JP2013014702A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性と帯電防止性に優れ、さらに熱可塑性樹脂とポリエーテルエステルアミドとの相容性に優れ、成形性、各種物性等の向上を図れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)ポリフェニレンエーテル樹脂 50〜80質量部、(b)スチレン系樹脂 10〜30質量部、(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂 10〜20質量部、さらに、(d)ゲル含有率40〜98質量%、平均粒子径100〜550nmのゴム質重合体に、例えばスチレンを主体としアクリロニトリルを少量含む単量体成分を含浸させる含浸工程と、その後、該ゴム質重合体に該単量体成分をグラフト重合する重合工程とを経て製造され、Mwが40000〜200000であるグラフト重合体 成分(a)、(b)、(c)の合計100質量部に対して1〜20質量部、を含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、耐熱性と帯電防止性に優れ、さらに熱可塑性樹脂とポリエーテルエステルアミドとの相容性に優れ、成形性、各種物性等の向上を図れる熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂組成物に添加される帯電防止剤として種々のものが提案されている。その中で、ポリエーテルエステルアミドは優れた帯電防止性を付与することが知られ、広く利用されているが、(1)ポリエーテルエステルアミドはポリエーテル成分にポリオキシアルキレングリコール例えば、ポリエチレングリコール等を使用しているため耐熱性が低く、高温での成形に問題がある;(2)ポリエーテルエステルアミドは他の熱可塑性樹脂との相容性に乏しく、成形性に難があり、成形品に層状剥離を生じたり、衝撃強度等の各種物性に劣るという問題があった。上記(2)の問題を解決するため、ポリエーテルエステルアミドにカルボキシル基を有する変性ビニル系重合体を相容化剤として使用する方法(特許文献1)や、ヒドロキシル基を有するビニル単量体を共重合成分とするゴム変性スチレン系熱可塑性樹脂を相容化剤として使用する方法(特許文献2)が知られている。しかしこれらの方法は、多量の相容化剤の添加が必要であり、帯電防止性が低下するという欠点があった。また特許文献3には、特定分子量のポリオキシアルキレングリコール用いて得られたポリエーテルエステルアミドが、透明でかつ永久帯電性に優れているとされているが、上記(1)の耐熱性の問題は依然解決されていない。
特公平4−72855号公報 特開平2−70739号公報 特開平1−144417号公報
したがって本発明の目的は、耐熱性と帯電防止性に優れ、さらに熱可塑性樹脂とポリエーテルエステルアミドとの相容性に優れ、成形性、各種物性等の向上を図れる熱可塑性樹脂組成物の提供にある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、特定量の(a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー、(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂、さらに、特定の(d)グラフト重合体を特定量でもって配合した熱可塑性樹脂組成物が、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の通りである。
1.(a)ポリフェニレンエーテル樹脂 50〜80質量部、
(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー 10〜30質量部、
(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂 10〜20質量部、
(ただし、前記成分(a)、(b)および(c)の合計は100質量部とする)
さらに、
(d)ゲル含有率40〜98質量%、平均粒子径100〜550nmのゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物を主体とし、シアン化ビニル化合物を0.1〜10質量%含む単量体成分を含浸させる含浸工程と、その後、10時間半減期温度が30〜90℃の油溶性熱分解系開始剤を用いて、該ゴム質重合体に該単量体成分をグラフト重合する重合工程とを経て製造されるグラフト重合体であって、前記ゴム質重合体30〜80質量部(固形分換算)に、前記単量体成分70〜20質量部をグラフト重合してなり(ただし、ゴム質重合体と単量体成分との合計で100質量部)、質量平均分子量が40000〜200000であるグラフト重合体 成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
2.前記成分(d)における前記単量体成分が、シアン化ビニル化合物を0.5〜7.5質量%含むことを特徴とする前記1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
3.前記成分(d)における前記ゴム質重合体が、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン非共役ジエン共重合体およびアクリル系ゴムからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする前記1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
4.さらに、(e)アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンおよびイオン解離可能なアニオンによって構成されている金属塩類を含有し、かつ前記成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対する前記(e)成分の割合が0.001〜30質量部であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
5.さらに、(f)−{O(AO)}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物を前記成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対し、0.1〜20質量部含むことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特定量の(a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー、(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂、さらに、特定の(d)グラフト重合体を特定量でもって配合したので、耐熱性と帯電防止性に優れ、さらに熱可塑性樹脂とポリエーテルエステルアミドとの相容性に優れ、成形性、各種物性等の向上を図ることができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
成分(a)ポリフェニレンエーテル樹脂
本発明に用いる(a)ポリフェニレンエーテル樹脂は、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールなどの酸化カップリングにより製造されるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールなどの共重合体、これらの重合体が無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸などにより変性された重合体が挙げられる。通常のポリフェニレンエーテル樹脂は、それ単独では加工が困難であるために、本発明では、下記の成分(b)のスチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマーとブレンドすることにより改質する。
成分(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー
本発明で用いる(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマーにおいて、スチレン系樹脂としては、例えば、汎用ポリスチレン(GPPS)、ポリブタジエン等のゴム成分で強化された耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などを挙げることができる。本発明に用いるスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブテン共重合体などを挙げることができる。これらの共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
本発明においては、相容性の観点から、成分(b)として耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、を使用するのが好ましい。
成分(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂
本発明で用いる(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂は、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の1種である。(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂の具体例としては、ポリエチレングリコール・ポリアミド共重合体、ポリエチレングリコール系ポリエステルアミド共重合体などポリエーテルセグメントを有する制電性エラストマーが挙げられる。好ましくは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物および/またはポリオキシアルキレングリコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
成分(d)グラフト重合体
本発明で用いる(d)グラフト重合体は、ゲル含有率40〜98質量%、平均粒子径100〜550nmのゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物を主体とし、シアン化ビニル化合物を0.1〜10質量%含む単量体成分を含浸させる含浸工程と、その後、10時間半減期温度が30〜90℃の油溶性熱分解系開始剤を用いて、該ゴム質重合体に該単量体成分をグラフト重合する重合工程とを経て製造されるグラフト重合体であって、前記ゴム質重合体30〜80質量部(固形分換算)に、前記単量体成分70〜20質量部をグラフト重合してなり(ただし、ゴム質重合体と単量体成分との合計で100質量部)、質量平均分子量が40000〜200000である。
この成分(d)グラフト重合体の詳細は、特許第4556503号公報に記載され、また、UMG ABS(株)から商品名YE289として市販され公知であるが、以下、当該(d)グラフト重合体について説明する。なお前記YE289は、前記条件を満たすゴム質重合体としてポリブタジエン、芳香族ビニル化合物としてスチレン、シアン化ビニル化合物としてアクリロニトリルを用い、その後、前記油溶性熱分解系開始剤を用いた前記グラフト重合条件に従う重合工程を経て製造された規定質量平均分子量を有するグラフト重合体であり、グラフト共重合体としての成分比は、ブタジエン22質量%、アクリロニトリル4質量%、スチレン74質量%である。
ゴム質重合体は、ゲル含有率が40〜98質量%、好ましくは50〜95質量%であり、平均粒子径が100〜550nm、好ましくは150〜450nmのものである。ゴム質重合体のゲル含有率が40質量%未満では、得られる成形品の耐熱性、成形性、導電性が悪化し、98質量%を超えると十分な物性、例えば耐熱性、成形性、導電性が得られない傾向にある。また、ゴム質重合体の平均粒子径が100nm未満では得られる成形品に十分な物性、例えば耐熱性、成形性、導電性を付与できず、550nmを超えると安定なラテックスが得られない傾向にある。ゴム質重合体の粒子径分布は単一分布であってもよく、複数の分布を有するものであってもよい。
なお、本明細書において、ゴム質重合体のゲル含有率とは、粉体状のゴム質重合体を、トルエン中にて80℃で24時間浸漬した後、200メッシュ金網で濾過し、金網上に残った不溶分の割合(質量%)を求めて得られた値である。
このようなゴム質重合体の具体例としては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン非共役ジエン共重合体、アクリル系ゴムなどを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム質重合体に含浸、グラフトされる単量体成分は、芳香族ビニル化合物を主体として20質量%以上、特に30質量%以上含むものであるが、その他、シアン化ビニル化合物を含み、更には必要に応じて後述するその他の共重合可能な単量体を含んでいてもよい。単量体成分中のシアン化ビニル化合物の含有量は0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜7.5質量%である。シアン化ビニル化合物を含むことにより相容性が良好となり、物性、例えば耐熱性、成形性、導電性が向上するという効果が奏されるが、その割合が多過ぎると相容性が不十分となり、所望の物性(耐熱性、成形性、導電性)が得られない傾向にある。
単量体成分中の芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン等が挙げられ、特に、スチレンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアン化ビニル化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
更に、単量体成分中には、本発明の目的に対して支障のない範囲で、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物と共重合可能な他の単量体を含有させることができる。他の単量体としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクレート、エチルメタクレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−又はβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。また、これらの単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)グラフト重合体を製造するには、まず、前述のゴム質重合体に上記単量体成分を含浸させる。この含浸工程において、含浸温度は40〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましい。また、含浸時間は15〜90分間であることが好ましく、30〜60分間であることがより好ましい。
このようにして、ゴム質重合体の内部に単量体成分を含浸させた後の重合工程では、10時間半減期温度が30〜90℃の油溶性熱分解系開始剤を用いて、グラフト重合を行う。10時間半減期温度が30℃未満の油溶性熱分解性開始剤では、安全性上問題があり、90℃を超えるものでは十分な耐衝撃性補強効果が得られない傾向にある。更に、10時間半減期温度が上記範囲を外れると、目的とする質量平均分子量40000〜200000のグラフト共重合体を得ることが困難となる。
このような油溶性熱分解系開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネイト、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレイト、t−ヘキシルパーオキシピバレイト、アゾイソブチルニトリル等を挙げることができ、これらは1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合方法としては、公知の付加重合法、例えば、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、塊状懸濁重合法などの各種方法を採用できるが、特に、重合を容易に制御できることから、乳化重合法が好適である。また、上記の重合は、一段であってもよいし、多段であってもよい。
この重合に供するゴム質重合体と単量体成分との割合は、ゴム質重合体30〜80質量部(固形分換算)に対し、単量体成分70〜20質量部とする(ただし、ゴム質重合体と単量体成分との合計で100質量部)。ゴム質重合体の割合が30質量部未満で単量体成分が70質量部を超える場合、十分な物性、例えば耐熱性、成形性、導電性が得られない。また、ゴム質重合体が80質量部を超え、単量体成分が20質量部未満の場合も十分な物性、例えば耐熱性、成形性、導電性が得られない。より好ましいグラフト重合割合は、ゴム質重合体40〜70質量部(固形分換算)に対し、単量体成分60〜30質量部である。従って、前述の含浸工程では、ゴム質重合体と単量体成分とをこのような割合で含浸工程に供し、その後、重合工程に移行することが好ましい。
また、重合温度や重合時間などの重合条件は、安全性や効率面などから任意に設定することができる。
このようにして得られる(d)グラフト重合体は、その質量平均分子量が40000〜200000であり、より好ましくは60000〜170000である。質量平均分子量が上記範囲外の場合、これを用いた組成物の衝撃強度や流動性に劣る傾向にある。
なお、このグラフト重合体の質量平均分子量を測定するには、まず、グラフト重合体をテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)中に投入して一晩放置したものを30分間超音波洗浄器にかけて、グラフト体を完全に溶離させた後、遠心分離機を用いて12,000rpmで1時間遠心分離してTHF不溶分(グラフト体)を得る。次いで、このTHF不溶分をクロロホルム中に分散させ、オゾン分解によりゴムを分解してグラフト鎖を回収してから蒸発乾固し、これをTHFに溶解してTHF溶液を得る。そして、このグラフト体を溶解したTHF溶液を試料として用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によってスチレン換算の分子量を測定する。
また、ゴム質重合体の内部には、単量体成分の重合体が内部存在率10〜60質量%の範囲で形成されていることが好ましく、20〜50質量%の範囲で形成されていることがより好ましい(以下、グラフト重合体の単量体成分の重合体の内部存在率を単に「内部存在率」と称す。)。この内部存在率が10質量%未満であると、十分な物性、例えば耐熱性、成形性、導電性が得られないことがあり、一方、60質量%を超えると、得られる成形品の耐熱性、成形性、導電性が低下することがある。ここで、内部存在率とは、グラフト重合体に占めるゴム質重合体に対するゴム質重合体内部に位置する単量体成分の重合体量のことであり、下記数式(1)で定義される値である。なお、ゴム質重合体の内部に位置する単量体成分の重合体は、ゴム質重合体にグラフト結合していなくてもよい。このゴム質重合体内部に位置する単量体成分の重合体量は、簡便な算出方法として、含浸前のゴム質重合体の粒子径とグラフト重合後のゴム質重合体の膨張率を測定し、その体積増加率から単量体の内部残存率を算出することにより求めることができる。
Figure 2013014702
また、(d)グラフト重合体のグラフト率は10〜200質量%が好ましく、20〜180質量%であることがより好ましい。グラフト率が10質量%未満であると、これを用いた組成物の耐衝撃強度が低くなることがあり、200質量%を超えると流動性、耐衝撃性が低下することがある。ここで、グラフト率とは、下記数式(2)で算出される値であり、ゴム質重合体の種類により測定方法を適宜選択することができ、例えば、ポリブタジエンの場合では、オゾン分解法による測定で求めることができる。
Figure 2013014702
また本発明では、帯電防止性をさらに向上させるために、成分(e)として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンおよびイオン解離可能なアニオンによって構成されている金属塩類を配合することができる。
このような成分(e)において、カチオンとなるアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、例えば、Li,Na ,K,Mg,Caなどが挙げられる。カチオンとしては、イオン半径の小さいLi+,Na+,K+が好ましい。また、成分(e)において、イオン解離可能なアニオンとしては、例えば、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-などが挙げられる。好ましくは、ClO4 -,CF3SO3 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-である。上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、中でも、LiClO4,Na ClO4,Mg(ClO42,KClO4,(CF3SO3)Li,(CF3SO22NLi,(CF3SO22NNa,(CF3SO23CLi,(CF3SO23CNaが好ましく、中でもLiClO4,Na ClO4が特に好ましい。
また本発明では、成分(f)として、−{O(AO)}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物を配合することができる。この成分(f)は、帯電防止性をさらに向上させるとともに、成分(e)を使用した場合に、当該成分の溶解性、解離安定性の上昇に効果がある。また、成分(e)の金属塩類は、単体だと可燃性が高いものや、吸湿性が特に高いものがほとんどで、成分(f)にあらかじめ成分(e)を溶解させて使用することにより、工業生産の効率を促す。
本発明における成分(f)は、−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物である。なお、成分(f)としては、分子鎖末端が二重結合をしている炭素原子を有していてもよく、この有機化合物の本発明における成分(f)の範疇にある。本発明に用いられる成分(f)は、例えば、炭素数1〜9の直鎖、または分岐脂肪族アルコール1モルに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜7モル付加して得られるアルコールと、二塩基酸とを原料として、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造することができる。
ここで、上記アルコールの例としては、プロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ブタノールにエチレンオキシド1〜6モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノールにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オクタノールにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜3モル、ノナノールにエチレンオキシド1〜4 モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロキシル化合物が挙げられる。なお、これらの化合物の中で、ブタノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタノールが、加工性とのバランスに良い。また、上記二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられる。
上記原料を使用して製造される成分(f)として、特に好ましくは、下記化学式(1)に示されるアジピン酸ジブトキシエトキシエチル(ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)、または下記化学式(2)に示されるビス(2−ブトキシエチル)フタレートである。
Figure 2013014702
(各成分の配合割合)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
成分(a)ポリフェニレンエーテル樹脂 50〜80質量部、
成分(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー 10〜30質量部、
成分(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂 10〜20質量部、
(ただし、前記成分(a)、(b)および(c)の合計は100質量部とする)
さらに、
成分(d)グラフト重合体 成分(a)、(b)、(c)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
を含有する。
成分(a)が50質量部未満であると耐熱性が悪化し、逆に80質量部を超えると成分(c)のポリエーテルエステルアミドとの相容性が悪化し、成形性、各種物性が低下する。
成分(b)が10質量部未満であると成分(c)のポリエーテルエステルアミドとの相容性が悪化し、成形性、各種物性が低下する。逆に30質量部を超えると耐熱性が悪化する。
成分(c)が10質量部未満であると帯電防止性が悪化し、逆に20質量部を超えると耐熱性が悪化する。
成分(d)が1質量部未満であると成分(a)および(b)と成分(c)のポリエーテルエステルアミドとの相容性が悪化し、成形性、各種物性が低下する。
成分(e)の金属塩類を配合する場合、その配合量は、成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対し、0.001〜30質量部であることが好ましい。下限値は、0.003質量部であることがさらに好ましく、0.01質量部であることがより好ましく、0.1質量部であることがとくに好ましい。また、上限値は、25質量部であることがさらに好ましく、10質量部であることがより好ましく、8質量部であることがとくに好ましく、5質量部であることが最も好ましい。成分(e)の配合量が0.001〜30質量部であることにより帯電防止性の向上効果が発揮される。
成分(f)の有機化合物を配合する場合、その配合量は、成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがさらに好ましい。成分(f)の配合量が0.1質量部以上であることにより、帯電防止性の向上効果が発揮され、20質量部以下であることにより、得られる組成物の成形加工性や各種物性に悪影響を及ぼすことがない。
本発明の組成物には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、各種充填材、安定剤、着色剤、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの、各種添加剤を配合することができる。
本発明の組成物は、予備混合し、溶融混練して、通常の2次加工原料形態であるペレット状コンパウンドとして使用することができる。ペレット加工することによって、各種成分を均一に予備分散ならしめ、高分子特性としての安定性を得ることができる。ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機としては、予備分散、分配、拡散混合を目的とするブレンダーが用いられる。ブレンダーの代表例としては、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー(スーパーミキサー)、タンブラーミキサー、タンブルミキサー、エアーブレンダーなどが挙げられる。これらの予備混合機は、各配合物の形態や拡散レベル、および、溶融混練機に応じて選定される。また、予備混合機を用わず、各配合物をそれぞれ異なるブラベンダーなどの定量切出機を用いて、溶融混練機に投入してもよい。溶融混練機としては、一般的には単軸、二軸押出機、バンバリー式、ロール式などが挙げられる。これらも、組成物の形態や目的、生産性に応じて選定し、溶融混練することにより、ペレット状の原料を製造することが可能である。また、各成分の投入方法、順序も、適宜選択できる。
また、本発明の組成物は、各成分をドライブレンドし、パウダー状の組成物とすることができる。パウダー状の組成物を得るには、上記ペレット状コンパウンドの加工において用いられる予備混合機を用いて、ドライブレンドすればよい。
本発明の組成物は、あらゆる成形方法に対応でき、各成形機で溶融され、異形押出を含む押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、エンボス成形など各種成形機による成形加工が可能である。上記射出成形、押出成形などの成形機は、通常使用される一般的な仕様のものが採用できる。例えば、射出成形の場合、一般的な射出成形機を使用することが可能である。一般的に、ペレット状コンパウンドを用いると、成形品の仕上りが良好であり、物理的性能も安定する。このように、本発明の組成物は、用途に応じて成形方法を選択することができる。
本発明の組成物は、その優れた特性を生かし、OA機器、家電分野、電気・電子分野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、パッケージなどに好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。なお、以下「部」、「%」は質量基準である。
使用原料
成分(a)
ポリフェニレンエーテル樹脂:三菱ガス化学(株)製、商品名ユピエースPX100F
成分(b−1)
耐衝撃性ポリスチレン:東洋スチレン(株)製、商品名H700
成分(b−2)
スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS):クレイトンポリマー社製、商品名クレイトンG1651、スチレン含有量33質量%、質量平均分子量26万
成分(c)
ポリエーテルエステルアミド:三洋化成工業(株)製、商品名ペレスタットHC6800
成分(d−1)
グラフト重合体:UMG ABS(株)製、商品名YE289
成分(d−2)
以下の合成方法により得られたグラフト重合体。
ポリブタジエン−1(ゲル含有率94%、平均粒子径290nm)50部、スチレン47.5部、アクリロニトリル2.5部(単量体成分中の5%)、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ロジン酸ナトリウム1.0部、水酸化カリウム0.05部、純水160部を反応器に仕込み、60℃に昇温して60分間含浸させた後、t−ヘキシルパーオキシピバレイト0.3部を添加し、75℃まで昇温して2時間重合を行った。得られたラテックスに酸化防止剤を添加し、塩化カルシウム水溶液中に投入して凝固させ、洗浄、脱水、乾燥してグラフト重合体(d−2)を得た。
成分(d−3)
以下の合成方法により得られたグラフト重合体。
アクリロニトリルの使用量を12.5部(単量体成分中の25%)に変更した以外は、成分(d−2)の合成方法と同様にして重合を行い、グラフト重合体(d−3)を得た。
成分(d−4)
以下の合成方法により得られたグラフト重合体。
ポリブタジエン−1を、ゲル含有率98%、平均粒子径80nmのポリブタジエンに変更した以外は、成分(d−2)の合成方法と同様にして重合を行い、グラフト重合体(d−4)を得た。
成分(d−2)〜(d−4)において、次の各種特性を測定した。その結果を表1に示す。
<ゴム質重合体のゲル含有量>
粉体状のゴム質重合体をトルエン中に80℃で24時間浸漬した。その後、200メッシュ金網で濾過し、トルエン不溶分の割合(%)を求めて、これをゲル含有量とした。
<ゴム質重合体の平均粒子径>
含浸前のゴム質重合体の粒径を、オスニウム酸を用いて染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて粒子径を測定した。
<グラフト重合体の質量平均分子量>
グラフト重合体をTHF中に投入して一晩放置したものを30分間超音波洗浄器にかけて、グラフト体を完全に溶離させた後、遠心分離機を用いて12,000rpmで1時間遠心分離してTHF不溶分(グラフト体)を得た。次いで、このTHF不溶分をクロロホルム中に分散させ、オゾン分解によりゴムを分解してグラフト鎖を回収してから蒸発乾固し、これをTHFに溶解してTHF溶液を得た。このグラフト体を溶解したTHF溶液を試料として用い、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によってスチレン換算の分子量を測定した。
<グラフト重合体のグラフト率>
上記、グラフト重合体の重量平均分子量を測定する手順の中で、遠心分離してTHF不溶分(グラフト体)までを同様に操作し、このTHF不溶分を抽出して乾燥重量を測定する。次いで、この不溶分をクロロホルム中に分散させ、オゾン分解によりゴムを分解してグラフト鎖を回収し乾燥重量を測定する。このようにしてオゾン分解前の重量(式(2)の分母)とオゾン分解後の重量(式(2)の分子)から、ゴム質重合体にグラフトしている単量体を求めた。
<グラフト重合体の内部存在率>
グラフト重合前(含浸前)のゴム質重合体の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)にて測定したが、同様にして、グラフト重合を行った後のゴム質重合体の粒子径をTEMにて測定した。単量体がゴム質重合体内部に存在した場合、粒子径は大きくなるため、重合前と重合後の平均体積増加分から単量体の内部残存率を求めた。
Figure 2013014702
成分(e)
過塩素酸リチウムLiClO4
成分(f)
ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート
実施例1〜7および比較例1〜7
以下の表2の配合割合に従って、本発明の組成物を調製した。
なお、混合方法は、配合物をブレンド後、2軸の押出機にて樹脂温度250〜280℃で混練し、ペレット化した。続いて、下記に示す試験方法に従って試験片を作成し、(1)〜(4)の各種試験を行なった。
(1)荷重たわみ温度HDT(1.8MPa荷重)
ASTM D648に準拠し、荷重1.8MPaで測定した。試験片はASTM規格の1/4インチ試験片を用いた。
(2)押出成形性
単軸の押出機(L/D=28、T型ダイ)で押出ダイ温度240〜260℃、シリンダー温度230〜260℃で50mm×1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:やや表面外観が劣るが他は問題がない。
△:やや表面外観と形状(エッジ部の再現性)に問題がある。
×:悪い
(3)射出成形性
型締め力120トンの射出成形機を用い、成形温度250℃、金型温度40℃、射出速度55mm/秒、射出圧力600kg/cm、保圧圧力400kg/cm、射出時間6秒、冷却時間45秒で13.5×13.5×2mmのシートを成形した。デラミネーション、表層剥離、ひけ、変形及び著しく外観を悪化させるようなフローマークの有無を目視により判断し、次の基準で評価した。
◎:全く不具合がない。
○:わずかにフローマークが見られるが、他は問題がない。
△:わずかにフローマーク、ひけが見られる。
×:悪い
(4)体積固有抵抗値(VR)
幅6cm×長さ6cm×厚み0.3cmの射出成形試験片を用い、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、ASTM D257に準じて測定を行った。測定条件は温度23℃、湿度50%、印加電圧500Vであった。
結果を表2に併せて示す。
Figure 2013014702
表2の結果から、実施例の各組成物は、特定量の(a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー、(c)ポリエーテルエステルアミド樹脂、さらに、特定の(d)グラフト重合体を特定量でもって配合したので、HDTが高く、すなわち耐熱性に優れ、また、成分(a)および(b)の熱可塑性樹脂と成分(c)のポリエーテルエステルアミドとの相容性に優れていることから、押出成形性、射出成形性が向上していることが分かる。
これに対し、比較例1は、成分(a)および(b)の配合量が本発明で規定する範囲外であるため、HDTが悪化した。
比較例2は、成分(b)の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、成分(a)および(b)の熱可塑性樹脂と成分(c)のポリエーテルエステルアミドとの相容性に乏しく、押出成形性、射出成形性が悪化した。
比較例3は、成分(c)の配合量が本発明で規定する下限未満であるので、体積固有低効率VRが悪化し、所望の帯電防止性が得られなかった。
比較例4は、成分(a)および(c)の配合量が本発明で規定する範囲外であるため、体積固有低効率VRが悪化し、所望の帯電防止性が得られなかった。
比較例5は、成分(c)の配合量が本発明で規定する上限を超えているので、HDTが悪化した。
比較例6は、成分(d)におけるシアン化ビニル化合物量および質量平均分子量が本発明で規定する範囲外であるため、押出成形性、射出成形性が悪化した。
比較例7は、成分(d)におけるゴム質重合体の平均粒子径が本発明で規定する下限未満であるため、押出成形性、射出成形性が悪化した。

Claims (5)

  1. (a)ポリフェニレンエーテル樹脂 50〜80質量部、
    (b)スチレン系樹脂及び/またはスチレン系エラストマー 10〜30質量部、
    (c)ポリエーテルエステルアミド樹脂 10〜20質量部、
    (ただし、前記成分(a)、(b)および(c)の合計は100質量部とする)
    さらに、
    (d)ゲル含有率40〜98質量%、平均粒子径100〜550nmのゴム質重合体に、芳香族ビニル化合物を主体とし、シアン化ビニル化合物を0.1〜10質量%含む単量体成分を含浸させる含浸工程と、その後、10時間半減期温度が30〜90℃の油溶性熱分解系開始剤を用いて、該ゴム質重合体に該単量体成分をグラフト重合する重合工程とを経て製造されるグラフト重合体であって、前記ゴム質重合体30〜80質量部(固形分換算)に、前記単量体成分70〜20質量部をグラフト重合してなり(ただし、ゴム質重合体と単量体成分との合計で100質量部)、質量平均分子量が40000〜200000であるグラフト重合体 成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
    を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記成分(d)における前記単量体成分が、シアン化ビニル化合物を0.5〜7.5質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記成分(d)における前記ゴム質重合体が、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン非共役ジエン共重合体およびアクリル系ゴムからなる群より選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに、(e)アルカリ金属またはアルカリ土類金属であるカチオンおよびイオン解離可能なアニオンによって構成されている金属塩類を含有し、かつ前記成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対する前記(e)成分の割合が0.001〜30質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. さらに、(f)−{O(AO)}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基である有機化合物を前記成分(a)、(b)および(c)の合計100質量部に対し、0.1〜20質量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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