JP2013027838A - 水素化処理触媒の再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】性能が高く、硫化処理時及び触媒使用時において触媒活性の低下の少ない良好な使用済みの水素化処理触媒の再生方法を提供する。
【解決手段】水素化処理触媒の再生方法では、第1工程にて使用済みの水素化処理触媒を酸素が存在する雰囲気中で焼成して焼成触媒を得た後、第2工程では焼成触媒をキレート剤と水分とを含むキレート剤含有水溶液に含浸させて含浸触媒を得る。第3工程では、含浸触媒について、下記(1)式で計算される前記キレート剤含有水溶液の含液量を50%以上の状態に保ちながら、80℃以上150℃以下で熟成させて、熟成触媒を得た後、第4工程では熟成触媒を、300℃以下で乾燥させて再生触媒を得る。
含液量[%]={(W2−W1)/W1}×100・・・(1)
但し、W1は、第3工程終了後の水素化処理触媒を500℃で乾燥させた後の触媒の質量であり、W2は、第3工程終了時の触媒の質量である。
【選択図】図2

Description

本発明は、使用済みの水素化処理触媒を再生し、活性を回復させる方法に関する。
石油精製プロセスでは、原料油中の硫黄や窒素などの不純物の除去を目的として、多種多量の水素化処理触媒が使用されている。その中で多くの製油所ではコストダウン及び廃棄物の削減を目的として、特に軽質油の水素化処理に使用された触媒の焼成処理による再生がなされており、今後、その需要は更に増加することが予測される。
また、近年、サルファーフリー軽油の生産においては、添加剤としてキレート剤などの有機物を用いた高性能な水素化処理触媒(以下、「キレート触媒」ともいう)が開発、市販されている。しかしながら、キレート触媒は、前記した焼成処理だけでは活性の回復が不十分であるという問題があった。
更に、触媒の再生を商業的に行うためには、再生した触媒(以下、単に「再生触媒」ともいう)の活性回復だけでなく、反応安定性が良好であること(すなわち、実際に使用される高温かつ高圧という雰囲気下で、再生触媒の触媒反応の性能低下が小さいこと)、再生処理工程の短縮や触媒の収率向上等の生産効率化、そして安定的かつ円滑な再生処理についても考慮する必要がある。
ここで、特許文献1には、使用済み触媒を焼成処理した触媒(以下、「焼成処理品」ともいう)に活性金属成分であるモリブデン及びニッケルのいずれか一方又は双方を含ませると共に、キレート剤を添加する触媒の再生方法が開示されている。特許文献1では、モリブデンを酸化物として0.5〜3質量%、ニッケルを酸化物として0.2〜3質量%を新たに担持させることにより水素化脱硫活性の回復を図っている。
特許文献2には、周期表第6A族、第8族金属(CAS表記。IUPAC表記ではそれぞれ第6族、第8族〜第10族である)及びリンを含む焼成処理品に、クエン酸やリンゴ酸などの有機物を[有機物]/[周期表第8族金属]のモル比が0.2〜1.2になるように添加し、更に、200℃以下で乾燥させる触媒の再生方法が開示されている。
特許文献3には、周期表第6族金属を含む触媒に酸化処理を施した後、第6族金属1molあたり0.2〜3.0molのクエン酸を含浸させ、更に乾燥させる触媒の再生方法が開示されている。
特許文献4には、酸化焼成処理した使用済み触媒にキレート剤を接触させた後、10〜60℃で10時間を超えて熟成し、更に乾燥させる触媒の再生方法が開示されている。特許文献4では、熟成の温度範囲が低いため、処理時間が非常に長くなり、生産性が低いという問題があった。
特許文献5には、第VIB族金属酸化物及び第VIII族金属酸化物(CAS表記。IUPAC表記ではそれぞれ第6族、第8族〜第10族である)を含む水素化処理触媒(新品又は焼成処理品)と、クエン酸やリンゴ酸などの酸並びに所定の水中溶解度を有する有機添加剤とを接触させ、引き続いて少なくとも50%の添加剤が触媒中に保持されるような条件下で乾燥する水素化処理触媒を再生する方法が開示されている。特許文献5においては、酸や有機添加剤の添加とその後の熟成段階とを設けることにより、水素化処理触媒に担持された活性金属の結晶質部分(crystalline fraction)を低減させ、水素化脱硫活性の向上を図っている。
特開2009−160498号公報 特開2008−290071号公報 特開2008−272646号公報 特表2007−518561号公報 特表2007−507334号公報
以上、これらの従来技術は、特に有機添加物の種類とその効果を謳ったものが多い。また、酸、有機物、及びキレート剤を接触された後の被再生触媒上の活性金属種とのキレート化などの添加反応については触れられておらず、再生触媒使用前の硫化処理時及び触媒使用時において活性金属の凝集や脱離からなる活性金属の変化は不確かな点があった。加えて、記載されている熟成条件は比較的長時間であり生産性が低い問題もあった。
本発明は、性能が高く、硫化処理時及び触媒使用時において触媒活性の低下の少ない良好な使用済みの水素化処理触媒の再生方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、使用済みの水素化処理触媒を酸素が存在する雰囲気中で焼成し、焼成触媒を得る第1工程と、前記焼成触媒をキレート剤と水分とを含むキレート剤含有水溶液に含浸させて、含浸触媒を得る第2工程と、前記含浸触媒について、下記(1)式で計算される前記キレート剤含有水溶液の含液量を50%以上の状態に保ちながら、80℃以上150℃以下で熟成させて、熟成触媒を得る第3工程と、前記熟成触媒を、300℃以下で乾燥させて、再生触媒を得る第4工程と、を含むことを特徴とする水素化処理触媒の再生方法である。
含液量[質量%]={(W2−W1)/W1}×100・・・(1)
但し、W1は、第3工程終了後の水素化処理触媒を500℃で乾燥させた後の触媒の質量であり、W2は、第3工程終了時の触媒の質量である。
第2の発明は、前記第3工程を、0.10〜0.51MPa(1〜5atm)の範囲で行うことを特徴とする。
第3の発明は、前記第2工程において、前記キレート剤含有水溶液に、周期表第6族、周期表第8族〜第10族(以上、IUPAC表記。以下同様)から選ばれる少なくとも1つ以上の活性金属成分を添加することを特徴とする。
第4の発明は、前記活性金属成分が周期表第8族〜第10族から選ばれ、その添加量が酸化物換算で前記再生触媒の1質量%以下であることを特徴とする。
本発明は、焼成して炭素分や硫黄分を低減した使用済みの水素化処理処理触媒にキレート剤含有水溶液を含浸させた後、この溶液の含液量を触媒質量の50%以上に保ちながら、80〜150℃で熟成するので、活性金属構造の再構成及び再分散、キレート剤と被再生触媒上の活性金属種とのキレート化が促進される。この結果、同じ添加剤を用いた従来の再生触媒よりもより短い熟成時間での処理が可能となる。更に、本発明の再生方法は、硫化処理時及び触媒使用時における触媒活性点の量的変化を抑えた安定性を高めることが出来る。
熟成温度を変化させたときのNO吸着量の変化を示したプロット図である。 熟成温度を変化させたときの相対脱硫活性の変化を示したプロット図である。 熟成時の圧力を変化させたときのNO吸着量の変化を示したプロット図である。 熟成時の圧力を変化させたときの相対脱硫活性の変化を示したプロット図である。
<水素化処理触媒>
本発明が適用される炭化水素油の水素化処理触媒は、高温高圧雰囲気下で、炭化水素油である軽質油や重質油と水素とを当該触媒の存在下で接触させることにより、脱硫や脱窒素、脱メタルや水素化分解などの反応を進行させる一般的な水素化処理触媒である。軽質油の例としてはナフサ、灯油、軽質軽油(Light Gas Oil、LGO)、重質軽油(Heavy Gas Oil、HGO)、減圧軽油(Vacuum Gas Oil、VGO)などが挙げられ、重質油の例としては常圧残油(Atmospheric Residue、AR)、減圧残油(Vacuum Residue、VR)などが挙げられる。
前記水素化処理触媒を構成する担体としては、無機酸化物から構成され、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ−アルミナ、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−ボリア、リン−アルミナ、シリカ−アルミナ−ボリア、リン−アルミナ−ボリア、リン−アルミナ−シリカ、シリカ−アルミナ−チタニア、シリカ−アルミナ−ジルコニアなどを例示することができる。
前記担体に担持される活性金属成分は、周期表の第6族及び第8族〜第10族(IUPAC表記。以下同様)から少なくとも1種類の活性金属成分が選ばれ、より好適には周期表第6族の少なくとも1種類及び周期表第8族〜第10族から少なくとも1種類の活性金属成分が選ばれる。周期表第6族の活性金属成分としてはモリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)などが挙げられ、周期表第8族〜第10族の活性金属成分としてはニッケル(Ni)、コバルト(Co)などが挙げられる。また、これらの活性金属成分に加え、リンやホウ素などの他の元素を適宜添加してもよい。選択される活性金属成分の種類やその担持量は、処理対象の炭化水素油の種類やプロセス条件などに応じて適宜設定される。
<水素化処理触媒の再生方法>
上述の水素化処理触媒を再生する方法について説明する。本方法は、炭化水素油の水素化処理に使用された後の使用済みの水素化処理触媒に適用され、具体例としては水素化処理装置から回収された水素化処理触媒などを挙げることができる。使用済み触媒の表面には、炭化水素油から析出したコークなどの炭素分や硫黄分、重質油に多く含まれるバナジウム(V)や鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などの金属不純物などが付着している。
[第1工程:焼成工程]
本工程では、使用済みの水素化処理触媒に残存している炭素分及び硫黄分を低減するために、酸素濃度が1〜30容量%、好ましくは10〜25容量%、更に好ましくは15〜21容量%の濃度の雰囲気中で焼成し、焼成触媒を得る。酸素を含有する雰囲気中で焼成を行うことにより、水素化処理触媒上に付着している炭素分や硫黄分が二酸化炭素や硫黄酸化物となって触媒表面から脱離し、これらの物質の付着量が低減される。焼成は、大気雰囲気中で行ってもよいし、大気に酸素を添加して酸素濃度を調整した雰囲気中で行ってもよい。また、窒素ガスなどの不活性ガスと酸素とを混合した焼成用混合気体中で焼成してもよい。ここで、酸素濃度が1容量%未満で焼成すると、不完全燃焼状態となり炭素分や硫黄分を十分に低減できない。また、酸素濃度が30容量%を超える範囲で焼成すると、シンタリングに伴う凝集や金属塩化に伴う変質など、活性金属種の不活性化の懸念が大きく、以後の処理での活性回復が見込めないことがあると共に、炉内の温度が高くなりすぎるなど焼成状態の調整が難しくなることがある。
焼成温度は、300℃以上、好ましくは320〜500℃、より好ましくは350℃を超え450℃以下の範囲にて行う場合が好適である。焼成時の圧力は大気圧下で行う場合が代表的であるが、これに限定されるものではなく3.0MPa以下の範囲で適宜設定することができる。焼成時間は、焼成前後に水素化処理触媒に付着している炭素分の量により、適宜変化するが、例えば60〜300分間、好ましくは120〜240分間程度の焼成が行われる。これらの焼成条件は、焼成後の水素化処理触媒に付着している炭素分が、当該炭素分を含む水素化処理触媒の全質量の3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下となり、また、硫黄分が同じく全質量の4質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下となるように設定される。
また、上述の焼成工程(第1工程)に先だって、窒素などの不活性ガス雰囲気中で水素化処理触媒を例えば例えば180〜220℃に加熱して、使用済みの触媒表面に付着している油分を除去する前処理を行ってもよい。
[第2工程:含浸工程]
本工程では、焼成触媒を、キレート剤と水分とを含むキレート剤含有水溶液に含浸させて、含浸触媒を得る。使用済みの水素化処理触媒では、担体に担持された活性金属が凝集し、また、単独金属酸化物又は金属塩等となって構造劣化した状態となっている。キレート剤は、活性金属と配位結合を形成し、活性金属を担体に高分散状態で担持させ、その状態を保持する役割を果たす。ここで、活性金属構造の再構成について説明すると、周期表第6族金属と周期表第8族〜第10族金属とを担持した水素化処理触媒では、硫化処理後の第6族金属の結晶性が高く、また、周期表第6族金属の近傍に周期表第8族〜第10族金属が存在する場合に高い活性を示す。しかし、炭化水素油の処理や第1工程の焼成などにおいては、周期表第6族金属の結晶性の低下や周期表第6族金属の近傍からの周期表第8族〜第10族金属の脱離等の構造劣化が生じて活性の低下を生じる。キレート剤が活性金属の複合金属錯体を構成することは、単に活性金属成分の分散を向上させるだけでなく、このような活性金属構造を再構成する役割も果たしている。
前記キレート剤としては、例えばグルコン酸やリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸などを挙げることができる。キレート剤は、処理対象の活性金属成分に配位させることが可能な十分量が添加される。後述の熟成温度や細孔への浸透のし易さなどを考慮すると、キレート剤は水を溶媒とする水溶液の状態で水素化処理触媒と接触させることが好ましい。キレート剤と水との混合比は、水溶液の粘度によっても変化するが、例えば液粘度目標として毛細管粘度計にて動粘度20mm/S(cSt)以下の範囲に調製される。
また、この水溶液中に周期表第6族の金属(モリブデン、タングステン、クロムなど)、周期表第8族〜第10族の金属(ニッケル、コバルトなど)の微粒子ゾルやこれらの活性金属の原料となる金属塩や金属錯塩などを添加してもよい。水素化処理触媒に担持される活性金属は、主に、水素化処理の主成分として機能する周期表第6族の金属と助触媒として機能する周期表第8族〜第10族の金属から成り立ち活性構造を形成する。このような触媒が使用され劣化すると、活性金属種の全部又は一部が僅かながらでも凝集や脱離などによって存在状態が変化する可能性がある。このような場合に、周期表第8族〜第10族の金属やその原料を添加することにより、これらの金属を水素化処理触媒上に新たに担持して、活性構造の構成を補っても良い。但し、新たに添加する活性金属の量が多くなりすぎると、新たに添加した活性金属それ自体での凝集が起こりやすくなる。この結果、本来の目的である活性金属の再分散、再構成を阻害してしまい、理想的な再分散状態や活性金属構造が得られなくなってしまう恐れもある。そこで、このように新たに添加する周期表第8族〜第10族の活性金属の添加量は、再生触媒の1質量%以下、より好適には0.5質量%以下であるとよい。
但し、キレート剤含有水溶液に添加される活性金属は、周期表第8族〜第10族の活性金属を助触媒として添加する場合に限られず、周期表第6族の活性金属や、周期表第6族と周期表第8族〜第10族との双方の活性金属を添加してもよいことは勿論である。そしてこの場合にも新たに添加する活性金属の濃度は、再生触媒の1質量%以下、より好適には0.5質量%以下とするとよい。
また、キレート剤含有水溶液には、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムなどの無機リン酸やグルコース、スクロース、マルトースなどの単糖類、二糖類、多糖類などの各種の添加剤を添加してもよい。
キレート剤含有水溶液を焼成後の水素化処理触媒と接触させる方法としては、吸着法やポアフィリング法、最小湿潤法や蒸発乾固法などの各種の含浸法が採用される。ここで、後段の熟成工程(第3工程)をキレート剤含有水溶液の飽和蒸気圧雰囲気下で行う場合、水素化処理触媒に含浸させるキレート剤含有水溶液の量は、後述する所定量のキレート剤含有水溶液が水素化処理触媒の表面に残存するように、当該所定量よりも多い量のキレート剤含有水溶液を含浸させておくことが好ましい。この含液量は、熟成工程を実行する容器の容積、容器内の温度や圧力条件下におけるキレート剤含有水溶液の蒸発量と、このとき水素化処理触媒に残存させるべきキレート剤含有水溶液の量との合計量などから決定することができる。
[第3工程:熟成工程]
本工程では、第2工程にて水素化処理触媒と接触させたキレート剤含有水溶液の含液量を、下記(1)式で計算される50%以上の状態に保ち、80℃以上150℃以下の温度条件下で熟成させる。
含液量[質量%]={(W2−W1)/W1}×100・・・(1)
但し、W1は、第3工程終了後の水素化処理触媒を500℃の温度条件下で乾燥させた後の触媒の質量であり、W2は、第3工程終了時の触媒の質量である。
本工程では、キレート剤含有水溶液を含浸させた水素化処理触媒を加熱し、その表面にキレート剤含有水溶液が残存している状態にて熟成を実行するので、例えばオートクレーブなどの加熱機構を備えた密閉容器内にて行われる。水素化処理触媒の表面にキレート剤が残存している状態にて熟成を行うことにより、処理対象の活性金属成分が再分散、再構成されるのに十分な時間を確保すると共に、加熱条件下にて熟成を行うことにより、加熱を行わない場合に比べて熟成時間を短くすることができる。
熟成時の温度が100℃を下回る場合にはよりキレート化反応が起こっても非常に緩慢で長い処理時間が要求され生産性が低下する可能性が高い(80℃では5〜8時間程度、95℃では3〜5時間程度)。反対に、熟成時の温度が150℃を超える場合は、キレート剤が分解又は変質する可能性が高く、熟成処理時に活性金属の凝集等が起こり、目的の構造を維持できなくなると共に、水分量の維持管理が難しくなる。熟成温度は、好ましくは95℃以上140℃以下、更に、好ましくは100℃以上130℃以下の範囲に設定するとよい。
熟成工程の期間中にキレート剤の作用によって活性金属成分が再分散、再構成されることにより、使用済みの水素化処理触媒の活性を回復させることができると共に、使用時の硫化処理及び触媒反応時における触媒の活性点の量的変化を抑えることができる。
上記の(1)式は、第3工程終了後の水素化処理触媒(乾燥基準)の質量(W1)に対する、熟成終了時に触媒中に存在しているキレート剤含有水溶液の質量(W2−W1)の比を示しており、この値が大きい程、熟成の期間中に水素化処理触媒の表面に残存するキレート剤含有水溶液の量が多いことを示している。(1)式で表される含液量が50質量%を下回ると、処理触媒中に存在するキレート剤の量が十分でなく、熟成時間を長くしても処理対象の活性金属を十分に再分散、再構成させることができない。一方で、含液量が95質量%を超えると、キレート剤と結合した活性金属がキレート剤含有水溶液中に流れ出してしまい、活性金属の再分散、活性金属構造の再構成を水素化処理触媒上で進行させることが困難になってしまう。このため、(1)式で表されるキレート剤含有水溶液の含液量は、50〜95質量%の範囲、好ましくは50〜85質量%の範囲、更に、好適には50〜75質量%の範囲に設定される。
この他、上記キレート剤含有水溶液の含液量を50質量%以上に維持する方法は、密閉された容器内をキレート剤含有水溶液の飽和蒸気圧雰囲気とする場合に限定されない。例えば加熱機構を有する開放容器に、液体の補給機構を設け、上記含液量が維持されるようにキレート剤含有水溶液や水分を供給するように構成してもよい。
更に、後述の実施例に示すように、0.10〜0.51MPa(1〜5atm)の常圧から加圧状態の圧力条件下にて熟成を行うことにより、使用前の硫化処理時及び触媒使用時における触媒の活性点の量的変化を更に抑えることができる。これは、熟成時の圧力を0.10〜0.51MPaの範囲に調節することにより、キレート剤と活性金属種とのキレート化が促進されると共に、活性金属の凝集体と高温、高圧雰囲気下の水分子とが接触することにより、該活性金属の凝集体が分散され、次に、各活性金属成分それぞれとキレート剤からなる複合金属錯体が形成されるのではないかと考えられる。この結果、活性金属の分散、再構成の状態が更に良くなり、活性金属の分散性が向上し、キレート化が促進されることによって活性点の変化が抑えられることになる。熟成時の圧力は、0.10〜0.51MPa(1〜5atm)の範囲、好ましくは0.12〜0.46MPa(1.2〜4.5atm)の範囲、より好適には0.15〜0.41MPa(1.5〜4atm)の範囲に設定される。
上述の温度、含液量、圧力条件の下にて、熟成は0.25〜8時間、好ましくは0.5〜5時間行われる。
こうして熟成が行われ、活性金属の再分散、金属構造の再構成が行われた水素化処理触媒は、密閉容器から取り出されて次の乾燥処理に供される。
[第4工程:乾燥工程]
本工程では、熟成工程終了後の水素化処理触媒を300℃以下で乾燥させる。
熟成触媒は、例えば水分含有量の少ない気体中で加熱することなどにより、担体の表面や細孔内など、熟成後の水素化媒触媒上に残存するキレート剤含有水溶液中の水分を蒸発させる乾燥処理が行われる。乾燥処理は、水素化処理触媒の表面に残存している水分を蒸発させるのに十分な条件下で乾燥が行われればよい。乾燥処理は、例えば室温から300℃以下、好ましくは室温から270℃以下、更に好ましくは室温から250℃以下の範囲内で水分を蒸発させるのに十分な時間行われる。また、乾燥処理が行われる雰囲気は、大気雰囲気など、含酸素雰囲気でもよいし、酸素ガスを含まない不活性ガス雰囲気でもよい。そして、乾燥処理を終えた水素化処理触媒上の活性金属成分は、キレート剤と配位結合した状態のまま担持されている場合もあるし、乾燥処理によりキレート剤が分解して金属の状態で担持されている場合もある。また、含酸素雰囲気中で乾燥した場合には、活性金属成分の一部が酸化していてもよい。
以上に説明した第1工程〜第4工程を経て再生された水素化処理触媒は、炭化水素油の水素化処理装置の反応塔などに充填され、担体上の活性金属成分を硫化する硫化処理などが行われる。
本実施の形態の水素化処理触媒の再生方法によれば以下の効果がある。第1工程にて炭素分や硫黄分を低減した使用済みの水素化処理処理触媒にキレート剤を含む溶液を接触させた後(第2工程)、この溶液の含液量を触媒質量の50%以上に保ち、80〜150℃の温度条件下で熟成する(第3工程)ので、活性金属構造の再構成及び再分散、キレート剤と被再生触媒上の活性金属種とのキレート化が促進される。この結果、同じ添加剤を用いた従来の再生触媒よりもより短い熟成時間での処理を可能とする他、使用前の硫化処理時及び触媒使用時において触媒の活性点の量的変化を抑えた安定性を高めることが出来る。
<実施例1:再生触媒A>
全触媒質量に対して、MoO換算のモリブデン含有量が21.3質量%、CoO換算のコバルト含有量が5.3質量%、炭素原子(C)換算の炭素分含有量が15.9質量%、硫黄原子(S)換算の硫黄分含有量が7.3質量%の使用済み触媒(各活性金属成分含有量は、炭素分及び硫黄分を除外した使用済み触媒の質量基準、炭素分及び硫黄分の含有量はこれらを含む使用済み触媒の質量基準で示してある)を、酸素濃度21容量%以下かつ500℃を超えない温度に制御した雰囲気下で焼成し、焼成後の水素化処理触媒(「焼成触媒」ともいう。以下同様)Aを得た。焼成触媒Aの炭素分含有量は0.5質量%、硫黄分含有量は0.5質量%であった(第1工程)。
100gの焼成触媒に、キレート剤含有水溶液として50%グルコン酸水溶液46.4g(グルコン酸/モリブデン=0.8/1[mol/mol])を加え細孔容積が飽和するまで含浸し、含浸後の水素化処理触媒(「含浸触媒」ともいう。以下同様)Aを得た(第2工程)。
含浸触媒Aを、温度110℃、圧力0.10MPa(1atm)の飽和水蒸気雰囲気にある密閉容器(オートクレーブ)内で2時間熟成し、熟成後の水素化処理触媒(「熟成触媒」ともいう。以下同様)Aを得た(第3工程)。
第3工程終了後に熟成触媒Aの一部を取り出し、その質量(W2)を測定したところ15.52gであり、これを500℃で乾燥させた触媒の質量(W1)は9.82gであった。ここで、(1)式より、熟成触媒Aにおけるグルコン酸水溶液の含液量は58質量%であった。
含液量[質量%]={(W2−W1)/W1}×100・・・(1)
次に約150℃の温度の空気中で約2時間の乾燥を行い(第4工程)、本発明の再生触媒Aを得た。
得られた再生触媒Aに対して、以下の安定性評価試験、水素化処理活性評価試験を行った(なお、以下の実施例についても同様に各試験を行った)。その結果を表1に示す(以下の実施例についても同様)。
[安定性評価試験]
60メッシュ以下に粉砕した再生触媒Aを約0.02g秤取り、これを石英製のセルに充填し、当該触媒を400℃に加熱して硫化水素5容量%/水素95容量%のガスを0.2L/minの流量で通流させて、硫化処理を行った。この硫化処理の時間を1時間、5時間と変化させて、処理時間の変化に伴う反応活性点の変化量を計測した。
各触媒の反応活性点の量は、反応活性点に一酸化窒素を吸着させてその吸着量を計測するNO吸着量測定法により計測した。NO吸着量測定には全自動触媒ガス吸着量測定装置(大倉理研製)を用い、前記条件にて硫化処理行った水素化処理触媒に、HeとNOの混合ガス(NO濃度10容量%)をパルスで導入し、水素化処理触媒1gあたりのNO分子吸着量を測定した。測定されたNO分子吸着量に基づき、下記(2)式に基づいてNO吸着量変化率[%]を算出した。この変化率が小さい程、実際に触媒が使用される高温高圧雰囲気下での触媒反応の性能低下が小さい、すなわち、安定性の高い水素化処理触媒であると評価できる。
NO吸着量変化率[%]={(A5−A1)/A1}×100・・・(2)
但し、A1は、400℃で1時間の硫化処理を行った水素化処理触媒におけるNO吸着量であり、A5は、400℃で5時間の硫化処理を行った水素化処理触媒におけるNO吸着量である。
[水素化処理活性評価試験]
評価対象の水素化処理触媒にて硫黄及び窒素化合物を含む芳香族炭化水素油を処理し、その水素化脱硫活性を評価した。触媒は粉砕後26〜60メッシュに篩分け、そこから0.25gを取り出して外径1/4インチのリアクター(SUS316)に充填した。しかる後、当該触媒を360℃に加熱して硫化水素5容量%/水素95%のガスを0.2L/minの流量で通流させて、6時間、硫化処理(予備硫化)を行った。
硫化処理後の水素化処理触媒に、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン(硫黄分として1000質量ppm相当量)/n−ブチルアミン(窒素分として質量20ppm)/テトラリン(30容量%)/n−ドデカン(約70容量%)を混合した混合油を、反応温度320℃に加熱した触媒層に水素ガスと共に通流させて水素化処理を行った。反応条件は、反応圧力4.0MPa、質量空間速度16h−1、水素/原料油比500Nm/mとした。
この水素化処理により得られた生成油中の硫黄分の含有量を紫外蛍光法(三菱化学、TS−100V)にて計測し、その減少量に基づいて水素化処理活性(脱硫活性)を算出した。水素化処理活性は、未使用触媒の脱硫活性との相対値として下記(3)式から算出した(以下、相対脱硫活性という)。この相対脱硫活性が90%以上であれば、実用上、使用可能な再生触媒と判断した。
再生触媒の相対脱硫活性(%)=(Dr/Df)×100・・・(3)
但し、Drは、再生した水素化処理触媒を用いて処理した混合油の硫黄分減少量であり、Dfは、未使用の水素化処理触媒を用いて処理した混合油の硫黄分減少量である。
<実施例2:再生触媒B>
熟成工程前の含浸触媒Aを室温雰囲気下で30分静置後、乾燥させた以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Bを得た。熟成触媒Bにおけるグルコン酸水溶液の含液量は50質量%であった。再生触媒Bの性状等を表1に示す。
<実施例3〜7:水素化処理触媒C〜G>
実施例3〜7は、熟成温度をそれぞれ80℃、90℃、100℃、120℃、140℃とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒C〜Gを得た。熟成触媒C〜Gにおけるグルコン酸水溶液の含液量はそれぞれ55質量%、58質量%、57質量%、55質量%、54質量%であった。再生触媒C〜Gの性状等を表1に示す。
<実施例8:再生触媒H>
熟成温度を80℃とし、熟成時間を8時間とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Hを得た。熟成触媒Hにおけるグルコン酸水溶液の含液量は60質量%であった。再生触媒Hの性状等を表1に示す。
<実施例9:水素化処理触媒I>
熟成温度を90℃とし、熟成時間を5時間とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Iを得った。熟成触媒Iにおけるグルコン酸水溶液の含液量は57質量%であった。再生触媒Iの性状等を表1に示す。
<実施例10〜16:再生触媒J〜P>
実施例10〜16は、熟成時の圧力条件をそれぞれ0.08MPa(0.8atm)、0.12MPa(1.2atm)、0.18MPa(1.8atm)、0.22MPa(2.2atm)、0.25MPa(2.5atm)、0.43MPa(4.2atm)、0.62MPa(6.1atm)とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒J〜Pを得た。熟成触媒J〜Pにおけるグルコン酸水溶液の含液量はそれぞれ53質量%、56質量%、55質量%、57質量%、54質量%、55質量%、58質量%であった。再生触媒J〜Pの性状等を表1に示す。
<実施例17:再生触媒Q>
熟成時の圧力条件を0.25MPa(2.5atm)とし、熟成時間を1時間とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Qを得た。熟成触媒Qにおけるグルコン酸水溶液の含液量は60質量%であった。再生触媒Qの性状等を表1に示す。
<実施例18:再生触媒R>
酸化コバルトに換算して、水素化処理触媒の質量の0.5質量%に相当する、61.1質量%の炭酸コバルト0.82gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Rを得た。熟成触媒Rにおけるグルコン酸水溶液の含液量は57質量%であった。再生触媒Rの性状等を表1に示す。
<実施例19:再生触媒S>
酸化コバルトに換算して、水素化処理触媒の質量の1.0質量%に相当する、61.1質量%の炭酸コバルト1.64gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Sを得た。熟成触媒Sにおけるグルコン酸水溶液の含液量は54質量%であった。再生触媒Sの性状等を表1に示す。
<実施例20:再生触媒T>
酸化コバルトに換算して、水素化処理触媒の質量の1.5質量%に相当する、61.1質量%の炭酸コバルト2.45gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Tを得た。熟成触媒Tにおけるグルコン酸水溶液の含液量は56質量%であった。再生触媒Tの性状等を表1に示す。
<実施例21:再生触媒U>
酸化ニッケルに換算して、水素化処理触媒の質量の0.5質量%に相当する、55.0質量%の酸化ニッケル0.91gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Uを得た。熟成触媒Uにおけるグルコン酸水溶液の含液量は58質量%であった。再生触媒Uの性状等を表1に示す。
<実施例22:再生触媒V>
酸化ニッケルに換算して、水素化処理触媒の質量の1.0質量%に相当する、55.0質量%の酸化ニッケル1.82gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Vを得た。熟成触媒Vにおけるグルコン酸水溶液の含液量は55質量%であった。再生触媒Vの性状等を表1に示す。
<実施例23:再生触媒W>
酸化ニッケルに換算して、水素化処理触媒の質量の1.5質量%に相当する、55.0質量%の酸化ニッケル2.74gをグルコン酸溶液に添加した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Wを得た。熟成触媒Wにおけるグルコン酸水溶液の含液量は54質量%であった。再生触媒Wの性状等を表1に示す。
<比較例1:再生触媒X>
グルコン酸水溶液を含浸させた水素化触媒を熟成させずに、直ちに乾燥を開始した点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Xを得た。再生触媒Xの性状等を表1に示す。
<比較例2:再生触媒Y>
熟成温度を60℃とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Yを得た。熟成触媒Yにおけるグルコン酸水溶液の含液量は58質量%であった。再生触媒Yの性状等を表1に示す。
<比較例3:再生触媒Z>
熟成温度を70℃とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒Zを得た。熟成触媒Zにおけるグルコン酸水溶液の含液量は59質量%であった。再生触媒Zの性状等を表1に示す。
<比較例4:再生触媒A1>
熟成温度を160℃とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒A1を得た。熟成触媒A1におけるグルコン酸水溶液の含液量は54質量%であった。再生触媒A1の性状等を表1に示す。
<比較例5:再生触媒A2>
熟成温度を60℃とし、熟成時間を8時間とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒A2を得た。熟成触媒A2におけるグルコン酸水溶液の含液量は51質量%であった。再生触媒A2の性状等を表1に示す。
<比較例6:再生触媒A3>
熟成温度を70℃とし、熟成時間を10時間とした点以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒A3を得た。熟成触媒A3におけるグルコン酸水溶液の含液量は50質量%であった。再生触媒A3の性状等を表1に示す。
<比較例7:再生触媒A4>
熟成工程前の含浸触媒を室温雰囲気下で60分静置の上乾燥させた以外は実施例1と同じ条件下にて再生処理を行い、再生触媒A4を得た。熟成触媒A4におけるグルコン酸水溶液の含液量を47質量%であった。再生触媒A4の性状等を表1に示す。
<参照例:未使用触媒>
1LビーカーにAl濃度換算で22質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液90.9gを入れ、イオン交換水を添加して400gとし、更にこの溶液に26質量%のグルコン酸ナトリウム溶液2.2gを加え、攪拌しながら60℃に加温し、Al濃度換算で5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を得た。別途、500mlの容器にAl濃度換算で7質量%の硫酸アルミニウム水溶液138.6gをいれ、60℃の温水を添加して、2.5質量%の硫酸アルミニウム水溶液400gを得た。
次に、前期アルミン酸ナトリウム水溶液中に、前期硫酸アルミニウム水溶液を一定速度(40ml/分)で添加し、10分でpHが7.1となるようにした。得られた懸濁スラリーを攪拌しながら60℃で1時間熟成した。懸濁スラリーはAl濃度換算で10質量%であった。
熟成後の懸濁スラリーを脱水し、60℃の温水1.5Lで洗浄して得たケーキ状スラリーを得た。次いで、このケーキ状スラリーにAl濃度換算で10質量%になるようにイオン交換水を添加し、これを攪拌しながら95℃で10時間熟成した。熟成終了後のスラリーをスチームジャケット付の双腕式ニーダーで練りながら加温し、所定の水分量(45質量%)まで濃縮した後、加熱を停止し、更に30分間捏和した。得られた捏和物を押し出し成型機で1.8mmの円柱状に成型した後、110℃で乾燥させた。乾燥したペレットを電気炉中で550℃の温度で3時間焼成し、多孔性無機酸化物であるγ―アルミナ担体を得た。該担体の表面積は195m/g及び細孔容積は0.80cm/gであった。
200mlビーカーにイオン交換水150ml、三酸化モリブデン[太陽鉱工(株)製:MoOとして99.9%]29.1gを加え、95℃で10時間攪拌した。次いで炭酸コバルト[(株)田中化学研究所製:CoOとして61.1%]11.8gを加え、95℃で5時間攪拌した。この混合物に50%グルコン酸水溶液[扶桑化学工業(株)製]46.8g[グルコン酸/コバルト=1.2/1(mol/mol)]を加えて同温で5時間攪拌した。得られた溶液を80mlまで濃縮し、含浸溶液を得た。
調製したアルミナ担体に上記含浸溶液をポアフィリング法によって含浸させた。続いて得られた担体と活性金属成分の原料との混合物を約150℃の温度の空気中で約2時間乾燥し、水素化処理触媒(未使用触媒)を得た。表1に未使用触媒の性状等を示す。
Figure 2013027838
各実施例の相対脱硫活性は90%を超える結果が得られており、実用上、十分に使用可能な再生結果が得られた。これに対して各比較例の相対脱硫活性は、実用上要求される90%を下回っている。
ここで、熟成時間、熟成圧力を一定(2時間、0.10MPa(1atm))とし、熟成熟成温度を変化させた実施例1、3〜7、比較例2〜3についての使用前の硫化処理時及び触媒使用時を想定した条件下における触媒の活性点の量的変化(NO吸着量変化率の絶対値)、脱硫活性(相対脱硫活性)の変化を各々図1、図2に示す。これらの図によれば、再生処理を行った水素化処理触媒のNOが吸着した活性点の量は、熟成温度に対して下に突の傾向線を描き、脱硫活性は上に突の傾向線を描くことが分かる。そして、熟成温度が100〜140℃の範囲では、相対脱硫活性が95%を超え、NO吸着量変化率の絶対値も10%を下回っており、高活性で安定な再生触媒であるといえる。
一方、実施例3、4は、熟成時間が2時間の場合には95%以上の相対脱硫活性こそ得られなかったが、実施例8,9に示すように、熟成時間を8時間、5時間に伸ばすことで、各例とも95%以上の相対脱硫活性が得られており、使用時の硫化処理及び反応時における触媒の活性点の量的変化も向上している。熟成時間が10時間以内で95%以上の相対的脱硫活性が得られれば、例えば特許文献4と比較しても十分に短時間で、再生触媒の使用時の硫化処理及び反応時における活性金属の凝集や脱離からなる活性金属の変化が少ない再生処理が行われていると評価できる。
また、比較例7によれば、熟成後に計測したグルコン酸水溶液の含液量が50質量%未満の値(48質量%)となっており、NO吸着量の変化率(絶対値)も10%を大きく上回り、相対脱硫活性も77%と低い。
次に、熟成熟成温度、熟成時間を一定(110℃、2時間)とし、熟成時の圧力を変化させた実施例1、10〜16についての使用前の硫化処理時及び触媒使用時を想定した条件下における触媒の活性点の量的変化(NO吸着量変化率の絶対値)、脱硫活性(相対脱硫活性)の変化を各々図3、図4に示す。これらの図によれば、再生処理を行った水素化処理触媒のNOが吸着した活性点の量は、熟成時の圧力に対して下に突の傾向線を描き、脱硫活性は上に突の傾向線を描くことが分かる。そして、熟成時の圧力が0.10〜0.43MPa(1〜4.2atm)の範囲では、相対脱硫活性が95%を超え、NO吸着量変化率の絶対値も10%を下回っており、高活性で安定な再生触媒であるといえる。
最後に活性金属成分としてコバルト原料を添加した実施例18〜20、ニッケル原料を添加した実施例21〜23では、いずれの活性金属成分においても、酸化物換算で0.5〜1.0質量%の範囲の活性金属成分を添加した場合には、NO吸着量変化率(絶対値)は10%を下回り、相対脱硫活性も95%を超えている。これに対して活性金属成分の添加量が1.5質量%になると、NO吸着量変化率(絶対値)、相対脱硫活性のいずれも急激に悪化した。
また、熟成後の含液量が50質量%となるように調製した実施例2の結果によれば、NO吸着量変化率(絶対値)は10%を下回り、相対脱硫活性は95%であった。これにより、熟成後の含液量が50質量%以上あれば、NO吸着量変化率(絶対値)や相対脱硫活性が目標値を満たす再生結果が得られることを確認できた。

Claims (4)

  1. 使用済みの水素化処理触媒を酸素が存在する雰囲気中で焼成し、焼成触媒を得る第1工程と、
    前記焼成触媒をキレート剤と水分とを含むキレート剤含有水溶液に含浸させて、含浸触媒を得る第2工程と、
    前記含浸触媒について、下記(1)式で計算される前記キレート剤含有水溶液の含液量を50%以上の状態に保ちながら、80℃以上150℃以下で熟成させて、熟成触媒を得る第3工程と、
    前記熟成触媒を、300℃以下で乾燥させて、再生触媒を得る第4工程と、を含むことを特徴とする水素化処理触媒の再生方法。
    含液量[%]={(W2−W1)/W1}×100・・・(1)
    但し、W1は、第3工程終了後の水素化処理触媒を500℃で乾燥させた後の触媒の質量であり、W2は、第3工程終了時の触媒の質量である。
  2. 前記第3工程を、0.10〜0.51MPaの範囲で行うことを特徴とする請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  3. 前記第2工程において、前記キレート剤含有水溶液に、周期表第6族、第8族〜第10族から選ばれる少なくとも1つ以上の活性金属成分を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  4. 前記活性金属成分が周期表第8族〜第10族から選ばれ、その添加量が酸化物換算で前記再生触媒の1質量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の水素化処理触媒の再生方法。
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