JP2013022378A - 歯科用穿孔ドリルキット - Google Patents

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Abstract

【課題】サージカルガイドを使用する術式と使用しない術式との両方で穿孔ドリルを使用することのできる歯科用穿孔ドリルキットを提供する。
【解決手段】インプラントを顎骨に埋植するための歯科用穿孔ドリルキットであって、穿孔ドリルと、サージカルガイド使用時用のストッパーリングと、サージカルガイドの高さ分だけストッパーリングよりも長寸である、サージカルガイド不使用時用のストッパースリーブと、を少なくとも備え、穿孔ドリルとストッパーリングとストッパースリーブとのそれぞれは、複数の外径サイズのインプラントに対応するべく複数種類準備されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、サージカルガイドを用いた歯科のインプラント治療を行う際に使用される歯科用穿孔ドリルキットに関する。
近年、歯科分野において、インプラントを顎骨に埋植するための穿孔を容易に形成できるように、サージカルガイドと呼ばれる位置決め器具が使用されている。当該サージカルガイドは、患者の顎骨についてCTスキャン撮影を行って顎骨の立体的データを作成し、立体的データに基づいて、インプラントの埋設位置や埋設角度を決定するために使用されるものである。
サージカルガイドを用いて穿孔を顎骨に形成する際には、例えば特許文献1のように、様々な種類やサイズの穿孔ドリルや、穿孔ドリルによる穿孔深さを規制するためのリング等の様々なパーツを含むドリルキットが使用される。
特表2005−518834号公報
特許文献1は、サージカルガイドを使用した歯科インプラント治療を行うための方法及び装置を開示している。すなわち、特許文献1の方法及び装置は、サージカルガイドを使用することを前提としている。
しかしながら、インプラント治療の術中にサージカルガイドを使用しない術式に急遽変更することが求められる場合がある。例えば、奥歯等の治療の難しい部位を治療する際に、サージカルガイドの患部への装着によりサージカルガイド分の高さが上乗せされるために患者には大きく口を開けることが求められるものの、患者によっては大きく口を開けることが困難であるような場合である。あるいは、準備したサージカルガイドを患部に装着したもののサージカルガイドが患部に適合しない場合である。このような場合には、サージカルガイドが患部から取り外されて、サージカルガイドを使用しない術式に急遽変更される。
このようなサージカルガイドを使用しない術式に変更する場合に備えて、術者は、サージカルガイドを用いない術式に対応した別のドリルキットを通常準備している。術者は、サージカルガイドを使用する術式用のドリルキットと、使用しない術式用のドリルキットの両方を準備しておく必要があるために、多大なコスト負担を強いられているという問題がある。
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、サージカルガイドを使用する術式と使用しない術式との両方で穿孔ドリルを使用することのできる歯科用穿孔ドリルキットを提供することである。
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、以下の歯科用穿孔ドリルキットが提供される。
すなわち、本発明の請求項1に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
インプラントを顎骨に埋植するための歯科用穿孔ドリルキットであって、
フランジ部とガイド部と刃部とを有する、顎骨に穿孔を形成するための穿孔ドリルと、
前記穿孔の深さを規定するために前記穿孔ドリルのフランジ部で係止されるとともに前記穿孔ドリルのガイド部に嵌着される、サージカルガイド使用時用のストッパーリングと、
前記穿孔の深さを規定するために前記穿孔ドリルのフランジ部で係止されるとともに前記穿孔ドリルのガイド部に嵌着される、前記サージカルガイドの高さ分の寸法であるか、または、前記サージカルガイドの高さ分だけ前記ストッパーリングよりも長寸法である、サージカルガイド不使用時用のストッパースリーブと、を少なくとも備え、
前記穿孔ドリルと、ストッパーリングと、ストッパースリーブとのそれぞれは、複数の外径サイズのインプラントに対応するべく複数種類準備されていることを特徴とする。
なお、本願におけるサージカルガイドの高さとは、図3に示すサージカルガイド基準距離15のことである。
本発明の請求項2に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
前記ストッパースリーブの数量は、ストッパーリングの数量の2倍であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
前記サージカルガイドには、前記穿孔ドリルのガイド部の回動をガイドするとともに、前記穿孔ドリルのフランジ部又は前記ストッパーリングに当接することにより前記穿孔ドリルの穿孔深さを規制するためのガイドチューブが埋設されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
前記穿孔ドリルと、ストッパーリングと、ストッパースリーブとのそれぞれは、前記インプラントの各外径サイズに対して、2種類の高さ寸法のものと、1種類の高さ寸法のものと、2種類の高さ寸法のものとが準備されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
前記穿孔ドリルとストッパーリングとストッパースリーブとの各外面に対して、前記複数の外径サイズのインプラントに対応した異なった色にそれぞれ着色していることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る歯科用穿孔ドリルキットでは、
前記ストッパーリングは、高さ方向の全長にわたって延びるスリットを有する割りリングであることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る歯科用穿孔ドリルキットは、
前記ストッパースリーブは、前記穿孔ドリルのフランジ部に当接する側の端部から高さ方向に沿って途中まで延びる部分的切欠を複数有することを特徴とする。
請求項1に係る本発明では、患部へのサージカルガイドの装着の有無によりサージカルガイドの高さ分だけ穿孔深さが変動することに対応して、サージカルガイド使用時用のストッパーリングと、サージカルガイドの高さ分だけストッパーリングよりも長寸である、サージカルガイド不使用時用のストッパースリーブと、を備えているので、サージカルガイドを使用する場合と使用しない場合の両方で穿孔ドリルを共用することができるという効果を奏する。
ストッパースリーブがサージカルガイドの高さ分の嵩上げ及び穿孔深さの調節という2つの機能を兼ね備えているのに対して、ストッパーリングが穿孔深さの調節という1つの機能を有している。すなわち、ストッパースリーブが2つの機能を果たすために、ストッパースリーブをストッパーリングよりも数多く準備する必要があるが、穿孔深さの調節機能を発揮するためには、ストッパースリーブの必要最低限の数量は、準備すべきストッパーリングの2倍である。請求項2に係る本発明では、ストッパースリーブの準備すべき数量を少なくすることができ、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
請求項3に係る本発明は、サージカルガイドに埋設されたガイドチューブにより、穿孔位置及び穿孔角度を正確に決めることができるという効果を奏する。
穿孔ドリルとストッパーリングとストッパースリーブの準備数量が多ければ多いほど様々なサイズのインプラントに対応することができるものの、その代わりにコストアップになる。請求項4に係る本発明は、穿孔ドリルとストッパーリングとストッパースリーブとの組み合わせにより、インプラントの各外径サイズに対して4種類の穿孔深さに対応することができ、コストを押さえながら通常のインプラント治療に十分対応することができるという効果を奏する。
請求項5に係る本発明は、同じ外径サイズのインプラントで使用されるものを色で統一することにより、術者の直感的な視認性や操作性が高まるという効果を奏する。
請求項6に係る本発明は、嵌合のための高い加工寸法精度が要求されるスリット無し円筒形状のものよりも、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
請求項7に係る本発明は、嵌合のための高い加工寸法精度が要求されるスリット無し円筒形状のものよりも、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る、歯科用の穿孔ドリルキットの全体構成を示す図である。 インプラント埋植手術で使用されるサージカルガイドの斜視図である。 サージカルガイドと顎骨とインプラントとの位置関係を説明する模式的断面図である。 サージカルガイドを患部に取り付けた様子を説明する断面斜視図である。 サージカルガイドに挿入されたティッシュパンチによる歯肉の切除を説明する断面斜視図である。 サージカルガイドに挿入されたパイロットドリルによる下穴の形成を説明する断面斜視図である。 サージカルガイドに挿入された穿孔ドリルによるフィクスチャー窩の形成を説明する断面斜視図である。 複数の穿孔ドリルとストッパーリングの嵌着の有無との組合せによって規定される複数の刃部突出量(フィクスチャー窩の深さ)を例示する説明図である。 サージカルガイドに挿入されたガイドアンカーによる、形成されたフィクスチャー窩の深さや方向の確認、及び、サージカルガイドの支持を説明する断面斜視図である。 サージカルガイドを用いた場合のフィクスチャードライバーによるフィクスチャーの埋入を説明する断面斜視図である。 サージカルガイドに挿入されたアンカーマウントによる、複数のフィクスチャー窩の形成時にサージカルガイドの位置ブレを防止するためのサーカルガイドの支持を説明する断面斜視図である。 穿孔ドリル等に嵌着されるストッパースリーブを説明する模式的斜視図である。(A)は形成すべきフィクスチャー窩が深いときに使用され、(B)は形成すべきフィクスチャー窩が浅いときに使用される。 複数の穿孔ドリルとストッパースリーブの嵌着の有無との組合せによって規定される複数の刃部の突出量(フィクスチャー窩の深さ)を例示する説明図である。 穿孔ドリルキットに含まれるドリルキーを示す図である。 穿孔ドリルキットに含まれるフィクスチャーホルダーを示す図である。 サージカルガイドに組み込まれるガイドチューブの変形例を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る穿孔ドリルキットを用いたインプラント埋植手術の手順を説明するフローチャートである。
以下に、本発明の一実施形態に係る歯科用の穿孔ドリルキット1を、図1乃至17を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る歯科用の穿孔ドリルキット1の全体構成を示し、歯科用の穿孔ドリルキット1は複数の部品から構成されている。図1に例示した穿孔ドリルキット1を構成する部品は、ガイドチューブ14、ティッシュパンチ20、パイロットドリル22、穿孔ドリル30、硬い骨質用の穿孔ドリル24、ガイドアンカー26、フィクスチャードライバー28、ドリルキー62、ストッパーリング40、ストッパースリーブ50、フィクスチャーホルダー64、及び、アンカーマウント66である。穿孔ドリルキット1を構成する各部品は、複数の外径サイズのフィクスチャー(インプラント)6に対応するべく複数種類準備されている。図1に例示した歯科用の穿孔ドリルキット1では、34サイズ(フィクスチャー6の外径が3.4mm)用、37サイズ(フィクスチャー6の外径が3.7mm)用、42サイズ(フィクスチャー6の外径が4.2mm)用、47サイズ(フィクスチャー6の外径が4.7mm)用、52サイズ(フィクスチャー6の外径が5.2mm)用の合計5種類である。そして、フィクスチャー6の外径サイズに合わせて、構成部品の全てが色分けされているので、術者による各構成部品のサイズ確認を容易にしている。各構成部品において、例えば、34サイズ用には水色に、37サイズ用にはピンク色に、42サイズ用には緑色に、47サイズ用には紺色に、52サイズ用には黄色に、それぞれ着色している。
図2は、インプラント埋植手術で使用されるサージカルガイド10を示す。サージカルガイド10は、インプラント埋植手術の行われる患部に当接する本体部11と、本体部11の所定位置に形成された複数の埋設穴12と、を有する。例えば、インプラント埋植手術の行われる患部の歯牙列について取得した印象(雌型)に基づいて作成した口腔模型にアクリル樹脂等の合成樹脂材料を被せて硬化させることによりサージカルガイド10を作成する。作成されたサージカルガイド10を患部に装着した状態について、X線CT(Computed Tomography)装置を用いて、顎部の三次元X線CT画像を撮影する。コンピュータを用いて、当該画像に基づいてフィクスチャー6の埋植位置及び埋植方向を決定する。そして、フライス盤等の加工装置を用いて、サージカルガイド10の本体部11の所定位置に埋設穴12を形成する。形成された埋設穴12にガイドチューブ14を埋設する。ガイドチューブ14は、穿孔ドリル30等のフランジ部34又はストッパーリング40の下端部46に当接して穿孔深さを規制する上端部14aと、穿孔ドリル30等の回動をガイドするガイド穴14bと、を有する。ガイドチューブ14は、例えばチタン合金からなる。ガイドチューブ14の表面全体には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
図3は、作成されたサージカルガイド10と、歯肉4で覆われた顎骨2と、埋植されるフィクスチャー6との位置関係を説明する模式的断面図である。サージカルガイド10に埋設されたガイドチューブ14の上端部14aと、埋植されるフィクスチャー6の上端部6aとの間のサージカルガイド基準距離15(=サージカルガイドの高さ)は、使用するサージカルガイド10やガイドチューブ14の高さ寸法によって異なる設計事項であるが、例えば9mmである。埋植されるフィクスチャー6の上端部6aは、顎骨2の上端面と実質的に面一になる。図3に示したフィクスチャー6の上端部6aを基準にして、穿孔ドリル30による穿孔深さやフィクスチャー6の埋植深さを規定している。
次に、図1に示した歯科用の穿孔ドリルキット1の各構成部品及びその使用形態について詳細に説明する。
図4に示すように、所定の埋植位置や埋植角度になるようにガイドチューブ14の埋設されたサージカルガイド10は、インプラント埋植手術の行われる、歯肉4で覆われた顎骨2の上に取り付けられる。
図5に示すように、埋植するフィクスチャー6の外径寸法よりも0.2mm大きな外径寸法を有するティッシュパンチ20をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿着し、顎骨2上の歯肉4を切除する。ティッシュパンチ20は、例えばチタン合金からなる。ティッシュパンチ20の代わりにメスを用いて歯肉4を切除する術式であってもよい。ティッシュパンチ20の軸部及びパンチ部分のそれぞれには、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
図6に示すように、フランジ部を有するパイロットドリル22をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿入し、顎骨2の皮質骨を掘削して下穴を形成する。パイロットドリル22は、例えばチタン合金からなる。パイロットドリル22として、例えば、34サイズ(フィクスチャー6の外径が3.4mm)用、及び、37サイズ(フィクスチャー6の外径が3.7mm)用の2種類のものを準備して、パイロットドリル22の軸部及び刃部の先端部分のそれぞれには、34サイズ及び37サイズのそれぞれに対応した着色を施している。パイロットドリル22として、刃先角度が約120度の円錐形状のものを用いることができるが、良好な真円度や位置精度を得るために、鋭く尖った刃先中心が僅かに突出するとともに全体的な刃先角度が約180度になるように研がれたロウソクドリル(一文字ドリルとも言われる)を用いることもできる。
図7に示すように、穿孔ドリル30をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿入し、顎骨2を掘削してフィクスチャー窩7を形成する。フィクスチャー窩7の形成に用いられる穿孔ドリル30は、軸部32と、連結部33と、フランジ部34と、ガイド部35と、刃部36と、注水出口37と、穿孔深さ用目印38と、を備える。穿孔ドリル30は、例えばチタン合金からなる。穿孔ドリル30の軸部32と、刃部36の先端部分とのそれぞれには、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
ガイド部35は、ガイドチューブ14のガイド穴14bに接触しながら回動するように構成されている。刃部36の外径は、所定サイズのフィクスチャー6を埋植できるように寸法構成されている。フランジ部34は、軸部32とガイド部35との境界に設けられている。連結部33は、図示しないハンドピースの駆動ヘッドに対して着脱自在に係合するように構成されている。連結部33に設けられた注水入口(不図示)から注水され、軸部32及びガイド部35の内部に形成された流通孔(不図示)の中を水が流通し、刃部36の上部に設けられた注水出口37から刃部36を注水するように構成されている。例えば、刃部36には3つの注水出口37が120度の角度で等配されている。刃部36の表面に形成されたいわゆるゼブラ模様の穿孔深さ用目印38は、サージカルガイド10を使用しない術式のときに、術者が刃部36のおおよその位置を視認できるように設けられている。
図8に示すように、短寸の刃部36を有する穿孔ドリル30と、長寸の刃部36を有する穿孔ドリル30と、穿孔ドリル30のフランジ部34とサージカルガイド10に埋設されたガイドチューブ14の上端部14aとの間に介在配置されるストッパーリング40と、が準備されている。穿孔ドリル30は、通常の骨質用として使用される。短寸用の穿孔ドリル30は、例えば10mmの穿孔深さを形成するように構成されている。そして、短寸用の穿孔ドリル30にストッパーリング40を嵌着することにより、8mmの穿孔深さを形成することが可能になる。長寸用の穿孔ドリル30は、例えば14mmの穿孔深さを形成するように構成されている。同様に、長寸用の穿孔ドリル30にストッパーリング40を嵌着することにより、12mmの穿孔深さを形成することが可能になる。したがって、ストッパーリング40の穿孔ドリル30への嵌着の有無により、穿孔ドリル30に対する穿孔深さを二段階に調節することができ、短寸及び長寸の2種類の穿孔ドリル30を用いることにより、合計で4種類の穿孔深さ(8mm、10mm、12mm、14mm)に対応することができる。ストッパーリング40は、例えばチタン合金からなる。ストッパーリング40の表面全体には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
サージカルガイド10の使用時に適用されるストッパーリング40は、高さ方向の全長にわたって延在するスリット44を有する割りリングである。ストッパーリング40の高さ寸法は、例えば2mmである。ストッパーリング40の内径が穿孔ドリル30のガイド部35の外径よりも少し小さめに寸法構成されている。スリット44を備えるストッパーリング40は、周方向に弾性的に変形することができる。したがって、ストッパーリング40をガイド部35に嵌着すると、ストッパーリング40の上端部42及び下端部46がフランジ部34の下面及びガイドチューブ14の上端部14aにそれぞれ当接するとともに、ストッパーリング40の内周面43がガイド部35に嵌着する。そして、穿孔ドリル30が回転すると、ストッパーリング40が穿孔ドリル30と一体的に回転し、ストッパーリング40がフランジ部34及びガイドチューブ14に当接することにより、所定の穿孔深さと穿孔角度を持った穿孔を形成することができる。
硬い骨質用の穿孔ドリル24は、穿孔される骨が硬質であるときに、穿孔ドリル30の代わりに使用される。穿孔ドリル24は、フィクスチャー6の埋植を容易にするために、穿孔ドリル30の外径サイズよりも僅かに大径であるように構成されている。硬い骨質用の穿孔ドリル24は、例えばチタン合金からなる。穿孔ドリル24においても、その軸部と、刃部の先端部分とのそれぞれには、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
図9に示すように、ガイドアンカー26をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿入し、形成されたフィクスチャー窩7の穿孔深さや穿孔方向を確認する。それとともに、ガイドアンカー26をサージカルガイド10に挿入した状態にすることで、サージカルガイド10のブレを防止して支持することができる。ガイドアンカー26は、例えばチタン合金からなる。ガイドアンカー26の挿入部分において、例えば8〜10mm部分及び12〜14mm部分が、8mm以下の部分と10〜12mm部分と14mm以上の部分よりも縮径するように構成された段差構造をしており、ガイドアンカー26をサージカルガイド10に挿入した状態でレントゲン撮影する際に、穿孔深さの位置確認を容易にする。ガイドアンカー26の非挿入部分において、いわゆるゼブラ模様の穿孔深さ用目印が形成されており、術者が穿孔深さを視認できるように構成されている。ガイドアンカー26の挿入部分側及び非挿入部分側の各先端部分には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
図10に示すように、フィクスチャー6の装着されたフィクスチャードライバー28をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿着し、フィクスチャー窩7にフィクスチャー6を埋植する。このとき、フィクスチャードライバー28のフランジ部がガイドチューブ14の上端部14aに当接することによりフィクスチャー6の埋植深さが規制されるので、上述したように、埋植されたフィクスチャー6の上端部6aは、顎骨2の上端面と実質的に面一になっている。フィクスチャードライバー28は、例えばステンレス鋼からなる。フィクスチャードライバー28のフィクスチャー6側の先端部分には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
なお、フィクスチャードライバー28にフィクスチャー6が装着された図10に示すような態様とするために、図15に示すフィクスチャーホルダー64を使用することもできる。フィクスチャーホルダー64は、例えばチタン合金からなる。フィクスチャーホルダー64は、ドライバーアタッチメント付きフィクスチャー6からネジを取り除いてドライバーアタッチメントを取り外した後にフィクスチャードライバー28を取り付けるときに、フィクスチャー6を保持するための台座である。フィクスチャーホルダー64の使用で、フィクスチャー6の汚れを回避することができる。
図11に示すように、サージカルガイド10を介して、埋植されたフィクスチャー6にアンカーマウント66を装着した状態にすることで、サージカルガイド10のブレを防止して支持して、他のフィクスチャー6について埋植手術を行うことができる。アンカーマウント66は、例えばチタン合金からなる。アンカーマウント66の外表面全体には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
サージカルガイド10の使用時には、図14に示すドリルキー62を使用することもできる。ドリルキー62は、例えばチタン合金からなる。ドリルキー62は、大径のフィクスチャー窩7を形成する際に使用されて、ドリルキー62をサージカルガイド10のガイドチューブ14に挿着することにより、ガイドチューブ14の実質的なガイド径を縮小させるように穴径を変換することができる。そして、小径の穿孔ドリル30から穿孔をスタートして、順次大径の穿孔ドリル30で穿孔することにより、大径のフィクスチャー窩7を無理なく形成することを可能にする。例えば、52サイズ(フィクスチャー6の外径が5.2mm)用の穿孔を形成する場合、52サイズ−34サイズ変換のドリルキー62と34サイズのパイロットドリル22とで下穴を形成し、52サイズ−34サイズ変換のドリルキー62と34サイズの穿孔ドリル30とで34サイズの穿孔を形成し、52サイズ−42サイズ変換のドリルキー62と42サイズの穿孔ドリル30とで42サイズの穿孔を形成し、52サイズの穿孔ドリル30で52サイズの穿孔を形成することにより、形成される穴径を順次拡大することができる。ドリルキー62の表面全体には、ガイドチューブ14に挿着されるドリルキー62の外径サイズに対応し且つフィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
サージカルガイド10の変形例として、図16に示すように、部分的に切り欠かれたガイドチューブ14を埋設することができる。変形例に係るガイドチューブ14は、穿孔ドリル30等のフランジ部34又はストッパーリング40の下端部46に当接して穿孔深さを規制する上端部14aと、該上端部が部分的に切り欠かれた切欠部14dと、穿孔ドリル30の回動をガイドするガイド穴14bと、を有する。切欠部14dの切欠高さは、例えば3mmである。穿孔ドリル30等の各種構成部品の出し入れが行いやすいような向きに切欠部14dが位置決めされるとともに、サージカルガイド10にも、切欠部14dに連なる切欠部(不図示)が設けられる。このような切欠部14dを設けることにより、奥歯のような術式の困難な部位であっても、横(側方)方向からの出し入れが容易になり、患者の開口量をできるだけ軽減することができる。
サージカルガイド10を使用する術式は、正確な埋植位置や埋植角度を得ることができるのでインプラント治療を安全且つ容易なものとするが、インプラント治療の術前や術中にサージカルガイド10を使用しない術式に急遽変更することが求められる場合がある。準備したサージカルガイド10を患部に実際に装着したもののサージカルガイド10が患部に適合しない場合や、奥歯等の治療の難しい部位を治療する場合である。特に後者は、サージカルガイド10の使用によりサージカルガイド10の高さ分だけ余計に大きく口を開けることが求められるものの、患者によっては大きく口を開けることが困難であるような場合であり、サージカルガイド10を使用する術式ではしばしば起こり得ることである。このようなサージカルガイド10を使用しない術式にも急遽対応することができるように、本発明に係る穿孔ドリルキット1は、ストッパースリーブ50を備えている。
ストッパースリーブ50は、サージカルガイド10の不使用時における、通常の骨質用の穿孔ドリル30や硬い骨質用の穿孔ドリル24に対して適用される。代表的な例として、ストッパースリーブ50を穿孔ドリル30に適用した場合について、図12及び13を参照しながら説明する。
図12に示すように、ストッパースリーブ50として、(A)の短寸のもの(9mm)、及び、(B)の長寸のもの(11mm)の2種類が準備されている。(A)の短寸(9mm)のストッパースリーブ50は1本の目印用リング58を有し、(B)の長寸(11mm)のストッパースリーブ50は2本の目印用リング58を有して、目印用リング58の数で両者を区別することができる。いずれのストッパースリーブ50も、全体として略円筒形状をしており、穿孔ドリル30のフランジ部34に当接する側の上端部52から高さ方向の下向きの途中まで延在する4つの部分的切欠54を側壁面51に有している。2つの部分的切欠54で囲まれた2つの弾性支持部55が、180度の角度で等配されている。ストッパースリーブ50の内径が穿孔ドリル30のガイド部35の外径よりも少し小さめに寸法構成されている。弾性支持部55が径方向に変位することにより、ストッパースリーブ50をガイド部35に嵌着したときに弾性把持力を発揮する。したがって、ストッパースリーブ50をガイド部35に嵌着すると、ストッパースリーブ50の上端部52がフランジ部34の下面に当接するとともに、ストッパースリーブ50の内周面53がガイド部35に嵌着する。ストッパースリーブ50は、例えばチタン合金からなる。ストッパースリーブ50の表面全体には、フィクスチャー6の外径サイズに対応した着色を施している。
いずれのストッパースリーブ50もストッパーリング40より長寸であって、短寸及び長寸のストッパースリーブ50の高さ寸法は、それぞれ9mm及び11mmである。短寸のストッパースリーブ50の高さ寸法の9mmは、図3のところで説明したサージカルガイド基準距離の9mmに対応している。すなわち、ストッパースリーブ50の高さは、等で示したサージカルガイド10の基準距離(9mm)の分を含んでいる。また、長寸のものの高さ(11mm)と短寸のものの高さ(9mm)との差(2mm)は、ストッパーリング40の高さ寸法の2mmに対応している。したがって、長寸のストッパースリーブ50はストッパーリング40有りの場合に対応し、短寸のストッパースリーブ50はストッパーリング40無しの場合に対応している。
図13の(A)及び(B)に示すように、短寸の刃部36を有する穿孔ドリル30が準備されていて、図13の(C)及び(D)に示すように、長寸の刃部36を有する穿孔ドリル30が準備されている。図13の(A)のように、短寸用の穿孔ドリル30に長寸(11mm)のストッパースリーブ50を嵌着することにより、刃部36の刃先量を8mmに規制することができる。図13の(B)のように、短寸用の穿孔ドリル30に短寸(9mm)のストッパースリーブ50を嵌着することにより、刃部36の刃先量を10mmに規制することができる。図13の(C)のように、長寸用の穿孔ドリル30に長寸(11mm)のストッパースリーブ50を嵌着することにより、刃部36の刃先量を12mmに規制することができる。図13の(D)のように、長寸用の穿孔ドリル30に短寸(9mm)のストッパースリーブ50を嵌着することにより、刃部36の刃先量を14mmに規制することができる。
したがって、高さの異なる2種類のストッパースリーブ50を用いることにより、一つの穿孔ドリル30に対して刃部36の刃先量を二段階に調節することができる。そして、高さの異なる2種類のストッパースリーブ50と、短寸及び長寸の2種類の穿孔ドリル30とを組み合わせることにより、合計で4種類の刃部36の刃先量(8mm、10mm、12mm、14mm)を持ったストッパースリーブ50付き穿孔ドリル30を準備したことになる。フィクスチャー6の各外径サイズに対して、高さの異なる2種類のストッパースリーブ50と、1種類のストッパーリング40と、がそれぞれ準備されている。ストッパースリーブ50は、サージカルガイド10の基準距離(9mm)の分の高さを嵩上げするとともに、穿孔ドリル30における刃部36の刃先量(すなわち穿孔深さ)を調節するという2つの機能を果たしており、ストッパースリーブ50は、ストッパーリング40よりも数多く準備する必要がある。したがって、ストッパースリーブ50は、少なくとも、ストッパーリング40の2倍の数量を準備すれば、ストッパーリング40と同じ穿孔深さ調節機能を発揮することができる。
このようなストッパースリーブ50付き穿孔ドリル30をサージカルガイド10の不使用時に適用した場合(すなわちフリーハンドで術式が行われる場合)、ストッパースリーブ50の下端部56が歯肉から露出した顎骨2の皮質骨に当接するまで掘削されて、下端部56が皮質骨の表面に当接することによって掘削がストップして、所定の穿孔深さ(8mm、10mm、12mm、14mm)を持った穿孔を形成することができる。
次に、図17のフローチャートを参照しながら、本発明に係る穿孔ドリルキット1を用いたインプラント埋植手術の手順について説明する。
まず、インプラント埋植手術の術前準備として、患者の顎骨領域の三次元X線CTデータ計測を行い(S10)、当該三次元X線CTデータに基づいてインプラント埋植プランを策定し(S20)、三次元X線CTデータ及び埋植プランに基づいてサージカルガイド10を作製する(S30)。
サージカルガイド10を用いるインプラント埋植手術を開始する(S40)が、作製されたサージカルガイド10を患部に取り付けた状態で、患者の開口が十分であるか、サージカルガイド10が口腔内で適合するかをチェックする(S50)。サージカルガイド10を使用した術式が可能と判断される(S100)と、歯肉の切開や下穴の形成を行った後、インプラント埋植プランを参照して所定サイズの穿孔ドリル30及びストッパーリング40を組み合わせた穿孔ドリル30を準備する(S110)。サージカルガイド10のガイドチューブ14に従って、穿孔ドリル30を用いて所定の径サイズ及び深さの穿孔を形成し、形成された穿孔にフィクスチャー6を埋植する(S120)。インプラント埋植手術の最中に、患者の開口が十分か否かをチェックする(S130)。患者の開口が十分であるならば、インプラント埋植手術を続行して(140)、予定された全てのフィクスチャー6を埋植すると、インプラント埋植手術が完了する(S300)。なお、必要に応じて、ドリルキー62や硬い骨質用の穿孔ドリル24やガイドアンカー26やアンカーマウント66等が適宜に使用される。
上記S50のような術式の初めにおいてサージカルガイド10を使用した術式が不可能と判断される(S100)場合や、上記S130のような術式の途中において患者の開口が不十分であると判断される(S130)場合には、サージカルガイド10を使用しない術式に変更される。
サージカルガイド10を使用しない術式では、インプラント埋植プランを参照して所定サイズの穿孔ドリル30及びストッパースリーブ50を組み合わせた穿孔ドリル30を準備する(S210)。フリーハンドで、ストッパースリーブ50の嵌着された穿孔ドリル30を用いて所定の径サイズ及び深さの穿孔を形成し、形成された穿孔にフィクスチャー6を埋植する(S220)。予定された全てのフィクスチャー6を埋植すると、インプラント埋植手術が完了する(S300)。なお、サージカルガイド10を使用しない術式においても、必要に応じて、硬い骨質用の穿孔ドリル24やガイドアンカー26やアンカーマウント66等が適宜に使用される。
したがって、本発明によれば、サージカルガイド10を使用するインプラント治療の術初や術中において、サージカルガイドを使用しない術式に急遽変更することになっても、ストッパースリーブ50を用いることにより、術式変更に迅速且つ容易に対応することができ、複数のドリルキットを準備する必要が無くなることにより低コスト化に寄与することができる。
1:穿孔ドリルキット
2:顎骨
4:歯肉
6:フィクスチャー(インプラント)
7:フィクスチャー窩
10:サージカルガイド
14:ガイドチューブ
15:サージカルガイド基準距離
20:ティッシュパンチ
22:パイロットドリル
26:ガイドアンカー
28:フィクスチャードライバー
30:穿孔ドリル
40:ストッパーリング
50:ストッパースリーブ
62:ドリルキー
64:フィクスチャーホルダー
66:アンカーマウント

Claims (7)

  1. インプラントを顎骨に埋植するための歯科用穿孔ドリルキットであって、
    フランジ部とガイド部と刃部とを有する、顎骨に穿孔を形成するための穿孔ドリルと、
    前記穿孔の深さを規定するために前記穿孔ドリルのフランジ部で係止されるとともに前記穿孔ドリルのガイド部に嵌着される、サージカルガイド使用時用のストッパーリングと、
    前記穿孔の深さを規定するために前記穿孔ドリルのフランジ部で係止されるとともに前記穿孔ドリルのガイド部に嵌着される、前記サージカルガイドの高さ分の寸法であるか、または、前記サージカルガイドの高さ分だけ前記ストッパーリングよりも長寸法である、サージカルガイド不使用時用のストッパースリーブと、を少なくとも備え、
    前記穿孔ドリルと、ストッパーリングと、ストッパースリーブとのそれぞれは、複数の外径サイズのインプラントに対応するべく複数種類準備されていることを特徴とする歯科用穿孔ドリルキット。
  2. 前記ストッパースリーブの数量は、ストッパーリングの数量の2倍であることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用穿孔ドリルキット。
  3. 前記サージカルガイドには、前記穿孔ドリルのガイド部の回動をガイドするとともに、前記穿孔ドリルのフランジ部又は前記ストッパーリングに当接することにより前記穿孔ドリルの穿孔深さを規制するためのガイドチューブが埋設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の歯科用穿孔ドリルキット。
  4. 前記穿孔ドリルと、ストッパーリングと、ストッパースリーブとのそれぞれは、前記インプラントの各外径サイズに対して、2種類の高さ寸法のものと、1種類の高さ寸法のものと、2種類の高さ寸法のものとが準備されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の歯科用穿孔ドリルキット。
  5. 前記穿孔ドリルとストッパーリングとストッパースリーブとの各外面に対して、前記複数の外径サイズのインプラントに対応した異なった色にそれぞれ着色していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の歯科用穿孔ドリルキット。
  6. 前記ストッパーリングは、高さ方向の全長にわたって延びるスリットを有する割りリングであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の歯科用穿孔ドリルキット。
  7. 前記ストッパースリーブは、前記穿孔ドリルのフランジ部に当接する側の端部から高さ方向に沿って途中まで延びる部分的切欠を複数有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の歯科用穿孔ドリルキット。
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