JP4916044B2 - 炭化水素油の水素化処理触媒及び炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素油の水素化処理触媒及び炭化水素油の水素化処理方法に関し、特に灯軽油留分をはじめとする炭化水素油などの水素化脱硫用触媒として有効な水素化処理触媒及び炭化水素油の水素化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球規模で環境破壊が極めて深刻な問題となっている。特に、石油類や石炭等の化石燃料の燃焼に伴って発生する窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を大気中に放出すると、これらが酸性雨や酸性霧となって森林や湖沼等の環境を著しく破壊する。なかでも、SOxが深刻であり、発生後の後処理によってある程度低減できるが、燃料油中の硫黄分を効率よく除去することも重要である。以上のように環境保護の観点から、軽油の硫黄分の品質規制が強化される中、脱硫のより一層優れた活性を有する水素化処理触媒の開発が望まれている。
【0003】
従来より、軽油の水素化脱硫触媒としては、アルミナ等の耐火性無機酸化物担体にコバルトとモリブデンを担持した触媒が用いられている。その脱硫活性は活性金属であるモリブデンの状態に非常に左右されることが知られており、モリブデンの担持状態を改善するため、アルミナ以外の担体や、アルミナと他の酸化物を複合した担体が検討されている。その中でチタニア成分が脱硫活性を向上させることは知られており、チタンをアルミナに担持する方法、アルミナとチタニアを共沈させる方法がある。
【0004】
チタンをアルミナへ担持する方法については、▲1▼四塩化チタン水溶液を用いて含浸する方法、▲2▼チタニウムイソプロポキシドのイソプロパノール溶液を用いて含浸する方法(Applied Catalysis,63(1990)305−317)、および▲3▼飽和四塩化チタンをガス状に誘導し熱によりアルミナへ化学蒸着させる方法(特開平6−106061号公報)などが検討されている。
【0005】
上記のチタンをアルミナに担持する方法、アルミナとチタニアを共沈させる方法いずれの場合でも、活性金属である周期律表第6族及び周期律表第8〜10族の金属を担持した後、触媒体を500℃程度の高温で焼成する過程を含んでおり、チタニア上の活性金属の凝集を引き起こす場合があり、触媒活性の低下につながるという問題がある。
【0006】
さらに、▲2▼のケースでは、アルコールを使用するため、プロセスの中でアルコール回収工程が必要となり経済的に不利となる。また、▲3▼のケースでは、通常の溶液を用いた含浸法と異なり、ガスとして原料を送り込み、担体を一定の温度に制御したところへ分解担持させるという方法で、温度管理、設備面の管理等、複雑かつ製造設備面で困難が生じると考えられる。さらに、担体上に塩素が担持されてしまうため、該耐火性無機酸化物担体を高温かつ還元雰囲気で使用すると塩化水素が発生し装置腐食を引き起こす等の問題もある。
一方、アルミナとチタニアを共沈させる方法については、チタニアの添加量を15質量%以上と大量でないとチタニアの効果は十分発揮されず経済的に不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、脱硫活性が一層改良された水素化処理触媒及びその触媒を使用する炭化水素油の水素化処理方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、水溶性の周期律表第4族金属化合物を含む溶液を耐火性無機酸化物に含浸し担持した担体に、周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種含む水溶液を含浸し担持した後、300℃以下で熱処理することにより上記本発明の目的を効果的に達成しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.水溶性の周期律表第4族金属化合物を含む溶液を耐火性無機酸化物に含浸し担持した担体に、三酸化モリブデン及び三酸化タングステンから選ばれる少なくとも一種、炭酸ニッケル及び炭酸コバルトから選ばれる少なくとも一種、並びにリン化合物として五酸化リン及び/又は正リン酸を含み、さらに水溶性有機化合物としてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルから選ばれる少なくとも一種を含む水溶液を含浸し担持した後、乾燥後、担持成分の凝集を生じさせず触媒の活性金属を担体に安定化させるために80〜150℃で熱処理する炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
2.水溶性有機化合物がポリエチレングリコールである前記1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
3.前記1又は2に記載の製造方法により得られた炭化水素油の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本願発明は、水溶性の周期律表第4族金属化合物を含む溶液を耐火性無機酸化物に含浸し担持した担体に、周期律表第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種含む水溶液を含浸し担持した後、300℃以下で熱処理してなる炭化水素油の水素化処理触媒である。
【0011】
本発明において、耐火性無機酸化物として、アルミナ,シリカ,シリカ・アルミナ,マグネシア,酸化亜鉛,結晶性アルミノシリケート,粘土鉱物又はそれらの混合物が使用される。中でも、アルミナ、特にγ−アルミナが好ましい。その平均細孔径は50〜150Åの範囲のものが好ましく、60〜140Åの範囲のものがより好ましい。形状については、粉体でもよく、円柱,三つ葉,四つ葉等の成形体でもよい。
【0012】
次に、耐火性無機酸化物に担持される周期律表第4族の金属としてチタン、ジルコニウムを挙げることができ、中でもチタンが好ましい。
水溶性の周期律表第4族金属の化合物として、硫酸チタン,塩化チタン,過酸化チタン、シュウ酸チタン,酢酸チタン,オキシ塩化ジルコニウム,硫酸ジルコニウム等の水溶性チタン、水溶性ジルコニウムを好適に挙げることができる。
【0013】
水溶性の周期律第4族金属化合物の担持については、溶液を担体が吸水する量に調整して含浸する、所謂ポアフィリング法、または大過剰の溶液に浸漬する方法も用いることができ、常圧又は減圧で行うことができる。
【0014】
その場合、含浸溶液としては、水または塩酸水溶液、硫酸水溶液などにより金属化合物を溶解させ、安定にしたものを使用すればよい。
また、特にチタンの場合、水溶性のチタン化合物として、チタンペルオキソヒドロキシカルボン酸やそのアンモニウム塩を使用するとチタンの添加の効果が大きく好ましい。そのヒドロキシカルボン酸として、クエン酸,リンゴ酸,乳酸,酒石酸を用いることができる。
【0015】
上記周期律表第4族金属の担持量は、酸化物基準で、耐火性無機酸化物担体に対して、好ましくは0.5〜30質量%(より好ましくは1〜15質量%)である。担持量が少なすぎると、その金属添加の効果が十分発揮されない場合があり、担持量が多すぎると、担持する金属溶液が高濃度となって不安定となり、該金属の担体上への偏積もしくは凝集が生じる場合があり好ましくない。
【0016】
周期律表第4族金属化合物の含浸終了後、水分を除去するために、常圧または減圧で、好ましくは50〜150℃(より好ましくは100〜120℃)の温度で、0.5〜100時間乾燥させる。さらに、アルミナ担体との結合性を高めるために、必要により焼成を実施する。焼成温度は、好ましくは400〜650℃(さらに好ましくは450〜600℃)で、焼成時間は、通常0.5〜100時間である。
【0017】
また、陰イオンとして硫酸根や塩素根を含む場合、その陰イオンを5質量%以下にすることが、続いて担持する活性金属の分散性の低下による触媒の活性低下を抑制するために望ましい。そのためには、焼成の際空気の他に水蒸気を同伴させたり、乾燥の前又は焼成後に、水、又はアンモニアや炭酸アンモニアを添加した水で洗浄すればよい。なお、焼成後に洗浄を行った場合、再度乾燥を行う必要がある。
【0018】
最後に、活性金属化合物として周期律表第6族化合物及び第8〜10族金属化合物をそれぞれ少なくとも一種及び、必要によりリン化合物を担持する。
周期律表第6族金属として、モリブデン,タングステンが好適に挙げられ、特にモリブデンが好ましい。モリブデン化合物としては、三酸化モリブデン,パラモリブデン酸アンモニウム等が使用され、タングステン化合物としては、三酸化タングステン,タングステン酸アンモニウム等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で好ましくは4〜40質量%、さらに好ましくは8〜35質量%である。
【0019】
周期律表第8〜10族の金属として、通常、コバルト又はニッケルが挙げられる。ニッケル化合物としては、硝酸ニッケル,炭酸ニッケル等が使用され、コバルト化合物としては、硝酸コバルト,炭酸コバルト等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で好ましくは1〜12質量%、さらに好ましくは2〜10質量%である。
【0020】
リン化合物としては、五酸化リン、正リン酸等が使用される。その担持量は酸化物基準、触媒体基準で0.5〜8質量%、好ましくは1〜6質量%である。
上記の活性金属化合物を含浸法により担持する。以上の周期律表第6族金属化合物、第8〜10族金属化合物、リン化合物の3グループに属する金属化合物は別々に含浸してもよいが、同時に行うのが効率的である。上記の金属化合物を、周期律表第6族金属は0.7〜7.0モル/リットル、周期律表第8〜10族の金属は0.3〜3.6モル/リットル、リン化合物は0〜2.2モル/リットルの割合で純水に溶解させ、担体に吸水率と等量になるように調整後含浸する。含浸時のpHは含浸液の安定性を考慮して一般には酸性領域では1〜4、好ましくは1.5〜3.5である。また、アルカリ性領域では9〜12、好ましくは10〜11である。このpHの調整方法は特に限定されないが、硝酸,塩酸,硫酸等の無機酸、リンゴ酸,クエン酸,エチレンジアミン4酢酸等の有機酸、アンモニアなどを使用して行うことができる。
【0021】
また、特にリン化合物で安定化させた含浸液には水溶性有機化合物を添加することが好ましい。
その水溶性有機化合物として、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ブタントリオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール等のジオール類;5−メチル−1−ヘキサノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、s−イソアミルアルコール(3−メチル−2−ブタノール)、イソウンデシレンアルコール、イソオクタノール、イソペンタノール、イソゲランオール、イソヘキシルアルコール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素数4以上のイソ体のアルコール;2−ヘキサノール、3−ヘキサノール等の炭素数5以上で末端の炭素以外にヒドロキシル基が結合しているアルコール;ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のエーテル基含有水溶性高分子;ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;サッカロース、グルコース等の各種糖類;メチルセルロース、水溶性でんぷん等の水溶性多糖類もしくしはその誘導体などを挙げることができ、単独でも二種類以上を混合して使用することもできる。
【0022】
上記の水溶性有機化合物の添加量は、担体の質量に対して、好ましくは、2〜20質量%(より好ましくは3〜15質量%)とすればよい。
含浸後、触媒の活性金属を担体に安定化させるために熱処理するが、その温度は300℃以下で、好ましくは70〜300℃である。80〜150℃の範囲が特に好ましい。熱処理温度が高すぎると、担持成分の凝集が生じ十分な活性を得ることができず、低すぎると、担持成分と担体と十分な結合を持つことができず十分な活性を得ることができない場合がある。上記の熱処理は空気中で行うもので、通常3〜16時間である。
【0023】
なお、耐火性無機酸化物に、チタン化合物として、チタンペルオキソヒドロキシカルボン酸やそのアンモニウム塩を担持している場合には、上記の熱処理を300℃以上で行っても差し支えない。
【0024】
上記で得られた触媒の平均細孔径は通常40〜140Å、好ましくは60〜130Åであり、比表面積は通常120〜400m2 /g、好ましくは140〜350m2 /gである。また、全細孔容量は通常0.2〜1.0cc/g、好ましくは0.25〜0.9cc/gである。
なお、上記の平均細孔径と全細孔容量は水銀圧入法で測定し、比表面積は窒素吸着法で測定したものである。
【0025】
もう一つの発明は、上記の水素化触媒を使用した炭化水素油の水素化処理方法である。
水素化処理を行う際には、予め安定化処理として予備硫化を行うことが望ましい。この予備硫化処理の条件は特に限定されないが、通常、予備硫化剤として、硫化水素,二硫化炭素,チオフェン,ジメチルジスルフィド等を挙げることができ、処理温度200〜400℃、処理圧力常圧〜30MPaの範囲で行われる。
【0026】
水素化処理条件については、原料油の種類や目的により異なるが、一般的には反応温度200〜550℃(好ましくは220〜500℃)、水素分圧1〜30MPa(好ましくは2〜25MPa)の範囲で行われる。
【0027】
反応形式は特に限定されないが、通常は、固定床,移動床,沸騰床,懸濁床等の種々のプロセスから選択できるが、固定床が好ましい。また、原料油の流通法については、ダウンフロー、アップフローの両形式を採用することができる。
【0028】
固定床の場合の温度、圧力以外の反応条件としては、液空間速度(LHSV)は0.05〜10hr-1(好ましくは0.1〜5hr-1)、水素/原料油比は150〜2,500Nm3 /kl(好ましくは200〜2,000Nm3 /kl)である。
【0029】
処理する炭化水素油として、全ての石油留分を用いることができるが、具体的には灯油,軽質軽油、重質軽油、分解軽油等から常圧残油,減圧残油,脱蝋減圧残油,アスファルテン油,タールサンド油まで巾広く挙げることができるが、軽油留分の硫黄分を50ppm以下にするのに本発明は特に有効である。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
〔実施例1〕
吸水率0.8cc/gのγ−アルミナ担体(A1)100gに、その吸水量に見合うように市販の硫酸チタン30質量%水溶液52.9gを純水にて希釈し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空にて乾燥させた後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し担体(B1)を得た。
【0031】
該担体中の硫酸根(SO4 2- )の残存量をLECO(高周波燃焼赤外検出装置)により測定し、その量が担体に対し5質量%以上であったため、2リットルのビーカーに担体B1を入れ、純水1リットルを加え、攪拌羽により攪拌洗浄し、担体の径より小さな篩に純水ごと注いだ。この操作を3回繰り返しところ、硫酸根の残存量が2質量%となった。その後、120℃で5時間乾燥させ、水分を除去した。
【0032】
次に、炭酸ニッケル69.5g(NiOとして39.7g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸31.5g(純度85%:P2 O5 として19.5g)を純水250ccに加えて、攪拌しながら80℃で溶解させ、室温に冷却後、再び純水を加えて250ccに定容し、含浸液(S1)を調製した。
【0033】
含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、担体(B1)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒1を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0034】
〔実施例2〕
四塩化チタン500g及びを純水1リットルを氷にて冷却しておいた。純水を攪拌しておき、そこに冷却しながら徐々に四塩化チタンを滴下した。激しい発熱・白煙を生じたが、その後、無色のチタニアゾルを得た。このチタニアゾル溶液に、1.2倍等量のアンモニア水(濃度:1モル/リットル)を滴下し、1時間攪拌し、水酸化チタンのゲルを得た。そのゲルを吸引濾過で分別し、約1リットルの純水に再分散させ濾過洗浄した。この操作を洗浄液が中性になるまで4回繰り返し、塩素根を取り除いた。
【0035】
得られた水酸化チタンゲルの含水率を測定し、チタニアとして11g採取した。25質量%アンモニア水を50cc添加し、30分間攪拌した。さらに、30質量%過酸化水素水を38ccを徐々に添加し、黄色のチタンペルオキソチタン溶液を得た。それにクエン酸を29g徐々添加して、攪拌しながら徐々に昇温させ50℃にて余剰の過酸化水素水を除去した。さらに、80℃にて加熱し、錯体形成させることにより完全に溶解させ、次いで全量が117ccになるまで濃縮し、橙色透明のチタンペルオキソクエン酸アンモニウム(T1)を得た。
【0036】
吸水率0.8cc/gのγ−アルミナ担体(A1)100gに、T1水溶液60ccをその吸水量に見合うように純水で希釈し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空にて乾燥後、120℃で3時間乾燥機にて乾燥させ、500℃で4時間焼成し担体(B2)を得た。
【0037】
次に、実施例1で調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、担体(B2)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒2を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0038】
〔参考例1〕実施例2と同じ条件で担体(B2)を調製し、含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、担体(B2)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥させた後、120℃で3時間、続いて500℃で3時間熱処理し、触媒3を得た。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0039】
〔比較例1〕
実施例1で調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6gを添加して、吸水率0.8cc/gのγ−アルミナ担体(A1)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で16時間熱処理し、触媒4を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0040】
〔比較例2〕
実施例1において、活性金属を同様にして含浸した後、70℃で1時間真空乾燥後、120℃で3時間、続いて500℃で3時間熱処理し、触媒5を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0041】
〔比較例3〕
加温攪拌器に、60℃の純水15リットル入れ、アルミン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムをそれぞれ、Al2 O3 濃度8.0質量%、NaOH濃度3.5質量%になるように添加し、60℃に加温し、溶液Aを調製した。別の加温攪拌器に純水15リットル入れ、硫酸チタン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液をそれぞれ、TiO2 濃度0.6質量%、Al2 O3 濃度3.0質量%になるように添加し、60℃に加温し、溶液Bを調製した。この溶液Bを溶液Aに添加し、pHを7に調整して、チタニア−アルミナの共沈水和物のゲルを得、さらに60℃にて1時間熟成した。その後、フィルターにてゲルに対し70倍量の0.3質量%のアンモニア水で洗浄した。得られた濾過物に固形分が12質量%になるように純水を添加し、さらにアンモニア水でpHを11に調整し、加温攪拌器にて90℃で13時間熟成した。その後、ゲルを再びフィルターで濾過し、濾過物の10倍量の純水で洗浄し、80℃で捏和乾燥させ、押出機で1.58mmの円柱状に成形し、120℃で15時間乾燥させ、500℃で4時間焼成してチタニア−アルミナ担体(B3)を調製した。
【0042】
次に、実施例1で調製した含浸液(S1)を50cc採取し、ポリエチレングリコール(分子量)6gを添加して、吸水率0.7cc/gのチタニア−アルミナ担体(B3)100gの吸水量に見合うように純水にて希釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥させた後、120℃で16時間熱処理し、触媒6を調製した。その触媒組成と物性を第1表に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
軽油留分の水素化処理
固定床流通反応装置の反応管に各触媒1〜5を100cc充填した。原料油は水素ガスと共に反応管の下段から導入するアップフロー形式で流通させて反応性を評価した。前処理として第2表に示す性状の原料油[中東系直留軽油(LGO)]にジメチルジスルフィドを加えて硫黄濃度を2.5質量%にしたものを水素ガスと共に290℃、24時間流通させることにより該触媒を予備硫化した。予備硫化後、上記の原料油[中東系直留軽油(LGO)]を水素ガスと共に流通させて水素化処理を行った。反応温度330〜360℃、水素分圧5MPa、水素/原料油比250Nm3 /kl、LHSV1.5hr-1の条件で実施した。第3表に330〜360℃で評価した脱硫速度定数の平均値を用いて、比較例1(触媒4)の脱硫速度定数の平均値を100とした相対脱硫活性を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明の水素化処理触媒は、従来の触媒よりも水素化脱硫が一層改良されでおり、炭化水素油、特に軽油の水素化処理に有効に利用される。
Claims (3)
- 水溶性の周期律表第4族金属化合物を含む溶液を耐火性無機酸化物に含浸し担持した担体に、三酸化モリブデン及び三酸化タングステンから選ばれる少なくとも一種、炭酸ニッケル及び炭酸コバルトから選ばれる少なくとも一種、並びにリン化合物として五酸化リン及び/又は正リン酸を含み、さらに水溶性有機化合物としてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルから選ばれる少なくとも一種を含む水溶液を含浸し担持した後、乾燥後、担持成分の凝集を生じさせず触媒の活性金属を担体に安定化させるために80〜150℃で熱処理する炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
- 水溶性有機化合物がポリエチレングリコールである請求項1に記載の炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により得られた炭化水素油の水素化処理触媒を使用することを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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