JP2013028869A - パルプシートの処理方法並びに水硬性材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】密度が高いパルプシートであっても、未解繊率を低くすることが可能なパルプシートの処理方法並びに解繊されたパルプ繊維を用いた水硬性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】抄紙されたパルプシートを乾式で解繊しやすくするために前記パルプシートを前処理する方法である。前記パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させ、その後、乾燥させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、パルプシートの処理方法並びにパルプシートを解繊処理して得たパルプ繊維を用いた水硬性材料の製造方法に関する。
従来、セメント等を主成分とする水硬性材料を硬化・成型してセメントボードを製造することが行われているが、このセメントボードを補強するために、補強繊維を添加することが一般的である。具体的には、水硬性材料にあらかじめ補強繊維を添加しておき、この水硬性材料を硬化・成型することで、補強繊維で補強されたセメントボードが得られるのである。
しかし、上記補強繊維としては、公害の原因となる石綿繊維(アスベスト)が広く使用されていたため、その使用の制限、もしくはその全廃が強く要請されていた。そこで近年では、石綿繊維に替わる繊維として、パルプ繊維が補強繊維として使用されるようになっている。
パルプ繊維は、ガラス繊維や合成樹脂繊維等の繊維に比べて耐熱性、耐アルカリ性等の面で優れていることから、セメントボード等の無機質板の補強繊維として非常に有効に使用され得るものである。
上記パルプ繊維を補強繊維として用いる場合、パルプシートを繊維状や繊維束に解離させる処理、いわゆる解繊処理を行う必要がある(例えば、特許文献1を参照)。解繊処理の手法としては、例えば、パルプシートをハンマーミル等の粉砕機20で直接細かく砕く乾式解繊(図1(a)の工程A−1)が挙げられる。あるいは、攪拌手段31を備えた撹拌機30(例えば、パルパー等)により、パルプシートを水中で撹拌しながら砕いていく湿式解繊(図1(b)の工程B−1)が挙げられる。
上記乾式解繊して得られたパルプ繊維(乾式法)は、その後、混合機25にて、セメント等の水硬性材料の原料である粉体と混合処理される(図1(a)の工程A−2)。次いで、混合粉体を抄造機40へ移し、水を加えて硬化させることで、セメントボード等の板状成型体50が得られる(図1(a)の工程A−3)。その後、プレス成型、養生し、所望の形状に成型され、各種用途に用いられるのである。
一方、上記湿式解繊して得られたパルプ繊維(湿式法)は、水分をある程度除去してからセメント等の水硬性材料である原料粉体とミキサー等の混合機25で混合させる(図1(b)の工程B−2)。次いで、抄造機40へ移した後、脱水機35により脱水しながら硬化させることで、セメントボード等の板状成型体50が得られる(図1(b)の工程B−3)。その後、上記同様に、プレス成型、養生し、所望の形状に成型される。
ところで、パルプシートには、衛生用NBKPと、製紙用NBKP(NBKPは針葉樹晒クラフトパルプを示す略語である)の種類があることが知られている。このうち、衛生用NBKPは、上記の乾式解繊をすることを前提に作製されたものであるため、パルプシート自体の密度が、0.5〜0.6g/cmと種々のパルプシートの中でも小さい密度のものである。このように衛生用NBKPは低密度であるため、解繊処理において未解繊率が低いものとなり、セメントボードの補強繊維として適しているのである。
特開2001−19525号公報
しかし、衛生用NBKPからなるパルプシートは、年間生産量が少ないものであり(具体的には、480万トン/年)、そのため、原料の調達不足が起こってしまうことが懸念されている。そこで、衛生用NBKPよりもより年間生産量が数倍多い製紙用NBKP(具体的には、2220万トン/年)を原料として使用することが考えられる。ところが、製紙用NBKPからなるパルプシートは、その密度が0.7〜0.9g/cmと、衛生用NBKPよりも大きいものであるため、パルプシート自体が比較的硬い材料である。そのため、製紙用NBKPは粉砕機20等で解繊されにくいものであり、解繊処理したとしても、未解繊のものが多く残存してしまうという問題があった。製紙用NBKPは、通常、より解繊率を高めるために、図1(b)のような湿式法での解繊処理を行うこと一般的であるが、それでもそのパルプシートの硬さゆえに未解繊率は非常に高いものであり、解繊性に優れるものではなかった。具体的に示すと、たとえば、乾式法で解繊した衛生用NBKPの未解繊率は、通常15%以下であるのに対し、湿式法で解繊した製紙用NBKPの未解繊率は30〜60%になってしまうのである。このような未解繊のパルプシートが多いパルプ繊維を水硬性材料に添加し、これを硬化させてセメントボードを成型させたとしても、セメントボード中でのパルプ繊維の分散性は悪くなる(すなわち、塊状のパルプ繊維が混在してしまう)。従って、得られたセメントボードの機械的強度等の物性が損なわれやすいという問題も生じてしまうこともあった。
また、製紙用NBKPの解繊性を改善するために、上記特許文献1のように、パルプシートを一旦水中で離解処理した後、再び抄紙させ、これを乾式解繊させる、いわゆる湿式離解処理を適用して、未解繊率を下げることも考えられる。しかし、この場合、離解処理や、抄紙工程といった工程が必要であり、全体として工程が増えてしまい、使用設備が多くなったり、工程時間が長くなったりするなど、生産面において決して有利な方法ではなかった。
以上のように、製紙用NBKPは、その生産量が多く、原料の調達不足になるリスクは低いものの、密度が高く硬い材料であるために、解繊性が悪いという課題を有するものであった。そのため、このような密度の高い製紙用パルプシートであっても効率よく簡易に解繊することできる方法が望まれていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、密度が高いパルプシートであっても、未解繊率を低くすることが可能なパルプシートの処理方法並びに解繊されたパルプ繊維を用いた水硬性材料の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係るパルプシートの処理方法は、抄紙されたパルプシートを乾式で解繊しやすくするために前記パルプシートを前処理する方法であって、前記パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させた後、乾燥させることを特徴とする。
また、前記パルプシートは、製紙用であることが好ましい。
また、前記界面活性剤は、前記パルプシート表面を疎水化することができる疎水基変性化合物であることが好ましい。あるいは、前記界面活性剤は、前記パルプシートの水酸基又はカルボキシル基の少なくともいずれか一方に吸着することができるカチオン性界面活性剤であることが好ましい。
本発明に係る水硬性材料の製造方法は、上記いずれかの方法で処理されたパルプシートを、乾式で解繊処理して得たパルプ繊維を含む水硬性材料の製造方法であって、少なくとも前記パルプ繊維と、セメントと、骨材とを、乾式で配合して調製することを特徴とする。
本発明のパルプシートの処理方法によれば、密度が高いパルプシートであっても、未解繊率を低くすることができる。そして、このように処理されたパルプシートの解繊によって得られたパルプ繊維は、セメントボードの補強繊維として有効に使用できる。
また、本発明の水硬性材料の製造方法によれば、未解繊率の低いパルプ繊維を使用するので、パルプ繊維の分散性に優れ、配合時のハンドリング性が良好で簡便に水硬性材料を製造することが可能となる。
解繊処理の工程を説明する概略図であり、(a)は乾式解繊を経る工程、(b)は湿式解繊を経る工程を示す。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明のパルプシートの処理方法では、抄紙されたパルプシートにあらかじめ界面活性剤水溶液を含浸させる工程と、その後、そのパルプシートを乾燥させる工程を経るものである。
本発明で使用するパルプシートは、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の木材パルプの他、藁、綿等の非木材パルプ等の公知の天然繊維で構成されたものを使用できる。これらのパルプシートは、公知の抄紙法で製造されたものを使用することができ、抄紙機などで抄かれた後、シート状に形成されたものである。パルプシートは、湿式あるいは乾式いずれの抄紙法で製造されたものであってもよく、各種市販されているものを用いることができる。
パルプシートは、トイレットペーパーやティッシュペーパー等に使用される衛生用のパルプシートと、情報用、包装用等に使用される製紙用のパルプシートに分類されるが、本発明では、製紙用のパルプシートを使用することが好ましい。これは、上述したように、製紙用NBKPの年間生産量は、衛生用NBKPの年間生産量の数倍であるため、調達不足により原料の入手が困難になってしまうおそれが小さいためである。
パルプシートの密度は、0.9g/cm以下であることが好ましく、この場合、パルプシートを解繊したときに未解繊のパルプシートの発生量を抑制することができる。より好ましいパルプシートの密度は、0.8g/cm以下である。一方、パルプシートの厚みは特に制限されるものではないが、未解繊のパルプシートの発生量を抑制するという点、後述の界面活性剤水溶液を含浸させやすくできるという点で、例えば、1.5mm以下の厚みのパルプシートを使用することが可能である。上記製紙用のパルプシートの場合、一般にその密度は0.7〜0.9g/cmである。
また、パルプシートは、シート強度やシートの柔軟性を向上させるために、ポリエチレン繊維等の合成繊維が適宜混合されたものであってもよい。
本発明では、パルプシートの解繊性を向上させるために、上記パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させる処理を行う。界面活性剤水溶液とは、界面活性剤成分を溶媒である水に溶解させたものであるが、溶媒としては水の他に、エタノール、グリセリン等のアルコール、その他の有機溶剤、さらにはpH調製剤等が含まれていてもよい。
界面活性剤水溶液をパルプシートに含浸させる方法としては特に限定されるものではないが、例えば、パルプシート表面への塗布処理により含浸させることができる。塗布処理においては、所定の量を塗布できるのであれば、塗工機を用いて自動で行ってもよいし、ハケ塗りのように手動で行ってもよい。具体的な塗布の方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、グラビアコート法、バーコート法、リバースコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スピンコート法、浸漬法などが挙げられる。このように界面活性剤水溶液の含浸処理を塗布処理により行えば、使用する水の量を少なくでき、さらに、後述の乾燥処理の時間短縮や必要動力も低減できるという利点がある。
その他、パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸する方法として、パルプシートを湿式抄紙で製造する際に、パルプスラリー中に直接界面活性剤水溶液を添加するようにしてもよい。
本発明は、上記のようにパルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させるので、界面活性剤の成分がパルプシート中の繊維間に入り込み、これによって、パルプ繊維間の水素結合等の相互作用が解消されやすくなる。そして、パルプ繊維間の結合力が弱まると、パルプ繊維間の空隙がより大きくなり、パルプシート自体の見かけの密度が小さくなってパルプシートがより解繊されやすくなるのである。従って、パルプシートの解繊処理時に未解繊のパルプシートの発生量を抑制することができるのである。
界面活性剤水溶液の含浸は、パルプシートの全面に対して均一に行うことが好ましく、この場合、界面活性剤の成分がパルプシート全体に均一に浸透しながら、パルプ繊維間に到達することができる。
また、パルプシートへの界面活性剤水溶液の含浸量は、例えば界面活性剤水溶液の濃度が0.1〜5質量%であれば、パルプシート100質量部に対して、60〜200質量部の界面活性剤水溶液を塗布させることが好ましい。この場合、パルプシートに界面活性剤水溶液を充分に含浸させられる。特に好ましい含浸量は100〜150質量部である。
パルプシートへの界面活性剤水溶液の含浸において、界面活性剤水溶液の濃度は適宜調整することが可能であるが、界面活性剤水溶液に対して界面活性剤成分が0.25〜1.0質量%であることが好ましい。界面活性剤水溶液の濃度がこの範囲であれば、含浸時間が長くなりすぎることなく、ハンドリング性も損なわれにくいものとなる。
また、パルプシートへの界面活性剤水溶液の含浸時間は(含浸処理後のエージング時間)、界面活性剤成分がパルプ繊維間に到達するまでにある程度の時間を要するものであるので、5分以上であることが好ましく、60分以上であればより好ましい。
上述のように、パルプシートを湿式抄紙で製造する際に、直接界面活性剤水溶液をパルプスラリー中に添加する方法で含浸することもできる。この場合も塗布処理のような方法と同様にパルプシートのパルプ繊維間に界面活性剤成分が介在するようになる(表面に吸着するものもある)。そして、このように得られたパルプシートにおいて、特に低密度部分のパルプシートを選定して採取すれば、解繊性が高く、解繊処理しても未解繊のパルプシートの発生量を抑制できるものとなる。
さらに本発明では、パルプシートに界面活性剤水溶液を塗布して含浸させた後、乾燥処理を行って、水分をある程度除去する操作を行う。乾燥方法としては、所定量の水分を除去できるのであれば特に限定されず、例えば、熱、熱風、赤外線、マイクロ波等のいずれかの方式を備えた乾燥機を使用することができる。あるいは、自然乾燥、焼き付け等の方法によって乾燥することも可能である。
パルプシートが水分を含んでいる場合、パルプ繊維間に水が介在して水素結合の再形成が生じることがあるので、パルプシートの解繊性が低下する原因となるが、本発明では上記乾燥処理をするので、そのような水素結合の再形成を防止できるものである。具体的には、乾燥処理後のパルプシート中に含まれる水分量が40%以下になるように乾燥処理することが好ましい。
パルプシートへの界面活性剤水溶液の含浸、乾燥処理後におけるパルプシートの密度(見かけ密度)は、特に0.5〜0.8g/cmであることが好ましく、この場合、パルプシートの硬さが低下してパルプシートの解繊性がより高まるものとなる。そのため、含浸・乾燥処理後のパルプシートの未解繊物の発生量が抑制される。
ここで、本発明で使用する界面活性剤の種類について、具体的に説明する。界面活性剤
は、公知のカチオン型又はアニオン型のイオン性界面活性剤、両イオン性型の界面活性剤、あるいは、公知の非イオン型のノニオン性界面活性剤のいずれを使用してもよいが、特に、パルプシートへの浸透性に優れ、パルプ繊維に吸着しやすいような界面活性剤であることが好ましい。そのような作用を示す界面活性剤を使用することで、パルプ繊維間の水素結合のような相互作用をより解消しやすくなり、パルプシートの解繊性がさらに向上するものとなる。好ましい界面活性剤としては、疎水基変性化合物、あるいは、カチオン性界面活性剤である。
上記疎水基変性化合物は、分子中に疎水基を有する化合物であって、親水性ポリマーの官能基を疎水基(疎水性の置換基)で変性させたものである。このような化合物は、例えば、親水性ポリマーの官能基に、脂肪族アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、オルガノシリキサン等の重縮合物等を反応させて得られる生成物である。従って、上記疎水基変性化合物は、分子中に疎水基と親水基とを有するので、界面活性剤作用を示すのである。
そして、上記疎水基変性化合物は、パルプシートに含浸されると、パルプ繊維間に到達し、これによってパルプ繊維間の相互作用が解消される。また、疎水基変性化合物の高い疎水性によって、パルプシートの表面は高い疎水性を有することになる。そのため、このパルプシートを乾燥させた後においても、パルプ繊維表面に水分を寄せ付けにくくすることができ、パルプ繊維間に水分が浸入するのを抑制でき、水分介在による水素結合の再形成を抑止できる。その上、パルプ繊維間には、乾燥処理後も疎水基変性化合物が介在しているので、パルプ繊維間の結合(相互作用)が起こりにくくなっている。このように、パルプ繊維間の結合力が一層弱まっているので、パルプシートの解繊性をより高くすることができるものとなる。
以下、上記疎水基変性化合物の具体例について説明する。疎水基変性化合物は上述のように、親水性ポリマーの官能基を疎水基(疎水性の置換基)で変性させたものである。上記親水性ポリマーの官能基の具体例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、グリシジル基、イソシアネート基等であり、これらは親水性ポリマーの末端あるいは側鎖にあるものである。一方、親水性ポリマーの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のユニットで構成されるポリアルキレンオキサイド類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のユニットで構成されるポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン・ウレタンブロックコポリマー、グリセリン、糖アルコール等の多価アルコール類、その他、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン・オキシプロピレン・セチル(ヘキサデカ)エーテル等が挙げられる。
また、疎水基(疎水性の置換基)の具体例としては、炭素数1〜20の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、直鎖状でも分岐状でもよい。特に炭素数が8〜20であれば、疎水基変性化合物の疎水性が高くなり、パルプシートの解繊性をより高めることができる。また、上記疎水基は、芳香族炭化水素基や脂環式炭化水素を有するものであってもよい。あるいは、上記疎水基は、炭化水素基等に限らず、ポリメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のようなポリオルガノシロキサン等であってもよい。
本発明では、カチオン性界面活性剤もより好ましい界面活性剤として使用することができ、特に、第1級アンモニウムカチオン、第2級アンモニウムカチオン、第3級アンモニウムカチオンが挙げられる。このようなカチオン性界面活性剤は、パルプ繊維に対して特に高い吸着特性を示すものである。この理由としては、パルプシートがカチオン性界面活性剤に吸着(電荷相互作用や配位結合等による相互作用)しやすい水酸基やカルボキシル基を有する化合物で構成されたものであるからである。このように、カチオン性界面活性剤がパルプ繊維への吸着作用が起こると、パルプ繊維間にカチオン性界面活性剤のカチオン部位が配置されやすくなり、パルプ繊維間どうしの相互作用が弱められるのである。また、パルプ繊維間にカチオン性界面活性剤の存在により、パルプシートを乾燥した後において、パルプ繊維間への水分を寄せ付けにくくすることができる。従って、上記カチオン性界面活性剤をパルプシートに含浸させる界面活性剤として使用した場合、パルプシートの解繊性をより高くすることができるものとなる。
以下、上記カチオン性界面活性剤の具体例について説明する。第1級アンモニウムカチオンの具体例としては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、ミスチリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。
第2級アンモニウムカチオンの具体例としては、メチルラウリルアミン、メチルミシチリルアミン、メチルパルミチルアミン、メチルステアリルアミン、オレイルプロピレンジアミン等の脂肪族アミンの無機酸塩または有機酸塩や、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルルアミン等の脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物などの無機酸塩または有機酸塩が挙げられる。
第3級アンモニウムカチオンの具体例としては、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミシチリルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、オレイルプロピレンジアミン等)の無機酸塩または有機酸塩、脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物の無機酸塩または有機酸塩、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)−7−ウンデセン等)の無機酸塩または有機酸塩、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4、4’−ジピリジル等)の無機酸塩または有機酸塩、トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンなどの3級アミン類の無機酸塩または有機酸塩、ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミンの無機酸塩または有機酸塩等が挙げられる。
以下、その他使用できる界面活性剤について説明する。例えば、アミノ変性シリコーンオイル、脂肪酸ポリアミドアミン、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物等も、含浸用の界面活性剤として使用することができ、これらの界面活性剤も同様に、パルプシートの解繊性を高める上で特に有効な効果を示すものとなる。
上記アミノ変性シリコーンオイルは、例えば、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイルを、アルキル基を介してアミノ基やアミド基で置換した化合物である。このアミノ変性シリコーンオイルのシリコーンオイル部位の重合度や、アミノ基、アミド基の置換数は特に限定されず、種々のものを使用することが可能である。
上記脂肪酸ポリアミドアミンは、脂肪酸とポリアミンとの縮合反応させた化合物であり、ポリアミン側鎖のアミノ基と脂肪酸との縮合反応によって形成されたアミド基、及びポリアミン側鎖のアミノ基とを分子中に有する化合物である。上記脂肪酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アクリル酸、プロピオル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の酸化合物である。
上記多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、糖アルコール等の多価アルコールと、脂肪酸とを縮合反応させて得られる化合物である。この場合の脂肪酸としては、上記ポリアミドアミンの説明で例示した脂肪酸と同様のものが挙げられる。
本発明では、パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させ、乾燥処理を行った後、種々の手段(乾式解繊、湿式解繊等)でこのパルプシートを解繊させることができる。特に、含浸された界面活性剤成分が、パルプシートから分離しにくいという点で、乾式解繊することが好ましい。
上記乾式解繊は、公知の方法で行うことができ、通常は粉砕機等にパルプシートをそのまま投入して、解繊させる。使用できる粉砕機としては、例えば、カッターミル、ハンマーミル、インペラブレーカー、ディスインテグレータ、ピンミル、アトリッションミル、ディスクリファイナー、コーン型リファイナー、ロータリーナイフカッターミル、遠心ミル、スーパーミクロンミル、バルベライザー、ターボミル、気流式のジェットミル等が挙げられ、これらを各々単独で、または併用して使用することができる。
パルプシートを上記の方法で解繊処理すると、綿状のようなパルプ繊維として得ることができる。そして、パルプシートは、界面活性剤水溶液の含浸及び乾燥処理により、解繊性が高まっているものであるので、未解繊物の発生量が少ないものとなっている。ここで、本発明でいう未解繊物とは、解繊処理後のパルプ繊維を50メッシュ(目開き約300μm)〜100メッシュ(目開き約150μm)の篩等で空気流を送りながら篩ったときに、そのメッシュ上に残るものを指す。
解繊処理後の未解繊率は、20%以下であることが好ましく、この範囲であれば、例えば、後述のように得られたパルプ繊維をセメントが主成分の水硬性材料に添加した場合、均一に分散しやすくなる。また、パルプ繊維を含む水硬性材料からセメントボードを製造した場合に、セメントボードに優れた補強効果を付与することが可能となる。より好ましい解繊処理後の未解繊率は15%以下、特に好ましい解繊処理後の未解繊率は5%以下である。ここで、未解繊率とは、解繊処理したパルプシートの全質量に対する発生した未解繊物の質量割合を示す(算出方法は、実施例で説明する)。
上記のように、本発明の処理を行ったパルプシートの解繊処理で得られたパルプ繊維は、未解繊物の割合が非常に低くなっているものであるので、このパルプ繊維は水硬性材料中での分散性に優れる。そのため、パルプ繊維を含む水硬性材料を硬化・成型させて形成されるセメントボードは、パルプ繊維が均一に分散しているので、セメントボードの補強繊維として優れたものとなる。以下、その水硬性材料の製造方法について説明する。
上記水硬性材料は、セメントを主成分として、補強繊維(上記処理で得られたパルプ繊維)を含み、さらに必要に応じて骨材、その他の添加剤を含むことができる。
上記補強繊維は、本発明の処理を行ったパルプシートを、乾式解繊処理して得られたパルプ繊維を使用する。尚、パルプ繊維の効果を阻害しない程度であれば、水硬性材料には、その他の公知の補強繊維を併用して添加することも可能である。その他の補強繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維の他、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン等の有機繊維やロックウール等の無機繊維が挙げられる。
上記セメントとしては、特に限定されないが、例えば、普通ポルトランドセンメント、混合セメント、エコセメント、低発熱セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメント、早強セメント、シリカセメント、高炉セメント等を挙げることができる。
上記骨材としては、例えば、砂、砂利、石炭灰等の天然骨材、溶融スラグ、砕石、砕砂、フライアッシュを高温焼成したもの等の人工骨材、コンクリート廃材から取り出した再生骨材等が挙げられる。
その他、必要に応じて、シリカ、珪石粉、ポリスチレン、ポリアセトニトリル、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂からなる発泡体(軽量化剤)や、顔料、収縮低減剤、硬化調整剤等が含まれていてもよい。
そして、セメントと、骨材と、本発明の処理を行ったパルプシートを乾式解繊処理して得られたパルプ繊維とを、それぞれ所定量配合して水硬性材料を調製するが、これらの原料は乾式で混合(ドライブレンド)させる。この混合においては、粉体混合用のミキサー、タンブラー等の公知の混合機を使用して、ドライブレンドすることができる。この場合、各種原料が均一に分散されるまで混合することが好ましく、均一分散させることで成型後のセメントボードにも補強繊維が均一に分布されるようになる。上記ドライブレンドでは、水を使用せずに各粉体原料を混合することができるため、粉体の塊(ダマ)の発生を抑制することができ、均一混合しやすくなるという利点がある。
上記水硬性材料の製造方法において、各種原料の配合割合は特に限定されるものではないが、例えば、水硬性材料の全量に対して、セメントは30〜40質量%、補強繊維は5〜10質量%、骨材は40〜60質量%にすることができる。
上記のように配合された水硬性材料を硬化させてセメントボードを製造する方法としては、例えば、最初から水を添加せずに、上記水硬性材料を圧締養生硬化直前あるいは圧締養生硬化時に水を添加する乾式法を適用することができる。すなわち、上記のようにドライブレンドした水硬性材料を型板上に散布してマットを形成し、その上に水分を散布して水硬性材料を硬化させる方法である。この際、水分が全体に均一に行きわたるようにロールプレスで処理させ、所定の温度で所定時間圧締養生硬化を行い、その後、乾燥工程を経て、セメントボードを得ることができる。この製造方法における水の添加量は、例えば、水硬性材料100質量部に対して10〜30質量部とすることができる。
また、セメントボードの別の製造方法としては、上記のようにドライブレンドされた水硬性材料に、所要量の水をあらかじめ添加して混合し、次いで、押出成型法、抄造成型法、注型成型法等の所望の成型法で成型し、その後、自然養生、蒸気養生、オートクレーブ養生等にて養生して硬化させてセメントボードが製造される。水硬性材料に対する水の添加量は、例えば、水硬性材料100質量部に対して10〜30質量部とすることができる。
上記の製造方法で得られたセメントボードは、解繊率の高いパルプ繊維を補強繊維として含んだものであるため、パルプ繊維がセメントボード中で均一に分散され、優れた強度を有するものである。すなわち、パルプ繊維の塊がセメントボード中に含まれにくいものであるので、セメントボードの物性が損なわれにくいのである。
さらに上記セメントボードでは、生産量の少ない衛生用パルプシートを原料とするのではなく、生産量の多い製紙用NBKP等の製紙用のパルプシートを補強繊維の原料としているので、原料の調達が不足してしまうリスクを低減することができる。
以上のように、従来、製紙用パルプシートは、衛生用に比べて密度が高く、解繊しにくいものであったが、界面活性剤水溶液の含浸処理によって解繊率を高めることができたので、セメントボードの補強繊維の原料としても有効に使用できるのである。
上記セメントボードは、プレス成型等により所望の形状に成型することができ、各種用途に使用することができる。そして、充分に解繊された補強繊維を含むものであるので高い強度を有しており、例えば、外装材、屋根材のような建築板等に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
パルプシートは、厚み約0.9mm、密度0.8g/cmの製紙用NBKP(CMPC社製 パシフィコ)を使用し(以下、製紙用パルプAと表す)、縦400mm、横320mmの寸法にカットし、充分に乾燥させて使用した。この製紙用パルプAを100質量部準備し、この表面全面に、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物(疎水基変性化合物)であるポリオキシエチレンイソデシルエーテルを成分とする濃度1.0質量%の界面活性剤水溶液(以下界面活性剤Aと表す)を100質量部塗布させた。尚、塗布は、エアスプレーによる方法で行った。
上記のように界面活性剤Aを塗布した後、室温で5分間以上放置することで、界面活性剤Aを製紙用パルプAに含浸させた。次いで、この製紙用パルプAを、80℃で40分間乾燥処理を行うことで、水分を減少させた。乾燥後の含水率及び密度を表1に示す。
含浸・乾燥処理を行った製紙用パルプAを、パルペライザーにより乾式解繊を行い、パルプ繊維を得た。未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
界面活性剤Aの代わりに、アミノ変性ジメチルシロキサンを成分とする濃度1.0質量%の界面活性剤水溶液(アミノ変性シリコーンオイルのエマルジョン、以下界面活性剤Bと表す)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
界面活性剤Aの代わりに、脂肪酸ポリアミドアミンであるステアリン酸ポリアミドアミンを成分とする濃度1.0質量%の界面活性剤水溶液(、以下界面活性剤Cと表す)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
界面活性剤Aの代わりに、多価アルコールと脂肪酸のエステル化物であるソルビタンモノステアレートを成分とする濃度1.0質量%の界面活性剤水溶液(以下界面活性剤Dと表す)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
界面活性剤Aの代わりに、カチオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンを成分とする濃度1.0質量%の界面活性剤水溶液(以下界面活性剤Eと表す)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
製紙用パルプAの代わりに、厚み約0.9mm、密度0.9g/cmの製紙用NBKP(Canfo社製 インターコンチネンタル、以下、製紙用パルプBと表す)を使用したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(実施例7)
界面活性剤Aを30質量部塗布したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
界面活性剤水溶液による含浸処理及びその後の乾燥処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
界面活性剤水溶液による含浸処理及びその後の乾燥処理を行わなかったこと以外は実施例6と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
界面活性剤Aの代わりに、水を製紙用パルプAに塗布したこと以外は実施例1と同様の方法で乾式解繊したパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(参考例1)
界面活性剤水溶液による含浸処理を行わなかったこと、及び解繊処理を乾式ではなく、湿式離解処理したこと以外は実施例1と同様の方法でパルプ繊維を得た。尚、湿式離解とは、パルプシートを水中で離解処理した後、再び抄紙させ、これを乾式解繊する方法である。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。
(参考例2)
界面活性剤水溶液による含浸処理及びその後の乾燥処理を行わなかったこと、及び製紙用パルプAの代わりに衛生用パルプを使用したこと以外は実施例1と同様の方法でパルプ繊維を得た。
乾燥後の含水率及び密度、並びに乾式解繊処理後の未解繊率の評価結果を表1に示す。

各実施例、比較例において、密度及び未解繊率の評価は以下の方法で行った。
(密度)
含浸前及び含浸・乾燥後のパルプシートの密度は、下記式にて算出した。
密度(g/cm)=シート質量÷{シート厚み(cm)×シート面積(cm)}
(未解繊率)
解繊処理により得られたパルプ繊維を、80メッシュの篩に空気流を送りながら篩い操作を行い、作業終了後、メッシュ上に残ったものの割合を下記式にて算出し、この値を未解繊率とした。
未解繊率(%)=
{(篩い上に残ったパルプ繊維質量)/(篩にかけたパルプ繊維全質量)}×100
Figure 2013028869
実施例1〜7からわかるように、パルプシートを界面活性剤水溶液で含浸したパルプシートは、未解繊率が低いものであることがわかり、密度の大きい製紙用パルプでも充分に解繊されているものであった。そして、参考例1や参考例2との比較からわるように、製紙用パルプAを湿式離解処理した場合や衛生用パルプを乾式解繊した場合と同等の解繊性を示すものであることがわかった。ただし、実施例7は、界面活性剤の含浸量を少なくしたものであったので、実施例1〜6に比べると未解繊率は高いものではあった。
一方、比較例1〜3では、パルプシートを界面活性剤水溶液で含浸処理したものではないので、未解繊率が実施例1〜7よりも非常に高いものであった。
以上より、パルプシートを界面活性剤水溶液で含浸し、乾燥処理することで、密度が高いパルプシートであっても、低密度の衛生用パルプと同等以上に解繊性に優れたものであることが明らかである。また、本発明では、湿式離解処理のように離解や抄紙工程が増えることもないので設備面、生産面においても有利であるといえる。

Claims (5)

  1. 抄紙されたパルプシートを乾式で解繊しやすくするために、前記パルプシートを前処理する方法であって、前記パルプシートに界面活性剤水溶液を含浸させた後、乾燥させることを特徴とするパルプシートの処理方法。
  2. 前記パルプシートが、製紙用であることを特徴とする請求項1に記載のパルプシートの処理方法。
  3. 前記界面活性剤が、前記パルプシート表面を疎水化することができる疎水基変性化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルプシートの処理方法。
  4. 前記界面活性剤が、前記パルプシートの水酸基又はカルボキシル基の少なくともいずれか一方に吸着することができるカチオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパルプシートの処理方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法で処理されたパルプシートを、乾式で解繊処理して得たパルプ繊維を含む水硬性材料の製造方法であって、少なくとも前記パルプ繊維と、セメントと、骨材とを、乾式で配合して調製することを特徴とする水硬性材料の製造方法。

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