JP2013010761A - 新規分子機能の進化 - Google Patents

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Abstract

【課題】テンプレートによって指向される、分子の合成、増幅および進化のための組成物を提供すること。
【解決手段】1つ以上の化学物質を合成する方法のための組成物であって、該方法は、以下の工程:
1つ以上のテンプレートを提供する工程であって、該1つ以上のテンプレートは、該テンプレートに会合する反応性単位を必要に応じて有する、工程;
1つ以上のアンチコドンの該テンプレートへのハイブリダイゼーションおよび反応性単位の反応を可能にする条件下で、アンチコドンを有する1つ以上の移動単位および反応性単位を、該1つ以上のテンプレートに接触させる工程、
を包含する。
【選択図】なし

Description

(発明の背景)
新たな機能を有する分子を作製するための古典的「化学アプローチ」は、薬物の発見から合成方法論まで、そして材料科学までの範囲にわたる適用において、前世紀をとおして広範に用いられている。このアプローチ(図1、黒色)では、研究者は、候補分子を合成または単離し、これらの候補を所望の特性についてアッセイし、未知の場合は活性化合物の構造を決定し、このアッセイおよび構造データに基づいて構造活性相関をまとめ、次いで改善された特性を保有するように設計された新世代の分子を合成する。コンビナトリアルケミストリーの方法(例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3を参照のこと)はこのアプローチのスループットを増大させてきたが、その基本的限界は変化していないままである。いくつかの要因は、分子機能を生じる化学的アプローチの有効性を制限している。第一に、新たな機能をもたらすのを構造変化を正確に予測する能力は、しばしば、分子のわずかなコンホメーション再配置、不測の溶媒相互作用または結合事象もしくは反応事象の未知の立体化学的必要条件に起因して不充分である。構造活性相関より得られる複雑さは、頻繁に、合理的リガンド設計もしく触媒設計の成功(ハイスループット様式で行われる試みを含む)を制限する。第二に、候補のコレクションの各メンバーを、選択するのではなく、アッセイまたはスクリーニングする必要性は、各実験において探索され得る分子数を制限する。最終的に、合成分子を増幅する方法がないことは、特徴付け、スクリーニングおよび構造解明のために産生されなければならない物質の最少量を必要条件とする。その結果、ほぼ10より多くの異なる合成化合物のライブラリーを作製することは困難であり得る。
対照的に、自然は、これらの制限の多くを克服する、基本的に異なる方法を用いて、新たな機能を有するタンパク質を生じる。このアプローチ(図1、灰色)では、所望の特性を有するタンパク質は、そのタンパク質をコードする情報の存続および増幅を誘導する。この情報は、偶発変異およびDNA組換えにより多様化され、次いでリボソームを用いて新世代の候補タンパク質へと翻訳される。このプロセスの能力は、充分に認識されており(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6を参照のこと)、そしてタンパク質および核酸が、制限されたそれらの化学的機能にもかかわらず、多くの複雑な化学的問題に対する解決を支配するという事実によって証明されている。明らかに、上記の線形化学アプローチとは異なり、自然によって用いられている工程は、分子進化のサイクルを形成する。このプロセスから出現したタンパク質は、所望の活性について単にスクリーニングされるというよりも、直接的に選択されている。進化するタンパク質をコードする情報(DNA)は増幅され得るので、所望の活性を有する単一のタンパク質分子は、理論的に、その構造をコードするDNAの生存および増殖をもたらし得る。分子進化のサイクルに関与するために必要とされる、ほとんどないくらい小さな量の物質は、小さな容量で所望の機能について作製および選択されるべき、化学的アプローチによって合成されたライブラリーよりも多様性がずっと大きなライブラリーを可能にする。
自然のアプローチの能力および効率を理解することによって、研究者は、分子進化を用いて、新規の結合特性または触媒特性を有する多くのタンパク質および核酸を作製した(例えば、非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8を参照のこと)。研究者が進化させたタンパク質および核酸は、研究ツール、診断剤、工業的試薬、および治療剤としての価値が実証されており、そして結合特性または触媒特性を有するタンパク質および核酸を付与する分子相互作用の理解を大いに拡大した(非特許文献9を参照のこと)。
機能を作製する自然の効率的なアプローチにもかかわらず、天然の分子進化は、2つの型の「天然」の分子(タンパク質および核酸)に制限されている。なぜなら、これまでのところ、DNAにおける情報は、タンパク質または他の核酸にしか翻訳され得ないからである。しかし、目的の多くの合成分子は一般に、核酸骨格を表さず、低分子を合成するためにDNA配列を翻訳する、DNAをテンプレートとした合成の使用は、核酸および核酸アナログ以外の合成分子が、DNAをテンプレートした様式で合成され得る場合にのみ、広範に有用である。機能的分子を作製する理想的アプローチは、分子進化の最も強力な局面を、合成化学の柔軟性と合わせる。明らかに、非天然(non−natural)の合成低分子および高分子の進化を可能にすることは、自然が生体分子を進化させる方法と同様に、合理的設計を用いて作製することが困難または不可能な、新たな合成のリガンド、レセプター、および触媒を発見するずっと有効な方法をもたらす。
A.V.EliseevおよびJ.M.Lehn.Combinatorial Chemistry In Biology 1999,243,159−172 K.W.Kuntz,M.L.SnapperおよびA.H.Hoveyda.Current Opinion in Chemical Biology 1999,3,313−319 D.R.LiuおよびP.G.Schultz.Angew.Chem.Intl.Ed.Eng.1999,38,36 F.Arnold、Acc.Chem.Res.1998,31,125 F.H.Arnoldら、Curr.Opin.Chem.Biol.1999,3,54−59 J.Minshullら、Curr.Opin.Chem.Biol.1999,3,284−90 C.Schmidt−Dannertら、Trends Biotechnol.1999,17,135−6 D.S.Wilsonら.Annu.Rev.Biochem.1999,68,611−47 M.Famulokら、Curr.Opin.Chem.Biol.1998,2,320−7
(優先権の情報)
本願は、米国仮特許出願第60/277,081号(2001年3月19日出願;発明の名称「Nucleic Acids Directed Synthesis of Chemical Compounds」);同第60/277,094号(2001年3月19日出願、発明の名称「Approaches to Generating New Molecular Function」);および同第60/306,691号(2001年7月20日;発明の名称「Approaches to Generating New Molecular Function」)(これらの出願の各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される)に対する米国特許法119(e)条のもとでの優先権を主張する。
(発明の要旨)
核酸およびタンパク質以外のクラスの分子を増幅および進化させ得る必要性の認識は、本発明をもたらし、テンプレートによって指向される、分子の合成、増幅および進化のための方法および組成物を提供した。一般に、これらの方法は、進化可能なテンプレートを用いて、化合物または化合物のライブラリーの合成を導く(すなわち、テンプレートは実際に、化合物の合成をコードする)。核酸のようなテンプレートを用いてコードまたは合成されるライブラリーに基づいて、ライブラリーを増幅、進化およびスクリーニングするための方法が提供される。特に目的の特定の実施形態では、化合物は、核酸でもそのアナログでもなく、核酸にもそのアナログにも類似していない化合物である。特定の実施形態では、テンプレートにコードされるこれらのコンビナトリアルライブラリーの化合物は高分子であり、より好ましくは非天然の高分子(すなわち、天然のペプチド、タンパク質およびポリヌクレオチドを除く)である。他の実施形態では、これらの化合物は、低分子である。
特定の実施形態では、化合物または化合物のライブラリーを合成する方法は、1以上の核酸テンプレートを最初に提供する工程を包含し、この1以上の核酸テンプレートは、それに会合した反応性単位を必要に応じて有する。次いで、核酸テンプレートを、この核酸の配列とハイブリダイズして、合成されるべき化合物の構築ブロックを含む第二部分(反応性単位)と会合する第一部分(アンチコドン)を有するように設計された1以上の移動単位と接触させる。一旦、これらの移動単位が、この核酸テンプレートに配列特異的様式でハイブリダイスしたら、この化合物の合成が、移動単位および/または核酸テンプレートに存在する反応性部分との相互作用に起因して生じ得る。重要なことには、この核酸の配列は、結合した化合物の合成過程、それにより、その構造を解読するように後で決定され得る。本明細書中に記載される方法を用いて1回に1つの分子を合成し得るか、またはコンビナトリアル方法を用いて数千〜数百万の化合物を合成し得ることが認識される。
この様式で合成される(すなわち、核酸によってコードされた)ライブラリーが、増幅可能でかつ進化可能であるという利点を有することが認識される。一旦、分子が同定されたら、その核酸テンプレートはまた、結合した化合物を同定するために用いられたタグとして作用する以外に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような標準的DNA技術を用いて増幅され得る。次いで、増幅された核酸を用いて、より多くの所望の化合物を合成し得る。特定の実施形態では、増幅工程の間、親化合物と関連するが1以上の部位で改変された化合物集団を作製するために、変異が核酸中に導入される。次いで、変異した核酸を用いて、関連した化合物の新たなライブラリーを合成し得る。このようにして、スクリーニングされるべきライブラリーを進化させて、所望の活性を有するより多くの化合物を含むようにし得るか、またはより高度の活性を有する化合物を含むようにし得る。
本発明の方法を用いて、広範な種々の化合物を合成し得る。特定の実施形態では、この方法を用いて、現在利用可能な標準的技術を用いては増幅および進化させることができない非天然高分子(すなわち、ポリヌクレオチドおよびペプチドを除く)を合成または進化させ得る。特定の実施形態では、本発明の方法および組成物は、代表的には高分子でない低分子の合成のために利用される。なお他の実施形態では、この方法は、非天然の核酸高分子の作製のために利用される。
本発明はまた、本発明の方法の実施において有用な移動分子(例えば、核酸テンプレートおよび/または移動単位)を提供する。これらの移動分子は代表的に、核酸の配列にハイブリダイズし得る部分、および合成される最終化合物へと取り込まれるべきモノマー、他の構築ブロックまたは反応物を有する第二部分を含む。移動分子の2つの部分は、好ましくは、直接的にまたはリンカー部分を介してのいずれかで互いに会合することが認識される。反応性単位およびアンチコドンは、同じ分子(例えば、その中に機能的に取り込まれた非天然のヌクレオチド)中に存在し得ることもまた認識される。
本発明はまた、本発明の方法の実施において有用な、キットおよび組成物を提供する。これらのキットは、核酸テンプレート、移動分子、モノマー、溶媒、緩衝液、酵素、PCR用試薬、ヌクレオチド、低分子骨格などを含み得る。キットは、特定の型の非天然の高分子または低分子の合成において用いられ得る。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
1つ以上の化学物質を合成する方法であって、該方法は、以下の工程:
1つ以上のテンプレートを提供する工程であって、該1つ以上のテンプレートは、該テンプレートに会合する反応性単位を必要に応じて有する、工程;
1つ以上のアンチコドンの該テンプレートへのハイブリダイゼーションおよび反応性単位の反応を可能にする条件下で、アンチコドンを有する1つ以上の移動単位および反応性単位を、該1つ以上のテンプレートに接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、前記1つ以上の化学物質の一部分が、1つ以上の核酸テンプレートにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むアンチコドンを含有する、方法。
(項目3)
1つより多い化合物のライブラリーが合成される、項目1に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
所望の特性を提示する前記反応性単位の反応産物を含むライブラリーメンバーを検出するためにライブラリーを検索する工程;
該反応産物についての構造情報を検出する工程;および
反応産物の新規の産生を生じるために、1つ以上のさらなる種を用いて該方法を繰り返す工程であって、該反応産物の少なくともいくつかが該所望の特性を提示する、工程、
をさらに包含する、方法。
(項目3)
合成された前記化学物質が、核酸または核酸アナログ以外の化合物である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記化学物質が非天然の高分子である、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記化学物質が低分子である、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記化学物質は低分子であり、そして接触させる工程が、一連の様式で2つ以上の移動単位を接触させる工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記テンプレートが核酸テンプレートである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記テンプレートがDNAまたはRNAを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記テンプレートがDNAを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
1つ以上の化学物質を含むライブラリーであって、該化学物質の各々は、増幅可能なテンプレートに結合され、該テンプレートのヌクレオチド配列は化学物質の構造の情報を与える、ライブラリー。
(項目11)
前記化学物質のライブラリーが、低分子のライブラリーを含む、項目10に記載のライブラリー。
(項目12)
化学物質のライブラリーの合成方法であって、該方法は、以下の工程:
1つ以上の反応性単位と、必要に応じて会合される1つ以上のテンプレートを提供する工程;
該1つ以上のテンプレートと1つ以上の移動単位とを、同時にかまたは連続して接触させる工程であって、該移動単位は、複数の異なるライブラリーメンバーを産生するために、該アンチコドンの該テンプレートへのハイブリダイゼーションおよび反応性単位の反応に適切な条件下で、1つ以上の反応単位と会合するアンチコドンを含む、工程、
を包含する、方法。
(項目13)
前記化合物の一部分が、1つ以上の核酸テンプレートとハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むアンチコドンを含有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
項目12の方法であって、該方法は、以下の工程:
所望の特性を提示する反応性単位の反応産物を含むライブラリーメンバーを検出するためのライブラリーを探索する工程;
該反応産物についての構造的情報を検出する工程;および
反応産物の新規の産生を生じるために、1つ以上のさらなる種を用いて該方法を繰り返す工程であって、該反応産物の少なくともいくつかが該所望の特性を提示する、工程、
をさらに包含する、方法。
(項目15)
前記所望の特性が、標的タンパク質に結合することを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記所望の特性が、化学反応を触媒することを含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
1つ以上の化学物質を単離する工程をさらに包含する、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記合成された化学物質が、低分子である、項目14に記載の方法。
(項目19)
1つ以上の非天然の高分子の合成のための方法であって、該方法は、以下の工程:
1つ以上の核酸テンプレートを提供する工程;
ハイブリダイゼーションおよび該テンプレートに沿って並ぶ隣接するモノマー単位の間に結合を形成するための反応を可能にする条件下で、1つ以上の移動単位と、1つ以上の核酸テンプレートとを接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目20)
非天然の高分子を単離する工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記非天然の高分子の一部分が、1つ以上の核酸テンプレートにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むアンチコドンを含有する、項目19に記載の方法。
(項目22)
項目19に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
所望の特性を提示する反応性単位の反応産物を含むライブラリーメンバーを検出するためにライブラリーを探索する工程;
反応産物についての構造情報を検出する工程;
反応産物の新規の産生を生じるために、1つ以上のさらなる種を用いて該方法を繰り返す工程であって、該反応産物の少なくともいくつかが該所望の特性を提示する、工程、
をさらに包含する、方法。
(項目24)
前記所望の特性が化学反応を触媒することを含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記核酸テンプレートがDNAである、項目12または19に記載の方法。
(項目26)
前記核酸テンプレートが一本鎖である、項目12または19に記載の方法。
(項目27)
前記核酸テンプレートが二本鎖である、項目12または19に記載の方法。
(項目28)
前記核酸テンプレートがDNA、RNA、DNAとRNAのハイブリッド、DNA誘導体、およびRNA誘導体からなる群より選択される、項目12または19に記載の方法。
(項目29)
前記アンチセンスコドンが、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基を含む、項目12または19に記載の方法。
(項目30)
前記アンチコドンがフレームシフトし得ない、項目12または19に記載の方法。
(項目31)
前記アンチコドンがDNA、RNA、DNAとRNAのハイブリッド、DNA誘導体、およびRNA誘導体からなる群より選択される、項目12または19に記載の方法。
(項目32)
前記アンチコドンが共有結合を介して、モノマー単位と会合される、項目12または19に記載の方法。
(項目33)
化合物のライブラリーを進化させる方法であって、該方法は、以下の工程:
所望の活性を有する化合物を単離する工程であって、該化合物が、該化合物の合成がコードされる核酸テンプレートに結合されている、工程;
核酸テンプレートを変異および増幅させる工程;ならびに
変異および増幅された核酸テンプレートを用いて、関連する化合物の新規のライブラリーを合成する工程、
を包含する、方法。
(項目34)
項目33に記載の方法であって、該方法は、以下の工程:
所望の活性について化合物をアッセイする工程;および
所望の活性を有する高分子のテンプレートに基づいて、項目33に記載の工程を繰り返す工程、
をさらに包含する、方法。
(項目35)
前記所望の活性が、触媒活性および結合活性からなる群より選択される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記変異および増幅の工程が、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて実行される、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記変異および増幅の工程が、エラープローンPCRを用いて実行される、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記変異および増幅の工程が、インビトロ相同的組み換え(DNAシャフリング)を用いて実行される、項目34に記載の方法。
(項目39)
1つ以上の化学物質を含む、化学物質のライブラリーであって、ここで、該化学物質の各々は増幅可能なテンプレートに結合され、該テンプレートのヌクレオチド配列は化学物質の構造の情報を与え、そして該ライブラリーは項目1、12または19に従って合成される、ライブラリー。
(項目40)
前記ライブラリーが、低分子または非天然の高分子のライブラリーである、項目39に記載のライブラリー。
(項目41)
1位以上の核酸テンプレートおよび1つ以上の移動単位を備える、キット。
(項目42)
緩衝液、熱安定性DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、および制限エンドヌクレアーゼをさらに備える、項目41に記載のキット。
(項目43)
前記核酸テンプレートが、低分子の骨格と会合される、項目41に記載のキット。
(項目44)
複数の核酸テンプレートを備える、項目41に記載のキット。
(項目45)
前記移動単位が、モノマー単位を含む、項目41に記載のキット。
(項目46)
前記移動単位が、低分子の骨格を改変するために使用される反応物を備える、項目41に記載のキット。
(定義)
用語抗体とは、天然であるか、または完全もしくは部分的に合成によって生成されたかによらず、免疫グロブリンをいう。特異的結合能力を保持するその全ての誘導体もまた、この用語に含まれる。この用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同であるかまたは大部分相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を包含する。これらのタンパク質は、天然の供給源から誘導され得るか、または部分的もしくは完全に合成によって生成され得る。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。抗体は、ヒトの以下のクラスのいずれかを含め、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであり得る:IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE。しかし、IgGクラスの誘導体は、本発明において好ましい。
用語、と会合する(associated with)、を用いて、2以上の群、部分、化合物、モノマーなどの間での相互作用を記載する。2以上の存在が、本明細書中に記載されるように互いに「会合する」場合、これらは、直接的または間接的な共有結合的相互作用または非共有結合的相互作用によって連結される。好ましくは、会合は、共有結合である。共有結合的会合は、アミド結合、エステル結合、炭素−炭素結合、ジスルフィド結合、カルバメート結合、エーテル結合、またはカルボネート結合を介してであり得る。共有結合的会合はまた、リンカー部分(例えば、光切断可能なリンカー)を含み得る。所望の非共有結合的相互作用は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気的相互作用、静電相互作用などを含む。また、2以上の実体または因子は、同じ組成物中に一緒に存在することによって、互いに「会合」し得る。
生物学的高分子は、ポリヌクレオチド(例えば、RNA、DNA、RNA/DNAハイブリッド)、タンパク質、ペプチド、脂質、天然産物、または多糖である。生物学的高分子は、天然に存在してもよく、天然に存在しなくてもよい。好ましい実施形態では、生物学的高分子は、500g/molよりも大きな分子量を有する。
ポリヌクレオチド、核酸、またはオリゴヌクレオチドとは、ヌクレオチドの高分子をいう。この高分子は、以下を含み得る:天然のヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロプニル−ウリジン、C5−プロプニル−シチジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン)、化学的に改変された塩基、生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化塩基)、インターカレートされた塩基、改変された糖(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、または改変されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエート結合および5’−N−ホスホロアミダイト結合)。
タンパク質は、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基の高分子を包含する。この用語は、本明細書中で使用される場合、任意のサイズ、構造または機能のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドをいう。代表的に、タンパク質は、少なくとも3アミノ酸長である。タンパク質は、個々のタンパク質またはタンパク質のコレクションを言及し得る。タンパク質は、全長タンパク質またはタンパク質のフラグメントを言及し得る。本発明のタンパク質は好ましくは、天然のアミノ酸のみを含むが、当該分野で公知のような非天然のアミノ酸(すなわち、天然では生じないが、ポリペプチド鎖に取り込まれ得る化合物;例えば、http://www.cco.caltech.edu/〜dadgrp/Unnatstruct.gif(これは、機能的イオンチャネルに好首尾に取り込まれた非天然のアミノ酸の構造を提示する)を参照のこと)および/またはアミノ酸アナログは、代替的に用いられ得る。また、本発明のタンパク質における1以上のアミノ酸は、例えば、化学存在(糖基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合体化、官能化または他の改変のためのリンカーなど)の付加によって改変され得る。タンパク質はまた、単一分子であり得るか、または多分子複合体であり得る。タンパク質は、天然に存在するタンパク質またはペプチドの単なるフラグメントであり得る。タンパク質は、天然に存在するか、組換えか、もしくは合成、またはこれらの任意の組合せであり得る。
用語低分子は、本明細書中で使用される場合、研究室で合成されるかまたは天然に見出されるかのいずれかの、非ペプチド性の非オリゴマー性有機化合物をいう。低分子は、本明細書中で用いられる場合、「天然の産物様」である化合物を言及し得るが、用語「低分子」は、「天然産物様」の化合物に限定されない。むしろ、低分子は代表的に、以下を含む特徴のうちの1以上を保有するという点で特徴付けられる:いくつかの炭素−炭素結合を有すること、複数の立体中心を有すること、複数の官能基を有すること、少なくとも2つの異なる型の官能基を有すること、および1500未満の分子量を有すること。しかし、この特徴付けは、本発明の目的を制限することを意図しない。
用語低分子骨格は、本明細書中で使用される場合、官能化のための少なくとも1つの部位を有する化合物をいう。好ましい実施形態では、低分子骨格は、官能化のための多重部位を有し得る。これらの官能化部位は、当業者によって認識されるように、保護またはマスクされ得る。これらの部位はまた、基礎となる環構造または骨格上に見出され得る。
用語移動単位は、本明細書中で用いられる場合、反応性単位(核酸によってコードされる分子を合成する際に用いられる、構築ブロック、モノマー、モノマー単位、または反応物を含むがこれらに限定されない)と会合したアンチコドン部分を含む分子をいう。
図1は、分子機能を生じる、自然のアプローチ(灰色)および古典的化学アプローチ(黒色)を示す。 図2は、核酸およびそのアナログについての特定のDNAテンプレート反応を示す。 図3は、核酸テンプレート合成を用いて高分子を合成するための一般的方法を示す。 図4は、4重および3重の非フレームシフトコドンセットを示す。各セットは、9個の可能なコドンを提供する。 図5は、ライブラリーを結合切断触媒および結合形成触媒についてスクリーニングする方法を示す。これらの方法は、ストレプトアビジンのビオチンに対する天然親和性を利用する。 図6Aは、ヘアピン(H)およびヘリックス末端(E)DNAテンプレートによって指向される合成を示す。反応を、示された反応時間の後にPAGEを変性させることによって分析した。レーン3および4は、反応前に過剰のβ−メルカプロエタノールでクエンチしたテンプレートを含んでいた。 図6Bは、チオール(S)または一級アミン(N)に連結した、一致した試薬(M)または不一致の試薬(X)を、示した種々の求電子試薬で官能化した1当量のテンプレートと混合したことを示す。チオール試薬との反応を、pH7.5で、以下の条件下で行った:SIABおよびSBAP:37℃、16h;SIA:25℃、16h、SMCC、GMBS、BMPS、SVSB:25℃、10分。アミン試薬との反応を、25℃、pH8.5で75分間行った。 図7は、以下を示す:(a)25℃での、0、1、または3個の不一致を含む、チオール試薬と反応させたa−ヨードアセトアミド基に連結したHテンプレート。(b)(a)における反応を、示した温度で16時間繰り返した。計算した試薬のTm:38℃(一致)、28℃(1不一致)。 図8は、テンプレートの5’末端から1〜30塩基にアニールするように設計された、41塩基のEテンプレートおよび10塩基の試薬を用いて実施した反応を示す。このグラフにおける反応速度プロフィールは、2回の試行の平均(偏差<10%)を示す。「n=1 mis」試薬は、3つの不一致を含む。 図9は、5’−NH2−dTの続きの9塩基を、示した骨格アナログで置換した、反復した図8におけるn=10反応を示す。介在塩基に相補的な5当量のDNAオリゴヌクレオチドを、「DNA+クランプ」反応に添加した。試薬は、一致(O)であるか、または3つの不一致(3)を含んだ。このゲルは、25℃で25分後の反応を示す。 図10は、テンプレートおよび12.5、25、62.5または125nMの試薬濃度で繰返した、図8に記載されるn=1、n=10、およびn=1の不一致(mis)反応を示す。 図11は、DNAにコードされるライブラリー由来のストレプトアビジンを結合する合成分子のモデル翻訳、選択および増幅を示す。 図12は、以下を示す:(a)レーン1および5:ストレプトアビジン結合選択前のPCR増幅したライブラリー。レーン2および6:選択後のPCR増幅したライブラリー。レーン3および7:PCR増幅した真のビオチンコードテンプレート。レーン4:20bpのラダー。レーン5〜7を、Tsp45Iで消化した。選択前および選択後の、増幅したテンプレートのDNA配列決定痕跡もまた、非ビオチンコードテンプレートおよびビオチンコードテンプレートの配列と一緒に示す。(b)DNAテンプレート合成を用いた非天然分子のライブラリーの創出および進化のための一般的スキーム。ここで、−Rは、試薬ライブラリー1から移動した産物官能基のライブラリーを表し、そして−R1Bは、選択された産物を表す。 図13は、例示的なDNAテンプレート反応を示す。指定した条件下での全ての反応について、一致したテンプレートおよび試薬配列を用いた反応の生成物収率は、混ぜた試薬配列を用いたコントロール反応の生成物収率の20倍を超えて大きかった。他に指定しない限り、反応を、25℃にて、各々1当量のテンプレートおよび60nMの最終濃度で試薬を用いて行った。条件:a)3mM NaBHCN、0.1M MES緩衝液(pH6.0)、0.5M NaCl、1.5h;b)0.1M TAPS緩衝液(pH8.5)、300mM NaCl、12h;c)0.1M(pH8.0)TAPS緩衝液、1M NaCl、5℃、1.5h;d)50mM MOPS緩衝液(pH7.5)、2.8M NaCl、22h;e)120nM 19、1.4mM NaPdCl、0.5M NaOAc緩衝液(pH5.0)、18h;f)NaPdClを水中で2当量のP(p−SOと15分間、予め混合し、次いで、0.5M NaOAc緩衝液(pH5.0)、75mM NaCl、2h(最終[Pd]=0.3mM、[19]=120nM)中の反応物に対して添加する。13からの産物のオレフィンのジオメトリー、ならびに14および16からの付加環化生成物のレジオ化学は、推定されたが確認されていない。 図14は、図13および図15に列挙した代表的DNAテンプレート反応のポリアクリルアミドゲル電気泳動を変性させることによる分析を示す。試薬およびテンプレートの構造は、図13および図15における番号付けと対応する。レーン1、3、5、7、9、11:図13および図15に列挙した条件下での一致した(相補的)試薬およびテンプレートの反応(4および6の反応は、DMT−MMによって媒介された)。レーン2、4、6、8、10、12:それぞれ、レーン1、3、5、7、9および11における条件と同一の条件下での不一致の(非相補的)試薬およびテンプレートの反応。 図15は、種々の置換されたカルボン酸およびアミンについての、EDCおよびスルホ−NHSによって、またはDMT−MMによって媒介されたDNAテンプレートアミド結合形成を示す。各列では、試薬とテンプレートとの間で配列が相補的なDMT−MM媒介反応の収率には、EDCおよびスルホ−NHS媒介反応の収率が続く。条件:60nMテンプレート、120nM試薬、50mM DMT−MM(0.1M MOPS緩衝液(pH7.0)、1M NaCl中)、16h、25℃;または60nMテンプレート、120nM試薬、20mM EDC、15mMスルホ−NHS、0.1M MES緩衝液(pH 6.0)、1M NaCl、16h、25℃。全ての場合、不一致の試薬配列を用いたコントロールの反応は、検出可能な産物をほとんどまたは全く生じなかった。 図16は、以下を示す:(a)距離非依存性DNA−テンプレート合成についての概念的モデル。アニーリングした試薬の反応基とテンプレート(n)の反応基との間の距離が増加するにつれて、結合形成の割合は、減少すると推定される。結合形成の割合がテンプレート−試薬アニーリングの割合よりも有意に高いnの値については、生成物形成の割合は、一定のままである。このレジメでは、DNA−テンプレート反応は、距離非依存性を示す。(b)アニーリングした反応物を分離する0塩基(レーン1〜3)または10塩基(レーン4〜6)のいずれかで有する、相補的11と13との間でのDNA−テンプレートWittigオレフィン化(olefination)の変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動。n=0反応およびn=10反応についての見かけの二次速度定数は、3倍異なる(kapp(n=0)=9.9×10−1−1、他方、kapp(n=10)=3.5×10−1−1)が、両方の距離での13時間後の生成物の収率は、ほぼ定量的である。配列不一致を含むコントロール反応は、検出可能な生成物を生じなかった(示さず)。 図17は、特定の例示的なDNA−テンプレート複合構築反応を示す。 図18は、本発明の方法において使用するための特定の例示的なリンカーを示す。 図19は、本発明の方法において使用するための特定のさらに例示的なリンカーを示す。 図20は、本発明の方法において使用するための例示的なチオエステルリンカーを示す。 図21は、試薬およびテンプレートがジメチルジドデシルアンモニウムカチオンと複合体化する、DNA−テンプレートアミド結合形成反応を示す。 図22は、核酸テンプレートに沿った移動単位のアセンブリーおよびヌクレオチドアンチコドン部分の重合を示す。 図23は、ポリカルバメートを形成する、核酸テンプレートに沿ったジカルバメート単位の重合を示す。重合を開始するために、o−ニトロベンジルカルバメートで終わる「開始」モノマーを光脱保護して、一級アミンを除去し、これによって、カルバメート重合を開始する。次いで、重合は、DNA骨格に沿って5’から3’の方向で進行し、各求核試薬の攻撃は、新たなアミン求核試薬のその後のアンマスキングをもたらす。「停止」モノマーの攻撃は、アミンではなく、アセトアミドを遊離させ、それにより、重合を終了させる。 図24は、ヌクレオチド骨格からのポリカルバメートの切断を示す。アンチコドン部分をモノマー単位へと結合させるエノールエーテルリンカーの脱シリル化(desilylation)および得られるフェノール遊離によって駆動されるホスフェート除去は、そのカルボキシ末端でそのコードする一本鎖DNAに共有結合的に連結するポリカルバメートを提供する。 図25は、増幅可能な、進化可能な官能化ペプチド核酸ライブラリーの構成要素を示す。 図26は、DNAテンプレートPNAカップリングのために試薬および条件を最適化するために用いられた試験試薬を示す。 図27は、PNAベースの蛍光Ni2+センサーを進化させるために有用な、市販の構築ブロックに由来する1セットのPNAモノマーを示す。 図28は、アルドール反応または逆アルドール反応を触媒し得る、ビオチン末端機能化PNAの選択についての、2つのスキームを表す。 図29は、コンビナトリアル低分子ライブラリーのDNAテンプレート特異的合成を表す。 図30は、どのようにDNA結合低分子骨格が、相補的な核酸オリゴヌクレオチドに結合する合成試薬を用いての反応によって配列特異的に機能化され得るかを図式的に示す。このプロセスは、完全な機能合成への合成性変換を完了するよう繰り返され得る。 図31は、種々の反応物によるセファロスポリン低分子骨格の機能化を示す。 図32は、非高分子構造の核酸テンプレート合成が行なわれ得る必須の反応窓(reaction window)を定義する核酸テンプレートに沿って異なる距離でハイブリダイズされる、固定化求核試薬と求電子試薬との間の、反応速度を測定する方法を表す。 図33は、DNAテンプレート合成に対する3つのリンカーストラテジーを表す。自動切断リンカーストラテジーにおいて、試薬のオリゴヌクレオチドからの産物を接続する結合は、反応の自然な結果として切断される。傷を残さないストラテジーおよび有用な傷を残すリンカーストラテジーにおいて、この結合は、DNAテンプレート反応後に切断される。この表された反応を、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析した(以下)。レーン1〜3を、DNA染色をすることなくUVを用いて可視化した;レーン4〜10を、臭化エチジウムでの染色によって、次いでUV光透照によって可視化した。条件:1〜3:試薬およびテンプレートの各々1つの等価物、0.1M TAPS緩衝液(pH8.5)、1M NaCl、25℃、1.5時間;4〜6:4の3つの等価物、0.1M MES緩衝液(pH7.0)、1M NaNO、10mM AgNO、37℃、8時間;8〜9:0.1M CAPS緩衝液(pH11.8)、60mM BME、37℃、2時間;11〜12:50mM NaIO水溶液、25℃、2時間。R=NH(CHNH−ダンシル;R=ビオチン。 図34は、DNAテンプレート合成の産物を精製するためのストラテジーを表す。ビオチン化試薬のオリゴヌクレオチドを用いて、自己切断リンカーから生じる産物を、アビジン結合ビーズを用いて粗反応物を洗浄することによって部分精製する(上部)。傷を残さないリンカーまたは有用な傷を残すリンカーを用いてのDNAテンプレート反応から生成した産物を、ビオチン化試薬のオリゴヌクレオチドを用い、アビジン結合ビーズを用いての粗反応産物を捕獲し、そしてリンカー切断を誘導することによって所望の産物を溶出することによって精製し得る(下部)。 図35は、例示的なライブラリー合成についての開始テンプレートプールの生成を表す。 図36は、非天然ペプチドライブラリーのDNAテンプレート合成を表す。 図37は、5’−試薬DNA−リンカー−アミノ酸を表す。 図38は、発展する多様性により方向付けられた二環式ライブラリーのDNAテンプレート合成を表す。 図39は、DNAテンプレート多工程トリペプチド合成を表す。各々のDNAテンプレートアミド形成は、明細書中に記載されるスルホンリンカーを含む試薬を使用した。条件:工程1;20mM EDC、15mM スルホ−NHS、0.1M MES緩衝液(pH5.5)、1M NaCl、10分、25℃、において2つの等価物13を、活性化し、次いで0.1M MOPS(pH7.5)、1M NaCl、25℃、1時間でテンプレートに添加する;工程2および3:試薬の2つの等価物、50mM DMT−MM、0.1M MOPS(緩衝液)pH7.0、1M NaCl、6時間、25℃。各々の工程の後、所望の産物を、アビジン結合ビーズで捕獲し、そして0.1M CAPS緩衝液(pH11.8)、60mM BME、37℃、2時間で溶出することによって精製した。各々の反応および精製を行ったのちに変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った(下部)。レーン3、6および9:混合したオリゴヌクレオチド配列を含む試薬を用いてのコントロール反応。 図40は、非ペプチドDNAテンプレート多工程合成を表す。工程1、2および3で使用された試薬のリンカーは、それぞれ、ジオールリンカー、自己切断Wittigリンカーおよびスルホンリンカーであった;リンカー切断条件については図1を参照のこと。条件:17〜18:20mM EDC、15mM スルホ−NHS、0.1M MES緩衝液(pH 5.5)、1M NaCl、10分、25℃において2つの等価物17を活性化し、次いで、0.1M MOPS(pH 7.5)、1M NaCl、16℃、8時間でテンプレートに添加する;19〜21:3つの等価物20、0.1M TAPS(pH9.0)、3M NaCl、48時間、25℃;22〜23:3つの等価物22、0.1M TAPS(pH8.5)、1M NaCl、21時間、25℃。各々の反応および精製を行った後に、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った(下部)。レーン3、6および9:混合したオリゴヌクレオチド配列を含む試薬を用いてのコントロール反応。 図41は、重合触媒のリガンドに核酸を結合することにより新しい高分子およびプラスチックの合成を指向するための核酸の使用を表す。この核酸は、触媒の選択性および活性に影響し得る複雑な構造に折り畳み得る。 図42は、成長するプラスチック中でのGrubbの開環複分解の重合触媒の使用を表す。DNAに結合されるジヒドロイミダゾールリガンドの合成スキームを、重合反応において使用されるモノマーと同じように示す。 図43は、所望の性質を有する高分子を生成するためのリガンドの多様化、選択および増幅の反復性サイクルによる、プラスチックの成長を表す。 図44は、化合物のライブラリーの合成、インビトロでの選択、および増幅についての例示的スキームを表す。 図45は、組換えにおける使用のための例示的なテンプレートを表す。 図46は、ワトソンクリックの水素結合に関与せず、そして天然のDNAテンプレートに対して、高い配列信頼性で挿入されることが公知であるグループに対する改変を有する、さまざまな例示的デオキシリボヌクレオチド(deoxyribunucleotide)およびリボヌクレオチドを表す。 図47は、例示的な金属結合ウリジンおよび7−デアザアデノシンアナログを表す。 図48は、アナログ(7)の合成を表す。 図49は、アナログ(30)の合成を表す。 図50は、8−改変デオキシアデノシン三リン酸の合成を表す。 図51は、DNAポリメラーゼによる改変ヌクレオチドの受け入れを評価するアッセイの結果を表す。 図52は、7−デアザアデノシン誘導体の合成を表す。 図53は、特定の例示的なヌクレオチド三リン酸を表す。 図54は、金属結合高分子のライブラリーの生成のための一般的な方法を表す。 図55は、非天然高分子触媒についてのインビロトでの選択についての例示的スキームを表す。 図56は、非天然高分子触媒についてのインビロトでの選択についての例示的スキームを表す。 図57は、Heck反応、ヘテロDiels−Alder反応およびアルドール添加のための触媒のインビトロでの選択についての例示的スキームを表す。
(発明の特定の実施形態の説明)
上記に議論されるように、化学物質(限定されないが低分子および高分子を含む)が、生体高分子(例えば、ポリヌクレオチドおよびタンパク質)増幅し、そして進化し得るのと同じ方法で、成長および増幅し得ることが所望される。DNAテンプレート合成は、DNA配列における情報を合成的低分子へと翻訳する可能な手段を提供することが証明された。一般的に、1つの反応物に結合されるDNAテンプレートは、産物を得るために、相補的なDNA分子に結合される第2の反応基を補充され得る。DNAハイブリダイゼーションは、配列特異的であるので、DNAテンプレート反応の結果は、対応する反応産物への特定のDNA配列の翻訳である。図2に示されるように、相補的なオリゴヌクレオチド(T.Inoueら J.Am.Chem.Soc.1981,103,7666;L.Inouら J.Mol.Biol.1984,178,669−76)の配列特異的オリゴマー形成を触媒するような一本鎖核酸テンプレートの能力が、示された。この発見のすぐ後に、DNAテンプレートまたはRNAテンプレートが相補的なDNAまたはRNAの、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、トリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの重合を触媒し得ることが見出された(T.Inoueら J.Am.Chem.Soc.1981,103,7666;L.E.Orgelら Acc.Chem.Res.1995,28,109−118;H.Remboldら J.Mol.Evol.1994,38,205;L.Rodriguezら J.Mol.Evol.1991,33,
477;C.B.Chenら J.Mol.Biol.1985,181,271)。DNAテンプレートまたはRNAテンプレートは、種々の非天然核酸アナログ(ペプチド核酸(C.Bohlerら Nature 1995,376,578)、ホスホロチオネート含有核酸(M.K.Herrleinら J.Am.Chem.Soc.1995,117,10151−10152)、ホスホロセレネート含有核酸(Y.Xuら J.Am.Chem.Soc.2000,122,9040−9041;Y.Xuら Nat.Biotechnol.2001,19,148−152)、およびホスホロアミデート含有核酸(A.Lutherら Nature 1998,396,245−8)核酸、非リボース核酸(M.Bolliら Chem.Biol.1997,4,309−20)およびリン酸結合がアミノエチル基(Y.Gatら Biopolymers 1998,48,19−28)で置き変えられたDNAアナログを含む)の形成を加速することを示した。核酸テンプレートはまた、ヌクレオチドアナログの間のアミンのアシル化を触媒し得る(R.K.Bruickら Chem.Biol.1996,3,49−56)。
しかし、種々の非天然核酸アナログの形成を加速するような核酸テンプレートの能力が、証明されているものの、核酸テンプレートによって触媒されることが以前に示されたほとんど全てのこれらの反応は、天然の核酸骨格の構造と密接に似ている遷移状態を通って進行するように設計されており(図2)、代表的に、ヌクレオチド単位の間の同じ六結合骨格間隔を保持する産物が得られた。この設計の動機は、おそらく、核酸テンプレートによって提供される速度の増強が、反応基の正確なアライメントに依存し、そしてこのアライメントの正確さは、反応物および産物がDNA骨格およびRNA骨格の構造を擬態する場合、最大となるという仮定である。DNAテンプレート合成が、核酸骨格に類似する産物のみを生成し得るという仮定を支持する証拠は、有機合成における周知のマクロ環化の困難性に起因する(G.Illuminatiら Acc.Chem.Res.1981,14,95−102;R.B.Woodwardら J.Am.Chem.Soc.1981,103,3210−3213)。分子内対応物と比較して分子内の閉環反応の速度の増強は、急速に減少することが公知である。なぜならば、回転可能な結合が反応基の間に付加され、その結果可撓性の14炭素リンカーを有する結合反応物は、いかなる速度の加速もほとんど生じないからである(G.Illuminatiら Acc.Chem.Res.1981,14,95−102))。
目的の合成分子は、一般的に核酸骨格に類似しないので、DNA配列を合成低分子へと翻訳するためのDNAテンプレート合成の使用は、DNAテンプレート様式において核酸および核酸アナログ以外の合成分子が合成され得る場合のみ、広範に有用である。従って、DNA配列を任意の非天然低分子へと翻訳するようなDNAテンプレート合成の能力は、DNAテンプレート合成が以前に記載されとものよりもより一般的な現象であることを証明する必要がある。
重要なことに(signficantly)、最初に、DNAテンプレート合成が、実際に一般的な現象であり、そして多様な範囲の化合物(特に、最初の核酸またはそのアナログでないか、または類似しない化合物を含む)を生成するような種々の反応および条件のために使用され得ることが実証された。より特に、本発明は、天然の生体高分子より優れた化学物質のライブラリーを増幅および成長させる能力を拡大する。任意の構造の化学物質を合成する能力により、新規の骨格および側鎖構造に広範な化学機能を取りこむその独自の遺伝的コードを研究者ば書くことが可能となり、この能力は、2、3例をあげると、新規の触媒、薬物および高分子の開発を可能にする。例えば、遺伝的選択によってこれらの分子を直接的に増幅および成長させる能力は、活性、バイオアベイラビリティー、溶解性または熱安定性、もしくは天然のタンパク質および核酸形成ブロックの限定されたセットを用いて達成することが、困難であるかまたは不可能である、他の物理的特定(例えば、蛍光、スピン標識化または感光性を有する、人工的な触媒の全く新しいファミリーの発見を可能にする。同様に、変異および選択の繰り返されたサイクルによって合成低分子を増幅し、そして直接成長するような発達方法は、伝統的な合理的な設計またはコンビナトリアルスクリーニング薬物発見方法によって単離されたもおのより優れた特性を有する、新規のリガンドまたは薬物の精製を可能にする。さらに、本明細書中に記載されるアプローチを材料科学において有意な高分子にまで拡大することは、新たなプラスチックの成長を可能にする。
一般的に、本発明の方法は、以下を包含する1)1つ以上の核酸テンプレートを提供する工程(1つ以上の核酸は、必要に応じて、それらと会合した反応性単位を有する);および2)1つ以上の核酸テンプレートと第1の部分(核酸の配列にハイブリダイズし、そして第2の部分(合成されるべき化合物に対して特定の機能性(ビルディングブロック、反応物など)を含む反応性単位)と会合されるアンチコドン)を有するように設計された1つ以上の移動単位とを接触する工程。本発明の特定の実施形態において、移動単位は、アンチコドン単位のハイブリダイゼーション能力および反応単位の化学的機能性を取り込んだ1つの部分を含むことが理解される。一旦、これらの移動単位が、配列特異的様式において核酸テンプレートにハイブリダイズされると、化学物質の合成は、移動単位および/または核酸テンプレート上に存在する反応性単位の相互作用に起因して、行なわれ得る。重要なことに、核酸の配列は、結合した化合物およびそれによるその構造の合成履歴(synthetic history)をデコードするために、後に決定され得る。本明細書中に記載される方法は、1分子を一度に合成するために使用され得、そしてコンビナトリアル方法を用いて、数千から数百万の化合物を合成するために使用され得ることが理解される。
種々の化学物質が、本発明に従って調製され、そして成長され得ることが理解される。しかし、本発明の特定の実施形態において、この方法は、核酸または核酸アナログでないか、または類似しない化学物質の合成のために使用される。例えば、本発明の特定の実施形態において、低分子化合物は、それらと会合した(直接的か、または本明細書中の実施例5により詳細に記載されるようなリンカーを介して結合された)反応性単位(例えば、ビルディングブロックまたは低分子骨格)を有するテンプレートを提供し、そしてそれらと会合した1つ以上の反応性単位を有する1つ以上の移動単位と同時かまたは連続的にテンプレートに接触することによって合成され得る。特定の他の実施形態において、非天然高分子は、テンプレートを提供し、そして各々の移動単位上の隣接する反応性単位の反応をもたらすのに適切な条件下で、それらと会合した1つ以上の反応性単位を有する1つ以上の移動単位と同時にテンプレートに接触させることによって合成され得る(例えば、本明細書中でより詳細に記載されるように、図3、ならびに実施例5および9を参照のこと)。
特定の実施形態は、以下により詳細に議論される;しかし、本発明は、以下に議論されるこれらの実施形態に限定されることが意図されないことが理解される。むしろ、本発明は、これらの実施形態およびその等価物を包含することが意図される。
(テンプレート)
上記に議論されるように、1つ以上のテンプレートが、本発明の方法において使用され、そして移動単位にハイブリダイズして化学物質の合成を指示する。当業者に理解されるように、任意のテンプレートは、本発明の方法および組成物に使用され得る。変異されそしてそれによって成長したテンプレートを使用して、本明細書中に記載されるような別の化学物質または化学物質のライブラリーの合成を導き得る。本明細書中により詳細に記載されるように、成長可能なテンプレートは、化学物質の合成をコードし、そして化学物質の合成履歴を後にデコードするために、化学物質を間接的に増幅するために、そして/または化学物質を進化する(すなわち、多様化、選択および増幅)ために使用され得る。特定の実施形態において、成長可能なテンプレートは、核酸である。本発明の特定の実施形態において、テンプレートは、核酸に基づく。
本明細書中で使用される核酸テンプレートは、DNA、RNA、DNAおよびRNAのハイブリッド、またはDNAおよびRNAの誘導体から作製され、そして一本鎖または二本鎖であり得る。テンプレートの配列は、本発明の方法において使用され、化学物質の合成をコードし、好ましくは、化学物質は、核酸または核酸アナログでないか、または類似しない(例えば、非天然高分子または低分子)。特定の非天然高分子の場合において、核酸テンプレートを使用して、高分子において見られる配列においてモノマー単位を整列し、そしてテンプレートに沿って隣接するモノマー単位と近接させ、それによって、それらは反応し、そして共有結合によって結合される。低分子の場合、低分子が特定の方法において骨格を改変し得るために、テンプレートを使用して、特定の反応物を低分子骨格と近接させる。特定の他の実施形態において、このテンプレートを使用して、本明細書中の実施例9に記載されるように、ヌクレオチドのランダムな領域からなる合成的なDNAテンプレートライブラリーのPCR増幅によって非天然高分子を生成する。
当業者によって理解されるように、テンプレートの配列は、本発明の範囲を超えることなく、多くの方法において設計され得る。例えば、コドンの長さは、決定され得、そしてコドンの配列は設定され得る。2つのコドンの長さが使用される場合、次いで4つの天然に存在する塩基を使用して、16の可能な組み合わせのみが、利用可能であり、コード化ライブラリーにおいて使用される。コドンの長さが3つまで増加される場合(コード化タンパク質において、数の自然法(number Nature)を使用する)、可能な組み合わせの数は、64まで増加される。コドンの長さを決定する上で、考慮されるべき他の因子は、ミスマッチ、フレームシフト、ライブラリーの複雑性などである。コドンの長さが、特定の伸長まで増加される場合、ミスマッチの長さは、減少される;しかし、過剰に長いコドンは、ミスマッチな塩基対にもかかわらず、ハイブリダイズする。特定の目的の特定の実施形態において、コドンの長さは、2と10の間の範囲である。
核酸テンプレートを用いることに関連する別の問題は、フレームシフトである。自然界(Nature)において、mRNA由来タンパク質の翻訳におけるフレームシフトの問題は、リボソームの複雑な機構の使用によって避けられる。しかし、本発明の方法は、このような複雑な機構の利点を利用しない。代わりに、フレームシフトは、フレームの外側のコドンのハイブリダイゼーションがミスマッチを保証するように各々のコドンを伸長することによって改善され得る。例えば、各々のコドンは、Gで開始し得、そして引き続く位置は、T、CおよびAに制限され得る(図4)。別の例において、各々のコドンは、Gで開始し、そして終了し得、そして引き続く位置は、T、CおよびAに制限され得る。フレームシフトを避ける別の方法は、十分に長いコドンを有することであり、その結果、コドンの配列は、「インフレーム」のテンプレートの配列内でのみ見出される。スペーサー配列はまた、コドンの間に配置され、フレームシフトを防止し得る。
このテンプレートは、塩基数において非常に変化し得ることが理解される。例えば、特定の実施形態において、テンプレートは、10〜10,000塩基長、好ましくは10〜1,000塩基長の間であり得る。テンプレートの長さは、もちろん、コドン、ライブラリーの複雑性、合成されるべき非天然高分子の長さ、合成されるべき低分子の複雑性、スペーサー配列の使用などに依存する。核酸配列は、核酸配列を調製するための当該分野で公知の任意の方法を用いて調製され得る。これらの方法としては、インビボおよびインビトロでの両方の方法(PCR、プラスミド調製、エンドヌクレアーゼ消化、固相合成、インビボ転写、鎖の分離などを含む)が挙げられる。特定の実施形態において、核酸テンプレートは、自動DNA合成機を用いて合成される。
上記に議論されるように、本発明の特定の実施形態において、この方法を使用して、核酸またな核酸アナログでないか、または類似しない化学物質を合成する。DNAテンプレート合成を使用して、核酸およびそのアナログの合成を指向することが証明されているが、DNAテンプレート合成の現象が、一般的に、他のより複雑な化学物質(例えば、低分子、非天然高分子)に拡大するのに十分であることは以前から証明されていない。本明細書中に詳細に記載されるように、DNAテンプレート合成は、実際により一般的な現象であり、そして様々な反応が、使用され得ることが証明されている。
従って、本発明の特定の実施形態において、核酸テンプレートは、非天然高分子または低分子の合成をコードする塩基の配列を含む。核酸テンプレートに、コードされたメッセージは、好ましくは特定のコドンで開始し、この特定のコドンは、重合が起こり得る化学反応部位に置かれるか、または低分子を合成する場合において、「開始」コドンが、低分子骨格または最初の反応物に関連するアンチコドンをコードし得る。本発明の「開始」コドンは、「開始」コドンATG(自然界で見出されるアミノ酸のメチオニンをコードするコドン)と類似する。非天然高分子ライブラリーの合成においての使用についての1つの例のみを挙げると、以下の実施例5Aに示されるように、開始コドンは、感光性保護基によってマスクされた一級アミンを含む開始モノマー単位をコードし得る。
本発明のなお他の実施形態において、核酸テンプレート自体は、高分子合成のための開始部位(例えば、求核原子)または低分子骨格を含むように改変され得る。特定の実施形態において、核酸テンプレートは、モノマー単位の重合を開始するために使用される反応基において終結するその末端の一方に、ヘアピンループを含む。例えば、DNAテンプレートは、5’アミノ基において終結するヘアピンループを含み得、これは保護されていてもされていなくてもよい。非天然高分子の重合は、アミノ基から開始し得る。反応性アミノ基をまた使用して、低分子ライブラリーを合成するために、核酸テンプレート上の低分子骨格に結合し得る。
非天然(unnatural)高分子の合成を終結するために、「停止」コドンは、核酸テンプレート中(好ましくは、コード配列の末端)に含まれるべきである。本発明の「停止」コドンは、mRNA転写物中で見出される「停止」コドン(すなわち、TAA、TAG、TGA)に類似する。自然界において、これらのコドンは、タンパク質合成の終結の原因となる。特定の実施形態において、「停止」コドンは選択され、これは、非天然高分子をコードするために使用される人工遺伝的コードと適合性である。例えば、「停止」コドンは、合成をコードするために使用される任意の他のコドンと対立せず、そしてこれは、テンプレートに使用される他のコドンと同様の一般的な形式である。「停止」コドンは、さらなる結合のための反応基を提供しないことで、重合を終結するモノマー単位をコードし得る。例えば、停止モノマー単位は、以下の実施例5Aに示されるように、一級アミンよりもアセトアミドのような保護反応基を含み得る。なお他の実施形態において、停止モノマー単位は、重合工程を終結し、そして得られた高分子を精製する間便な方法を提供するビオチン化終端を含む。
(移動単位)
上記のように、本発明の方法において、アンチコドンおよび反応性単位を含む移動単位はまた提供される。本発明において使用されるアンチコドンは、核酸テンプレート内に存在するコドンに相補的であるように設計され、そしてその中で使用される核酸テンプレートおよびコドンを考慮して設計されるべきであることが理解される。例えば、テンプレートに使用される配列ならびにコドンの長さは、アンチコドンの設計において考慮する必要がある。テンプレートに使用されるコドンに相補的である任意の分子が、本発明の方法において使用され得る(例えば、ヌクレオチドまたは非天然ヌクレオチド)。特定の他の実施形態において、コドンは、自然界で見出される1つ以上の塩基(すなわち、チミジン、ウラシル、グアニジン、シトシン、アデニン)を含む。特定の他の実施形態において、アンチコドンは、塩基、糖および任意のリン酸基を有する通常自然界で見出される1つ以上のヌクレオチドを含む。なお他の実施形態において、塩基は、通常自然界で見出される糖−リン酸骨格(例えば、非天然ヌクレオチド)でない骨格に沿って延長される。
上記のように、アンチコドンは、移動単位を形成するような反応性単位の特定の型に関連する。この反応性単位は、異なる実体を表すか、またはアンチコドン単位の機能性の一部であり得ることが理解される(実施例9を参照のこと)。特定の実施形態において、各々のアンチコドン配列は、1つのモノマー型に関連する。例えば、アンチコドン配列ATTAGは、イソブチル側鎖を有するカルバメート残基に関連し得、そしてアンチコドン配列CATAGは、フェニル側鎖を有するカルバメート残基に関連し得る。モノマー単位に対するアンチコドンのこの1対1のマッピングは、合成に使用される核酸テンプレートを配列決定することによって、ライブラリーの任意の高分子をデコードすることを可能にし、そして元の高分子の配列を知ることによって、同じ高分子または関連高分子を合成することを可能にする。テンプレートの配列を変化する(例えば、変異)ことによって、異なるモノマー単位が置かれ、それによって関連高分子の合成を可能にし、これは、引き続いて選択され、そして成長され得ることが、当業者に理解される。特定の好ましい実施形態において、いくつかのアンチコドンは、自然界におけるのと同様に、1つのモノマー単位をコードし得る。
本発明の特定の他の実施形態において、高分子ライブラリーよりもむしろ低分子ライブラリーが、作成される場合、アンチコドンは、低分子骨格を改変するために使用される反応物と結合する。特定の実施形態において、この反応物は、反応物を低分子骨格と接触させるのに十分長いリンカーを介してアンチコドンと結合する。このリンカーは、好ましくは、分子間反応を可能にし、そして分子内反応を最小化する長さおよび組成物である。この反応物は、DNAテンプレート化合成(例えば、本明細書中の実施例2、3および4を参照のこと)において利用され得、そして化学分野において公知の任意の化学基、触媒(例えば、有機金属化合物)、または反応性部分(例えば、求電子基、求核基)であり得る広い範囲の反応によって実証されるような種々の試薬を含む。
さらに、アンチコドン単位とモノマー単位との間の結合または移動単位における反応は、共有結合でもよく、非共有結合でもよい。特別な目的の特定の実施形態において、この結合は、共有結合を介し、そして特定の実施形態において、共有結合は、分離可能である。この結合は、光、酸化、加水分解、酸への曝露、塩基への曝露、還元などによって切断され得る。当該分野において使用される結合の例については、本明細書中で参考として援用される、Fruchtelら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:17,1996を参照されたい。アンチコドン単位およびモノマー単位または反応物はまた、非共有相互作用(例えば、イオン性、静電性、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、πスタッキングなど、およびこれらの組み合わせ)を介して結合され得る。1例を挙げると、アンチコドンは、ビオチンに結合し得、そしてモノマー単位は、ストレプトアビジンに結合し得る。ビオチンに結合するストレプトアビジンの傾向は、アンチコドンとモノマー単位との間の非共有結合を導いて移動単位を形成する。
(特定の例示的な化合物の合成)
種々の化合物および/またはライブラリーが、本発明の方法を用いて調製され得ることが理解される。上記のように、特別な目的の特定の実施形態において、核酸でもそのアナログでもなく、それらに似てもいない化合物が、本発明の方法に従って合成される。
特定の実施形態において、高分子、特に非天然の高分子は、本発明の方法に従って調製される。発明の方法および系を用いて作製され得る非天然の高分子は、任意の非天然の高分子を含む。例示的な非天然の高分子としては、ポリカルバメート、ポリウレア、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリカルボネート、非天然の立体化学を有するポリペプチド、非天然のアミノ酸を有するポリペプチド、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。特定の実施形態において、高分子は、少なくとも10モノマー単位を含む。特定の他の実施形態において、高分子は、少なくとも50モノマー単位を含む。なお他の実施形態において、高分子は、少なくとも100モノマー単位を含む。発明の系を用いて合成される高分子は、触媒、製薬、金属キレート剤、物質などとして使用され得る。
特定の非天然高分子の調製において、アンチコドンに接着されたモノマー単位、および本発明において使用されるモノマー単位は、互いに結合して高分子を形成し得る任意のモノマーまたはオリゴマーであり得る。モノマー単位は、カルバメート、D−アミノ酸、非天然のアミノ酸、尿素、ヒドロキシ酸、エステル、カルボネート、アクリレート、エーテルなどであり得る。特定の実施形態において、モノマー単位は、このモノマー単位を、成長(growing)高分子鎖に連結させるために使用される2つの反応基を有する。好ましくは、2つの反応基は同じではなく、モノマー単位は、方向センスにある高分子(例えば、1端は、求電子基であり、そして他端が求核基であり得る)に組み込まれ得る。反応基としては、エステル、アミド、カルボン酸、活性化カルボニル基、酸塩化物、アミン、ヒドロキシル基、チオールなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態において、反応基は遮蔽されるか、または保護され(Greene & Wuts Protective Groups in Organic Shynthesis,3rd Edition Wiley,1999;本明細書中で参考として援用される)、その結果、反応基が脱保護される、所望の時まで重合化は生じ得ない。一旦モノマー単位が、核酸テンプレートに沿って集められると、重合化配列の開始は、重合工程および脱保護化工程のカスケードを生じ、ここで、重合化工程は、実質的な重合化工程において使用される反応基の脱保護化を生じる(図3を参照のこと)。
重合化されるモノマー単位は、核酸テンプレートに沿った幾何学に依存する2つ以上の単位を含み得る。当業者によって理解されるように、重合化されるモノマー単位は、核酸テンプレートに沿って、そして特に、そのコードするアンチコドンおよび任意のスペーサー配列によって空けられた距離を横切って伸縮可能でなければない。特定の実施形態において、モノマー単位は、2つのモノマー(例えば、ジカルバメート、ジウレア、ジペプチドなど)を実際に含む。なお他の実施形態において、モノマー単位は、3つ以上のモノマーを実際に含む。
このモノマー単位は、当該分野において公知の任意の化学基を含み得る。当業者によって理解されるように、反応化学基(特に、重合化、ハイブリダイゼーションなどと干渉する反応基)は、公知の保護基を用いて遮蔽される(Greene & Wuts Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition Wiley,1999;本明細書中で参考として援用される)。一般に、これらの反応基を遮蔽するために使用される保護基は、重合化工程で使用される基の保護で使用される基に直交する。
非天然の高分子の合成において、特定の実施形態において、モノマー単位の配列をコードするテンプレートが、提供される。次いで、移動単位は、アンチコドンのテンプレートへのハイブリダイゼーションを可能にする条件下でテンプレートを接触させる。次いで、テンプレートに沿ったモノマー単位の重合化は、非天然の高分子形成を生じることを可能にする。次いで、新しく合成された高分子は、アンチコドンおよび/またはテンプレートから切断され得る。このテンプレートは、高分子の構造を解明するためのタグとして使用され得るか、または非天然の高分子を増幅し、そして展開するために使用され得る。以下により詳細に記載されるように、本発明の方法は、非天然の高分子のライブライーを調製するために使用され得る。例えば、特定の実施形態において、本明細書中の実施例9により詳細に記載されるように、DNAテンプレートのライブラリーは、非天然の高分子を調製するために利用され得る。一般に、この方法は、特定のDNAポリメラーゼが特定の改変されたヌクレオチド三リン酸基質を受容し得るという事実、ならびにワトソン−クリック結合に関連しない改変された基を保有するいくつかのデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドが、天然のDNAテンプレートに対して高い配列特異性を伴なって挿入されることが知られている事実を利用する。従って、改変されたヌクレオチドを含む一本鎖DNAは、天然のヌクレオチドまたは改変されたヌクレオチドのDNAポリメラーゼで触媒された組込みのための有効なテンプレートとして役立ち得る。
本発明の方法がまた、非天然の高分子の傍にある他のクラスの化学物質を合成するために使用され得ることが、理解される。例えば、低分子は、本発明によって提供される方法および組成物を用いて調製され得る。これらの低分子は、天然の産物様、非高分子、および/または非オリゴマーであり得る。低分子における実質的な目的は、多くの薬学的調製物における活性成分としてのその使用に一部起因するが、これらはまた触媒、材料、添加物などとして使用され得る。
本発明の方法を用いた低分子の合成において、展開可能なテンプレートもまた提供される。このテンプレートは、低分子が構築される際の低分子骨格を含み得るか、または低分子骨格がテンプレートに添加され得るかのいずれかである。低分子骨格は、機能付与のための部位を有する任意の化学物質であり得る。例えば、低分子骨格は、環を作製する原子を伴なわない機能付与基を有する環系(例えば、コレステロール中で見出されるABCDステロイド環系)を含み得る。別の例において、低分子は、モルヒネまたはセファロスポリン抗生物質のような薬剤の内在構造であり得る(以下の実施例5Cおよび5Dを参照のこと)。低分子骨格で機能付与される部位または基は、当該分野で公知の方法および保護基を用いて保護され得る。低分子骨格において使用される保護基は、互いに直交し得、保護基は、1つずつ除去され得る。
この実施形態において、移動単位は、非天然の高分子合成に記載されるアンチコドンと類似のアンチコドンを含むが;しかし、これらのアンチコドンは、低分子骨格の改変、低分子骨格への添加、低分子骨格からの取り込みに使用される反応物または構築ブロックと結合する。この反応物または構築ブロックは、求電子基(例えば、アセチル、アミド、酸塩化物、エステル、ニトリル、イミン)、求核基(例えば、アミン、ヒドロキシル基、チオール)、触媒(例えば、有機金属化合物)、側鎖などであり得る。例えば、本明細書中
の実施例2および4に記載されるような水性媒体および有機媒体中の反応を参照のこと。移動単位は、ヒドリド化(hydridizing)条件下でテンプレートを接触させ、そして接着させられた反応物または構築ブロックは、低分子骨格の部位と反応させられる。特定の実施形態において、低分子テンプレート上の保護基は、機能付与される部位から1つずつ除去され、移動単位の反応物は、骨格上の所望の位置のみで反応する。当業者によって理解されるように、アンチコドンは、リンカー部分を介して反応物と結合され得る(実施例3を参照のこと)。リンカーは、反応物と低分子骨格との接触を容易にし、そして特定の実施形態において、所望の反応に依存して、脱離基としてDNAを位置づける(「オートクレーブ可能な」ストラテジー)、または「瘢痕なしの」リンカーストラテジー(これは、さらなる化学機能を残すことなく産物を産出する)、もしくは「有用な瘢痕」ストラテジー(ここで、リンカーが残され、そしてリンカーの切断後の実質的な工程で機能付与され得る)を介してテンプレートに反応基を連結し得る。反応条件、リンカー、反応物、および機能付与される部位は、分子間反応を避け、そして分子内反応を促進するように選択される。本発明の方法が、合成される特定の化合物に依存して、テンプレートと移動単位とを連続的に接触および同時に接触させることの両方を企図することがまた、理解される。特別な目的の特定の実施形態において、化学物質の多工程合成が提供され、ここで、テンプレートは、2つ以上の移動単位と連続的に接触されて複雑な化学物質の多工程合成を容易にする。
骨格上の部位が改変された後、新しく合成された低分子が、コードされたものが合成されるテンプレートに連結される。テンプレートタグの脱コード化は、合成の履歴、およびこれによる低分子の構造の解明を可能にする。テンプレートはまた、より多くの所望の低分子を作製するために増幅され得、そして/またはテンプレートは、関連の低分子を作製するために展開され得る。低分子はまた、精製またはスクリーニングのためにテンプレートから切断され得る。
当業者によって理解されるように、複数のテンプレートが、上述の方法を用いて低分子のコンビナトリアルライブラリーの合成をコードするために使用され得る。これは、低分子ライブラリーの増幅および展開を可能にし、功績は、本発明の前に達成されていない。
(化合物のライブラリー合成の方法)
本発明の方法において、上述のような核酸テンプレートは、非天然の高分子、低分子、または任意の他の型の目的の分子の合成を指向するように提供される。一般に、複数の核酸テンプレートが提供され、ここで、提供される異なる配列の数の範囲は、2〜1015である。本発明の1つの実施形態において、複数の核酸テンプレートが提供され、好ましくは少なくとも100個の異なる核酸テンプレート、より好ましくは少なくとも10000個の異なる核酸テンプレート、そして最も好ましくは少なくとも1000000個の異なる核酸テンプレートが提供される。提供される各テンプレートは、特定の非天然の高分子または低分子の合成をコードするために使用される特有の核酸配列を含む。上述のように、テンプレートはまた、重合化が開始される第1級アミンのような機能性を有し得るか、または低分子骨格であり得る。特定の実施形態において、核酸テンプレートは、1つの「ポット(pot)」に提供される。特定の実施形態において、テンプレートは、水性媒体中に提供され、そしてこれに続く反応が、水性媒体中で実行される。
上述のようにアンチコドンを伴なう移動単位がテンプレートに添加され、上述のようにモノマー単位と結合される。特定の実施形態において、複数の移動単位が、提供され、テンプレート中に表される全てのコドンについてアンチコドンが存在する。好ましい実施形態において、特定のアンチコドンが、開始部位および終止部位として使用される。一般に、十分な数の移動単位が提供され、テンプレート上の全ての対応するコドン部位が、ハイブリダイゼーション後に満たされる。
移動単位のアンチコドンは、核酸テンプレートへのハイブリダイズを可能にし、これによって、テンプレートによって決定される特定の配列と一緒にモノマー単位を運ぶ。低分子ライブラリーが合成されている状況において、反応物は、低分子骨格の近位に運ばれる。当業者によって理解されるハイブリダイゼーション条件は、好ましくは、コドンとそのアンチコドンとの間の完全な一致のみを可能にする。単一の塩基対の不適合さえも避けられるべきである。ハイブリダイゼーション条件としては、温度、塩濃度、pH、テンプレートの濃度、アンチコドンの濃度、および溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。ライブラリーの合成において使用されるハイブリダイゼーション条件は、コドン/アンチコドンの長さ、テンプレート中に存在するコドン間の類似性、G/C対A/T塩基対の含量などに依存し得る(ハイブリダイゼーション条件に関するさらなる情報については、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Sambrook,FritschおよびManiatis(編)(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins(編)1984);学術論文、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,Inc.,New York,1999)、を参照のこと;これらはそれぞれ本明細書中で参考として援用される)。
テンプレート上のコドンへのアンチコドンのハイブリダイゼーションが生じた後、次いで、モノマー単位は、非天然の高分子の合成の場合において重合化される。モノマー単位の重合化は、自然発生し得るか、または例えば、求核基のような反応基の脱保護化もしくは特定の波長の光を提供することによって開始される必要があり得る。特定の他の実施形態において、高分子は、非天然のヌクレオチドの重合化をもたらし得るDNA重合化によって触媒され得る(実施例9を参照のこと)。重合化は、好ましくは、隣接したモノマー単位を有するテンプレートに沿って1方向で生じ、共有結合を介して結合するようになる。重合化工程の終結は、添加され得ないモノマー単位の添加によって生じる。低分子の合成の場合において、反応物は、低分子骨格と反応される。反応物は、自然に反応し得るか、あるいは反応物上の保護基および/または低分子骨格が除去される必要があり得る。他の試薬(例えば、酸、塩基、触媒、水素ガスなど)もまた、反応をもたらすために必要とされ得る(実施例5A〜5Eを参照のこと)。
非天然の高分子または低分子が、核酸テンプレートの助けを借りて作製された後、これらは、核酸テンプレートおよび/またはこれらを合成するために使用されるアンチコドンから切断され得る。特定の実施形態において、高分子または低分子は、これらをコードする核酸テンプレートから完全に離される前にアッセイされる。一旦高分子または低分子が選択されると、テンプレートの配列またはその相補体の配列は、付着された高分子または低分子の構造を解明するために決定され得る。次いで、この配列は、関連の高分子または低分子の新しいライブラリーを作製するために増幅および/または展開され得、次いでスクリーニングおよび展開され得る。
(使用)
本発明の方法および組成物は、所望の特性を有する分子を生成するための新しい方法を提供する。このアプローチは、非常に強力な遺伝的方法と一緒になり、分子生物学者は、有機化学の柔軟性および力を数十年間利用してきた。遺伝的選択による非天然の高分子の調製、増幅および展開の能力は、活性、バイオアベイラビリティ、安定性、蛍光、感光、またはタンパク質および核酸中に見出される制限された1組の構築ブロックを用いて達成することが困難であるか、もしくは不可能である他の特性を保有する、新しいクラスの触媒を導き得る。同様に、変異および選択の反復する周期によって低分子を調製、増幅、および展開するために開発された新しいシステムは、より遅い従来の薬物送達方法によって単離されたものよりも優れた特性を有する新規リガンドまたは薬物の単離を導き得る(実施例7を参照のこと)。
分子生物学のスケールでの有機ライブラリー合成の実行は、伝統的な固相ライブラリー合成とは基本的に異なるアプローチであり、そして有意な利益を有する。本発明の方法を用いて作製されるライブラリーは、当該分野において公知の任意の方法(例えば、結合アッセイ、触媒アッセイ)を用いてスクリーニングされ得る。例えば、標的化分子への結合に基づく選択は、ライブラリーを標的に共有結合している樹脂に通過させることによって、全体のライブラリーが実行され得る。樹脂に結合した標的に対して親和性を有する生体高分子は、遊離の標的化分子で溶出され得、そして選択された化合物は、上述の方法を用いて増幅され得る。引き続く選択および増幅の回は、標的化分子に結合する配列で富化された化合物のプールを生じ得る。特定の実施形態において、標的化分子は、化学反応の遷移状態を模倣し、そして選択された化学物質は、化学反応のための触媒として役立ち得る。各分子の合成をコードする情報は、1端の分子に共有結合しているので、全体のライブラリーは、直ちにスクリーニングされ得、そしてなおそれぞれの分子が、個々に基づいて選択される。
このようなライブラリーはまた、変異性PCR(Cadwellら、PCR Methods Appl.2:28,1992;本明細書中で参考として援用される)を用いてDNAレベルで変異を誘導することによってか、またはDNAをインビトロで相同性組換えに供すること(Stemmer Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747,1994;Stemmer Nature 370:389,1994;これらはそれぞれ、本明細書中で参考として援用される)によって展開され得る。選択、増幅、および変異の反復周期は、標的分子についてかなり増大された結合親和性を有するか、または有意に改善された触媒特性を有する生体高分子を提供し得る。所望の特性を有する展開された生体高分子の最終的なプールは、高分子から切断された核酸の配列決定によって、配列決定され得る。無核酸高分子は、HPLC、カラムクロマトグラフィー、FLPCなどを含む当該分野において公知の任意の方法を用いて精製され得、そしてその結合特性または触媒特性は、共有結合された核酸の非存在下で検証され得る。
リボソーム機構から独立した合成で生成されたモノマー単位の重合化は、新規の化学的特性、生理学的特性、または生物学的特性を有する莫大な種類の側鎖の組込みを可能にする。例えば、ビオチン側鎖を有する各生体高分子の終結は、アビジン結合樹脂にライブラリーを通過させることによって完全に翻訳される全長生体高分子のみの容易な精製を可能にする。ビオチン終結生体高分子は、これらの高分子を基質によってアビジンに連結された樹脂の上を通過させることによって、結合破壊反応の実際の触媒について選択され得る(図5)。基質切断を触媒するこれらの生体高分子は、この樹脂によって荷電されたカラムから自己溶出する。同様に、ビオチン終結生体高分子は、結合形成反応の触媒について選択され得る(図5)。1つの基質は、樹脂に結合し、そして第2の基質は、アビジンに結合する。基質間の結合形成を触媒する生体高分子は、基質と一緒に連結するその能力によって選択され、樹脂への生体高分子の付着を生じる。新規側鎖はまた、補因子を生体高分子に導入するために使用され得る。例えば、金属キレート剤を含む側鎖は、金属媒介触媒特性を有する生体高分子を提供し得る一方で、フラビン含有側鎖は、酸化還元反応を触媒する可能性を有する生体高分子を備え得る。
この様式において、非天然の生体高分子は、単離され得、これらは選択的に分子に結合する人工レセプターとして役立つか、または化学反応を触媒する。これらの分子の特徴は、ポリカルバメート、ポリウレア、ポリエステル、ポリカルボネート、非天然の側鎖および立体化学を有するポリペプチド、または結合特性または触媒特性を有する2次構造または3次構造を形成する他の非天然の高分子の能力の重要な洞察を提供する。
(キット)
本発明はまた、本発明の方法における使用のためのキットおよび組成物を提供する。このキットは、本発明の実施において有用な、任意の物品または組成物を備え得る。このキットは、テンプレート、アンチコドン、移動単位、モノマー単位、構築ブロック、反応物、低分子骨格、緩衝液、溶媒、酵素(例えば、熱安定ポリメラーゼ、逆転写酵素、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、クレノウフラグメント、ポリメラーゼ、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ)、リンカー、保護基、ポリヌクレオチド、ヌクレオシド、ヌクレオチド、塩、酸、塩基、固体支持体、または任意のこれらの組み合わせを備え得るが、これらに限定されない。
当業者によって理解されるように、非天然の高分子を調製するためのキットは、本明細書中に記載される本発明の方法を用いて非天然の高分子を調製するために必要な物品を備える。このようなキットは、テンプレート、アンチコドン、移動単位、モノマー単位、またはこれらの組み合わせを備え得る。低分子を合成するためのキットは、テンプレート、アンチコドン、移動単位、構築ブロック、低分子骨格、またはこれらの組み合わせを備え得る。
本発明のキットはまた、PCRのための熱安定ポリメラーゼ、ヌクレオチド、緩衝液、およびプライマーのようなポリヌクレオチドテンプレートを増幅および/または展開するために必要とされる物品を備え得る。特定の他の実施形態において、本発明のキットは、ポリヌクレオチド、リガーゼ、およびヌクレオチドのような、DNAシャッフリングの実行において一般に使用される物品を備える。
本明細書中に記載されるテンプレートおよび移動単位に加えて、本発明はまた、複雑な低分子、骨格、または本明細書中に記載されるような本発明の任意の1つ以上の方法によって調製される非天然の高分子を包含する組成物を包含する。
(等価物)
以下に示される代表的な実施例は、発明の例示を助けることを意図し、本発明の範囲を制限することを意図せず、またそのように解釈すべきでない。確かに、本明細書中に示され、そして記載されるものに加えて、本発明の種々の改変および多くのさらなるその実施形態は、この文書の全部の内容から当業者に理解され、この文書は、本明細書中で引用される科学文献および特許文献に従い、そしてこれらを参照する例を含む。引用された参照の内容が、当該分野の状態の例示を助けるために、本明細書中で参考として援用されることが、さらに理解される。
以下の実施例は、その種々の実施形態およびその等価物における本発明の実施に適用され得る、重要なさらなる情報、例示および手引きを含む。
(実施例1:DNAテンプレート化合成の普遍性)
明瞭に、上述の低分子展開アプローチを実行するために、DNAテンプレート化合成の普遍性の確立が必要とされる。第1に、本発明は、このアプローチに対する普遍性を確立し、従ってDNAテンプレート化合成を用いた種々の化学的化合物の合成を可能にする。図6aに示されるように、液相DNAテンプレート化合成を支持する2つのDNA構成の能力を確立した。求電子マレイミド基を有するヘアピン(H)テンプレートおよびエンドオブヘリックス(E)テンプレートは、相補的DNAオリゴヌクレオチドに連結した1当量のチオール試薬と効果的に反応して、−25℃でチオエーテル生成物を生じた。DNAテンプレート化反応速度(κapp=約10−1−1)は、HおよびEの構造に類似していた一方で、その反応基の相対的な方向とは有意に異なっていた。反対に、配列不適合を含む試薬を用いた場合、または過剰のβ−メルカプトエタノールで予めクエンチされたテンプレートを用いた場合、生成物は観察されなかった(図6a)。故に、両方のテンプレートは、たとえ生じた産物の構造が、天然のDNA骨格の構造と著しく異なっていたとしても、マレイミドへのチオールの配列特異的DNAテンプレート化添加を支持する。反応条件(pH7.5、25℃、250mM NaCl、60nM テンプレートおよび試薬)下でテンプレートの分子間反応物は、ほとんどまたは全く観察されない。
さらに、種々の反応型(S2置換、α,β−不飽和カルボニル系への付加、およびビニルスルホンへの付加)、求核試薬(チオールおよびアミン)、および反応物構造に及ぶ配列特異的DNAテンプレート反応は、全て優れた配列選択性でよい収率で進行した(図6b)。予想される生成物質量は、質量分析法によって確認した。各々の場合において、適合したが不適合でない試薬は、それらの遷移状態ジオメトリー、立体障害、およびコンフォメーションの柔軟性におけるかなりの変化にも関わらず効率的に生成物を与えた。全体的に、これらの知見は、DNAテンプレート合成が、様々な反応型を支持し得る一般的な現象であり、そして既に記載されるように核酸骨格が似ている構造の生成に限らないことを示す。
配列識別が合成構造へのDNAの正確な翻訳のために重要であるので、その10塩基オリゴヌクレオチドの中央近傍で単一のミスマッチの塩基を有する試薬の反応速度と比較して、適合した試薬の反応速度が測定された。25℃で、ヨードアセトアミドで連結したHテンプレートを含む適合したチオール試薬の反応の初速度は、単一のミスマッチを有する試薬の初速度よりも200倍速い(kapp=2.4×10−1−1対1.1×10−1−1、図7)。さらに、不適合な試薬のアニーリングから生じる少量の生成物は、この不適合の試薬のTを越える反応温度に上昇させることによって排除され得る(図7)。温度がさらに上昇されるにつれて、生成物形成の速度が減少することは、生成物形成が、単純な分子間機構ではなくむしろ、DNAテンプレート機構によって進行することを示す。
反応の一般性および配列特異性に加えて、DNAテンプレート合成はまた、顕著な距離依存性を示す。マレイミド基またはα−ヨードアセトアミド基に連結されたHテンプレートおよびEテンプレートの両方は、これまで試験したテンプレート上のどこにでも(テンプレート上の反応基から30塩基まで離れても)アニールした不適合ではない、適合したチオール試薬を用いて配列特異性反応を促進する。1塩基離れてアニールされた反応物は、2塩基、3塩基、4塩基、6塩基、8塩基、10塩基、15塩基、20塩基、または30塩基離れてアニールされた反応物と同様な速度で反応する(図8)。全ての場合において、テンプレート反応速度は、テンプレートなし(ミスマッチ)の反応の速度よりも数百倍速い(kapp=10〜10−1−1対5×10−1−1)。30塩基の介在性の距離で、生成物は、おそらく200員環に似ている遷移状態を通じて効率的に形成される。これらの知見は、有機合成における大環状化の周知の問題(例えば、G.Illuminatiら、Acc.Chem.Res.1981,14,95〜102;R.B.Woodwardら、J.Am.Chem.Soc.1981,103,3210〜3213を参照のこと)とは全く対照的である。
DNAテンプレート合成の距離非依存性の原理を決定するために、一連の修飾Eテンプレートが、初めて合成され、ここで、介在性塩基は、(i)塩基間相互作用、(ii)DNA骨格のコンフォメーションの優先度、(iii)荷電したリン酸骨格、および(iv)骨格の親水性の可能な寄与を評価するために設計された一連のDNAアナログによって置換された。介在性塩基が図9におけるアナログのいずれかと置換されたテンプレートは、生成物形成の速度に対してほとんど影響しなかった。これらの知見は、DNAに特異的な骨格構造エレメントは、DNAテンプレート合成の観察された距離非依存性の原因ではないことを示す。しかし、一本鎖介在性領域に相補的な10塩基DNAオリゴヌクレオチド「クランプ(clamp)」の付加は、有意に生成物形成を減少させ(図9)、この領域の柔軟性が、効率的なDNAテンプレート合成に重要であることを示唆する。
距離非依存性反応速度は、DNAテンプレートフォーマットにおける結合形成現象が、これらの非テンプレート対応物に対して十分に加速され、その結果、結合形成ではなくむしろ、DNAアニーリングが律速である場合に説明され得る。DNAアニーリングが少なくとも部分的に律速である場合、従って生成物形成の速度は、試薬の濃度が低下するにつれて減少するはずである。なぜなら、テンプレート結合形成とは異なり、アニーリングは、二分子過程であるからである。反応基間の1〜10の反応物介在性塩基を有するEテンプレートの場合には、反応物の濃度の減少は、観測される反応速度の顕著な減少をもたらした(図10)。この観察は、DNAテンプレート合成における近接効果が、DNAアニーリングが律速になるまで結合形成速度を増強し得ることを示唆する。
これらの知見は、DNAのワンポットライブラリを、PCR増幅および選択について適切な合成分子の溶液相ライブラリへ変換するために、DNAテンプレート合成を使用する可能性をもたらす。種々の遷移状態ジオメトリーを支持するためのDNAテンプレート合成の能力は、種々の強力な水適合性合成反応に指向させる能力を示唆する(Li,C.J.Organic Reactions in Aqueous Media,Wiley and Sons,New York:1997を参照のこと)。上記される配列特異性は、試薬の混合物が予想通りにテンプレートの相補的混合物と反応し得るかもしれないことを示唆する。結局、観測される距離非依存性は、DNA「コドン」の異なる領域が、反応速度を損なうことなく同一の合成骨格に対して異なる基をコードするために使用され得ることを示唆する。このアプローチの実証として、8塩基コード領域において各々異なるDNA配列を有する、1,025のマレイミド連結テンプレートのライブラリが合成された(図11)。これらの配列の1つ5’−TGACGGGT−3’は、テンプレートへのビオチン基の結合をコードするために任意に選択された。1,025の異なるオリゴヌクレオチドに連結されたチオール試薬のライブラリもまた作成された。3’−ACTGCCCA−5’に連結された試薬は、ビオチン基を含んだが、他の1,024の試薬は、ビオチンを含まなかった。等モル比の全ての1,025のテンプレートと1,025の試薬とは、25℃で10分間ワンポットで混合され、そして得られた生成物は、ストレプトアビジンへの結合についてインビトロで選択された。この選択で残存する分子は、PCRによって増幅され、そして制限消化およびDNA配列決定によって分析された。
制限エンドヌクレアーゼTsp45I(これは、GTGACを切断し、従ってビオチンコードテンプレートを切断するが、他のテンプレートのいずれも切断しない)を用いる消化は、1:1の比の選択後の非ビオチンコードテンプレートに対するビオチンコードテンプレートを示した(図12)。これは、選択されていないライブラリと比較して、1,000倍の濃縮を意味する。選択前後のPCR増幅されたプールのDNA配列決定は、同程度の濃縮を示唆し、そしてビオチンコードテンプレートが、選択および増幅後の主生成物であることを示す(図12)。1,025の試薬の同時配列特異性反応を支持するDNAテンプレート合成の能力(これらの各々は、1,024:1の比率のパートナーのテンプレートに対する非テンプレートに直面する)は、ワンポットでの合成ライブラリを生成するための方法としてその可能性を示す。特異的な特性(この例におけるアビジン親和性)を有する合成的ライブラリメンバーの翻訳、選択、および増幅の上記原理の証明は、所望の特性を目指す非天然低分子ライブラリの進化のためのいくつかの重要な必要条件を扱う。
まとめると、これらの結果は、DNAテンプレート合成が、単にコードするだけでなくむしろ、核酸骨格に対する構造に無関係の生成物を形成する種々の化学反応を支持し得る、驚くほど一般的な現象であることを示唆する。試験したいくつかの反応について、DNAテンプレートフォーマットは、その相補体に対する10塩基DNAオリゴヌクレオチドのアニーリングの速度を越えて結合形成速度を加速し、意外な距離非依存性をもたらす。長距離DNAテンプレート反応の容易な性質はまた、部分的に非極性反応物の体積と接触する水の傾向(C.−J.Liら、Organic Reactions in Aqueous Media,Wiley and Sons:New York,1997を参照のこと)および反応基間の介在性一本鎖DNAの考えられる緻密さ(compactness)に起因し得る。これらの知見は、前生物的進化に対する関連および触媒的核酸の機構の理解(これは、代表的には、基質をRNAまたはDNAの鎖に局在化する)に対する関連を有し得る。
(方法:)
(DNA合成) DNAオリゴヌクレオチドを、標準的なプロトコルを用いてPerSeptive Biosystems Expedite 8909 DNA合成機で合成し、そして逆相HPLCによって精製した。オリゴヌクレオチドを、分光光度的および変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に続くエチジウムブロマイドまたはSYBR Green(Molecular Probes)を用いる染色およびStratagene Eagle Eye II濃度計を用いる定量化によって定量化した。ホスホルアミダイト(5’−NH−dT基、5’テトラクロロフルオレセイン基、無塩基の骨格スペーサー基、C3骨格スペーサー基、9−結合ポリエチレングリコールスペーサー基、12−結合飽和炭化水素スペーサー基、および5’ビオチン基の合成を可能にする)は、Glen Researchから購入された。チオール連結オリゴヌクレオチド試薬を、C3ジスルフィドコントロールドポアガラス(Glen Research)上で合成した。
(テンプレートの官能化) 5’−NH−dT基を有するテンプレートを、適切な求電子性NHSエステル(Pierce)を用いる反応によって種々の求電子性官能基に変換した。反応を、2mg/mL求電子性NHSエステル、10% DMSO、および100μgまでの5’−アミノテンプレートを含む200mMリン酸ナトリウム(pH7.2)中で25℃で1時間実施した。所望の生成物を、逆相HPLCによって精製し、そしてゲル電気泳動およびMALDI質量分析法によって特徴付けた。
(DNAテンプレート合成反応) 反応を、所望の温度(他に述べられない限り25℃)で、50mM MOPS(pH7.5)および250mM NaClを含む緩衝液中で、等モル量の試薬およびテンプレートを混合することによって開始した。試薬およびテンプレートの濃度は、他に示されない限り60nMであった。種々の時点で、アリコートを取り出し、過剰のβ−メルカプトエタノールでクエンチし、そして変性PAGEによって分析した。反応生成物を、これらの固有の蛍光を用いるデンシトメトリーによってか、染色後のデンシトメトリーによって定量化した。代表的な生成物をまた、MALDI質量分析法によって確認した。
(アビジン結合についてのインビトロでの選択) ライブラリ変換反応の生成物を、エタノール沈澱によって単離し、そして結合緩衝液(10mMTris(pH8)、1M NaCl、10mM EDTA)中に溶解した。生成物を、30μgのストレプトアビジン連結磁気ビーズ(Roche Biosciences)とともに100μLの全容積で室温で10分間インキュベートした。ビーズを、結合緩衝液で16回洗浄し、そして70℃で10分間100μLの結合緩衝液中の1μmol遊離ビオチンでの処理によって溶出した。溶出した分子を、エタノール沈澱によって単離し、そしてプライマー5’−TGGTGCGGAGCCGCCGおよびプライマー5’−CCACTGTCCGTGGCGCGACCCCGGCTCCTCGGCTCGGを用いて、標準的なPCRプロトコル(2mM MgCl、55℃のアニーリング、20サイクル)によって増幅した。自動DNA配列決定は、プライマー5’−CCACTGTCCGTGGCGCGACCCを使用した。
(DNA配列決定) 図において提供されていない配列は、以下の通りである:図6b
SIAB反応およびSBAP反応において適合した試薬:5’−CCCGAGTCGAAGTCGTACC−SH;図6b SIAB反応およびSBAP反応において不適合な試薬:5’−GGGCTCAGCTTCCCCATAA−SH;図6b、図6c、図6d、および図8aにおける他の反応についての不適合な試薬;5’−FAAATCTTCCC−SH(F=テトラクロロフルオレセイン);1つのミスマッチを含む図6cおよび図6dにおける試薬:5’−FAATTCTTACC−SH;図6a、図6b、および図8a SMCC反応、GMBS反応、BMPS反応、およびSVSB反応におけるEテンプレート:5’−(NHdT)−CGCGAGCGTACGCTCGCGATGGTACGAATTCGACTCGGGAATACCACCTTCGACTCGAGG;図6b SIAB反応、SBAP反応、およびSIA反応におけるHテンプレート:5’−(NHdT)−CGCGAGCGTACGCTCGCGATGGTACGAATTC;図8bにおけるクランプオリゴヌクレオチド:5’−ATTCGTACCA。
(実施例2:DNAテンプレート合成における使用のための例示的な反応:)
上記されるように、DNAテンプレート合成化学の一般性を、試験した(Liuら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,6961を参照のこと)。詳細には、DNA様コンフォメーションへの反応性基の正確な整列化を必要とせずに、化学反応の適度な収集に関するDNAテンプレート合成の能力を実証した。実際に、DNAテンプレート合成の距離非依存性および配列の正確さは、1,000を越えるテンプレートのモデルライブラリを、対応するチオエステル生成物へと同時にワンポット変換させ、これらの1つを、タンパク質ストレプトアビジンへの結合についてインビトロでの選択によって濃縮し、そしてPCRによって増幅した。
本明細書中で詳細に記載されるように、DNAテンプレート合成の一般性は、さらに拡大され、そして種々の化学反応が低分子構築について、そして特に、初めて、ピリミジン光二量化以外に、DNAテンプレート有機金属カップリングおよび炭素−炭素結合形成反応について、利用され得ることを示した。これらの反応は、これまでに達成されたものよりもはるかに多種多様な構造のセットのDNAテンプレート構築を可能にすることによって、非天然合成分子のインビトロでの進化に向けて重要な工程を明らかに示している。
主要な反応物に加えて、非DNA連結の活性化剤、触媒または他の試薬を必要とする反応に関するDNAテンプレート合成の能力もまた、本明細書中において示されている。DNAテンプレート骨格の構造的模倣を必要とせずに、このような反応を媒介するDNAテンプレート合成の能力を試験するために、アミン連結テンプレート(1)とベンズアルデヒド連結試薬またはグリオキサール連結試薬(3)との間のDNAテンプレート還元的アミノ化を、ミリモル濃度のNaBHCNと共に室温にて水溶液中で実施し得る。重要なことに、テンプレート配列および試薬配列が相補的であった場合、生成物が効率的に形成したが、試薬の配列がテンプレートの配列と相補的でなかった場合のコントロール反応、またはNaBHCNを除外した場合のコントロール反応は、有意な生成物を与えなかった(図13および図14を参照のこと)。二本鎖DNAの構造をしっかりと模倣する生成物を生成するためのDNAテンプレート還元的アミノ化は、すでに報告されている(例えば、X.Liら、J.Am.Chem.Soc.2002,124,746およびY.Gatら、Biopolymers 1998,48,19を参照のこと)が、上記の結果は、ホスホリボース骨格に無関係の構造を生成するための還元的アミノ化が、効率的かつ配列特異的に起こり得ることを示している。図15を参照すると、DNAテンプレートは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDC)およびN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)によって媒介される、アミン連結テンプレート4および5とカルボキシレート連結試薬6〜9との間の結合形成を補助して、pH6.0、25℃で良好な収率でアミド生成物を生成する(図15)。生成物の形成は、配列特異的であり、EDCの存在に依存し、そして意外にもアミンまたはカルボキシレートの立体障害に対して非感受性であった。効率的なDNAテンプレートアミド形成はまた、EDCおよびスルホ−NHSの代わりに、水溶性活性化剤4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)によって媒介された(図14および図15)。多数の市販のキラルのアミンおよびカルボン酸とともに、これらの条件下でのDNAテンプレートアミド結合形成の効率および一般性は、この反応を構造的に多種多様な低分子ライブラリの今後のDNAテンプレート合成における魅力的な候補にする。
炭素−炭素結合形成反応はまた、化学合成および生物学的合成の両方で重要であり、従っていくつかのこのような反応がDNAテンプレートフォーマットで利用されることが理解される。ニトロアルカン連結試薬(10)とアルデヒド連結テンプレート(11)との反応(ニトロ−アルドールまたはHenry反応)およびマレイミド連結テンプレート(12)への10の共役付加(ニトロ−Michael付加)の両方は、pH7.5〜8.5、25℃で効率的かつ高い配列特異性で進行した(図13および図14)。さらに、安定化リンイリド(phosphorus ylide)試薬13とアルデヒド連結テンプレート14または11との間の配列特異的DNAテンプレートWittig反応は、pH6.0〜8.0、25℃にて優れた収率で、対応するオレフィン生成物を与えた(図13および図14)。同様に、ニトロン連結試薬15および16とオレフィン連結テンプレート12、17または18との間のDNAテンプレート1,3−双極性付加環化もまた、pH7.5、25℃で配列特異的に生成物を与えた(図13および図14)。
上記される反応に加えて、有機金属カップリング反応もまた、本発明において利用され得る。例えば、DNAテンプレートHeck反応を、水溶性Pdプレ触媒の存在下で実施した。マレイミド12、アクリルアミド17、ビニルスルホン18またはシナムアミド(cinnamamide)20を含む170mM NaPdCl、ヨウ化アリール連結試薬19および種々のオレフィン連結テンプレートの存在下では、pH5.0、25℃で適度な収率のHeckカップリング生成物を与えた(図13および図14)。オレフィン17、18および20を用いるカップリングについて、テンプレートおよび試薬の添加に先立って、1当量のPdあたり2当量のP(p−SOを添加すると、代表的には、2倍まで全収率が増加した。配列ミスマッチを含むコントロール反応またはPdプレ触媒を欠いているコントロール反応は、生成物を与えなかった。本発明者らの知る限りでは、上記DNAテンプレートのニトロアルドール付加、ニトロMichael付加、Wittigオレフィン化、双極性付加環化、およびHeckカップリングは、ピリミジン光二量化以外では、初めて報告される核酸テンプレート有機金属反応および炭素−炭素結合形成反応を示している。
同様なDNAテンプレート反応が、距離依存性、アニールされる反応物の間の多くの介在性塩基が速度非依存性で生成物を形成する能力を示すことが既に発見されていた。DNAテンプレート反応における結合形成の速度が、テンプレート−試薬アニーリングの速度よりも大きい場合に、距離非依存性が生じることを仮定した(図16a)。化学的性質の部分集合のみがこのカテゴリーに分類されるが、試薬がテンプレートの反応性端から種々の距離でアニールされる場合、比較できる生成物収率をもたらす任意のDNAテンプレート反応は、特定の関心事である。なぜなら、DNAテンプレート反応は、種々のテンプレートの位置でコードされ得るからである。反応物が、コードしているライブラリに対する距離によって分離される場合、効率的に生じる上記で開発されたDNAテンプレート反応の能力を評価するために、還元的アミノ化、アミド形成、ニトロ−アルドール付加、ニトロ−Michael付加、Wittigオレフィン化、双極性付加環化、およびHeckカップリングの収率を、0塩基または10塩基がアニールされた反応性基を分離した場合(図16a、n=0対n=10)に比較した。上記される反応または以前の研究における反応のうちで、マレイミドに対するアミド結合形成、ニトロ−アルドール付加、Wittigオレフィン化、Heckカップリング、チオールの共役付加、およびチオールとα−ヨードアミドとの間のS2反応は、反応性基がゼロ塩基または10塩基で分離される場合に、比較可能な生成物形成を示す(図16b)。これらの知見は、これらの反応が、有意に生成物形成を損なうことなしに、テンプレートの反応性端から遠位であるヌクレオチドによる合成の間にコードされ得ることを示す。
直接上記されるDNAテンプレートのS2反応、共役付加反応、ビニルスルホン付加反応、アミド結合形成反応、還元的アミノ化反応、ニトロ−アルドール反応(Henry反応)、ニトロMichael反応、Wittigオレフィン化反応、1,3−双極性付加環化反応およびHeckカップリング反応に加えて、種々のさらなる試薬もまた、本発明の方法において利用され得る。例えば、図17に示されるように、有力な水性DNAテンプレート合成反応としては、限定することなく、Lewis酸触媒化アルドール付加反応、Mannich反応、Robinson環化(annulation)反応、ケトンおよびアルデヒドへのアリルインジウム、亜鉛および錫の付加反応、Pd補助アリル置換反応、Diels−Alder付加環化反応、ならびにヘテロDiels−Alder反応が挙げられ、これらは、水性溶媒中で効率的に利用され得、そして重要な複雑なビルディング反応である。
まとめると、これらの結果は、DNAテンプレート合成の反応範囲をかなり拡張する。多種多様な反応は、対応する反応物が相補的な配列とともにプログラムされる場合にのみ、効率的かつ選択的に進行した。今までに既知のDNAテンプレート反応のレパートリーを増強することによって、これまでに報告されているアミド結合形成反応(Schmidtら、Nucleic Acids Res.1997,25,4792;Bruickら、Chem.Biol.1996,3,49を参照のこと)、イミン形成反応(Czlapinskiら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,8618)、還元的アミノ化反応(Liら、J.Am.Chem.Soc.2002,124,746;Gatら、Biopolymers,1988,48,19)、S2反応(Gartnerら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,6961;Xuら、Nat.Biotechnol.2001,19,148;Herrleinら、J.Am.Chem.Soc.1995,117,10151)、チオールの共役付加(Gartnerら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,6961)、およびホスホエステルまたはホスホンアミドの形成(Orgelら、Acc.Chem.Res.1995,28,109;Lutherら、Nature,1998,396,245)に加えて、炭素−炭素結合形成反応および有機金属反応(ニトロ−アルドール付加、ニトロ−Michael付加、Wittigオレフィン化、双極性環化付加、およびHeckカップリング)を含み、これらの結果は、DNAのライブラリを、構造的および機能的に多様な合成生成物のライブラリへと配列特異的に変換し得る。所望の分子をコードするわずかな量のテンプレートは、PCRによって増幅され得るので、DNAテンプレート反応の収率は、おそらく、従来の合成的変換の収率よりもかなり低い。それにもかかわらず、上記で開発された多くの反応は、効率的に進行した。さらに、タンパク質の非存在下でDNAテンプレート合成が多種多様な化学反応を指向し得ることを実証することによって、これらの知見は、核酸テンプレート合成が、タンパク質ベースの酵素の進化に先立って、複製可能な情報を、いくつかの最初期の機能性分子(例えば、ポリケチド、テルペンおよびポリペプチド)へと変換し得るというこれまでに提案された仮説を支持する。明白な構造的要件なしにDNAハイブリダイゼーションによって近位へと反応物を導くことによって単純に制御可能である、ここに示される多様な化学的性質(chemistry)は、これらの可能性に対する実験的基礎を提供する。増幅可能な情報の広範な構造への変換は、天然の分子進化アプローチを、新たな機能を有する非天然の分子の発見に適用するための重要な要件である。
(DNAテンプレート合成における使用のための例示的な反応についての方法:)
官能化したテンプレートおよび試薬を、代表的には、5’−NH末端化オリゴヌクレオチド(テンプレート1について)、5’−NH−(CHO)末端化オリゴヌクレオチド(他の全てのテンプレートについて)または3’−OPO−CHCH(CHOH)(CHNH末端化ヌクレオチド(全ての試薬について)を、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の適切なNHSエステル(DMF中20mg/mL溶液の0.1容量)と25℃で1時間、反応させることによって調製して、図13および図15に示される構造のテンプレートおよび試薬を提供した。アミノ酸連結試薬6〜9について、0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中の3’−OPOCHCH(CHOH)(CHNH末端化オリゴヌクレオチドを、DMF中100mMビス[2−(スクシンイミジルオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES,Pierce)溶液の0.1容量と25℃で10分間、続いて300mM NaOH中の300mMアミノ酸の0.3容量と25℃で30分間反応させた。
官能化したテンプレートおよび試薬を、Sephadex G−25を用いるゲル濾過、続いて逆相HPLC(0.1酢酸トリエチルアンモニウム−アセトニトリル勾配)によって精製し、そしてMALDI質量分析法によって特徴付けた。DNAテンプレート反応を、図13および図15に記載される条件下で実施し、そして生成物を、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびMALDI質量分析法によって特徴付けた。
オリゴヌクレオチドテンプレートおよび試薬の配列は、以下の通りである(5’から3’への方向であり、nは、テンプレートおよび試薬が図16に示されるようにアニールされる場合の反応性基間の塩基の数をいう)。1:TGGTACGAATTCGACTCGGG;適合性の2および3:GAGTCGAATTCGTACC;不適合性の2および3:GGGCTCAGCTTCCCCA;4および5:GGTACGAATTCGACTCGGGAATACCACCTT;適合性の6〜9(n=10):TCCCGAGTCG;適合性の6(n=0):AATTCGTACC;ミスマッチの6〜9:TCACCTAGCA;11、12、14、17、18、20:GGTACGAATTCGACTCGGGA;適合性の10、13、16、19:TCCCGAGTCGAATTCGTACC;不適合性の10、13、16、19:GGGCTCAGCTTCCCCATAAT;適合性の15:AATTCGTACC;不適合性の15:TCGTATTCCA;n=10対n=0の比較のためのテンプレート:TAGCGATTACGGTACGAATTCGACTCGGGA。
反応収率は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動に続いて、エチジウムブロマイド染色、UV可視化、ならびに生成物のバンドおよびテンプレート出発物質のバンドのCCDベースのデンシトメトリーによって定量化した。収率計算は、テンプレートおよび生成物が、1塩基あたり等しい強度で染色されることを仮定し;生成物が定量化の間に部分的に二本鎖である収率計算の場合について、染色強度の変化は、より高い見掛けの収率を生じ得る。
(実施例3:)
(例示的なリンカーの開発)
当業者に理解されるように、ゲル電気泳動による分析を容易にすることは、反応の進行の間、生成物に結合する試薬のDNA部分を除去するためにしばしば有用である。しかし、インビトロ選択に適当な合成小分子の対応するライブラリーへ、DNAのライブラリーを翻訳するためにDNAテンプレート合成を使用することは、試薬の反応性基をそれらの解読DNAオリゴヌクレオチドと結合する切断可能なリンカーの開発を必要とする。以下および本明細書中に記載されるように、3つの例示的な型のリンカーが、開発されてきた(図18を参照のこと)。1つの反応性基を有する試薬について、反応部分へ脱離基としてのDNAを位置決めすることが望ましい。この「自己切断可能な」リンカーの戦略下で、DNA反応性基の結合が、反応の自然な結果として切断される。しかし、このアプローチの1つの例として、蛍光Wittigホスホラン試薬(14、図19を参照しながら)を合成し、ここで解読DNAオリゴヌクレオチドは、アリールホスフィン基の1つに結合される(図19左を参照のこと)。アルデヒド結合テンプレートを用いたDNAテンプレートWittig反応は、蛍光基の、Wittig試薬からテンプレートへのほとんど定量的な移動および試薬のDNA部分からのアルケン生成物の同時の遊離が生じる。さらに、1つを超える反応性基を有する試薬は、2つのさらなるリンカー戦略の1つを介して、それらの解読DNAオリゴヌクレオチドに結合され得る。「スカーレス(scarless)」リンカー戦略において、1つの反応性基のDNAテンプレート反応の後、第2の反応性基を介して結合されるリンカーの切断が生じ、あとにさらなる化学官能基を残さずに生成物を生じる。例えば、解読DNAオリゴヌクレオチドにカルバモイルエチルスルホンリンカーを介して結合された一連のアミノ酸試薬を、合成した(図19、中央)。これらのアミノ酸試薬を使用するDNAテンプレートアミド結合形成の生成物を、水性アルカリ緩衝液で処理し、カルバモイル基の定量的な脱離および自発的な脱炭酸を行った。従って、このスカーレスリンカーの脱離の生成物は、完全に移行されたアミノ酸部分である。本発明のなお他の実施形態において、第3のリンカー戦略(「有用なスカー(scar)」)は、有用な化学基を誘導することが、リンカー切断の結果として有利であり得る戦略において使用され得る。特に、「有用なスカー」は、以後の工程において、官能化され得、リンカー切断後に残される。例えば、1,2−ジオールを介して解読DNAオリゴヌクレオチドへと連結されるアミノ酸試薬を、作製した。アミド結合生成に続いて、このリンカーを、NaIOを用いた酸化によって定量的に切断し、有用なアルデヒド基を保持する生成物を得た(図19、右を参照のこと)。すぐ上に記載されるリンカーに加えて、種々のリンカーを使用し得る。例えば、図20に示されるように、チオエステルリンカーを、チオール末端化DNAとカルボン酸含有試薬とのカルボジイミド媒介性カップリングによって、生成し得、水性塩基で切断し得る。カルボキシレート基が、上記に記載されるDNAテンプレートアミド結合形成反応への入り口を提供するために、このリンカーは、切断されたとき、「有用なスカー」を遊離する(図20を参照のこと)。あるいは、チオエステルリンカーを、Ag(I)カチオンの存在下で、アミンアシル化反応の間、自己切断可能なリンカーとして使用し得る(Zhangら、J.Am.Chem.Soc.1999,121,3311−3320を参照のこと)。なぜならこの試薬のチオールDNA部分が、反応の自然の結果として遊離されるからである。pH11で酸化され除去され、ビニルスルホンを遊離し得るチオエステルリンカーが、「有用なスカー」リンカーとして使用され得ることは、理解される。本明細書中に示されるように、このビニルスルホン基は、続いてのDNAテンプレート反応の多くにおいて基質として作用する。
(実施例4:)
(有機溶媒中の例示的な反応:)
本明細書中に示されるように、種々のDNAテンプレート反応は、水性溶媒中で生じ得る。以下に考察されるように、DNAテンプレート反応が、有機溶媒中で生じ得、従って、DNAテンプレート合成の範囲を大いに拡大することもまた示されてきた。具体的には、DNAテンプレートおよびDNA試薬は、長鎖のテトラアルキルアンモニウムカチオンと複合体を形成し得(Jostら、Nucleic Acids Res.1989,17,2143;Mel’nikovら、Langmuir,1999,15,1923−1928を参照のこと)、CHCl、CHCl、DMFおよびMeOHを含む無水有機溶媒中の反応成分の定量的な溶解を可能にする。驚いたことに、DNAテンプレート合成が、実は、高い配列選択性を有する無水有機溶媒において生じ得ることが見出された。DNAテンプレートアミド形成反応(reacation)が、図2に示され、ここで、試薬およびテンプレートが、別々の容器中または前もってアニーリングされた後、水中のいずれかにおいて、ジメチルジドデシルアンモニウムカチオンと複合体を形成し、乾燥状態まで凍結乾燥され、CHClに溶解され、そして一緒に混合される。マッチした反応は、反応物を水溶液中で前もってアニーリングした場合およびこれらの反応物をCHCl中で最初に混合した場合に、生成物を提供したが、ミスマッチの反応は、生成物を提供しなかった(図21を参照のこと)。無水DMF中でのDNAテンプレートアミド形成およびPd媒介性Heckカップリングもまた、配列特異的に進行した。明らかに、有機溶媒中での配列特異的DNAテンプレート合成のこれらの観察は、有機媒体中のテトラアルキルアンモニウム複合体化DNA中の少なくともいくつかの二次構造の存在を意味し、DNAレセプターおよびDNA触媒を、有機溶媒中での立体選択的結合特性および立体選択的触媒特性の方へ進化させることを可能にするはずである。具体的には、共役付加、付加環化、置換反応、およびPd媒介性カップリングを含む、水性媒体中で生じることが公知であるDNAテンプレート反応は、有機溶媒中でもまた実施され得る。特定の他の実施形態において、水中で実施することが非効率または不可能な有機溶媒中の反応が使用され得る。例えば、水中でのRu触媒オレフィン置換が、Grubbsおよびその共同研究者らによって報告されているのに対して(Lynnら、J.Am.Chem.Soc.1998,120,1627−1628;Lynnら、J.Am.Chem.Soc.2000,122,6601−6609;Mohrら、Organometallics 1996,15,4317−4325を参照のこと)、水性置換系は、極端に官能基感受性である。しかし、有機溶媒におけるRu触媒オレフィン置換の耐性官能基は、有意に、より強靭である。有機溶媒中で使用するためのいくつかの例示的な反応としては、基底状態の出発物質よりも極性ではない遷移状態を通って進行し得る、ニトロンとオレフィンとの間の1,3−双極子環状付加が挙げられるがこれに限定されない。
上に列挙されるように、DNAテンプレート合成の大多数は、いくつかの型の別個のDNAテンプレート反応型を実施することによって確立され、これらの反応のうち、天然の核酸骨格に類似する構造を生成することに限定するものはなく、これらの反応の多くは、非常に有用な炭素−炭素結合形成または複雑さ構成合成反応である。DNAテンプレート合成の距離非依存性によって、DNAテンプレートの異なる領域が、異なる合成反応を各々コードすることを可能にすることが示される。DNAテンプレート合成は、1,000を超えるテンプレートおよび1,000を超える試薬が、ワンポットで同時に反応するライブラリー形式においてさえも配列忠実度を維持し得る。上記および下記に記載されるように、リンカー戦略が開発され、このリンカー戦略は、上記に記載されるように開発された反応と一緒にされ、単純な合成低分子の第1の多段階DNAテンプレート合成を可能にする。さらに、有機溶媒中の配列特異性DNAテンプレート合成を実証し、このアプローチの範囲をさらに拡大する。
(実施例5:)
(例示的な化合物および化合物のライブラリーの合成:)
(A)ポリカルバメートライブラリーの合成:)
上記に記載される戦略の1つの実施形態は、増幅可能なポリカルバメートライブラリーの作製である。ライブラリーをコードするために使用される16の可能なジヌクレオチドのうち、1つは、開始コドンの機能を割り当てられ、そして1つは、終始コドンとして作用するよう割り当てられる。次いで、異なるモノマーに対して14までの残された各ジヌクレオチドを割り当てる、人工的な遺伝コードを作製する。幾何学的な理由のために、1つのモノマーは、実際に2つの側鎖を含むジカルバメートを含む。各モノマー中で、ジカルバメートは、フッ素を用いた処理の際に、ネイティブなDNAおよび遊離カルバメートを遊離するシリルエノールエーテルリンカーを介して、対応するジヌクレオチド(tRNAアンチコドンに類似)へと結合される。このジヌクレオチド部分は、活性化された5’−2−メチルイミダゾールホスフェートとして存在することが示され(Inoueら、J.Mol.Biol.162:201,1982;Remboldら、J.Mol.Evol.38:205,1994;Chenら、J.Mol.Biol.181:271,1985;Acevedoら、J.Mol.Biol.197:187,1987;Inoueら、J.Am.Chem.Soc.103:7666,1981;各々は、参考として本明細書中に援用される)、ヌクレオチドのテンプレート指向性オリゴマー化のための優れた脱離基として作用するが、この脱離基は、中性水性条件下または塩基性水性条件下で、比較的安定である(Schwartzら、Science 228:585,1985;参考として本明細書中に援用される)。ジカルバメート部分は、ビニルオキシカーボネート(vinyloxycarbonate)リンカーを介して結合された環状形態で存在する。ビニルカーボネート基は、中性水性条件下または塩基性水性条件下で、安定であることが示され(Olofsonら、Tetrahedron Lett.18:1563,1977;Olofsonら、Tetrahedron Lett.18:1567,1977;Olofsonら、Tetrahedron Lett.18:1571,1977;各々は、参考として本明細書中に援用される)、さらに、アミンの添加の際に、非常に高収率でカルバメートを提供することが示された(Olofsonら、Tetrahedron Lett.18:1563,1977;参考として本明細書中に援用される)。
Figure 2013010761

新生ポリカルバメート鎖からのアミンによって攻撃される場合、m−クレゾールの芳香族化によって推進されるビニルカルボネートリンカーは、遊離アミンを遊離する。この遊離アミンは、続いてのビニルオキシカーボネートを攻撃するための求核試薬として作用し、成長するカルバメート鎖の重合を増大させる。このような戦略は、ただ1つの求核試薬が、重合の間の任意の時点で存在することを保証することによって、交差反応および二方向性重合の可能性を最小化する。
上記に記載されるモノマーを使用して、DNAをポリカルバメートに人工的に翻訳することは、3段階のプロセスとして観察される。第1の段階において、ライブラリーをコードする一本鎖DNAテンプレートを、モノマーのジヌクレオチド部分のアセンブリおよび重合を誘導するために使用し、3’ヒドロキシル基の代わりに3’メチルエーテルを保持する「停止」モノマーで終始する(図22)。
一旦、ヌクレオチドが、二本鎖DNAにアセンブルし、重合すると、o−ニトロベンジルカルバメート中にコードされる「開始」モノマーは、光脱保護され、カルバメート重合を開始する一級アミンを露出する。重合は、DNA骨格に沿って、5’から3’の方向に進行し、各求核攻撃は、続いての新規アミン求核物質のアンマスキング(unmasking)を生じる。「停止」モノマーの攻撃は、アミンよりむしろアセトアミドを遊離し、それによって、重合を終始する(図23)。この段階でDNAが、安定な二本鎖形態で存在するので、変数(例えば、温度およびpH)は、重合効率を最適化するために探査され得る。
重合の後に、ポリカルバメートは、フッ素での処理の際に、DNAのホスフェート骨格から切断される。フェノールの遊離を生じることによって推進される、エノールエーテルリンカーの脱シリル化およびホスフェートの脱離は、それをコードする一本鎖DNAに、カルボキシ末端で共有結合されるポリカルバメートを提供する(図24)。
この段階において、ポリカルバメートは、エステル結合の塩基加水分解によってDNAから完全に遊離され得る。遊離されたポリカルバメートは、HPLCによって精製され、その所望される特性が、インタクトであることを証明するために再試験され得る。遊離DNAは、PCRを用いて増幅され、エラープローン(error−prone)PCR(Cadwellら、PCR Methods Appl.2:28,1992;参考として本明細書中に援用される)またはDNAシャッフリング(Stemmer Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10747,1994;Stemmer Nature 370:389,1994;1998年9月22日に公開された米国特許第5,811,238号;各々は、参考として本明細書中に援用される)を用いて変異導入され、そして/または配列決定され、ポリカルバメートの一次構造を明らかにする。
(モノマー単位の合成)
モノマーを合成した後、DNA骨格(scaffold)上のモノマーのアセンブリおよび重合が、自発的に生じるはずである。市販入手可能で、生合成され(Davis Adv.Enzymol.16:287,1955;参考として本明細書中に援用される)、またはD−マンノースから簡単に合成することによる(Fleetら、J.Chem.Soc.,Perkins Trans.I 905,1984;Harveyら、Tetrahedron Lett.32:4111,1991;各々は、参考として本明細書中に援用される)、シキミ酸1は、モノマー合成のための便利な開始点として作用する。synヒドロキシル基を、p−メトキシベンジリデンとして保護し、残りのヒドロキシル基を、tert−ブチルジメチルシリルエーテルとして保護して、2を得る。次いで、保護されたシキミ酸のカルボキシレート部分は、LAH還元、得られるアルコールのトシル化、そしてさらにLAHを用いた還元によって完全に還元され、3を提供する。
Figure 2013010761

市販の合成可能なN−保護アミノ酸は、各モノマーのジカルバメート部分に対する出発物質として作用する。反応性側鎖を、光分解性エーテル、エステル、アセタール、カルバメート、またはチオエーテルとして保護する。以前に開発された化学(Choら、Science 261:1303、1993;参考として本明細書中に援用される)に従って、所望のアミノ酸4を、イソブチルクロロホルメートを用いる混合アルデヒド形成、続く水素化ホウ素ナトリウムによる還元によって、対応するアミノアルコール5に転換する。次いで、このアミノアルコールを、p−ニトロフェニルクロロホルメートでの処理によって活性化カーボネートに転換し、6を生成し、次いで、この6を、第2のアミノアルコール7とカップリングし、ヒドロキシル基のシリル化およびFMOC脱保護の後に、カルバメート8を得る。
Figure 2013010761

シキミ酸誘導性リンカーへのカルバメート8のカップリングは、以下のように進行する。3のアリルヒドロキシル基を、TBAFで脱保護し、トリフラート(triflic)無水物で処理し、第2のトリフラートを形成し、次いでアミノカルバメート8で置換し、9を得る。3中のビニルメチル基の存在は、S2’付加から生じる所望されない生成物の量を最小化することを補助するはずである(Magid Tetrahedron 36:1901,1980;参考として本明細書中に援用される)。α,β−不飽和エステルへの脱プロトン化されたカルバメートのMichael付加は、十分に示されてきた(Colladoら、Tetrahedron Lett.35:8037,1994;Hiramaら、J.Am.Chem.Soc.107:1797,1985;Nagasakaら、Heterocycles 29:155,1989;Shishidoら、J.Chem.Soc.Perkins Trans.I 993,1987;Hiramaら、Heterocycles 28:1229,1989;各々は、参考として本明細書中に援用される)。類推によって、二級アミンを、o−ニトロベンジルカルバメート(NBOC)として保護し、得られた化合物を、カルバメート窒素上で脱プロトン化する。この脱プロトン化を、代表的には、水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブチルオキシドのいずれかを用いて実施し得るが(Colladoら、Tetrahedron Lett.35:8037,1994;Hiramaら、J.Am.Chem.Soc.107:1797,1985;Nagasakaら、Heterocycles 29:155,1989;Shishidoら、J.Chem.Soc.Perkins Trans.I 993,1987;Hiramaら、Heterocycles 28:1229,1989;各々は、参考として本明細書中に援用される)、他の塩基を、ニトロベンジルプロトンの脱プロトン化を最小にするために使用し得る。脱プロトン化カルバメートを、α,β−不飽和ケトン10に付加し、続いて得られたエノラートをTBSCIでトラップすることによって、シリルエノールエーテル11を生じるはずである。以前に見出された、5−置換エノン(例えば、10)への共役付加の立体選択性(Houseら、J.Org.Chem.33:949,1968;Stillら、Tetrahedron 37:3981,1981;各々は、参考として本明細書中に援用される)は、そのジアステレオマー上の11の優先的な形成を示唆する。ケトン10(フッ素切断カルバメートホスフェートリンカーに対する前駆体)を、ワンポットでの脱炭酸(Bartonら、Tetrahedron 41:3901,1985;参考として本明細書中に援用される)、続いて、TBAFで処理し、得られたアルコールをSwern酸化し、12を得、DDQで脱プロトン化し、低障害性アルコールを選択的ニトロベンジルエーテル形成し、そしてヨウ化サマリウムでα−ヒドロキシル基の還元することによって得る(Molander In Organic Reactions,Paquette,編.46:211,1994;参考として本明細書中に援用される)。
Figure 2013010761

11のp−メトキシベンジリデン基を、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよびTMSクロリドを使用して、α−ヒドロキシPMBエーテルに変換し(Johanssonら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 2371,1984;参考として本明細書中に援用される)、TES基を、2%のHFを用いて脱プロトン化し(TBSエーテルに影響しないはずの条件(Boschelliら、Tetrahedron Lett.26:5239,1985;参考として本明細書中に援用される))、13を得る。先例に従って(Johanssonら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 2371,1984;Sutherlinら、Tetrahedron Lett.34:4897,1993;各々は、参考として本明細書中に援用される)、PMB基は、より障害性の二級アルコール上に残るはずである。2つの遊離ヒドロキシル基を、クロロ蟻酸p−ニトロフェノール(または、別のホスゲンアナログ)の溶液への非常にゆっくりとした13の添加により、大環状化し得、14を得る。PMBエーテルを、脱プロトン化し、得られたアルコールを、トリフラートに転換し、立体障害性の塩基を用いて反応動力学的条件下で、除去して、ビニルオキシカルボネート15を得る。ニトロベンジルエーテルおよびニトロベンジルカルバメートの光脱プロトン化は、アルコール16を生じる。
Figure 2013010761

モノマー合成を、3つの成分の連続的なカップリングによって完了する。クロロジイソプロピルアミノホスフィン17を、PClとジイソプロピルアミンとの反応によって合成する(Kingら、J.Org.Chem.49:1784,1984;参考として本明細書中に援用される)。樹脂結合ヌクレオシド(または、3’−o−ニトロベンジルエーテル保護ヌクレオシド)18を、17とカップリングして、ホスホルアミダイト19を得る。19とヌクレオシド20との続いてのカップリング(Inoueら、J.Am.Chem.Soc.103:7666,1981;参考として本明細書中に援用される)は、21を提供する。次いで、アルコール16を、21と反応させ、MCPBAまたはIを使用した慎重な酸化、続いての樹脂からの切断(または光脱プロトン化)の後に、完成したモノマー22を生じる。17とアルコールとの連続的なカップリングのこの戦略を、連続的に使用し、良好な収率で3つの異なるアルコキシ置換基を保有するホスフェートを生成する(Bannwarthら、Helv.Chim.Acta 70:175,1987;参考として本明細書中に援用される)。
Figure 2013010761
カルバメート重合を開始および終了するために使用される独特の開始モノマーおよび終始モノマーを、上記スキームの簡単な修飾によって合成し得る。
(B)進化可能に官能化されたペプチド核酸(PNA):)
別の実施形態において、増幅可能なペプチド核酸ライブラリーを作製する。Orgelおよびその共同研究者らは、ペプチド核酸(PNA)オリゴマーを、相補的DNAテンプレートまたは相補的RNAテンプレート上で効率的に重合し得ることを示した(Boehlerら、Nature 376:578,1995;Schmidtら、Nucl.Acids Res.25:4792,1997;各々は、参考として本明細書中に援用される)。この知見ならびにアミノ酸側鎖を保有するキラルなペプチド核酸の最近の合成および特徴付け(Haaimaら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:1939−1942,1996;Puschlら、Tetrahedron Lett.39:4707,1998;各々は、参考として本明細書中に援用される)は、高分子骨格および成長する核酸鎖を単一の構造に結合することを可能にする。この例において、各テンプレートは、5’アミノ基で終了するDNAヘアピンからなり;このような分子の固相合成および溶液合成は、以前に記載されている(Uhlmannら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:2632,1996;参考として本明細書中に援用される)。各伸長モノマーは、目的の官能基を含有する側鎖を有するPNAトリマー(またはもっと長い)からなる。人工的な遺伝コードは、各トリヌクレオチドを異なるセットの側鎖へと割り当てるために書かれる。カルボキシ末端からアミノ末端の方向での相補的DNAテンプレートに沿った、PNAダイマーのアセンブリ、活性化(例えば、カルボジイミドおよび適切な脱離基を用いる)、および重合は、非天然の高分子与える(図20)。ビオチン化されたN末端を有する「停止」モノマーを選択することは、伸長終結および全長高分子の精製の都合の良い方法を提供する。得られた高分子(これらをコードするDNAに共有結合された)は、選択、配列決定、または変異の準備ができている。
進化可能な官能化ペプチド核酸ライブラリーの実行に向けてのアプローチは、以下の工程を包含する:(i)テンプレート方向の高効率な高分子化のための、既知の化学反応を改良する工程および適合させる工程;(ii)大幅な不確実性、フレームシフト、または高分子化の偽の開始から免れたコードDNAの相補鎖に対して多様なモノマーのPNAカップリングに適したコドン形式(長さおよび組成)を規定する工程;(iii)本発明者らの新規の遺伝子コードを規定する側鎖の開始時の組み合わせを選択して、対応するモノマーを合成する工程;ならびに(iv)官能化されたPNAライブラリーを、選択、増幅および変異作製のサイクルに供して、そして生じた進化型分子を特徴付けて、新規の活性の基礎を理解する工程。
(i)カップリング化学反応を改良する工程:Orgelおよびその共同研究者は、テンプレート方向のPNA高分子化を報告したが、報告された収量およびカップリング成功回数は、所望されたものよりもずっと低かった。重要なカップリング工程の改良に向けて有望な経路は、これまでに調査されていない新規のカップリング試薬、温度および溶媒を探索することである(おそらく、従来の試みは、前生物的に大量で存在し得た条件に着目したからである)。進化可能な官能化PNA高分子の開発は、新規のカップリング条件を単離するための、大規模なコンビナトリアルスクリーニングにおいて、アクチベーター(DCC,DIC,EDC,HATU/DIEA,HBTU/DIEA,ByBOP/DIEA,クロロアセトニトリル)、脱離基(2−メチルイミダゾール、イミダゾール、ペンタフルオロフェノール、フェノール、チオフェノール、トリフルオロアセテート、アセテート、トルエンスルホン酸、補酵素A、DMAP、リボース)、溶媒(いくつかのpH値の水、DMF、DMSO、クロロホルム、TFE)、および温度(0℃、4℃、25℃、37℃、55℃)を使用する工程を包含する。384ウェルプレートの各々に、あるアクチベーター、ある脱離基、ある溶媒、およびある温度の特定の組み合わせを割り当てる。DNAヘアピンテンプレートと共有結合した固体相合成ビーズを、各々のウェル中に配置して、テンプレートに相補的な、蛍光ラベルしたPNAモノマーを一緒にする。首尾よいカップリング事象の結果、ビーズへのフルオロフォアの共有結合が生じ(図26);所望されない非テンプレート型のカップリングを、ミスマッチのモノマーとのコントロール反応によって識別し得る。ビーズの洗浄および固相からの生成物の切断の後、各々のウェルを蛍光プレートリーダーを用いてアッセイする。
(ii)コドン形式の規定:天然はタンパク質の生合成において3つ組のコドンを上手く利用しているが、酵素の補助なしに全く異なる条件下で構築さる新規高分子は、全く新規のコドン形式を必要とし得る。フレームシフトの形成は、各々のコドンを延ばすことによって(例えば、各々のコドンをGで開始することにより、そしてT、CおよびAに対するコドンでその次の配置を制限することによる)改善され得、その結果、フレーム外にコドンにハイブリダイズすることはミスマッチを保証する。当業者はまた、熱力学的にコドンの長さを特定の点まで増加させる場合に忠実度が改善することを予測する。しかし、過度に長いコドンは、ミスマッチの塩基にもかかわらずハイブリダイズし得、そしてさらにモノマーの合成を複雑にする。上記で開発された、最適化したプレートベースのコンビナトリアルスクリーニングを使用して、高い忠実度の人工的翻訳のための最適なコドン長を規定する。テンプレートにおける各々のコドンの長さおよび組成を、適切なDNAヘアピンの固相合成によって変更する。次いで、これらのテンプレートヘアピンを、変更された配列の、蛍光標識されたPNAモノマーとカップリングさせ得る。理想的なコドン形式は、ミスマッチのPNAモノマー(これは、マッチしたカップリング対ミスマッチしたカップリングを分析することを容易にするように異なって標識される)が存在しても、正確な相補配列を有するモノマーのみをテンプレートにカップリングさせ得る。高分子化の間に適切な位置決めを確実にするように残りの塩基がGで固定されて、2つの塩基がA、TおよびCの間で変更される3つ組のコドンおよび4つ組のコドンが、最初に研究される。
(iii)新規遺伝子コードの作成:合成時に接近可能であり、そしてカップリング条件に適合性である、目的の官能性(天然の生物高分子においてはその存在は必要ではない)を提供する側鎖を選択する。例えば、Ni2+をキレートするPNAを進化させるために使用され得る単一の遺伝子コードは、保護された種々のカルボキシル側鎖および立体構造的可撓性および構造多様性(図27)を高分子に与える小さな側鎖の組み合わせからなる。高いアフィニティーでNi2+に結合し得るPNAを首尾よく選択され、フルオロフォアおよび蛍光クエンチャーを包含するようなこの遺伝子コードの拡大が続き得る。次いで、この生じた高分子を、ニッケルの非存在下または存在下で異なる蛍光特性を有する蛍光Ni2+センサーへと進化させ得る。蛍光物質の側鎖を遮光性ケージ(photocage)側鎖で置換することによって特定の波長の光の存在下でNi2+をキレートする高分子、または光分解の際にNi2+を放出する高分子を進化させ得る。これらの単純な例は、リボソーム機構と互換性であることはもはや制限されずに、合成の構築用ブロックを取り込む自由度によって付与される進化可能な非天然の分子の潜在的な化学的特性において、非常に高い可撓性を実証する。
(iv)所望の非天然高分子についての選択:生物学的分子の選択のために開発された多くの方法を、所望の特性を有する、進化されたPNAのための選択に適用し得る。核酸選択またはファージディスプレイ選択のように、上記のDNAテンプレート高分子化方法によって作成された非天然高分子のライブラリを自己タグ化して、これによって、空間的に間隔を空ける必要も、ピンまたはビーズ上で合成する必要もない。Ni2+結合PNAを、翻訳から生じたライブラリ全体に通過させることによって、またはニッケルで予め荷電した、市販のNi−NTA(「His−Tag」)樹脂を介したランダムオリゴヌクレオチドによって、成され得る。所望の分子は樹脂に結合し、そしてEDTAで溶出される。選択、変異作製および増幅のサイクルの後、これらのPNAを配列決定すると、最初に選択された側鎖が一緒に組み合ってNi2+レセプターを形成し得ることを明らかにする。さらに、PNA Ni2+キレート剤の単離は、その後の非天然高分子の精製に有用であることが分かり得るヒスチジンタグのPNA等価物を示す。最近の尽力は、より野心的な選択に関する。例えば、特定のリガンド存在下で蛍光発光するPNAを、高分子のDNAテンプレートを介してビーズに連結された、翻訳された高分子の分別を行うFACSによって選択し得る。標的リガンドの存在下で発光するが非存在下では発光しないそれらのビーズを、単離してそして特徴付けを行う。最終的に、上記のようにビオチン化された「ストップ」モノマーの使用により、多くの結合形成反応または結合切断反応の触媒についての直接的な選択が可能となる。図28に記載される2つの例は、解糖における本質的な工程である、グリセルアルデヒド3−リン酸およびジヒドロキシアセトンリン酸へのフルクトース1,6−二リン酸の古典的なアルドール切断を触媒する、官能化されたPNAについての選択、ならびにアルドール転移反応を触媒するPNAについての選択の概要を示す。
(C) 小分子の進化可能なライブラリー)
本発明のなお別の実施形態において、合成薬物の骨格を含む、増幅可能かつ進化可能な非天然非高分子性分子の調製において、革新的な方法を使用する。求核性基または求電子基のそれぞれは、単結合の連結によって接着される低分子骨格上か、またはコードするオリゴヌクレオチドテンプレートに対する通常の固体支持体を介して、マスクが外される。短い核酸配列に連結された求電子試薬または求核試薬は、対応するテンプレートにハイブリダイズされる。適切な試薬との配列特異的な反応が、近接触媒によって起こる(図29)。
接着したDNAの配列によって定められる様式で全ての位置の合成的な官能化(図30および31)の後、生じたコードされるビーズは、樹脂上の化合物をアッセイするよう開発された広範な生物学的なスクリーニングに供され得る(Gordonら、J.Med.Chem.37:1385,1994;Gallopら、J.Med.Chem.37:1233−1251,1994;これらの各々が本明細書中で参考として援用される)。
コードDNAをスクリーニングにおいて同定された各々のビーズから切断して、そして固体支持体に再付着される前にPCR、変異誘発、配列決定または相同組換えに供される。最終的に、このコードDNAがビーズの介入なしに直接的にコンビナトリアルな合成骨格に連結される場合、この系は最も柔軟性が高い。この場合、化合物のライブラリー全体を、所望の活性についてスクリーニングし得るか、または選択し得る。それらのコードDNAは遊離され、増幅され、変異誘発され、そして組換えられ、そして新規の化合物が、小さな一連の1点での大量の並列反応において全て合成される。しかし、ビーズ支持体なしでは、ハイブリダイズした反応物質の反応性は、1つのテンプレート分子のみが小さな分子全体全体の合成に向かうので、高い効率であらねばならない。
進化可能な合成低分子ライブラリの開発は、DNAにハイブリダイズされた反応剤の接近によって提供される化学的触媒に依存する。ハイブリダイズされた反応剤とマスクされない反応基との間の受容可能な距離は、DNAの一本鎖上の反応性求核基(第1級アミン)から様々な距離をおいて短いオリゴヌクレオチドに接着された放射性標識された求電子基(本発明者らの最初の試みにおいては活性化エステル)と効果的なDNAテンプレートの官能化について、規定しなくてはならないことが認識される。所定の時点で反応の経過をモニターするために、アリコートをゲル電気泳動およびオートラジオグラフィーに供する。求核基と求電子基との間の(ベース単位の)距離の機能として反応をプロットして、DNAのハイブリダイズ化反応の近接性を基にした触媒作用が起こり得る、受容可能な距離のウインドウ(window)を規定する。このウインドウの幅は、本発明者らがDNA鎖上でコードする明確な反応の数(より大きな枠はより多くの反応を可能とする)ならびにコドンの性質(より大きな枠はより長いコドンを必要とする)を決定する(図32)。
一旦、コンビナトリアルの合成骨格とハイブリッド形成反応物との間の受容可能な距離が決定されると、コドン形式が決定される。低分子の合成の非高分子性の性質は、フレームシフトが問題とならないようにコドンの読みを単純化し、そして比較的大きなコドンを使用して、各々の反応物の組みがコードされるDNA鎖の1領域に対してのみハイブリダイズすることを確実とし得る。
一旦、官能基と合成低分子骨格との間の距離、およびコドン形式が決定されると、当業者は、図31に示されるセファロスポリン骨格のような低分子骨格に基づいて低分子を合成し得る。7−アミノセファロスポラニン酸の第1級アミンを、最初にFMOC−Clを使用して保護して、次いでそのアセチル基を塩基を用いた処理によって加水分解する。次いで、コードDNAテンプレートを、EDCおよびHOBtを使用するアミド結合を介してカルボン酸基に取り付ける。次いで、取り付けられたDNAテンプレートにハイブリダイズ可能なアンチコドンを有する運搬分子を、そのテンプレートに対してハイブリダイズ可能である。この運搬分子は、ジスルフィド結合を介してRを有する1級アミンと結合している。TCEPを用いた処理の後の、DSCを有するセファロスポリン骨格上の第1位のヒドロキシル基の活性化は、カルバメート結合を介してこの骨格に共有結合で取り付けられたアミンを生じる。1つのアミノ酸を有する別の運搬単位を用いたさらなる処理により、セファロスポリン骨格の脱保護された第1級アミンの官能化を導く。次いで、この様式で合成されたセファロスポリン様分子を、本発明の方法および組成物を使用して、選択し、増幅し、そして/または進化させ得る。DNAシャッフリングを使用して、DNAテンプレートを多様化し得、そして進化させ得る。
(D)DNAテンプレートによってプログラムされる、複数段階の低分子合成
分子進化は、進化する分子の構造中に増幅可能な情報担体の配列特異的な翻訳を必要とする。この要件により、直接的に進化する分子型が、2種(つまり、タンパク質および核酸)に限定される。なぜなら、これらのクラスの分子のみが核酸配列から翻訳され得るからである。一般的に上記のように、タンパク質および核酸以外に分子進化に対する有望なアプローチは、DNA配列を合成低分子に翻訳する方法として、DNAテンプレートの合成を使用する。DNAテンプレートの合成は、高い配列特異性を有し、かつDNA骨格の構造的模倣物を必要とはしない、広範な種々の強力な化学反応へと方向付け得る。しかし、このアプローチの、利用的に複雑なものの合成分子への適用は、DNAテンプレート反応の生成物がその後DNAテンプレートの変換を受けることを可能とする一般的な方法の開発を必要とする。第1のDNAテンプレート多段階低分子合成は、本明細書中で詳細に記載される。DNAテンプレート合成の反応範囲における最近の伸展を併せると、これらの知見は、合成低分子ライブラリーのインビトロ進化のための段階を設置する。
多段階のDNAテンプレート低分子合成は、一般的にDNAテンプレート合成に関連した難題を超えて、2つの大きな難題に面している。第1に、適切なテンプレートへと試薬を向けるために使用されるDNAが、テンプレートの所望されないハイブリダイゼーションを防ぐために、引き続くDNAテンプレート合成工程の前に、DNAテンプレート合成反応の生成物から除去されなければならない。第2に、多段階合成はしばしば、中間生成物の精製および単離を必要とするが、反応生成物を精製および単離するために使用される通常の方法は、分子生物学のスケールでの多段階合成に対しては適切ではない。これらの難題に取り組むために、ここで解読するDNAオリゴヌクレオチドと化学試薬を連結することについて、固相有機合成において3つの異なるストラテジーを実行し、そして任意のDNAテンプレート合成工程後の生成物の精製について、2つの一般的アプローチを開発した。
可能な場合、DNAテンプレート合成のために理想的な試薬−オリゴヌクレオチドのリンカーは、その試薬からの脱離基としてオリゴヌクレオチドを位置付ける。この「自動切断」リンカーのストラテジーの下で、オリゴヌクレオチド−試薬の結合は、反応の自然な化学的結果として切断される(図33)。DNAテンプレートの化学反応に適用されるこのアプローチの第1の例としては、ダンシル化したウィッティヒのホスホラン試薬(1)を合成し、ここで、解読するDNAオリゴヌクレオチドをアリールホスフィン基の1つに接着させた(I.Hughes,Tetrahedron Lett.1996,37,7595)。アルデヒド連結されたテンプレート2を用いる、DNAテンプレートウィッティヒのオレフィン化(上記の通り)は、テンプレートへと、蛍光性のダンシル基の効率的な転移を生じ、試薬からオレフィン3を提供した(図33)。自動切断リンカーの第2の例としては、DNAに連結されたチオエステル4が、pH7.0においてAg(I)で活性化される(Zhangら、J.Am.Chem.Soc.1999,121,3311)場合に、アミノ末端のテンプレート5をアシル化し、アミン生成物6を生じた(図33)。リボソーム性タンパク質生合成は、RNAテンプレート的にペプチド結合形成を媒介する同様の自動切断リンカーの様式でアミノアシル化tRNAを使用する。自動切断リンカーを使用するDNAテンプレートの反応後に、未反応の試薬から、そして切断したオリゴヌクレオチドから離れた所望の生成物を精製するために、ビオチン化した試薬オリゴヌクレオチド、およびストレプトアビジン連結した磁気ビーズを用いて粗生成物を洗浄する工程を利用した(図34)。このアプローチは未反応のテンプレートから反応したテンプレートを分離しないが、未反応のテンプレートを、その後のDNAテンプレート反応および精製の工程において取り除き得る(以下参照)。
1つより多くの官能基を有する試薬を、解読されるDNAオリゴヌクレオチドに第2および第3のリンカーのストラテジーにより連結し得る。無痕跡の(scarless)リンカーのアプローチにおいて、試薬の1つの官能基を、DNAテンプレート結合形成の間に保持して、一方では第2の官能基を使用して、さらなる所望されない化学的官能性を導入せずに切断され得るリンカーを取り付ける。DNAテンプレート反応に続いて、第2の官能基を介して取り付けられたリンカーの切断が起こり、所望の生成物を提供する(図33)。例えば、(D)−Phe誘導体7のような一連のアミノアシル化試薬を合成し、ここで、α−アミンは、これが解読するオリゴヌクレオチドリンカーに、カルバモイルエチルスルホンリンカーを介して接続される(Zarlingら、J.Immunology
1980,124,913)。この試薬およびアミン末端のテンプレート(5)を使用するDNAテンプレートアミド結合の形成(本明細書中に記載される)の生成物(8)は、塩基性水溶液で処理されてリンカーの量的排除および自発性の脱カルボキシル化をもたらし、上手く転換されるアミノ酸基を含む生成物9を提供する(図33)。このスルホンリンカーは、pH7.5以下の緩衝液中で25℃で24時間より長く安定であるが、pH11.8の緩衝液に37℃で2時間曝される場合に量的切断を受ける。
いくつかの場合において、リンカー切断の結果として新たな化学基を導入することが有利であり得る。第3のリンカーのストラテジーの下で、リンカーの切断は、その後の工程において官能化され得る「有用な痕跡」を生成する。このクラスのリンカーの一例として、1,2−ジオールを介して解読するDNAオリゴヌクレオチドに連結される、(L)−Phe誘導体10のようなアミノ酸試薬を生成した(Fruchartら、Tetrahedron Lett. 1999, 40, 6225)。アミン末端化テンプレート(5)とのDNAテンプレートアミド結合の形成の後、このリンカーを、pH5.0で50mM NaIO水溶液を用いる酸化によって量的に切断して、その後の官能化に(例えば、DNAテンプレートウィッティヒのオレフィン化、還元性アミノ化またはニトロアルドール付加において)適切なアルデヒド基を含む生成物12を提供する(図33)。
無痕跡のリンカーまたは有用な痕跡のリンカーを使用する、DNAテンプレート反応から生成される所望の生成物を、ビオチン化試薬オリゴヌクレオチドを使用して、容易に精製し得る(図34)。所望の生成物と一緒になった試薬オリゴヌクレオチドは、最初に、ストレプトアビジンで連結した磁気ビーズ上に捕らえる。塩基対合によって試薬に結合したテンプレートの未反応のものをすべて、4Mの塩化グアニジニウムを含む緩衝液でビーズを洗浄することによって取り除く。ビオチン化分子は、これらの条件下ではストレプトアビジンビーズに結合したままである。次いで、反応した試薬および未反応の試薬がビーズに結合したままで、リンカー切断緩衝液(上記の例においては、pH11の緩衝液またはNaIOを含む緩衝液のいずれか)を用いてビーズを溶出することによって、所望の生成物を純粋な形態で単離する。
上記のDNAテンプレート合成およびリンカーのストラテジーと適合する合成反応の、最近拡大したレパートリーを包含して、多段階DNAテンプレート低分子合成反応を行い得る。
1つの実施形態において、非天然ペプチドライブラリーの液相のDNAテンプレート合成は、全体的に以下に記載され、そして全体的に図35に示される。図35に示されるように、ライブラリーのための出発テンプレートのプールを生成するために、図35に示される配列形式の合成ビオチン化5’−アミノオリゴヌクレオチド30個を、標準的なEDCカップリング手順を使用して、30個の異なる天然アミノ酸および非天然アミノ酸のうちの1つとアシル化する。各々のアミノアシル化されたプライマー内の「コドン」を示す4塩基は、側鎖(R)の同一性を示す。これらの側差に対する「遺伝コード」は、ペプチド合成において通常使用される酸不安定性保護基と同様の基を用いて保護される。生じた30個のアミノアシル化DNAプライマーを、自動DNA合成機によって作製されたテンプレートDNAオリゴヌクレオチドライブラリーにアニールさせる。DNAポリメラーゼを用いるプライマー伸長、その後DNA鎖の変成およびストレプトアビジンで連結した磁気ビーズ用いる精製を続けて、出発のテンプレートライブラリーを作製した(図35を参照のこと)。1つではあるが一般的な例として、非天然ペプチドライブラリーの液相DNAテンプレート型合成を、図36に示す。テンプレートライブラリーを、上記のように、スルホンリンカーを介して、10ベースの解読されるDNAオリゴヌクレオチドに取り付けられるアミノ酸試薬を使用して、3つのDNAテンプレート型ペプチド結合形成反応に供する。各工程の生成物を、所望される場合のリンカー切断前に、分離用変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって精製するが、この工程は必要でないこともあり得る。3’アミノ末端化DNAオリゴヌクレオチドを、図37に示されるようなスルホンリンカーのビス−NHSカーボネート誘導体を介して、コードされるアミノ酸にカップリングすることによって、各々のDNA連結試薬を合成し得る。ここでも、関連するコドンが化学的に類似のアミノ酸をコードするように、コドンを選択する。各々のペプチド結合形成反応の後、無水酢酸を使用して、未反応の開始材料をキャッピングし、そしてpH11の緩衝液を使用してリンカーの切断をもたらして、その次のペプチド結合形成反応のための新規のアミノ基を露出させる。一旦テトラペプチドが出来上がると、カルボン酸側鎖を有するこれらのライブラリーのメンバーをまた、そのアミノ末端と環化させて大きな環ペプチドを形成するが、一方では直鎖ペプチドメンバーは単純にN−アセチル化され得る(図36を参照のこと)。
実際には無制限の組み合せのアミノ酸構築ブロックを、非天然ペプチドライブラリー中に包含し得ることが認識される。ファージが提示されたライブラリー(O’Neilら、Curr.Opin.Struct.Biol.1995,5,443−9)、mRNAが提示されたライブラリー(Robertsら、Proc.Natl.Acad.Sci,USA 1997, 94,12297−12302)、リボソームが提示されたライブラリー(Robertsら、Curr.Opin.Chem.Biol.1999,3,268−73;Schaffitzelら、J.Immunol Methods 1999,231,119−35)、または細胞内ペプチドライブラリー(Normanら、Science 1999,285,591−5)のようなタンパク質生合成機構を使用して作製されたペプチドライブラリーとは異なり、非タンパク遺伝性の(non−proteinogenic)側鎖、非天然側鎖の空間的配置、または非ペプチド性の骨格を有するアミノ酸は全て、このライブラリー中に含まれ得る。さらに、多くの市販のジペプチド、トリペプチドおよびオリゴペプチドをまた、より長いライブラリーのメンバーを作製するための構築ブロックとして、使用し得る。このライブラリー中の非天然ペプチドの存在は、リボソーム的に作製されたペプチドと比較して、プロテアーゼ耐性のような増強された薬理学的特性を付与し得る。同様に、巨大な環状ライブラリーのメンバーは、より高いアフィニティーのリガンドを作製し得る。なぜなら、これらの標的を結合する際のエントロピー喪失が可撓性のより高い直鎖状対応物より低いからである。この記載に合てはまる非常に多種の市販のアミノ酸を基に、この非天然環状テトラペプチドおよび非天然直鎖テトラペプチドのライブラリーの最大の多様性は、100×100×100×100=10メンバーを超え得る。
上記のアプローチを使用するライブラリーの別の例としては、5員環および14員環を含む、多様性指向型の巨大2環式ライブラリーのDNAテンプレート型合成が挙げられる(図38)。このライブラリーの開始物質は、種々の側鎖保護されたリジン誘導体および市販のリジンアナログ(アミノエチルシステイン、アミノエチルセリンおよび4−ヒドロキシリジンを含む)でアミノアシル化されたDNAテンプレートから構成される。第1の工程において、上記のように隣接のジオールリンカー16が追跡不能のスルホンリンカーの代わりに使用されることを除いて、非天然ペプチドライブラリーにおいて記載されるように、種々のDNAが連結したアミノ酸とのDNAテンプレートアミド結合形成が起こる。アミド結合の形成後、このジオールリンカーを、過ヨウ素酸ナトリウムを用いる酸化反応で切断する。リジンアナログの側鎖の脱保護に引き続いて、遊離アミノ酸とアクリル酸由来のチオエステルのライブラリーとの間の、トリフルオロ酢酸銀によって触媒される、DNAテンプレート型なアミド結合形成が起こる。生じたオレフィンをヒドロキシルアミンで処理してニトロンを生成し、これは1,3−双極性環付加を受けて二環式のライブラリーを作製する(図38)。リジンアナログを5’アミノ末端化テンプレートプライマーにカップリングする工程(図35)、アミノアシル化ジオールリンカーを3’アミノ末端化DNAオリゴヌクレオチドにカップリングする工程(図38)、およびアクリル酸を3’チオール末端化DNAオリゴヌクレオチドにカップリングする工程(図38)によって、このライブラリーのためのDNAが結合した試薬を調製する。
上記の第1の一般的なアプローチから作製される特定のライブラリーの1つの例ではあるが、DNAテンプレート型アミド形成の3工程の繰り返しであり、無痕跡のリンカー切断、およびストレプトアビジンが連結したビーズを用いる精製を使用して、非天然トリペプチドを生成した(図39)。各アミノ酸試薬と、単独のビオチン化10塩基DNAオリゴヌクレオチドに、上記のスルホンリンカーを介して連結させた。30塩基のアミン末端化テンプレートを、3つの試薬に相補的である3つの連続的な10塩基領域を含むトリベプチド合成に向けるようにプログラムした(これは、多工程のDNAテンプレート型低分子ライブラリー合成において使用されるストラテジーを模倣する)。第1アミノ酸試薬(13)を、テンプレートおよびアクチベーター4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホニウムクロライド(DMT−MM)(Kunishimaら、Tetrahedron 2001,57,1551)と混ぜ合せて、DNAテンプレート型ペプチド結合形成をもたらした。望ましい生成物を粗反応物にストレプトアビジンで連結した磁気ビーズと混合することによって精製し、4M 塩化グアニジウムで洗浄し、そしてpH11の緩衝液で溶出してスルホンリンカーの切断をもたらし、生成物14を生じた。次いで、14における遊離アミノ基を、第2ラウンド、第3ラウンドのDNAテンプレート型アミド形成およびリンカー切断に処して、ジペプチド15およびトリペプチド16を得た(図39)。
各々の反応工程、精製工程およびスルホンリンカー切断工程の進行の後に、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を続けた。テンプレート(16)に連結した最終トリペプチドを、制限エンドヌクレアーゼEcoRIで消化し、そしてトリペプチドを含む消化フラグメントをMALDI質量分析によって特徴付けた。2nmol(約20μg)の出発材料より開始し、十分なトリペプチド生成物を生成して、10より多くのインビトロ選択およびPCR反応に対するテンプレートとして扱った(Kramerら、Current Protocols in Molecular Biology、第3巻(編者:F.M.Ausubel)、Wiely、1999、15.1頁)(推定で1/10,000の分子が残る選択)。出発材料テンプレートを無水酢酸でキャップした場合も、配列ミスマッチを含むコントロール試薬を相補的な試薬の代わりに使用した場合も、有効な生成物を全く生成しなかった(図39)。
上記で開発された3つ全てのリンカーのストラテジーを使用する非ペプチド性多段階DNAテンプレート低分子合成(図40)をまた、実施した。ジオールリンカーおよびビオチン化された10塩基のオリゴヌクレオチドを含むアミノアシルドナー試薬(17)を使用して、アミン末端化30塩基テンプレートをDNAテンプレートアミド結合形成に供し、アミド18を得た。所望の生成物をストレプトアビジンビーズ上の粗反応を捕獲し、続いてNaIOでリンカーを切断することによって単離し、アルデヒド19を作製して単離した。ビオチン化オートクレーブホスホラン試薬(biotinylated autocleaving phosphorane reagent)20を用いる19のDNAテンプレートウィッティヒ反応によって、フマルアミド21を得た。第2のDNAテンプレート反応からの生成物を、ストレプトアビジンビーズを用いる洗浄によって部分的に精製し、反応済み試薬および未反応試薬を除去した。第3のDNAテンプレート工程において、フマルアミド21を、スルホンリンカーを介してビオチン化オリゴヌクレオチドに連結したチオール試薬22を使用して、DNAテンプレート結合付加(Gartnerら J.Am.Chem.Soc.2001,123,6961)に供した。所望の結合体付加生成物(23)を、ストレプトアビジンビーズによる固定化によって精製した。pH11の緩衝液でのリンカーの切断によって、3つの結合形成反応、2つのリンカー切断工程、および3つの精製についての全体の単離収率5〜10%で、最終生成物24を生じた(図40)。この最終生成物をEcoRIで消化し、そして低分子連結テンプレートフラグメントの質量を、MALDI質量分析によって確認した(正確な質量:2568、実測質量:2566±5)。トリペプチドの例のように、この多段階合成の間に使用される3つの試薬それぞは、DNAテンプレートの独特の位置でアニールされそしておよび配列ミスマッチによるコントロール反応からは、生成物が得られなかった(図40)。予測されるように、ウィッティヒ試薬を省略したコントロール反応(工程2)からもまた、第3工程後に生成物が得られなかった。ひとまとめにして考えると、16および24のDNAテンプレート合成は、構造上核酸と無関係であるオリゴマー分子および非オリゴマー低分子の両方の配列プログラムされた多段階合成をDNAが指向する能力を示す。
DNAテンプレート反応のための多くの市販される物質としては、アミン、カルボン酸、α−ハロカルボニル化合物、オレフィン、アルコキシアミン、アルデヒドおよびニトロアルカンが挙げられ、これらは、DNAの大きなライブラリを、多様な低分子ライブラリに変換することを可能にし得る。所望の結合活性または触媒活性によるメンバーについてのこれらのライブラリの直接的なワンポット選択、続くPCR増幅および活性分子をコードするDNAの多様化(diversification)によって、自然が、新しい分子機能を作製するために使用する強力な方法に匹敵する様式で、合成低分子が進化することを可能にし得る。さらに、多段階核酸テンプレート合成は、複製可能な情報を機能性分子に生体前(prebiotic)に翻訳するために、以前に提唱されたモデル(A.I.Scott,Tetrahedron Lett.1997,38,4961;Liら.Nature 1994,369,218;Tamuraら.Proc.Natl.Acad.Sci USA 2001,98,1393)に必要とされる。これらの知見は、試薬が、増殖分子からの広範囲に変化する距離(上記の例において、0〜20塩基)でアニールする場合でさえ、核酸テンプレートが、反復性または非反復性の多段階低分子合成を確かに指向し得ることを実証する。次いで、下記により詳細に記載するように、合成分子のライブラリは、翻訳、選択、増殖および変異誘発のサイクルを通して、活性リガンドおよび活性触媒に進化し得る。
(E)進化プラスチック(Evolving Plastics)):
本発明のなお別の実施形態において、核酸(例えば、DNA、RNA、これらの誘導体)は、重合化触媒に結合される。核酸が、複合体構造に折りたたまれ得るために、その核酸は成長する高分子鎖の重合化を指向するおよび/またはその重合化に影響を与えるために使用され得る。例えば、核酸は、重合化されるモノマー単位の選択、およびどのような重合化反応がおこるか(例えば、立体化学、立体規則性、活性)に影響し得る。この合成高分子は、分子量、密度、疎水性、立体規則性、立体選択性などのような特定の特性について選択され得、そしてその合成を指向する触媒の不可欠な部分を形成する核酸は、増幅され、そして進化され得る(図41)。リガンドの多様化、選択、および増幅の繰り返しサイクルは、所望の特性への、触媒および高分子の真の進化を可能にする。
ただ1つの例を挙げてみると、DNA分子のライブラリは、ジヒドロイミダゾールリガンドを介してGrubbsのラチニウムベース開環メタセシス重合(ROMP)触媒(Schollら、Org.Lett.1(6):953,1999;本明細書中に参考として援用される)に結合される。この触媒は、潜在的な触媒分子の大きく、多種多様なプールを作製し、その各々は、機能化リガンドの性質によって独特である。明らかに、比較的大きいDNA−デヒドロイミダゾール(DNA−DHI)リガンドでの触媒の官能化は、触媒の活性を変更する。各DNA分子は、独自の立体電子形状(stereoelectronic shape)に折りたたむための電位を有し、この形状は、潜在的に重合化反応における異なる選択性および/または活性を有する(図42)。従って、DNAリガンドのライブラリは、種々のモノマーの付加によってプラスチックのライブラリに「翻訳」され得る。特定の実施形態において、それ自体を成長高分子に共有結合的に挿入し得、従って、その作製がコードされたDNAでタグ化された高分子を作製し得るDNA−DHIリガンドが、使用される。図42に示される合成スキームを使用して、DHIリガンドは、2つの化学操作(そのうちの1つはDNAをリガンドに結合するために使用され、他方はDHI骨格にペンダントオレフィン(pedant olefin)を結合するのに使用される)を含んで生成される。メタセシスの速度は、オレフィン置換および触媒の同定に基づいて広く変化することが知られている。これらの可変基の変化を通して、ペンダントオレフィン結合の速度は、kペンダントオレフィンメタセシス<<kROMPであるように調節され得、それによって、DNAタグおよび対応する高分子末端の挿入の前に、中程度から高分子量の高分子が形成されるのを可能にする。ビニルエーテル(vinylic either)が、高分子末端を官能化するため(Gordonら、Chem.Biol.7:9−16,2000;本明細書中で参考として援用される)、および減少された分子量の高分子を生成するために、ROMPにおいて通常使用される。
電気泳動、ゲル濾過、遠心分離沈降、異なる疎水性の溶媒への分配などによる、ライブラリからの高分子の引き続く選択は、所望の特性に基づいた。誤りがちな(error−prone)PCRまたはDNAシャッフリングのような技術を介するコード核酸の増幅および多様化、それに続くDHI骨格への接着は、選択された活性において富化された潜在的ROMP触媒の別のプールの生成を可能にする(図43)。この方法は、高分子材料およびそれを作製する触媒を産生するための新しいアプローチを提供する。
(実施例6:DNAテンプレート合成低分子ライブラリの特徴付け):
上記の非天然ペプチドおよび二環式のライブラリは、種々の段階で特徴付けられる。各候補試薬は、その翻訳DNAオリゴヌクレオチドに結合体化され、次いでマッチテンプレートおよびミスマッチテンプレートでのモデル反応に供される。これらの反応物からの生成物を、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分析し、反応効率を評価し、そして質量分析によって予測された生成物構造を裏付けた。一旦強固(robust)な試薬の完全なセットが同定されると、大スケールでの代表的な単一ライブラリの完全多段階DNAテンプレート合成が実施され、そして最終生成物が質量分析によって特徴付けられる。
より詳細には、各多段階DNAテンプレートライブラリ合成のメンバーの配列忠実が、一連のワンポットライブラリ合成反応を通して、単一の化学的に標識された試薬のなりゆきを追跡することによって試験される。例えば、ケトン基を有する構築ブロック(building block)から生じる生成物は、市販のヒドラジド結合樹脂で捕獲され、そしてDNAシークエンスによって分析され、DNAテンプレート合成の間に配列忠実を実証する。同様に、非ビオチン化モデルテンプレートを使用する場合、ビオチン基を有する構築ブロックは、ストレプトアビジン磁性ビーズを使用するDNAテンプレート合成の後に精製され、そしてDNAシークエンスに供される(Liuら J.Am.Chem.Soc.2001,123,6961−6963)。ミスマッチDNAとのアニーリングに対してより大きい傾向を示すコドンは、この様式でのスクリーニングによって同定され、そしてこれらの合成ライブラリの遺伝コードから除去される。
(実施例7:進化可能な合成ライブラリーからのタンパク質リガンドのインビトロ選択:)このアプローチにおいて作製されるあらゆるライブラリーメンバーは、その合成をコードして指向するDNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に連結されるので、ライブラリーを、真のインビトロ選択に供し得る。結合形成反応または結合切断反応の低分子触媒についての直接的選択は、このアプローチの、興奮させる潜在的適用であるが、これらのライブラリーを進化させるために用いられ得る最も単純なインビトロ選択は、標的タンパク質への結合についての選択である。合成ライブラリー選択のための理想的な最初の標的タンパク質は、重要な生物学的役割を果たし、かつ、この選択方法を確認するための種々の親和性の既知のリガンドを有する。
本発明における使用のための特に目的の1つのレセプターは、αβレセプターである。αβレセプターは、膜貫通ヘテロ二量体糖タンパク質レセプターのインテグリンファミリーのメンバーである(Millerら、Drug Discov Today 2000,5,397−408;Bermanら、Membr Cell Biol.2000,13,207−44)。αβインテグリンレセプターは、多くの細胞型(例えば、破骨細胞、血管平滑筋細胞、内皮細胞およびいくつかの腫瘍細胞)の表面に発現される。このレセプターは、いくつかの重要な生物学的プロセス(骨マトリクスへの破骨細胞の接着(van der Pluijmら、J.Bone Miner.Res.1994,9,1021−8)、平滑筋細胞の移動(Choiら、J.Vasc.Surg.1994,19,125−34)および腫瘍誘発性血管新生(Brooksら、Cell
1994,79,1157−64)(新たな血管の生成)を含む)を媒介する。腫瘍誘発性血管新生の間、侵襲性内皮細胞は、それらのαβインテグリンレセプターによって、細胞外マトリクス成分へと結合する。いくつかの研究(Brooksら、Cell 1994,79,1157−64;Brooksら、Cell 1998,92,391−400;Friedlanderら、Science 1995,270,1500−2;Varnerら、Cell Adhes Commun 1995,3,367−74;Brooksら、J.Clin Invest 1995,96,1815−22)は、抗体または低分子合成ペプチドを用いてのこのインテグリン結合事象の阻害が、増殖性脈管形成性血管細胞のアポトーシスを誘導し、そして腫瘍転移を阻害し得ることを実証した。
αβインテグリンレセプターに対する種々の親和性および選択性の多数のペプチドリガンドが報告されている。2つの基準αβインテグリンアンタゴニストは、直鎖状ペプチドGRGDSPK(IC50=210nM(Dechantsreiterら、J.Med.Chem.1999,42,3033−40;Pfaffら、J.Biol.Chem.1994,269,20233−8)および環状ペプチドシクロ−RGDfV(Pfaffら、J.Biol.Chem.1994,269,20233−8)(f=(D)−Phe、IC50=10nM)である。インテグリンについてのペプチドアンタゴニストは通常、RGDを含むが、全てのRGD含有ペプチドが、高親和性インテグリンリガンドであるわけではない。むしろ、RGDおよび他のペプチド配列のコンホメーション関係は、インテグリン親和性および特異性に対して甚大な影響を有し得る(Wermuthら、J.Am.Chem.Soc.1997,119,1328−1335;Geyerら、J.Am.Chem.Soc.1994,116,7735−7743;Raiら、Bioorg.Med.Chem.Lett 2001,11,1797−800;Raiら、Curr.Med.Chem.2001,8,101−19)。この理由のために、αβインテグリンレセプターアンタゴニスト発見に向けてのコンビナトリアルアプローチは特に将来有望である。
αβインテグリンレセプターの生物学的に重要かつ医薬的に適切な役割は、その既知のペプチドアンタゴニストおよびその商業的入手可能性(Chemicon International,Inc.,Temecula,CA)とともに、αβインテグリンレセプターを、DNAテンプレート合成低分子ライブラリーについての理想的な最初の標的とする。αβインテグリンレセプターは、そのリガンド結合能力もリガンド結合特異性も損なうことなく、マイクロタイタープレートウェルへの吸着によって固定され得る(Dechantsreiterら、J.Med.Chem.1999,42,3033−40;Wermuthら、J.Am.Chem.Soc.1997,119,1328−1335;Haubnerら、J.Am.Chem.Soc.1996,118,7461−7472)。あるいは、レセプターは、セファロースビーズへと共有結合した、NHSエステルまたはマレイミド基を用いた結合体化によって固定され得、そして得られたインテグリン親和性樹脂が既知のリガンド結合特性を維持する能力を確認し得る。
実際のタンパク質結合選択を実施するために、DNAテンプレート連結合成ペプチドまたは大環状ライブラリーを、1つのポットにおいて結合緩衝水溶液中に溶解し、そして固定化αβインテグリンレセプターの存在下で平衡化させる。非バインダー(non−binder)を、緩衝液を用いて洗浄除去する。それらの合成部分を介してというよりはむしろ、それらの結合したDNAテンプレートを介して結合され得る分子を、PCRプライマー結合部位を欠く非官能化DNAテンプレートを用いて結合したライブラリーを洗浄することによって除去する。固定化したαβインテグリンレセプターに結合した残りのリガンドを、変性によって、または過剰の高親和性RGD含有ペプチドリガンドの添加によって溶出させる。αβインテグリンバインダーをコードしてその合成を指向するDNAテンプレートを、テンプレートの一定の3’領域に結合するように設計された1つのプライマー、およびライブラリー出発物質を用いてその5’末端で官能化したビオチン化プライマーの1つのプールを用いるPCRによって増幅する(図44)。ビオチン化鎖の精製は、合成分子の翻訳、選択、および増幅の1サイクルを完了して、合成αβインテグリンリガンドをコードする配列が富化されたDNAテンプレートの部分集団を生じる。
αβインテグリンレセプターを、所望の特性を有する合成分子を作製するアプローチのための魅力的な最初の標的とする理由と類似の理由によって、第Xa因子セリンプロテアーゼはまた、将来有望なタンパク質標的として役立つ。血液凝固は、血餅の基礎であるフィブリンを最終的に生じる酵素触媒反応の複雑なカスケードを含む(Raiら、Curr.Med.Chem.2001,8,101−109;Vaccaら、Curr.Opin.Chem.Biol.2000,4,394−400)。トロンビンは、血液凝固の間にフィブリノゲンをフィブリンへと変換するセリンプロテアーゼである。トロンビンは次いで、プロトロンビンに対する第Xa因子のタンパク質分解作用によって作製される。血栓塞栓(血液凝固)疾患(例えば、発作)は、世界中における主な死因のままである(Vaccaら、Curr.Opin.Chem.Biol.2000,4,394−400)ので、トロンビンまたは第Xa因子を阻害する薬物の開発は、薬学研究の主な分野である。第Xa因子の阻害は、正常な止血にも関与し、トロンビンを阻害することに関連した副作用を回避すると考えられる、より新しいアプローチである(Maignanら、J.Med.Chem.2000,43,3226−32;Leadleyら、J.Cardiovasc.Pharmacol.1999,34,791−9;Beckerら、Bioorg.Med.Chem.Lett.1999,9,2753−8;Choi−Sledeskiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.1999,9,2539−44;Choi−Sledeskiら、J.Med.Chem.1999,42,3572−87;Ewingら、J.Med.Chem.1999,42,3557−71;Bostwickら、Thromb Haemost 1999,81,157−60)。ヘパリン、ヒルジンおよびヒルログを含む多くの因子は、トロンビンの産生を制御するために開発されているが、これらの因子は一般に、あり得る副作用に加えて、1日に何回かの静脈内注射または皮下注射を必要とするという欠点を有し、そして合成低分子第Xa因子インヒビターについての探索は、大きな研究努力の主題のままである。
とりわけ、既知の結合親和性を有する第Xa因子インヒビターは、上記のDNAテンプレート非天然ペプチドライブラリーに容易に含まれる、アルギニンアルデヒドで終了する一連のトリペプチドである(Marloweら、Bioorg.Med.Chem.Lett.2000,10,13−16)。最初の2残基の正体に依存して、これらのトリペプチドは、15nM〜60μMの範囲のIC50値を示し(Marloweら、Bioorg.Med.Chem.Lett.2000,10,13−16)、それゆえ、合成第Xa因子リガンドについてのインビトロ選択を確認および検定するための理想的なポジティブコントロールを提供する(以下を参照のこと)。第Xa因子および樹脂に固定化された活性な第Xa因子の両方が、市販されている(Protein Engineering Technologies,Denmark)。樹脂に結合した第Xa因子を用いて、上記のインテグリンレセプター結合選択に類似した様式で、第Xa因子親和性を有するDNAテンプレート非天然ペプチドおよび二環式ライブラリーの両方のメンバーを選択する。
選択された合成分子をコードするDNAテンプレートのPCR増幅後、さらなる回の翻訳、選択、および増幅を実施して、ライブラリーを最大の親和性バインダーについて富化する。選択のストリンジェンシーを、結合緩衝液および洗浄緩衝液の塩濃度を徐々に増大させること、結合の持続時間を減少させること、結合温度および洗浄温度を上昇させること、ならびに洗浄添加物(例えば、テンプレートDNAまたは無関係のタンパク質)の濃度を増大させることによって増大させる。重要なことに、インビトロ選択はまた、結合親和性に加えて、特異性について選択し得る。望ましくない結合特性を保有する分子を除去するために、固定化したαβインテグリンまたは第Xa因子に結合したライブラリーメンバーを、非標的タンパク質(例えば、他のインテグリンまたは他のセリンプロテアーゼ)を用いて洗浄して、標的タンパク質に結合するが非標的タンパク質に結合しない分子のみを残す。
翻訳、選択、および増幅の反復サイクルは、何回かの選択の間での多様化を必要とするライブラリーの進化よりもむしろ、ライブラリーの富化をもたらす。これらの合成ライブラリーの多様化を、タンパク質を多様化させるために自然によって用いられる方法に両方とも類似する、少なくとも2つの方法で達成する。ランダム点変異誘発を、誤りがちなPCR(Caldwellら、PCR Methods Applic.1992,2,28−33)の下でPCR増幅工程を実施することによって行う。これらの分子の遺伝暗号は、関連のコドンを関連の化学基に割り当てるように書かれているので、天然のタンパク質遺伝暗号が構築される方法と類似して、選択された分子をコードするテンプレート中のランダム点変異は、子孫を化学的に関連したアナログに向かって多様化させる。点変異誘発に加えて、このアプローチにおいて作製される合成ライブラリーをまた、組換えを用いて多様化させる。組換えられるべきテンプレートは、図45に示す構造を有し、ここでは、コドンは、5塩基の非パリンドローム制限エンドヌクレアーゼ切断部位(例えば、AvaIIによって切断される部位(G/GWCC、W=AまたはT)、Sau96Iによって切断される部位(G/GNCC、N=A、G、T、またはC)、DdeI(C/TNAG)、またはHinFIによって切断される部位(G/ANTC))によって分離されている。選択後、所望の分子をコードするテンプレートを、これらの市販の制限酵素を用いて酵素的に消化する。次いで、消化されたフラグメントをT4 DNAリガーゼで組換えて、インタクトなテンプレートとする。制限部位を分離するコドンは非パリンドローム性であるので、テンプレートフラグメントのみが再アセンブリして、インタクトな組換えテンプレートを形成し得る(図45)。組換えられたテンプレートのDNAテンプレート翻訳は、組換えられた低分子を提供する。このようにして、所望の活性を有する合成低分子の間の官能基を、自然でのタンパク質間のアミノ酸残基の組換えと類似の様式で組換える。組換えが、点変異誘発単独よりもずっと効率的に分子の配列空間を探究することは充分に認識されている(Minshullら、Curr.Opin.Chem.Biol.1999,3,284−90;Bogaradら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999,96,2591−5;Stemmer,W.Nature 1994,370,389−391)。
変異および組換えを用いた低分子進化は、単純な富化を超える、2つの潜在的利点を提供する。ライブラリーの多様性の合計が、作製した分子数(代表的には1012〜1015)よりもずっと少ない場合、あらゆる可能なライブラリーメンバーが、選択開始時に存在する。この場合、多様化は、なお有用である。なぜなら、選択条件は、進化の回が進むにつれてほぼいつも変化するからである。例えば、より後の回の選択は、より高いストリンジェンシーの下で行われるようであり、そして結合している非標的タンパク質に対する対抗選択を含み得る。多様化は、より早い回の選択の間に廃棄されたライブラリーメンバーに、他のメンバーに対するそのメンバーの適応度が、より大きいかもしれない変化した選択条件下でのより後の回に再出現する機会を与える。さらに、このアプローチを用いて、1015分子より大きな理論的多様性を有する合成ライブラリーを作製することは事実上可能である。この場合、多様化は、タンパク質の進化が、広大なタンパク質配列空間を1回に1つの小さなサブセットで探索する方法と類似して、元のライブラリーに決して存在しなかった分子を、選択された分子へのそれらの類似性に基づいて後の回の選択に出現させることを可能にする。
(実施例8:進化した化合物の特徴付け:)選択、増幅、多様化、および翻訳を複数回した後、選択に耐えた分子は、標的タンパク質に結合する能力について特徴付けられる。選択に耐えた進化した合成分子をコードするDNA配列を同定するために、PCR増幅したテンプレートを、ベクター中にクローニングし、細胞中に形質転換し、そして個々のクローンとして配列決定する。これらのサブクローニングされたテンプレートのDNA配列決定は、選択に耐えた合成分子の正体を明らかにする。何回かの進化の間に選択される官能基についての一般情報を獲得するために、テンプレート集団を、プールとして配列決定して、あらゆるコドン位置でのA、G、T、およびCの分布を明らかにする。各官能基の遺伝暗号の賢明な設計は、集団の配列決定からかなりの情報が集められるのを可能にする。例えば、コドンの第1位でのGは、荷電した基を指定し得、一方、この位置でのCは、疎水性置換基をコードし得る。
既知のαβインテグリンリガンドを用いて、インテグリン結合選択を確認し、そして選択されたライブラリーメンバーを比較するために、直鎖状GRGDSPKおよび環状RGDfVアナログ(環状イソ−ERGDfV)もまた、DNAテンプレート環状ペプチドライブラリーに含める。これらの既知のインテグリンリガンドを含むライブラリーが、インテグリン結合についての選択の際に、既知のリガンドをコードするDNAテンプレートの富化を受けることが確認されるまで、選択条件を調整する。さらに、これらの既知のαβインテグリンリガンドをコードするテンプレート配列の富化の程度は、それらの既知の親和性と相関し、かつ、新たに見出されたαβインテグリンリガンドの富化および親和性と相関する。
一旦、既知のインテグリンリガンドをコードするテンプレート配列および新たなインテグリンリガンドをコードするテンプレート配列の富化が確認されたら、新規の進化したリガンドを、非DNAテンプレート合成によって合成し、そしてそれらのαβインテグリンレセプターアンタゴニスト活性およびαβインテグリンレセプターアンタゴニスト特異性についてアッセイする。インテグリンレセプターに対する標準的インビトロ結合アッセイ(Dechantsreiterら、J.Med.Chem.1999,42,3033−40)を、アッセイされるべきリガンドを用いてビオチン化フィブリノゲン(天然インテグリンリガンド)の固定化インテグリンレセプターへの結合を競合することによって行う。フィブリノゲンに対する結合の阻害を、アルカリホスファターゼ結合体化抗ビオチン抗体および色素形成性アルカリホスファターゼ基質を用いたインキュベーションによって定量する。選択前と選択後とでの、ランダムに選択されたライブラリーメンバーの結合親和性の比較は、標的結合に向かうライブラリーの進化を確認する。結合している非標的タンパク質についてのアッセイは、これらのライブラリーが、結合親和性に加えて、結合特異性に向かって進化する能力を明らかにする。
同様に、第Xa因子結合についての選択を、既知の第Xa因子トリペプチドインヒビターをライブラリー設計に含め、そして1回の第Xa因子結合選択およびPCR増幅が、それらの関連するDNAテンプレートの富化をもたらすことを証明することによって確認する。第Xa因子を結合するように進化させた合成ライブラリーメンバーを、第Xa因子活性を阻害するそれらの能力についてインビトロでアッセイする。第Xa因子阻害は、市販の色素形成性基質S−2765(Chromogenix,Italy)を用いて分光光度学的に容易にアッセイされ得る。
非天然ペプチドライブラリーメンバーのDNA配列単独は、対応するペプチドの正確な正体を明らかにするようであるが、二環式ライブラリー合成における最終工程は、レジオ異性体のジアステレオ異性体対を生じ得る非DNAテンプレート分子内1,3−双極性付加環化である。モデリングは、図38に示すレジオ異性体のみが立体的理由を形成し得ることを強固に示唆するとはいえ、面選択性はそれほど確かではない。ジアステレオ異性体の純度は、上記のインビトロ選択についての必要条件ではない。なぜなら、各分子は、単一分子に基づいて選択されるからである。それにもかかわらず、双極性付加環化のジアステレオ選択性を特徴付けすることは有用であり得る。これを達成するために、選択された二環式ライブラリーメンバーの非DNAテンプレート合成が行われ、ジアステレオ異性体は、キラル分取HPLCによって分離され、そしてnOeまたはX線回折によって生成物の立体化学が決定される。
(実施例9 :DNAポリメラーゼを用いる、DNAの非天然高分子への翻訳:)DNAを非天然の進化可能な高分子へと翻訳する代替のアプローチは、いくつかのDNAポリメラーゼが、特定の改変ヌクレオチド三リン酸基質を受け入れる能力を利用する(D.M.Perrinら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,1556;D.M.Perrinら、Nucleosides Nucleotides 1999,18,377−91;T.Gourlainら、Nucleic Acids Res.2001,29,1898−1905;S.E.Leeら、Nucleic Acids Res.2001,29,1565−73;K.Sakthievelら、Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,2872−2875)。Watson−Crick水素結合に関与しない基への改変を保有する、いくつかのデオキシリボヌクレオチド(図45)およびリボヌクレオチドは、天然DNAテンプレートの反対側に、高い配列忠実度で挿入されることが公知である。重要なことには、改変されたヌクレオチドを含む一本鎖DNAは、DNAポリメラーゼによって触媒された、天然または改変のモノヌクレオチドの取込みに効率的なテンプレートとして役立ち得る。DNAポリメラーゼによる改変ヌクレオチド取込みの最も初期の例の1つにおいて、Tooleおよび共同研究者は、PCR条件下でのVent DNAポリメラーゼによる5−(1−ペンチニル)−デオキシウリジン1の受け入れ性を報告した(J.A.Lathamら、Nucleic Acids Res.1994,22,2817−22)。いくつかのさらなる5−官能化デオキシウリジン(2−7)誘導体は続いて、PCRに適切な耐熱性DNAポリメラーゼによって受け入れられることが見出された(K.Sakthievelら、Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,2872−2875)。DNAポリメラーゼによって受け入れられた最初の官能化プリンであるデオキシアデノシンアナログ8は、デオキシウリジンアナログ7と一緒にT7 DNAポリメラーゼによってDNAへと取り込まれた(D.M.Perrinら、Nucleosides Nucleotides 1999,18,377−91)。7および8の両方を含むDNAライブラリーは、金属非依存性RNA切断活性について好首尾に選択された(D.M.Perrinら、J.Am.Chem.Soc.2001,123,1556−63)。Williamsおよび共同研究者は、いくつかのデオキシウリジン誘導体をTaq DNAポリメラーゼによる受け入れ性について近年試験し、そして受け入れ性は、剛性のアルキン基またはトランスアルキン基を保有するC5改変ウリジンを用いた場合に最大であると結論した(例えば、9および10(S.E.Leeら、Nucleic Acids Res.2001,29,1565−73))。C7官能化7−デアザ−デオキシアデノシンについての類似の研究(T.Gourlainら、Nucleic Acids Res.2001,29,1898−1905)は、Taq DNAポリメラーゼによる、7−アミノプロピル−(11)、シス−7−アミノプロペニル−(12)、および7−アミノプロピニル−7−デアザデオキシアデノシン(13)の受け入れ性を明らかにした。
図46に示される、DNAポリメラーゼによって組み込まれた官能化ヌクレオチドは、これまでDNAに「タンパク質様」酸性官能基および塩基性官能基を付加することに焦点を当ててきた。第一級アミンおよびカルボン酸基のような一般的酸性官能基および一般的塩基性官能基を有する核酸を備えることは、核酸触媒の能力を増大し得るが、天然核酸塩基中に存在する官能基はすでに、一般的な酸および一般的な塩基として働く能力を示してきた。例えば、デルタ肝炎リボザイムは、一般的な酸としてシトシン75のpK調節された環内アミンを使用すると考えられ(S.Nakanoら、Science 2000、287、1493−7)、リボゾームのペプチジルトランスフェラーゼ活性は、同様に、一般的な酸触媒または一般的な塩基触媒に依存し得る(G.W.Muthら、Science 2000、289、947−50;P.Nissenら、Science 2000、289、920−930;N.Banら、Science 2000、289、905−920)が、後者の事例は、継続的な議論の課題のままである(N.Polacekら、Nature 2001、411、498−501)。従って、DNA塩基にさらなるブロンステッド酸性基およびブロンステッド塩基性基を備え付けることは、DNA触媒の範囲を大いに拡張しないかもしれない。
単純な一般的な酸性官能基および一般的な塩基性官能基とは対象的に、キラル金属中心は、核酸の化学的範囲を有意に拡張する。化学的に強力な金属中心と結合することを目的とした官能基が、これまで核酸高分子に組み込まれてきた。天然DNAは、標的分子を立体特異的に結合し得るか(C.H.Linら、Chem.Biol.1997,4、817−32;C.H.Linら、Chem.Biol.1998,5,555−72;P.Schultzeら、J.Mol.Biol.1994、235、1532−47)または、リン酸ジエステル結合操作(S.W.Santoroら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1997、94、4262−6;R.R.Breakerら、Chem.Biol.1995、2、655−60;Y.Liら、Biochemistry 2000、39、3106−14;Y.Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999、96、2746−51)、DNA脱プリン化(T.L.Sheppardら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000、97、7802−7807)およびポルフィリンメタレーション(Y.Liら、Biochemistry 1997、36、5589−99;Y.Liら、Nat.Struct.Biol.1996,3,743−7)を触媒し得る、複雑な3次元構造に折り畳まる能力を示してきた。Cu、La、Ni、Pd、Rh、RuまたはScのような、化学的に強有力な水適合性金属と結合する能力が増強された非天然核酸は、顕著に拡張された触媒的特性を保有し得る。例えば、十分規定された構造に折り畳まれたPd結合オリゴヌクレオチドは、高度な位置特異性または立体特異性で、Pd媒介性カップリング反応を触媒する能力を保有し得る。同様に、キラルSc結合部位を形成する非天然核酸は、エナンチオ選択性環化付加触媒またはアルドール付加触媒として働き得る。従って、触媒活性についてのインビトロ選択と組み合わせ、これらの非天然高分子へとDNA配列を翻訳するDNAポリメラーゼの能力は、ランダムライブラリーからの所望の触媒の直接進化を可能にする。
このアプローチで触媒を進化させることは、有機金属触媒発見への最近のコンビナトリアルのアプローチ(K.W.Kuntzら、Curr.Opin.Chem.Biol.1999、3、313−319;M.B.Francisら、Curr.Opin.Chem.Biol.1998、2、422−8)を刺激してきた、特定の化学的特性を用する触媒活性部位を合理的に設計する困難に取り組む。例えば、Hoveydaおよび共同研究者らは、ペプチド配位子の連続スクリーニングよって、Tiベースのエナンチオ選択性エポキシ化触媒を同定した(K.D.Shimizuら、Angew.Chem.Int.Ed.1997、36)。連続スクリーニングはまた、金属カチオンと錯体化するとき、エナンチオ選択性エポキシ化触媒を形成するペプチド配位子を同定するために、Jacobsenおよび共同研究者らによって使用された(M.B.Francisら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1999、38、937−941)。近年、ホスフィン側鎖を含むペプチドライブラリが、Pd存在下で酢酸シクロペンテニルへのマロン酸エステル付加を触媒する能力についてスクリーニングされた(S.R.Gilbersonら、J.Am.Chem.Soc.2000、122、6522−6523)。しかしながら、本発明のアプローチは、所望の特性を有する触媒が、多様化、増幅、翻訳、および選択の進化サイクル後にワンポットの溶液相ライブラリから自発的に出現することを可能にする点で、従来のコンビナトリアル触媒の発見の試みとは根本的に異なる。このストラテジーは、1015までの異なる触媒が、単一の実験で産出され、所望の特性について選択されることを可能にする。ワンポットインビトロ選択との、我々のアプローチの適合性は、金属結合または発熱のような触媒作用に関連する現象についてのスクリーニングではなく、触媒作用反応についての直接選択を可能にする。さらに、基質立体特異性または金属選択性のような、迅速にスクリーニングすることが難しい特性は、我々のアプローチを使用して、直接選択され得る(以下を参照のこと)。
多くのC5−官能化ウリジンアナログおよびC7−官能化7−デアザアデノシンアナログの重要な中間体は、非天然DNA高分子への組み込みのために合成されてきた。さらに、デオキシリボヌクレオチド三リン酸として、6つのC8−官能化アデノシンアナログの合成物が完成されている。改変ヌクレオチドを受容するDNAポリメラーゼの能力について、制限された情報しか存在しないので、我々は、核酸に金属結合官能基をもたらすだけでなく、DNAポリメラーゼ受容の決定への見識をもまた提供するように合成されたアナログを合成することを選択する。
金属結合ウリジンおよび7−デアザアデノシンアナログの合成についてのストラテジーを、図47に示す。両経路は、金属結合官能基のNHSエステルとアミノ修飾デオキシリボヌクレオチド三リン酸との間のアミド結合形成で終結する(7および13)。アナログ7およびアナログ13ならびに7のアセチル化誘導体は、PCRに適する熱安定性DNAポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼによって許容されることが、これまで示されてきた(D.M.Perrinら、J.Am.Chem.Soc.2001、123、1556−63;D.M.Perrinら、Nucleosides Nucleotides
1999、18、377−91;J.A.Lathamら、Nucleic Acids Res.1994、22、2817−22;T.Gourlainら、Nucleic Acids Res.2001、29、1898−1905;S.E.Leeら、Nucleic Acids Res.2001、29、1565−73;K.Sakthivelら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1998、37、2872−2875)。この収束性アプローチは、幅広い種類の金属結合配位子を、いずれかのヌクレオチドアナログに迅速に取り組むことを可能にする。以前に報告された(K.Sakthivelら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1998、37、2872−2875)経路(図48、Phillips、Chorba、Liu、未公開結果)に従い、7の合成が完成されている。N−アリルトリフルオロアセトアミドとの市販の5−ヨード−2’−デオキシウリジン(22)のHeckカップリングは23を生成した。トリメチルホスフェート、POCl、およびプロトンスポンジ(proton sponge)(1,8−ビス(ジメチルアミノ)−ナフタレン)、その後のトリ−n−ブチルアンモニウムピロホスフェートでの23の処理により、5’−三リン酸基が導入され、次いでトリフルオロアセトアミド基が水性アンモニアで除去され、7を生成した。
7−デアザアデノシンアナログについての重要な中間体である13の合成に対するいくつかの工程が完成されている(図49)。公知の経路(J.Davoll.J.Am.Chem.Soc.1960、82、131−138)に従って、ジエトキシエチルシアノアセテート(24)を、ブロモアセタール25およびエチルシアノアセテート(26)から合成した。チオウレアとの24の縮合はピリミジン27を提供し、このピリミジン27がラネーニッケルで脱硫化され、次に希釈水性HClでピロロピリミジン28に環化された。POClでの28の処理は、4−クロロ−7−デアザアデニン(29)を生成した。13中のプロパギルアミンの導入のためのSonogashiraカップリングパートナーとして働くヨウ化アリール基は、N−ヨードスクシニミドを29と反応させることにより導入され、ブロモアセタール25から全収率13%で、4−クロロ−7−ヨード−7−デアザアデニン(30)を生成した。
DNAポリメラーゼ受容の構造的必要条件を検索し、そして潜在的な金属結合官能基を提供する、代替の官能化アデニンアナログである、6つの8−修飾デオキシアデノシン三リン酸(図50)が合成されている。すべての官能基は、本発明者らが生成物の収率を大いに増大させることを見出したScClの存在下で、デオキシアデノシンを臭素化することにより調製された8−ブロモーデオキシアデノシン(31)への付加により導入された。メチルアデノシン(32)、エチルアデノシン(33)およびビニルアデノシン(34)は、対応するアルキルスズ試薬および31のPd−媒介性Stilleカップリングによって合成された(P.Mamosら、Tetrahedron Lett. 1992、33、2413−2416)。メチルアミノアデノシン(35)(E.Nandananら、J.Med.Chem.1999、42、1625−1638)、エチルアミノアデノシン(36)、およびヒスタミノアデノシン(37)が、水またはエタノール中の対応するアミンでの23の処理により調製された。上記のように、32〜37の5’−ヌクレオチド三リン酸が合成された。
PCR増幅に適切な熱安定性DNAポリメラーゼが、金属結合官能基を含むこれらの改変ヌクレオチド三リン酸を受容する能力。非天然ヌクレオチド三リン酸を、イオン交換HPLCによって精製し、そしてTaq DNAポリメラーゼ、3つの天然デオキシヌクレオチド三リン酸、pUC19テンプレートDNA,および2つのDNAプライマーを含むPCR反応物に添加した。プライマーを、50〜200塩基対長にわたるPCR産物を産生するために選択した。コントロールPCR反応は、4つの天然デオキシヌクレオチド三リン酸を含んだが、非天然ヌクレオチドは含まなかった。PCR反応物を、アガロースまたは変性アクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。23の三リン酸は効果的なポリメラーゼ基質ではないが(図51)、アミノ修飾ウリジン誘導体7は、30回のPCRサイクルにわたって、Taq DNAポリメラーゼによって効果的に取り込まれた。Taq
DNAポリメラーゼによる7の受容に関するこれまでの知見は、報告された非受容(K.Sakthivelら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1998、37、2872−2875)および受容(S.E.Leeら、Nucleic Acids Res.2001、29、1565−73)の両方で矛盾がある。
(非天然金属結合デオキシヌクレオチド三リン酸の合成):C5−官能化ウリジン、C7−官能化7−デアザアデノシン、およびC8−官能化アデノシンデオキシヌクレオチド三リン酸の合成が完成される。4−クロロ−7−ヨード−デアザアデニン(30)からの7−デアザアデノシン誘導体の合成が、保護デオキシリボシルクロリド38で30をグリコシル化することにより進行し、その後アンモニア分解により7−ヨード−アデノシン(39)を生成する(図31)(Gourlainら、Nucleic Acids Res.2001、29、1898−1905)。図52に示すように、保護デオキシリボシルクロリド38は、デオキシリボースから生成され得る。N−プロピニルトリフルオロアセトアミドでの39のPd媒介性Sonogashiraカップリング(Seelaら、Helv.Chem.Acta 1999、82、1878−1898)は、40を提供し、次にこの40は、5’ヌクレオチド三リン酸に転換され、上記のようにアンモニアで脱保護され、13を生じる。
金属結合ウリジンアナログおよび金属結合アデノシンアナログの収集を迅速に行なうために、NHSエステルとして様々な金属結合基が、C5−修飾ウリジン中間体7(すでに合成された)およびC7−修飾7−デアザアデノシン中間体13にカップリングされる。初めに検査される金属結合基は、図47に示され、ホスフィン、チオピリジル基、およびヘミ−サーレン(hemi−salen)部分を含む。8−修飾アデノシン32〜37(図50)の三リン酸の、本発明者らの初期ポリメラーゼ受容アッセイ(次節を参照のこと)が、様々な8−修飾アデノシンアナログが熱安定性ポリメラーゼによって受容されることを示唆する場合、アルキルトリフルオロアセトアミドおよびビニルトリフルオロアセトアミドは、8−ブロモ−デオキシアデノシン(31)とカップリングされ、41および42のようなヌクレオチド三リン酸を生成する(図53)。次に、これらの中間体は、図46に示すNHSエステルとカップリングされ、様々な金属結合8−官能化デオキシアデノシン三リン酸を生成する。
(非天然ヌクレオチドの評価):次に、それぞれの官能化デオキシヌクレオチド三リン酸は、2つの段階で、進化可能な非天然高分子ライブラリのビルディングブロック(building block)としての適性をアッセイされる。第一に、熱安定性DNAポリメラーゼによる単純な受容が、異なる長さのDNAプラスミドpUC19のフラグメントのPCR増幅によって測定される。PCR反応は、試験されるべき、フラグメントの末端で結合するために設計された合成プライマー、少量のpUC19テンプレートDNA,熱安定性DNAポリメラーゼ(Taq,Pfu,またはVent)、3つの天然デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および非天然ヌクレオチド三リン酸を含む。非天然ヌクレオチドの完全に成功な組み込みは、コントロール反応の場合と同様の速度での、任意の長さのDNA産物の生成を生じる。少なくとも中程度の効率で、少なくとも10以上の非天然ヌクレオチドの単一産物分子における組み込みを可能にするヌクレオチドが、評価の第二段階に供される。
熱安定性DNAポリメラーゼによって受容された非天然ヌクレオチドは、それらの可能性のある変異誘発特性について評価される。DNAポリメラーゼが、不適当な(非ワトソンクリック)テンプレート塩基の向かい側に非天然ヌクレオチドを挿入するか、またはテンプレート中の非天然ヌクレオチドの向かい側に不適当な天然ヌクレオチドを挿入する場合、ライブラリ増幅および翻訳の忠実度(fidelity)が損なわれる。この可能性を評価するために、上記のアッセイで生成されたPCR産物は、それぞれのPCRプライマーを使用する、DNA配列決定に供される。pUC19テンプレートの配列からの逸脱は、1つまたは両方の変異誘発機構が生じていることを示す。エラープローン(error−prone)PCRは、およそ0.7%範囲で誤りを生じるが(Caldwellら、PCT Methods Applic.1992、2、28−33)、それでも核酸ライブラリを進化させるために成功して使用されているので、PCR30サイクルあたり1塩基につき0.7%未満の誤りの割合が容認される。
有望な非天然アデノシンアナログおよび非天然ウリジンアナログの対もまた、dGTPおよびdCTPと共に両方の改変ヌクレオチド三リン酸を含むPCR反応において、DNA重合を支持する能力について共に試験される。2つの非天然ヌクレオチド三リン酸を用いた首尾よいPCR産物形成は、同じ高分子分子への2つの非天然金属結合塩基の組み込みを可能にする。特に興味深いがTaq、PfuまたはVentの熱安定性DNAポリメラーゼと適合しない官能化ヌクレオチドは、ライブラリ中でなお使用され得るが、但し、これらは、E.coli DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、またはM−MuLV逆転写酵素のクレノウ(Klenow)フラグメントのような、市販のDNAポリメラーゼによって受容される。この事例において、このアッセイは、25〜37℃でのPCR反応のプライマー伸長工程を行なうことを必要とし、94℃の変性工程後に、サイクル毎に新たなポリメラーゼが添加されなければならない。非天然ヌクレオチドの可能な変異誘発特性を評価するDNA配列決定は、なお、上記のように行なわれる。
(金属結合高分子のライブラリの生成):上記の非天然ヌクレオチドアッセイの結果に基づき、約1015の異なる核酸配列のいくつかのライブラリが、ほとんどの適合性ポリメラーゼのうち1つまたは2つ、および化学的に有望な非天然金属結合ヌクレオチドを含んで作成される。ライブラリは、2つの15塩基の定常プライミング領域(base constant priming region)に隣接する、20または40のヌクレオチドのランダム領域からなる、合成DNAテンプレートライブラリのPCR増幅によって生成される(図54)。プライミング領域は、プールおよび個々のライブラリメンバーのDNA配列決定のためのベクターへのクローンニングを可能にする、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む。1つのプライマーは、5’末端において一級アミン基またはチオール基のような化学的ハンドルを含み、ライブラリのコード鎖になる。他方のプライマーは、5’末端にビオチアン化Tを含み、非コード鎖になる。PCR反応は、1つまたは2つの非天然金属結合デオキシリボヌクレオチド三リン酸、3つまたは2つの天然デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および非天然ヌクレオチドと適合するDNAポリメラーゼを含む。2本鎖形態のライブラリを生成するPCR反応および、未使用プライマーを除去するゲル精製の後に、ライブラリメンバー二重鎖は、化学的に変性される。非コード鎖を、ストレプトアビジン結合磁気ビーズで何回か洗浄することにより除去して、ライブラリ内にビオチン化鎖が残存していないことを確認する。従来のコンビナトリアル触媒の試みを合わせた多様性を大きく上回り、1015までの異なるメンバーのライブラリがこの方法により生成される。
次に、それぞれのライブラリが、以下の水適合性金属塩の非限定的リストからの目的の金属と共に水溶液中でインキュベートされる(Fringueliら、Eur.J.Org.Chem.2001、2001、439−455;Zaitounら、J.Phys.Chem.B 1997、1857−1860):ScCl、CrCl、MnCl、FeCl、FeCl、CoCl、NiCl、CuCl、ZnCl、GaCl、YCl、RuCl、RhCl、PdCl、AgCl、CdCl、InCl、SnCl、La(OTf)、Ce(OTf)、Pr(OTf)、Nd(OTf)、Sm(OTf)、Eu(OTf)、Gd(OTf)、Tb(OTf)、Dy(OTf)、Ho(OTf)、Er(OTf)、Tm(OTf)、Yb(OTf)、Lu(OTf)、IrCl、PtCl、AuCl、HgCl、HgCl,PbCl、またはBiCl。金属は、触媒されるべき特定の化学反応に基づいて選択される。例えば、ルイス酸によって触媒されることが公知の、アルドール濃縮またはヘテロディールスアルダー反応(Fringuelliら、Eur.J.Org.Chem.2001、2001、439−455)のような反応を目的としたライブラリは、ScClまたはランタニドトリフレートの1種と共にインキュベートされ、一方で、アリールハロゲン化物との電子欠損オレフィンのカップリングを目的としたライブラリは、PdClと共にインキュベートされる。次に金属化ライブラリは、非結合金属塩から、非結合低分子成分からDNAオリゴヌクレオチド25塩基以上のものを単離する、セファデックス(sephadex)またはアクリルアミドカートリッジを使用するゲル濾過により精製される。
目的の金属を結合する高分子ライブラリの(または個々のライブラリメンバーの)能力は、異なる金属の存在下で顕著に着色される、ジチオオキサミド、ジメチルグリオキシム、KSCN(Francisら、Curr.Opin.Chem.Biol.1998、2、422−8)またはEDTA(Zaitounら、J.Phys.Chem.B 1997、101、1857−1860)のような金属染色試薬で、非結合金属非含有金属化ライブラリを処理することにより実証される。金属結合のおおよそのレベルは、既知濃度の金属非含有溶液、およびEDTA基を含む陽性コントロールオリゴヌクレオチド溶液(Glen Researchから市販のホスホラミダイトを使用し導入され得る)を用いた分光光度比較により測定される。
(非天然高分子触媒についてインビトロ選択):次に、金属結合基を含む進化可能な非天然高分子の金属化ライブラリを、目的の触媒的活性についてのワンポット溶液相選択に供する。2つの基質分子間で結合形成を引き起こすか、あるいは2つの生成物分子への結合切断をもたらす、いかなる反応をも実質的に触媒するライブラリメンバーが、図54および55で提案されるスキームを使用し選択される。結合形成触媒(例えば、ヘテロディールスアルダー、Heckカップリング、アルドール反応、またはオレフィン複分解触媒)を選択するため、ライブラリメンバーは、それらの5’アミノまたはチオール末端を介し、1つの基質に共有結合する。この反応の他の基質は、ビオチンに結合した誘導体として合成される。ライブラリ−基質接合体の希釈溶液が、基質−ビオチン接合体と反応する場合、結合形成を触媒するこれらのライブラリメンバーは、ビオチン基をそれら自体に共有結合させる。次に、活性な結合形成触媒は、固定化したストレプトアビジンで基質ビオチン結合体を捕らえ、不活性高分子を洗い流すことにより、不活性ライブラリメンバーから単離され得る(図55)。
同様に、過ヨウ素酸開裂前の、レトロアルドール反応、アミド加水分解、脱離反応、またはオレフィンジヒドロキシル化のような、結合開裂反応を触媒するライブラリメンバーもまた、選択され得る。この事例において、金属化ライブラリメンバーは、ビオチン化基質に共有結合し、その結果、結合切断反応がライブラリメンバーからのビオチン部分の切断を引き起こす(図56)。反応条件下でのインキュベーションの際、活性触媒(不活性ライブラリメンバーではない)は、それらのビオチン基の喪失を誘導する。次にストレプトアビジン結合ビーズが、不活性高分子を捕らえるために使用され得るが、一方、活性触媒はビーズから溶出し得る。関連する結合形成および結合開裂の選択は、触媒的RNA進化およびDNA進化において成功して使用されている(Jaeschkeら、Curr.Opin.Chem.Biol.2000、4、257−62)。これらの選択が、複数のターンオーバー触媒反応のために明確には選択されないが、この様式で選択されたRNAおよびDNAは、それらの基質部位から分離されると、複数のターンオーバー触媒であることが一般に証明されている(Jaeschkeら、Curr.Opin.Chem.Biol.2000、4、257−62;Jaegerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999、96、14712−7;Bartelら、Science、1993、261、1411−8;Senら、Curr.Opin.Chem.Biol.1988、2、680−7)。
3つの重要で多様な結合形成反応(Heckカップリング、ヘテロディールスアルダー環化付加およびアルドール付加)の触媒は、最初に進化される。3つの反応すべては水適合性であり(Kobayashiら、J.Am.Chem.Soc.1998、120、8287−8288;Fringuelliら、Eur.J.Org.Chem.2001、2001、439−455;Liら、Organic Reactions in Aqueous Media:Wiley and Sons:New York、1997)、金属によって触媒されることが公知である。Heckカップリング基質として、電子欠損オレフィンおよび不活性オレフィンの両方が、ヨウ化アリールおよび塩化アリールと共に使用される。水溶液中の塩化アリールとのHeck反応および非活性化塩化アリールとの室温Heck反応は、まだ本発明者らの見識に報告されていない。Heckカップリング触媒進化のためにライブラリは、金属供給源としてPdClを使用する。ヘテロディールスアルダー基質は、単純なジエンおよびアルデヒドを含むが、アルドール付加基質はアルデヒドならびに、シリルエノールエーテルおよび単一ケトンの両方からなる。Heckカップリング、ヘテロディールスアルダーおよびアルドール付加触媒についての代表的な選択スキームは、図57に示される。これらの選択のストリンジェンシーは、選択ラウンド間で、反応時間を減らすことか、反応温度を下げることか、あるいはより少ない活性化基質(例えば、シリルエノールエーテルの代わりに、電子の乏しさが低い(less electron poor)アリルクロリド(Littkeら、J.Am.Chem.Soc.2001、123、6989−7000)または単純ケトン)を使用することかにより、増大され得る。
(非天然高分子の評価:立体特異性の多様化および選択)
それぞれの選択ラウンドの後に、活性なライブラリメンバーは、非天然ヌクレオチドを用いるPCRによって増幅され、所望の触媒についてライブラリを富化するために、さらなる選択ラウンドに供される。これらのライブラリは、それぞれの選択ラウンド前に多様化工程を導入することにより、真に進化される。ライブラリは、エラープローンPCRを使用する、ランダム変異誘発による(Caldwellら、PCR Methods A
pplic.1992、2、28−33)か、もしくは小さな非相同核酸フラグメントを組み換える、改変DNAシャッフリング方法を使用する組換えにより多様化される。エラープローンPCRは、本質的に通常のPCRよりも効率が低いので、エラープローンPCR多様化は、天然のdATP、dTTP、dCTPおよびdGTPのみと共に、そして化学的ハンドルまたはビオチン基を欠くプライマーを使用して行なわれる。次に、得られる変異化産物は、非天然ヌクレオチド、ビオチン化プライマー、およびアミノ終端プライマーまたはチオール終端プライマーを含む、標準PCR反応物を使用して、非天然核酸高分子へのPCR翻訳に供される。
単純に進化する活性触媒に加え、上記のインビトロ選択は、他の触媒発見アプローチを使用して達成するのが困難な強力な方向で、非天然高分子ライブラリを進化させるために使用される。これらの選択を可能とする特性は、ビオチン化されるライブラリメンバーまたはビオチン化されないメンバーのいずれかについて選択する能力である。従って、触媒間の基質特異性は、所望の基質の存在下で活性な触媒を選択し、次に同じポット内で1つ以上の所望でない基質の存在下で不活性な触媒を選択することにより進化され得る。所望の基質および所望でない基質が、1以上の立体中心での立体配置によって相違する場合、エナンチオ選択性またはジアステレオ選択性の触媒が、選択ラウンドから出現し得る。同様に、金属選択性は、所望の金属の存在下で活性な触媒について選択し、そして所望でない金属の存在下で不活性な触媒について選択することにより進化され得る。逆に、幅広い基質許容性を有する触媒は、連続する選択ラウンドの間に基質構造を変化させることにより進化され得る。
最後に、DMFおよびCHCl中での配列特異的DNAテンプレート合成の観察は、DNA−テトラアルキルアンモニウムカチオン複合体が、有機溶媒中で塩基対構造を形成し得ることを示唆する。この知見は、上記の選択のわずかな改変版を使用して、有機溶媒中で本発明者らの非天然核酸触媒を進化させる可能性を生じる。実際の結合形成反応および結合開裂選択反応は、有機溶媒中で行なわれ、粗反応物は、テトラアルキルアンモニウムカチオンを除去するためにエタノール沈殿され、そして水溶液中でビオチン化および非ビオチン化ライブラリメンバーの固定化アビジン分離が行なわれる。次に、選択されたメンバーのPCR増幅が、上記のように行なわれる。有機溶媒中で機能する反応触媒の成功した進化は、触媒され得る反応の範囲、および生じる進化した非天然高分子触媒の有用性の両方を大幅に拡張する。
(進化した非天然の高分子の特徴づけ)
数回の進化に供されたライブラリーは、混合された配列のプールまたは個々のライブラリーメンバーの両方として、目的の反応を触媒する能力について特徴付けられる。個々のメンバーを、DNAベクター中にPCR増幅した配列を連結すること、コンピテントな細菌細胞内に連結したベクターの希釈溶液を形質転換すること、および形質転換体の単一コロニーを選択することによって、進化したプールから取り出す。プールまたは個々の配列に関するアッセイを、単一の代謝回転形態と本質的に複数の代謝回転触媒性形態の両方において実行する。単一代謝回転アッセイについて、遊離のビオチン化基質の存在下で、基質に連結した結合形成触媒がそれ自体のビオチン化をもたらす速度を測定するか、またはビオチン化結合破壊触媒がそのビオチン基の欠損をもたらす速度を測定する。複数代謝回転アッセイを、低分子型の基質と共に進化した触媒をインキュベートし、そしてtlc、NMR、質量分析、HPLCまたは分光分析によって産物形成速度を分析することによって実施する。
一旦、複数の代謝回転触媒が、これらの方法によって進化および多様化されると、詳細な機構の研究を触媒に関して実行し得る。この触媒に対応するDNA配列を、活性触媒のテンプレートを含むPCR産物およびDNAベクターを配列決定することによって明らかにする。金属の選択を、多様な金属カチオンを用いて触媒を金属化すること(metalating)、および活性において生じた変化を測定することによって評価する。基質特異性およびこれらの触媒の立体選択性を、一連の基質アナログの代謝回転速度を測定することによって評価する。産物形成のジアステレオ選択性およびエナンチオ選択性を、反応産物を既知の立体化学の産物と比較することによって明らかにする。先の研究は、大きなキラル環境によって隠された活性部位が、高程度の立体選択性をしばしば有することを示唆する。例えば、コンビナトリアルアプローチにおいて生じるペプチドベースの触媒は、ペプチドリガンドのサイズと関連する卓越した立体選択性に乏しいことを実証するが(Jarvoら、J.Am.Chem.Soc.1999,121,11638−11643)、RNAベースの触媒および抗体ベースの触媒は、しばしば、卓越した立体選択性を実証する(Jaschkeら、Curr.Opin.Chem.Biol.2000,4,257−262;Seelingら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.2000,39,4576−4579;Hilvert,D.Annu.Rev.Biochem.2000,69,751−93;Barbasら、Science 1997,278,2085−92;Zhongら、Angew.Chem.Int.Ed.Engle.1999,38,3738−3741;Zhongら、J.Am.Chem.Soc.1997,119,8131−8132;Listら、Org.Lett.1999,1,59−61)。上記の基質立体選択性に対する直接的な選択は、進化した触媒に共通してこの特性をさらに増大させるはずである。
進化した触媒についての構造−機能研究は、自動化DNA合成の容易さによって非常に促進されている。部位−特異的構造改変は、「変異した」触媒に対応するDNA配列を合成することによって導入され、ここで、目的の塩基は他の塩基に変更される。触媒の非天然の塩基を天然の塩基に変更すること(UからCまたはAからG)および得られた変異体を評価することによって、各々の触媒の化学的に重要な金属結合部位が同定され得る。効率的な触媒にとって必要とされる最小の高分子は、活性触媒の連続的な短縮バージョンを合成し、アッセイすることによって決定される。最終的に、最も興味深い、金属と錯体化した進化した触媒の三次元構造は、局所的な巨大分子NMR分光器の使用者またはX線結晶学者との共同研究において解決される。

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  1. 本明細書および図面に記載される発明。
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