JP2013007159A - 制震装置 - Google Patents

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    • E04B1/26Structures comprising elongated load-supporting parts, e.g. columns, girders, skeletons the supporting parts consisting of wood
    • E04B2001/2696Shear bracing

Abstract

【課題】木造軸組の仕口部に設ける制震装置の制震効果を向上させる。
【解決手段】地震などの外力によって金属ダンパー180が変形しエネルギーが吸収され制震する。固定部160Aは貫10を上下方向に挟み上下方向に貫通するボルト20で固定され、固定部160Bは柱12を左右方向に挟み左右方向に貫通するボルト20で固定されている。よって、固定部160が貫10及び柱12から引き抜かれる方向に大きな荷重が繰り返しかかっても、ずれや外れが防止又は抑制される。更に、固定部160の第一固定板部162及び第二固定板部164の端部が折り曲げられることによって形成された突起部163が、貫10及び柱12に食い込んでいるので、貫10及び柱12に沿った方向へのずれや外れが防止又は抑制される。また、ボルト20軸部が、貫通孔16及び貫通孔166との隙間分、微少移動することによる、固定部160のずれが防止又は抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、制震装置に関する。
木造軸組工法により構築された木造建物等の構造体の仕口に固定するダンパーとしては、柱と梁とに木ネジで固定された2枚の金属板の間にシート状の粘弾性体をサンドイッチした構造の粘弾性ダンパーが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
しかし、このような構成の粘弾性ダンパーは、粘弾性体の温度依存性が強く、特に気温の高い夏季では減衰性能が低下する虞がある。
また、制震効果を十分に発揮しうるのは粘弾性体にせん断力が作用する一方向(架構の1構面内(架構の面内方向))のみである。よって、例えば、地震や風によって構造体が三次元的に変形することに伴って、柱と梁がねじれるように変形した場合、粘弾性体を剥がすような力が作用し、十分な制震効果が発揮されない。
また、粘弾性体を挟む2枚の金属板は、木製の柱と柱に木ネジで固定されているので、大きな荷重が繰り返し加わると木ネジによる金属板の固定が緩み、制震効果が発揮されなくなる虞がある。
特開2004−183302号公報 特開2005−220614号公報
本発明は、上記事実を考慮し、木造軸組の仕口部に設ける制震装置の制震効果を向上させることが課題である。
請求項1の発明は、木造軸組の仕口部を構成する水平材を上下方向に挟み、前記水平材を上下方向に貫通するボルトで、前記水平材に固定された水平材側固定部と、前記仕口部を構成する垂直材を左右方向に挟み、前記垂直材を左右方向に貫通するボルトで、前記垂直材に固定された垂直材側固定部と、前記水平材側固定部と前記垂直材側固定部とに設けられた金属ダンパーと、前記水平材側固定部に設けられ、前記水平材側に設けられた水平材側突起部と、前記垂直材固定部に設けられ、前記垂直材側に設けられた垂直材側突起部と、を備える。
請求項1の発明では、地震などの外力によって仕口部が変形すると、水平材に固定された水平材側固定部と垂直材に固定された垂直材側固定部とに設けられた金属ダンパーが変形し、これによりエネルギーが吸収され制震する。
水平材側固定部は、水平材を上下方向に挟み上下方向に貫通するボルトで固定されている。一方、垂直材側固定部は、垂直材を左右方向に挟み左右方向に貫通するボルトで固定されている。よって、金属ダンパーが設けられている水平材側固定部及び垂直材側固定部の、主に繰り返し荷重による水平材及び垂直材から引き抜かれる方向へのずれや外れが防止又は抑制される。
更に、水平材固定部の水平材側突起部及び垂直材側固定部の垂直材側突起部によって、水平材及び垂直材に沿った方向へのずれや外れが防止又は抑制される。
このように、金属ダンパーが設けられている水平材側固定部及び垂直材側固定部が、水平材及び垂直材に強固に固定されているので、水平材側固定部及び垂直材側固定部に大きな荷重が加わっても、水平材側固定部及び垂直材側固定部がずれたり外れたりすることが、防止又は抑制される。つまり、大きな荷重がかかる木造軸組の仕口部であっても、金属ダンパーが十分に制震効果を発揮することができる。
したがって、木造軸組の仕口部に設ける制震装置の制震効果が向上する。
請求項2の発明は、前記水平材は、前記垂直材に形成された貫孔に挿通される貫とされ、前記貫孔と前記貫との間に、前記水平材側固定部が配置された一方側から打込まれる第一楔と、前記貫穴と前記貫との間に、前記一方側と反対側の他方側から打込まれる第二楔と、打込まれた前記第一楔と前記第二楔とを連結する連結手段と、を有する。
請求項2の発明では、貫穴に一方から打込まれた第一楔と、貫穴に他方から打込まれた第二楔と、が連結手段によって連結されている。例えば、地震による交番加力が貫接合部に作用して第一楔が貫穴から抜けようとしたとき、第二楔が連結手段によって、打込まれる方向に引っ張られるため、貫穴から抜けにくくなり、第一楔及び第二楔が貫接合部で保持される。よって、第一楔が抜け出し、水平材側固定部を押すことによる、水平材側固定部のずれが防止される。
したがって、大きな荷重がかかる木造軸組の仕口部であっても、金属ダンパーが制震効果を発揮することができる。
また、第一楔及び第二楔が貫接合部で保持されるので、貫接合構造の回転剛性の低下を抑えられる。つまり、木造軸組の仕口部に大きな荷重がかかっても、仕口部の変形が抑制される。
なお、「水平材」及び「垂直材」は、水平及び垂直に配置されるものに加え、やや斜めに配置されたものを含むこととする。
以上説明したように本発明によれば、木造軸組の仕口部に設ける制震装置の制震効果を向上させることができる。
(A)は本発明の第一実施形態に係る制震装置が適用された仕口部を面外方向に見た一部断面とした正面図であり、(B)は一部断面とした側面図である。 第一実施形態の制震装置を備える実大貫架構試験体を示す面外方向に見た正面図である。 実大貫架構試験体の頂部の水平変位応答最大値をプロットしたグラフである。 変位応答時刻歴から最大応答点を含む履歴ループを抽出し、そのループについて等価粘性減衰定数を求めプロットしたグラフである。 (A)は本発明の第二実施形態に係る制震装置が適用された仕口部を面外方向に見た正面図であり、(B)は一部断面とした側面図である。 従来のラップ型の楔を示す図である。
<第一実施形態>
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る制震装置100について説明する。なお、図におけるZ方向が鉛直方向、X方向が左右方向、Y方向が面外方向とする。また、図1(A)におけるX方向右側を一方側とし、X方向左側を他方側とする。
図1に示すように、木製の柱12の一方の側面から他方の側面まで矩形状の貫穴14が形成されている。貫穴14には木製の貫10が挿通されている。本実施形態では、これら貫10と柱12とで構成される木造軸組の仕口部50に、第一実施形態の制震装置100が設けられている。制震装置100は、貫接合構造部110と金属ダンパー部150とを有している。
[貫接合構造部]
まず、貫接合構造部110について説明する。
貫接合構造部110は、分離型楔である第一楔120及び第二楔130や第一楔120と第二楔130とを連結するワイヤーロープ112等を含んで構成されている。
貫穴14と貫10の上面11との間に、第一楔120が一方(図1(A)の右側)から打込まれ、第二楔130が他方(図1(A)の左側)から打込まれている。なお、貫穴14内において、打込まれた第一楔120と第二楔130との間には隙間が形成されている。
第一楔120及び第二楔130は、縦断面が台形状となっており、打ち込み方向(略水平方向)に貫通した貫通穴122、132が形成されている。また、楔端部の下部は切り込まれ、凹部124,134が形成されている。
貫通穴122,132には、連結部材の一例としてのワイヤーロープ112が挿通されている。そして、ワイヤーロープ112の両端が、端部金具114、座金116、ナット118等を含んで構成された固定手段によって、第一楔120及び第二楔130に固定されている。
端部金具114はねじ溝が形成され、ワイヤーロープ112の端部に設けられている。そして、第一楔120及び第二楔130を貫穴14に打ち込んでから、ワイヤーロープ112を貫通孔122,132に通し、ナット118で締め込むことで、第一楔120と第二楔130とが連結される。なお、楔端部の凹部124,134の中に座金116、ナット118が収まるように構成されている。
なお、本実施形態では、図の左側は、ナット118を二つ設けたダブルナット構成となっている。よって、左側に設けた座金116はネジ溝のない貫通孔の座金となっている。これに対して、右側はナット118が一つのシングルナット構成となっている。よって、座金118はネジ溝切り穴付き座金とし、ダブルナット構成と同じ効果を得ることができるようになっている。なお、左右両方をダブルナット構成としてもよいし、左右両方をシングルナット構成としてもよい。また、左右両方をダブルナット構成とする場合は、左右の座金118は両方ともネジ溝のない貫通孔の座金とし、左右両方をシングルナット構成とする場合は、左右の座金118は両方ともネジ溝切り穴付き座金とする。
[金属ダンパー部]
つぎに金属ダンパー部150について説明する。
金属ダンパー部150は、貫10に固定された固定部160A、柱12に固定された固定部160B、固定部160Aと固定部160Bとに一端と他端とが取り付けられた金属ダンパー180等を含んで構成されている。
固定部160Aと固定部160Bとは、同様の構成であるが、固定される対象(貫10、柱12)と向きが異なるだけである。よって、これらを区別して説明する必要がない場合は、符号の後のA,Bを省略して説明する場合がある。
固定部160は、第一固定板部162と第二固定板部164と有している。第一固定板部162及び第二固定板部164の長手方向(貫10、柱12に沿った方向)の両端部近傍には、板厚方向に貫通する貫通孔166が形成されている。また、第一固定板部162及び第二固定板部164の長手方向の両端部が折り曲げられ、突起部163が形成されている。
第一固定板部162には、面外方向に間隔をあけて配置された対を成す取付板部170が設けられている。取付板部170には面外方向に貫通する取付孔172が形成されている。なお、一方の取付板部170の取付孔172には、後述する取付棒部材190が螺合するねじ溝173が形成されている。
固定部160Aは、第一固定板部162Aと第二固定板部164Aとで貫10を上下方向に挟み、貫10を上下方向に貫通する貫通孔16と、第一固定板部162A及び第二固定板部164Aの貫通孔166Aと、に挿通されたボルト20とナット22とで締結することで、貫10に固定される。また、ボルト20とナット22とで締結し締め付けることで、第一固定板部162A及び第二固定板部164Aの突起部163Aが貫10に食い込む。
同様に、固定部160Bは、第一固定板部162Bと第二固定板部164Bとで柱12を左右方向に挟み、柱12を左右方向に貫通する貫通孔18と、第一固定板部162B及び第二固定板部164Bの貫通孔166Bと、に挿通されたボルト20とナット22とで締結することで、柱12に固定される。また、ボルト20とナット22とで締結し締め付けることで、第一固定板部162B及び第二固定板部164Bの突起部163Bが柱12に食い込む。
金属ダンパー180は、変形することでエネルギー吸収をする(エネルギー吸収性能を有する)合金で構成されている。例えば、亜鉛−アルミ系の超塑性合金、低降伏点鋼材、チタン−ニッケル系の形状記憶合金、鉄−マンガン−ケイ素系の形状記憶合金、鉄−ニッケル−コバルト−チタンの超弾性合金等を用いることができる。
金属ダンパー180は、略半円形状に湾曲した断面四角形状の棒状とされている。また、両端部182には、面外方向に貫通する貫通孔184が形成されている。また、両端部182は、第一固定板部162の対を成す取付板部170の間に差し込まれている。
そして、一方の端部にねじ溝192が形成された取付棒部材190を、取付孔172及び貫通孔184に挿通し、前述した一方の取付板部170の取付孔172のねじ溝173に螺合させることで、金属ダンパー180の両端部182が固定部160の第一固定板部162の取付板部170に取り付けられている。
なお、取付板部170のねじ溝173に、取付棒部材190のねじ溝192を螺合させるために、取付棒部材190をドライバーやレンチで回転させる必要がある。よって、取付棒部材190の他端面には、ドライバーの先端が嵌る直線や十字の溝やレンチの先端が嵌る穴等が形成されている。
なお、本実施形態では、金属ダンパー180は、仕口部50の隅部と反対側に向かって凸状に配置されている。しかし、逆向き、つまり、隅部側に向かって凸状に配置されていてもよい。
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
地震などの外力によって仕口部50が変形すると、貫10の固定された固定部160Aと柱12に固定された固定部160Bとに、一端と他端とが取り付けられている金属ダンパー180が変形し、エネルギーが吸収され制震する。
ここで、金属ダンパー180を、木ねじや釘等で貫10及び柱12に固定したと仮定すると、大きな荷重が繰り返しかかること等によって、木ねじや釘等が緩んで、金属ダンパー180の変形によるエネルギーの吸収性能が十分に発揮されないことが考えられる。
しかし、本実施形態では、固定部160Aは貫10を上下方向に挟み上下方向に貫通するボルト20とナット22で固定され、固定部160Bは柱12を左右方向に挟み左右方向に貫通するボルト20とナット22で固定されている。よって、固定部160が貫10及び柱12から引き抜かれる方向に大きな荷重が繰り返しかかっても、ずれや外れが防止又は抑制される。
更に、固定部160の第一固定板部162及び第二固定板部164の端部が折り曲げられることによって形成された突起部163が、貫10及び柱12に食い込んでいるので、貫10及び柱12に沿った方向へのずれや外れが防止又は抑制される。また、ボルト20軸部が、貫通孔16及び貫通孔166との隙間分、微少移動することによる、固定部160のずれが防止又は抑制される。
このように、金属ダンパー180が取り付けられている固定部160が、貫10及び柱12に強固に固定されているので、固定部160に大きな荷重が繰り返し加わっても、固定部160がずれたり外れたりすることが、防止又は抑制される。つまり、大きな荷重が繰り返しかかる木造軸組の仕口部50であっても、金属ダンパー180が十分に制震効果を発揮することができる。
更に、貫穴14に一方から打込まれた第一楔120と、他方から打込まれた第二楔130と、がワイヤーロープ112によって連結されている。よって、第一楔120及び第二楔130が貫穴14から抜けようとしたとき、ワイヤーロープ112によって、打込まれる方向に引っ張られるため、貫穴14から抜けにくくなり、第一楔120及び第二楔130が貫穴14に打ち込まれた状態で保持される。よって、第一楔120が抜け出し、固定部160Aの第一固定板部162Aを押すことによる、固定部160Aの第一固定板部162Aのずれが防止される。
また、第一楔120及び第二楔130が貫穴14に打ち込まれた状態で保持されるので、仕口部50の回転剛性の低下を抑えられる。つまり、木造軸組の仕口部50に大きな荷重がかかっても、仕口部50の変形が抑制される。
したがって、大きな荷重がかかる木造軸組の仕口部50であっても、金属ダンパー180が十分に制震効果を発揮することができる。
また、本実施形態では、第一楔120の凹部124及び第二楔130の楔端部に凹部134を形成すると共に、この凹部134中に座金116及びナット118が配置されている。このように第一楔120の楔端部を凹状にすることで、梁端部の貫10の上面11へのめり込みの応力集中が大きくなり、めり込みが生じやすくなる。そして、めり込みが生じやすくなることによって、第一楔120及び第二楔130が滑りにくくなる。また、座金116及びナット118を凹部134の中に配置し収めることで、座金116及びナット118が見えにくくなり、美観が損なわれない。
更に、先端にねじ溝192が形成された取付棒部材190を一方の取付板部170のねじ溝173に螺合させることで、金属ダンパー180の両端部182が固定部160の取付板部170に取り付けられている。したがって、取付棒部材190が取付板部170よりも面外方向外側にはみ出さない。よって、例えば、仕口部50に貫幅及び柱幅の小壁を設けることが容易であり、設計の自由度が確保される。また、施工が容易であるので、施工コストの低減が図れる。
ここで、特開2004−183302号公報(特許文献1)や特開2005−220614号公報(特許文献2)に記載されている木ネジで固定された2枚の金属板の間にシート状の粘弾性体をサンドイッチした構造の粘弾性ダンパーの場合、粘弾性体の温度依存性が強く、特に気温の高い夏季では減衰性能が低下する虞がある。また、制震効果を十分に発揮しうるのは粘弾性体にせん断力が作用する一方向(架構の1構面内(架構の面内方向))のみである。よって、例えば、地震や風によって三次元的に変形することに伴って、柱と梁や貫とが捩じれるように変形した場合、粘弾性体を剥がすような力が作用し、十分な制震効果が発揮されない。
これに対して本実施形態の制震装置100の金属ダンパー180は、粘性ダンパーと比較し、温度依存性が小さいので、温度変化による減衰性能の低下が少ない。また、三次元的に変形するので捩じり方向に対しても制震効果を発揮することができる。
[実験結果]
次に、第一実施形態の制震装置100を図2に示す実大貫架構試験体60を用いた振動実験の結果ついて説明する。制震装置100の金属ダンパー180には、亜鉛−アルミ系の超塑性合金を用いた。また、制震装置100の第一楔120及び第二楔130にはケヤキを用いた。
実大貫架構試験体60は、柱12のスパンが約2m及び高さ約4.7mの平面架構とされ、貫10は四段(上から頭貫10A、飛貫10B、内法貫10C、足固め10D)に配されている。柱12及び貫10はヒノキ材を用いた。
頭貫10Aの端部は柱12に腰かけ蟻落としとし、飛貫10Bの端部は柱12を欠き込んで端部を落とし込み上面楔留めとした。そして、貫架構で主に水平抵抗を受け持つ接合部となる内法貫10C及び足固め10Dの二本の貫の仕口部に制震装置100を設けている。なお、図2に示されているように、内法貫10Cの上面部分に制震装置100を設け、足固め10Dの下面部分に制震装置100を設けている。
なお、図示はされていないが、実大貫架構試験体60の頂部には実際の建物における鉛直荷重レベル相当の錘(約4ton)を載せている。
また、図6に示す従来のラップ型の楔902,904のみを用いた場合を一般架構として比較する。なお、楔902,904にもケヤキを用いた。
本実験では、地震動の入力レベルを徐々に増加させながら数回加振を繰り返した。地震波には告示適合波を用いた。
図3は、各々のケースでの実大貫架構試験体60の頂部の水平変位応答最大値をプロットしたグラフである。本実施形態の制震装置100は、従来のラップ型の楔902,904を用いた一般貫架構に比べ、約30%前後、最大で約37%の変位低減となっている。
図4は、各々のケースでの変位応答時刻歴から最大応答点を含む履歴ループを抽出し、そのループについて等価粘性減衰定数を求めプロットしたグラフである。本実施形態の制震装置100は、従来のラップ型の楔902,904を用いた一般貫架構に比べ、1.57倍〜2.62倍の大きさとなっている。
ここで、「日本建築学学会大会学術講演梗概集(東北)2000年9月 22062 伝統木組の実大振動実験(その11) 仕口タイプ粘弾性ダンパーによる耐震補強(123頁〜124頁)」及び「日本建築学学会大会学術講演梗概集(関東)2001年9月 22092 伝統木組の実大振動実験(その16) 仕口タイプ粘弾性ダンパーによる耐震補強(183頁〜184頁)」には、特開2005−220614号公報(特許文献2)と同様の構成の仕口タイプ粘弾性ダンパーを用いた場合の実験結果が記載されている。
これによると、この仕口タイプ粘弾性ダンパーによる変位低減は、平均で約20%低減、最大で約30%の低減となっている。また、減衰定数の増加分は、最大で1.45倍(9.8%→14.0%)になると示されている。
これに対して本発明が適用された本実験結果では、上述したように、変位減衰は最大で27〜37%低減させることができる。また、減衰定数を1.6倍〜2.6倍に向上させることができる。よって、本発明を適用すると「変位低減」と「減衰性能」の両方の性能が向上する。つまり、特許文献2の仕口タイプ粘弾性ダンパーよりも大きな制震効果があることが判る。
<第二実施形態>
つぎに、図5を用いて、本発明の第二実施形態に係る制震装置200について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、図におけるZ方向が鉛直方向、X方向が左右方向、Y方向が面外方向とする。
本実施形態では、柱12と梁19とで構成される木造軸組の仕口部52に制震装置200が設けられている。制震装置200は、金属製のダンパー部250と、金属板からなる固定板210、220とを有している。
ダンパー部250は、面外方向に見て略L字形状に配置された梁側板252Aと柱側板252Bとで構成された固定板部252と、固定板部252に形成されたダンパーリブ部254と、を有している。ダンパーリブ部254は、固定板部252の面外方向の中央部分に形成されている。ダンパーリブ部254及びL字形状の固定板部252は、変形することでエネルギー吸収をする機能を有する
固定板部252には、板厚方向に貫通する貫通孔256が形成されている。そして、仕口部52を構成する柱12と梁19とに沿うようにダンパー部250の略L字形状の固定板部252が配置されている。
ダンパー部250の固定板部252の梁側板252Aと固定板210とが、梁19を上下方向に挟み、梁19を上下方向に貫通する貫通孔17と、梁側板252Aの貫通孔256と、に挿通されたボルト20とナット22で締結されている。同様に固定板部252の柱側板252Bと固定板220とが、柱12を左右方向に挟み、柱12を左右方向に貫通する貫通孔18と、柱側板252Bの貫通孔256と、に挿通されたボルト20とナット22で締結されている。
また、固定板部252(梁側板252A、柱側板252B)、固定板210,220の端部を折り曲げられることによって突起部263A,263Bが形成され、これら突起部263A,263Bが柱12及び梁19に食い込んでいる。
また、本実施形態では、柱12と梁19で構成する架構54にはブレース300が設けられている。そして、ブレース300の端部に設けられた取付部302が、ダンパーリブ部254に、ボルト320及びナット322によって取り付けられている。
<作用及び効果>
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
地震などの外力によって仕口部52が変形すると、柱12及び梁19に固定されたダンパー部250のダンパーリブ部254及びL字形状の固定板部252が変形し、エネルギーが吸収され制震する。
本実施形態では、ダンパー部250は、固定板部252の梁側板252Aと固定板210とで梁19を上下方向に挟み上下方向に貫通するボルト20ナット22と、固定板部252の柱側板252Bと固定板220とで柱12を左右方向に挟み左右方向に貫通するボルト20とナット22と、で固定されている。よって、ダンパー部250が柱12及び梁19から引き抜かれる方向に大きな荷重が繰り返しかかっても、ずれや外れが防止又は抑制される。
更に、固定板部252(梁側板252A、柱側板252B)、固定板210,220の端部を折り曲げることによって形成された突起部263A,263Bが、柱12及び梁19に食い込んでいるので、梁19及び柱12に沿った方向へのずれや外れが防止又は抑制される。
したがって、大きな荷重がかかる木造軸組の仕口部52であっても、ダンパーリブ部254及びL字形状の固定板部252が制震効果を発揮することができる。
また、ブレース300の引張力により、架構54が平行四辺形にひしゃげるように変形することが、防止又は抑制される。
なお、本実施形態では、ダンパーリブ部254は、エネルギー吸収機能とブレース300を取り付ける取付機能との両方の機能を有する。なお、ブレース300を設けない構造であってもよい。
また、ダンパーリブ部254が無くてもよい。つまり、略L字形状に配置された梁側板252Aと柱側板252Bとで構成された固定板部252のみで構成されていてもよい。
更に、ダンパーリブ部254でなく、第一実施形態の金属ダンパー180をL字形状の固定板部252に取り付けてもよい。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、第二実施形態で説明した柱12と梁19とで構成された仕口部52(図5参照)に、第一実施形態の制震装置100の金属ダンパー部150(図1参照)を設けてもよい。
或いは、第一実施形態の貫10と柱12とで構成された仕口部50(図1参照)に、第二実施形態の制震装置200(図5参照)を設けてもよい。また、この場合、貫接合構造部110(図1参照)を更に設けてもよい。なお、第一楔120(図1参照)がダンパー部250の固定板部152と干渉する場合は、干渉する部分を切り欠く等すればよい。
また、例えば、上記実施形態では、突起部163、263は、固定板部162,164や固定板部252(梁側板252A、柱側板252B)、固定板210,220の端部を折り曲げて形成したが、これに限定されない。例えば、端部又は端部以外の部位を切り起こし等で曲げて突起部を形成してもよい。或いは、貫10、柱12、梁19に接触する面に爪状や針状の突起を形成、或いは設けてもよい。更に、梨地のように接触表面を粗して形成した小さな凹凸(摩擦力を上げる目的の凹凸)であってもよい。
なお、柱と貫とを接合する貫接合構造部は、特開2010−007436号公報に記載されている種々の構造を適用することができる。更に、従来の構造、例えば、図6に示すラップ型の楔を用いてもよい。
また、上記の複数の実施形態は、適宜、組み合わされて実施可能である。
更に、実施形態を本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 貫(水平材)
12 柱(垂直材)
14 貫孔
19 梁(水平材)
20 ボルト
50 仕口部
52 仕口部
100 制震装置
112 ワイヤーロープ(連結手段)
120 第一楔
130 第二楔
160A 固定部(水平材側固定部)
160B 固定部(垂直材側固定部)
163A 突起部(水平材側突起部)
163B 突起部(垂直材側突起部)
180 金属ダンパー
200 制震装置
210 固定板(水平材側固定部)
220 固定板(垂直材側固定部)
252 固定板部(水平材側固定部、垂直材側固定部、金属ダンパー)
254 ダンパーリブ部(金属ダンパー)
263A 突起部(水平材側突起部)
263B 突起部(垂直材側突起部)

Claims (2)

  1. 木造軸組の仕口部を構成する水平材を上下方向に挟み、前記水平材を上下方向に貫通するボルトで、前記水平材に固定された水平材側固定部と、
    前記仕口部を構成する垂直材を左右方向に挟み、前記垂直材を左右方向に貫通するボルトで、前記垂直材に固定された垂直材側固定部と、
    前記水平材側固定部と前記垂直材側固定部とに設けられた金属ダンパーと、
    前記水平材側固定部に設けられ、前記水平材側に設けられた水平材側突起部と、
    前記垂直材固定部に設けられ、前記垂直材側に設けられた垂直材側突起部と、
    を備える制震装置。
  2. 前記水平材は、前記垂直材に形成された貫孔に挿通される貫とされ、
    前記貫孔と前記貫との間に、前記水平材側固定部が配置された一方側から打込まれる第一楔と、
    前記貫穴と前記貫との間に、前記一方側と反対側の他方側から打込まれる第二楔と、
    打込まれた前記第一楔と前記第二楔とを連結する連結手段と、
    を有する請求項1に記載の制震装置。
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