JP2012070979A - ガイドワイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】管腔内ではより良好な摺動性を発揮することができ、さらに、ガイドワイヤを把持して操作した際のグリップ力(把持力)の低下を防止することができるガイドワイヤを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤ1Aは、可撓性を有する長尺なワイヤ本体10を備えている。ワイヤ本体は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部34と、膨潤部に隣接し膨潤部が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低いベース部35とを有している。膨潤部は、膨潤変形する前の頂部の高さがベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面51を有している。ベース部は、最外表面に非親水性表面61を有している。
【選択図】図1
【解決手段】ガイドワイヤ1Aは、可撓性を有する長尺なワイヤ本体10を備えている。ワイヤ本体は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部34と、膨潤部に隣接し膨潤部が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低いベース部35とを有している。膨潤部は、膨潤変形する前の頂部の高さがベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面51を有している。ベース部は、最外表面に非親水性表面61を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガイドワイヤ、例えば、血管や胆管等のような体腔内にカテーテルを導入する際に用いられるガイドワイヤに関する。
近年医療において、カテーテルと呼ばれる細長い中空管状の医療器具を用いて様々な形態の治療や検査が行われている。このような治療方法としては、カテーテルの長尺性を利用して直接患部に薬剤を投与する方法、加圧によって拡張するバルーンを先端に取り付けたカテーテルを用いて体腔内の狭窄部を押し広げて開く方法、先端部にカッターが取り付けられたカテーテルを用いて患部を削り取って開く方法、逆にカテーテルを用いて動脈瘤や出血箇所あるいは栄養血管に詰め物をして閉じる方法などがある。また、体腔内の狭窄部を開口した状態に維持するために、側面が網目状になっている管形状をしたステントをカテーテルを用いて体腔内に埋め込んで留置する治療方法などがある。さらに、体内の体にとって過剰となった液体を吸引することなどがある。
カテーテルを用いて治療・検査などを行う場合には、一般的に、カテーテルを誘導するためのガイドワイヤが用いられる。ガイドワイヤは、その先端をカテーテルの先端よりも突出させた状態で、カテーテルとともに目的部位付近まで挿入される。そして、ガイドワイヤに沿ってカテーテルを移動させ、カテーテルの先端部を目的部位まで誘導する。
カテーテルを目的部位まで誘導するために、ガイドワイヤには、体腔内やカテーテルの管腔内において摺動性が良いこと、および術者がガイドワイヤの基端部を把持して操作するときにその操作をガイドワイヤに伝えやすいこと、つまり手元の操作性が良いこと、が要求されている。
本件出願人は、特許文献1において、ワイヤ本体の外表面に凸部と、凸部に隣接する凹部とを形成し、凸部の摩擦係数を凹部の摩擦係数よりも小さくしたガイドワイヤを提案している。摩擦係数が低い凸部を体腔や管腔の内壁に主に接触させて、体腔内やカテーテルの管腔内におけるガイドワイヤの摺動性を改善している。また、ガイドワイヤが把持される基端部では、術者の手指を摩擦係数が高い凹部の底部に接触させて、ガイドワイヤにおける手元の操作性を改善している。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ガイドワイヤにおける手元の操作性を改善できるものの、親水性材料によって被覆されたガイドワイヤが備えるような良好な摺動性を確保するのが難しいという問題がある。
本発明の目的は、例えばカテーテルのルーメン等のような管腔内ではより良好な摺動性を発揮することができ、さらに、ガイドワイヤを把持して操作した際のグリップ力(把持力)の低下を防止することができるガイドワイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のガイドワイヤは、可撓性を有する長尺なワイヤ本体を備えるガイドワイヤであって、前記ワイヤ本体は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部と、前記膨潤部に隣接し前記膨潤部が膨潤変形した後の頂部よりも高さが低いベース部とを有している。前記膨潤部は、膨潤変形する前の前記頂部の高さが前記ベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面を有している。前記ベース部は、最外表面に非親水性表面を有している。
本発明によれば、ガイドワイヤが例えばカテーテルのルーメン等のような管腔内に挿入された状態では、当該ガイドワイヤの管腔内に位置している部分は、親水性表面を有する膨潤変形した後の膨潤部が管腔を画成する内壁に主に接触し、非親水性表面を有するベース部が前記内壁に接触するのが防止される。これにより、ガイドワイヤをその軸方向に沿って移動操作したり、軸周りに回転操作したりする際、膨潤部の親水性表面が内壁を摺動することとなり、良好な摺動性を発揮する。
また、ガイドワイヤが把持されている部分では、膨潤部が膨潤変形する前にあっては、膨潤部の頂部の高さがベース部の高さを越えないことから、例えば手指の表面は、ベース部の非親水性表面に主に接触する。また、膨潤部が膨潤変形した後にあっても、手指の表面は、ベース部の非親水性表面に接触し得る。これにより、ガイドワイヤを移動・回転操作した際のグリップ力(把持力)の低下を確実に防止することができ、よって、そのときの操作力(押込力、トルク)がガイドワイヤの先端にまで確実に伝達する。
以下、本発明のガイドワイヤを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明において、ガイドワイヤの手元操作部側(図1中の右側)を「基端」、体腔内へ挿通される側(図1中の左側)を「先端」と称す。また、理解を容易にするため、ガイドワイヤの長さ方向を短縮し、ガイドワイヤの太さ方向を誇張して模式的に図示しており、長さ方向と太さ方向の比率は実際とは異なる。
(第1の実施形態)
図1〜図3を参照して、第1の実施形態のガイドワイヤ1Aは、概説すると、可撓性を有する長尺なワイヤ本体10を備え、ワイヤ本体10は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部34と、膨潤部34に隣接し膨潤部34が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低いベース部35とを有している。膨潤部34は、膨潤変形する前の頂部341の高さがベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面51を有している。ベース部35は、最外表面に非親水性表面61を有している。なお、膨潤部34およびベース部35は、膨潤部34が膨潤変形した後においては、膨潤部34が凸部となり、ベース部35が凹部となる。一方、膨潤部34が膨潤変形する前においては、膨潤部34およびベース部35の各表面がフラットになるか、あるいは、膨潤部34が凹部となり、ベース部35が凸部となる。以下、詳述する。
図1〜図3を参照して、第1の実施形態のガイドワイヤ1Aは、概説すると、可撓性を有する長尺なワイヤ本体10を備え、ワイヤ本体10は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部34と、膨潤部34に隣接し膨潤部34が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低いベース部35とを有している。膨潤部34は、膨潤変形する前の頂部341の高さがベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面51を有している。ベース部35は、最外表面に非親水性表面61を有している。なお、膨潤部34およびベース部35は、膨潤部34が膨潤変形した後においては、膨潤部34が凸部となり、ベース部35が凹部となる。一方、膨潤部34が膨潤変形する前においては、膨潤部34およびベース部35の各表面がフラットになるか、あるいは、膨潤部34が凹部となり、ベース部35が凸部となる。以下、詳述する。
図1に示すガイドワイヤ1Aは、カテーテル200(内視鏡も含む)の内腔(ルーメン)201に挿入して用いられるカテーテル用ガイドワイヤであって、長尺なワイヤ本体10と、ワイヤ本体10の先端部に設置された先端部材4とを有している。ワイヤ本体10は、先端側に配置された第1ワイヤ2と、第1ワイヤ2の基端側に配置された第2ワイヤ3とを備えている。第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とは、好ましくは溶接により接合(連結)される。ガイドワイヤ1Aの全長は、特に限定されないが、例えば、200〜5000mm程度である。
第1ワイヤ2は、柔軟性または弾性を有する芯線(線材)20によって構成されている。第1ワイヤ2の長さは、特に限定されないが、20〜1000mm程度である。本実施形態では、第1ワイヤ2は、外径がほぼ一定である大径部21と、大径部21より先端側に位置し、大径部21より外径が小さい小径部23と、大径部21と小径部23との間に位置し、先端方向に向かって外径が漸減するテーパ部22とを有している。これらは、第1ワイヤ2の先端側から、小径部23、テーパ部22および大径部21の順に配置されている。
テーパ部22を介して小径部23と大径部21とが形成されていることにより、第1ワイヤ2の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1Aは、先端部に良好な狭窄部の通過性および柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。
なお、テーパ部22のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度(外径の減少率)が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。
第1ワイヤ2の基端側の部分、すなわち大径部21は、その外径が第1ワイヤ2の基端まで一定となっている。第1ワイヤ2の基端(大径部21の基端)には、第2ワイヤ3の先端が好ましくは溶接により接続(連結)されている。第2ワイヤ3は、柔軟性または弾性を有する芯線(線材)30を有するものである。
第1ワイヤ2(芯線20)と第2ワイヤ3(芯線30)との溶接方法としては、特に限定されず、例えば、摩擦圧接、レーザを用いたスポット溶接、バットシーム溶接等の突き合わせ抵抗溶接などが挙げられるが、比較的簡単で高い接合強度が得られることから、突き合わせ抵抗溶接が特に好ましい。
本実施形態では、第2ワイヤ3は、外径がほぼ一定である大径部(外径一定部)31と、大径部31より先端側に位置し、大径部31より外径が小さい小径部33と、大径部31と小径部33との間に位置し、先端方向に向かって外径が漸減するテーパ部32とを有している。これらは、第2ワイヤ3の先端側から、小径部33、テーパ部32および大径部31の順に配置されている。小径部33の先端部の外径は、第1ワイヤ2の大径部21の外径とほぼ等しい。これにより、第1ワイヤ2の大径部21の基端と第2ワイヤ3の小径部33の先端とを接合した際、それらの接合部(接合面)6の外周に両ワイヤ2、3の外径差による段差が生じず、連続した面を構成することができる。
第2ワイヤ3は、テーパ部32を介して小径部33と大径部31とが形成されていることにより、第2ワイヤ3の剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を先端方向に向かって徐々に減少させることができ、その結果、ガイドワイヤ1Aは、第1ワイヤ2と同様に、第2ワイヤ3においても良好な柔軟性を得て、血管等への追従性、安全性が向上すると共に、折れ曲がり等も防止することができる。さらに、第2ワイヤ3から第1ワイヤ2への物理的特性、特に弾性が滑らかに変化し、両ワイヤ2、3の接合部(接合面)6の前後において優れた押し込み性やトルク伝達性が発揮され、耐キンク性も向上する。
第2ワイヤ3の大径部31は、第1ワイヤ2の大径部21の外径(第1ワイヤ2の最大外径)より大きい外径を有する。大径部31の外径は、例えば、大径部21の外径の1.02〜5倍程度とすることができる。また、大径部31の基端311は、丸みを帯びている。
テーパ部32のテーパ角度(外径の減少率)は、ワイヤ長手方向に沿って一定でも、長手方向に沿って変化する部位があってもよい。例えば、テーパ角度(外径の減少率)が比較的大きい箇所と比較的小さい箇所とが複数回交互に繰り返して形成されているようなものでもよい。また、このようなテーパ部は、ワイヤ長手方向に沿って複数箇所設けられていてもよい。
第2ワイヤ3の長さは、特に限定されないが、20〜4800mm程度であるのが好ましく、1400〜3000mm程度であるのがより好ましい。
第1ワイヤ2の平均外径は、第2ワイヤ3の平均外径より小さい。これにより、ガイドワイヤ1Aは、その先端側である第1ワイヤ2上では柔軟性に富み、基端側である第2ワイヤ3上では比較的剛性が高いものとなるので、先端部の柔軟性と優れた操作性(押し込み性、トルク伝達性等)とを両立することができる。
第1ワイヤ2の芯線20および第2ワイヤ3の芯線30の構成材料は、可撓性を有するものであれば特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)が好ましく、より好ましくは超弾性合金である。
超弾性合金は、比較的柔軟であるとともに、復元性があり、曲がり癖が付き難いので、例えば第1ワイヤ2を超弾性合金で構成することにより、ガイドワイヤ1Aは、その先端側の部分に十分な柔軟性と曲げに対する復元性が得られ、複雑に湾曲・屈曲する血管等に対する追従性が向上し、より優れた操作性が得られるとともに、第1ワイヤ2が湾曲・屈曲変形を繰り返しても、第1ワイヤ2に備わる復元性により曲がり癖が付かないので、ガイドワイヤ1Aの使用中に第1ワイヤ2に曲がり癖が付くことによる操作性の低下を防止することができる。
コバルト系合金は、ワイヤとしたときの弾性率が高く、かつ適度な弾性限度を有している。このため、コバルト系合金で構成されたワイヤは、トルク伝達性に優れ、座屈等の問題が極めて生じ難い。コバルト系合金としては、構成元素としてCoを含むものであれば、いかなるものを用いてもよいが、Coを主成分として含むもの(Co基合金:合金を構成する元素中で、Coの含有率が重量比で最も多い合金)が好ましく、Co−Ni−Cr系合金を用いるのがより好ましい。このような組成の合金を用いることにより、前述した効果がさらに顕著なものとなる。また、このような組成の合金は、弾性係数が高く、かつ高弾性限度としても冷間成形可能で、高弾性限度であることにより、座屈の発生を十分に防止しつつ、小径化することができ、所定部位に挿入するのに十分な柔軟性と剛性を備えるものとすることができる。
Co−Ni−Cr系合金としては、例えば、28〜50wt%Co−10〜30wt%Ni−10〜30wt%Cr−残部Feの組成からなる合金や、その一部が他の元素(置換元素)で置換された合金等が好ましい。置換元素の含有は、その種類に応じた固有の効果を発揮する。例えば、置換元素として、Ti、Nb、Ta、Be、Moから選択される少なくとも1種を含むことにより、第2ワイヤ3の強度のさらなる向上等を図ることができる。なお、Co、Ni、Cr以外の元素を含む場合、その(置換元素全体の)含有量は30wt%以下であるのが好ましい。
また、Co、Ni、Crの一部は、他の元素で置換してもよい。例えば、Niの一部をMnで置換してもよい。これにより、例えば、加工性のさらなる改善等を図ることができる。また、Crの一部をMoおよび/またはWで置換してもよい。これにより、弾性限度のさらなる改善等を図ることができる。Co−Ni−Cr系合金の中でも、Moを含む、Co−Ni−Cr−Mo系合金が特に好ましい。
第1ワイヤ2の芯線20と第2ワイヤ3の芯線30とは、異なる材料で構成されていてもよいが、本実施形態では、同一または同種(合金において主とする金属材料が等しい)の金属材料で構成されている。これにより、接合部(溶接部)6の接合強度がより高くなり、接合部6の外径が小さくても、離脱等を生じることなく、優れたトルク伝達性等を発揮する。
この場合、第1ワイヤ2(芯線20)および第2ワイヤ3(芯線30)は、それぞれ、前述した超弾性合金で構成されているのが好ましく、その中でもNi−Ti系合金で構成されているのがより好ましい。これにより、ワイヤ本体10の接合部6より先端側において優れた柔軟性を確保するとともに、ワイヤ本体10の基端側の部分では、十分な剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)を確保することができる。その結果、ガイドワイヤ1Aは、優れた押し込み性やトルク伝達性を得て良好な操作性を確保しつつ、先端側においては良好な柔軟性、復元性を得て血管、胆管、膵管への追従性、安全性が向上する。
第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とを異なる材料で構成する場合、第1ワイヤ2は、前述した超弾性合金で構成されているのが好ましく、特にNi−Ti系合金で構成されているのが好ましく、第2ワイヤ3は、前述したステンレス鋼で構成されているのが好ましい。
また、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3とをそれぞれ、金属組成や物理的特性の異なる擬弾性合金同士、あるいはステンレス鋼同士で構成してもよい。
なお、上記では、第1ワイヤ2と第2ワイヤ3を接合した態様にて説明したが、接合部のない一部材のワイヤであってもよい。その場合のワイヤの構成材料は、前述したのと同様の材料が挙げられ、特にステンレス鋼、コバルト系合金、擬弾性合金が好ましい。
図1に示すように、ワイヤ本体10の先端部外周には、先端部材4が配置されている。この先端部材4は、第1ワイヤ2の先端から大径部21の途中までを覆っている。この先端部材4の設置により、カテーテル200の内壁202や生体表面に対するワイヤ本体10の表面の接触面積が少なくなり、これにより、摺動抵抗を低減することができ、その結果、ガイドワイヤ1Aの操作性がより向上する。
先端部材4は、その外径がワイヤ本体10の長手方向に沿って一定である円柱状をなすものである。先端部材4は、先端41および基端42が丸みを帯びている。特に先端部材4の先端41が丸みを帯びていることにより、ガイドワイヤ1Aを血管等の体腔に挿入する際、その内壁の損傷をより有効に防止し、安全性を高めることができる。
なお、先端部材4は、柔軟性に富む材料(軟質材料、弾性材料)で構成されているのが好ましい。このような柔軟性に富む材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、ラテックスゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料、またはこれらのうちに2以上を組み合わせた複合材料が挙げられる。特に、先端部材4が前述した熱可塑性エラストマーや各種ゴム材料で構成されたものである場合には、ガイドワイヤ1Aの先端部の柔軟性がより向上するため、血管等への挿入時に、血管内壁等を傷つけることをより確実に防止することができ、安全性が極めて高い。また、このような樹脂材料は、前述したNi−Ti系合金に代表される超弾性合金との密着性にも優れている。これにより、先端部材4が第1ワイヤ2に対して確実に固着する。
先端部材4の長さは、特に限定されないが、5〜700mm程度であるのが好ましく、50〜500mm程度であるのがより好ましい。
先端部材4中には、造影性を有する材料(前記X線不透過材料等)によるフィラー(粒子)が分散され、これにより造影部を構成するようにしてもよい。
図1に示すように、先端部材4の外面は、被覆層5によって覆われている。この被覆層5は、親水性材料をコーティングすることにより形成されている。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、先端部材4の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。
図2(A)には、膨潤部34が液体と接触して膨潤変形する前の状態におけるガイドワイヤ1Aの要部が示され、図2(B)には、膨潤部34が液体と接触して膨潤変形した後の状態におけるガイドワイヤ1Aの要部が示されている。図3には、ガイドワイヤ1Aがカテーテル200のルーメン201内に挿入された状態が示され、図4(A)(B)には、ガイドワイヤ1Aが把持された状態が示されている。
図2〜図4に拡大して示されるように、ワイヤ本体10は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部34と、膨潤部34に隣接し膨潤部34が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低いベース部35とを有している。膨潤部34は、膨潤変形する前の頂部341の高さがベース部35の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面51を有している。ベース部35は、最外表面に非親水性表面61を有している。
ここで、「非親水性表面61」とは、「親水性表面51」よりも親水性が低い表面、具体的には、「親水性表面51」よりも湿潤時における潤滑性が劣っており、指先500の表面501(通常、手袋の表面)との摺動抵抗が、「親水性表面51」と指先500の表面501との摺動抵抗よりも大きい表面と定義される。「親水性表面51」および「非親水性表面61」を形成する材料は特に限定されるものではなく、樹脂など適宜の材料から形成することができる。「親水性表面51」を例えば粗面化することによって、「親水性表面51」から「非親水性表面61」に変化させることも可能である。
膨潤部34を膨潤変形させる液体には、血液などの体液や、生理食塩水などが含まれる。
膨潤部34は、ワイヤ本体10の外表面に螺旋状に巻回して配置されている。膨潤部34は、第2ワイヤ3の全周にわたって、かつ、第2ワイヤ3の軸方向に沿う全長にわたって設けられている。図示例では、1本の膨潤部34を螺旋状に配置してある。
膨潤部34は、縦断面形状が略半円形状を有している。したがって、膨潤部34の頂部341は、丸みを帯びている。ガイドワイヤ1Aがカテーテル200のルーメン201内に挿入された状態では、膨潤部34の頂部341とカテーテル200の内壁202との接触面積が小さくなる。これによって、摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減されて摺動性が向上し、ガイドワイヤ1Aの操作性が良好なものとなる。
図示例では、ワイヤ本体10の軸方向に隣接する膨潤部34間のピッチは同じであり、隣接する膨潤部34間がベース部35となっている。ベース部35は、縦断面視でワイヤ本体10の長手方向に沿って直線状をなす、すなわち、起伏がない部位となっている。これにより、ガイドワイヤ1Aを把持して操作した際に、ベース部35と指先500の表面501とが確実に接触し、よって、ガイドワイヤ1Aを操作した際のグリップ力の低下をより確実に防止することができる。
ガイドワイヤ1Aでは、第2ワイヤ3の外表面における膨潤部34の占有率は、ベース部35の占有率よりも少なくするのが好ましい。ガイドワイヤ1Aを先端側から順に挿入していくときに、第2ワイヤ3の外表面のいかなる部分を把持しても、一定以上のグリップ力を有するという利点があるからである。
第1の実施形態にあっては、膨潤部34は、親水性材料をコーティングすることによって形成された親水性被覆層50から構成されている。また、親水性表面51は、親水性被覆層50の表面から形成されている。これにより、親水性材料が湿潤して潤滑性を生じ、膨潤部34の摩擦(摺動抵抗)が低減し、摺動性が向上する。
親水性材料としては、例えば、セルロース系高分子物質、ポリエチレンオキサイド系高分子物質、無水マレイン酸系高分子物質(例えば、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体のような無水マレイン酸共重合体)、アクリルアミド系高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド、ポリグリシジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGMA−DMAA)のブロック共重合体)、水溶性ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。なお、上述した被覆層5を形成するために使用する親水性材料も同様である。
このような親水性材料は、多くの場合、湿潤(吸水)により潤滑性を発揮し、ガイドワイヤ1Aとともに用いられるカテーテル200の内壁202との摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する。これにより、ガイドワイヤ1Aの摺動性が向上し、カテーテル200内でのガイドワイヤ1Aの操作性がより良好なものとなる。
第1の実施形態にあっては、ベース部35の非親水性表面61は、具体的には、疎水性表面62から構成されている。ベース部35は、疎水性材料をコーティングすることによって形成された疎水性被覆層60から構成されている。また、疎水性表面62は、疎水性被覆層60の表面から形成されている。疎水性材料は親水性材料よりも湿潤時における潤滑性が劣っており、指先500の表面501との摺動抵抗が、親水性材料と指先500の表面501との摺動抵抗よりも大きい。これにより、ベース部35の摩擦(摺動抵抗)が増加し、ガイドワイヤ1Aを把持して操作した際のグリップ力(把持力)の低下が防止され、ガイドワイヤ1Aにおける手元の操作性が向上する。
疎水性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、フッ化エチレンプロピレン(FEP)等が挙げられる。
膨潤部34を構成する親水性被覆層50は、膨潤率が20〜500%、好ましくは、100〜400%である。膨潤率は、乾燥状態から湿潤状態になったときにどの程度層厚が大きくなるかを表すものであり、
膨潤率(%)=(湿潤状態の膜厚−乾燥状態の膜厚)/(乾燥状態の膜厚)×100
と定義される。
膨潤率(%)=(湿潤状態の膜厚−乾燥状態の膜厚)/(乾燥状態の膜厚)×100
と定義される。
膨潤部34の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、膨潤変形前において、例えば、0.001〜0.015mmであるのが好ましく、0.002〜0.005mmであるのがより好ましい。膨潤変形後において、例えば、0.002〜0.030mmであるのが好ましく、0.005〜0.015mmであるのがより好ましい。
ベース部35の厚さ(高さ)は、膨潤部34が膨潤変形した後の頂部341よりも高さが低く、かつ、膨潤部34が膨潤変形する前の頂部341の高さがベース部35の高さを越えない限りにおいて特に限定されない。ベース部35の厚さ(高さ)は、例えば、0.015〜0.030mm未満であるのが好ましく、0.005〜0.015mm未満であるのがより好ましい。
膨潤部34の幅は、特に限定されないが、例えば、0.1〜1.2mmであるのが好ましく、0.3〜0.9mmであるのがより好ましい。ワイヤ長手方向に沿うベース部35の軸方向の長さ(膨潤部34間の寸法)は、0.3〜1.8mmであるのが好ましく、0.5〜1.5mmであるのがより好ましい。
このような構成のガイドワイヤ1Aは、例えば、ガイドワイヤ1Aをカテーテル200の内腔201内に挿入した状態(以下この状態を「挿入状態」と言う)で使用される(図3参照)。この挿入状態で、ガイドワイヤ1Aのカテーテル200の基端側から突出した(露出した)部分を把持し、当該ガイドワイヤ1Aをその軸方向に沿って移動したり、軸回りに回転したりする。これにより、ガイドワイヤ1Aを操作することができる。
このような使用に先立って、ガイドワイヤ1Aの全長のうち先端側部分を、生理食塩水に浸漬し、膨潤部34を膨潤変形させておく。膨潤部34を十分に膨潤変形させた後には、膨潤部34が凸部となり、ベース部35が凹部となっている(図2(B)を参照)。また、カテーテル200に挿入される部分ではあるが、カテーテル200に挿入されるまでの時間的余裕がある領域(基端側)については、生理食塩水に浸漬させておかなくてもよい。膨潤部34を膨潤変形させる前には、膨潤部34が凹部となり、ベース部35が凸部となっている(図2(A)を参照)。生理食塩水に浸漬させなかった領域であっても、その後のガイドワイヤ1Aに対する術者の操作によって液体が膨潤部34に接触するので、膨潤部34はベース部35よりも突出した状態に移行する。
図3を参照して、ガイドワイヤ1Aのカテーテル200の内腔201内に挿入されている部分では、親水性表面51を有する膨潤部34の頂部341やその近傍がカテーテル200の内壁202に主に接触し、ベース部35の疎水性表面62(非親水性表面61)がカテーテル200の内壁202に接触するのが防止されている。これにより、ガイドワイヤ1Aを操作した際、膨潤部34の親水性表面51がカテーテル200の内壁202を摺動し、良好な摺動性を発揮する。
膨潤部34の膨潤変形が不十分で、膨潤部34の頂部341の高さがベース部35の高さを越えていない状況でガイドワイヤ1Aをカテーテル200の内腔201内に挿入した場合には、ベース部35の疎水性表面62(非親水性表面61)がカテーテル200の内壁202に接触する。この状況でも、疎水性表面62は親水性表面51に比べてカテーテル200の内壁202に対する摺動性は劣るものの、ガイドワイヤ1Aが内壁202に張り付いてしまって動かすことができない事態に至ることはない。術者は、ガイドワイヤ1Aを操作したときの摺動抵抗が大きいことから、膨潤部34の膨潤変形が不十分であることを把握することができる。
図4(A)を参照して、手元部(把持部)では、膨潤部34が膨潤変形する前にあっては、膨潤部34の頂部341の高さがベース部35の高さを越えないことから、指先500の表面501は、ベース部35の疎水性表面62(非親水性表面61)に主に接触する。図4(B)を参照して、膨潤部34が膨潤変形した後にあっても、指先500がベース部35に向けて入り込み、指先500の表面501は、ベース部35の疎水性表面62(非親水性表面61)に接触し得る。疎水性表面62(非親水性表面61)は、指先500の表面501との摺動抵抗が、親水性表面51と指先500の表面501との摺動抵抗よりも大きい表面である。これにより、ガイドワイヤ1Aを操作した際に、指先500がガイドワイヤ1Aに対して滑ること、すなわち、グリップ力(把持力)の低下を確実に防止することができ、よって、手元部での押込力およびトルクがガイドワイヤ1Aの先端にまで確実に伝達する。
このように、ガイドワイヤ1Aでは、その外表面に親水性が異なる部分(親水性表面51と非親水性表面61)が形成されているため、使用状態で当接する相手側によって摺動抵抗が異なる。すなわち、膨潤部34の親水性表面51に主に接触する場合の摺動抵抗は、ベース部35の非親水性表面61に接触する場合の摺動抵抗よりも小さい。
上述した特許文献1に記載された技術では、親水性樹脂によって被覆されたガイドワイヤが備えるような良好な摺動性を確保するのが難しいという問題がある。これに対して、本実施形態のガイドワイヤ1Aにあっては、膨潤部34に親水性表面51を設けることによって、例えばカテーテル200のルーメン201等のような管腔内ではより良好な摺動性を発揮しつつ、ガイドワイヤを把持して操作した際のグリップ力(把持力)の低下を防止することが可能となる。
ガイドワイヤ1Aにおける膨潤部34およびベース部35は、例えば、以下に記載するように形成することができる。
まず、芯線30のうち、親水性被覆層50を形成すべき部分に、マスキングテープを螺旋状に巻回して貼り付ける。この状態で、芯線30に疎水性材料をコーティングし、疎水性被覆層60から構成されるベース部35を形成する。疎水性被覆層60の表面が、ベース部35における疎水性表面62(非親水性表面61)となる。
マスキングテープを剥がした後、親水性材料をコーティングし、親水性被覆層50から構成される膨潤部34を形成する。親水性被覆層50の表面が、膨潤部34における親水性表面51となる。ここに、膨潤部34および親水性表面51は、親水性材料をディッピングすることによって形成する。ベース部35の非親水性表面61は疎水性材料から形成されているので、マスキングテープを剥がした後に親水性材料をディッピングすることによって、ベース部35が形成されていない部分のみに膨潤部34を形成することが可能となる。
このような工程により、親水性表面51を有する膨潤部34と、疎水性表面62を有するベース部35とを形成することができる。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係るガイドワイヤ1Bの要部を示す断面図である。
図5は、第2の実施形態に係るガイドワイヤ1Bの要部を示す断面図である。
図5を参照して、第2の実施形態に係るガイドワイヤ1Bを説明する。なお、第1の実施形態と共通する部材には同じ符号を付し、その説明は一部省略する。
第2の実施形態は、疎水性表面62とワイヤ本体10との間にバインダ層80がさらに配置されている点において、第1の実施形態と相違する。
バインダ層80を介在させることによって、疎水性表面62を形成する疎水性被覆層60と金属製の芯線30との接着性を向上させることができる。バインダ層80の形成材料は、特に限定されないが、例えば、ベースとなる構成材料中に、バインダとして機能する樹脂材料を含有させた材料が用いられる。
バインダ層80のベースとなる構成材料としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系樹脂材料が好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)とすることができる。
バインダとして機能する樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレンケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエートルイミド、ポリイミドスルホン、ポリアリルスルホン、ポリアリルエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
バインダ層80の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.002〜0.015mmであるのが好ましく、0.004〜0.008mmであるのがより好ましい。
ガイドワイヤ1Bにおける膨潤部34およびベース部35は、芯線30の上にバインダ層80を形成した後は、第1の実施形態と同様の工程により形成することができる。
(第3の実施形態)
図6(A)(B)は、第3の実施形態に係るガイドワイヤ1Cの要部を示す断面図である。
図6(A)(B)は、第3の実施形態に係るガイドワイヤ1Cの要部を示す断面図である。
図6(A)(B)を参照して、第3の実施形態に係るガイドワイヤ1Cを説明する。なお、第1、第2の実施形態と共通する部材には同じ符号を付し、その説明は一部省略する。
第3の実施形態は、芯線30の素材からベース部35を構成し、芯線30の外周面自体を非親水性表面61としている点において、疎水性表面62から非親水性表面61を形成した第1、第2の実施形態と相違する。芯線30の外周面には、螺旋状に窪み部36が形成されている。この窪み部36に、親水性被覆層50から構成される膨潤部34を設けている。窪み部36は、レーザ加工、切削加工により形成することができる。
また、芯線30の外周面を粗面化し、微小な凹凸63を形成してある。ベース部35における非親水性表面61の親水性がさらに低下し、ガイドワイヤ1Aを把持して操作した際、ベース部35における非親水性表面61と指先500の表面501との摺動抵抗が増加するからである。粗面化処理は、公知の処理法を適用でき、例えば、ブラスト処理を挙げることができる。
ガイドワイヤ1Cにおける膨潤部34およびベース部35は、例えば、以下に記載するように形成することができる。
まず、芯線30の外周面を、ブラスト処理によって粗面化する。
次に、粗面化した外周面に、レーザ加工によって窪み部36を螺旋状に形成する。
次に、窪み部36以外の部分に、マスキングテープを螺旋状に巻回して貼り付ける。
マスキングテープを巻回したままの状態で、親水性材料をコーティングし、親水性被覆層50から構成される膨潤部34を窪み部36に形成する。親水性被覆層50の表面が、膨潤部34における親水性表面51となる。ここに、親水性表面51は、親水性材料をディッピングすることによって形成する。マスキングテープを巻回したままの状態で親水性材料をディッピングすることによって、窪み部36のみに膨潤部34を形成することが可能となる。
その後、マスキングテープを剥がして、粗面化した芯線30の外周面を露出させる。芯線30の外周面自体が、ベース部35における非親水性表面61となる。
このような工程により、親水性表面51を有する膨潤部34と、非親水性表面61を有するベース部35とを形成することができる。
(膨潤部の改変例)
膨潤部34を親水性被覆層50から構成し、親水性被覆層50の表面から膨潤部34の親水性表面51を形成した実施形態について説明したが、膨潤部34の構成はこの場合に限られるものではない。例えば、膨潤部は、液体と接触して膨潤変形する機能を主として発揮する変形部材と、この変形部材の最外表面に形成され潤滑性の機能を主として発揮する親水性表面とを有する構成としてもよい。
膨潤部34を親水性被覆層50から構成し、親水性被覆層50の表面から膨潤部34の親水性表面51を形成した実施形態について説明したが、膨潤部34の構成はこの場合に限られるものではない。例えば、膨潤部は、液体と接触して膨潤変形する機能を主として発揮する変形部材と、この変形部材の最外表面に形成され潤滑性の機能を主として発揮する親水性表面とを有する構成としてもよい。
(膨潤部の配置形態の改変例)
1本の膨潤部34を螺旋状に配置した実施形態について説明したが、膨潤部の配置形態は種々改変することができる。
1本の膨潤部34を螺旋状に配置した実施形態について説明したが、膨潤部の配置形態は種々改変することができる。
例えば、複数本の膨潤部を同じ巻回方向に螺旋状に配置してもよい。また、複数本の膨潤部を逆の巻回方向に螺旋状に配置することもできる。この場合、膨潤部は格子状に配置され、膨潤部が交差する交差部が形成される。交差部では膨潤変形した後の高さが高くなるので、ベース部の非親水性表面がカテーテルの内壁に接触するのがより一層防止され、ガイドワイヤの良好な摺動性を得ることができる。また、複数の膨潤部を、第2ワイヤ3にその周方向に沿ってリング状に設けてもよい。
螺旋状またはリング状に膨潤部を設ける場合に限られない。例えば、ワイヤ本体の長手方向に沿って直線状に膨潤部を設けたり、ドーム状をなす多数のドットを散点状に設けたりすることもできる。
均一な配設密度で膨潤部を設ける場合に限られない。例えば、螺旋状またはリング状に膨潤部を設ける場合においては、ワイヤ本体の長手方向に隣接する膨潤部同士の間隔(ピッチ)を異ならせて、膨潤部を「密(ピッチが小さい)」に設けた高密度部と、膨潤部を「疎(ピッチが大きい)」に設けた低密度部とを形成してもよい。この場合、低密度部は、高密度部よりも基端側に位置させることが好ましい。カテーテル内に挿入された部分では、高密度部における膨潤部の親水性表面が比較的多くカテーテルの内壁に接触するので、より良好な摺動性を得ることができるからである。また、ガイドワイヤを把持する部分では、低密度部におけるベース部の非親水性表面が、膨潤部の頂部よりも、指先に優先的に接触するので、ガイドワイヤを操作した際のグリップ力の低下をより確実に防止することができるからである。
以上、本発明のガイドワイヤを図示の実施形態および改変例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ガイドワイヤを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のガイドワイヤは、前記各実施形態および前記各改変例のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
1A〜1C ガイドワイヤ、
10 ワイヤ本体、
30 芯線、
34 膨潤部、
341 膨潤部の頂部、
35 ベース部、
36 窪み部、
50 親水性被覆層、
51 親水性表面、
60 疎水性被覆層、
61 非親水性表面、
62 疎水性表面、
63 微小な凹凸、
80 バインダ層。
10 ワイヤ本体、
30 芯線、
34 膨潤部、
341 膨潤部の頂部、
35 ベース部、
36 窪み部、
50 親水性被覆層、
51 親水性表面、
60 疎水性被覆層、
61 非親水性表面、
62 疎水性表面、
63 微小な凹凸、
80 バインダ層。
Claims (5)
- 可撓性を有する長尺なワイヤ本体を備えるガイドワイヤであって、
前記ワイヤ本体は、その外表面に突出して形成され液体と接触して膨潤変形する膨潤部と、前記膨潤部に隣接し前記膨潤部が膨潤変形した後の頂部よりも高さが低いベース部とを有し、
前記膨潤部は、膨潤変形する前の前記頂部の高さが前記ベース部の高さを越えず、かつ、最外表面に親水性表面を有し、
前記ベース部は、最外表面に非親水性表面を有してなるガイドワイヤ。 - 前記非親水性表面は、疎水性表面から構成されてなる請求項1に記載のガイドワイヤ。
- 前記疎水性表面と前記ワイヤ本体との間にバインダ層が配置されてなる請求項2に記載のガイドワイヤ。
- 前記膨潤部は、前記ワイヤ本体の外表面に螺旋状に配置されてなる請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のガイドワイヤ。
- 前記親水性表面は、親水性材料をディッピングすることによって形成されてなる請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のガイドワイヤ。
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