JPH11269795A - 無機質繊維板およびその製造方法 - Google Patents

無機質繊維板およびその製造方法

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JPH11269795A
JPH11269795A JP10347257A JP34725798A JPH11269795A JP H11269795 A JPH11269795 A JP H11269795A JP 10347257 A JP10347257 A JP 10347257A JP 34725798 A JP34725798 A JP 34725798A JP H11269795 A JPH11269795 A JP H11269795A
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JP
Japan
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glass wool
inorganic
fiber
fibers
binder
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JP10347257A
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Masamichi Taguchi
昌道 田口
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C25/00Surface treatment of fibres or filaments made from glass, minerals or slags
    • C03C25/10Coating
    • C03C25/24Coatings containing organic materials
    • C03C25/26Macromolecular compounds or prepolymers
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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    • C03C25/10Coating
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機質繊維板を高密化し、更に軽量性と曲げ強
度を両立するとともに、表面性状の改善を図り、併せて
リサイクル性を良好にする。 【解決手段】無機質繊維の割合を50〜95wt%と
し、かつ該無機質繊維の30wt%以上は遠心法によっ
て得られた平均繊維長100〜6000μmのガラスウ
ールであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠心法による極短
のガラスウールを用いた無機質繊維板およびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、無機質繊維板を構成する無機
質繊維としてはガラスウールまたはロックウールが一般
的である。通常、ロックウールは熔融した岩石または高
炉スラグを火焔法、ドラム法等の方法で繊維化すること
によって得られるので、ガラスウールと比較して安価で
ある。このロックウールの繊維は、上記製造方法に起因
して繊維径が1〜4μm、繊維長が1〜30mm、繊維
形状が直線状の繊維形態を有している。この繊維形態を
有するロックウールの板は、密度40〜150kg/m
3 のものが一般的である。
【0003】一方、通常ガラスウールは、遠心法によっ
て熔融ガラスを繊維化することによって得られる。この
ため、このガラスウールの繊維は、平均繊維径が4〜1
0μm、繊維長が30〜300mmで、繊維形状が湾曲
しているか縮れている繊維形態を有している。この繊維
形態を有するガラスウールの板は密度40〜120kg
/m3 のものが一般的である。
【0004】さらに、近年オフィスビルディングや公共
施設の建築物に用いられる天井板等は大型化の要求があ
り、無機質繊維板に更に高い曲げ強度等の物性が求めら
れている。一般的に、無機質繊維板の曲げ強度は密度の
2乗に比例するので、通常の無機質繊維板で曲げ強度の
大きいものを得ようとすれば、更に高密度化しなければ
ならない。このため、高密度の無機質繊維板を得るため
の種々の方法が検討されている。
【0005】すなわち、高密度のロックウール板はバイ
ンダーを付与させずに製造したロックウールマットを解
繊したのち、その解繊物を抄造することにより得られ
る。この抄造による方法は生産性が良好であり、この抄
造法で得られる高密度のロックウール板は繊維の分布の
ばらつきが小さいという特徴を有している。そして、こ
の高密度のロックウール板は、繊維径が1〜4μmと細
く、かつ繊維の大部分が直線状の形状を有しているため
容易に嵩比重が大きくなり、より高密度のロックウール
板が得られる。しかし、このロックウール板はこの高密
度のわりには曲げ強度が小さいという問題を有してお
り、ロックウール板における軽量化と曲げ強度の両立が
大きな課題となっている。
【0006】一方、ガラスウールは繊維径が4〜10μ
mと太く、繊維形状が捲縮性を有しているため、繊維ど
うしの絡み合いが多くなる。この結果、嵩比重がどうし
ても小さくなり、高密度のガラスウール板を得ることが
困難であった。高密度のガラスウール板としては、バイ
ンダーが未硬化のガラスウールマットを積層し、ホット
プレス装置で連続的にまたはバッチ式に加熱圧縮成形す
るものが知られている。このガラスウール板では、繊維
長の長い捲縮性のガラスウールのマットを用いているた
めに、マットの製造工程での繊維分布のばらつきが大き
く、その結果外観不良や強度のばらつきが発生する。さ
らに、未硬化のガラスウールマットを積層する必要があ
ること、および大量のガラスウールマットを圧縮成形す
ることなどの理由により生産性が低い。
【0007】従来の無機質繊維板における前記外観不良
を改善する方法として、繊維長がごく短い無機質繊維か
らなる非常に高い密度のスキン層を、無機質繊維板の表
面に着装する方法が特公平2−42958号に開示され
ている。しかし、この無機質繊維板はコアの無機質繊維
板と前記スキン層の2層で構成されているため、これら
が使用中または時間の経過とともにしばしば分離する、
いわゆる層間剥離が懸念される。
【0008】一方、ガラスウールは従来より住宅用を中
心としたあらゆる建築物分野での断熱吸音材として広く
普及し、快適な住環境へのニーズの高まりとともにその
需要および品種も年々増加の傾向にある。それに伴い、
その製造工程では、品種の多様化によるジョブチェンジ
の増加等により不良品の発生量が増大するばかりでな
く、トリミング屑等の様々な廃ガラスウールも同時に産
出される。現在これらの廃ガラスウールのほとんどは、
再びガラス溶解窯に原料の一部として戻され溶解して再
度製品化されている。
【0009】しかしながら、一旦製造工程を経たガラス
ウールには、通常バインダーが付与されており、これら
をガラス溶解窯に戻すことは、溶解窯に対して悪影響を
及ぼすばかりでなく、製造されたガラスウール製品の品
質をも悪化させる原因となる。
【0010】そのため、廃ガラスウールを一旦別の溶解
窯に投入してバインダーを除去した後、カレットと呼ば
れるガラス小片状としたり、またはその他の方法で上記
バインダーが分解するのに十分な熱量を与えることによ
りバインダーを除去してから、前記ガラス溶解窯に投入
する方法がとられる。しかし、これらいずれの場合もそ
れ相当の設備を要するばかりでなく、加熱、溶解のため
の原燃材料を必要とするため、経済的に好ましくない。
【0011】さらに、特開昭55−26220号、特公
昭63−559号および特開昭63−55171号等に
開示されているように、廃ガラスウールを繊維原料の一
部として製造工程へ還元する場合でも、このような方法
で再利用できるのは、工程で発生する廃ガラスウールの
一部のみに留まり、ほとんどは廃棄されているか、上記
の問題を抱えたまま溶解窯へ投入されているのが実情で
ある。建築物の解体等の際に排出される廃ガラスウール
の再利用についても同様である。
【0012】これらの問題を解決するために、廃ガラス
ウールを解繊し、この解繊した塊状物を結合剤とともに
圧縮成形し再利用することが、特開平7−257939
号に開示されている。この方法で得られる成形品は、前
記塊状物中の繊維が絡み合っているため、この塊状物を
圧縮成形した場合に、塊状物どうしの界面の接着が弱く
なり、同時に成形品中の繊維の分布にばらつきがある等
の理由から、成形品の強度が劣るという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の無機
質繊維板における前述の表面性状、繊維分布および強度
の改善向上と生産性の向上を図るとともに、ガラスウー
ル屑または廃ガラスウールの再利用を可能ならしめるも
のである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一に無機質
繊維が結合剤により結合されてなる密度150kg/m
3 以上の無機質繊維板であって、前記無機質繊維が50
〜95wt%含まれており、かつ該無機質繊維の30w
t%以上は遠心法によって得られた平均繊維長100〜
6000μmのガラスウールであることを特徴とする無
機質繊維板を提供する。第二にイ)遠心法によって得ら
れた平均繊維長100〜6000μmのガラスウールを
30wt%以上含んだ無機質繊維と結合剤とを必須とし
て水に投入し混合、撹拌してスラリー状物とする工程、
ロ)前記スラリー状物を抄造機により抄造して脱水し、
所定厚の板状体とする工程、ハ)前記板状体を乾燥する
工程とを含み、乾燥後の板状体の密度が150kg/m
3 以上であることを特徴とする無機質繊維板の製造方法
を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】次に本発明を具体的に説明する。
本発明の無機質繊維板は、無機質繊維を結合剤で結合し
た板状体で150kg/m3 以上の高い密度を有し、こ
の無機質繊維の30wt%以上が遠心法で得られた平均
繊維長100〜6000μmのガラスウールであること
を特徴とする。
【0016】上記ガラスウールは、遠心法によって得ら
れる繊維で、他の方法で製造される直線状の繊維と異な
り、4〜10μm程度の比較的太い繊維径を持っている
とともに、繊維の形状が湾曲しているか縮れている特徴
を有している。この形状は繊維に捲縮性をもたらす。そ
して、ガラスウールが粉砕等により細分化されても、こ
の捲縮性はそのまま持続され、これを用いた無機質繊維
板の強度および軽量化等に有効に作用し、捲縮性を有し
ない直線状の無機質繊維では得られない特性を無機質繊
維板に付与する。つまり、このように捲縮性を有するガ
ラスウールを無機質繊維板に使用した場合、繊維の湾曲
により無機質繊維板の嵩比重が小さくなり軽量化が可能
となるとともに、繊維の絡み合いを生じることにより結
合強度も増すため、無機質繊維板としての曲げ強度が向
上する。
【0017】本発明は、遠心法で製造されるガラスウー
ルの捲縮性に注目し、かつその繊維長を特定することに
より、所望の無機質繊維板が得られるようにしたもので
あるが、無機質繊維板の強度には上記の繊維径も有効に
寄与する。なお、大量生産されるガラスウールのごく一
部に直線状のものが含まれていても、本発明の本質に影
響を与えるものではない。
【0018】また、ガラスウールにおいてバインダーが
付与されているか否かは特に問わない。ここでいうバイ
ンダーとは、無機質繊維からマットやその他の製品を製
造する過程において、繊維どうしの接合や繊維を被覆す
る目的で使用するものの総称であり、バインダーが付与
されている無機質繊維は、繊維がバインダーで被覆され
ていることで繊維の強度が増すので、これから作られる
無機質繊維板の強度も向上する。
【0019】さらに、ガラスウールがバインダーで被覆
されていると、繊維の弾性反撥力が増して嵩比重が小さ
くなり、曲げ強度が向上する。また、後述する抄造法に
おいては、水による繊維の劣化を防止する等の点から、
繊維がバインダーで被覆されていることが好ましい。
【0020】このバインダーの種類は、繊維どうしを接
合し繊維を被覆できるものであれば特に限定されず、有
機系バインダーおよび無機系バインダーのどちらでも用
いることができる。繊維の強度を更に向上させ、繊維の
切断を容易にする等の理由で、特に熱硬化性樹脂バイン
ダーが好ましく、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂
等を主成分とするバインダーが適当である。バインダー
の付与量は、付与後のグラスウール全体に対して固形分
で3〜15wt%であることで好ましい。
【0021】さらに、熱硬化性樹脂バインダーで被覆さ
れているガラスウールは、調達の容易さや素材としての
特性が優れているなどの理由から、他のバインダーを適
用したものまたはバインダーを適用しないものに比べ、
好ましいものとして挙げることができる。この場合、未
硬化の熱硬化性樹脂バインダーを付与し加熱硬化して得
られる全てのものが対象となり、例えば製造工程で産出
される規格外品やその他の不良品は勿論のこと、トリミ
ング屑、切断屑、製造設備への付着物や堆積物、または
排水への流出物等のほか、製品となったもののなかで
も、デッドストック品やユーザーからの返却品等も使用
することができる。これらガラスウール屑または廃ガラ
スウールを用いることがコスト等の点で最も好ましい。
【0022】本発明は、遠心法で得られるガラスウール
でかつ特定の繊維長を有するものを使用することを特徴
とし、具体的には平均繊維長が100〜6000μmの
ガラスウールを用いる。このような繊維は、例えば遠心
法で製造したガラスウールを粉砕することにより容易に
得ることができる。平均繊維長が100μmより短くな
ると、無機質繊維板の嵩比重が大きく軽量化が困難にな
り、無機質繊維板の強度が低下する。平均繊維長が60
00μmより長くなると、繊維が捲縮性を有しているた
め、粉砕された繊維が再び絡み合い塊状物を生じて、無
機質繊維板の表面に凹凸ができやすくなりその表面性状
を劣悪にしてしまう。
【0023】さらに、熱硬化性樹脂バインダーを付与し
硬化したガラスウールの場合には、平均繊維長が100
〜1000μmの範囲にあるものが特に有効である。平
均繊維長が1000μmより長いと、バインダーで接合
された繊維どうしが離れ難くなって単繊維化することが
困難になるために、後述する抄造法で無機質繊維板を製
造する場合には、繊維の湾曲や縮れによる繊維どうしの
絡み合いによって、スラリー生成時の繊維の分散性が低
下しやすい。このため平均繊維長は100〜1000μ
mであることが好ましく、更に好ましい平均繊維長は2
00〜600μmである。
【0024】なお、前述の平均繊維長は、無機質繊維板
を形成するガラスウールの平均の繊維長さであって、繊
維長測定の対象となるガラスウールを適量とり、任意の
ガラス繊維200本を選んで万能投影機で繊維長を測定
し、それらの数平均を平均繊維長として示すことができ
る。
【0025】本発明における無機質繊維板は、このよう
なガラスウールを含む無機質繊維の割合が実質的に50
〜95wt%であることが重要である。無機質繊維が5
0wt%より少なくなると、嵩比重の小ささや強度が損
なわれるばかりでなく、断熱性、吸音性および耐熱性等
の無機質繊維板本来の性能や品質にも悪影響が生じる。
また、無機質繊維板は必須成分として結合剤を含んでお
り、更に必要に応じて添加剤が加えられるほか、不純物
の混入もある程度は避けられないので、無機質繊維の上
限は95wt%とした。多くの経験および試験によれ
ば、この無機質繊維のより望ましい範囲はこれらの点を
勘案して70〜95wt%である。
【0026】さらに、所望の無機質繊維板を得るために
は、上記無機質繊維のうち前記の平均繊維長100〜6
000μmのガラスウールが少なくとも30wt%入っ
ていなければならない。すなわち、全無機質繊維の30
wt%以上は、前記繊維長のガラスウールを使用する。
一般に、軽量性、強度、表面外観性およびリサイクル性
などの観点から、前記ガラスウールの割合は多いほど好
ましい。したがって、無機質繊維の全部が上記のガラス
ウールであれば最も好ましいが、30%以上であれば所
望の軽量性、強度、表面性、リサイクル性等を有する無
機質繊維板を得ることができる。
【0027】上記ガラスウール以外の無機質繊維として
は特に限定はないが、通常はガラスウール、ロックウー
ルが適する。そして、これらの無機質繊維は繊維の分散
性を良好にするために適度に解繊されたものがよい。し
かし、ガラスウールの場合には平均繊維長が6000μ
mを超えるものが使用されることになるので、捲縮性に
より繊維の絡み合いが多くなって解繊がしづらく、さら
に解繊後の繊維が再び絡み合いを生じて塊状物になりや
すいため、繊維形状が直線状のロックウールを用いるこ
とが最も好ましい。
【0028】前記結合剤は、従来から知られているもの
の中から選択して使用すればよい。澱粉系のほか、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性
樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等の熱可
塑性樹脂の粉末状物および液状物を適宜用いることがで
きる。この結合剤の付与量は、無機質繊維板全体に対し
て固形分で3〜30wt%であることが好ましい。
【0029】また、結合剤のほかに添加剤としてパーラ
イト、各種バルーン等の軽量骨材やパルプ等の有機繊
維、あるいは炭酸カルシウム、ケイ砂、水酸化アルミニ
ウム等の無機充填剤を単独でまたは組み合わせて用いる
ことができ、分散剤、定着剤、撥水剤等も必要に応じて
使用することができる。
【0030】さらに、無機質繊維板の密度を150kg
/m3 以上の高密度品に特定したのは、密度が150k
g/m2 より小さくなると、曲げ強度が従来の乾式法で
得られる無機質繊維板と同程度に低くなり、大型化に対
応できなくなるからである。したがって、密度は150
kg/m3 以上となるように調整し、好ましくは200
kg/m3 以上にするのがよい。
【0031】なお、本発明による無機質繊維板は、主と
して天井材、壁材及びそれらの内装下地材として使用さ
れるだけでなく、ドア用芯材や間仕切り用等の各種パネ
ル用芯材、屋根や床下用断熱材、浮き床用緩衝材、住宅
用基礎断熱材、吸音バッフル用途等、建築分野のみなら
ず産業分野を含めたあらゆる断熱材、吸音材、構造材、
緩衝材等の用途として使用することができる。
【0032】また、これらのうち内装材として使用され
る場合には、無機質繊維板表面に意匠性や吸音性を向上
させる意味で、塗装や穿孔、切削を施したり、表皮材と
して天然木、紙、有機系フィルムの他、有機繊維や無機
繊維の織物や不織布等を貼付して使用することができ
る。
【0033】更に、その他の用途においても、撥水処理
や防水塗装を施したり、表皮材として、防水、防湿、透
湿、熱線反射、汚れ防止等の機能をもったフィルムや織
物あるいは不織布等を貼付、もしくはそれらの材料で全
体を包み込んで使用することもできる。
【0034】次に、本発明の製造方法について具体的に
説明する。遠心法で製造されるガラスウールを前記平均
繊維長にする方法の一つは、繊維化させるためのバーナ
ーの出力等の条件を調節することにより、直接に所望の
繊維長を得ることである。他の方法は、通常の作業条件
で製造されたガラスウールまたはこのガラスウールから
得られるガラスウール屑もしくは廃ガラスウールを粉砕
し、所望の繊維長に調節することにより得るものであ
る。
【0035】粉砕する方法の場合、繊維どうしが接合さ
れていない単繊維状態にまで粉砕でき得る方法であれ
ば、乾式粉砕または湿式粉砕等のいずれをも用いること
ができる。粉砕条件および処理能力に応じて、粉砕工程
を例えば粗粉砕工程と微粉砕工程の2段階またはそれ以
上に分けることも可能である。なお、廃ガラスウールを
用いる場合には、その用途に応じて様々な包材や表皮材
および面材等が施されている場合があるので、これらは
粉砕前にできるだけ取り除いておくことが望ましい。
【0036】無機質繊維板の成形方法は特定されない
が、通常は次の乾式法または抄造法で実施する。前者
は、遠心法で製造された繊維長100〜6000μmの
ガラスウールを30%以上含む無機質繊維と結合剤とを
必須とし、必要に応じ添加物を含む混合物を型に入れ、
圧縮成形または加熱圧縮成形する方法であり、後者は前
記混合物のスラリー状物を抄造する方法であるが、繊維
をより分散させやすく生産性が向上できるため、抄造法
が推奨される。
【0037】この抄造法は、撹拌器に前記無機質繊維、
結合剤、水を含む添加剤を各々所定量供給し、混合、撹
拌してスラリー状にする工程を含む。このときのスラリ
ー濃度は、全固形分濃度として0.5〜20wt%程度
が好ましく、この濃度より低濃度であると生産性が低下
するほか、水量が多くなりその輸送および処理に負担が
増す。また前記濃度より高濃度であると、繊維が分散し
づらくなって無機質繊維板の強度が低下する。
【0038】次いで、前記スラリー状物を抄造機に供給
した後、減圧脱水等の方法により脱水して板状体とす
る。抄造機については、丸網式や長網式等の従来からあ
る抄造機を用いることができる。得られた板状体は、そ
のまま乾燥機へ運ばれるか、または所定の寸法に切断し
たり、必要な表面処理等を施した後、乾燥機に搬入され
乾燥される。乾燥され固化した板状体は、密度が150
kg/m3 以上の無機質繊維板となり、更に必要に応じ
て塗装、切削、穿孔、表皮材の貼付等の加工を施し、無
機質繊維板製品とする。なお、無機質繊維板の厚みは、
用途、サイズなどを考慮して適宜決めればよい。また、
無機質繊維板の密度は、抄造機への前記スラリーの供給
量および脱水後の前記板状体の厚さを適宜調節して、所
望の値とすることができる。
【0039】
【作用】密度を上げることで無機質繊維板の曲げ強度等
の物性が向上する。そして、密度を上げるために繊維長
を通常のものより短い繊維を用いることで絡み合いが減
り、繊維どうしの空隙が減少または無くなり密度が向上
したと考えられる。密度が同じでも通常のロックウール
板に比べガラスウール板が高強度である理由としては、
通常より短い繊維長のガラスウールの繊維を用いている
のにかかわらず、ガラスウールは捲縮性があるために繊
維どうしが絡みやすく、さらに熱硬化性樹脂バインダー
により被覆されたガラスウールを用いた場合には、繊維
の剛性が高くなり、捲縮性をもった繊維が弾性反撥力を
増大させるためであると考えられる。また従来、その製
法および熔融粘度の関係からロックウール繊維の繊維径
は1〜4μmであるのに対し、ガラスウール繊維の繊維
径は4〜10μmと比較的太いため、抄造した際の嵩比
重が小さくなり、軽量化が可能となるとともに、曲げ強
度に代表される強度物性も向上すると考えられる。
【0040】
【実施例】「例1」熱硬化性樹脂バインダーが付着して
いるガラスウール(密度48kg/m3 、厚さ25mm
のガラスウールボード)をまず粗粉砕機により粗粉砕し
た後、微粉砕機により平均繊維長が約300μmになる
まで粉砕し、ガラスウール粉砕物を得た。次に水に前記
ガラスウール粉砕物、澱粉系結合剤と添加剤として撥水
剤とを加え、最終的な無機質繊維板における組成比率が
表1のようになるように調整し、撹拌機により混合、撹
拌し、全固形分濃度が2wt%のスラリー状物を得た。
次いで、前記スラリー状物を長網抄造機により抄造、減
圧脱水し、板状体とし、さらに前記板状体を乾燥機によ
り乾燥し、所定の寸法に切断して無機質繊維板を作成し
た。
【0041】「例2」解体された建築物より排出された
廃ガラスウール(密度9kg/m3 、厚さ50mmのガ
ラスウールマット)を例1と同様にして、平均長さが約
300μm となるように粉砕した。なお前記廃ガラスウ
ールには表皮材としてポリエチレン製フィルムが施され
ていたが、粉砕前に取り除いた。後は例1と同様にして
無機質繊維板を作成した。
【0042】「例3」例1において得られたガラスウー
ル粉砕物と、バインダーが付与されていないロックウー
ル解繊物を原材料とし、これらの構成比率をガラスウー
ル粉砕物/ロックウール解繊物=40/60とした以外
は例1と同様の工程により無機質繊維板を作成した。
【0043】「例4(比較例)」例1において、ガラス
ウール粉砕物の代わりにバインダーが付与されていない
ロックウールを使用した以外、同様の工程により無機質
繊維板を作成した。
【0044】「例5(比較例)」例4において、原材料
となる無機質繊維の構成比率を、ガラスウール粉砕物/
ロックウール解繊物=20/80とした以外は例1と同
様の工程により無機質繊維板を作成した。これらの例で
得られた無機質繊維板から、JIS A 1408に規
定される試験片を作成し、同規定による曲げ強度試験を
行った。またJIS A 6301に規定される試験片
を作成し、同規定による密度の測定を行った。さらに、
これらの無機質繊維板の表面に白色塗料をスプレーで塗
布し、乾燥後の表面性状を肉眼で観察した。塗料の分布
むら(無機質繊維板の表面性状が悪く、塗料が均一に塗
布されず下地が透けて見える部分)が無いものを○、若
干あるものを△、多いものを×として評価を行った。そ
の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明は、繊維長が従来より短い平均繊
維長100〜6000μmのガラスウールを用いること
により、繊維の分散が良好で、無機質繊維板の繊維の分
布、曲げ強度および表面性状が良好な高密度の無機質繊
維板を得ることができる。
【0047】さらに、上記ガラスウールの捲縮性が有効
に働いて繊維が絡み合いを有しているため、曲げ強度が
良好で嵩比重の小さい軽量な無機質繊維板を得ることが
できる。さらにまた、前記繊維の捲縮性に加え熱硬化性
樹脂バインダーで被覆されているガラスウールを用いた
場合には、繊維の剛性が増し弾性反撥力を有する繊維を
得ることができるため、より嵩比重の小さい軽量かつ高
強度の無機質繊維板が得られる。
【0048】また、熱硬化性樹脂バインダーが付与され
硬化されたガラスウールの粉砕物は、廃ガラスウールま
たは施工された後使用済みとなった廃ガラスウールを用
いることを可能ならしめるため、廃ガラスウールの有効
利用に大きく寄与する。そして、無機質繊維板に廃ガラ
スウールを用いることで、従来より使用されているロッ
クウールを原材料とする場合に比べて経済的に有利であ
り、なおかつその含有量を少なくとも30wt%以上とす
ることにより、そのメリットは極めて高くなる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機質繊維が結合剤により結合されてなる
    密度150kg/m3 以上の無機質繊維板であって、前
    記無機質繊維が50〜95wt%含まれており、かつ該
    無機質繊維の30wt%以上は遠心法によって得られた
    平均繊維長100〜6000μmのガラスウールである
    ことを特徴とする無機質繊維板。
  2. 【請求項2】前記ガラスウールが、熱硬化性樹脂バイン
    ダーを付与し硬化してなるガラスウールの粉砕物であ
    り、該粉砕物の繊維が平均繊維長100〜1000μm
    であることを特徴とする請求項1記載の無機質繊維板。
  3. 【請求項3】前記ガラスウールが廃ガラスウールである
    請求項2記載の無機質繊維板。
  4. 【請求項4】イ)遠心法によって得られた平均繊維長1
    00〜6000μmのガラスウールを30wt%以上含
    んだ無機質繊維と結合剤とを必須として水に投入し混
    合、撹拌してスラリー状物とする工程、ロ)前記スラリ
    ー状物を抄造機により抄造して脱水し、所定厚の板状体
    とする工程、および、ハ)前記板状体を乾燥する工程、
    とを含み、乾燥後の板状体の密度が150kg/m3
    上であることを特徴とする無機質繊維板の製造方法。
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