JP2004074148A - チタンを含有した担体、その製造方法、炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法 - Google Patents

チタンを含有した担体、その製造方法、炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた水素化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に均質かつ容易にチタンを担持させたチタン含有担体、その製造方法、それを利用した高活性かつ低コストで得られる水素化処理触媒、その触媒を用いた低硫黄分の炭化水素油を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び塩基性酸化物を含有してなる担体であって、チタンの含有量が耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に対して0.5〜30質量%(酸化物基準)、塩基性酸化物の含有量が0.1〜10質量%(酸化物基準)であることを特徴とするチタン含有担体、その担体に、周期表第6族、第8族〜第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させてなる炭化水素油の水素化処理触媒、並びにこの触媒を用いて炭化水素油を処理する水素化処理方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン含有担体、その製造方法、炭化水素油の水素化処理触媒及びそれを用いた炭化水素油の水素化処理方法であり、特に、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に均質かつ容易にチタンを担持させることができるチタン含有担体の製造方法及びそれにより得られるチタン含有担体、それを利用した高活性かつ低コストで得られる水素化処理触媒、その水素化処理触媒を用いた低硫黄分の炭化水素油を効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、炭化水素油の水素化処理には、耐火性無機酸化物を担体とし、これに元素周期表第6族、第8族〜第10族金属成分の群から選択される少なくとも一種の水素化活性金属成分を担持させることにより調製した触媒が用いられてきた。これらの耐火性無機酸化物としては、主成分としてアルミナが使用され、水素化活性金属成分としては、例えば、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケルなどが選択されている。
ところが、近年の環境規制の強化により、従来の水素化処理触媒では炭化水素油の水素化処理効率に対するニーズに答えられないことが明らかになってきた。そこで、水素化処理活性向上のため、さまざまな工夫が行われてきた。例えば、チタニア(酸化チタン)を活性金属の担体として用い、その特異な水素化活性及び水素化脱硫活性を利用したものなどである(例えば特許文献1参照)。ところが、酸化チタンは単独では成形性が悪く比表面積も小さいため、工業用の成型した触媒としては、活性・強度ともアルミナを担体とした通常の水素化処理触媒に及ばない。そこで、高比表面積の耐火性無機酸化物に酸化チタンを薄くコーティングすることにより、酸化チタンを高比表面積化し、特異な活性を引き出そうとする試みが行われてきている。
【0003】
酸化チタンを耐火性無機酸化物の成形体(担体)に担持する方法としては、チタンを含む溶液を担体が吸収する量に調整して担体に含浸させるポアフィリング法、大過剰の溶液に担体を浸漬する方法、さらにはCVD法などがある。しかしながらチタンの溶液を用いるこれらの方法には、以下のような共通の問題点があった。
チタン溶液としては、金属としてチタン(イオン)のみを含む水溶液や有機チタン化合物を有機溶媒に溶解した有機チタン化合物溶液が用いられる。
チタンのみを含む水溶液としては、一般的に硫酸チタン水溶液や四塩化チタン水溶液が知られている。しかしながら、これらの無機チタン水溶液は特異的に加水分解を起こしやすく、耐火性無機酸化物と接触した際に急激に加水分解反応が生じるため、チタンを耐火性無機酸化物上に均一に担持させることは困難であり、チタンの効果が顕著には発揮されない。含浸の条件を選ぶことにより、チタンを耐火性無機酸化物の成型体の中まで均一に担持することは可能であるが(例えば特許文献2参照)、四塩化チタンや硫酸チタンに含まれる塩素イオンや硫酸イオンは触媒活性に悪い影響を及ぼす可能性があり、さらに塩素イオンは工業装置にとって腐食の原因になることから、いずれも含まないことが好ましいため、工業規模で使用するには不適当である。
【0004】
一方、有機チタン化合物(アルコキシド化合物やアセチルアセトナート化合物など)は、塩素イオンや硫酸イオンを含まないので四塩化チタンや硫酸チタンより好ましいが、少量の水分でも容易に加水分解しやすいという欠点をもっている。有機チタン化合物を有機溶媒に溶解した溶液は、耐火性無機酸化物の含浸時又は浸漬時に、耐火性無機酸化物に含まれる微量水分と接触する際にチタンの水酸化物が析出するため、チタンは耐火性無機酸化物の外部に偏在してしまう。また、前記有機チタン化合物は高価であり、大量に必要とされる炭化水素油の水素化処理触媒への適用は経済上極めて困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−106061号公報
【特許文献2】
特開2002−001115号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、高活性で劣化の少ない水素化処理触媒に最適なチタン含有担体、それを利用した高活性かつ低コストで得られる水素化処理触媒、その水素化処理触媒を用いた低硫黄分の炭化水素油を効率的に製造する方法を提供することを目的とし、併せて耐火性無機酸化物に均質かつ容易にチタンを担持させることができるチタン含有担体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、チタンを耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に均質に担持させることに加え、水素化処理活性の劣化を抑えるためには、水素化処理用触媒担体の弱酸点と強酸点の関係が重要であり、担体として用いられる耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び塩基性酸化物を含有させることで、これらの酸量および酸強度を制御することができ、前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び塩基性酸化物を含有してなる担体であって、チタンの含有量が耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に対して0.5〜30質量%(酸化物基準)、塩基性酸化物の含有量が0.1〜10質量%(酸化物基準)であることを特徴とするチタン含有担体、
(2)410μmol/g以上の全酸量を有し、かつ、強酸量と弱酸量の比が0.5以下である上記(1)に記載のチタン含有担体、
(3)耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の強酸量に対して、110%以下の強酸量を有し、かつ耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の弱酸量に対して、75%以上の弱酸量を有する上記(1)又は(2)に記載のチタン含有担体、
(4)塩基性酸化物が周期表第1族、第2族及び第3族金属から選ばれる金属の酸化物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のチタン含有担体、
(5)塩基性酸化物が希土類金属の酸化物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のチタン含有担体、
(6)チタン源として水溶性チタン化合物を用いることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のチタン含有担体、
(7)前記水溶性チタン化合物が、ペルオキソチタン化合物、オキソチタン化合物及びヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(6)記載のチタン含有担体、
(8)前記希土類金属がセリウムを主成分とするランタン系希土類金属である上記(5)〜(7)のいずれかに記載のチタン含有担体、
(9)前記希土類金属がセリウム及び/又はイットリウムである上記(5)〜(7)のいずれかに記載のチタン含有担体、
(10)耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に、チタン及び前記塩基性酸化物を形成する金属を同時に担持させることを特徴とするチタン含有担体の製造方法、
(11)前記塩基性酸化物を形成する金属が希土類金属である上記(10)記載のチタン含有担体の製造方法、
(12)チタン源として水溶性チタン化合物を用いる上記(10)又は(11)に記載のチタン含有担体の製造方法、
(13)前記水溶性チタン化合物が、ペルオキソチタン化合物、オキソチタン化合物及びヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(12)記載のチタン含有担体の製造方法、
(14)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の担体に、周期表第6族、第8族、第9族及び第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させてなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒、
(15)上記(10)〜(13)のいずれかに記載の製造方法により得られた担体に、周期表第6族、第8族、第9族及び第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させてなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒、
(16)上記(14)又は(15)に記載の水素化処理触媒を用いて炭化水素油を処理することを特徴とする水素化処理方法、
(17)炭化水素油中の硫黄含有量を50質量ppm以下に低減させる上記(16)記載の炭化水素油の水素化処理方法、
(18)炭化水素油中の硫黄含有量を30質量ppm以下に低減させる上記(16)記載の炭化水素油の水素化処理方法、
(19)炭化水素油中の硫黄含有量を10質量ppm以下に低減させる上記(16)記載の炭化水素油の水素化処理方法、
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のチタン含有担体は、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び塩基性酸化物を含有してなる担体であって、チタンの含有量が耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に対して0.5〜30質量%(酸化物基準)、塩基性酸化物の含有量が0.1〜10質量%(酸化物基準)であることを特徴とする。
チタンの含有量が少なすぎると、チタン添加の効果が十分発揮されない場合があり、また含有量が多すぎると、担体上への偏積もしくは凝集が生じる場合があり、同様にチタン添加の効果が十分に得られないため好ましくない。以上の観点から、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に担持させるチタンの含有量は、酸化物(TiO)基準で1〜15質量%の範囲であることが好ましい。
また、塩基性酸化物の含有量が少なすぎると希土類金属の酸化物等の塩基性酸化物を添加する効果が十分発揮されない場合があり、また含有量が多すぎると、触媒体の酸性質が大きく変化し、かえって水素化処理活性の劣化を速めることになるため好ましくない。以上の観点から、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に担持させる塩基性酸化物の含有量は、酸化物基準で0.2〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0010】
また、本発明のチタン含有担体は、410μmol/g以上の全酸量を有し、かつ、強酸量と弱酸量の比が0.5以下であることが好ましく、さらに、チタン及び塩基性酸化物を担持させる前の耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の強酸量に対して、110%以下の強酸量を有し、かつ該耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の弱酸量に対して75%以上の弱酸量を有することが好ましい。
こうした全酸量を比較的多く有する担体の強酸量と弱酸量のバランスをとることにより、これらの担体を用いた水素化処理用触媒は高活性で劣化の少ないものとなる。以上のような効果の観点から、本発明の水素化処理用触媒担体の全酸量は420μmol/g以上であることが好ましく、また強酸量と弱酸量の比は0.45以下であることが好ましい。また強酸量及び弱酸量が、チタン及び塩基性酸化物を含有させる前の耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の強酸量に対して105%以下の強酸量を有し、かつ該耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の弱酸量に対して80%以上の弱酸量を有することがさらに好ましい。
ここで、酸量はアンモニア微分吸着熱測定(DHA;Differential Heat of Adsorption)により得られる値であり、80〜140kJ/molの値を示すものを弱酸、140〜200kJ/molの値を示すものを強酸と定義する。尚、強酸量と弱酸量の和を全酸量という。アンモニア微分吸着熱測定は、触媒上の酸点にアンモニアを吸着させた際の吸着熱量によって酸点の強度を評価し、またアンモニアの吸着量から酸量を求める手法である。吸着熱量は熱量計で測定し、吸着量はアンモニアガスの圧力変化から測定する。
【0011】
前記耐火性無機酸化物としては、特に制限はないが、本発明の目的から、アルミナ、シリカ、マグネシア、酸化亜鉛、結晶性アルミノシリケート、粘土鉱物及びそれらの混合物などが好適に使用される。これらの中でも、アルミナ、特にγ−アルミナが好適である。その平均細孔径は水素化処理を行う炭化水素油の大きさによって適宜選択されるが、通常5〜30nmの範囲、さらには5〜15nmの範囲、特には8〜15nmの範囲のものが好ましい。形状については特に限定されないが、粉体、円柱、三つ葉、四つ葉などの成形体が好適に使用される。
【0012】
前記活性炭としては、やし殻活性炭など天然物を原料にしたものから、PAN(ポリアクリロニトリル)系繊維、セルロース系繊維、フェノール樹脂、ピッチを原料とした繊維状の活性炭等種々のものが使用できる。形状は粉末状、粒状、繊維状等のものがあり、必要に応じ適宜選択される。比表面積としては、50〜200m/gの範囲であることが好ましい。
一般に活性炭は非極性分子を選択的に吸着する傾向があり、チタン化合物の含浸担持を行う場合には、チタンが高分散されにくい。そこで、本発明においては、表面にCOOH基、OH基等のイオン交換点の多い活性炭を選択することが好ましく、及び/又は表面処理することが好ましい。表面処理の方法として、具体的には300〜1000℃の高温で処理する方法、硝酸,濃硫酸,過酸化水素等で酸化処理する方法等によって、COOH基、OH基を活性炭の表面に形成する手法等をとることができる。
【0013】
耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に含有させるチタン源としては、水溶性チタン化合物を用いて得られるものが好ましい。
水溶性チタン化合物としては、加水分解しにくいものが好ましく、例えば、ペルオキソチタン化合物、オキソチタン化合物及びヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物の中から選ばれる少なくとも1種が使用される。これらの水溶性チタン化合物の水溶液は、程度の差はあるものの概ね広い範囲のpH領域(2〜12)で安定であるためチタンを耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に高分散に均一に容易に担持することができる。またこの水溶性チタン化合物の水溶液は、チタン以外の金属や、塩素イオン、硫酸イオンのように焼成しても除去困難でかつ触媒の表面状態に悪影響を及ぼす可能性のある物質を実質的に含まないため、安全確実に工業的用途に適用可能である。また、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に高分散にチタンを担持することにより、チタンと活性金属との相互作用が強くなるため、活性金属の高活性な状態が少量のチタンにより形成でき、コスト的にも安価な触媒の製造が可能となる。
【0014】
以下、水溶性チタン化合物の具体例について説明する。
(1)ペルオキソチタン化合物
ペルオキソチタン化合物とは、一般式Ax[Ti(O)yBz](Aはカチオン、Bはヒドロキシカルボン酸)で表される水溶性チタン化合物であり、特開2002−1115号公報又は特開2000−159786号公報などに開示された公知の製造方法により得られる。上記一般式において、通常、x,y,zは各々1〜4である。炭化水素油の水素化処理触媒用に使用するには、チタン以外の金属を含まない塩としてカチオンAがアンモニウムイオンであるものが好ましい。ヒドロキシカルボン酸Bとしては、さまざまなものを用いることができるが、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸などが好ましい。
【0015】
(2)オキソチタン化合物
オキソチタン化合物とは、一般式Ax[Ti(O)y(B)z](Aはカチオン、Bはヒドロキシカルボン酸)で表わされる水溶性チタン化合物であり、オキソチタン化合物又は含水オキソチタン化合物、及び水以外のものを不純物としたとき、その不純物の含有量がTiO基準で、100質量%以下であるオキソチタン化合物又は含水オキソチタン化合物が好ましく用いられ、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。後述するオキソチタン化合物及びその水溶液の製造方法によれば、5質量%以下、さらには2質量%以下のものも製造可能である。オキソチタン化合物を触媒調製原料として用いる場合、不純物が多すぎると不要な物質により汚染されるため、チタンが希釈され、チタンの存在による効果が著しく低下してしまうからである。具体的な不純物としては、硫酸イオンや塩素イオンが挙げられ、これらは、その存在により安全性が低下し、腐食性が増すという欠点がある。通常、xは0.5〜4、y及びzは0.2〜2である。
【0016】
このオキソチタン化合物及びその水溶液は、以下に示す方法により、効率よく製造することができる。すなわち、チタン原料に、アルカリ化合物と過酸化水素を加えてチタンを溶解し、次いでヒドロキシカルボン酸を加える方法である。さらに詳しくは、アルカリ化合物と過酸化水素の存在下、pH7.0〜14.0の範囲で、チタン水酸化物及び/又はチタン含水酸化物を水に溶解させると共に、チタンイオンをヒドロキシカルボン酸により安定化させることにより、実質上塩素イオン又は硫酸イオンを含まないオキソチタン化合物水溶液を得る方法である。
オキソチタン化合物及びその水溶液のチタン原料としては、チタン以外の金属、及び塩素イオン、硫酸イオンなどのアニオンを実質上含まないチタン水酸化物やチタン含水酸化物、さらにはチタン金属も使用することができる。この場合、溶解の容易さから、粉末状であることが好ましい。
【0017】
ここで、チタン水酸化物は、オルトチタン酸(TiO・nHO、n=2程度)の化学名で示される化合物であって、一般的に知られている方法、すなわち、四塩化チタン又は硫酸チタニルの水溶液を室温でアルカリ中和と充分な洗浄によって、得られるゲル状のもの、あるいは乾燥したもので、含水率が2.0質量%以上のもの、さらに好ましくは含水率が5.0質量%以上のものである。そして実質上塩素イオン,硫酸イオン,硝酸イオン等のアニオンが検出されないものが好適に使用される。なお、「実質上塩素イオン等のアニオンが検出されない」とは、アニオン含有量がTiO2 基準で100質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下のことをいう。
【0018】
一方、チタン含水酸化物は、メタチタン酸(TiO・nHO、n=1程度)の化学名で示される化合物であって、硫酸法酸化チタン製造工程か実質的に同等の工程において硫酸チタン溶液を熱加水分解後、水又はアンモニア水などで充分に洗浄して得られるゲル状のものをそのまま、もしくは乾燥したものであって、含水率が2.0質量%以上のもの、さらに好ましくは含水率が5.0質量%以上のものである。そして硫酸イオン含有量がTiO基準で5質量%以下、好ましくは2質量%以下のものが好適に使用される。チタン含水酸化物中の硫酸イオン含有量が5質量%以下であると、チタンを耐火性酸化物に担持した際に実質上硫酸イオンフリーとみなすことができる。
【0019】
チタン水酸化物及びチタン含水酸化物はスラリーのまま使用しても良いが、乾燥したものも用いることができる。乾燥条件の制限は特になく、一般的な条件、すなわち、常圧下又は減圧下で、150℃以下の温度で乾燥されるのが好ましい。TiO含有率は、550℃で焼成し水分を除去した後に秤量し求める。
なお、チタン水酸化物及びチタン含水酸化物の間には化学種としての差異はなく、生成した微粒子の凝集度の相違があるにすぎないと一般に考えられており、上記のn値は目安値にすぎない。
【0020】
オキソチタン化合物及びその水溶液の製造方法は以下の通りである。
まず、上記のチタン水酸化物やチタン含水酸化物、チタン金属等のチタン原料を水媒体に分散させて、スラリー状とする。次いで、このチタン水酸化物及び/又はチタン含水酸化物を含むスラリーをアルカリ化合物と過酸化水素の存在下、pH7.0〜14.0、好ましくはpH8.0〜13.0の範囲に保持する。これにより、大部分のチタン原料が溶解する。pHは主にアルカリ化合物の添加量で調整する。pHが低すぎるとチタン原料の溶解が進行せず、pHが高すぎると溶解したチタンイオンの重合が起こりやすくなる。
チタンを溶解する際の温度は特に限定されないが、通常水溶液を処理する温度5〜80℃、好ましくは10〜70℃の範囲が適当である。温度が低すぎるとチタン原料の溶解が進行しにくい。また温度が高すぎると過酸化水素の分解反応(酸素放出)が起こり添加した過酸化水素が無駄になるのみならず、圧力上昇により溶解槽が破裂するおそれがある。
【0021】
オキソチタン化合物中にはチタン以外の金属が含まれないことが好ましいため、アルカリ化合物としては通常アンモニア(水)を使用する。アルカリ化合物及び過酸化水素の添加量については、TiO2 1モルに対し、アルカリ化合物が1.5〜20モル程度、過酸化水素が1.0〜20モル程度になるように添加する。これらの添加量が少なすぎるとチタン原料が溶解しにくくなり、また、過剰に添加しても溶解反応の向上効果はあまり認められない。アルカリ化合物と過酸化水素水の添加順序は特に限定されるものではなく、pHを上記の範囲内に設定すればどのように添加してもかまわない。
また、必要に応じて希釈水を添加してもよい。ここでいう希釈水とは、水として添加するもののみならず、チタン原料、アンモニア水、過酸化水素のおのおのに含まれる水分も含まれるものとする。この希釈水の添加量としては、TiO相当として1重量部のチタン原料に対し、通常10〜100重量部、好ましくは15〜70重量部が適当である。
【0022】
次に、このようにしてチタン原料を溶解させた後にヒドロキシカルボン酸を添加する。ヒドロキシカルボン酸としては、一分子内にカルボキシル基を2個以上、水酸基を1個以上もち、水に溶けやすいものが好ましく、特に、炭素数が12個以下、さらには炭素数が8個以下のヒドロキシカルボン酸が好ましい。炭素数が多すぎると水に溶解しにくく、一方、炭素数が少なすぎると、オキソチタン化合物を水溶液にした場合、その安定化に寄与しにくくなる。具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが好適に使用される。ヒドロキシカルボン酸の添加量はTiO2 1モルに対し、通常0.2〜2.0モル程度である。少なすぎると、チタン水溶液の安定性が損なわれるおそれがあり、多すぎてもチタン含有水溶液の安定性に寄与しないのみならず、粘度が増加して含浸液の取扱いが困難になる。このヒドロキシカルボン酸は、結晶(粒、粉)のままでも、あるいは水溶液の形で添加してもよい。ヒドロキシカルボン酸の添加温度は特に限定されるものではないが、通常50℃以下の条件で行われ、好ましくは0〜40℃以下である。温度が高いと残留過酸化水素の分解が急激に起こるため好ましくない。
【0023】
チタン原料の溶解、ヒドロキシカルボン酸の添加後、10〜95℃の温度で、0.5〜48時間攪拌しながら温度を保持することにより残留過酸化水素の除去を行う。以上の操作で、透明で、かつ安定なオキソチタン化合物の水溶液を得ることができる。このようにして調製したオキソチタン水溶液は、チタン含浸用の水溶液として、必要に応じて、過酸化水素の除去工程に準じる条件で常圧下又は減圧下で濃縮するか、あるいは任意の濃度に希釈することができる。
【0024】
(3)ヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物
ヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物とは、一般式[Ti(OH)x(B)y](Bはヒドロキシカルボン酸)で表される水溶性チタン化合物であり、例えば特開2000−256376号公報に開示された公知の製造方法により得られる。炭化水素油の水素化処理触媒の用途としては、チタン以外の金属を含まないものが好適に使用される。なお、ヒドロキシカルボン酸の一部又は全部がアンモニウムイオンで置換されたものも同様に好適に使用される。ヒドロキシカルボン酸としては、同一分子内に水酸基とカルボキシル基をもつ化合物であれば特に制限はない。炭素数についても特に制限はないが、ヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物の安定性、水溶液に対する溶解度から適宜選択され、例えば、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸、グリセリック酸、タートロニック酸、メソ酒石酸、グルコン酸、マンナリック酸などが好適に使用される。なお、ヒドロキシカルボン酸は単独で使用しても2種類以上のヒドロキシカルボン酸を使用してもよい。
【0025】
このヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物は、粉末状であれば水に溶かし水溶液として耐火性無機酸化物及び/又は活性炭への含浸液として使用し、水溶液であった場合にはそのまま使用すればよい。なお、特開2000−351787号公報に開示されているように、アンモニア、有機アミン、尿素の添加により水溶液のpHを2〜8に保つことにより水溶液の安定性を向上させたものも耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の含浸液として使用できる。本発明ではチタンを耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に担持させた後、熱処理操作を行うので、かかるアンモニア、有機アミン、尿素は実質的に含まれていないとみなしうるからである。
ヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物の中では、工業規模で製造されているジヒドロキシビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩が入手性、溶液の安定性の観点から、好適に使用される。
【0026】
チタンを耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に高分散に担持させるために、界面活性剤を添加することが好ましく、特に活性炭を使用する場合にその効果が高い。界面活性剤としては、非イオン系,アニオン系,カチオン系及び両性界面活性剤を使用することができるが、焼成により容易に除去し得るとの観点から、非イオン系界面活性剤が好ましく、具体的にはポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、分子量90〜20000の範囲であるものが好ましく、またポリプロピレングリコールとしては、分子量100〜10000の範囲であるものが好ましい。
ポリエチレングリコール系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル等が挙げられる。該ラウリル基は、ノニルフェニル基又はオクチルフェニル基であってもよく、ポリオキシエチレン鎖の長さは、その分子量が90〜20000のとなる長さであることが好ましい。
これらの界面活性剤の添加量は、酸化チタン(TiO)1gに対して、0.01mg〜1gの範囲であることが好ましい。界面活性剤の添加量が0.01mg未満であると添加効果が発揮されない場合があり、1gを超えると粘度が上昇しチタンが担体の細孔内に浸透しにくくなる場合がある。
【0027】
次に、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に含有させる塩基性酸化物とは、酸と作用して塩をつくり、水と反応して塩基性水溶液を与え、酸素との反応により酸化物となる化合物をいい、本発明においては、周期表の第1族、第2族及び第3族から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物であることが好ましい。
より具体的には、アルカリ金属としてナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムが、希土類金属として、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムなどが挙げられる。これらのうち希土類金属、特にイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、プロメチウム及びサマリウムが好ましく、なかでもセリウムを主成分とするランタン系希土類金属が好ましく、最も好ましくはイットリウムおよびセリウムである。これらの金属は1種又は2種以上を混合して使用することができ、特にランタノイドに属する元素は性質が互いに類似するため、その混合物は好適に使用し得る。
【0028】
上記、塩基性酸化物の添加方法としては、前記したアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属等の化合物を溶解した水溶液を使用することが好ましい。用いる化合物としては水溶液を構成し得るものであれば特に限定されず、例えば、有機酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、酸化物、水酸化物等を用いることができる。これらのうち取り扱いやすさ等の観点から有機酸塩又は硝酸塩が特に好ましい。
尚、本発明で使用する水溶性チタン化合物の水溶液は広いpH領域で安定であるため、上記塩基性酸化物を形成する金属は上記化合物の中から適宜選択し溶解性と安定性がよいもの(沈殿が生じないもの)を選ぶことにより、チタンと希土類金属の両方を含有する含浸液を得ることができる。一般的には、有機酸塩、硝酸塩が特に好適に使用される。
【0029】
次に、本発明のチタン含有担体の製造方法について説明する。
チタン含有担体の製造方法としては、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に、チタンを担持させる前、後、又は同時に希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属を担持させる方法がある。いずれの方法においても、チタンと希土類等の塩基性酸化物を構成する金属が担体中の同じ場所に担持されるため、両者の効果が相乗して顕著に発現されると考えられるが、操作の容易性から耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に、チタン及び塩基性酸化物を構成する金属を同時に担持させる方法が特に好適である。
チタンと同時に希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属を耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に担持するには、水溶性チタン化合物の水溶液に希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属の化合物を溶解した混合水溶液を使用する。具体的には、先に水溶性チタン化合物の水溶液を調製し、その水溶液に希土類金属化合物等の塩基性酸化物を構成する金属化合物を溶解し、得られた溶液に耐火性無機酸化物及び/又は活性炭を浸漬等して、水溶性チタン化合物及び塩基性酸化物を構成する金属に接触させる。
【0030】
水溶性チタン化合物及び希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属を耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に担持させる方法については、特に制限はなく、水溶性チタン化合物及び希土類金属化合物等の塩基性酸化物を構成する金属の水溶液を耐火性無機酸化物及び/又は活性炭が吸水する量に調整して含浸させるポアフィリング法(含浸法)、大過剰の水溶性チタン化合物及び希土類金属化合物等の塩基性酸化物を構成する金属の水溶液に耐火性無機酸化物及び/又は活性炭を浸漬する方法などの一般的な手法で、常圧又は減圧下で行なうことができる。なお、本発明で使用する水溶性チタン化合物の水溶液はpH2〜12の範囲で安定であり、アンモニア水や有機酸などによりpHを調整することができる。一般的には表面水酸基の状態を考慮して、例えば、アルミナに担持する場合はpH5〜7、シリカに担持する場合はpH3〜5程度で担持すると好ましい。
【0031】
水溶性チタン化合物及び希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属の含浸後は、乾燥、焼成などの一般的な手法で処理することにより、希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属を含有するチタン含有担体を得ることができる。乾燥は、通常、常圧又は減圧で、好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜250℃、さらに好ましくは100〜120℃の温度で、0.5〜100時間程度行う。なお、減圧下で乾燥する場合、乾燥速度の調整のため温度を下げることが一般的に行われる。さらに耐火性無機酸化物及び/又は活性炭とチタン及び希土類金属等の塩基性酸化物を構成する金属との結合性を高めるために、必要により焼成を実施する。焼成温度は、通常300〜650℃、好ましくは450〜600℃で、焼成時間は、通常0.5〜100時間程度である。
【0032】
このようにして得られた本発明のチタン含有担体は、チタンが耐火性無機酸化物及び/又は活性炭からなる担体に薄く均質に担持されるため、チタンの効果を少ない量で発揮することができる。特に炭化水素油の水素化処理触媒に担体として用いた場合、活性の高い触媒を得ることができる。
本発明のチタン含有担体は、チタンをなんらかの形で必要とする様々な触媒用途に用いることができる。すなわち、ナフサ、ガソリン、灯油、軽質軽油、重質軽油、分解軽油等の留出油、常圧残油、減圧残油、脱瀝減圧残油、アスファルテン油、タールサンド油等の残渣油等の石油留分を、水素化(脱オレフィン、脱芳香族)水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱酸素、水素化脱金属、水素化脱ろう、水素化脱瀝及び水素化分解する担体として用いることができる。
【0033】
次に、本発明の炭化水素油の水素化処理触媒について説明する。
本発明の炭化水素油の水素化処理触媒は、前述のようにして得られたチタン含有担体に、周期表第6族、第8族、第9族及び第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも一種の金属を担持させることにより、調製することができる。
この触媒の活性金属種は、周期表第6族金属としてモリブデン、タングステンなどが使用されるが、特にモリブデンが好適に使用される。モリブデン化合物としては、三酸化モリブデン、パラモリブデン酸アンモニウムなどが好適である。タングステン化合物としては、三酸化タングステン、タングステン酸アンモニウムなどが好適である。
【0034】
第8〜10族金属としては、通常コバルトまたはニッケルが好適に使用される。コバルト化合物としては、炭酸コバルトや硝酸コバルトなどが好ましく、ニッケル化合物としては、炭酸ニッケルや硝酸ニッケルなどが好ましい。
さらに、リン化合物を担持させることができ、このリン化合物としては、五酸化リン、正リン酸などが使用される。
上記の活性金属化合物は、通常含浸法により担持される。上記の第6族及び第8〜10族金属ならびにリン化合物は別々に含浸してもよいが、同時に行なうのが効率的である。通常は、含浸液中の第6族金属、第8族金属〜第10族金属及びリンの含有量は、目標とする担持量から計算で求める。これらの金属を脱イオン水に溶解させた後、その含浸液の液量を、用いるチタン含有担体の吸水量に等しくなるように調整した後、含浸させる。含浸時のpHは含浸液の安定性を考慮し、一般には酸性領域では1〜4、好ましくは1.5〜3.5であり、アルカリ領域では9〜12、好ましくは10〜11である。pHの調整は、有機酸やアンモニアなどを用いて行なうことができる。
【0035】
また、特にリン化合物で安定化させた含浸液には、上述したチタンを高分散化するために用いる界面活性剤を添加することができ、その中でも分子量が90〜10000のポリエチレングリコールなどの水溶性有機化合物を添加することが特に好ましい。添加量は、担体に対して、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%の範囲がよい。
上記含浸の後に、通常熱処理を行う。逐次的に含浸を実施する場合は、含浸の度に熱処理を行うことも可能であるし、複数の含浸を行った後、最後に熱処理を行うこともできる。熱処理は空気中で、通常550℃以下、好ましくは300℃以下、さらには70〜300℃の範囲、特には80〜150℃の範囲で行うことが好ましい。また、熱処理時間としては2〜48時間程度、さらに好ましくは3〜16時間程度行うことが好ましい。
【0036】
上述のようにして調製された本発明の触媒は、炭化水素油の水素化処理触媒として好適に用いられるが、軽質油の水素化処理触媒として使用される場合と、重質油の水素化処理触媒として使用される場合では、水素化処理の目的の相違から担体の物性及び担持金属の含有量等の最適範囲が異なる。
軽質油の水素化処理の目的は、水素化脱硫、水素化(脱オレフィン、脱アロマ)、脱窒素等であり、特に軽油留分中の硫黄含有量を50ppm以下まで低減する水素化脱硫反応においては、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンのような難脱硫硫黄化合物を脱硫しなければ硫黄含有量を50ppm以下にすることは困難である。そのため、反応初期から反応温度を高くする必要があるため、従来の触媒では触媒寿命が著しく短くなる。従って、従来の触媒より活性点の数を多くすることが必要であり、そのためには本発明における触媒の好ましい物性は以下のようになる。
まず、上記した周期表第6族金属の担持量は触媒全量に対して、酸化物基準で4〜40質量%の範囲であることが好ましく、特には8〜35質量%の範囲が好ましい。次に周期表第8〜10族金属の担持量は、酸化物基準で1〜12質量%の範囲であることが好ましく、特には2〜10質量%の範囲が好ましい。これらの水素化金属がこの範囲内であると水素化脱硫活性が高くなる。
また、上述したリンの担持量は触媒全量に対して、酸化物基準で0.5〜8質量%の範囲であることが好ましく、さらには1〜6質量%の範囲が好ましい。
【0037】
軽質油の水素化処理触媒として使用される場合の耐火性無機酸化物としては、アルミナが最も好ましい。また触媒担体の細孔径としては、8〜25nmの範囲であることが好ましく、さらには10〜22nmの範囲が好ましい。比表面積は80〜300m/gの範囲であることが好ましく、さらには100〜250m/gの範囲が好ましい。細孔容積は0. 4〜1.0ミリリットル/gの範囲が好ましく、さらには0.5〜0.9ミリリットル/gの範囲が好ましい。
【0038】
本発明に係る触媒を常圧残油や減圧残油等の重質油を原料として低硫黄重油を生産する水素化触媒として使用する場合の好適な物性等について以下に説明する。
通常、前記重質油の水素化処理等の用途においては、重油直接脱硫装置が用いられるが、使用によって触媒の脱硫性能が低下するため、触媒寿命は1年以内と短く、短い周期で脱硫装置を停止し、触媒を交換する必要がある。また、灯軽油等の脱硫と異なり運転初期から高い温度を必要とし、さらに触媒活性が低下していくために、一定の活性を維持するため反応温度を徐々に上げていく必要がある。特に重質油にはバナジウム、ニッケル等の金属分が含まれ、反応中に触媒に堆積して水素化処理活性を被毒するため、触媒の劣化が著しい。
また、重質油の水素化処理に本触媒を適用する場合には、重質油を構成する炭化水素分子が軽質油に比較して大きいこと、触媒の寿命を伸ばすためには反応塔の上流側に水素化脱金属触媒を用い、下流側に水素化処理(主に水素化脱硫)触媒を用いた触媒システムが好適に採用されるということが重要である。
このような重質油の水素化処理という用途にも本発明の触媒は有効であり、重質油の水素化脱金属触媒として使用する場合の好ましい物性等は以下のようになる。すなわち、周期表第6族金属の担持量は触媒全量に対して、酸化物基準で2〜15質量%の範囲であることが好ましく、特には4〜12質量%の範囲が好ましい。次に周期表第8〜10族金属の担持量は、酸化物基準で1〜4質量%の範囲であることが好ましく、特には1.5〜3.5質量%の範囲が好ましい。これらの水素化金属がこの範囲内であると水素化脱金属活性が高くなる。
【0039】
重質油の水素化脱金属触媒として使用される場合の耐火性無機酸化物としては、アルミナが最も好ましい。また触媒担体の細孔径としては、10〜30nmの範囲であることが好ましく、さらには12〜25nmの範囲が好ましい。比表面積は80〜250m/gの範囲であることが好ましく、さらには100〜200m/gの範囲が好ましい。細孔容積は0. 4〜1.0ミリリットル/gの範囲が好ましく、さらには0.5〜0.9ミリリットル/gの範囲が好ましい。
【0040】
次に重質油の水素化処理(主に脱硫)触媒として使用する場合の好ましい態様は以下のようになる。すなわち、周期表第6族金属の担持量は触媒全量に対して、酸化物基準で4〜25質量%の範囲であることが好ましく、特には8〜20質量%の範囲が好ましい。次に周期表第8〜10族金属の担持量は、酸化物基準で1〜8質量%の範囲であることが好ましく、特には2〜5質量%の範囲が好ましい。これらの水素化金属がこの範囲内であると水素化脱硫活性が高くなる。また、リンの担持量としては、触媒全量に対して、酸化物基準で0.5〜5質量%の範囲であることが好ましく、さらには1〜4質量%の範囲であることが好ましい。
【0041】
重質油の水素化処理(主に脱硫)触媒として使用される場合の耐火性無機酸化物としては、アルミナが最も好ましい。また触媒担体の細孔径としては、8〜25nmの範囲であることが好ましい。8nm未満であると原料油中のバナジウム、ニッケル等の金属の堆積及びコーク前駆体の堆積により、短時間で細孔が閉塞し、脱硫活性が低下する場合がある。一方25nmを超えると、運転初期において、脱硫活性が低くなる場合がある。以上の観点から触媒担体の細孔径はさらには10〜22nmの範囲であることが好ましい。比表面積は100〜250m/gの範囲であることが好ましい。比表面積が100m/g未満であると、触媒の脱硫活性が低くなる場合があり、一方、比表面積が250m/gを超えても脱硫活性は飽和し、有効ではない。以上の観点から比表面積は120〜230m/gの範囲であることが好ましい。
【0042】
次に、本発明の炭化水素油の水素化処理方法について説明する。
本発明の炭化水素油の水素化処理方法は、前記した本発明の水素化処理触媒を用いて炭化水素油を処理する方法である。
本発明の触媒を用いて処理する炭化水素油として、全ての石油留分を用いることができるが、具体的には、灯油、軽質軽油、重質軽油、分解軽油等から常圧残油、減圧残油、脱蝋減圧残油、アスファルテン油、タールサンド油まで広く挙げることができる。特に、軽質軽油留分の超深脱領域(硫黄分50ppm以下、さらには10質量ppm以下)のための水素化処理触媒として有用である。
さらに、石油留分を混合して原料油とすることも可能である。特に、主な原料油と同等か、より軽質な原料油を混合することが、触媒の劣化を抑制しつつ、処理原料油の範囲を拡大する観点から好適に採用される。例えば、軽質軽油留分の水素化脱硫処理に関しては、流動接触分解装置から得られる同沸点範囲の分解軽油留分を0〜40容量%混合することができる。また、重質油の水素化処理(水素化脱金属、水素化脱硫等)に関しても同様に、該分解軽油、重質分解軽油や重質軽油等を0〜40容量%混合することができる。
【0043】
前記石油留分をそのままあるいは石油留分を混合した原料油を水素化処理する場合の条件としては、通常の水素化処理と同様であればよく、例えば反応温度250〜400℃、反応圧力2〜10MPa、水素/原料油比50〜500Nm/キロリットル、液空間速度(LHSV)0.2〜5.0hr−1で処理することができる。
本発明の水素化処理方法は、沸点が140〜400℃である炭化水素油を水素化処理することにより、硫黄含有量が50質量ppm以下、好ましくは30質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下の炭化水素油を製造するのに好ましく用いられる。
また、上記低硫黄炭化水素油を製造する際に、本発明の水素化処理用触媒を用い、触媒反応圧力と水素原料油比をさらに上げることにより、低硫黄炭化水素油中の芳香族分を低減することもできる。例えば、反応温度250〜400℃、反応圧力4〜20MPa、水素/原料油比200〜1000Nm/キロリットル、液空間速度(LHSV)0.2〜5.0hr−1で処理することにより、二環以上の芳香族分を5容量%以下に、一環芳香族分を15容量%以下に容易に低減することができる。さらに、上記の反応条件を適切に選択することにより、二環以上の芳香族分を1容量%以下に、一環芳香族分を5容量%以下に低減することができる。
【0044】
また、本発明の水素化処理触媒を用いて水素化処理を行う際には、予め安定化処理として予備硫化を行うことが好ましい。この予備硫化処理の条件は特に限定されないが、通常、予備硫化剤として、硫化水素、二硫化炭素に加えて、チオフェン、ジメチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジアルキルペンタサルファイド、ジブチルポリサルファイド等の分解温度が300℃以下(好ましくは250℃以下)の有機硫黄化合物及びそれらの混合物を挙げることができる。さらには、原料油による予備硫化も可能である。この場合、触媒中の水素化処理金属を還元することなく十分に硫化させるために、硫黄分濃度が0.3質量%以上(好ましくは0.5質量%以上)の原料油を予備硫化剤として使用することが好ましい。ただし、水素化処理を行う原料油よりも重質な留分の混合はコーキング等の触媒劣化を招くため好ましくない。
重質油(常圧残油、減圧残油等)の水素化処理触媒のための予備硫化については、前記硫化剤の使用に加えて、軽質軽油、重質軽油の順に予備硫化を行った後に、最後に原料油で予備硫化を行うことも好適に行われる。
【0045】
なお、本発明を重質油の水素化処理(水素化脱金属、水素化脱硫等)に適用する場合は、反応温度200〜550℃(好ましくは220〜500℃)、水素分圧5〜30MPa(好ましくは10〜25MPa)の範囲で行う。反応形式は特に限定されないが、通常は、固定床、移動床、沸騰床、懸濁床等の種々のプロセスから選択できるが、特に固定床が好ましい。固定床の場合の温度、圧力以外の反応条件としては、液空間速度(LHSV)は0.05〜10hr−1(好ましくは0.1〜5hr−1)、水素/原料油比は500〜2500Nm/キロリットル(好ましくは700〜2000Nm/キロリットル)である。
【0046】
【実施例】
次に、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1(ペルオキソチタン化合物溶液の調製)
四塩化チタン500g及び脱イオン水1リットルを、それぞれ氷水の冷却槽で冷却した。この脱イオン水を攪拌しておき、そこに冷却しながら徐々に四塩化チタンを滴下して、無色のチタニアゾル塩酸溶液を得た。このチタニアゾル溶液に、1.2倍当量のアンモニア水(濃度:1モル/リットル)を滴下し、1時間攪拌し、水酸化チタンのゲルを得た。そのゲルを吸引濾過で分別し、約1リットルの脱イオン水に再分散させ濾過洗浄した。この操作を洗浄液が中性になるまで4〜5回繰り返し、塩素根を取り除いた。得られた水酸化チタンゲルを、TiOとして11g重量分採取した。それに25質量%アンモニア水を50ミリリットル添加、攪拌し、さらに30質量%過酸化水素水100ミリリットルを徐々に添加し、チタニアゲルを溶解させ、ペルオキソチタン溶液を得た。そこへ、クエン酸第一水和物29gを徐々に添加して、攪拌しつつゆっくりと昇温し50℃にて余剰の過酸化水素水を除去した。さらに、80℃にて溶液を全量が117ミリリットルになるまで濃縮し黄橙色透明なチタンペルオキソクエン酸アンモニウム液(A1)を得た。
【0047】
実施例2(オキソチタン化合物溶液の調製)
500℃で4時間焼成することにより得られたチタン酸化物(TiO)の割合が85質量%であるチタン含水酸化物粉末12.7gと70gの純水を内容積1リットルのガラス製ビーカーに入れ、攪拌しスラリー化した。次に、35質量%過酸化水素水78.7gと26質量%のアンモニア水26.5gを混合した水溶液を該含水酸化チタンスラリーに添加した。その後、25℃を維持したまま3時間攪拌し黄緑色で透明なチタン含有水溶液を得た。そこへ、クエン酸第一水和物28.4gを添加した。その後、30℃以下の温度で6時間保持した後、80〜95℃で  12時間保持することにより、pH6.2で透明なオキソチタン化合物の水溶液(A2)120gを得た。
得られた水溶液(A2)を30℃の条件で2時間減圧乾燥することにより粉末化し、オキソチタン化合物の元素分析を行い、次の元素分析値(水分を除く)を得た。
C(24.2質量%),H(4.1質量%),N(10.0質量%),O(45.4質量%),Ti(16.3質量%)
また、IR分光法により、アンモニウム、COO−、Ti=Oの存在も確認され、元素分析結果と併せて、Ti 1当量に対し、アンモニウムは2当量,クエン酸基は1当量存在することがわかった。その結果、この粉末は、(NH[Ti(O)(クエン酸基)] であることが分かった。
【0048】
実施例3(チタン含有担体の製造)
実施例1で調製したチタンペルオキソクエン酸アンモニウム水溶液(A1)57ミリリットルに、酢酸セリウム−水和物((CHCOO)Ce・HO)を1.0g添加し、脱イオン水で希釈し80ミリリットルとして全量を溶解した。次に、この水溶液を細孔容積0.8ミリリットル/gで円筒状のγ−アルミナ(B0)100gに常圧下にて含浸(ポアフィリング法)した。70℃で1時間減圧にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し、セリウム酸化物(CeO)0.5質量%添加チタニア(TiO)5質量%担持アルミナ担体(B1)を得た。得られた担体B1及びB1のベースとなるγ−アルミナ(B0)のアンモニア微分吸着熱測定を行った。結果を第1表に示す。
尚、アンモニア微分吸着熱測定は、16〜32メッシュに成形した上記担体を0.5〜1.0g採取し、400℃で10時間以上真空排気を行った後に、150℃の一定温度でアンモニアガスを導入して行った。
【0049】
実施例4(チタン含有担体の製造)
実施例2で調製したオキソチタン化合物水溶液(A2)59gに、酢酸セリウム−水和物((CHCOO)Ce・HO)を1.0g添加し、脱イオン水で希釈し80ミリリットルとして全量を溶解した。次に、この水溶液をγ−アルミナ(B0)100gに常圧下にて含浸(ポアフィリング法)した。70℃で1時間減圧にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し、セリウム酸化物(CeO)0.5質量%添加チタニア(TiO)5質量%担持アルミナ担体(B2)を得た。得られた担体B2のアンモニア微分吸着熱測定を実施例3と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0050】
実施例5(チタン含有担体の製造)
市販のジヒドロキシビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩(Ti(OCH(CH)COOH)(OCH(CH)COONH)(OH)の水溶液37gに、酢酸セリウム−水和物((CHCOO)Ce・HO)を1.0g添加し、脱イオン水で希釈し80ミリリットルとして全量を溶解した。次に、この水溶液をγ−アルミナ(B0)100gに常圧下で含浸(ポアフィリング法)した。70℃で1時間減圧にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し、セリウム酸化物(CeO)0.5質量%添加チタニア(TiO)5質量%担持アルミナ担体(B3)を得た。得られた担体B3のアンモニア微分吸着熱測定を実施例3と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0051】
実施例6(チタン含有担体の製造)
実施例2で調製したオキソチタン化合物水溶液(A2)59グラムに、硝酸イットリウム−n水和物(Y(NO・nHO)を3.0g添加し、脱イオン水で希釈し80ミリリットルとして全量を溶解した。次に、この水溶液を細孔容積0.8ミリリットル/gで円筒状のγ−アルミナ(B0)100gに常圧下にて含浸(ポアフィリング法)した。70℃で1時間減圧にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し、イットリウム酸化物(Y)0.5質量%添加チタニア(TiO)5質量%担持アルミナ担体(B4)を得た。得られた担体B4のアンモニア微分吸着熱測定を実施例3と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0052】
比較例1(チタン含有担体(希土類金属非含有)の製造)
実施例1で調製したチタンペルオキソクエン酸アンモニウム水溶液(A1)56ミリリットルを脱イオン水で希釈し80ミリリットルとし、γ−アルミナ(B0)100gに常圧下にて含浸(ポアフィリング法)した。70℃で1時間減圧にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し、チタニア(TiO)5質量%担持アルミナ担体(B5)を得た。得られたチタニア担持アルミナ担体(B5)(成形体)の円柱断面の直径方向のEPMA(エレクトロン・プローブ・マイクロアナリシス)分析を行ったところ、チタンが均一に担持されていることが分かった。
【0053】
実施例7(水素化処理触媒の製造)
炭酸ニッケル50g、三酸化モリブデン97g、正リン酸25g(純度80質量%)に脱イオン水を250ミリリットル加え、攪拌しながら80℃で溶解し、室温にて冷却後、脱イオン水にて250ミリリットルに希釈し、含浸液(S)を調製した。
含浸液(S)を50ミリリットル採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、実施例3で得られた担体(B1)100gの吸水量に見合うように脱イオン水にて希釈し、常圧にて担体(B1)に含浸させ、70℃で1時間減圧にて乾燥した後、120℃で16時間乾燥し、水素化処理触媒(C1)を製造した。
得られた水素化処理触媒(C1)(成形体)の円柱断面の直径方向のEPMA分析を行い、その結果を図1に示す。図1から、水素化処理触媒(C1)は外部から内部まで均質にチタンとセリウムが分布していることがわかった。
【0054】
実施例8(水素化処理触媒の製造)
実施例7で調製した含浸液(S)を50ミリリットル採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、実施例4で得られた担体(B2)100gの吸水量に見合うように脱イオン水にて希釈し、常圧にて担体(B2)に含浸させ、70℃で1時間減圧にて乾燥した後、120℃で16時間乾燥し、水素化処理触媒(C2)を製造した。
得られた水素化処理触媒(C2)(成形体)の円柱断面の直径方向のEPMA分析を行い、その結果を図2に示す。図2から、水素化処理触媒(C2)は外部から内部まで均質にチタンとセリウムが分布していることがわかった。
【0055】
実施例9(水素化処理触媒の製造)
実施例7で調製した含浸液(S)を50ミリリットル採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、実施例5で得られた担体(B3)100gの吸水量に見合うように脱イオン水にて希釈し、常圧にて担体(B3)に含浸させ、70℃で1時間減圧にて乾燥した後、120℃で16時間乾燥し、水素化処理触媒(C3)を製造した。
得られた水素化処理触媒(C3)(成形体)の円柱断面の直径方向のEPMA分析を行い、その結果を図3に示す。図3から、水素化処理触媒(C3)は外部から内部まで均質にチタンとセリウムが分布していることがわかった。
【0056】
実施例10(水素化処理触媒の製造)
実施例7で調製した含浸液(S)を50ミリリットル採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、実施例6で得られた担体(B4)100gの吸水量に見合うように脱イオン水にて希釈し、常圧にて担体(B4)に含浸させ、70℃で1時間減圧にて乾燥した後、120℃で16時間乾燥し、水素化処理触媒(C4)を製造した。
【0057】
比較例2(水素化処理触媒の製造)
実施例7で調製した含浸液(S)を50ミリリットル採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、比較例1で得られた担体(B5)100gの吸水量に見合うように脱イオン水にて希釈し、常圧にて担体(B5)に含浸させ、70℃で1時間減圧にて乾燥した後、120℃で16時間乾燥し、水素化処理触媒(C5)を製造した。
【0058】
実施例11〜14及び比較例3(軽油の水素化処理)
固定床流通式の反応管に、それぞれ実施例7〜10及び比較例2で製造した水素化処理触媒(C1)、(C2)、(C3)、(C4)及び(C5)を100ミリリットル充填した。原料油は水素ガスとともに反応管の下段から導入するアップフロー形式で流通させて反応性を評価した。
前処理として第2表に示す性状の原料油「中東系直留軽油(LGO)」を水素ガスとともに流通させて予備硫化した。予備硫化後、上記の原料油「中東系直留軽油(LGO)」を水素ガスと共に流通させて水素化脱硫反応を行った。反応温度は320℃〜360℃、水素分圧4.9MPa、水素/原料油比250Nm/キロリットル、LHSV=2.0hr−1の条件で実施した。
硫黄分40質量ppm、8質量ppmを実現するための反応温度を第3表に示す。
【0059】
実施例15,16及び比較例4(軽油の水素化処理)
固定床流通式の反応管に、それぞれ実施例8、10及び比較例2で製造した水素化処理触媒(C2)、(C4)及び(C5)を100ミリリットル充填した。原料油は水素ガスとともに反応管の下段から導入するアップフロー形式で流通させて反応性を評価した。
前処理として第2表に示す性状の原料油「中東系直留軽油(LGO)」を水素ガスとともに流通させて予備硫化した。予備硫化後、第4表に示す原料油「中東系直留軽油(LGO)」に切り替えて、水素ガスと共に流通させて水素化脱硫反応を行った。反応温度は320℃〜360℃、水素分圧4.9MPa、水素/原料油比250Nm/キロリットル、LHSV=1.0hr−1の条件で実施した。
生成油の硫黄分10質量ppmを保持し、1ヶ月間運転した後、さらに30日間運転を行ったときの反応温度の上昇(℃/30日)で触媒の劣化速度を評価した。結果を第5表に示す。
【0060】
実施例17,18及び比較例5(軽油の水素化処理)
反応温度を342℃、水素分圧6.0MPa、水素/原料油比500Nm/キロリットル、LHSV=1.0hr−1の条件とした以外は、実施例15,16及び比較例4と同様に軽油の水素化処理を行い、生成油中の芳香族含有量及び硫黄含有量を測定した。結果を第6表に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004074148
【0062】
【表2】
Figure 2004074148
【0063】
【表3】
Figure 2004074148
*1 担体B0の強酸量を基準としたときの各担体の強酸量の相対値
*2 担体B0の弱酸量を基準としたときの各担体の弱酸量の相対値
【0064】
【表4】
Figure 2004074148
【0065】
【表5】
Figure 2004074148
【0066】
【表6】
Figure 2004074148
【0067】
第3表に示したように、本発明の水素化処理触媒を用いた実施例11〜14は、比較例3に対し、いずれも低い反応温度にて硫黄分40質量ppm、8質量ppmを実現することができ、水素化処理触媒が高活性であり、低コストで効率的に低硫黄分の軽油を製造できる。
また、本発明の水素化処理触媒を用いた実施例15及び16は、比較例4に対し、いずれも触媒の劣化速度が小さく、触媒寿命が長いことが確認された。
【0068】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に薄く均質に、かつ容易にチタンを担持させることができ、得られたチタン含有担体は、チタンが薄く均質に担持されるため、チタンの効果が少ない量で発揮できるとともに、希土類金属等の塩基性酸化物の添加により固体酸性質が制御されるため、水素化処理活性の低下が少ない(高活性、長寿命の)水素化処理触媒を提供できる。また、この触媒を用いることにより低硫黄分の炭化水素油を低コストで効率的に製造することができ、特に、該触媒を軽油の超深度脱硫処理(硫黄分50質量ppm以下、さらには10質量ppm以下)に使用した場合、著しい活性向上と長寿命が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例7で得られた水素化処理触媒(C1)のEPMA分析結果を示すチャートである。
【図2】実施例8で得られた水素化処理触媒(C2)のEPMA分析結果を示すチャートである。
【図3】実施例9で得られた水素化処理触媒(C3)のEPMA分析結果を示すチャートである。

Claims (19)

  1. 耐火性無機酸化物及び/又は活性炭にチタン及び塩基性酸化物を含有してなる担体であって、チタンの含有量が耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に対して0.5〜30質量%(酸化物基準)、塩基性酸化物の含有量が0.1〜10質量%(酸化物基準)であることを特徴とするチタン含有担体。
  2. 410μmol/g以上の全酸量を有し、かつ、強酸量と弱酸量の比が0.5以下である請求項1記載のチタン含有担体。
  3. 耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の強酸量に対して、110%以下の強酸量を有し、かつ耐火性無機酸化物及び/又は活性炭の弱酸量に対して、75%以上の弱酸量を有する請求項1又は2に記載のチタン含有担体。
  4. 塩基性酸化物が周期表第1族、第2族及び第3族金属から選ばれる金属の酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載のチタン含有担体。
  5. 塩基性酸化物が希土類金属の酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載のチタン含有担体。
  6. チタン源として水溶性チタン化合物を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のチタン含有担体。
  7. 前記水溶性チタン化合物が、ペルオキソチタン化合物、オキソチタン化合物及びヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載のチタン含有担体。
  8. 前記希土類金属がセリウムを主成分とするランタン系希土類金属である請求項5〜7のいずれかに記載のチタン含有担体。
  9. 前記希土類金属がセリウム及び/又はイットリウムである請求項5〜7のいずれかに記載のチタン含有担体。
  10. 耐火性無機酸化物及び/又は活性炭に、チタン及び前記塩基性酸化物を形成する金属を同時に担持させることを特徴とするチタン含有担体の製造方法。
  11. 前記塩基性酸化物を形成する金属が希土類金属である請求項10記載のチタン含有担体の製造方法。
  12. チタン源として水溶性チタン化合物を用いる請求項10又は11に記載のチタン含有担体の製造方法。
  13. 前記水溶性チタン化合物が、ペルオキソチタン化合物、オキソチタン化合物及びヒドロキシ(ヒドロキシカルボキシラト)チタン化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項12記載のチタン含有担体の製造方法。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の担体に、周期表第6族、第8族、第9族及び第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させてなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒。
  15. 請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法により得られた担体に、周期表第6族、第8族、第9族及び第10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を担持させてなることを特徴とする炭化水素油の水素化処理触媒。
  16. 請求項14又は15に記載の水素化処理触媒を用いて炭化水素油を処理することを特徴とする水素化処理方法。
  17. 炭化水素油中の硫黄含有量を50質量ppm以下に低減させる請求項16記載の炭化水素油の水素化処理方法。
  18. 炭化水素油中の硫黄含有量を30質量ppm以下に低減させる請求項16記載の炭化水素油の水素化処理方法。
  19. 炭化水素油中の硫黄含有量を10質量ppm以下に低減させる請求項16記載の炭化水素油の水素化処理方法。
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