JP4773274B2 - 重質油水素化処理触媒の再生方法 - Google Patents

重質油水素化処理触媒の再生方法 Download PDF

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Description

本発明は重質油水素化処理触媒の再生方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、コークが付着し、触媒活性の劣化した重質油水素化処理触媒を、触媒性能や摩耗強度の低下などを極力損なうことなく、効果的に触媒活性を向上させる重質油水素化処理触媒の再生方法に関するものである。
近年、石油精製分野においては、処理する原油が重質化する傾向にあり、重質炭化水素油を効率的に処理する需要が増大してきている。これに対応して重質炭化水素油を、水素の存在下、高温、高圧の条件で触媒と接触させて水素化処理することにより、良質の軽質油や脱硫重油が得られることが知られており、これまで、重質炭化水素油の接触水素化処理方法の研究が盛んに行われ、多くの方法が提案されている。
例えば、脱金属工程と水素化脱硫工程とからなる技術(例えば、特許文献1参照)、重質炭化水素油の水素化分解処理に用いられる鉄含有アルミノシリケートと無機酸化物とからなる担体に周期表第6族及び第8〜10族の金属を担持させた触媒に関する技術(例えば、特許文献2参照)、脱金属工程、水素化脱硫工程、水素化分解工程の順で重質炭化水素油を水素化処理する技術(例えば、特許文献3参照)、触媒にポリエチレングリコールを添加する技術(例えば、特許文献4参照)などが開示されている。
重質油水素化処理触媒としては、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトなどの無機物担体に、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属を活性金属成分として担持してなる触媒が一般的であり、目的に応じて、多様な組成のものが広く用いられている。例えば、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステンの1種又は2種以上を活性金属成分として含有する坦持触媒(特に、CoO3・MoO3/Al23、NiO・MoO3/Al23、NiO・WO3/Al23等をベースとする触媒)は、水素化脱硫プロセスをはじめとする各種の水素化処理プロセスに、特に好適に利用されている。
これら重質油水素化処理触媒は、反応に使用することによってコークが付着して活性が低下する。この活性が所定の基準以下に低下した触媒は再生して出来るだけ多く繰り返し反応に利用することが好ましい。
この触媒再生は、活性低下の主因であるコークを効率よく除去するために、一般に、活性劣化した触媒を酸素や空気等の酸素含有雰囲気で処理し、該コークを酸化燃焼することによって行われている。コークはこうした酸化燃焼処理によって十分に除去することができるので、これによって触媒活性を回復させることができる。
しかしながら、その酸化燃焼の際、触媒は高温にさらされるために損傷を受けやすい。すなわち、コークの析出等によって活性劣化した触媒から該コークを酸化燃焼除去すれば一時的に触媒活性を回復することができるものの、再生時に触媒の損傷が起こると、触媒活性等の触媒性能は再生毎に新触媒(反応前のフレッシュな触媒)の性能に比べて低下していき、その結果、触媒の繰り返し使用の寿命が顕著に短くなり、プロセス効率の著しい低下を招くことになる。特に、この種の重質油水素化処理触媒は、通常、厳しい条件での反応に使用されることが多く、そのため触媒の再生処理における再生時の触媒の損傷は極めて深刻な問題となる。そこで、酸化燃焼による触媒の損傷を出来るだけ抑制した効果的な触媒の再生方法の開発が強く望まれている。
ところで、この種の重質油水素化処理触媒をコークの酸化燃焼を行って再生する際に、従来の再生方法では、触媒活性の回復をコークの除去という点に専念して行っており、実際残留コーク分が出来るだけ少なくなるように0%を目標とし、多くても0.5質量%未満となるように酸化燃焼による再生処理を行っている。しかしながら、この従来の再生方法のように残留コーク分が0.5質量%未満になるまで過度の酸化燃焼を行うには,触媒を厳しい酸化条件(例えば、高濃度の酸素雰囲気下、高温下、あるいは、長時間の酸素雰囲気下など)にさらす必要があるため、たとえコークの除去による活性の回復がそれなりになされたとしても、触媒の損傷等の他の問題が生じやすい。
なお、コークの酸化燃焼による再生を、低酸素濃度にて段階的に行うことによって酸化燃焼時の過度の発熱を抑制しようとする改善方法も提案されてはいるが、この従来法においても、再生後の残留コーク分を0.5重量%未満としているので、上記同様に触媒自体が必要以上に過度の酸化状態になってしまい、結局は、上記の問題点を十分に解決するに至っていない(例えば、特許文献5参照)。
このように、重質油水素化処理用触媒の再生方法においては、酸化燃焼によってコークを除去するというだけでなく、触媒本来の活性等の性能を極力損なわないように触媒の損傷を十分に抑制することができる再生方法の開発が強く望まれていた。
このような事情のもとで、重質油の水素化処理によって劣化した水素化処理触媒を再生使用するに適した水素化処理触媒として、アルミナ担体にチタニアを添加して再生使用に適した重質油水素化処理触媒(例えば、特許文献6参照)、再生後の触媒上の最終残留コーク量が0.5〜10.0重量%の範囲になるようにコークの酸化燃焼を制御して再生性を向上させた技術(例えば、特許文献7参照)などが開示されている。しかしながら、これらの技術においては、再生性の向上は、必ずしも十分に満足し得るとはいえなかった。
特開昭62−89793号公報 特開平2−289419号公報 特開平1−275693号公報 特開平9−164333号公報 特開昭60−94145号公報 特開2006−61845号公報 特開平5−123586号公報
本発明は、このような状況下で、コークが付着し、触媒活性の劣化した重質油水素化処理触媒を、触媒性能や摩耗強度の低下などを極力損なうことなく、効果的に触媒活性を向上させる重質油水素化処理触媒の再生方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、劣化重質油水素化処理触媒に対して、特定の条件にて、脱油工程、次いでコーク焼成工程を施すことにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)コークが付着し劣化してなる、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含む重質油水素化処理触媒を再生処理する方法であって、
(A)前記の劣化重質油水素化処理触媒を、酸素濃度1容量%以下の低酸素雰囲気下で、400〜600℃で加熱処理し、吸着した油分を低減させる脱油工程、及び
(B)前記脱油工程が施された重質油水素化処理触媒を、酸素濃度15容量%以上の高酸素雰囲気下で、350〜450℃で加熱処理し、コークを焼成除去するコーク焼成工程、
を含み、かつ前記(A)工程の加熱処理温度を、(B)工程の加熱処理温度よりも高くすることを特徴とする重質油水素化処理触媒の再生方法、
(2)(A)脱油工程において、触媒中の残留コーク量を35質量%以下とし、(B)コーク焼成工程において、触媒中の残留コーク量を0.5〜2質量%とする上記(1)に記載の重質油水素化処理触媒の再生方法、
を提供するものである。
本発明によれば、コークが付着し、触媒活性の劣化した重質油水素化処理触媒に、特定の条件にて、脱油工程、次いでコーク焼成工程を施すことにより、触媒性能や摩耗強度の低下などを極力損なうことなく、効果的に触媒活性を向上させる重質油水素化処理触媒の再生方法を提供することができる。
本発明の重質油水素化処理触媒の再生方法は、コークが付着し劣化してなる、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含む重質油水素化処理触媒を再生処理する方法であって、以下に示す(A)脱油工程及び(B)コーク焼成工程を含むことを特徴とする。
本発明の方法が適用されるコークが付着し、劣化してなる重質油水素化処理触媒は、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属成分が無機物担体に担持されている触媒であって、重質油の水素化処理に有効に用いることができる触媒であれば、公知の炭化水素油水素化処理触媒等の各種の組成の触媒を対象とすることができる。もちろん、これらの触媒は前記再生に供する際には、触媒の全体あるいは少なくともその一部にコークが析出しているものであり、再生に供する触媒におけるコークの含有量は、通常は、30〜150質量%である。
このような劣化重質油水素化処理触媒については特に制限はないが、例えば、常圧残油、減圧残油、オイルサンド油、オイルシェール油、原油などを原料油とし、これに、例えば、水素化分解、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化精製などの各種の水素化処理を施すのに用いた触媒を挙げることができる。
その際、水素化処理を実施するための反応条件としては、原料油の種類や目的とする反応等の他の条件によって異なるので一律に定めることはできないが、典型的な反応条件として、例えば、反応温度を300〜480℃の範囲とし、供給水素分圧を1〜25MPaの範囲とする条件を挙げることができる。反応型式としても、特に制限はなく、必要に応じて、例えば固定床、流動床、移動床、懸濁床、沸騰床等の種々の型式が適用可能である。特に固定床に好適に用いることができる。
すなわち、本発明の再生方法は、上記のプロセスにおける触媒の再生方法として特に好適に適用することできる。
本発明の再生方法が適用される前記重質油水素化処理触媒が、どのような種類の活性金属をどのような組成で含有しているのがよいかという点は、担体の種類等の他の条件にも依存するし、用途すなわち目的とする反応やプロセス等によって異なるので、一様に定めることはできない。例えば、水素化脱硫用触媒等の水素化処理触媒として有効であって、かつ、本発明の再生方法によって特に著しい改善効果が期待できる触媒としては、周期表6族金属としてモリブデン又はタングステンあるいはこれらと両方を含有しているもの、周期表9族としてコバルト、周期表10族金属としてニッケル、周期表5族金属としてパナジウムを挙げることができる。中でもモリブデンとタングステンのうちの一方又は両方とニッケルとコバルトのうちの一方又は両方をともに含有しているものが特に好適に使用される。また上記の成分に更にリンが添加されたものも好適に使用できる。
前記水素化処理触媒における周期表6族金属及び/又は周期表9,10族金属の担持量としては、特に制限はないが、通常は、周期表6族金属の担持率が酸化物として0.1〜30質量%の範囲にある触媒、周期表9族金属の担持率が酸化物として0.1〜10質量%の範囲にある触媒、周期表10族金属の担持率が0.5〜10質量%の範囲にあり、かつ周期表5族金属の担持率が0.1〜30質量%の範囲にある触媒が好適に使用される。中でも特に、モリブデンとタングステンのいずれか一方あるいは両方を含有し、これらの金属の合計担持率が0.5〜20質量%の範囲にある触媒、ニッケルとコバルトのうちのいずれか一方あるいは両方を含有し、これらの金属の合計担持率が0.5〜5質量%の範囲にある触媒、周期表5族金属の担持率が0.5〜10質量%の範囲(好ましくは0.7〜5質量%)に有る触媒などが好適に使用される。またリンは酸化物として0.5〜10質量%の範囲にある触媒が好適に使用される。
無機物担体としては、例えばアルミナ、チタニア、ボリア、マグネシア、カルシア、シリカ、ゼオライト、シリカアルミナ、シリカチタニア、アルミナボリア、シリカマグネシア、シリカジルコニアなどを挙げることができる。これらの担体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、特にアルミナが好ましい。
本発明の再生方法が適用される前記各種組成の触媒の中でも、水素化脱硫反応用触媒として特に好適に使用されうる触媒として、例えば、コバルト−モリブデン−ニッケル−バナジウム−アルミナ系のもの、ニッケル−モリブデン−バナジウム−アルミナ系のもの、ニッケル−タングステン−バナジウム−アルミナ系のもの、コバルト−モリブデン−タングステン−バナジウム−アルミナ系のもの、ニッケル−モリブデン−タングステン−バナジウム−アルミナ系のもの、ニッケル−コバルト−モリブデン−タングステン−バナジウム−アルミナ系のもの、コバルト−モリブデン−ニッケル−バナジウム−リン−アルミナ系のもの、ニッケル−モリブデン−バナジウム−リン−アルミナ系のもの、ニッケル−タングステン−バナジウム−リン−アルミナ系のもの、コバルト−モリブデン−タングステン−バナジウム−リン−アルミナ系のもの、ニッケル−モリブデン−タングステン−パナジウム−リン−アルミナ系のもの、ニッケル−コバルト−モリブデン−タングステン−パナジウム−リン−アルミナ系のものなどを例示することができる。なお、これら例示の各種の触媒系は、水素化脱硫用触媒としてだけでなく、例えば、水素化分解用触媒、水素化脱窒素用触媒、水素化脱メタル触媒、水素化精製用触媒等の各種の水素化処理用触媒としても好適に使用することができる。
これらの水素化処理触媒の調製方法については特に制限はなく、公知の各種方法を採用することができる。例えば、前記無機物担体に活性金属成分を担持する方法として、含浸法、イオン交換法、混練法などを用いることができる。本発明の再生方法に適用される水素化処理触媒は、どのような担持方法を用いて調製されたものであってもよいが、特に含浸法で担持されたものが好適である。
次に、本発明の再生方法について説明する。
従来の再生方法では、コークの酸化燃焼処理を行っているので、触媒上の温度は炉内温度より高温になると考えられる。従来、この種の水素化処理用触媒の再生方法においては、触媒の急激な温度上昇により触媒の構造等の損傷が生じて触媒活性等の触媒性能を有効に保持することが困難となり、特に、触媒の強度が低下して再充填が困難になるなど問題点があった。この大きな理由として触媒上の硫黄分が担体と反応して、例えばアルミナ担体の場合は硫酸アルミニウムを生成することが一要因として考えられる。したがって、コークの燃焼条件を制御することが、触媒の変質を防ぐために重要である。
そこで、本発明者らは、コークが付着し劣化してなる、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含む重質油水素化処理触媒を、第一段階の(A)工程において、酸素濃度1容量%以下の低酸素状態にて吸着した余分な油分を加熱処理して除去し、第二段階の(B)工程において、酸素濃度15容量%以上でコークを焼成除去することが有効であることを見出した。
〔(A)工程〕
この(A)工程は、前記の劣化重質油水素化処理触媒を、酸素濃度1容量%以下の低酸素雰囲気下で加熱処理し、吸着した油分を低減させる脱油工程である。
酸素濃度が1容量%を超えると、触媒の温度上昇により、触媒の構造などの損傷が生じやすく、本発明の目的が達せられない場合がある。好ましい酸素濃度は0.8容量%以下である。
当該(A)工程においては、触媒中の残留コ−ク量は、35質量%以下とすることが好ましい。このコーク量を35質量%以下とすることにより、引続いて行われる(B)コーク焼成工程において、過剰燃焼が生じ、触媒の変質が促進されるのを抑制することができる。より好ましい残留コーク量は30質量%以下である。その下限については特に制限はないが、通常10質量%程度である。
なお、本発明における触媒中の残留コーク量は、残留コーク量を測定しようとする触媒を、空気雰囲気下で、550℃、8時間焼成した際に減失した質量を、その焼成後の触媒の質量を基準とした%値で表したものである。
〔(B)工程〕
この(B)工程は、前記(A)脱油工程が施された重質油水素化処理触媒を、酸素濃度15容量%以上の高酸素雰囲気下で加熱処理し、コークを焼成除去するコーク焼成工程である。
酸素濃度が15容量%未満では、コークの焼成除去に長時間を要したり、コークの焼成除去が不十分となるなどして、所望の触媒活性が得られにくい。好ましい酸素濃度は18容量%以上である。その上限については特に制限はないが、通常20容量%程度である。
当該(B)工程においては、触媒中の残留コーク量は、0.5〜2質量%の範囲にすることが好ましい。この残留コーク量を0.5質量%以上とすることにより、過度の酸化燃焼が抑えられ、触媒の変質を抑制することができる。過度の酸化燃焼が生じると、例えば金属成分が高温にさらされ、酸化物の状態になり、融点や揮発点が著しく低下し、金属成分の溶融、飛散、あるいは凝集などが生じやすくなり、その結果、触媒の細孔構造変化(細孔の閉塞等)、比表面積の低下、活性点数の減少(活性金属成分の担持量の減少や不活性化等)などが惹起し、触媒本来の活性などの性能が再生毎に悪化してしまう。したがって、触媒の繰り返し使用寿命が著しく短くなるなどの問題が生じる。また、再生時に生成する硫酸根により担体が硫酸化されて強度の低下や活性金属の担持状態が悪化してしまう。
また、残留コーク量が2質量%以下であれば、コークの残留量が少なく、良好な触媒活性を得ることができる。当該(B)工程におけるより好ましい残留コーク量は、0.8〜1.5質量%である。
本発明の再生方法においては、(A)工程及び(B)工程における残留コーク量を、前記の値に制御する限り、酸化燃焼は種々の条件によって行うことができるが、この場合、(A)脱油工程の温度を、(B)コーク焼成工程の温度よりも高くすることにより、触媒の発熱を伴わずに余分の油分を効果的に除去することができる。具体的には、(A)脱油工程の温度を400〜600℃程度、好ましくは430〜500℃とし、(B)コーク焼成工程の温度を350〜450℃程度、好ましくは370〜400℃とすることが有効である。
前記(A)工程及び(B)工程における酸素濃度は、窒素のような不活性ガスの導入により制御してもよいし、燃焼排ガスのような酸素を含まないガスを導入することや減圧により制御してもよい。また、(B)工程における酸化燃焼処理に用いる酸化燃焼用ガス(導入ガス)としては、空気をはじめ各種の酸素含有ガスが使用可能である。
(B)工程における酸化燃焼用の導入ガスの供給量(供給速度)としては、この再生に供する触媒1g当たり、通常、50〜10000Ncm3/hr、好ましくは、100〜5000Ncm3/hrの範囲に適宜制御するのが適当である。
(A)工程の脱油を行う時間は、特に制限はないが、上記残留コーク量に制御するために必要な時間であって、通常1〜20時間、好ましくは2〜10時間の範囲で適宜制御して、コーク量を指定の範囲に調整する。
また(B)工程の酸化燃焼を行う処理時間も、特に制限はないが、上記残留コーク量に制御するために必要な時間であって通常、1〜20時間、好ましくは2〜10時間の範囲から適宜選択し、コーク量を指定の範囲に調整する。
このような本発明の再生方法によれば、再生時の第一工程[(A)工程]における触媒の残留コーク量が35質量%以下、好ましくは、30質量%以下とし、第二工程[(B)工程]での残留コーク量を0.5〜2質量%、好ましくは、0.8〜1.5質量%の範囲になるように酸化燃焼を制御することにより、適度のコークの除去によって触媒活性等の触媒性能が十分に回復することができる上に、触媒の損傷等の問題の発生を十分に抑制することができ、したがって、本発明の目的を十分に達成することができる。
本発明の再生方法においては、前記処理以外に、必要に応じて、他の再生処理もしくは再生操作、例えば、スチーム処理、不活性ガスによる系のパージなどを適宜付加することもできる。また、再生後の触媒に対して反応前に、必要に応じて適宜、活性化処理(例えば、予備硫化処理、水素ガス等による還元処理など)を施してもよい。
以上のように本発明の再生方法によって再生された重質油水素化処理触媒は、活性等の触媒性能が十分に回復している上に、再生毎の触媒の損傷が著しく少ないので、触媒の繰り返し寿命が著しく向上している。すなわち、本発明の再生方法によって再生された重質油水素化処理触媒は、前記例示の各種の原料油に対する所望の水素化処理プロセス用触媒として有利に利用することができる。
このようにして再生された重質油水素化処理触媒を用いる重質油の水素化処理反応は、再生前と再生後とで、同様な反応に適用されるのが一般的であるが、再生前の反応と再生後の反応を異なるものとしてもかまわない。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、再生触媒の耐摩耗性は、以下に示す方法に従って測定した。
<耐摩耗性>
再生触媒100gを直径30cm、幅20cmの円筒形の回転器に入れ、60rpmで30分間回転させたのち、得られた試料を20メッシュの篩に入れ、100回振って、篩上に残った触媒量を測定し、触媒質量の減少率を粉化率として求め、耐摩耗性を評価した。なお、容器についた粉も、刷毛を用いて全て篩に入れた。この粉化率の値が小さいほど、耐摩耗性が高いことを示している。
調製例1 触媒Aの調製
純水2リットルに水酸化ナトリウム70gを溶解させ、さらに、アルミン酸ナトリウム200gを添加して均一なアルミナ溶液(B1)を得た。また、純水2リットルに硝酸アルミニウム1,000gを溶解させ、アルミナ溶液(A1)を得た。先ず、純水4リットルを70℃に加温し、攪拌しながらアルミナ溶液(A1)をpH3.6になるまで添加した。次に、アルミナ溶液(B1)をpH9.0になるまで添加して、5分間攪拌しながら熟成させた。続いて再びアルミナ溶液(A1)を添加してpHを3.6として、攪拌しながら5分間熟成させた。このように、pHを3.6から9.0の間で変化させる操作を計9回繰り返しベーマイトゲル水溶液を得た。
上記ベーマイトゲルを濾過、脱イオン水で洗浄し、乾燥後、直径1.5mmの円柱形に押出成型した。この押出成型したベーマイトゲルを120℃で160時間乾燥後、さらに550℃で2時間焼成してアルミナ担体(C1)を得た。
次に、炭酸ニッケル69.5g(NiOとして39.7g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸31.5g(純度85質量%、P25として19.5g)を純水250cm3に加えて、攪拌しながら80℃で溶解させ、室温に冷却後、再び純水を加えて250cm3に定容し、含浸液(S1)を調製した。含浸液(S1)を50cm3採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6g添加して、担体(C1)100gの吸水量に見合うように純水にて稀釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、450℃で16時間熱処理し、ニッケル−モリブデン系触媒Aを調製した。こうして得た触媒AはNiOとして3.0質量%、MoO3として13.2質量%、P25として4.0質量%を含有するものであり、平均細孔径は13nm、細孔容量は0.54ミリリットル/g、比表面積は180m2/gであった。
調製例2 触媒Bの調製
炭酸コバルト69.5g(CoOとして39.7g)、三酸化モリブデン220g、正リン酸31.5g(純度85質量%、P25として19.5g)を純水250cm3に加えて、攪拌しながら80℃で溶解させ、室温に冷却後、再び純水を加えて250cm3に定容し、含浸液(S2)を調製した。含浸液(S2)を50cm3採取し、ポリエチレングリコール(分子量400)6g添加して、担体(C1)100gの吸水量に見合うように純水にて稀釈・定容し、常圧にて含浸し、70℃で1時間真空乾燥後、450℃で16時間熱処理し、コバルト−モリブデン系触媒Bを調製した。こうして得た触媒BはCoOとして3.1質量%、
MoO3として13.2質量%、P25として3.9質量%を含有するものであり、平均細孔径は13.3nm、細孔容量は0.54ミリリットル/g、比表面積は185m2/gであった。
調製例3 重質油使用済み触媒Aの調製
調製例1で得たニッケル−モリブデン系触媒Aをサンプルバスケットに充填し、商業稼動装置にて常圧残油の水素化脱硫処理を約1年間行った。脱硫処理は、触媒を予備硫化した後、生成油の硫黄分が一定になるような反応温度を調整しながら続けた。反応終了後、反応器中の触媒に重質軽油を通油することにより洗浄し、触媒を抜出し、使用済み触媒Aを得た。表1に使用した常圧残油の代表性状を示す。
使用済み触媒Aのパナジウム含量は4.6質量%、コーク含量は32.1質量%であった。
調製例4 重質油使用済み触媒Bの調製
調製例2で得たコバルト−モリブデン系触媒Bを用いて、調製例3と同様にして使用済み触媒Bを得た。使用済み触媒Bのバナジウム含量は4.8質量%であり、コーク含量は31.8質量%であった。
Figure 0004773274
調製例5 軽油使用済み触媒Cの調製
調製例1で得たニッケル−モリブデン系触媒Aを使用し、固定床反応器を用いて表2に示す軽油の水素化脱硫処理を4000時間行った。脱硫処理は、予備硫化を行った後、生成油の硫黄分が50ppm一定になるように反応温度を調整しながら続けた。反応終了後、窒素ガスを流通させて乾燥した触媒を抜出し、使用済み触媒Cを得た。使用済み触媒のバナジウム含量は0%であり、コーク含量は5.3質量%であった。
Figure 0004773274
実施例1
調製例3で得たニッケル−モリブデン系の使用済み触媒Aを、回転式焼成炉(回転速度:5rpm)にて100%窒素ガス(酸素濃度0%)を100cm3/分で供給しながら470℃で1時間処理した。その後、19容量%の酸素濃度の空気を100cm3/分で供給しながら、375℃で3時間焼成し再生触媒1とした。この再生触媒1の粉化率は7.9%であった。結果を表3に示す。
実施例2
実施例1において、ニッケル−モリブデン系の使用済み触媒Aの代わりに、調製例4で得たコバルト−モリブデン系の使用済み触媒Bを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、再生触媒2を得た。この再生触媒2の粉化率は7.7%であった。結果を表3に示す。
比較例1
調製例3で得たニッケル−モリブデン系の使用済み触媒Aを、回転式焼成炉(回転速度:5rpm)にて100%窒素ガスを100cm3/分で供給しながら300℃で1時間処理した。その後、19容量%の酸素濃度の空気を100cm3/分で供給しながら、450℃で3時間焼成し再生触媒3とした。この再生触媒3の粉化率は9.7%であった。結果を表3に示す。
比較例2
調製例3で得たニッケル−モリブデン系使用済み触媒Aを、回転式焼成炉(回転速度:5rpm)にて、窒素による前処理は行わずに19容量%の酸素濃度の空気を100cm3/分で供給しながら、375℃で3時間焼成し再生触媒4を得た。この再生触媒4の粉化率は13.2%であった。結果を表3に示す。
比較例3
調製例4で得たコバルト−モリブデン系の使用済み触媒Bを、回転式焼成炉(回転速度:5rpm)にて100%窒素ガスを100cm3/分で供給しながら300℃で1時間処理した。その後、19容量%の酸素濃度の空気を100cm3/分で供給しながら、450℃で3時間焼成し再生触媒5を得た。この再生触媒5の粉化率は10.6%であった。結果を表3に示す。
参考例1
実施例1において、使用済み触媒Aの代わりに軽油処理使用済み触媒Cを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、再生触媒6を得た。この再生触媒6の粉化率は4.4%であった。結果を表3に示す。
参考例2
比較例1において、使用済み触媒Aの代わりに軽油処理使用済み触媒Cを用いた以外は、比較例1と同様な操作を行い、再生触媒7を得た。この再生触媒7の粉化率は4.7%であった。結果を表3に示す。
Figure 0004773274
表3から分かるように、実施例1及び2の再生触媒は、比較例1〜3の再生触媒に比べて、いずれも粉化率が低く、耐摩耗性に優れている。
また、本発明は、特にバナジウムを含む重質油の水素化処理触媒の再生に効果を有することが分かる。
本発明の重質油水素化処理触媒の再生方法は、コークが付着し、触媒活性の劣化した重質油水素化処理触媒を、触媒性能や摩耗強度の低下などを極力損なうことなく、効果的に触媒活性を向上させることができる。

Claims (2)

  1. コークが付着し劣化してなる、周期表5族、6族、9族及び10族に属する金属の中から選ばれる少なくとも1種の金属成分を含む重質油水素化処理触媒を再生処理する方法であって、
    (A)前記の劣化重質油水素化処理触媒を、酸素濃度1容量%以下の低酸素雰囲気下で、400〜600℃で加熱処理し、吸着した油分を低減させる脱油工程、及び
    (B)前記脱油工程が施された重質油水素化処理触媒を、酸素濃度15容量%以上の高酸素雰囲気下で、350〜450℃で加熱処理し、コークを焼成除去するコーク焼成工程、
    を含み、かつ前記(A)工程の加熱処理温度を、(B)工程の加熱処理温度よりも高くすることを特徴とする重質油水素化処理触媒の再生方法。
  2. (A)脱油工程において、触媒中の残留コーク量を35質量%以下とし、(B)コーク焼成工程において、触媒中の残留コーク量を0.5〜2質量%とする請求項1に記載の重質油水素化処理触媒の再生方法。
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