JP2002080257A - ケナフ繊維強化セメント板 - Google Patents

ケナフ繊維強化セメント板

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JP2002080257A
JP2002080257A JP2001181564A JP2001181564A JP2002080257A JP 2002080257 A JP2002080257 A JP 2002080257A JP 2001181564 A JP2001181564 A JP 2001181564A JP 2001181564 A JP2001181564 A JP 2001181564A JP 2002080257 A JP2002080257 A JP 2002080257A
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kenaf fiber
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Masahiko Tokushige
雅彦 徳重
Kenji Onishi
兼司 大西
Takusane Ueda
卓実 上田
Yuzo Okudaira
有三 奥平
Bunkai Ryu
文海 劉
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度特性に優れたケナフ繊維強化セメント板
を提供する。 【解決手段】 セメント1と植物繊維の混合物を板状に
圧縮してなる繊維強化セメント板2において、繊維とし
てケナフ靭皮部から得られるケナフ繊維3を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セメントに水を加
えたセメントペーストに、植物繊維を混合した後、圧縮
することにより板状に成形した繊維強化セメント板、特
にケナフ繊維強化セメント板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築用の外装材及び内装材料として、繊
維を補強材として混入させた繊維強化セメント板が幅広
く用いられている。従来から、混入させる繊維として、
補強効果の優れたアスベスト繊維が一般的に用いられて
きた。しかしながら、近年アスベストの発癌性が社会的
に大きな問題となり、その利用が規制されるようになっ
てきたため、アスベストの代替として、様々な繊維材料
を用いたセメント板の開発が行われている。セメント補
強繊維としての利用が考えられるものとしては、例えば
以下に示す繊維を挙げることができる。
【0003】(a)ガラス繊維、チタン酸カリウム繊
維、水酸化マグネシウム繊維などの無機繊維 (b)アクリル、ポリエステル等の合成繊維 (c)木材パルプ、麻繊維などのリグノセルロース繊維 しかし、ガラス繊維などの無機繊維は非常に高い強度特
性を示すものの、繊維自体が硬くて脆いために、セメン
トペーストと混合した際に、折れ易いという問題があっ
た。また、無機繊維とセメントとの親和性が悪いため、
補強効果を十分に発揮することが困難であった。また、
セメント硬化促進のための高温養生した際に、合成繊維
は耐熱性の点で問題があった。そのため、前記繊維に対
して、木材繊維などのリグノセルロース繊維が、アスベ
スト繊維の有力な代替材料として使用されはじめてい
る。
【0004】しかし、リグノセルロース繊維をセメント
の補強材として用いても、以下に示す理由によって、十
分な補強効果が得られていなかった。例えば、パルプ化
した木材繊維は、その繊維長が短いため、十分な補強性
能が得られないという問題があり、また、麻繊維は長繊
維でありながら且つ高い引張強度を有するものの、セメ
ントと混合した際の分散性が悪いため、本来、麻繊維が
持つ高い強度特性が十分に活かせていないという問題が
あった。
【0005】また、ラミーやリネンなどの麻繊維の繊維
長を制御することにより、分散性を高める発明もなされ
ているが、より一層の高強度化を狙うためには、繊維の
補強効果が十分ではないのが現状であった。
【0006】以上の事情から、アスベスト以外の補強繊
維を用いた強度特性に優れた繊維強化セメント板の開発
が強く望まれているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の点に鑑
みてなされたものであり、強度特性に優れたケナフ繊維
強化セメント板を提供することを課題とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係るケナフ繊維強化セメント板は、セメント
1と植物繊維の混合物を板状に圧縮してなる繊維強化セ
メント板2において、繊維としてケナフ靭皮部から得ら
れるケナフ繊維3を用いることを特徴とするものであ
る。このようにリグノセルロースの中でも屈とう性(繊
維の曲がり易さ)が低いケナフ繊維を補強材として用い
るため、セメントと混合した際にも、繊維同士の絡み合
いが生じにくくて均一に分散させることがきることにな
る。また、ケナフ繊維とセメントとの界面の結合力は非
常に高くなるものである。
【0009】また、繊維が平行に配列され且つ束状に集
められたケナフ繊維束3’を用いることが好ましい。こ
のような構成とすることで、屈とう性がより低くなり、
セメントペーストとの混合時にケナフ繊維束3’同士が
絡まりにくくなり、ケナフ繊維束3’の均一分散性が非
常に高くなる。また、ケナフ繊維束3’はセメントペー
ストと混合後、板状に圧縮成形する際に、抵抗を受けや
すく、厚さ方向に対して垂直となる方向に揃えられ、ケ
ナフ繊維強化セメント板の面内方向に繊維束が配向され
た状態となるものである。
【0010】また、ケナフ靭皮部を加工して得られる長
さ3mm未満のケナフ短繊維を用いることが好ましい。
このようにセメント1内部においてきわめて均一分散性
の高いケナフ短繊維を含んでいるため、クラックの発
生、進展を抑制する作用が働くものである。
【0011】また、ケナフ繊維3同士が絡み合わされて
いることが好ましい。このようにケナフ繊維3同士が絡
み合わされていることで強度性能が向上するものであ
る。
【0012】また、ケナフ繊維3が解繊されていること
が好ましい。このように、ケナフ繊維3が解繊されてい
ることで強度性能が向上するものである。
【0013】また、ケナフ繊維3が平行に配列されて且
つセメント板平面全体に設けられることも好ましい。こ
のような構成とすることで、強度性能が向上するもので
ある。
【0014】また、ケナフ芯部を粉砕して得られるケナ
フパーティクルを含むことが好ましい。このように、強
度性能を大幅に向上させたケナフ繊維強化セメント板2
内部に、非常に軽量で且つセメント1の捕捉性の高いケ
ナフパーティクルを含んでいるため、軽量で強度特性が
優れたものとなる。
【0015】また、水可溶成分を抽出したケナフ繊維3
を用いることが好ましい。このような構成とすること
で、セメント1の硬化阻害が引き起こり難いものであ
る。
【0016】また、塩化物又は硫酸塩を含むことが好ま
しい。このように、塩化物又は硫酸塩を含むことにより
セメント1の硬化阻害が引き起こり難いものである。
【0017】また、セメント1が発泡させられているこ
とが好ましい。このようなセメント1を用いることで、
非常に軽量なものとなる。
【0018】また、平行に配列されたケナフ繊維3を接
着剤で接着した繊維層がセメント板の少なくとも一方の
面に設けられていることも好ましい。このような構造と
することで、セメント板の強度性能が非常に優れたもの
となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に示す実
施形態に基づいて説明する。
【0020】本発明のケナフ繊維強化セメント板2は、
図1に示すようにセメント1に水を加え、ぺ一スト状に
したものとケナフ繊維3を混合した後、板状に圧縮成形
したものである。
【0021】ここで使用するケナフは麻類の一年草で、
主に、中国、東南アジアなどで栽培されている。このケ
ナフの外皮部分からは、幅5〜60mm、長さ2〜4m
m程度の靭皮繊維束が得られる。この繊維束を適当な長
さに切断し、解繊したものを本発明におけるケナフ繊維
3として用いている。
【0022】ケナフ繊維3はリグノセルロース繊維の中
でも屈とう性(繊維の曲がり易さ)が低く、比較的剛直な
繊維であるため、真直な形状を保ち易い。そのため、セ
メント1と混合した際にも、繊維同士の絡み合いが生じ
にくく、均一に分散させることができるものである。つ
まり、繊維を混合したセメント板は、繊維の分散が均一
である程、高い強度向上効果が得られるものであり、こ
のため、上記のような繊維同士の絡み合いが生じにくい
ケナフ繊維3を用いることで、従来のリグノセルロース
繊維を補強繊維として用いた場合に比べ、非常に強度特
性の優れたセメント板が得られるものである。
【0023】また、従来のセメント板の補強繊維である
木質繊維や麻繊維等と比べて、ケナフ繊維3は非常に高
い引張強度、引張ヤング率を有する。このため、ケナフ
繊維3を用いることで、従来のリグノセルロース繊維を
用いたセメント板に比べて、強度特性の優れたセメント
板が得られるものである。
【0024】ケナフ繊維3の形状・サイズとしては、径
0.05〜0.5mm、長さ3〜100mmのものを用
いることが可能であり、好ましくは径0.05〜0.3
mm、長さ5〜60mmであり、より好ましくは、径
0.1〜0.2mm、長さ6〜30mmである。
【0025】ケナフ繊維3の形状・サイズが前記範囲外
であると、均一分散性の低下を引き起こすために、繊維
による補強効果が小さくなる恐れがあるか、或いはま
た、ケナフ繊維3の優れた強度特性を活かすことができ
なくなる恐れがあるので好ましくない。
【0026】さらには、セメントと混合した際にも、ケ
ナフ繊維3は凝集しにくく、且つセメント1の捕捉性が
非常に高い。このため、ケナフ繊維3とセメント1との
界面の結合力が非常に高いものとなる。すなわち、繊維
自体の優れた強度特性に加えて、セメント1との界面の
結合力を高める作用により、従来の繊維強化セメント板
に比べて、ケナフ繊維強化セメント板2は非常に優れた
強度性能が得られるのである。
【0027】また、本発明の他の実施の形態として、図
2に示されるようなケナフ繊維束3’を含む繊維強化セ
メント板2があげられる。前述したように、ケナフ外皮
部から長さ2〜4mのケナフ靭皮繊維束が得られるが、
靭皮繊維束を機械加工により繊維化する際に、その解繊
条件を制御すれば、図3に示すような複数本の繊維が束
ねられた繊維束3’の状態にすることが可能である。
【0028】本発明に用いるケナフ繊維束3’のサイズ
としては、好ましくは幅1〜30mm、長さ5〜60m
mであり、より好ましくは、幅3〜10mm、長さ6〜
30mmである。また、繊維束の厚さとしては、おおよ
そ0.1〜2mmの範囲のものを用いることができる。
前記範囲内であれば、特に限定はされないが、繊維束の
幅方向に対する長さ方向の比(アスペクト比)が2以上
であることが好ましい。前記アスペクト比を有すること
により、ケナフ繊維束3’による補強効果をより一層高
めることが可能となる。このようにして得られたケナフ
繊維束3’を用いることで、以下の作用により、ケナフ
繊維強化セメント板2の強度性能を大幅に向上させるこ
とが出来る。
【0029】繊維が複数本束ねられたケナフ繊維束3’
は、ケナフ繊維3が一本ずつの状態に比べ、その屈とう
性がより低いため、セメントペーストとの混合時に、ケ
ナフ繊維束3’同士が絡まりくくなる。このため、セメ
ント1中におけるケナフ繊維束3’の均一分散性が非常
に高くなる。また、このようなケナフ繊維束3’は、セ
メントペーストと混合後、板状に圧縮成形する際に、抵
抗を受けやすく、厚さ方向に対して垂直となる方向に揃
えられる効果が大きくなる。つまり、ケナフ繊維強化セ
メント板2の面内方向にケナフ繊維束3’が配向された
状態となる。その結果、ケナフ繊維強化セメント板2の
強度性能がより高められることになる。
【0030】すなわち、ケナフ繊維3の高強度、高ヤン
グ率であるという特徴をより活かすことが可能となり、
強度性能が飛躍的に向上することとなる。 また、本発
明の他の実施の形態として、ケナフ靭皮部を加工して得
られる長さ3mm未満のケナフ短繊維を含むケナフ繊維
強化セメント板2が挙げられる。
【0031】前述したように、ケナフ靭皮部を解繊して
得られるケナフ繊維3或いはケナフ繊維束3’を補強繊
維として用いたケナフ繊維強化セメント板2において
は、繊維の分散性・配向性が良好であることに加えて、
繊維がセメント1を捕捉する作用が大きい。そのため、
繊維とセメント1界面の結合力が強められることによ
り、ケナフ繊維3の補強効果が十分に作用する。この作
用は、成形して得られたケナフ繊維強化セメント板2
の、特に、曲げ強度および曲げヤング率の向上に効果的
に働く。
【0032】しかし、前記補強作用は、ケナフ繊維強化
セメント板2全体の曲げ性能に対して効果的であるもの
の、ケナフ繊維強化セメント板2の厚さ方向への圧縮力
に対しては、繊維による補強効果が小さくなる恐れがあ
った。このような問題に対して、さらにケナフ短繊維を
強化繊維として用いることで、以下の作用により、ケナ
フ繊維強化セメント板2の圧縮強度が大幅に向上する。
【0033】一般的に、繊維強化セメント板が圧縮荷重
を受けた際の圧縮破壊強度(圧縮強度)は、最初にクラッ
クが発生・進展し始める荷重に大きく影響を受ける。長
さ3mm未満のケナフ短繊維は分散性が極めて高く、セ
メント板内部において均一に分散された状態となる。分
散された短繊維は、セメント板が圧縮荷重を受けた際
に、セメント板内部の非常に微状な領域において、クラ
ックの発生を抑制する働きを持つため、クラックが発生
し始める荷重を高めることが可能となる。それと同時
に、さらにはクラックの進展を抑制する作用が働く。
【0034】その結果、均一に分散されたケナフ短繊維
が補強材として有効に作用し、圧縮荷重に対しての補強
効果がより高められることになる。すなわち、3mm以
上の繊維長を持つケナフ繊維3及びケナフ繊維束3’
が、曲げ性能の向上に寄与することに加えて、長さ3m
m未満のケナフ短繊維による圧縮強度の向上効果が働く
ことによって、曲げ強度性能と圧縮強度がより高められ
たケナフ繊維強化セメント板2を得ることできるもので
ある。
【0035】本発明における繊維強化セメント板の作製
方法として、例えば以下に示すような方法が挙げられ
る。
【0036】セメント1、水、及びケナフ繊維3との混
合物からなるセメントペーストを、板状に成形した後、
養生することによりケナフ繊維強化セメント板2が作製
できる。成形体を得る方法としては、押出成形、押圧成
形、流し込み成形などの方法が挙げられるが、特に限定
はされない。また、前記セメントペーストを作製する際
の、ケナフ繊維3の混合方法としても、繊維の均一分散
性が損なわなければ、特に方法は限定されない。例え
ば、水とセメント1を予め混合しペースト状にした後、
ケナフ繊維3を混合しても良いし、水とケナフ繊維3を
予め混合した後、セメント1と混合する方法でも良い。
成形後の養生方法についても、特に限定はされず、例え
ば常温で自然養生するか、或いは、加熱或いは加湿条件
で養生した後、最終的には、加熱容器内で乾燥させるこ
とで、ケナフ繊維強化セメント板2が作製できるもので
ある。
【0037】本発明におけるケナフ繊維強化セメント板
2における、混合するケナフ繊維3の重量比として、セ
メント1に対して、5〜60重量%が好ましく、より好
ましくは、10〜30重量%である。5重量%未満で
は、繊維による補強効果が少なくなり、また60重量%
以上であると、繊維を均一に分散させることが困難とな
る。また、混合するケナフ繊維3の形状・寸法に関して
も、3mm以上の繊維長を持つケナフ繊維3、或いはケ
ナフ繊維束3’と、繊維長3mm未満のケナフ短繊維と
の重量比率についても特に限定はされず、狙いとする強
度性能に応じて、適宜設定することが可能である。
【0038】尚、本発明で用いられるセメント1につい
ても、特に限定はされず、例としてポルトランドセメン
ト、高炉セメント、フライアッシュセメント等を用いる
ことができる。また、必要に応じて、セメントの養生時
間を短縮するため、塩化カルシウム(CaCl2)、塩
化マグネシウム(MgCl2)などの硬化促進剤を添加
することも可能である。その場合、添加量としては、セ
メントに対して0.5〜5重量%程度であることが好ま
しい。セメント板の比重については、混合する繊維の比
率、或いは成形方法によって、適宜設定することが可能
である。
【0039】また、セメント板の軽量化を狙い、例え
ば、かさ密度が0.4〜0.6g/cm3程度の木質パ
ーティクルを混入する方法が、従来から行われてきてい
る。しかし、この方法では、ある程度の軽量化が可能で
あるが、大幅にセメント板を軽量化するためには、多量
の木質パーティクルを混入する必要があった。そうした
場合、木質パーティクルがセメントを捕捉する作用が小
さいために、結果として、強度性能が低下してしまうと
いう問題があった。
【0040】前記問題に対して、本発明に記すように、
ケナフ芯部を粉砕処理して得られるパーティクルをセメ
ント板内部に含むことにより、軽量でありながら強度特
性に優れたケナフ繊維強化セメント板2の実現が可能と
なる。ケナフパーティクルのサイズ・形状については、
特に限定されないが、長さ3〜15mm、幅0.5〜3
mm、厚さ0.1〜3mm程度のものを用いることが好
ましい。また、前記ケナフパーティクルは、かさ密度が
0.2g/cm3以下で非常に軽量であり、パーティク
ル表面及び内部に微細な空隙が多数存在した構造を有す
る。
【0041】そのため、セメント1と混合した際に比重
の低減効果、すなわち軽量化の効果が大きく、またセメ
ント1の捕捉性が優れているといった特徴を持つ。つま
り、ケナフ繊維3で強化したセメント板に、ケナフパー
ティクルを含ませることにより、軽量でありながら高い
強度特性を有するケナフ繊維強化セメント板2の実現を
可能とすることができる。
【0042】また、本発明の他の実施の形態として、水
可溶成分を除去したケナフ繊維を補強材として用いたケ
ナフ繊維強化セメント板2が挙げられる。
【0043】ケナフ繊維1の原産地の違いや、或いはケ
ナフ幹部から芯部を取り除いて靭皮繊維束を採取する工
程において、ケナフ繊維内部に、糖などのセメントの硬
化を阻害する成分が微量に含まれる場合がある。そのた
め、強度性能に優れたケナフ繊維強化セメント板を、安
定して製造していく上で、セメント硬化阻害に起因する
品質バラツキなどの問題が生じる恐れがあった。
【0044】しかし、これら硬化阻害成分は水可溶性で
あるため、水抽出などによって容易に除去することが可
能である。そのため、水可溶成分を抽出したケナフ繊維
3を用いることにより、セメント1の硬化阻害を起こす
ことなく、強度特性に優れたケナフ繊維強化セメント板
2を安定して製造することが可能となる。水可溶成分の
抽出方法については、限定されないが、例えば、常温水
で抽出する方法、あるいは抽出時間を短縮することを目
的として、熱水で抽出する方法などが挙げられる。製造
工程上では、ケナフ靭皮繊維束を解繊しない状態で、そ
のまま抽出処理を施しても良いし、また、解繊後のケナ
フ繊維の状態で抽出処理を行っても良い。また、抽出処
理の際に、繊維内部に僅かながら残存する水可溶成分を
完全に除去するために、複数回洗浄することも、硬化阻
害成分の除去に効果的である。その際の抽出時間や抽出
処理の温度、或いは洗浄回数などは、抽出処理をするケ
ナフ繊維3の状態に応じて、適宜設定する必要がある。
【0045】また、本発明の他の実施形態として図4に
示すようなケナフ繊維3がセメント板平面に対して平行
に配列され且つ面全面に広げられたケナフ繊維3を補強
材として用いたケナフ繊維強化セメント板2を挙げるこ
とができる。
【0046】このようなケナフ繊維強化セメント板2
は、ケナフ繊維3によりセメントボードと平行な方向に
対する引っ張り強度が高められているため、曲げ強度に
優れたケナフ繊維強化セメント板2とすることができ
る。
【0047】本発明において、セメントペースト1’と
ケナフ繊維3の混合方法は特に限定されないが、図5に
示すように型枠4内のセメントペースト1’に平行に配
列されたケナフ繊維3を含ませていくことによりセメン
トペースト1’中にケナフ繊維3を平行に配列させるこ
とができるものである。また、セメントペースト1’に
ケナフ繊維3を含ませる際に、ケナフ繊維3を型枠4の
面全面に含ませることにより、ケナフ繊維3が面全体に
広げられることになる。そして、セメントペースト1’
が硬化することによりケナフ繊維3がセメントボードに
平行に配列され且つ面全体に広げられたケナフ繊維強化
セメント板2の製造が可能となるものである。
【0048】本発明の他の実施形態として混合する繊維
として図6に示すように解繊をおこなったケナフ繊維3
を用いる方法が挙げられる。この解繊後のケナフ繊維マ
ットは、長さ150〜600mm、巾150〜600m
m、厚さ1〜10mm程度のものである。
【0049】解繊方法については特に限定されるもので
はないが、図7に示すような解繊装置5を用いてもよ
い。図7に示す解繊装置5はケナフ繊維マット3aを図
7の矢印イ方向に移動させるための機構(添付図面に示
す実施形態では送りローラ8により構成してある)と、
ピン6付きのシリンダー7を高速で回転する機構が設け
てある。そして、巾50〜200mm程度のケナフ繊維
マット3aがシリンダー7に送り込まれた際に先端の尖
ったピン6を持つシリンダー7が高速で回転することに
よりケナフ繊維マット3aを巾方向に引き離す作用が働
く。この結果、巾150〜600mm程度の解繊された
ケナフ繊維マット3aを得ることが可能となるものであ
る。ここで、解繊後のケナフ繊維マット3aの巾は解繊
装置5の運転条件並びに解繊前のケナフ繊維マット3a
の巾を調整することにより適宜設定することができる。
すなわち、製造するセメントボードの大きさに応じてケ
ナフ繊維マット3aの巾を調整することが可能となるも
のである。
【0050】また、本発明の他の実施形態として、ケナ
フ繊維3同士が絡み合わされているケナフ繊維3(つま
りケナフ繊維マット3a)を用いる方法がある。
【0051】ケナフ繊維3同士が絡み合わされているケ
ナフ繊維3の製造方法としては、例えば図8に示すよう
に、一方向に配向されたケナフ繊維3にニードルパンチ
ング装置9によりニードルパンチング処理を行うことに
よって、図9のようにケナフ繊維3同士が絡み合わされ
ているケナフ繊維マット3aを連続して形成することが
できるものである。
【0052】このようなケナフ繊維3同士が絡み合わさ
れているケナフ繊維3(ケナフ繊維マット3a)を用い
て製造したケナフ繊維強化セメント板2は、ケナフ繊維
3がケナフ繊維3が絡み合わされているためケナフ繊維
強化セメント板2に曲げ応力を負荷した場合、ケナフ繊
維強化セメント板2全体に引張応力が分散されるため曲
げ強度に優れている。また、ケナフ繊維強化セメント板
2の異方性が低減されるため、寸法安定性にも優れてい
る。
【0053】ところで、本発明において用いるケナフパ
ーティクルやケナフ繊維は、原産地の違いやケナフ芯部
の処理方法によっては糖分などのセメントの硬化を阻害
する成分が含まれている場合がある。これにより、図1
0に示すようなケナフパーティクル11を用いてケナフ
繊維強化セメント板2を作製するに当たっては、セメン
トの硬化が十分に起こらず、必要とされる強度が得られ
ない可能性がある。
【0054】このような場合において、塩化カルシウム
(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)などの
塩化物をセメントに添加することによりセメントの硬化
不良を改善することができるものである。この場合、添
加量は特に限定されないが、セメントに対して0.5〜
5重量部程度であることが好ましい。
【0055】繊維強化セメントの軽量化に関しては、ケ
ナフパーティクルを用いる方法以外にセメントに気泡を
混入させることで発泡させた低比重のセメントを用いる
方法がある。気泡の作り方としては、発泡剤をセメント
ペーストに添加してミキサーの撹拌によって発泡させて
もよいし、発泡機を使って発泡剤と水の混合物を発泡さ
せてもよい。発泡剤としては蛋白質系発泡剤、界面活性
剤などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
発泡剤の添加量は特に限定されないが、セメントに対し
て0.05〜5重量%程度であることが好ましい。
【0056】また、本発明の他の実施形態を図11に示
している。本実施形態においては、ケナフ繊維強化セメ
ント板2の一方の面にケナフ繊維1を接着剤で接着した
繊維層10を設けたものであり、ここで繊維の含有量を
高めた非常に高強度な繊維層10を形成することで、ケ
ナフ繊維強化セメント板2単独では得られないレベルの
高強度なケナフ繊維強化セメント板2の実現が可能とな
るものである。ここで使用される接着剤としては特に限
定はないが、セメントを用いてもよいし、イソシアネー
ト系接着剤、フェノール系接着剤などを用いてもよいも
のである。
【0057】以下本発明を実施例に基づいて説明する。
【0058】
【実施例】(実施例1)ケナフ外皮部から得られるケナ
フ靭皮繊維束を解繊することにより、平均繊維長6mm
のケナフ繊維が得られた。次に、水とポルトランドセメ
ントを1:2の重量比で混合させたぺ一スト状のもの
に、ケナフ繊維をセメントに対して20重量%添加し、
均一に混ざるようミキサーで撹拌した。そして、得られ
た混合物をプレスにより圧締し板状に成形した。尚、圧
縮条件として常温で24時間、加圧を行った。その後、
解圧し、常温で14日間養生し、乾燥機で80℃で6時
間乾燥させてケナフ繊維強化セメント板を得た。得られ
たケナフ繊維強化セメント板のサイズは、300mm×
300mm×12mmであった。 (実施例2)平均繊維長15mmのケナフ繊維を用いる
以外は、実施例1と同様な方法でケナフ繊維強化セメン
ト板を得た。 (実施例3)平均繊維長90mmのケナフ繊維を用いる
以外は、実施例1と同様な方法でケナフ繊維強化セメン
ト板を得た。 (実施例4)ケナフ靭皮繊維束を解繊する際、解繊条件
を制御することにより、ケナフ繊維束を得た。得られた
ケナフ繊維束のサイズとしては、平均長15mm、平均
幅5mm、厚さ約0.1〜0.2mmであった。このケ
ナフ繊維束を用いること以外は、実施例1と同様な方法
でケナフ繊維強化セメントを得た。 (実施例5)実施例4と同様な方法で得られるケナフ繊
維束のサイズとして平均長50mm、平均幅20mm、
平均厚さ0.1〜0.2mmのものを用いること以外
は、実施例4と同様な方法でケナフ繊維強化セメントを
得た。 (実施例6)セメント重量に対して、平均繊維長15m
mのケナフ繊維を15重量%、平均繊維長2.5mmの
ケナフ短繊維を5重量%添加すること以外は実施例1と
同様な方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例7)セメント重量に対して、実施例4における
ケナフ繊維束を15重量%、平均繊維長2.5mmのケ
ナフ短繊維を5重量%添加すること以外は実施例4と同
様な方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例8)ケナフ繊維がニードルパンチ処理され、ケ
ナフ繊維同士が絡み合わされていること以外は、実施例
2と同様な方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例9)ケナフ繊維を解繊すること以外は、実施例
8と同様な方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例10)ケナフ繊維を平行に配列し且つセメント
全体に広げる以外は、実施例9と同様な方法でケナフ繊
維強化セメント板を得た。 (実施例11)実施例10におけるケナフ繊維と水とセ
メントの混合物に、ケナフ芯部を粉砕処理をして得られ
た平均長さ3mm、平均幅1.5mm、平均厚さ0.5
mmのケナフパーティクルをセメントに対して5重量%
添加し、均一に分散するまで撹拌した。その後実施例1
0と同様な方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例12)70℃の熱水中で8時間抽出処理を施し
たケナフ繊維を用いる以外は、実施例11と同様な方法
でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例13)セメントに塩化カルシウムをセメントに
対して1重量%添加すること以外は実施例11と同様な
方法でケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例14)動物性蛋白質系発泡剤をセメントに対し
て0.5重量%添加し、ミキサーにより発泡させた低比
重のセメントを用いる以外は実施例10と同様な方法で
ケナフ繊維強化セメント板を得た。 (実施例14)実施例10のケナフ繊維強化セメント板
の一方の面に、ケナフ繊維をセメントに対して50重量
%添加すること以外は実施例10と同様な方法で得られ
る厚さ3mmの繊維層を貼付けることによりケナフ繊維
強化セメント板を得た。 (比較例1)セメントに混入する繊維として、平均繊維
長15mmの麻繊維を用いる以外は、実施例1と同様な
方法で繊維強化セメント板を得た。 (比較例2)セメントに混入する繊維として、繊維長約
0.5〜2mmの木材パルプ繊維を用いる以外は、実施
例1と同様な方法で繊維強化セメント板を得た。
【0059】以上の各実施例及び比較例で得られた繊維
強化セメント板の強さ、曲げヤング率、圧縮強度を測定
した。曲げ強さ、曲げヤング率の試験方法は、JIS
A1408に準拠して行い、スパン400mmで計測を
行った。計算方法としては、以下のようである。
【0060】 曲げ強さ=3PL/2bt2 (kgf/cm2) ここで、 P:曲げ破壊荷重 (kgf) L:スパン (cm) b:試験体の幅 (cm) t:試験体の厚さ (cm) 曲げヤング率=ΔPL3/4bt2Δl (kgf/cm) ここで、 ΔP:比例域における上限荷重と下限荷重との差(kgf) Δl:ΔPに対応する伸び (cm) また、圧縮強度の試験方法としては、JIS A 11
08に準拠して行った。
【0061】 圧縮強度=P/{π・(d/2)2} (kgf/cm2) ここで、 P=最大荷重 (kgf) d=供試体の直径 (cm) 尚、いずれの評価においても、繰り返し数4で、計測を
行い、その平均値を求めた。
【0062】上記各実施例及び各比較例における製作条
件で得られた繊維強化セメント板の物性評価の結果を下
記の表1において一覧で示す。
【0063】
【表1】
【0064】本発明の全ての実施例におけるケナフ繊維
強化セメント板は、比較例の繊維強化セメント板と比べ
て、曲げ強さ、曲げヤング率が大幅に向上していること
が分かる。ケナフ繊維による補強効果は、比較例1の麻
繊維を用いた繊維強化セメント板に対しても、同一繊維
長の実施例2のケナフ繊維強化セメント板は曲げ強さ、
曲げヤング率ともに2倍程度の値を示している。
【0065】実施例4、5のケナフ繊維束を用いたケナ
フ繊維強化セメント板は、実施例1、2、3のケナフ繊
維強化セメント板よりも、曲げ強さ、曲げヤング率が大
きくなっている。つまり、ケナフ繊維束を用いることに
より、強度特性がより高められたケナフ繊維強化板が得
られることが分かる。
【0066】実施例6、7のケナフ短繊維を補強繊維と
して用いたケナフ繊維強化セメント板は、実施例2、4
のケナフ繊維強化セメント板よりも、圧縮強度が大きく
なっている。すわなち、ケナフ短繊維を含むことで、ケ
ナフ繊維強化セメント板の圧縮強度が向上していること
が分かる。
【0067】実施例8のケナフ繊維がニードルパンチ処
理されて、ケナフ繊維同士が絡め合わされているケナフ
繊維強化セメント板は、実施例2と比較して、曲げ強
さ、曲げヤング率ともに大きくなっている。すなわち、
ケナフ繊維同士が絡め合わされていることにより強度性
能が向上することが分かる。
【0068】実施例9の解繊されたケナフ繊維を用いた
ケナフ繊維強化セメント板は、実施例8と比較して曲げ
強さ、曲げヤング率ともに大きくなっている。すなわ
ち、ケナフ繊維を解繊することにより、強度性能が向上
することが分かる。
【0069】実施例10のケナフ繊維を平行に配列し且
つセメント全体に広げたケナフ繊維強化セメント板は実
施例9と比較して曲げ強さ、曲げヤング率が大きくなっ
ている。すなわち、ケナフ繊維を平行に配列しかつセメ
ント全体に広げることにより、ケナフ繊維強化セメント
板の強度特性がより高められることが分かる。
【0070】実施例11のケナフパーティクルを含むケ
ナフ繊維強化セメント板は、実施例10と比較して比重
は小さいものの同程度の曲げ強さ、曲げヤング率が得ら
れている。このことからもケナフパーティクルを添加す
ることで、優れた強度特性を維持しながら、ケナフ繊維
強化セメント板の軽量化が可能であることが分かる。
【0071】実施例12の水可溶成分を抽出したケナフ
繊維を用いたケナフ繊維強化セメント板は、実施例2と
比べて、曲げ強さ、曲げヤング率が大きくなっている。
このことより、水可溶成分を抽出したケナフ繊維を用い
ることにより、ケナフ繊維強化セメント板の強度特性を
さらに高められることが分かる。
【0072】実施例13の塩化カルシウムを添加したケ
ナフ繊維強化セメント板は、実施例11と比較して曲げ
強さ、曲げヤング率が大きくなっている。つまり、塩化
カルシウムを添加することによりケナフ繊維強化セメン
ト板の強度特性を向上させることが可能であることが分
かる。
【0073】実施例14の発泡させたセメントを用いた
ケナフ繊維強化セメント板は、実施例10と比較して比
重が小さくなっているものの同程度の曲げ強さ、曲げヤ
ング率が得られている。このことから発泡させたセメン
トを用いることにより、軽量で且つ強度特性に優れたケ
ナフ繊維強化セメント板が得られることが分かる。
【0074】実施例15のケナフ繊維強化セメント板の
一方の面にケナフの繊維層が設けてあるものにおいて
は、実施例1と比較して曲げ強さ、曲げヤング率が大き
くなっている。つまり、ケナフ繊維強化セメント板の一
方の面にケナフの繊維層を設けることにより、ケナフ繊
維強化セメント板の強度性能を向上させることが可能で
あることが分かる。
【0075】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1記載の発
明にあっては、セメントと植物繊維の混合物を板状に圧
縮してなる繊維強化セメント板において、繊維としてケ
ナフ靭皮部から得られるケナフ繊維を用いるので、リグ
ノセルロース繊維の中でも屈とう性(繊維の曲がり易さ)
が低いケナフ繊維を補強材として用いてあることにな
り、セメントと混合した際にも、繊維同士の絡み合いが
生じにくく、均一に分散させることができて高い強度向
上効果があり、しかも高強度、高ヤング率であるという
特徴を有するケナフ繊維を用いることで、従来のリグノ
セルロース繊維を補強繊維として用いた場合に比べ、非
常に強度特性の優れたセメント板が得られものであり、
更に、このケナフ繊維とセメントとの界面の結合力は非
常に高い為、ケナフ繊維の強度特性をより活かすことが
可能となり、非常に強度特性に優れたケナフ繊維強化セ
メント板を提供することができるものである。
【0076】また、請求項2記載の発明にあっては、上
記請求項1記載の発明の効果に加えて、繊維が平行に配
列され且つ束状に集められたケナフ繊維束を用いるの
で、つまり、請求項1記載のケナフ繊維よりも、その屈
とう性がより低い(ケナフ繊維が複数本束ねられた)ケナ
フ繊維束を用いているので、セメントペーストとの混合
時に、繊維束同士がいっそう絡まりにくくなって、セメ
ント中におけるケナフ繊維束の均一分散性が非常に高く
なり、また、繊維が面内方向に配向され、これらの理由
によりさらに強度特性が優れたケナフ繊維強化セメント
板を提供することができるものである。
【0077】また、請求項3記載の発明にあっては、上
記請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、ケ
ナフ靭皮部を加工して得られる長さ3mm未満のケナフ
短繊維を用いるので、セメント内部において極めて均一
分散性の高いケナフ短繊維を含んでいるため、クラック
の発生、進展を抑制する作用が働くものである。すなわ
ち、曲げ性能の向上効果に加えて、長さ3mm未満のケ
ナフ短繊維による圧縮強度の向上効果が働くことによっ
て、曲げ強度性能と共に圧縮強度がより高められたケナ
フ繊維強化セメント板を提供することができるものであ
る。
【0078】また、請求項4記載の発明の効果にあって
は、上記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明
の効果に加えて、ケナフ繊維同士が絡み合わされている
ので、ケナフ繊維への負荷が分散され、ケナフ繊維によ
る補強効果を増し、これにより曲げ強度性能がより高め
られたケナフ繊維強化セメント板を提供することができ
るものである。
【0079】また、請求項5記載の発明の効果にあって
は、上記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の発明
の効果に加えて、ケナフ繊維が解繊されているので、セ
メントがケナフ繊維とケナフ繊維との間に入り込み、セ
メントの捕捉性が高められ、これにより曲げ強度性能が
より高められたケナフ繊維強化セメント板を提供するこ
とができるものである。
【0080】また、請求項6記載の発明の効果にあって
は、上記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明
の効果に加えて、ケナフ繊維が平行に配列されて且つセ
メント板平面全体に設けられるので、ケナフ繊維強化セ
メント板の平面方向への引張強度が高められ、これによ
り曲げ強度性能がより高められたケナフ繊維強化セメン
ト板を提供することができるものである。
【0081】また、請求項7記載の発明にあっては、上
記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発明の効果
に加えて、ケナフ芯部を粉砕して得られるケナフパーテ
ィクルを含むので、強度性能を大幅に向上させたケナフ
繊維強化セメント板内部に、非常に軽量で且つセメント
の捕捉性の高いケナフパーティクルを含むことになり、
この結果、軽量で且つ強度特性が優れたケナフ繊維強化
セメント板を提供することができるものである。
【0082】また、請求項8記載の発明の効果にあって
は、上記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の発明
の効果に加えて、水可溶成分を抽出したケナフ繊維を用
いるので、セメントの硬化阻害が引き起こりにくく、強
度特性に優れたケナフ繊維強化セメント板を提供するこ
とができるものである。
【0083】また、請求項9記載の発明にあっては、上
記請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の発明の効果
に加えて、塩化物又は硫酸塩を含んでいるので、セメン
トの硬化阻害が抑制され、更に強度特性に優れたケナフ
繊維強化セメント板を提供することができるものであ
る。
【0084】また、請求項10記載の発明にあっては、
上記請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の発明の効
果に加えて、セメントが発泡させられているので、軽量
なケナフ繊維強化セメント板を提供することができるも
のである。
【0085】また、請求項11記載の発明にあっては、
上記請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の発明の
効果に加えて、平行に配列されたケナフ繊維を接着剤で
接着した繊維層がセメント板の少なくとも一方の面に設
けられているので、更に曲げ強度、曲げ剛性に優れたケ
ナフ繊維強化セメント板を提供することができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のケナフ繊維強化セメント板の一実施形
態の斜視図である。
【図2】同上のケナフ繊維強化セメント板の他の実施形
態の斜視図である。
【図3】同上に用いるケナフ繊維束の斜視図である。
【図4】同上のケナフ繊維強化セメント板の更に他の実
施形態の斜視図である。
【図5】同上の平行に配列されたケナフ繊維をセメント
ペーストに含ませる例を示す説明図である。
【図6】同上の解繊されたケナフ繊維を示す説明のため
の斜視図である。
【図7】同上の解繊装置によりケナフ繊維を解繊してい
る実施形態を示す斜視図である。
【図8】同上のニードルパンチング装置によりケナフ繊
維同士を絡み合わせている実施形態を示す斜視図であ
る。
【図9】同上のケナフ繊維同士が絡み合わされたケナフ
繊維マットを示す平面図である。
【図10】同上に用いるケナフパーティクルを示す平面
図である。
【図11】同上のケナフ繊維強化セメント板の一面に繊
維層を形成した実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
1 セメント 2 ケナフ繊維強化セメント板 3 ケナフ繊維 3’ ケナフ繊維束
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 16:06 C04B 16:06 D E 22:12 22:12 22:14) 22:14) A (72)発明者 上田 卓実 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 奥平 有三 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 劉 文海 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4G012 PA22 PB09 PB10 PC01 PC12 PE03 4L055 AA09 AG99 AH02 BD19 BE14 BF01 EA16 GA24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントと植物繊維の混合物を板状に圧
    縮してなる繊維強化セメント板において、繊維としてケ
    ナフ靭皮部から得られるケナフ繊維を用いることを特徴
    とするケナフ繊維強化セメント板。
  2. 【請求項2】 繊維が平行に配列され且つ束状に集めら
    れたケナフ繊維束を用いることを特徴とする請求項1記
    載のケナフ繊維強化セメント板。
  3. 【請求項3】 ケナフ靭皮部を加工して得られる長さ3
    mm未満のケナフ短繊維を用いることを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載のケナフ繊維強化セメント板。
  4. 【請求項4】 ケナフ繊維同士が絡み合わされているこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    のケナフ繊維強化セメント板。
  5. 【請求項5】 ケナフ繊維が解繊されていることを特徴
    とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のケナフ
    繊維強化セメント板。
  6. 【請求項6】 ケナフ繊維が平行に配列されて且つセメ
    ント板平面全体に設けられることを特徴とする請求項1
    乃至請求項5のいずれかに記載のケナフ繊維強化セメン
    ト板。
  7. 【請求項7】 ケナフ芯部を粉砕して得られるケナフパ
    ーティクルを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項
    6のいずれかに記載のケナフ繊維強化セメント板。
  8. 【請求項8】 水可溶成分を抽出したケナフ繊維を用い
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに
    記載のケナフ繊維強化セメント板。
  9. 【請求項9】 塩化物又は硫酸塩を含むことを特徴とす
    る請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のケナフ繊維
    強化セメント板。
  10. 【請求項10】 セメントが発泡させられていることを
    特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のケ
    ナフ繊維強化セメント板。
  11. 【請求項11】 平行に配列されたケナフ繊維を接着剤
    で接着した繊維層がセメント板の少なくとも一方の面に
    設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項1
    0のいずれかに記載のケナフ繊維強化セメント板。
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