JP2013013599A - 医療用部品およびその製造方法、並びに医療機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】挿通された線状部品とのクリアランスが小さくても、線状部品の挿入性や操作性が良好な医療用部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ステンレス鋼で形成された管状の針管1は、内面3の表面粗さRaが1.0マイクロメートル以下であり、かつ内面の表面における、酸化被膜の鉄元素に対する酸素の割合が40%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療用部品、より詳しくは、細い管状に形成された医療用部品およびその製造方法、並びに当該医療用部品を備える医療機器に関する。
従来、細いパイプ状に形成された医療用部品、例えば生検吸引に用いられる針管等が知られている。針管等の医療用部品は、例えばスタイレット(線状部品)が挿通された状態で、内視鏡に挿入されて処置を行う部位まで導入される。
特許文献1には、穿刺針(針管)と、穿刺針に挿通されるスタイレットとを備えた内視鏡用穿刺針装置が記載されている。スタイレットは、針管内に目的外の組織が進入することを防いだり、内視鏡等に挿入される針管に対して曲げ弾性を補強して好適に進退させたりする機能を発揮するもので、状況に応じて針管に対して進退させて使用される。
特開平7−178098号公報
上述の穿刺針装置を始めとする内視鏡用処置具は、患者の侵襲を低減する観点から、さらなる小径化が進められている。そのため、針管等やスタイレットもさらに小径化が進む環境にある。小径化が進むと、針管の内面とスタイレットの外面とのクリアランスは小さくなる傾向にあるため、スタイレットの針管に対する挿入性や操作性が低下する可能性がある。
スタイレットの挿入性および操作性を向上させる方法として、スタイレットを先端に向かって細くすることが考えられる。しかしながら、スタイレットの先端側を細くしすぎると、目的外の組織が針管内に進入することを防ぐ等の本来の目的に悪影響を及ぼす恐れがある。
また、研磨等により針管等の内面を滑らかにするアプローチも考えられる。しかしながら、詳細は後述するが、発明者は、単に針管等の内面を滑らかにするだけでは、挿入性や操作性を充分に向上させることは困難であることを見出した。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、挿通された線状部品とのクリアランスが小さくても、線状部品の挿入性や操作性が良好な医療用部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、線状部品を好適に進退させることができる医療機器を提供することである。
本発明の第一の態様は、ステンレス鋼で形成された管状の医療用部品であって、内面の表面粗さRaが1.0マイクロメートル以下であり、かつ前記内面の表面における、酸化被膜の鉄元素に対する酸素の割合が40%以上であることを特徴とする。
本発明の第二の態様は、管状に形成された医療用部品の製造方法であって、ステンレス鋼で形成されたパイプを、ダイスを用いて引き抜き延伸加工する引き抜き延伸工程を備え、最後に行われる前記引き抜き延伸加工は、前記パイプにプラグを挿通した状態で行われることを特徴とする。
本発明の医療用部品の製造方法は、前記引き抜き延伸工程の後に、前記パイプを前記ステンレス鋼の酸化温度以上の温度で所定時間保持する熱処理工程をさらに備えてもよい。
本発明の第三の態様は、本発明の医療用部品と、前記医療用部品に進退可能に挿通される線状部品とを備えることを特徴とする。
本発明の医療用部品およびその製造方法によれば、挿通された線状部品とのクリアランスが小さくても、線状部品の挿入性や操作性が良好な医療用部品を提供することができる。
また、本発明の医療機器によれば、線状部品を好適に進退させることができる医療機器を提供することができる。
本発明の第一実施形態における針管の先端側を示す図である。 本発明の第二実施形態における医療機器の先端側を示す図である。 同医療機器のスタイレットを示す図である。 (a)および(b)は、いずれも同スタイレットの先端部の形成方法を示す図である。 スタイレットの比較実験の条件を説明するための図である。 スタイレットの外面と、針管内面との接触圧を検討したシミュレーション結果を示すグラフである。
本発明の第一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態における医療用部品である針管1の先端側を示す図である。針管1は、ステンレス鋼(SUS)で管状に形成されており、鋭利な先端2を有する。針管1の内面3は、挿通されるスタイレット等の線状部品がスムーズに進退されるよう、凹凸の少ない滑らかな状態となるよう処理されている。内面の表面粗さRaは、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下とされるのがより好ましい。
針管1の内面を滑らかに加工することで、線状部品の進退抵抗は減少する。しかしながら、詳細は後述するが、内面に金属材料が露出していると、線状部品の金属材料と凝着を起こすことにより、進退抵抗が増大する。
そこで、針管1においては、内面を滑らかにするとともに、研磨処理等により内面において酸化被膜の一部が失われている場合は、酸化被膜を回復させて金属材料をそのまま露出させないようにしている。酸化被膜の状態は、パイプ内面表面の鉄元素に対する酸素の割合を指標として判断することができ、酸素の割合が40%以上であると、内面における金属材料の露出を好適に抑制することができる。
針管1は、様々な手順により製造することができるが、以下にその一例である本発明の医療用部品の製造方法の流れについて説明する。
まず、針管1の材料となるSUS製のパイプを、ダイスで外径を規制しながら引き抜き延伸加工を行って細くする。ダイスを徐々に内径の小さいものに交換しながら、所望の径になるまで引き抜き延伸加工を繰り返す(引き抜き延伸工程)。このとき、少なくとも最後の引き抜き延伸加工においては、パイプに芯金(プラグ)を通した状態で行う(芯引き。プラグ引きとも呼ばれる。)。引き抜き延伸加工により、パイプの内面には凹凸が発生し、荒れて不整になってくるが、パイプにプラグを通して引き抜き延伸加工を行うことにより、パイプの内面がプラグに押し付けられて凹凸の高低差が小さくなり、滑らかになる。
引き抜き延伸工程において、何種類のダイスを使用するか、何回延伸加工を行うか、またそのうち何回を、プラグを通した状態で行うか等については、適宜設定されてよい。また、途中に随時加熱処理による焼きなまし工程が挿入されてもよい。完成した針管の内面の表面粗さRaは、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下とされるのがより好ましい。引き抜き延伸工程のみで表面粗さRaが1.0μm以下とならない場合は、引き抜き延伸工程後にパイプ内面の研磨処理を行ってもよい。研磨処理は、粒状の研磨剤を用いた物理的な研磨や、薬品を用いた化学研磨など、公知の方法を適宜選択して行ってよい。
引き抜き延伸工程後、内面の表面粗さRaが所定値以下に処理されたパイプは、材料であるSUSの酸化温度以上の温度で所定時間保持され、内面表面の鉄元素に対する酸素の割合が40%以上に上昇させられる(熱処理工程)。熱処理は、大気中、酸素雰囲気中のいずれで行ってもよく、時間は例えば5〜60分の間で適宜設定されてよい。
熱処理工程により、パイプの表面が酸化して酸化被膜が形成される。特にパイプの内面では、引き抜き延伸工程や追加された研磨処理等において失われた酸化被膜が好適に回復される。
熱処理工程後、先端を研磨して鋭利に加工すると、針管1が完成する。
本実施形態の針管1は、表面粗さRaが1.0μm以下、かつ内面の酸化被膜における鉄元素に対する酸素の割合が40%以上であるため、スタイレットとのクリアランスが小さくても、挿通されたスタイレットを好適に進退させることができる。以下、この点について、実施例と比較例とを示して説明する。
(実施例イ)
外径4.0mm、内径3.6mmのSUS304製パイプを、外側にダイス、内側にプラグをセットした状態で、1回引き抜き延伸加工を行い、その後、熱処理を施し、加工硬化を低減した。ダイス、プラグの径を1工程ごとに徐々に細くしながら複数回引き抜き延伸加工を行った。すべての引き抜き延伸加工を、外側にダイス、内側にプラグをセットした状態で行ったが、加工硬化を除去する熱処理は、途中の引き抜き延伸加工後まで実施し、その後は行わなかった。以上の内容の引き抜き延伸工程により、外径1.0mm、内径0.5mm、長さ2mのパイプを得た。
引き抜き延伸工程後、大気中で300℃〜500℃で60分加熱することにより熱処理工程を行った。熱処理工程後、パイプの片端を回転砥石により針先加工を行い、針管を得た。
実施例イは、上述した本発明の医療用部品の製造方法により製造された針管である。
(実施例ロ)
熱処理工程を行わなかった以外は、実施例イと同一の手順として針管を得た。
実施例ロの針管は、上述した医療用部品の製造方法のうち、熱処理工程を省略して製造された本発明の医療用部品である。
(実施例ハ)
引き抜き延伸工程はプラグを用いず、ダイスのみを用いて行った。熱処理工程、および針先加工は実施例イと同様に行い、引き抜き延伸工程と熱処理工程との間で、粒状の研磨剤を用いてパイプの内面を研磨加工した。
実施例ハの針管は、本発明の医療用部品の製造方法によらず製造された本発明の医療用部品である。
(比較例イ)
実施例イと同一のパイプを材料として用いた。引き抜き延伸加工はプラグを用いず、ダイスのみを用いて行い、熱処理工程は実施せずに外径1.0×内径0.5、長さ2mのパイプを得た後、実施例1と同様の針先加工を行い、針管を得た。
(比較例ロ)
引き抜き延伸加工後に、化学研磨によりパイプの内面を研磨した以外は、比較例イと同一の手順として針管を得た。
(比較例ハ)
引き抜き延伸加工を実施例イの引き抜き延伸工程と同様に行った以外は、比較例ロと同一の手順として針管を得た。
各例の針管について、内面粗さRa、および内表面の鉄元素に対する酸素の割合を測定した。元素の分析は、針管を軸方向にカットし、露出した内表面をEPMA(Electron Probe MicroAnalysis)にて分析することにより行った。加速電圧は10kVとした。結果を表2に示す。
Figure 2013013599
表1に示すように、実施例の針管は、いずれも表面粗さRaが1.0μm以下、かつ内面の酸化被膜における鉄元素に対する酸素の割合が40%以上であった。これらの針管に、外径0.48mm、長さ2mmのNi−Ti製の線状部材を挿入して進退させたところ、引っ掛かりは発生せず、スムーズに進退させることができた。
これに対し、比較例イの針管は、表面粗さRaが1.3μmであり、上記線状部材を挿入して進退させたところ、引っ掛かりを生じた。
また、比較例ロおよびハでは、表面粗さRaが1.0μm以下であったため、当初、線状部材の進退時に引っ掛かりが生じなかったものの、挿入量を増やしていくと、ある時点で急に進退抵抗が増大し、進退操作が顕著に重くなるという現象が見られた。これは、針管内面の酸化被膜において、鉄元素に対する酸素の割合が40%未満であるため、初期の状態から金属素地が一部露出していたか、もしくは線状部材の進退操作により酸化被膜が失われて針管内面の金属素地が容易に露出し、針管と線状部材との間で金属材料の凝着が発生することによるものと推測された。この現象は、発明者が初めて見出したものであり、針管等の外側部材において、単に内面を滑らかにするように研磨等の加工を行うのみでは、必ずしもスタイレットの挿入性の恒常的な改善が得られないことがある可能性を示すものである。
続いて、本発明の第二実施形態について図2から図6を参照して説明する。第二実施形態は、第一実施形態の針管1と、針管1と好適に組み合わせることができる線状部品とを備えた医療機器である。なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図2は、本実施形態の医療機器41の先端側を示す図である。医療機器41は、針管1と、針管1に進退可能に挿通されたスタイレット(線状部品)51とを備えている。
図3は、スタイレット51を示す図である。スタイレット51は、ステンレス鋼(SUS)からなる中空の本体52と、本体52の一方の端部に設けられたツマミ60とを備えている。ツマミ60は、針管1に対してスタイレット51を進退させる際に使用者が把持する部分であり、樹脂等からなる公知の構成を有する。したがって、ツマミ60は公知の各種構成のものを適宜選択して採用してよい。
本体52は、SUSで形成された中空のパイプからなり、ツマミ60が取り付けられていない端部(先端)が、略半球状に丸められた先端部53となっており、先端側の開口が閉塞されている。本体52を形成するSUSとしては、特に制限はなく、注射針で使用されるSUS304など各種のSUSを用いることができる。また、本体52の外径および肉厚は、用途や、スタイレット51が挿通される外側部材の寸法等により適宜決定されてよいが、概ね外径は外側部材の内径より0.005mm〜0.5mm小さくすることが望ましい。これ以上外径が大きくなると外側部材とのクリアランスが小さくなり挿入抵抗が上昇し、操作性が悪化する。これ以上外径が小さくなると外側部材とのクリアランスが大きくなり、押し出し性が低下する。従って特に操作性を重視する場合には、本体の外径は外側部材の内径よりも0.2〜0.5mm小さい範囲とすることがさらに望ましく、特に押し出し性を重視する場合には、本体の外径は外側部材の内径より0.005〜0.2mm小さい範囲にすることが望ましい。操作性と押し出し性のバランスを重視する場合には0.02〜0.3mm小さい範囲にすることが望ましい。
本体52の肉厚は製造のし易さや強度不足による座屈防止といった点から0.02mm以上であることが望ましく、曲がりやすさによる挿入のしやすさといった観点から1.0mm以下であることが望ましい。さらに言えば挿入のしやすさを重視する場合には0.02〜0.6mmの範囲が望ましく、製造のしやすさ、座屈防止といった点を重視する場合には0.6〜1.0mm、両者のバランスを取る場合には0.05〜0.8mmの範囲を選択することが望ましい。
図4は、先端部53の形成方法を示す図である。先端部53は、本体の材料となるSUS製のパイプの先端部を局所的に溶融し、その後冷却・固化させることにより形成される。溶融されたパイプの一部は表面張力により球状または略球状に変形した後、冷却・固化される。これにより、略半球状の先端部が形成される。例えば、図4(a)に示すように、SUS製のパイプ52aの先端部52bにレーザー装置100からYAGレーザーLを照射して先端部52bを局所的に溶融させる。溶融された金属材料は表面張力により半球状に変形し、その後冷却・固化されると、図4(b)に示すように、略半球状の先端部53がパイプ52aの一端に形成される。先端部53を備えたパイプ52aを所定の長さに切断し、必要に応じて後加工等を行うと、本体52が完成する。
なお、先端部52bを溶融させる手段は、上述のYAGレーザーには限定されず、例えば、炭酸ガスレーザー等の他のレーザー、電子ビーム、TIG溶接等のアーク溶接等で使用される各種溶接用加熱手段が用いられてもよい。ここで、溶接用加熱手段を用いる場合は、先端部に他の部材を溶接するのではなく、あくまでも当該溶接の手法を用いて先端部を溶融させるだけである。
上記のように形成されたスタイレット51の作用効果について説明する。
スタイレット51の本体52は、中空構造を有するため、同一外径を有する中実の部材と比較して、断面二次モーメントが小さい。その結果、挿通される針管1の湾曲や蛇行により本体52に作用する曲げモーメントに対して曲がりやすくなり、当該湾曲、蛇行等に好適に追従して変形するため、良好な挿入性を示す。
また、本体52はSUS製であるため、超弾性合金と異なり、曲げ負荷が一定量に達すると、塑性変形を生じる。特に、先端側に生じたわずかな塑性変形により、スタイレット51の先端が針管1の内壁に突き当たりにくくなり、スタイレット51と針管1との接触圧が減少される。さらに、略半球状に加工されたスタイレット51の先端部53は、針管1の内面との引っ掛かりを発生させにくく、これらは相まって、スタイレット51の挿入性向上に寄与し、針管1内においてスタイレット51をスムーズに進退させることができる。
本実施形態におけるスタイレット51は、SUS製であるため、超弾性合金のスタイレットよりも材料コストが低い。また、超弾性合金のスタイレットよりも剛性が高く、軸線方向の力がより効率よく先端側まで伝達される。その結果、生体組織の押し出し性にも優れており、外側部材が針管の場合は、針管内に進入した検査対象外の組織等を好適に針管外に排出することができる。
さらに、上述のように挿入性も良好であるため、押し出し性と挿入性とが高いレベルで両立されたスタイレットとなっている。
また、上述したスタイレット51の製造方法においては、先端部を局所的に溶融させるだけで略半球状の先端部53が形成されるため、先端部を形成するために研磨加工等が必要なく、簡便に、かつ効率よく製造することができる。したがって、材料コストに加えて加工コストも低減され、より低コストで製造することができる。
次に、スタイレット51の実施例、および各比較例の製造手順と、実施例および各比較例を用いて行った比較実験の結果を示す。
(実施例)
本体52の材料として、外径0.48mm、内径0.35mmのSUS製のパイプを用意した。当該パイプの一方の端部にYAGレーザーをパルス照射し、局所的かつ瞬間的に溶融および冷却固化させて略半球状の先端部53を形成した。レーザーの照射エネルギーは、0.5〜1.0J/パルスとし、1パルス照射した。他方の端部に樹脂性のツマミ60を取り付けてスタイレットを完成させた。
(比較例1)
本体の材料として、Ni−Ti製超弾性合金からなる外径0.48mmの中実な線状部材を準備した。研磨加工により一方の端部を略半球状に加工して先端部を形成し、他方の端部にツマミ60を取り付けてスタイレットを完成させた。
(比較例2)
本体の材料として、SUS製で外径0.48mmの中実な線状部材を使用した以外は、比較例1と同様の手順でスタイレットを完成させた。
表2に、実施例および各比較例のスタイレットの弾性率、断面二次モーメント、および曲げ剛性を示す。表2に示すように、実施例のスタイレットは、比較例1のスタイレットよりも弾性率が高く、比較例2のスタイレットよりも小さい断面二次モーメントを有するため、曲げ剛性は比較例1と比較例2との中間の値となっており、押し出し性と挿入性がバランスよく両立されていることがわかる。
Figure 2013013599
(比較実験)
スタイレットを挿通する管状の医療用部品として、外径1.0mm、内径0.5mm(スタイレットとのクリアランスは両側合計で0.02mm)、長さ1.5mのSUS製パイプを準備した。図5に示すように、医療用部品10の長手方向中央付近を湾曲させ(曲率半径r 30mm、弧状部分の中心角θ 75度)、当該湾曲状態が保持されるように固定した。
固定された医療用部品10に実施例および各比較例のスタイレット(図5に符号Sで示す。)を挿入し、スタイレットSを外側部材50に対して進退させ、進退操作時の抵抗や、スタイレットの引っかかりの有無等を官能的に評価した。進退操作において、スタイレットSは、ツマミが外側部材10と接触するまで前進させ、先端部が湾曲部位を通過するように進退させた。
実施例のスタイレットは、同一材料で中実に形成された比較例2のスタイレットよりも小さい力で進退させることができ、引っかかりは発生しなかった。これは、主に略半球状の先端部53と、比較例2よりも小さい断面二次モーメントによるものと考えられた。
さらに、実施例のスタイレットは、比較例2のみならず、より柔軟な超弾性合金製の比較例1のスタイレットよりも進退に要する力が小さかった。この原因を推測するため、実施例のスタイレットおよび比較例1のスタイレットのそれぞれの外面と、外側部材10の内面との間に発生する接触圧を、シミュレーションを用いて検討した。なお、このシミュレーションでは、外側部材は比較実験と同形状とし、後退はさせず前進させる条件で検討した。
図6は、上記シミュレーションの結果を示すグラフであり、縦軸に接触圧、横軸にスタイレットの挿入長をとっている。接触圧が急峻に立ち上がっている部分が、スタイレット先端が外側部品の湾曲部に差し掛かった位置に相当する。図6に示すように、スタイレットを挿入した当初は、柔軟な比較例1のスタイレットの方が接触圧が低いが、スタイレットの挿入長が増加するにつれて、実施例のスタイレットの接触圧が低下し、比較例1のスタイレットよりも小さくなることが示された。これは、接触圧によりSUS製の実施例のスタイレットに微小な塑性変形が生じ、軸線回りに回転して、主に先端側が接触圧を逃がす方向に変位することによるものと推測された。
医療機器41においては、本発明の針管1と、上述の条件を満たすスタイレット51とが組み合わされているため、さらに良好な挿入性が得られる。実際に上述の実施例イないしハに係る針管に実施例のスタイレットを挿通したところ、小さい力で引っかかりなく進退させることができ、非常に良好な結果が得られた。
なお、本実施形態においては、針管1と好適に組み合わされる線状部品として、スタイレット51を示したが、針管1と組み合わされるスタイレットは、スタイレット51に限られず、例えば各比較例のスタイレットを組み合わせても、比較的良好な挿入性を得ることができる。
以上、本発明の各実施形態について説明してきたが、本発明の技術範囲は、上述した態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、医療用部品として、針管の例を説明したが、これ以外にも、シース管、カニューレ等が外側部材とされてもよい。また、組み合わされる線状部品も、スタイレットのほかに、例えばガイドワイヤ等であってもよい。また、線状部品は必ずしも単線である必要はなく、単線を複数撚りあわせたロープ、ワイヤー状のものであってもよい。
また、本発明の医療用部品の製造方法において、熱処理工程は必須ではない。すなわち、引き抜き延伸工程後、内面表面の酸素割合が充分保持されていれば、必ずしも熱処理工程を行わなくてもよい。
1 針管(医療用部品)
3 内面
41 医療機器
51 スタイレット(線状部品)

Claims (4)

  1. ステンレス鋼で形成された管状の医療用部品であって、
    内面の表面粗さRaが1.0マイクロメートル以下であり、かつ前記内面の表面における、酸化被膜の鉄元素に対する酸素の割合が40%以上であることを特徴とする医療用部品。
  2. 管状に形成された医療用部品の製造方法であって、
    ステンレス鋼で形成されたパイプを、ダイスを用いて引き抜き延伸加工する引き抜き延伸工程を備え、
    最後に行われる前記引き抜き延伸加工は、前記パイプにプラグを挿通した状態で行われることを特徴とする医療用部品の製造方法。
  3. 前記引き抜き延伸工程の後に、前記パイプを前記ステンレス鋼の酸化温度以上の温度で所定時間保持する熱処理工程をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の医療用部品の製造方法。
  4. 請求項1に記載の医療用部品と、
    前記医療用部品に進退可能に挿通される線状部品と、
    を備えることを特徴とする医療機器。
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