JPH11170385A - 軽量複合材の製造方法 - Google Patents

軽量複合材の製造方法

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JPH11170385A
JPH11170385A JP9364042A JP36404297A JPH11170385A JP H11170385 A JPH11170385 A JP H11170385A JP 9364042 A JP9364042 A JP 9364042A JP 36404297 A JP36404297 A JP 36404297A JP H11170385 A JPH11170385 A JP H11170385A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
composite material
glass wool
lightweight composite
slurry
Prior art date
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JP9364042A
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English (en)
Inventor
Masamichi Taguchi
昌道 田口
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Publication date
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】軽量で且つ曲げ強度に代表される強度物性に優
れた軽量複合材の製造方法を提供することにある。 【解決手段】遠心法によって得られた平均繊維長100
〜6000μmのガラスウールと熱可塑性樹脂とを水に
混合、撹拌しスラリー状物として抄造し、加熱および加
圧によりガラスウールと熱可塑性樹脂とを密着させた予
備圧着物を厚さ方向に膨張させた後に冷却することによ
って軽量複合材を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用材料及び
建築用材料等として好適なガラスウールで補強された熱
可塑性樹脂からなる軽量複合材の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガラス繊維を補強繊維とした
熱可塑性樹脂複合材は、その強度及び軽量性等が優れて
いる点から、自動車分野や建築分野を中心に種々の産業
分野において広く普及している。また、近年、熱可塑性
樹脂複合材は、これらの分野において更なる軽量化を求
められており、また、用途によっては吸音性や断熱性等
が求められていることから、上記複合材中に細かな空隙
を設け、密度を下げたり吸音性や断熱性を付与したりす
る種々の方法が検討されている。
【0003】ここで上記複合材中に空隙をもたせる方法
については、熱可塑性樹脂中に発泡剤を添加し加熱して
発泡剤の気化によって気泡を設ける方法や、中空状充填
材例えばガラスバルーン等を混入する方法が一般的であ
る。
【0004】しかしながら、前述の発泡剤を使用する方
法では、樹脂に発泡剤を混入すると短時間で発泡が開始
されるため、成形時間に制限があり製造が困難である。
このため、樹脂と発泡剤を別々のノズルから噴出させて
混合することも行われているが、混合が均一に行われ難
く、品質にばらつきが生じ易い。また、ガラス繊維の含
有量を多くすると、繊維が発泡で生じた気泡を破壊して
十分な軽量化が困難となる。また、中空状充填材を使用
する方法では、中空状充填材の充填量を多くすると、逆
に補強繊維または熱可塑性樹脂の含有量が低下するた
め、熱可塑性樹脂複合材の強度が低下する問題を有して
いた。
【0005】上記問題点を解決するため、特公平2−4
8423には、ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを用いて抄
造し、得られた抄造物を成形する際、ガラス繊維の弾性
反撥力を利用し大気を取り込み、厚さ方向に膨張させて
空隙をもたせた熱可塑性樹脂複合材の製造方法が開示さ
れている。なお、上記従来技術においては、溶融紡糸法
により得られたガラス繊維が使用される。すなわち溶融
ガラスをブッシングから引き出し、引き出されたガラス
単繊維を集束してガラス繊維束とし、これを所定長さに
切断したチョップドストランドを使用している。しか
し、この溶融紡糸法で得られたガラス繊維は、本来その
形状が直線状に繊維化された繊維であるため、これを積
層すると繊維は面方向に配向される。このためこの積層
物の嵩比重は小さくなり難く、この熱可塑性樹脂複合材
は十分な軽量化を図ることは困難であった。なお、この
従来技術の熱可塑性樹脂複合材においては、ガラスチョ
ップドストランドを水媒体中に投入して個々の単繊維を
分散させているため、強度および表面性状は比較的良好
になるが、このガラスチョップドストランドは、繊維長
が長くなるにつれて個々の単繊維に分散しづらい問題を
有していた。
【0006】一方、ガラス繊維を得る方法は、溶融紡糸
法以外に遠心法があり、この遠心法により得られるガラ
ス繊維は、一般的にガラスウールと呼ばれている。この
ガラスウールは熱可塑性樹脂複合材の補強繊維としては
通常使用されず、繊維にフェノール樹脂等の熱硬化性樹
脂を主成分とするバインダーを付与したガラスウールの
マットおよび板状物として、建材及び自動車分野の他あ
らゆる用途の断熱吸音材として広く普及している。
【0007】上記ガラスウールを使用した熱可塑性樹脂
複合材の例として、前記遠心法により得られたガラスウ
ールをマット状に集綿する際に熱可塑性樹脂を混合また
は付着させ、加熱プレスし成形する方法が特開平8−1
18352に開示されている。しかし、この方法では、
従来のガラスウールの製造工程においてガラスウールを
マット状に集綿する際に繊維の分布が不均一となり易
く、こ集綿とともに熱可塑性樹脂を混合または付着させ
ても、ガラスウールに対して熱可塑性樹脂の分布が不均
一となってしまう。このため得られる熱可塑性樹脂複合
材は強度分布のばらつきが生じる等の問題を有してい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の軽量複合材が持つ上記問題点を解決し、軽量で且つ曲
げ強度に代表される強度物性に優れた軽量複合材の製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はA)遠心法によ
り得られた平均繊維長100〜6000μmのガラスウ
ール100重量部と熱可塑性樹脂40〜400重量部と
を水と混合、撹拌しスラリー状物とする工程、B)前記
スラリー状物を抄造機により抄造、脱水し、フェルト状
体または板状体とする工程、C)前記フェルト状体また
は板状体を、加熱および加圧してガラスウールと熱可塑
性樹脂とを密着させ予備圧着物とする工程、およびD)
前記予備圧着物中の熱可塑性樹脂を溶融させた状態に
し、ガラスウールの弾性反撥力で予備圧着物を厚さ方向
に膨張させた後に冷却する工程、を含むことを特徴とす
る軽量複合材の製造方法を提供する。本発明の他の特徴
は、前記遠心法により製造されたガラス繊維を平均繊維
長100〜6000μmになるように粉砕する工程を含
むことであり、さらに、遠心法により製造されたガラス
ウールにシランカップリング剤が付与されていることで
あり、さらに前記熱可塑性樹脂が繊維状または粉末状で
あることであり、さらにまた軽量複合材の最終厚さを、
予備圧着物の最大膨張厚さより小さく制御することを特
徴とする軽量複合材の製造方法を提供する。
【0010】本発明者は以上のような特徴を有する軽量
複合材の製造方法により、従来のものよりも軽量かつ曲
げ強度に代表される強度物性に優れた軽量複合材が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の軽量複合材は、補強繊維
としてガラスウールを用い、マトリックス樹脂として熱
可塑性樹脂を用いる。
【0012】前記ガラスウールは遠心法によって製造さ
れるものである。図1は遠心法によるガラスウール製造
装置の一例を示しており、溶融ガラス1が高速で回転す
るスピナーと呼ばれる耐熱合金製の容器2中に供給さ
れ、前記溶融ガラス1は遠心力によって容器2の側壁に
押しやられる。前記溶融ガラス1は前記容器2の側壁に
多数設けられた小穴3から外側に向かって流出し、流出
した溶融ガラス1は、前記容器の上部に設けられた環状
のバーナー4から噴出する高温度の気流によって引伸ば
されると同時に吹き飛ばされることより繊維化されガラ
スウールとなる。
【0013】上記のような遠心法によって得られたガラ
スウールは、溶融紡糸法で製造されたガラス繊維とは異
なり、繊維の形状が湾曲しているか縮れている特徴を有
しており、この繊維形状は繊維に捲縮性をもたらす。そ
して、ガラスウールが粉砕等により細分化されても、こ
の捲縮性はそのまま持続され、これを用いた軽量複合材
の強度および軽量化等に有効に作用する。つまり、この
ように捲縮性を有するガラスウールを軽量複合材に使用
した場合、繊維の湾曲や縮れにより繊維の弾性反撥力が
増し、後述する予備圧着物の膨張を容易にする。また繊
維の絡み合いを生じることにより、繊維どうしの結合強
度も増すため、軽量複合材としての曲げ強度が向上す
る。このように捲縮性を有するガラスウールは、捲縮性
を有しない直線状の形状のガラス繊維では得られない特
性を軽量複合材に付与する。
【0014】本発明は、遠心法で製造されるガラスウー
ルの捲縮性に注目し、かつその繊維長を特定することに
より、所望の軽量複合材が得られるようにしたものであ
る。なお、大量生産されるガラスウールのごく一部に直
線状のものが含まれていても、本発明の本質に影響を与
えるものではない。
【0015】また、通常遠心法により得られたガラスウ
ールは平均繊維長が30〜300mmであり、これらは
その捲縮性により繊維どうしの絡み合いが多いため抄造
時にスラリー状物とする際に水中での繊維が分散しづら
く、複合材の密度分布が不均一になったり、厚みむらが
発生する原因にもなる。
【0016】そのため、本発明においては、その平均繊
維長が100〜6000μmのガラスウールを用いる。
ガラスウールの平均繊維長を100〜6000μmとす
るには、種々の方法をとり得るが、その容易さから遠心
法で製造したガラスウールを粉砕する方法が好ましい。
平均繊維長が100μmより短くなると、後述する予備
圧着物における繊維の弾性反撥力が小さくなるため、予
備圧着物が十分に膨張しづらくなる。その結果、軽量複
合材の嵩比重が増大して軽量化が困難になり、また繊維
の補強効果が減少するので軽量複合材の強度が低下す
る。平均繊維長が6000μmより長くなると、繊維が
捲縮性を有しているため、抄造時にスラリー状物中の繊
維どうしが絡み合いあって塊状物となり、軽量複合材の
繊維分布が不均一になるため、軽量複合材の強度が低下
する。
【0017】また、複合材の強度を更に向上させるため
に、熱可塑性樹脂とガラスウールとの複合化の際に、両
者の界面の濡れ性や接着性の改善を目的としてガラスウ
ールにシランカップリング剤を付与することが特に好ま
しい。シランカップリング剤としてはアミノシラン系、
エポキシシラン系、アクリルシラン系、ビニルシラン系
等があげられる。
【0018】シランカップリング剤は、ガラスウールに
対して固形分として0.01〜1.0wt%の割合で付
与することが好ましい。このシランカップリング剤はス
プレー等の方法によって繊維化と同時に付与することが
できるし、繊維化後に所定の平均繊維長にしてから付与
することもできる。
【0019】ガラスウールにおいてバインダーが付与さ
れているか否かは特に問わない。ここでいうバインダー
とは、繊維どうしの接合、繊維とマトリックス樹脂との
接着性および繊維を取り扱う上での作業性を良好にする
目的で使用するものの総称であり、このバインダーの種
類は、これらを満たすものであれば特に限定されること
なく、有機系バインダーや無機系バインダーを用いるこ
とができる。また、このバインダーに前述のシランカッ
プリング剤を併用することも可能である。
【0020】本発明で用いる熱可塑性樹脂としては特に
限定しないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリカーボネート、ポリアセタール等を単独で用
いるか、あるいはこれらの共重合体、グラフト化合物ま
たはブレンド物を用いることができる。共重合体として
は、例えばスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体等を使用することができる。
【0021】また、前述のシランカップリング剤を付与
したガラスウールを用いる場合には、前記熱可塑性樹脂
においても、このシランカップリング剤と共有結合可能
な官能基を有するような熱可塑性樹脂を選択したり、ま
たは適宜変性させることが好ましい。
【0022】なお、熱可塑性樹脂として、エマルジョン
を使うことも可能であるが、抄造工程での脱水の際に樹
脂が流出し易く原材料の歩留まりが悪くなるとともに、
複合材の強度も低下するため、繊維状または粉末状の熱
可塑性樹脂を使用することが好ましい。また繊維状の熱
可塑性樹脂を用いる場合、その繊維構造が2種類以上の
熱可塑性樹脂からなる接合型構造や芯鞘構造などの形態
をとるものを使用することもできる。
【0023】前記ガラスウールと熱可塑性樹脂の混合割
合は、ガラスウール100重量部に対し熱可塑性樹脂4
0〜400重量部が適当である。熱可塑性樹脂が40重
量部より小さいと、繊維どうしの接合力が劣り複合材の
強度が低下するばかりでなく、繊維が多い分どうしても
軽量複合材の表面が平滑でなくなる。また熱可塑性樹脂
が400重量部より大きいと、ガラスウールの弾性反撥
力がほとんどなくなるために予備圧着物の膨張が不十分
となり、その結果嵩比重が増大し軽量化が図れない。ま
た繊維の補強効果が減少するので複合材の強度が低下す
る。このため、ガラスウールと熱可塑性樹脂の混合割合
は、ガラスウール100重量部に対し熱可塑性樹脂65
〜150重量部が好ましい。
【0024】さらに必要に応じて前記ガラスウールと熱
可塑性樹脂の他に、添加剤や充填材を使用することがで
きる。添加剤としては分散剤、酸化防止剤、光安定剤、
難燃剤、着色剤等が挙げられ、充填材としては脱水後の
取り扱い性や保形性を向上させる目的で、適量のガラス
チョップドストランドを必要に応じて混合して使用する
のが有用である。
【0025】次に本発明の軽量複合材の製造工程につい
て説明する。まず、遠心法によって得られた所定長のガ
ラスウールと熱可塑性樹脂とを、前述した割合で水に投
入し、撹拌しスラリー状物を得る。この場合のスラリー
状物の濃度は、全固形分濃度が0.05〜20wt%で
あることが好ましく、0.1〜5wt%程度であることが
更に好ましい。濃度が0.05wt%より低いと、生産
性が低下するほか、水量が多くなるためスラリー状物の
輸送および取り扱いが困難になる。逆に濃度が20wt
%より高いと、スラリー状物中に繊維が分散しづらくな
って複合材中の繊維の分布が不均一になり、複合材の強
度が低下する。
【0026】次いで、前記スラリー状物を抄造機に供給
し抄造した後、脱水してフェルト状体または板状体とす
る。抄造機については、丸網式や長網式などの従来から
ある抄造機を用いることができる。得られたフェルト状
体または板状体は、そのまま直接にまたは所定の寸法に
切断した後、加熱槽内に運ばれ乾燥される。
【0027】続いて、前記フェルト状体または板状体を
加熱した後または加熱と同時に加圧して、前記熱可塑性
樹脂を溶融した状態とし、ガラス繊維と熱可塑性樹脂と
を密着性させ、予備圧着物とする。なお、上記乾燥工程
は、フェルト状体または板状体を前記加熱および加圧の
工程と同時に行ってもよいし、加熱および加圧の工程に
先立って行ってもよい。
【0028】この予備圧着工程は、本発明において非常
に重要であり、該工程を経ないで前記スラリー状物を加
熱し成形して軽量複合材を得ようとすると、ガラスウー
ルと熱可塑性樹脂との密着性が劣り、それぞれが独立し
た状態で存在することになるため、強度が非常に低い複
合材になる。なお、加圧時に使用する成形型やプレス機
は平板プレス等のバッチ式プレス、あるいはダブルベル
トプレス等の連続プレスを用いることができる。
【0029】次いで、前記予備圧着物中の熱可塑性樹脂
を溶融させた状態にして、ガラスウールの弾性反発力に
よって、予備圧着物をその厚さ方向に膨張させる。例え
ば、上記したフェルト状体または板状体を加熱および加
圧して予備圧着物とした工程に引き続いて、熱可塑性樹
脂が溶融したままの状態で予備圧着物への加圧を開放し
て、予備圧着物を膨張させることができる。また、予備
圧着した後、一旦冷却して熱可塑性樹脂を固化させた予
備圧着物を、再加熱して熱可塑性樹脂を溶融させ、予備
圧着物を膨張させることもできる。
【0030】さらに、予備圧着物を膨張させて表面性状
が良好な所望の厚さの軽量複合材を得るには、この予備
圧着物の膨張時にまたは膨張後に加圧して、軽量複合材
の最大厚さを予備圧着物の最大膨張厚さより小さくなる
ように抑制するのが有効である。
【0031】この方法としては、例えば上記膨張を成形
型中で行いかつこの成形型のクリアランスを予備圧着物
の最大膨張厚さより小さく設定することにより、予備圧
着物が膨張時に型から十分な圧力を受けるようにすれば
よい。また他の方法としては、膨張厚さが最大となるま
で予備圧着物を一旦膨張させ、次いで冷却プレス等で加
圧して軽量複合材の最終仕上げ厚さまで圧縮成形する方
法が挙げられる。特に後者の方法は予備圧着物を最大膨
張させるため、この膨張時により多くの大気を予備圧着
物中に取り入れることができるので好ましい。
【0032】得られた軽量複合材は、必要に応じて、塗
装、切削、穿孔、表皮材の貼付等の加工を施され軽量複
合材製品とされる。
【0033】
【作用】本発明において、遠心法によって繊維化するこ
とにより得られたガラスウールは、従来の溶融されたガ
ラスをブッシングから引き出されることによって得られ
るガラス繊維に比べて、その繊維が湾曲したり、縮れた
りしていることにより繊維の弾性反撥力が増し、予備圧
着物の膨張を容易にする。また繊維の絡み合いを生じる
ことにより繊維どうしの結合強度も増すため、軽量複合
材としての曲げ強度が向上する。
【0034】また、平均繊維長100〜6000μmの
ガラスウールは、抄造時にスラリー状物中の繊維の分布
を均一にし、軽量複合材の強度のばらつきの少ない軽量
複合材を得るのに有効に作用する。
【0035】
【実施例】(実施例1)遠心法によって製造されたガラ
スウールを湿式粉砕器により平均繊維長が約400μm
となるように粉砕した粉砕物3000gとポリプロピレ
ン樹脂粉末とを、表1に示す配合比となるように水の存
在下で撹拌器により混合、撹拌し、濃度5wt%のスラ
リー状物とした。次いで、前記スラリー状物を長網式抄
造機により約7000cm2 の大きさに抄造、脱水し、
フェルト状体とした。この時のフェルト状体の厚さは1
7mmであった。さらに、前記フェルト状体を乾燥機に
より乾燥した後、再度加熱し前記熱可塑性樹脂を溶融さ
せた状態でバッチ式プレスにより7mmの厚さまで加圧
し、ガラスウールと熱可塑性樹脂とを密着させ予備圧着
物を得た。次に加圧を開放し、ガラスウールの弾性反撥
力により予備圧着物を厚さ14mmになるようにして膨
張させ、次いで冷却プレスにより厚さ10mmとなるよ
うに圧縮し、同厚さの軽量複合材を作成した。
【0036】(実施例2)遠心法によって製造されたガ
ラスウールを湿式粉砕器により平均繊維長が約2100
μmとなるように粉砕した粉砕物3000gとポリプロ
ピレン樹脂粉末とを、表1に示す配合比となるように水
の存在下で、撹拌器により混合、撹拌し、濃度0.5w
t%のスラリー状物とした。次いで、前記スラリー状物
を長網式抄造機により約7000cm2 の大きさに抄
造、脱水し、フェルト状体とした。この時のフェルト状
体の厚さは35mmであった。さらに、前記フェルト状
体を乾燥機により乾燥した後、再度加熱し前記熱可塑性
樹脂を溶融させた状態でバッチ式プレスにより7mmの
厚さまで加圧し、ガラスウールと熱可塑性樹脂とを密着
させ予備圧着物を得た。次に加圧を開放し、ガラスウー
ルの弾性反撥力により予備圧着物を厚さ29mmになる
ようにして膨張させ、次いで冷却プレスにより厚さ20
mmとなるように圧縮し、同厚さの軽量複合材を作成し
た。
【0037】(比較例1)ブッシングから引き出された
連続したガラス繊維を湿式粉砕器により平均繊維長が約
400μmとなるように粉砕した粉砕物3000gとポ
リプロピレン樹脂粉末とを表1に示す配合比となるよう
に水の存在下で、撹拌器により混合、撹拌し、濃度5w
t%のスラリー状物とした。次いで、前記スラリー状物
を長網式抄造機により約7000cm2 の大きさに抄
造、脱水し、フェルト状体とした。この時のフェルト状
体の厚さは6mmであった。さらに、前記フェルト状体
を乾燥機により乾燥した後、再度加熱し前記熱可塑性樹
脂を溶融させた状態でバッチ式プレスにより4mmの厚
さまで加圧し、ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを密着させ
予備圧着物を得た。次に加圧を開放したところフェルト
状体の厚さは4mmであり、全く膨張せず、軽量複合材
を得ることはできなかった。
【0038】(比較例2)ブッシングから引き出された
連続したガラス繊維を平均繊維長が約2000μmとな
るように切断したチョップドガラス繊維3000gとポ
リプロピレン樹脂粉末とを、表1に示す配合比となるよ
うに水の存在下で撹拌器により混合、撹拌し、濃度0.
5wt%のスラリー状物とした。次いで、前記スラリー
状物を長網式抄造機により約7000cm2 の大きさに
抄造、脱水し、フェルト状体とした。この時のフェルト
状体の厚さは24mmであった。さらに、前記フェルト
状体を乾燥機により乾燥した後、再度加熱し前記熱可塑
性樹脂を溶融させた状態でバッチ式プレスにより7mm
の厚さまで加圧し、ガラス繊維と熱可塑性樹脂とを密着
させ予備圧着物を得た。次に加圧を開放し、ガラス繊維
の弾性反撥力により予備圧着物を厚さ18mmになるよ
うにして膨張させ、次いで冷却プレスにより厚さ15m
mとなるように圧縮し、同厚さの軽量複合材を作成し
た。
【0039】(比較例3)遠心法により製造された平均
繊維長が約90000μmのガラスウール3000gを
7000cm2 の大きさのマット状に集綿し、このガラ
ス繊維マットをポリプロピレンエマルジョンに表1に示
す配合比となるように浸漬後、脱水してフェルト状体と
した。この時のフェルト状体の厚さは44mmであっ
た。さらに、前記フェルト状体を乾燥機により乾燥した
後、再度加熱し前記熱可塑性樹脂を溶融させた状態でバ
ッチ式プレスにより7mmの厚さまで加圧し、ガラスウ
ールと熱可塑性樹脂とを密着させ予備圧着物を得た。次
に加圧を開放し、ガラスウールの弾性反撥力により予備
圧着物を厚さ35mmになるようにして膨張させ、次い
で冷却プレスにより厚さ20mmとなるように圧縮し、
同厚さの軽量複合材を作成した。
【0040】(試験例)実施例1、2及び比較例1〜3
で得られた軽量複合材から、 JISK7055に規定
される試験片を作成し、同規定による3 点曲げ強度試験
を各々サンプル数n=10にて行いその平均値を曲げ強
さとし、その標準偏差を平均値で除した値に100を乗
じて強度のばらつきの指標とした。
【0041】また、一般に同一組成の場合、曲げ強さは
密度の2乗に比例することから、各々の曲げ強さを密度
の2乗に除した値に100を乗じて比強度とした。試験
結果を表1 に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明において、遠心法によって繊維化
することにより得られたガラスウールは、従来の溶融さ
れたガラスをブッシングから引き出されることによって
得られるガラス繊維に比べて、その繊維が湾曲したり、
縮れたりしていることにより繊維の弾性反撥力が増し予
備圧着物の膨張を容易にする。また繊維の絡み合いを生
じることにより繊維どうしの結合強度も増すため、軽量
複合材としての曲げ強度が向上する。
【0044】また、平均繊維長100〜6000μmの
ガラスウールは、抄造時にスラリー状物中の繊維の分布
を均一にし、軽量複合材の強度のばらつきの少ない軽量
複合材を得ることができる。このため軽量化を可能とす
るとともに、なお且つ曲げ強度に代表される強度物性に
優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】遠心法によるガラスウール製造装置の一例を示
す要部断面図である。
【符号の説明】
1 溶融ガラス 2 容器(スピナー) 3 小穴 4 バーナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:12 309:08 B29L 9:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A)遠心法により得られた平均繊維長10
    0〜6000μmのガラスウール100重量部と熱可塑
    性樹脂40〜400重量部とを水と混合、撹拌しスラリ
    ー状物とする工程、B)前記スラリー状物を抄造機によ
    り抄造、脱水し、フェルト状体または板状体とする工
    程、C)前記フェルト状体または板状体を、加熱および
    加圧してガラスウールと熱可塑性樹脂とを密着させ予備
    圧着物とする工程、およびD)前記予備圧着物中の熱可
    塑性樹脂を溶融させた状態にし、ガラスウールの弾性反
    撥力で予備圧着物を厚さ方向に膨張させた後に冷却する
    工程、を含むことを特徴とする軽量複合材の製造方法。
  2. 【請求項2】遠心法により得られたガラスウールを平均
    繊維長が100〜6000μmとなるように粉砕する工
    程を含む請求項1記載の軽量複合材の製造方法。
  3. 【請求項3】遠心法により得られたガラスウールにシラ
    ンカップリング剤が付与されていることを特徴とする請
    求項1または2記載の軽量複合材の製造方法。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂が繊維状または粉末状である
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれか一つに記載の軽
    量複合材の製造方法。
  5. 【請求項5】上記D)の工程において軽量複合材の最終
    厚さを、予備圧着物の最大膨張厚さより小さく制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の軽量複合材の製造方
    法。
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