JP2013018644A - トラクション能力試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際のエレベータの駆動状況に合わせた条件設定を実現してトラクション能力の詳細測定を可能とするトラクション能力試験装置を提供する。
【解決手段】本実施形態にかかるトラクション能力試験装置によれば、駆動モータ及びこの駆動モータにより回転されるメインシーブとを有し、昇降路上部に設けられる巻上機と、前記メインシーブに巻き掛けられるロープと、このロープに吊り下げられる第一の走行体と、前記ロープの、前記メインシーブに対して第一の走行体とは反対側に吊り下げられる第二の走行体と、前記第一及び第二の走行体の昇降を案内するガイドレールとを有し、前記メインシーブと前記ロープとの接触部で生じる摩擦力およびトラクション比を測定することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレベータを安全に駆動するためのトラクション技術において、条件を変化させて詳細な測定を実施するためのトラクション能力試験装置を提供する技術に関する。
従来のトラクション能力試験装置100を図4に示す。図4に示すように、巻上機シーブ(メインシーブ)101に巻き掛けられたロープ102の一端はロープ固定部103に固定され、他端は錘104が取り付けられ鉛直方向に吊るされている。ロープ102は、ロープ固定部103側において固定位置を移動させることができ、巻上機シーブ101に対してロープ102がなす巻付角を段階的に変化させることができる(両矢印α、β)。
ロープ固定部103と巻上機シーブ101の間にはロードセル等の荷重検出装置105が設置され、ロープ張力が測定可能になっている。一方、錘104が吊るされている側のロープ張力は測定せずとも自明である。トラクション能力試験においては、巻上機シーブ101を回転させ、ロープ102が滑る場合と滑らない場合のいずれについても、両方のロープ張力の比からトラクション能力を求めることができる。
上述した試験装置による測定方法では、巻上機シーブに対してロープが常に同じ部分で接触するが、エレベータ装置におけるロープと巻上機シーブとの接触部分は、乗りカゴ及び釣り合い錘の昇降により変動する。そのため、試験装置のロープの摩損状況が、実際のエレベータ装置での現象に比べ不利になるという欠点があった。また、非常制動時を模擬する場合、実際のエレベータで発生する慣性力による影響が再現できないという欠点もあった。
本発明の目的は、上述した従来方法による欠点に鑑み、実際のエレベータの駆動状況に合わせた条件設定を実現してトラクション能力の詳細測定を可能とするトラクション能力試験装置を提供することにある。
本実施形態に係るエレベータのトラクション能力試験装置は、駆動モータ及びこの駆動モータにより回転されるメインシーブを有し、昇降路上部に設けられる巻上機と、上記メインシーブに巻き掛けられているロープと、このロープに吊り下げられる第一の走行体と、上記ロープの、上記メインシーブに対して第一の走行体とは反対側に吊り下げられる第二の走行体と、上記第一及び第二の走行体の昇降を案内するガイドレールとを有し、上記メインシーブと上記ロープとの接触部で生じる摩擦力およびトラクション比を測定することを特徴としている。また、上記構成に加え、上記メインシーブと上記第一の走行体との間に位置変更可能なそらせシーブを有し、メインシーブに対する上記ロープの巻付け角を変更できることを特徴としている。
このように構成することで、実際のエレベータ装置の駆動状況に合わせた条件にて、ロープとメインシーブとの接触部で生じる摩擦力やトラクション比を測定することができる。
また、本実施形態に係るエレベータのトラクション能力試験装置は、上記第一及び第二の走行体が、錘を積載する枠部を有し、重量変更を可能にすることを特徴としている。具体的には、例えばエレベータ装置に用いられる釣り合い錘と同様に、走行体が枠構造を有し、錘の積載により容易に走行体の質量調整を可能とする。このように構成することで、2つの上記走行体のロープの張力を変化させて測定することができ、より実際のエレベータ装置の駆動状況に合わせることができる。
また、本実施形態に係るエレベータのトラクションの能力試験装置は、上記昇降路高さの中間位置に作業台を設けたことを特徴としている。このように構成することで、上記第一及び第二の走行体からの錘の積み下ろしを同時に行うことができ、作業の利便性が向上する。
本発明によれば、ロープ張力と巻付角の変更を容易に可能としつつ、実際のエレベータの駆動状況に合わせたトラクション現象を再現して、詳細な条件下におけるトラクション比や摩擦力の測定を実現できるトラクション能力試験装置を提供できる。
本実施形態に係るエレベータのトラクション能力試験装置の一例を示す概略構成図である。 図1における昇降路上部を示す斜視図である。 本実施形態に係るエレベータのトラクション能力試験装置のメインシーブとそらせシーブの関係を示す概略図である。 従来のエレベータ装置のトラクション能力試験装置を示す概略構成図である。
以下、本実施形態に係るトラクション能力試験装置について図1から図3を参照して詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一例にすぎず、各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正を行えることは勿論である。
図1は、本実施形態にかかるトラクション能力試験装置の全体構成の斜視図を示し、図2は、図1における昇降路上部の機械台8の斜視図を示している。また、図3は、図2におけるA方向から見たメインシーブ91とそらせシーブ10a、10b及び14の関係図を示している。なお、図1及び図2において機械台8上ではロープ6が巻き回されていない状態を示している。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るエレベータのトラクション能力試験装置1において、昇降路2内には2対のガイドレール3a、3bが設けられ、第一及び第二の走行体4a、4bがそれぞれガイドレール3a、3bに案内されて昇降される。
第一の走行体4aは、枠部41a、走行体シーブ42a及びガイド部43aを有している。枠部41aは、エレベータ装置の釣り合い錘と同様の構造で、錘5を出し入れできるようになっており、容易に質量調整が可能となっている。走行体シーブ42aは、枠部41aの上部に設けられており、ロープ6が引き回され、走行体4a、4bは、2:1ローピングで吊るされている。ガイド部43aは、枠部41aの両側面に設けられ、ガイドレール3aに係合するようになっている。走行体4aには、試験中の様々な状況を測定するためのセンサが搭載されており、テールコード7aを介してセンサからの情報を収集することができる。なお、第二の走行体4bは、第一の走行体4aと同一構成となっている。
一方、昇降路2上部には、エレベータ装置における機械室に相当する機械台8が設けられており、巻上機9、走行体そらせシーブ10(10a、10b)、そらせシーブ部11、荷重検出装置12及び巻上機9の駆動を制御する制御装置13が備えられている。
巻上機9は、ロープ6(図示せず)が巻き掛けられるメインシーブ91と、メインシーブ91を駆動する駆動モータ92を有しており、メインシーブ91を回転駆動することによりロープ6を介して走行体4a、4bを昇降させる。メインシーブ91は、巻上機9から容易に着脱が可能であり、例えば径の異なるシーブを用いて試験を行うことができる。
走行体そらせシーブ10a、10bは、第一及び第二の走行体4a、4bが鉛直に昇降するようメインシーブ91からのロープ6を導くためのもので、それぞれ走行体4a、4bの鉛直方向上部に設けられる。また、走行体そらせシーブ10a、10bについても上下に位置移動・固定が可能であり、例えば径の異なるメインシーブへの変更等により走行体そらせシーブ10a、10bの位置変更が必要になる場合などに位置移動・固定が行われる。
そらせシーブ部11は、そらせシーブ14及びシーブ位置調整部15から構成され、そらせシーブ14は、シーブ調整部15から着脱可能であり、径の異なるシーブと付け替えが可能である。シーブ位置調整部15は、立枠部151、立枠部151同士を接続する連結部152及びそらせシーブ14を回動自在に支持するシーブ支持部153から構成されている。シーブ支持部153は、立枠部151の上下方向に移動、固定することが可能であり、メインシーブ91に対するロープ6の巻付け角を変更することができる。
メインシーブ91、走行体そらせシーブ10及びそらせシーブ部11は、それらの回転軸が平行かつ水平の関係で設置されている。
荷重検出装置12は、ロープ張力(トラクション比)を測定するもので、ロープ6の両端部にそれぞれ独立に設けられている。制御装置13は、巻上機9等を制御するためのもので機械台8の壁部に固定されている。
ロープ6は、その一端が昇降路上部に固定され、第一の走行体シーブ42a、走行体そらせシーブ10a、メインシーブ91、そらせシーブ14、走行体そらせシーブ10b及び第二の走行体シーブ42bの順に引き回され、他端が再度昇降路1上部に固定されている。材質としては、エレベータ装置に一般的に使用しているものが用いられるが、フラットベルトや繊維材料といった従来概念のロープに代わるようなものであってもよい。
また、本実施形態にかかるトラクション能力試験装置1は、走行体4a、4bの錘5の積み下ろしを目的として、昇降路内に作業台16が設けられる。作業台16を昇降路2の中間部に設ければ、作業者Xは、2つの走行体4a、4bの錘5の積み下ろしを同時に実施することが可能であり作業の利便性が増す。
また、安全装置としてエレベータ装置と同様に、昇降路下部にバッファ(緩衝装置)17が、上部にはガバナ(調速機)18がそれぞれ設けられる。さらに、走行体4a、4bにセフティリンクを設けてもよい。
図3は、図2におけるA方向から見たメインシーブ91とそらせシーブ10a、10b及び14の関係図を示している。
図3に示すように、本実施形態に係るトラクション能力試験装置1は、上下移動(両矢印δ)可能なそらせシーブ14によりメインシーブ91に対するロープ6の巻付け角(両矢印γ)を自在に変更して試験することができる。また、メインシーブ91は、上述したように駆動モータ92から容易に着脱が可能であり、径の異なったメインシーブ、例えば径の小さいメインシーブ91aに変更し試験を行うことが可能である。メインシーブ91aへの変更に伴い、走行体そらせシーブ10aの位置を変更し、ロープ6aのメインシーブ91aに対する巻付け角の調節も行うことができる(両矢印ε)。
このように本実施形態に係るトラクション能力試験装置1は、錘5を積載した走行体4a、4bがガイドレール3a、3bに沿って昇降(図1:矢印d1、d2)を行うことで、ロープ6とメインシーブ91との接触箇所が実際のエレベータ装置と同様に変動させることができ、これと併せてトラクション能力に大きく影響を与える巻付け角及びメインシーブの径を自在に変更できるため、従来のトラクション能力試験装置ではできなかった実際のエレベータ装置の駆動状況に合わせた条件設定を実現し、トラクション能力等の詳細測定を可能とする。
1、100… トラクション試験装置
2… 昇降路
3a、b… ガイドレール
4a、b… 走行体
5、104… 錘
6… ロープ
7… テールコード
8… 機械台
9… 巻上機
10a、b… 走行体そらせシーブ
11… そらせシーブ部
12、105… 荷重検出装置
13… 制御装置
14… そらせシーブ
15… 位置調整部
16… 作業台
17… バッファ(緩衝装置)
18… ガバナ(調速機)
41a、b… 枠部
42a、b… 走行体シーブ
43a、b… ガイド部
91… メインシーブ
92… 駆動モータ
101… 巻上機シーブ
102… ロープ
103… ロープ固定部

Claims (5)

  1. 駆動モータ及びこの駆動モータにより回転されるメインシーブを有し、昇降路上部に設けられる巻上機と、
    前記メインシーブに巻き掛けられるロープと、
    このロープに吊り下げられる第一の走行体と、
    前記ロープの、前記メインシーブに対して第一の走行体とは反対側に吊り下げられる第二の走行体と、
    前記第一及び第二の走行体の昇降を案内するガイドレールと
    を有し、
    前記メインシーブと前記ロープとの接触部で生じる摩擦力およびトラクション比を測定することを特徴とするエレベータートラクション能力試験装置。
  2. 前記ロープが前記メインシーブと前記第一の走行体との間で巻き掛けられるそらせシーブと、このそらせシーブを回動自在に支持し、かつ位置変更を可能とする位置調整部を有し、前記メインシーブに対する前記ロープの巻付け角を変更できることを特徴とする請求項1に記載のエレベータートラクション能力試験装置。
  3. 前記第一及び第二の走行体は、錘を積載する枠部を有し、重量変更を可能にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータートラクション能力試験装置。
  4. 前記昇降路高さの中間位置に作業台を設けたことを特徴とする請求項3に記載のエレベータートラクション能力試験装置。
  5. 前記ロープの両端部に荷重検出装置を設け、前記メインシーブに作用するロープ張力を測定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のエレベータートラクション能力試験装置。
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