JP2023142910A - 水素化処理用シリコン捕集剤、その製造方法、炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

水素化処理用シリコン捕集剤、その製造方法、炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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健治 山根
Kenji Yamane
泰 新宅
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雄介 松元
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Abstract

【課題】比較的重質な留分において優れた脱シリコン性能を示すシリコン捕集剤の製造方法を提供する。【解決手段】アルミナまたはアルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持したシリコン捕集剤であって、(1)比表面積が100m2/g以上、(2)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PVT)が0.80~1.50ml/gの範囲にあり、(3)細孔直径10~30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、(4)前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合と細孔直径5~100nmの範囲の細孔容積(PVme)に占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下であり、(5)耐圧強度が10N/mm以上、(6)リンを捕集剤全量基準でP2O5濃度換算量として10.0質量%以下含み、(7)水素化活性金属が周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種であることを特徴とする炭化水素油の水素化処理用シリコン捕集剤。【選択図】なし

Description

本発明は、水素化処理用シリコン捕集剤に関し、さらに詳しくは、シリコン汚染物質を含む減圧軽油や残渣油などの重質炭化水素油の水素化処理に使用されるシリコン捕集剤とその製造方法及びその捕集剤を使用した炭化水素油の水素化処理方法に関する。
炭化水素油の前処理プロセスでは、水素化処理触媒を用いて原料油からニッケル・バナジウムなどの金属、硫黄、窒素、アスファルテン分などを取り除く反応を進行させることで、清浄な生成油を得ている。水素化処理の原料油中には、消泡材由来のシリコン分が含有されている場合があり、このシリコン分による急激な触媒失活が問題となる場合がある。シリコン分を含む原料油処理において長期間水素化処理触媒の活性を有効に発揮させるためには、水素化処理触媒の前段でシリコン捕集剤を設置し、水素化処理触媒を保護することが望まれるようになっている。
シリコン分の除去に関してこれまでにいくつかの研究例が開示されている。非特許文献1ではニッケルとモリブデン-アルミナ担体系にて、単位面積当たりの表面水酸基の量の多さがディーゼル油、すなわちLGO(ガス軽油)中のシリコントラップ能に重要であると述べられている。
Catalyst Today, 2019, vol 329, 1, 53.
しかしながら、非特許文献にあるようなLGOの留分に含まれるシリコン分は比較的分子量の小さな含シリコン有機化合物であると考えられ、減圧軽油や残渣油のような重質分に含まれるシリコン分に、必ずしも水酸基の量が多いトラップ剤が有効ではない。
減圧軽油や残渣油のような重質な原料油に含まれるシリコン分は比較的大きく幅広い分子量の分布を有すると考えられ、本発明者らは、トラップ剤の細孔構造の設計が重要であると考えた。
そこで本発明の課題は、減圧軽油や残渣油のような比較的重質な留分において優れた脱シリコン性能を示すシリコン捕集剤の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究した結果、細孔直径10~30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、細孔直径5~100nmの範囲に幅広い細孔分布を有する所定のアルミナまたはアルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持させた捕集剤が、優れたシリコン捕集能を発揮することを見出した。
すなわち、本発明は、以下のようなシリコン捕集剤及びその製造方法を提供するものである。
〔1〕アルミナまたはアルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持したシリコン捕集剤であって、
(1)比表面積が100m2/g以上、
(2)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PVT)が0.80~1.50ml/gの範囲にあり、
(3)細孔直径10~30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、
(4)前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合と細孔直径5~100nmの範囲の細孔容積(PVme)に占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下であり、
(5)耐圧強度が10N/mm以上、
(6)リンを捕集剤全量基準でP25濃度換算量として10.0質量%以下含み、
(7)水素化活性金属が周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種である
ことを特徴とする炭化水素油の水素化処理用シリコン捕集剤。
〔2〕上述の〔1〕に記載のシリコン捕集剤において、前記アルミナ-リン担体におけるリン含有量が、担体全量基準でP25濃度換算量として0.5~7.0質量%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の水素化処理用シリコン捕集剤。
〔3〕上述の〔1〕または〔2〕に記載のシリコン捕集剤において、前記水素化活性金属が、捕集剤全量基準で酸化物濃度換算量として1~25質量%含まれることを特徴とするシリコン捕集剤。
〔4〕上述の〔1〕から〔3〕に記載のシリコン捕集剤を用いた炭化水素油の水素化処理方法。
〔5〕上述の〔4〕に記載の水素化処理方法において、炭化水素油が、減圧軽油または重質炭化水素油である、水素化処理方法。
〔6〕アルミナ担体を製造後、前記担体に水素化活性金属を担持させるシリコン捕集剤の製造方法であって、
pHが2.0~5.0に調整された酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながら、pHが7.5~10.0となるように塩基性アルミニウムの水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
前記アルミナ水和物の副生成塩を除去したアルミナ水和物を得る第2工程と、
前記アルミナ水和物からアルミナ担体を得る第3工程とを
備えることを特徴とする水素化処理用シリコン捕集剤の製造方法。
〔7〕アルミナ-リン担体を製造後、前記担体に水素化活性金属を担持させるシリコン捕集剤の製造方法であって、
pHが2.0~5.0に調整された酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながら、pHが7.5~10.0となるように塩基性アルミニウムの水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
前記アルミナ水和物の副生成塩を除去したアルミナ水和物にリンを添加してアルミナ-リン水和物を得る第2工程と、
前記アルミナ-リン水和物からアルミナ-リン担体を得る第3工程とを
備えることを特徴とする水素化処理用シリコン捕集剤の製造方法。
本発明のシリコン捕集剤は、優れたシリコン捕集能を示す。それ故、水素化処理プロセスにおいて、水素化処理触媒の上段にガードとして充填することで水素化処理触媒が保護され、減圧軽油や残渣油のような重質な原料油を処理する場合であっても、長期運転に耐えうるシステムとすることが出来る。
シリコン捕集剤
本発明に係るシリコン捕集剤(以下、「本捕集剤」ともいう。)は、アルミナ担体またはアルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持したシリコン捕集剤である。本発明で使用される担体は、アルミナ担体、アルミナ-リン担体の少なくとも一方であり、アルミナ単独もしくはアルミナとリンの酸化物とを含むものでもよいし、他にシリカ、ボリア、チタニア、ジルコニア、マンガンなどの無機酸化物を含んでいてもよい。
以下、本発明のシリコン捕集剤の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のシリコン捕集剤は以下の要件を満たす。
(1)比表面積が100m2/g以上である点
本捕集剤の比表面積は100m2/g以上である。該比表面積が100m2/g未満の場合には、シリコン捕集能が低下する傾向にある。該比表面積は、150~250m2/gの範囲にあることが望ましい。比表面積が250m2/gを超えた場合、比表面積が大きくなると同時に細孔容積が低下することで、むしろシリコン捕集容量が低下する場合もある。なお、本発明での比表面積はBET法で測定した値である。
(2)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PVT)が0.80~1.50ml/gの範囲である点
本捕集剤の全細孔容積(PVT)は0.80~1.50ml/gの範囲にある。該全細孔容積(PVT)が0.80ml/g未満の場合にはシリコン捕集能が低下する傾向にあり、1.50ml/gより大きい場合には捕集剤の強度が低下する。該全細孔容積(PVT)は、0.85~1.40ml/gの範囲にあることが好ましく、0.90~1.30ml/gの範囲にあることがより好ましい。なお、本発明における該全細孔容積(PVT)は、細孔直径が3.2~10000nm範囲の細孔容積を意味する。
本発明での細孔直径、細孔容積及び細孔分布は、水銀圧入法により測定したものであり、細孔直径は、水銀の表面張力480dyne/cm、接触角150°を用いて計算した値である。
(3)細孔直径10~30nmの範囲に細孔分布の極大値を有する点
本捕集剤の細孔分布は、細孔直径10~30nmの範囲に極大値を有する。当該極大値が細孔直径10nm未満の範囲にあると、シリコン捕集の反応速度はあまり低下しないが、細孔容積も小さくなると考えられ捕集可能なシリコン量の低下がすることがある。当該極大値が細孔直径30nmを超える範囲にあると捕集剤の強度が低下する傾向がある。この極大値が存在する好ましい細孔直径の範囲は、12~25nmであり、更に好ましくは15~20nmである。
(4)当該極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合と細孔直径5~100nmの範囲の細孔容積(PVme)に占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下である点
本捕集剤の細孔分布においては、当該極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合と細孔直径5~100nmの範囲の細孔容積(PVme)に占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下である。ΔPV/PVmeが0.40を超えると幅広い分子量分布を有す含シリコン有機化合物との反応性が低下し、シリコン捕集能が低下することがある。
(5)耐圧強度が10N/mm以上である点
本捕集剤の耐圧強度は、10N/mm以上である。この耐圧強度が10N/mm未満であると、捕集剤を充填する際に壊れやすく、反応時に偏流や圧損の原因となることがある。このため、耐圧強度が10N/mm以上でなければならない。なお、耐圧強度は、圧壊強度ともいわれ、本発明での耐圧強度は、木屋式硬度計で測定した値である。
(6)リンを触媒全量基準でP25濃度換算量として10質量%以下で含む点
本捕集剤には、リンが捕集剤全量基準でP25濃度換算量として10.0質量%以下含まれる。リン含有量が10.0質量%を超えると捕集剤の比表面積が下がることがある。リンは捕集剤中に8.0質量%以下の量で含まれることが好ましく、7.5質量%以下の量で含まれることがより好ましい。
前記範囲のリン含有量にあれば、触媒強度および耐圧強度が高く、所定の細孔直径および細孔分布を有する触媒を得ることができる。
(7)水素化活性金属が周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種である点
本捕集剤では、担持される水素化活性金属が周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種である。
担体に担持させる金属としては、上述の周期律表第6族金属と第8~10族金属を組み合わせて使用することが反応性の観点より好ましい。第6族金属としては、モリブデンやタングステンが好ましく、第8~10族金属としては、ニッケルやコバルトが好ましい。
当該水素化活性金属の担持量は、触媒全量基準で酸化物として1~25質量%の範囲が好ましく、3~20質量%の範囲がより好ましく、3~15質量%の範囲がさらに好ましい。この金属担持量が1質量%以上であると、本発明の効果をより一層発揮することができる。また、この金属担持量が25質量%以下であると、シリコン捕集能の安定性を維持できる点で好ましい。
また、周期律表第6族の金属に関しては、酸化物として好ましい担持量は、1~20質量%の範囲、より好ましくは3~15質量%の範囲である。周期律表第8~10族の金属に関しては、酸化物として好ましい担持量は、0.1~10質量%の範囲、より好ましくは0.3~5質量%の範囲である。
捕集剤の形状は特に制限されず、所定の形状に成形されていてもよく、たとえば、粒状やペレット状、柱状、ハニカム状など適宜選択され、その大きさも処理設備の大きさに応じて適宜選択される。
次に、本捕集剤を製造するための好適な実施形態について、以下に説明する。
本発明の捕集剤は、担体を製造したのち、金属を担持させる工程を含む。
アルミナ担体の場合、以下のように製造される。
[アルミナ担体の製造方法]
(第1工程)
酸性アルミニウム塩を添加し、Al23として0.1~2.0質量%、pH2.0~5.0となるように調製した酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながらその液温を50~80℃、好ましくは60~70℃に加温する。本発明で用いられる酸性アルミニウム塩としては、水溶性の塩であればよく、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられ、Al23換算で0.5~20質量%、好ましくは2~10質量%含む水溶液を用いることが望ましい。
次に、この酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながら、pH7.5~10.0となるように塩基性アルミニウムの水溶液を30~200分間、好ましくは60~180分間で添加し、アルミナ水和物を得る。本発明で用いられる塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリなどが挙げられ、Al23換算で2~30質量%、好ましくは10~25質量%含む水溶液を用いることが望ましい。
(第2工程)
次に、得られたアルミナ水和物を50~70℃、好ましくは55~65℃の純水で洗浄し、ナトリウム、硫酸根等の不純物を除去し、洗浄ケーキを得る。更に、洗浄ケーキに純水を加えて、Al23濃度が5~18質量%、好ましくは7~15質量%となるように調製して、洗浄アルミナ水和物回収物を得る。回収物は、水分を含むケーキ状でも、ペースト状でも、スラリーであってもよい。
(第3工程)
得られた洗浄アルミナ水和物回収物から、アルミナ担体を得る。第3工程では、水和物から酸化物担体が得られれば、その工程は特に制限されない。
たとえば、担体の形状に合わせて、前記回収物を適宜成形することが可能である。成形は、押出成形などの公知の成形方法を採用することが可能である。成形物に必要に応じて加熱処理を行うことで、アルミナ担体を得ることができる。加熱処理には、乾燥して水分量を調整したり、400~800℃で0.5~10時間焼成するなどが挙げられる。
得られた洗浄アルミナ水和物回収物は、あらかじめ、還流器付きの熟成タンク内において熟成してもよい。熟成は、30℃以上、好ましくは80~100℃で、かつ、1~10時間、好ましくは2~5時間行われる。
また、得られた洗浄アルミナ水和物回収物を捏和して成形可能な捏和物を作製してもよい。捏和の際に、必要に応じて、加熱してもよい。また、捏和の際に助剤を得られる担体の乾燥重量に対し、適宜2質量%程度添加してもよい。これにより、細孔直径や細孔分布を変化させることも可能である。助剤として、成形助剤、増粘剤や補強剤等が挙げられる。
アルミナ-リン担体の場合は以下のようにして製造される。
[アルミナ-リン担体の製造方法]
(第1工程)
アルミナ担体の第1工程と同様にして、アルミナ水和物を調製する。
(第2工程)
次に、得られたアルミナ水和物を前記同様に、50~70℃、好ましくは55~65℃の純水で洗浄し、ナトリウム、硫酸根等の不純物を除去し、洗浄ケーキを得る。更に、洗浄ケーキに純水を加えて、Al23濃度が5~18質量%、好ましくは7~15質量%となるように調製した後、アルミナ水和物にリン源を添加して、アルミナ-リン水和物を得る。リン源は、担体中にP25濃度として、前記のように10質量%以下の量で含まれるよう添加することが好ましい。
リン源としては、リン酸、亜リン酸、リン酸アンモニア、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどのリン酸化合物が使用可能である。
(第3工程)
得られたアルミナ-リン水和物から、アルミナ担体の第3工程と同様にして、アルミナ-リン担体を得る。
[担体への金属の担持方法]
前述のアルミナまたはアルミナ-リン担体を用いて、慣用の手段で周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種の金属を担持することにより、本発明のシリコン捕集剤を製造することができる。このような金属の原料としては、例えば、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモン、及びパラタングステン酸アンモンなどの金属化合物が使用され、含浸法、浸漬法などの周知の方法などにより担体に担持される。金属担持後の担体は、通常400~600℃で0.5~5時間焼成され本発明のシリコン捕集剤となる。
なお、本捕集剤における上述した要件(1)~(5)についても、リンの添加量などにより制御することができるが、他にも捏和の際の助剤の添加、焼成時間や焼成温度、捏和時の水分量や捏和後のペーストの粘度などの各条件を調整することで、制御することができる。
本発明のシリコン捕集剤は、シリコンやヒ素などの汚染物質を含む残渣油や減圧軽油などの重質炭化水素油の水素化処理触媒のガードとして好適に使用され、既存の水素化処理装置及びその操作条件を採用することができる。
また、本捕集剤の製造は簡便であるので生産性も高く、製造コスト的にも有利である。
本発明の炭化水素油の水素化処理方法は、固定床反応装置などに公知の水素化処理触媒を充填して水素雰囲気下、高温高圧条件で、例えば、水素分圧が3~8MPa、温度が300~385℃、液空間速度が0.3~5h-1の条件で水素化処理を行う際に、シリコン捕集剤を用いる。
一般的な固定床反応器は1~6段の充填床にわかれている。上流側の充填床に本発明のシリコン捕集剤を充填してもよく、さらに、固定床反応器の前段に流動床の設け、本発明のシリコン捕集剤を充填してもよい。本発明の炭化水素油の水素化処理方法は、炭化水素油が、減圧軽油または重質炭化水素油などの比較的大きく幅広い分子量の分布を有するとシリコン不純物を有する炭化水素油の処理に好適に使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[測定方法]
本発明の実施例及び比較例の各々におけるシリコン捕集剤について、成分の含有量、比表面積及び性状に関する数値を測定しているが、これらの測定は以下のようにして行う。
<担体成分(アルミナ、リン、シリカ、チタニア、ジルコニア)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、リン、銅、鉄)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na22 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、H2SO4 25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP装置(島津製作所(株)製、ICPS-8100、解析ソフトウェアICPS-8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al23、P25、SiO2、TiO2、ZrO2、MoO3、NiO、CoO)で測定した。
<比表面積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボ(B-2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
<強熱減量の測定方法>
測定試料である捕集剤を570℃で2時間焼成し、焼成による質量減少量から算出している。
[実施例1]
薬液添加口2箇所を持つ循環ラインを設けたタンクに純水35.2kgを張り込み、撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(Al23として濃度7質量%)13.0kgを添加し、70℃に加温して循環させた。この時のアルミナ水溶液のpHは2.3であった。次に、アルミン酸ナトリウム水溶液9.5kg(Al23として濃度22質量%)を撹拌及び循環させながら70℃を保ちながら180分で添加し、アルミナ水和物を得た。添加後のpHは、9.5であった。次に、得られたアルミナ水和物を60℃の純水で洗浄し、ナトリウム、硫酸根等の不純物を除去し、洗浄ケーキを得た。洗浄ケーキに純水を加えて、Al23濃度が8質量%となるように調製した後、アルミナ水和物にリン酸256g(P25として濃度62質量%)を添加して、還流器のついた熟成タンクにて95℃で3時間熟成し、アルミナ-リン水和物を得た。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押出成形機にて1.7mmの四つ葉型の柱状に押し出し成形した。得られたアルミナ成形品は、110℃で12時間乾燥した後、さらに680℃で3時間焼成してアルミナ-リン担体aを得た。担体aは、リンがP25濃度換算で5質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で95質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。
酸化モリブデン26.6gと炭酸ニッケル9.7gとを、イオン交換水400mlに懸濁させ、この懸濁液を液容量が減少しないように適当な還流装置を施して95℃で5時間加熱した後、リンゴ酸13.3gを加えて溶解させ、含浸液を作製した。この含浸液を、500gの担体aに噴霧含浸させた後、250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して捕集剤A(以下、単に「捕集剤A」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。捕集剤Aの金属成分は、MoO3が5質量%(触媒全量基準)で、NiOが1質量%(触媒全量基準)であった。捕集剤Aの性状を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、添加するリン酸を99.4g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ-リン担体bを得た。担体bは、リンがP25濃度換算で2質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で98質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体bを用いて実施例1と同様にして捕集剤Bを得た。捕集剤Bの性状を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、添加するリン酸を150.7g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ-リン担体cを得た。担体cは、リンがP25濃度換算で3質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で97質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体cを用いて実施例1と同様にして捕集剤Cを得た。捕集剤Cの性状を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、リン酸を添加しないことおよび加熱捏和の際に助剤を担体固形分に対して2質量%の量で添加する以外は実施例1と同様にしてアルミナ担体dを得た。担体dを用いて実施例1と同様にして捕集剤Dを得た。捕集剤Dの性状を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、リン酸を添加しないこと以外は実施例1と同様にしてアルミナ担体eを得た。担体eを用いて実施例1と同様にして捕集剤Eを得た。捕集剤Eの性状を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、添加するリン酸を9.8g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ-リン担体fを得た。担体eは、リンがP25濃度換算で0.2質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で99.8質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体fを用いて実施例1と同様にして捕集剤Fを得た。捕集剤Fの性状を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、添加するリン酸を481.8g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ-リン担体gを得た。担体gは、リンがP25濃度換算で9質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で91質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体gを用いて実施例1と同様にして捕集剤Gを得た。捕集剤Gの性状を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加時間を10分間としたこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ-リン担体hを得た。担体hは、リンがP25濃度換算で5質量%、アルミニウムがAl23濃度換算で95質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体hを用いて実施例1と同様にして捕集剤Hを得た。捕集剤Hの性状を表1に示す。
[触媒活性評価試験]
実施例1~4のシリコン捕集剤A~D及び比較例1~4のシリコン捕集剤E~Hについて、水素化脱硫触媒CDS-VP2との積層にて固定床式のマイクロリアクターを用い、予備硫化を行った後、以下に示す条件90日間連続して通油し、降温後通油を停止しシリコン捕集剤を取り出し、灯油で洗浄後、100℃で24時間乾燥した後、SiO2換算のシリコン分の濃度を分析することでシリコン捕集能を調べた。
反応条件;
シリコン捕集剤充填量(上段、リアクター入口側) :5g
水素化脱硫触媒充填量(下段、リアクター出口側) :25g
反応圧力 :6.0 MPa
反応油流量 :30 mL/h
水素/油比(H2/HC) :300Nm3/kl
反応温度 :370℃
また、原料油には下記性状の常圧残渣油を使用した。
原料油性状;
密度(15℃) :0.9161g/cm3
イオウ分 :2.125質量%
シリコン分 :1.5 質量ppm
Figure 2023142910000001
[評価結果]
表1の結果から、本発明における実施例1~4のシリコン捕集剤A~Dは、所定の構成を有しているので、比較例1~4のシリコン捕集剤E~HよりもSiO2換算濃度の値が特に高く、シリコン捕集能が高いことがわかる。ただし、単にΔPV/PVmeの値を所定の範囲に有していても、本発明の他の構成を満たしていない比較例3の捕集剤Gでは、上述した本発明の効果を奏することはできず、シリコン捕集能が低いことがわかる。

Claims (7)

  1. アルミナまたはアルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持したシリコン捕集剤であって、
    (1)比表面積が100m2/g以上、
    (2)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PVT)が0.80~1.50ml/gの範囲にあり、
    (3)細孔直径10~30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、
    (4)前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合と細孔直径5~100nmの範囲の細孔容積(PVme)に占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下であり、
    (5)耐圧強度が10N/mm以上、
    (6)リンを捕集剤全量基準でP25濃度換算量として10.0質量%以下含み、
    (7)水素化活性金属が周期律表第6族金属及び第8~10族金属から選ばれる金属の少なくとも1種である
    ことを特徴とする炭化水素油の水素化処理用シリコン捕集剤。
  2. 前記アルミナ-リン担体におけるリン含有量が、担体全量基準でP25濃度換算量として0.5~7.0質量%である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の水素化処理用シリコン捕集剤。
  3. 前記水素化活性金属が、捕集剤全量基準で酸化物濃度換算量として1~25質量%含まれる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素化処理用シリコン捕集剤。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の水素化処理用シリコン捕集剤を用いた炭化水素油の水素化処理方法。
  5. 炭化水素油が、減圧軽油または重質炭化水素油である、請求項4に記載の水素化処理方法。
  6. アルミナ担体を製造後、前記担体に水素化活性金属を担持させるシリコン捕集剤の製造方法であって、
    pHが2.0~5.0に調整された酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながら、pHが7.5~10.0となるように塩基性アルミニウムの水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
    前記アルミナ水和物の副生成塩を除去したアルミナ水和物を得る第2工程と、
    前記アルミナ水和物からアルミナ担体を得る第3工程とを
    備えることを特徴とする水素化処理用シリコン捕集剤の製造方法。
  7. アルミナ-リン担体を製造後、前記担体に水素化活性金属を担持させるシリコン捕集剤の製造方法であって、
    pHが2.0~5.0に調整された酸性アルミニウム水溶液を撹拌しながら、pHが7.5~10.0となるように塩基性アルミニウムの水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
    前記アルミナ水和物の副生成塩を除去したアルミナ水和物にリンを添加してアルミナ-リン水和物を得る第2工程と、
    前記アルミナ-リン水和物からアルミナ-リン担体を得る第3工程とを
    備えることを特徴とする水素化処理用シリコン捕集剤の製造方法。
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