JP2019177356A - 重質炭化水素油の水素化処理触媒、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法、及び重質炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents
重質炭化水素油の水素化処理触媒、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法、及び重質炭化水素油の水素化処理方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】脱硫活性を低下させることなく、水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができる水素化処理触媒の提供。【解決手段】リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に長周期型周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び長周期型周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒。【選択図】なし
Description
本発明は、直接脱硫装置による常圧蒸留残渣(以下「AR」ともいう)や、減圧蒸留残渣(以下「VR」ともいう)の水素化脱硫に用いられ、これらの重質油中の硫黄化合物及び残炭分を長期間にわたり、高い効率で除去することができる重質炭化水素油の水素化処理触媒、前記水素化処理触媒の製造方法、及び前記水素化処理触媒を用いた重質炭化水素油の水素化処理方法に関する。
原油を常圧蒸留装置により処理して得られたARや、ARをさらに減圧蒸留装置で処理することにより得られるVR等の重質炭化水素油には多量の硫黄化合物が含有されている。これらの重質炭化水素油を脱硫処理することなく燃料として用いた場合には、多量の硫黄酸化物(SOx)が大気中に排出され、環境破壊の一因となる。そのため、重質炭化水素油中の硫黄化合物を低減する必要がある。
また、重質炭化水素油の需要が減少傾向にある昨今では、ARやVRを脱硫処理した後に流動接触分解装置(以下「FCC装置」という)で二次処理を行いガソリンや、灯油・軽油等の中間留分を生産している。FCC装置に供せられる原料油は、FCC触媒保護の観点から硫黄分や窒素分を一定のレベル以下に減少させる必要がある。このような重質炭化水素油を水素化処理して低硫黄油を得る工程では、重質炭化水素油中に多量に存在するニッケル及びバナジウム等の重金属が触媒上に沈着する。このことは触媒活性を低下させ、多量に沈積した重金属のため触媒寿命が大幅に短縮するため、低硫黄重油を得る条件は一段と厳しくなっている。
そのため、原油から種々の石油製品を製造する工程の一つとして、また、FCC装置の前処理装置として直接脱硫装置による重質炭化水素油の水素化脱硫処理が取り入れられ、重質炭化水素油中の硫黄化合物等の不純物除去が行われている。そして、重質炭化水素油用水素化処理触媒として、周期表第6族のモリブデン、タングステン、周期表第8〜10族のコバルト、ニッケルを活性発現成分とし、これらをアルミナ、マグネシア、シリカ、チタニア等の無機酸化物担体に担持させた触媒が開発されている。
その一方で、FCC装置の原料油中に含まれる残留炭素(以下、残炭分ともいう)の低減が望まれている。FCC装置の原料油中に含まれる残炭分が高くなると、FCC装置の再生塔温度が上昇して運転が不可能になる。そのため、FCC装置の原料油を前処理することにより、残炭分も一定のレベル以下に低減することが必要である。
特許文献1には、リン化合物、及び亜鉛化合物含むリン・亜鉛含有アルミナを担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種、及び周期表第8族金属から選ばれる少なくとも1種が担持された重質炭化水素油の水素化処理触媒を用いることで脱硫反応に対する脱残炭反応の選択性を向上することが開示されている。しかしながら、特許文献1の触媒の脱硫反応に対する脱残炭反応の選択性は充分ではなく、さらなる脱残炭反応の選択性の向上を可能にする触媒が求められている。
本発明は、脱硫活性を低下させることなく、水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができる水素化処理触媒、前記水素化処理触媒の製造方法、及び前記水素化処理触媒を用いて重質炭化水素油を水素化処理する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持させた重質炭化水素油の水素化処理触媒を用いることにより、残炭分が低減された水素化処理油を得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の重質炭化水素油の水素化処理触媒、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法、及び重質炭化水素油の水素化処理方法に関する。
[1] リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒。
[2] リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナ担体に、周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持させる工程を含む、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
[3] [1]に記載の重質炭化水素油の水素化処理触媒の存在下、水素分圧8〜20MPa、反応温度300〜420℃、液空間速度0.1〜2hr−1で、硫黄分を含む常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、又はこれらの残渣の混合物の接触反応を行うことを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
[1] リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒。
[2] リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナ担体に、周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持させる工程を含む、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
[3] [1]に記載の重質炭化水素油の水素化処理触媒の存在下、水素分圧8〜20MPa、反応温度300〜420℃、液空間速度0.1〜2hr−1で、硫黄分を含む常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、又はこれらの残渣の混合物の接触反応を行うことを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
本発明に係る重質炭化水素油の水素化処理触媒は、リン・鉄含有アルミナ担体に水素化活性成分が担持されており、脱硫活性を低下させることなく、水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されず、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
<重質炭化水素油の水素化処理触媒>
本実施形態の重質炭化水素油の水素化処理触媒(以下、単に「水素化処理触媒」ということがある)は、リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒である。
なお、本明細書において「周期表第6族金属」(以下、「第6族金属」ということがある)とは、長周期型周期表における第6族金属を意味し、「周期表第8〜10族金属」(以下、「第8〜10族金属」ということがある)とは、長周期型周期表における第8〜10族金属を意味する。
また、本明細書において第6族金属化合物、及び第8〜10族金属化合物を「水素化活性成分」と呼ぶ。
本実施形態の重質炭化水素油の水素化処理触媒(以下、単に「水素化処理触媒」ということがある)は、リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒である。
なお、本明細書において「周期表第6族金属」(以下、「第6族金属」ということがある)とは、長周期型周期表における第6族金属を意味し、「周期表第8〜10族金属」(以下、「第8〜10族金属」ということがある)とは、長周期型周期表における第8〜10族金属を意味する。
また、本明細書において第6族金属化合物、及び第8〜10族金属化合物を「水素化活性成分」と呼ぶ。
本実施形態の水素化処理触媒は、アルミナを担体主成分とする。アルミナとしては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ等の種々のアルミナを使用することができるが、多孔質で高比表面積であるアルミナが好ましく、なかでもγ−アルミナがより好ましい。
また、担体主成分とするアルミナの純度は、98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。アルミナ中の不純物としては、SO4 2−、Cl−、Na2O等が挙げられるが、これらの不純物はできるだけ少ないことが好ましく、不純物全量で2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。成分毎ではSO4 2−が1.5質量%以下、Cl−、Na2Oはそれぞれ0.1質量%以下が好ましい。
また、担体主成分とするアルミナの純度は、98質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましい。アルミナ中の不純物としては、SO4 2−、Cl−、Na2O等が挙げられるが、これらの不純物はできるだけ少ないことが好ましく、不純物全量で2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。成分毎ではSO4 2−が1.5質量%以下、Cl−、Na2Oはそれぞれ0.1質量%以下が好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒の担体に用いるアルミナは、ゼオライト、ボリア、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種の酸化物を複合化させて、複合化されたアルミナ担体としてもよい。この複合化されたアルミナ担体においては、アルミナが92〜99.9質量%、好ましくは95〜98質量%、ゼオライト、ボリア、シリカ、及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種の酸化物が0〜8質量%が好ましい。この際、上記ゼオライト、ボリア、シリカ、及びジルコニアの複合化成分は、一般に、この種の触媒の担体成分として使用されるものを使用することができる。
本実施形態の水素化処理触媒の担体中のリンの含有量は、担体基準、酸化物換算で0.1〜4質量%であり、0.5〜2.5質量%が好ましい。また、本実施形態の水素化処理触媒としては、リンの含有量が、触媒基準、酸化物換算で0.08〜3.6質量%が好ましい。リンの含有量が前記範囲の下限値以上であると、第6族金属化合物の硫化度が充分に高くなる。リンの含有量が前記範囲の上限値以下であると、細孔容積や比表面積の低下が起こりにくく、第6族金属化合物が充分分散するため、第8〜10族金属化合物の硫化度が充分に高くなる。
本実施形態の水素化処理触媒の担体中の鉄の含有量は、担体基準、酸化物換算で1〜13質量%であり、2〜8質量%が好ましい。また、本実施形態の水素化処理触媒としては、鉄の含有量が、触媒基準、酸化物換算で1〜10質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。鉄の含有量が前記範囲の下限値以上であると、水素解離能の向上により、水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができる。鉄の含有量が前記範囲の上限値以下であると、金属の凝集を防ぐことができるため、水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができる。
本明細書において、鉄及びリンの含有量に関して、「担体基準、酸化物換算で」とは、担体中に含まれる全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対する鉄の酸化物質量、及びリンの酸化物質量の割合を意味する。鉄の酸化物質量は三酸化二鉄(Fe2O3)に、リンの酸化物質量は五酸化二リン(P2O5)に換算してそれぞれ求める。
本明細書において、鉄及びリンの含有量に関して、「触媒基準、酸化物換算で」とは、触媒中に含まれる全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対する鉄の酸化物質量、及びリンの酸化物質量の割合を意味する。鉄の酸化物質量は三酸化二鉄(Fe2O3)に、リンの酸化物質量は五酸化二リン(P2O5)に換算してそれぞれ求める。
本明細書において、鉄及びリンの含有量に関して、「触媒基準、酸化物換算で」とは、触媒中に含まれる全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対する鉄の酸化物質量、及びリンの酸化物質量の割合を意味する。鉄の酸化物質量は三酸化二鉄(Fe2O3)に、リンの酸化物質量は五酸化二リン(P2O5)に換算してそれぞれ求める。
本実施形態の水素化処理触媒の担体に含有させる鉄及びリンの原料化合物としては、種々の化合物を使用することができる。鉄化合物としては、酸化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、炭酸鉄、塩化鉄、酢酸鉄、水酸化鉄、シュウ酸鉄等が挙げられ、なかでも酸化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄が好ましい。また、リン化合物としては、例えばオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等が挙げられ、なかでもオルトリン酸が好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒は、リン化合物を含むことで、6族金属化合物や8族金属化合物と担体の相互作用を緩和し、6族金属化合物や8族金属化合物の硫化がそれぞれ容易になると考えられる。しかし、一方で、6族金属化合物や8族金属化合物と担体の相互作用が弱くなりすぎると、水素化活性成分の凝集が起こってしまうため、リンの添加には精密な制御が必要である。本実施形態の水素化処理触媒では、リンを精密に制御して添加することにより、NiMoS相、NiWS相等の水素化活性成分−硫黄相が高分散である状態を保持しつつ、積層数などの構造形態も最適化されると考えられる。
本実施形態の水素化処理触媒は、鉄化合物を含むことで、鉄化合物を介して水素の解離及び重質油の水素化が進行するため、脱残炭選択性が向上すると考えられる。
本実施形態の水素化処理触媒に用いるリン・鉄含有アルミナ担体を得るには、まず、常法によりアルミナゲルを得る。アルミナゲルの調製としては、例えば、攪拌釜で硫酸水溶液、アルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムを混合してスラリーを調製する。得られたスラリーを回転円筒型連続真空濾過器による水分除去、純水洗浄を行いアルミナゲルを得る。
次いで、それを濾液中にSO4 2−、Na+が検出できなくなるまで洗浄した後、このゲルを純水に混濁させて均一なスラリーとする。得られたスラリーを、水分量が60〜90質量%となるまで脱水して、その濾室からケーキを得る。なお、この他にも、アルミナゲルの調製としては、アルミナ原料を含む水溶液をアルミン酸ナトリウム、アルミン酸、アンモニア等の中和剤で中和する方法、あるいはヘキサンメチレンテトラミン、炭酸カルシウム等の沈殿剤と混合する方法等がある。
本実施形態の製造方法では、このアルミナゲルスラリーの脱水を、圧搾濾過器によって行うことが好ましい。ここで、圧搾濾過器とは、スラリーに圧縮空気又はポンプ圧を作用させ濾過するものであり、一般に圧濾器とも呼ばれる。圧搾濾過器には板枠型と凹板型がある。板枠型圧濾器は、濾板と濾枠が交互に端板間に締め付けられており、濾枠の中へスラリーを圧入して濾過する。ここで、濾板は濾液流路となる溝を持ち、炉枠には炉布が張ってある。一方、凹板型圧濾器は、濾布と凹板型の濾板を交互に並べて端板との間で締め付け濾室を構成している(参考文献:化学工学便覧p715)。
このように、本実施形態の製造方法では、担体に用いるアルミナを調製する際の水分調整を、上記圧搾濾過器で行うことを特徴とする。圧搾濾過器で脱水することにより、担体の表面状態を向上させることができ、後述する触媒活性金属の硫化度のレベル向上に有益である。なお、この圧搾濾過器による脱水工程は、上記アルミナゲルを調製する工程、及び後述するリン化合物及び鉄化合物を混練する工程のうち少なくとも一方の工程の後に行うものとするが、いずれの工程の後に行ってもよい。好ましくは、アルミナゲル調製後、リン化合物及び鉄化合物の混練前に行う。
なお、アルミナゲル調製の際、上記ゼオライトを初めとする複合化成分とアルミナを複合化する場合は、得られたアルミナゲルを熟成、洗浄、脱水乾燥、水分調整を行った後、リン化合物水溶液と鉄化合物水溶液を添加する前に行えばよく、共沈法、混練法等によりアルミナを複合化成分と複合化することができる。この場合も同様に、前記複合化されたアルミナ担体のスラリーの成形前の最終脱水工程で圧搾濾過器を用いて脱水することが好ましい。
次に、得られたアルミナゲルに、リン化合物と鉄化合物を混練により添加する。具体的には、50〜90℃に加熱したアルミナゲルの水分調整物に、常温〜90℃に加熱したリン化合物水溶液と鉄化合物水溶液を添加する。そして、加熱ニーダー等を用いて混練、攪拌し、リン・鉄含有アルミナ担体の混練物を得る。なお、上述したように、圧搾濾過器による脱水を、アルミナゲルとリン化合物及び鉄化合物とを混練、攪拌した後に行ってもよい。
そして、得られた混練物を成型、乾燥、焼成に供する。上記混練物の成型に当たっては、押出し成型、加圧成型等の種々の成型方法により行うことができる。また、得られた成型物の乾燥に当たっては、乾燥温度は常温〜150℃が好ましく、特に好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間は30分以上が望ましい。更にまた、得られた乾燥物の焼成に当たっては、焼成温度は必要に応じて適宜設定できるが、例えばγ‐アルミナとするためには450℃以上で焼成することが好ましく、更に好ましくは480℃〜600℃である。焼成時間は2時間以上が好ましく、特に好ましくは3〜12時間である。
なお、鉄化合物の添加方法は上記混練法に依らず、リン含有アルミナ担体へ混練以外の方法で担持してもよい。具体的には、前述の方法により、アルミナゲルにリン化合物のみを混練により添加してリン含有アルミナ担体をまず得る。その後、前記リン含有アルミナ担体に混練以外の方法で鉄化合物を担持する方法が例として挙げられる。リン含有アルミナ担体に、鉄化合物を混練以外の方法で担持させる方法としては、含浸法、共沈法、沈着法、イオン交換法等の公知の方法でよい。含浸法としては、リン含有アルミナ担体を前記リン含有アルミナ担体の全細孔容積に対して過剰の含浸溶液に浸した後に溶媒を全て乾燥させることにより、成分を担持する蒸発乾固法、リン含有アルミナ担体を前記リン含有アルミナ担体の全細孔容積に対して過剰の含浸溶液に前記リン含有アルミナ担体を浸した後に濾過等の固液分離により成分が担持された触媒を得る平衡吸着法、リン含有アルミナ担体に前記リン含有アルミナ担体の全細孔容積とほぼ等量の含浸溶液を含浸し、溶媒を全て乾燥させることにより、成分を担持する細孔充填法が例として挙げられる。
鉄化合物を含浸法で担持した場合、一般に、窒素気流中、空気気流中、又は真空中で、常温〜80℃で、水分をある程度(LOI《Loss on ignition》50%以下となるように)除去し、乾燥炉にて、空気気流中、80〜150℃で、10分間〜10時間乾燥する。次いで、焼成炉にて、空気気流中、300〜700℃で、より好ましくは500〜650℃で10分間〜10時間、より好ましくは3時間〜6時間焼成を行う。
本実施形態の触媒に含まれるリン化合物としては、前記リンの原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(P2O5)、鉄、第6族金属、第8〜10族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
本実施形態の触媒に含まれる鉄化合物としては、前記鉄の原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(Fe2O3)、リン、第6族金属、第8〜10族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
本実施形態の触媒に含まれる鉄化合物としては、前記鉄の原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(Fe2O3)、リン、第6族金属、第8〜10族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
本実施形態の水素化処理触媒のリン・鉄含有アルミナ担体は、下記の物性値であることが好ましい。
リン・鉄含有アルミナ担体の比表面積は、窒素吸着法(BET法)による測定値で、200〜380m2/gが好ましく、220〜360m2/gがより好ましい。比表面積が前記範囲の下限値以上であると、水素化活性成分が充分分散するため、脱硫活性が高くなる。比表面積が前記範囲の上限値以下であると、充分な大きさの細孔直径を有するため、触媒の細孔直径も充分な大きさとなり、水素化処理の際、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が充分となり、脱硫活性が高くなる。
リン・鉄含有アルミナ担体の水銀圧入法で測定した細孔分布における平均細孔直径は、5〜12nmが好ましく、6〜10nmがより好ましい。平均細孔直径が前記範囲の下限値以上であると、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が充分となり、脱硫活性が高くなる。平均細孔直径が前記範囲の上限値以下であると、細孔内表面積が増加するため、触媒の有効比表面積が増加し、脱硫活性が高くなる。
リン・鉄含有アルミナ担体の細孔容積は、水銀圧入法による測定値で、0.4〜0.9mL/gが好ましく、0.6〜0.8mL/gがより好ましい。細孔容積が前記範囲の下限値以上であると、通常の含浸法で触媒を調製する場合、細孔内に入り込む溶媒が充分となる。溶媒が充分であると、水素化活性成分が溶媒によく溶解し、水素化活性成分の分散性が向上し、高活性の触媒となる。水素化活性成分の溶解性を上げるためには、硝酸等の酸を多量に加える方法があるが、加えすぎると担体の低表面積化が起こり、脱硫性能低下の主原因となる。細孔容積が前記範囲の上限値以下であると、比表面積が充分に大きくなり、水素化活性成分の分散性が向上し、触媒活性の高い触媒となる。
本実施形態の水素化処理触媒は、前記リン・鉄含有アルミナ担体に、水素化活性成分として周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持させた触媒である。
第6族金属としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)等が挙げられ、なかでも単位質量当たりの脱硫活性が高いモリブデンが好ましい。
また、担持する第6族金属化合物は1種類の金属化合物でもよく、2種類以上の金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
リン・鉄含有アルミナ担体への第6族金属化合物の担持量は、触媒基準、酸化物換算で、8〜20質量%が好ましく、10〜16質量%がより好ましい。第6族金属化合物の担持量が前記範囲の下限値以上であると、第6族金属化合物に起因する効果を発現させるのに充分である。第6族金属化合物の担持量が前記範囲の上限値以下であると、第6族金属化合物が充分分散するため、脱硫活性が高くなる。また、触媒表面積が大幅に低下することなく、脱硫活性が高くなる。
また、担持する第6族金属化合物は1種類の金属化合物でもよく、2種類以上の金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
リン・鉄含有アルミナ担体への第6族金属化合物の担持量は、触媒基準、酸化物換算で、8〜20質量%が好ましく、10〜16質量%がより好ましい。第6族金属化合物の担持量が前記範囲の下限値以上であると、第6族金属化合物に起因する効果を発現させるのに充分である。第6族金属化合物の担持量が前記範囲の上限値以下であると、第6族金属化合物が充分分散するため、脱硫活性が高くなる。また、触媒表面積が大幅に低下することなく、脱硫活性が高くなる。
ここで、第6族金属化合物、後述する第8〜10族金属化合物の担持量に関して、「触媒基準、酸化物換算で」とは、触媒中に含まれる全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対するそれぞれの金属の酸化物質量の割合を意味する。第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物の酸化物質量は、第6族金属については6価の酸化物、第8〜10族金属については2価の酸化物に換算して求める。
第8〜10族金属としては、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等が挙げられ、なかでも水素化能が高く、触媒調製コストが低いニッケルが好ましい。
また、担持する第8〜10族金属化合物は1種類の金属化合物でもよく、2種類以上の金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
リン・鉄含有アルミナ担体への第8〜10族金属化合物の担持量は、触媒基準、酸化物換算で、2〜5質量%が好ましく、3〜4質量%がより好ましい。第8〜10族金属化合物の担持量が前記範囲の下限値以上であると、第8〜10族金属化合物に帰属する活性点が充分に得られる。第8〜10族金属化合物の担持量が前記範囲の上限値以下であると、第8〜10族金属としてNiを用いた場合に、不活性な前駆体であるNiO種(触媒硫化後や水素化処理中はNiS種として存在する)や、担体の格子内に取り込まれたNiスピネル種が生成され難いため、脱硫活性が向上する。
また、担持する第8〜10族金属化合物は1種類の金属化合物でもよく、2種類以上の金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
リン・鉄含有アルミナ担体への第8〜10族金属化合物の担持量は、触媒基準、酸化物換算で、2〜5質量%が好ましく、3〜4質量%がより好ましい。第8〜10族金属化合物の担持量が前記範囲の下限値以上であると、第8〜10族金属化合物に帰属する活性点が充分に得られる。第8〜10族金属化合物の担持量が前記範囲の上限値以下であると、第8〜10族金属としてNiを用いた場合に、不活性な前駆体であるNiO種(触媒硫化後や水素化処理中はNiS種として存在する)や、担体の格子内に取り込まれたNiスピネル種が生成され難いため、脱硫活性が向上する。
第6族金属、及び第8〜10族金属各成分の担持量において、水素化活性成分である第6族金属化合物、及び第8〜10族金属化合物の最適質量比は、〔第8〜10族金属酸化物質量〕/〔第8〜10族金属酸化物質量+第6族金属酸化物質量〕の値で、0.14〜0.3が好ましい。
第6族金属酸化物と第8〜10族金属酸化物の総質量に対する第8〜10族金属酸化物の質量の割合が、前記範囲の下限値以上であると、脱硫の活性点と考えられるNiMoS相、NiWS相等の水素化活性成分−硫黄相が充分に生成し、脱硫活性が高くなる。第6族金属酸化物と第8〜10族金属酸化物の総質量に対する第8〜10族金属酸化物の質量の割合が、前記範囲の上限値以下であると、脱硫活性に関与しない無駄な金属種(NiS種や、担体の格子内に取り込まれたNiスピネル種)が生成しづらく、脱硫活性が高くなる。
第6族金属酸化物と第8〜10族金属酸化物の総質量に対する第8〜10族金属酸化物の質量の割合が、前記範囲の下限値以上であると、脱硫の活性点と考えられるNiMoS相、NiWS相等の水素化活性成分−硫黄相が充分に生成し、脱硫活性が高くなる。第6族金属酸化物と第8〜10族金属酸化物の総質量に対する第8〜10族金属酸化物の質量の割合が、前記範囲の上限値以下であると、脱硫活性に関与しない無駄な金属種(NiS種や、担体の格子内に取り込まれたNiスピネル種)が生成しづらく、脱硫活性が高くなる。
本実施形態の水素化処理触媒において、前記リン・鉄含有アルミナ担体に担持させる第6族金属の原料化合物としては、Mo化合物が好ましく、三酸化モリブデン、モリブドリン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられ、モリブドリン酸、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウムが好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒において、前記リン・鉄含有アルミナ担体に担持させる第8〜10族金属の原料化合物としては、Ni化合物が好ましく、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられ、炭酸ニッケル、酢酸ニッケルが好ましく、炭酸ニッケルがより好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒において、前記リン・鉄含有アルミナ担体に担持させる第8〜10族金属の原料化合物としては、Ni化合物が好ましく、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等が挙げられ、炭酸ニッケル、酢酸ニッケルが好ましく、炭酸ニッケルがより好ましい。
リン・鉄含有アルミナ担体に、第6族金属や第8〜10族金属を含浸させる方法としては、含浸法、共沈法、混練法、沈着法、イオン交換法等の公知の方法でよい。含浸法としては、リン・鉄含有アルミナ担体を前記リン・鉄含有アルミナ担体の全細孔容積に対して過剰の含浸溶液に浸した後に溶媒を全て乾燥させることにより、水素化活性成分を担持する蒸発乾固法、リン・鉄含有アルミナ担体を前記リン・鉄含有アルミナ担体の全細孔容積に対して過剰の含浸溶液に前記リン・鉄含有アルミナ担体を浸した後に濾過等の固液分離により水素化活性成分が担持された触媒を得る平衡吸着法、リン・鉄含有アルミナ担体に前記リン・鉄含有アルミナ担体の全細孔容積とほぼ等量の含浸溶液を含浸し、溶媒を全て乾燥させることにより、水素化活性成分を担持する細孔充填法が例として挙げられる。なお、リン・鉄含有アルミナ担体に、第6族金属化合物及び第8〜10族金属化合物を含浸させる方法としては、これら各成分を同時に含浸させる一段含浸法でもよく、個別に含浸させる二段含浸法でもよい。
第6族金属化合物、第8〜10族金属化合物を、リン・鉄含有アルミナ担体に担持させる具体的方法としては、以下の方法が挙げられる。
まず、第6族金属化合物、及び第8〜10族金属化合物を含む含浸用溶液を調製する。調製時、これらの化合物の溶解を促進するために、加温(30〜100℃)や、酸(硝酸、リン酸、有機酸《クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸等》)の添加を行ってもよい。また、含浸用溶液にさらにリン化合物を添加してもよい。なお、前記金属化合物にリン元素が含まれている場合はリン化合物を加えないか、適当量のリン化合物を添加する。
まず、第6族金属化合物、及び第8〜10族金属化合物を含む含浸用溶液を調製する。調製時、これらの化合物の溶解を促進するために、加温(30〜100℃)や、酸(硝酸、リン酸、有機酸《クエン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸等》)の添加を行ってもよい。また、含浸用溶液にさらにリン化合物を添加してもよい。なお、前記金属化合物にリン元素が含まれている場合はリン化合物を加えないか、適当量のリン化合物を添加する。
ここで、第6金属酸化物質量に対する担体に混練されているリンの酸化物換算における質量比は0.25以下が好ましい。第6金属酸化物質量に対する担体に混練されているリンの酸化物換算における質量比が0.25以下であると、触媒の比表面積及び細孔容積が減少し難く、脱硫活性の低下が抑制されるのみならず、酸量が増えることなく、炭素析出を防止でき、これにより活性劣化が抑制される。
続いて、調製した含浸用溶液を、リン・鉄含有アルミナ担体に、均一になるよう徐々に添加して含浸する。含浸時間は1分間〜5時間が好ましく、5分間〜3時間がより好ましい。含浸温度は5〜100℃が好ましく、10〜80℃が好ましい。含浸雰囲気は特に限定しないが、大気中、窒素中、真空中が、それぞれ適している。
第6族金属化合物、第8〜10族金属化合物を含浸担持後、一般に、窒素気流中、空気気流中、又は真空中で、常温〜80℃で、水分をある程度(LOI《Loss on ignition》50%以下となるように)除去し、乾燥炉にて、空気気流中、80〜150℃で、10分間〜10時間乾燥する。次いで、焼成炉にて、空気気流中、300〜700℃で、より好ましくは500〜650℃で10分間〜10時間、より好ましくは3時間〜6時間焼成を行う。
本実施形態の触媒に含まれる第6族金属化合物としては、前記第6族金属の原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(具体例:MoO3)、リン、鉄、第8〜10族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
本実施形態の触媒に含まれる第8〜10族金属化合物としては、前記第8〜10族金属の原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(具体例:NiO)、リン、鉄、第6族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
本実施形態の触媒に含まれる第8〜10族金属化合物としては、前記第8〜10族金属の原料化合物、前記焼成により生成した酸化物(具体例:NiO)、リン、鉄、第6族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が例として挙げられる。
さらに、本実施形態の水素化処理触媒は、重質油留分に対する水素化活性、脱硫活性、脱残炭活性を高めるために、下記の物性値であることが好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒の比表面積は、BET法による測定値で、180〜320m2/gが好ましく、200〜300m2/gがより好ましい。比表面積が前記範囲の下限値以上であると、水素化活性成分が充分分散するため、脱硫活性が高くなる。比表面積が前記範囲の上限値以下であると、充分な大きさの細孔直径を有するため、水素化処理の際、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が充分となり、脱硫活性が高くなる。
本実施形態の水素化処理触媒の水銀圧入法で測定した細孔分布における平均細孔直径は、7〜13nmが好ましく、8〜12nmがより好ましい。平均細孔直径が前記範囲の下限値以上であると、硫黄化合物の触媒細孔内への拡散が充分となり、脱硫活性が高くなる。平均細孔直径が前記範囲の上限値以下であると、細孔内表面積が増加するため、触媒の有効比表面積が増加し、脱硫活性が高くなる。
本実施形態の水素化処理触媒の細孔容積は、水銀圧入法による測定値で、0.45〜0.8mL/gが好ましく、0.5〜0.7mL/gがより好ましい。細孔容積が前記範囲の下限値以上であると、水素化処理の際、硫黄化合物の触媒細孔内での拡散が充分となって脱硫活性が向上となる。細孔容積が前記範囲の上限値以下であると、触媒の比表面積が極端に小さくならず、水素化活性成分の分散性が向上し、高脱硫活性の触媒となる。
上記の平均細孔直径、及び細孔容積を満たす細孔の有効数を多くするために、触媒の細孔径分布としては、平均細孔径±1.5nmの細孔径を有する細孔の容積の全細孔容積に対する割合が、45容量%以上が好ましく、55容量%以上がより好ましい。
さらに、本実施形態の水素化処理触媒中の水素化活性成分の分布状態は、触媒中で水素化活性成分が均一に分布しているユニフォーム型が好ましい。
本実施形態の水素化処理触媒を用いて、重質炭化水素油を水素化処理することにより、長期間にわたり重質炭化水素油中の硫黄化合物を低減させることが可能となる上、得られる水素化処理油の残炭分を低減させることが可能となる。
<水素化処理方法>
本実施形態の水素化処理方法は、水素分圧8〜20MPa、反応温度300〜420℃、及び液空間速度0.1〜2hr−1の条件で、上記本実施形態の水素化処理触媒と硫黄化合物を含む常圧残渣あるいは減圧残渣、あるいはこれらの混合物とを接触させて水素化処理を行い、前記原料油中の硫黄分、残炭分を低減する方法である。
本実施形態の水素化処理方法は、水素分圧8〜20MPa、反応温度300〜420℃、及び液空間速度0.1〜2hr−1の条件で、上記本実施形態の水素化処理触媒と硫黄化合物を含む常圧残渣あるいは減圧残渣、あるいはこれらの混合物とを接触させて水素化処理を行い、前記原料油中の硫黄分、残炭分を低減する方法である。
水素分圧は、8〜20MPaであり、8〜15MPaがより好ましい。水素分圧が前記範囲の下限値以上であると、水素化反応が進行しやすい。水素分圧が前記範囲の上限値以下であると、適度な脱金属活性が得られるため、触媒寿命が長くなる。
反応温度は、300〜420℃であり、350〜400℃が好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であると、触媒活性、特に脱金属活性を十分に発揮できる。反応温度が前記範囲の上限値以下であると、重質炭化水素油の熱分解が適度に進行し、触媒劣化が起こり難い。反応温度とは触媒床の平均温度を意味する。
液空間速度(LHSV)は、0.1〜2hr−1であり、0.1〜1hr−1がより好ましい。
反応温度は、300〜420℃であり、350〜400℃が好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であると、触媒活性、特に脱金属活性を十分に発揮できる。反応温度が前記範囲の上限値以下であると、重質炭化水素油の熱分解が適度に進行し、触媒劣化が起こり難い。反応温度とは触媒床の平均温度を意味する。
液空間速度(LHSV)は、0.1〜2hr−1であり、0.1〜1hr−1がより好ましい。
本実施形態の水素化処理方法に供される重質炭化水素油としては、原油から蒸留により得られる常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、熱分解油であるビスブレーキング油、石油以外の重質炭化水素油であるタールサンド油、シェールオイル等、又はこれらの混合物等が挙げられ、好ましくは、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油、又はこれらの混合油である。
常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油とを混合する場合は、その性状にもよるが、混合割合としては、減圧蒸留残渣油が1〜60容量%程度となるように混合することがよく用いられる。
常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油とを混合する場合は、その性状にもよるが、混合割合としては、減圧蒸留残渣油が1〜60容量%程度となるように混合することがよく用いられる。
本実施形態の水素化処理方法に供される重質炭化水素油としては、密度が0.91〜1.10g/cm3、特に0.95〜1.05g/cm3、硫黄分が2〜6質量%、特に2〜5質量%、ニッケル、バナジウム等の金属分が1〜1500ppm、特に20〜400ppm、残炭分が1〜30質量%、特に2〜20質量%の重質炭化水素油が好ましい。
本実施形態の水素化処理方法におけるその他の水素化処理条件は、要求される反応程度等により、適宜選定すればよい。例えば、水素/油比は、好ましくは400〜3,000m3/m3、より好ましくは500〜1,800m3/m3である。
本実施形態の水素化処理方法を商業規模で行うには、本実施形態の水素化処理触媒の固定床、移動床、あるいは流動床式の触媒層を反応装置内に形成し、この反応装置内に原料油を導入し、上記の条件下で水素化反応を行えばよい。最も一般的には、固定床式触媒層を反応装置内に形成し、原料油を反応装置の上部に導入し、固定床を上から下に通過させ、反応装置の下部から生成物を流出させるものか、反対に原料油を反応装置の下部に導入し、固定床を下から上に通過させ、反応装置の上部から生成物を流出させるものである。
本実施形態の水素化処理方法は、本実施形態の水素化処理触媒を、単独の反応装置に充填して行う一段の水素化処理方法であってもよいし、幾つかの反応装置に充填して行う多段連続水素化処理方法であってもよい。
また、本実施形態の水素化処理触媒は、使用前に(すなわち、本実施形態の水素化処理方法を行うのに先立って)、一般に反応装置中で硫化処理して活性化する。この硫化処理は、一般に、200〜400℃、好ましくは250〜350℃、常圧あるいはそれ以上の水素分圧の水素雰囲気下で、硫黄化合物を含む石油蒸留物、それにジメチルジスルファイドや二硫化炭素等の硫化剤を加えたもの、あるいは硫化水素を用いて行う。
前記硫化処理後の本実施形態の触媒に含まれるリン化合物、鉄化合物、第6族金属化合物、第8〜10族金属化合物としては、硫化リン、硫化鉄、第6族金属の硫化物、第8〜10族金属の硫化物が例として挙げられる。また、リン、鉄、第6族金属、第8〜10族金族からなる群から選ばれる2種以上の元素の複合硫化物が例として挙げられる。また、前記硫化処理後の本実施形態の触媒に含まれる鉄化合物としては、前記硫化物以外に、前記鉄の原料化合物、酸化物(Fe2O3)、リン、第6族金属、第8〜10族金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が含まれていてもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔触媒の調製〕
実施例1(水素化処理触媒Aの調製)
まずリン含有アルミナ担体の調製を行った。12質量%の硫酸水溶液1.5Lを攪拌釜に張込んだ純水100Lに投入し、95℃に加熱した後、5分間、攪拌羽根で激しく攪拌し、そこへアルミナ濃度70g/Lのアルミン酸ナトリウム3.9Lを投入して、水酸化アルミニウムを調製し、次いで24時間攪拌羽根で攪拌した。得られたスラリーを濾過器に投入し、濾過を行い水分を除去した。次いで、得られたゲルを純水を用いて、濾液中にSO4 2−、Na+が検出できなくなるまで洗浄した。次いで、洗浄後のゲルを純水に混濁させ、均一なスラリーとして、そのスラリーを圧搾型濾過器へ投入した。スラリーは濾布を介して、濾板にはさみこまれ、濾板を圧搾することにより脱水を行った。得られるケーキ中の水分量が80%になった時点で濾過を中断した。このケーキを加温型ニーダー(設定温度80℃)に投入し、均一になるように十分に混練した。前記ケーキに、リン酸を担体基準で2質量%になるように投入し、均一になるように更に混練した。得られた混練したケーキを押し出し成形器に投入し、長径1.3mm、短径1.1mmの四つ葉型形状の押し出し成形物とした。この成形物を、乾燥し、600℃で4時間焼成し、リン含有アルミナ担体を得た。得られたリン含有アルミナ担体をナス型フラスコ中に60.00g投入し、そこへイオン交換水46gに硝酸鉄(III)6.49gとクエン酸4.50gを加えて溶解させた溶液をピペットで添加し、25℃で1時間浸漬後、窒素気流中で風乾し、マッフル炉中120℃で1時間乾燥させ、次いで500℃で4時間焼成し、リン・鉄化合物含有アルミナ担体Aを得た。最終触媒のリン及び鉄の含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
実施例1(水素化処理触媒Aの調製)
まずリン含有アルミナ担体の調製を行った。12質量%の硫酸水溶液1.5Lを攪拌釜に張込んだ純水100Lに投入し、95℃に加熱した後、5分間、攪拌羽根で激しく攪拌し、そこへアルミナ濃度70g/Lのアルミン酸ナトリウム3.9Lを投入して、水酸化アルミニウムを調製し、次いで24時間攪拌羽根で攪拌した。得られたスラリーを濾過器に投入し、濾過を行い水分を除去した。次いで、得られたゲルを純水を用いて、濾液中にSO4 2−、Na+が検出できなくなるまで洗浄した。次いで、洗浄後のゲルを純水に混濁させ、均一なスラリーとして、そのスラリーを圧搾型濾過器へ投入した。スラリーは濾布を介して、濾板にはさみこまれ、濾板を圧搾することにより脱水を行った。得られるケーキ中の水分量が80%になった時点で濾過を中断した。このケーキを加温型ニーダー(設定温度80℃)に投入し、均一になるように十分に混練した。前記ケーキに、リン酸を担体基準で2質量%になるように投入し、均一になるように更に混練した。得られた混練したケーキを押し出し成形器に投入し、長径1.3mm、短径1.1mmの四つ葉型形状の押し出し成形物とした。この成形物を、乾燥し、600℃で4時間焼成し、リン含有アルミナ担体を得た。得られたリン含有アルミナ担体をナス型フラスコ中に60.00g投入し、そこへイオン交換水46gに硝酸鉄(III)6.49gとクエン酸4.50gを加えて溶解させた溶液をピペットで添加し、25℃で1時間浸漬後、窒素気流中で風乾し、マッフル炉中120℃で1時間乾燥させ、次いで500℃で4時間焼成し、リン・鉄化合物含有アルミナ担体Aを得た。最終触媒のリン及び鉄の含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
ナス型フラスコ中に、上記リン・鉄含有アルミナ担体(γ−Al2O3ベース、直径1.33mm×1.10mmの四つ葉型成形物)50.00gを投入し、そこへイオン交換水40gに硝酸ニッケル7.21gとモリブデン酸アンモニウム11.36gとオルトリン酸1.00gを投入してクエン酸を加えて溶解させた溶液をピペットで添加し、25℃で1時間浸漬後、窒素気流中で風乾し、マッフル炉中120℃で1時間乾燥させ、次いで500℃で4時間焼成し、触媒Aを得た。触媒Aのモリブデン及びニッケルの担持量(触媒基準、酸化物換算)を表1に、細孔容積、比表面積、平均細孔直径の物性を表2に示した。
比較例1(水素化処理触媒aの調製)
リン酸とともに酸化亜鉛を担体基準、酸化物換算で4質量%になるように混合し、かつ硝酸鉄、クエン酸水溶液の含浸、その後の乾燥、焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理触媒aを調製した。
亜鉛及びリンの含有量に関して、「担体基準、酸化物換算で」とは、担体中に含まれている全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対する亜鉛の酸化物質量、及びリンの酸化物質量の割合を意味する。亜鉛の酸化物質量は酸化亜鉛に、リンの酸化物質量は五酸化二リンに換算してそれぞれ求める。
最終触媒のリン及び亜鉛の含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
また、触媒aのモリブデン及びニッケルの担持量(触媒基準、酸化物換算)を表1に、細孔容積、比表面積、平均細孔直径の物性を表2に示した。
リン酸とともに酸化亜鉛を担体基準、酸化物換算で4質量%になるように混合し、かつ硝酸鉄、クエン酸水溶液の含浸、その後の乾燥、焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理触媒aを調製した。
亜鉛及びリンの含有量に関して、「担体基準、酸化物換算で」とは、担体中に含まれている全ての元素の質量をそれぞれの酸化物として算出し、その合計質量に対する亜鉛の酸化物質量、及びリンの酸化物質量の割合を意味する。亜鉛の酸化物質量は酸化亜鉛に、リンの酸化物質量は五酸化二リンに換算してそれぞれ求める。
最終触媒のリン及び亜鉛の含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
また、触媒aのモリブデン及びニッケルの担持量(触媒基準、酸化物換算)を表1に、細孔容積、比表面積、平均細孔直径の物性を表2に示した。
比較例2(水素化処理触媒bの調製)
硝酸鉄、クエン酸水溶液の含浸、その後の乾燥、焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理触媒bを調製した。
最終触媒のリンの含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
また、触媒bのモリブデン及びニッケルの担持量(触媒基準、酸化物換算)を表1に、細孔容積、比表面積、平均細孔直径の物性を表2に示した。
硝酸鉄、クエン酸水溶液の含浸、その後の乾燥、焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、水素化処理触媒bを調製した。
最終触媒のリンの含有量(触媒基準、酸化物換算)を表1に示した。
また、触媒bのモリブデン及びニッケルの担持量(触媒基準、酸化物換算)を表1に、細孔容積、比表面積、平均細孔直径の物性を表2に示した。
<触媒の物理性状及び化学性状>
〔1〕物理性状の分析(比表面積、細孔容積、平均細孔直径、及び細孔分布)
a)測定方法及び使用機器:
・比表面積は、窒素吸着によるBET法により測定した。窒素吸着装置は、日本ベル(株)製の表面積測定装置(ベルソープMini)を使用した。
・細孔容積、平均細孔直径、及び細孔分布は、水銀圧入法により測定した。水銀圧入装置は、ポロシメーター(MICROMERITICS AUTO−PORE 9200:島津製作所製)を使用した。
〔1〕物理性状の分析(比表面積、細孔容積、平均細孔直径、及び細孔分布)
a)測定方法及び使用機器:
・比表面積は、窒素吸着によるBET法により測定した。窒素吸着装置は、日本ベル(株)製の表面積測定装置(ベルソープMini)を使用した。
・細孔容積、平均細孔直径、及び細孔分布は、水銀圧入法により測定した。水銀圧入装置は、ポロシメーター(MICROMERITICS AUTO−PORE 9200:島津製作所製)を使用した。
b)水銀圧入法の測定原理:
・水銀圧入法は、毛細管現象の法則に基づく。水銀と円筒細孔の場合には、この法則は次式で表される。
D=−(1/P)4γcosθ
式中、Dは細孔直径、Pは掛けた圧力、γは表面張力、θは接触角である。掛けた圧力Pの関数としての細孔への進入水銀体積を測定する。なお、触媒の細孔水銀の表面張力は484dyne/cmとし、接触角は130度とした。
・細孔容積は、細孔へ進入した触媒グラム当たりの全水銀体積量である。平均細孔直径は、Pの関数として算出されたDの平均値である。
・細孔分布は、Pを関数として算出されたDの分布である。
・水銀圧入法は、毛細管現象の法則に基づく。水銀と円筒細孔の場合には、この法則は次式で表される。
D=−(1/P)4γcosθ
式中、Dは細孔直径、Pは掛けた圧力、γは表面張力、θは接触角である。掛けた圧力Pの関数としての細孔への進入水銀体積を測定する。なお、触媒の細孔水銀の表面張力は484dyne/cmとし、接触角は130度とした。
・細孔容積は、細孔へ進入した触媒グラム当たりの全水銀体積量である。平均細孔直径は、Pの関数として算出されたDの平均値である。
・細孔分布は、Pを関数として算出されたDの分布である。
c)測定手順:
1)真空加熱脱気装置の電源を入れ、温度400℃、真空度5×10−2Torr以下になることを確認する。
2)サンプルビュレットを空のまま真空加熱脱気装置に掛ける。
3)真空度が5×10−2Torr以下となったなら、サンプルビュレットを、そのコックを閉じて真空加熱脱気装置から取り外し、冷却後、重量を測定する。
4)サンプルビュレットに試料(触媒)を入れる。
5)試料入りサンプルビュレットを真空加熱脱気装置に掛け、真空度が5×10−2Torr以下になってから1時間以上保持する。
6)試料入りサンプルビュレットを真空加熱脱気装置から取り外し、冷却後、重量を測定し、試料重量を求める。
7)AUTO−PORE 9200用セルに試料を入れる。
8)AUTO−PORE 9200により測定する。
1)真空加熱脱気装置の電源を入れ、温度400℃、真空度5×10−2Torr以下になることを確認する。
2)サンプルビュレットを空のまま真空加熱脱気装置に掛ける。
3)真空度が5×10−2Torr以下となったなら、サンプルビュレットを、そのコックを閉じて真空加熱脱気装置から取り外し、冷却後、重量を測定する。
4)サンプルビュレットに試料(触媒)を入れる。
5)試料入りサンプルビュレットを真空加熱脱気装置に掛け、真空度が5×10−2Torr以下になってから1時間以上保持する。
6)試料入りサンプルビュレットを真空加熱脱気装置から取り外し、冷却後、重量を測定し、試料重量を求める。
7)AUTO−PORE 9200用セルに試料を入れる。
8)AUTO−PORE 9200により測定する。
〔2〕化学組成の分析
a)分析方法及び使用機器:
・触媒中の金属分析は、誘導結合プラズマ発光分析(ICPS−2000:島津製作所製)を用いて行った。
・金属の定量は、絶対検量線法にて行った。
a)分析方法及び使用機器:
・触媒中の金属分析は、誘導結合プラズマ発光分析(ICPS−2000:島津製作所製)を用いて行った。
・金属の定量は、絶対検量線法にて行った。
b)測定手順:
1)ユニシールに、触媒0.05g、塩酸(50%)1mL、フッ酸一滴、及び純水1mLを投入し、加熱して溶解する。
2)溶解後、ポリプロピレン製メスフラスコ(50mL)に移し換え、純水を加えて、50mLに秤量する。
3)この溶液をICPS−2000により測定する。
1)ユニシールに、触媒0.05g、塩酸(50%)1mL、フッ酸一滴、及び純水1mLを投入し、加熱して溶解する。
2)溶解後、ポリプロピレン製メスフラスコ(50mL)に移し換え、純水を加えて、50mLに秤量する。
3)この溶液をICPS−2000により測定する。
表2中の略語の意味は、次の通りである。
SA:比表面積
PV:細孔容積
MPD:平均細孔直径
SA:比表面積
PV:細孔容積
MPD:平均細孔直径
〔重質油の水素化処理反応〕
以下の要領にて、下記性状の常圧蒸留残渣(AR)の水素化処理を行った。先ず、触媒を高圧流通式反応装置に充填して固定床式触媒層を形成し、下記の条件で前処理した。次に、反応温度に加熱した原料油と水素含有ガスとの混合流体を、反応装置の上部より導入して、下記の条件で脱硫反応と分解反応の水素化反応を進行させ、生成油とガスの混合流体を、反応装置の下部より流出させ、気液分離器で生成油を分離した。
以下の要領にて、下記性状の常圧蒸留残渣(AR)の水素化処理を行った。先ず、触媒を高圧流通式反応装置に充填して固定床式触媒層を形成し、下記の条件で前処理した。次に、反応温度に加熱した原料油と水素含有ガスとの混合流体を、反応装置の上部より導入して、下記の条件で脱硫反応と分解反応の水素化反応を進行させ、生成油とガスの混合流体を、反応装置の下部より流出させ、気液分離器で生成油を分離した。
触媒の前処理条件:
触媒の予備硫化は減圧軽油により、水素分圧10.3MPa、370℃において12時間おこなった。その後、活性評価用の原料油に切り替えた。
触媒の予備硫化は減圧軽油により、水素分圧10.3MPa、370℃において12時間おこなった。その後、活性評価用の原料油に切り替えた。
反応条件:
反応温度 ;390℃
圧力(水素分圧);10.3MPa
液空間速度 ;0.4hr−1
水素/油比 ;1068m3/m3
反応温度 ;390℃
圧力(水素分圧);10.3MPa
液空間速度 ;0.4hr−1
水素/油比 ;1068m3/m3
原料油の性状:
油種;常圧残渣油90%と減圧残渣油10%の混合油
硫黄成分;3.87質量%
残炭分;11.7質量%
バナジウム;65ppm
ニッケル;21ppm
油種;常圧残渣油90%と減圧残渣油10%の混合油
硫黄成分;3.87質量%
残炭分;11.7質量%
バナジウム;65ppm
ニッケル;21ppm
脱残炭活性について、以下の方法で解析した。運転開始26日以降に脱硫率(HDS)(%)が90%になるように運転条件を調節した後、生成油を採取し、その性状(脱残炭率(%))を分析した。なお、脱硫率とは、以下のように定義され、脱残炭率は、以下の式(2)により算出した。結果は、表3の通りであった。
脱硫率(HDS)(%):原料中の硫黄分を脱硫反応によって硫化水素に転換することにより、原料油から消失した硫黄分の割合を脱硫率と定義し、原料油及び生成油の硫黄分析値から以下の式(1)により算出した。
脱硫率(%)=〔(Sf−Sp)/Sf〕×100 ………(1)
式中、Sf:原料油中の硫黄分(質量%)
Sp:反応生成油中の硫黄分(質量%)
脱硫率(%)=〔(Sf−Sp)/Sf〕×100 ………(1)
式中、Sf:原料油中の硫黄分(質量%)
Sp:反応生成油中の硫黄分(質量%)
脱残炭率(%)=〔(CCRf−CCRp)/CCRf〕×100 ………(2)
式中、CCRf:原料油中の残炭分(質量%)
CCRp:反応生成油中の残炭分(質量%)
式中、CCRf:原料油中の残炭分(質量%)
CCRp:反応生成油中の残炭分(質量%)
表3に示されるように本発明の水素化処理触媒は、本発明以外の水素化処理触媒を用いたときよりも水素化処理された重質炭化水素油中の残炭分を低減することができることがわかった。
Claims (3)
- リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナを担体として、
前記リン・鉄含有アルミナ担体に周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持してなる重質炭化水素油の水素化処理触媒。 - リン化合物、及び鉄化合物を含むリン・鉄含有アルミナ担体に、周期表第6族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、及び周期表第8〜10族金属から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を担持させる工程を含む、重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法。
- 請求項1に記載の重質炭化水素油の水素化処理触媒の存在下、水素分圧8〜20MPa、反応温度300〜420℃、液空間速度0.1〜2hr−1で、硫黄分を含む常圧蒸留残渣、減圧蒸留残渣、又はこれらの残渣の混合物の接触反応を行うことを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
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-
2018
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