒子710Aは、生産条件によって、吸油量F、顕微ラマンR値およびTG熱減少開始温度Hが異なる。ここでは、各評価用セルにおいて、吸油量F、顕微ラマンR値およびTG熱減少開始温度Hが異なる黒鉛粒子710Aが用いられている。各評価用セルは、負極活物質を除き同じ条件で作製されている。評価用セルは、まず所定のコンディショニングが行なわれる。
≪コンディショニング≫
上記のように構築された評価用セルについて、電解液を注入した後で、10時間程度放置し、電池電圧が2.0V以上になってからコンディショニング(初期充電)が行なわれる。ここでコンディショニングは、次の手順1、2によって行なわれる。
手順1:1Cの定電流充電にて4.1Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
≪定格容量の測定≫
上記コンディショニングの後、評価用セルについて定格容量が測定される。定格容量の測定は、次の手順1〜3によって測定されている。なお、ここでは温度による影響を一定にするため、定格容量は温度25℃の温度環境において測定されている。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。この評価用セルでは、定格容量が凡そ1Ahになる。
≪SOC調整≫
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後で行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、評価用セルは、所定の充電状態に調整することができる。
なお、手順1での充電状態を調整することによって、評価用セルの充電状態を変更することができる。例えば、SOC80%にする場合には、手順1の定電流での充電において、定格容量の凡そ80%の充電状態にするとよい。
次に、各評価用セルについて、高温環境で長期間放置された場合の容量維持率、高温環境での充放電サイクル後の容量維持率、低温環境での反応抵抗および低温環境での極めて高いハイレートでの充放電サイクル(パルス充放電サイクル)後の容量維持率をそれぞれ評価した。ここで、高温環境で長期間放置された場合の容量維持率は「60℃30日保存時容量維持率」で評価した。また、高温環境での充放電サイクル後の容量維持率は「60℃500サイクル後の容量維持率」で評価した。また、低温環境での反応抵抗は「−30℃反応抵抗」で評価した。また、低温環境での極めて高いハイレートでのパルス充放電サイクル後の容量維持率は「0℃パルス容量維持率」で評価した。
以下、各評価試験の内容を説明する。
≪60℃30日保存時容量維持率≫
ここで、容量維持率(保存後容量維持率)は、所定の充電状態に調整された評価用セルの初期容量と、上記所定の充電状態に調整された評価用セルを所定環境で所定時間保存した後の容量(以下、適宜に「保存後容量」という。)との比(保存後容量)/(初期容量)で求められる。
「保存後容量維持率」=(保存後容量)/(初期容量)×100(%)
ここでは、「初期容量」は、25℃においてSOC80%に調整された評価用セルを基に測定した放電容量である。また、「保存後容量」は、25℃においてSOC80%に調整された後、60℃の温度環境で60日間保存した評価用セルを基に測定した放電容量である。ここで、「放電容量」は、それぞれ25℃において、4.1Vから3.0Vまで1Cの定電流で放電させ、続いて合計放電時間が2時間となるまで定電圧で放電させた際に測定される積算容量(放電容量)である。
≪60℃500サイクル後の容量維持率≫
ここで、容量維持率(サイクル後容量維持率)は、所定の充電状態に調整された評価用セルの初期容量と、所定の充放電サイクル後の評価用セルの容量(以下、適宜に「サイクル後容量」という。)との比(サイクル後容量)/(初期容量)で求められる。
「サイクル後容量維持率」=(サイクル後容量)/(初期容量)×100(%)
60℃500サイクル後の容量維持率は、25℃の温度環境において、評価用セルに上記コンディショニングを施した後、3.0Vまで定電流放電した後、定電流定電圧で充電を行ってSOC60%に調整する。ここでの「初期容量」は、25℃においてSOC60%に調整された評価用セルを基に測定した放電容量である。また、「サイクル後容量」は、60℃においてSOC60%に調整された後、60℃の温度環境で所定の充放電を行う。そして、充放電後の評価用セルを基に、25℃の温度環境において測定した放電容量を測定する。ここでの「放電容量」の測定は、60℃30日保存時容量維持率での「放電容量」の測定に準じている。
ここで、充放電の1サイクルは、以下の(I)〜(IV)の通りである。
(I)2Cにて4.1V〜3.0Vまで放電する。
(II)10分間休止する。
(III)2Cの3.0V〜4.1Vまで充電する。
(IV)10分間休止する。
60℃500サイクル後の容量維持率の測定では、かかる(I)〜(IV)からなる充放電の1サイクルを500回繰り返す。この際、100サイクル毎に、上記のように評価用セルをSOC60%に調整する。
≪−30℃反応抵抗≫
反応抵抗は、交流インピーダンス測定法によって測定される反応抵抗である。交流インピーダンス測定法による。図11は、交流インピーダンス測定法における、Cole−Coleプロット(ナイキスト・プロット)の典型例を示す図である。図11に示すように、交流インピーダンス測定法における等価回路フィッティングによって得られるCole−Coleプロットを基に、直流抵抗(Rsol)と、反応抵抗(Rct)を算出することができる。ここで、反応抵抗(Rct)は、下記の式で求めることができる。
ct=(Rsol+Rct)−Rsol
このような測定、および、直流抵抗(Rsol)と反応抵抗(Rct)の算出は、予めプログラムされた市販の装置を用いて実施できる。かかる装置としては、例えば、Solartron社製の電気化学インピーダンス測定装置がある。ここでは、−30℃の温度環境で、SOC40%(定格容量の凡そ40%の充電状態)に調整された評価用セルを基に、10−3〜10Hzの周波数範囲で複素インピーダンス測定を行なった。そして、図11で示すように、ナイキスト・プロットの等価回路フィッティングによって得られる反応抵抗(Rct)を「−30℃における反応抵抗」とした。
≪0℃パルス容量維持率≫
パルス容量維持率は、所定の充電状態に調整された評価用セルの初期容量と、上記所定のパルス充放電サイクル後の評価用セルの容量(以下、適宜に「パルス後容量」という。)との比(パルス後容量)/(初期容量)で求められる。
「パルス容量維持率」=(パルス後容量)/(初期容量)×100(%)
0℃パルス容量維持率は、25℃の温度環境において、評価用セルに上記コンディショニングを施した後、3.0Vまで定電流放電した後、定電流定電圧で充電を行ってSOC60%に調整する。ここでの「初期容量」は、25℃においてSOC60%に調整された評価用セルを基に測定した放電容量である。また、「0℃パルス容量維持率」は、0℃の温度環境においてSOC60%に調整された後、0℃の温度環境で所定のパルス充放電を行う。そして、パルス充放電後の評価用セルを基に、25℃の温度環境において測定した放電容量を測定する。ここでの「放電容量」の測定は、60℃30日保存時容量維持率での「放電容量」の測定に準じている。
ここで、パルス充放電の1サイクルは、以下の(I)〜(V)の通りである。
(I)33Cの定電流で10秒間充電する。
(II)10分間休止する。
(III)33Cの定電流で10秒間放電する。
(IV)10分間休止する。
0℃パルス容量維持率では、かかる(I)〜(IV)からなる充放電の1サイクルを1200回繰り返す。この際、100サイクル毎に、上記のように評価用セルをSOC60%に調整する。かかる0℃パルス容量維持率によれば、60℃500サイクル後の容量維持率よりも、低温環境におけるハイレートでの充放電サイクル後の性能が測られる。特に、低温環境における33C程度の極めて高いレートでの充放電サイクルでは、リチウムイオンが負極活物質粒子に吸収される反応速度と、リチウムイオンが負極活物質粒子から放出される反応速度の差により、リチウムが析出したり、容量維持率が低下したりする。本発明者の知見では、0℃パルス容量維持率が97%以上であれば、リチウムが析出する事象がほとんど見られず、極めて良好な性能を有していると評価される。
≪サンプルとその評価≫
本発明者は、吸油量F、顕微ラマンR値、TG熱減少開始温度Hが異なる黒鉛粒子710Aを負極活物質粒子として用いて作製した評価用セルをそれぞれ複数用意した。各評価用セルについて、それぞれ「60℃30日保存時容量維持率」、「60℃500サイクル後の容量維持率」、「−30℃反応抵抗」、「0℃パルス容量維持率」を測定した。表1は、当該試験の結果を示している。
Figure 2013030441
≪サンプル1〜12≫
サンプル1の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが62.6(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.23であり、TG熱減少開始温度Hが589℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が85.4%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.1%であり、「−30℃反応抵抗」が531mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.8%であった。
サンプル2の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが62.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.33であり、TG熱減少開始温度Hが576℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が85.6%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が83.3%であり、「−30℃反応抵抗」が533mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.6%であった。
サンプル3の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが61.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.43であり、TG熱減少開始温度Hが514℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が85.9%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.1%であり、「−30℃反応抵抗」が502mΩ、「0℃パルス容量維持率」は98.2%であった。
サンプル4の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが58.8(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.37であり、TG熱減少開始温度Hが538℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.3%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.8%であり、「−30℃反応抵抗」が508mΩ、「0℃パルス容量維持率」は98.1%であった。
サンプル5の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが57.7(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.34であり、TG熱減少開始温度Hが572℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.2%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.2%であり、「−30℃反応抵抗」が511mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.8%であった。
サンプル6の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが55.7(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.28であり、TG熱減少開始温度Hが598℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.6%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.4%であり、「−30℃反応抵抗」が525mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.9%であった。
サンプル7の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが54.6(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.35であり、TG熱減少開始温度Hが562℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.3%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が83.1%であり、「−30℃反応抵抗」が528mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.7%であった。
サンプル8の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが54.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.58であり、TG熱減少開始温度Hが453℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.7%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.2%であり、「−30℃反応抵抗」が491mΩ、「0℃パルス容量維持率」は98.1%であった。
サンプル9の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが53.8(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.48であり、TG熱減少開始温度Hが472℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.9%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.8%であり、「−30℃反応抵抗」が503mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.6%であった。
サンプル10の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが49.2(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.59であり、TG熱減少開始温度Hが468℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.3%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.9%であり、「−30℃反応抵抗」が494mΩ、「0℃パルス容量維持率」は98.4%であった。
サンプル11の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが48.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.21であり、TG熱減少開始温度Hが584℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が87.1%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.6%であり、「−30℃反応抵抗」が528mΩ、「0℃パルス容量維持率」は97.5%であった。
サンプル12の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45.2(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.44であり、TG熱減少開始温度Hが492℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が87.2%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が83.1%であり、「−30℃反応抵抗」が505mΩ、「0℃パルス容量維持率」は98.4%であった。
サンプル1〜12では、何れも黒鉛粒子710Aの吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、黒鉛粒子710Aの顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、黒鉛粒子710AのTG測定によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃である。
この場合、「60℃30日保存時容量維持率」および「60℃500サイクル後の容量維持率」が何れも高く維持され、「−30℃反応抵抗」が何れも低く抑えられた。また、「0℃パルス容量維持率」は、何れも97%以上であり、リチウムの析出はほとんど見られず、これらの試験において全て高い性能を有していた。このように、負極活物質粒子710Aとして、吸油量F、顕微ラマンR値およびTG熱減少開始温度Hの点で、サンプル1〜12のような黒鉛粒子710Aを選択するとよい。
すなわち、負極活物質層243Aに含まれる負極活物質粒子としての黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6およびTG熱減少開始温度HがH≦600℃であるとよい。これによって、ハイレートでの充放電について極めて高い性能が要求されるハイブリッド車両用の車両駆動用電池として、十分に満足できる性能が得られる。
≪サンプル13〜25≫
これに対して、サンプル13〜25は、負極活物質層243Aに含まれる負極活物質粒子としての黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であること、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であること、および、るTG熱減少開始温度HがH≦600℃であること、との条件のうち何れかを満たしていない。
この場合、サンプル13〜25は、「60℃30日保存時容量維持率」、「60℃500サイクル後の容量維持率」および「−30℃反応抵抗」のうち何れかの評価において、サンプル1〜12の評価用セルと比べて相対的に劣る。このため、60℃程度の高温での容量維持率と、−30℃での反応抵抗において、性能が必ずしも両立しない。または、「0℃パルス容量維持率」が97%未満となり、極めて高いハイレートサイクル特性が要求される用途では、十分な性能が得られない場合が生じ得ると考えられる。
例えば、サンプル13の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが62.4(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.68であり、TG熱減少開始温度Hが634℃であった。この場合、評価用セルは、「60℃30日保存時容量維持率」が81.8%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が80.4%であり、「−30℃反応抵抗」が581mΩ、「0℃パルス容量維持率」は、76.8%であった。
サンプル14の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが59.3(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.72であり、TG熱減少開始温度Hが612℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が80.9%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が80.8%であり、「−30℃反応抵抗」が579mΩ、「0℃パルス容量維持率」は73.5%であった。
サンプル15の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが64.6(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.56であり、TG熱減少開始温度Hが615℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が82.8%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.1%であり、「−30℃反応抵抗」が591mΩ、「0℃パルス容量維持率」は67.2%であった。
サンプル16の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが65.7(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.33であり、TG熱減少開始温度Hが603℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が82.1%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.2%であり、「−30℃反応抵抗」が601mΩ、「0℃パルス容量維持率」は66.9%であった。
サンプル17の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが72.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.18であり、TG熱減少開始温度Hが593℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が79.9%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が78.1%であり、「−30℃反応抵抗」が539mΩ、「0℃パルス容量維持率」は92.3%であった。
サンプル18の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが67.1(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.15であり、TG熱減少開始温度Hが564℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が80.5%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が76.9%であり、「−30℃反応抵抗」が526mΩ、「0℃パルス容量維持率」は91.1%であった。
サンプル19の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが57.7(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.54であり、TG熱減少開始温度Hが602℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が82.3%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.9%であり、「−30℃反応抵抗」が591mΩ、「0℃パルス容量維持率」は75.5%であった。
サンプル20の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが58.9(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.45であり、TG熱減少開始温度Hが628℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が81.4%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.8%であり、「−30℃反応抵抗」が601mΩ、「0℃パルス容量維持率」は72.3%であった。
サンプル21の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが66.5(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.23であり、TG熱減少開始温度Hが568℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が79.5%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が81.1%であり、「−30℃反応抵抗」が521mΩ、「0℃パルス容量維持率」は95.6%であった。
サンプル22の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが63.5(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.21であり、TG熱減少開始温度Hが543℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が79.9%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が80.9%であり、「−30℃反応抵抗」が508mΩ、「0℃パルス容量維持率」は96%であった。
サンプル23の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが44.7(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.55であり、TG熱減少開始温度Hが490℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.8%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が82.9%であり、「−30℃反応抵抗」が562mΩ、「0℃パルス容量維持率」は71.2%であった。
サンプル24の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが56.2(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.16であり、TG熱減少開始温度Hが528℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が86.1%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が79.1%であり、「−30℃反応抵抗」が514mΩ、「0℃パルス容量維持率」は89.1%であった。
サンプル25の黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが54.2(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.73であり、TG熱減少開始温度Hが558℃であった。この場合、「60℃30日保存時容量維持率」が82.1%であり、「60℃500サイクル後の容量維持率」が78.2%であり、「−30℃反応抵抗」が527mΩ、「0℃パルス容量維持率」は83.3%であった。
このように、サンプル13〜25は、「60℃30日保存時容量維持率」、「60℃500サイクル後の容量維持率」および「−30℃反応抵抗」のうち何れかの評価において、サンプル1〜12の評価用セルと比べて相対的に劣る。このため、60℃程度の高温での容量維持率と、−30℃での反応抵抗において、性能が必ずしも両立しない。また、極めて高い「0℃パルス容量維持率」は97%未満であった。
図9および図10に示すように、このリチウムイオン二次電池100Aの負極活物質層243Aは、少なくとも一部が非晶質炭素膜750で覆われた黒鉛粒子710Aと、バインダとを含んでいる。この場合において、負極活物質層243Aに負極活物質粒子として含まれる黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、TG熱減少開始温度HがH≦600℃であるとよい。これにより、「60℃30日保存時容量維持率」及び「60℃500サイクル後の容量維持率」が何れも高く維持され、「−30℃反応抵抗」が低く抑えられ得る。
このため、このリチウムイオン二次電池100Aは、60℃程度から−30℃程度の温度変化に対して安定した性能が要求される車両駆動用電池として好適である。また、「0℃パルス容量維持率」が上述した評価用セルにおいて凡そ97%以上と極めて高く維持される。このため、特に、ハイレートでの充放電について極めて高い性能が要求されるハイブリッド車両用の車両駆動用電池として、十分に満足できる性能を得ることができると考えられる。すなわち、高温環境で長期間放置された場合の容量維持率、高温環境での充放電サイクル後の容量維持率、低温環境での反応抵抗、および、低温環境での極めて高いハイレートでの充放電サイクル(パルス充放電サイクル)後の容量維持率について、性能が良いリチウムイオン二次電池を得ることができる(例えば、サンプル1〜12)。
また、上述した評価用セルでは、負極活物質層243Aに含まれた黒鉛粒子710Aは、少なくとも一部が非晶質炭素膜750で覆われた天然黒鉛である。また、負極活物質層243Aに含まれるバインダ730Aとして、ガラス転移温度Tgが−10℃≦Tg≦−40℃のSBRを含んでいる。ガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムは、負極シートの柔軟性を高めることができる。負極シート240Aを高速で捲回する場合に適している。ここでは、負極活物質層243Aのバインダとして用いられるスチレン・ブタジエンゴムについて、負極シート240Aの柔軟性を高めて、負極シート240Aの高速捲回を実現するために、凡そ−30℃のスチレン・ブタジエンゴムが用いられている。
ところで、負極活物質層243Aのバインダとして用いられるスチレン・ブタジエンゴムについて、ガラス転移温度Tgが25℃程度のものでは、0℃パルス容量維持率は高くなる傾向がある。例えば、上述したサンプル14では、「0℃パルス容量維持率」は73.5%であったが、負極活物質層243Aのバインダとしてガラス転移温度Tgが凡そ25℃のスチレン・ブタジエンゴムを用いた場合には、「0℃パルス容量維持率」は、97.4であった。
このように、負極活物質層243Aのバインダとしてガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムを用いる場合に、「0℃パルス容量維持率」が悪くなる傾向がある。負極活物質層243Aのバインダとしてガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムを用いる場合には、特に、負極活物質層243Aに負極活物質粒子として含まれる黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃であるとよい。
すなわち、負極活物質層243Aのバインダとしてガラス転移温度Tgが凡そ−10℃≦Tg≦−40℃のスチレン・ブタジエンゴムを用いる場合においても、負極活物質層243Aに負極活物質粒子として含まれる黒鉛粒子710Aは、吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃であるとよい。これにより、負極シート240Aの捲回性能(柔軟性)を確保しつつ、高温環境で長期間放置された場合の容量維持率、高温環境での充放電サイクル後の容量維持率、低温環境での反応抵抗、および、低温環境での極めて高いハイレートでの充放電サイクル(パルス充放電サイクル)後の容量維持率について、性能が良いリチウムイオン二次電池を得ることができる(例えば、サンプル1〜12)。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100Aを説明したが、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、上述した何れの実施形態にも限定されない。
上述したように、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、特に、ハイレートでの入出力特性について要求されるレベルが高いハイブリッド車(プラグインハイブリッド車を含む)の車両駆動電源用の二次電池に好適である。この場合、例えば、図12に示すように、二次電池の複数個を接続して組み合わせた組電池の形態で、自動車などの車両1のモータ(電動機)を駆動させる車両駆動用電池1000として好適に利用され得る。
1 車両
100、100A リチウムイオン二次電池
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
223 正極活物質層
224 中間部分
225 隙間(空洞)
240、240A 負極シート
241、241A 負極集電体
242、242A 未塗工部
243、243A 負極活物質層
245 隙間(空洞)
262、264 セパレータ
280 電解液
290 充電器
300 電池ケース
310、312 隙間
320 容器本体
322 蓋体と容器本体の合わせ目
340 蓋体
350 注液孔
352 封止キャップ
360 安全弁
420 電極端子
420a 先端部
440 電極端子
440a 先端部
610 正極活物質粒子
620 導電材
630 バインダ
710、710A 負極活物質粒子
730、730A バインダ
750 非晶質炭素膜
1000 車両駆動用電池
WL 捲回軸

Claims (4)

  1. 負極集電体と、
    前記負極集電体に形成された負極活物質層と
    を有し、
    前記負極活物質層は、少なくとも一部が非晶質炭素膜で覆われた黒鉛粒子と、バインダとを含み、
    前記黒鉛粒子の吸油量Fが45(mL/100g)≦F≦63(mL/100g)であり、
    前記黒鉛粒子の顕微ラマンR値が0.2≦R値≦0.6であり、かつ、
    前記黒鉛粒子のTG測定によるTG熱減少開始温度HがH≦600℃である、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 前記黒鉛粒子は、天然黒鉛である、請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池。
  3. 前記バインダには、ガラス転移温度Tgが−10℃≦Tg≦−40℃のSBRが含まれている、請求項1又は2に記載されたリチウムイオン二次電池。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池を備えた、車両駆動用電池。
JP2011167680A 2011-07-29 2011-07-29 リチウムイオン二次電池 Active JP5725351B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011167680A JP5725351B2 (ja) 2011-07-29 2011-07-29 リチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011167680A JP5725351B2 (ja) 2011-07-29 2011-07-29 リチウムイオン二次電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013030441A true JP2013030441A (ja) 2013-02-07
JP5725351B2 JP5725351B2 (ja) 2015-05-27

Family

ID=47787276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011167680A Active JP5725351B2 (ja) 2011-07-29 2011-07-29 リチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5725351B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014165156A (ja) * 2013-02-28 2014-09-08 Panasonic Corp 非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の負極板の製造方法
WO2014141930A1 (ja) * 2013-03-14 2014-09-18 Necエナジーデバイス株式会社 リチウムイオン二次電池及びその充電方法
US20180308603A1 (en) * 2015-09-30 2018-10-25 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Conductive Paste and Conductive Film
CN110168787A (zh) * 2017-01-06 2019-08-23 日立化成株式会社 锂离子二次电池用负极材、锂离子二次电池用负极和锂离子二次电池
WO2020012587A1 (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 日立化成株式会社 リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電池用負極の製造方法
WO2020012586A1 (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 日立化成株式会社 リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法
CN112713335A (zh) * 2020-12-14 2021-04-27 江苏伟复能源有限公司 一种带有中空隔层的耐低温性能电池

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001229914A (ja) * 2000-02-10 2001-08-24 Toyo Tanso Kk 負極及び二次電池
JP2001332263A (ja) * 2000-03-16 2001-11-30 Sony Corp 二次電池および炭素系負極材料の製造方法
JP2002175810A (ja) * 2000-09-26 2002-06-21 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池及び負極
JP2008204886A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 負極活物質およびその評価方法ならびにそれを用いた非水電解液二次電池用負極板および非水電解液二次電池
JP2010092649A (ja) * 2008-10-06 2010-04-22 Nippon Carbon Co Ltd リチウムイオン二次電池用負極活物質及び負極

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001229914A (ja) * 2000-02-10 2001-08-24 Toyo Tanso Kk 負極及び二次電池
JP2001332263A (ja) * 2000-03-16 2001-11-30 Sony Corp 二次電池および炭素系負極材料の製造方法
US20020015888A1 (en) * 2000-03-16 2002-02-07 Atsuo Omaru Non-aqueous electrolyte secondary battery and method of preparing carbon-based material for negative electrode
JP2002175810A (ja) * 2000-09-26 2002-06-21 Mitsubishi Chemicals Corp リチウム二次電池及び負極
JP2008204886A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 負極活物質およびその評価方法ならびにそれを用いた非水電解液二次電池用負極板および非水電解液二次電池
JP2010092649A (ja) * 2008-10-06 2010-04-22 Nippon Carbon Co Ltd リチウムイオン二次電池用負極活物質及び負極

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014165156A (ja) * 2013-02-28 2014-09-08 Panasonic Corp 非水電解液二次電池、および非水電解液二次電池の負極板の製造方法
WO2014141930A1 (ja) * 2013-03-14 2014-09-18 Necエナジーデバイス株式会社 リチウムイオン二次電池及びその充電方法
US10069177B2 (en) 2013-03-14 2018-09-04 Nec Energy Devices, Ltd. Lithium ion secondary battery and charging method therefor
US20180308603A1 (en) * 2015-09-30 2018-10-25 Dowa Electronics Materials Co., Ltd. Conductive Paste and Conductive Film
CN110168787A (zh) * 2017-01-06 2019-08-23 日立化成株式会社 锂离子二次电池用负极材、锂离子二次电池用负极和锂离子二次电池
CN110168787B (zh) * 2017-01-06 2022-05-03 昭和电工材料株式会社 锂离子二次电池用负极材、锂离子二次电池用负极和锂离子二次电池
WO2020012587A1 (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 日立化成株式会社 リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電池用負極の製造方法
WO2020012586A1 (ja) * 2018-07-11 2020-01-16 日立化成株式会社 リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池の製造方法
CN112437993A (zh) * 2018-07-11 2021-03-02 昭和电工材料株式会社 锂离子二次电池用负极材、锂离子二次电池用负极、锂离子二次电池、和锂离子二次电池用负极的制造方法
CN112713335A (zh) * 2020-12-14 2021-04-27 江苏伟复能源有限公司 一种带有中空隔层的耐低温性能电池
CN112713335B (zh) * 2020-12-14 2023-11-14 江苏伟复能源有限公司 一种带有中空隔层的耐低温性能电池

Also Published As

Publication number Publication date
JP5725351B2 (ja) 2015-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5787196B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5783432B2 (ja) リチウムイオン二次電池およびその製造方法
JP6144626B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5783433B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5818068B2 (ja) 二次電池
JP5725351B2 (ja) リチウムイオン二次電池
KR101875254B1 (ko) 비수계 2차 전지
JP5741936B2 (ja) リチウムイオン二次電池
WO2013018181A1 (ja) リチウムイオン二次電池
WO2012105052A1 (ja) 二次電池
JP5843092B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5871158B2 (ja) 非水系二次電池
JP6120113B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP6274532B2 (ja) 非水電解質二次電池の製造方法
JP2013137955A (ja) 非水系二次電池
JP2012243455A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2013131471A (ja) 非水電解質二次電池
JP5783415B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JPWO2013018181A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5854267B2 (ja) 非水系二次電池
JP2015149308A (ja) リチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140320

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141009

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150318

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5725351

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250