JP2016108893A - 連結構造 - Google Patents

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義憲 大倉
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Abstract

【課題】柱や梁などの部材を据え付けるため、埋設軸と引張ボルトを用いる場合において、引張ボルトの長さに依存することなく、適度な剛性と衝撃吸収を兼ね備えた連結構造を提供する。【解決手段】棒状の一方材41と各種他方材51との連結構造を実現するため、一方材41に埋め込む埋設軸31と、一方材41と他方材51を引き寄せる引張ボルト11と、を用い、埋設軸31の中心には、引張ボルト11の軸部を挿通させる通し孔36を設ける。そして引張ボルト11は、他方材51側に組み込んだメネジ38等に螺合させるほか、引張ボルト11の軸部の一部区間には、他の区間と比べ弾性率の小さい変形域を設ける。変形域を設けることで柔軟性を確保できるほか、引張ボルト11の長さに依存することなく、荷重と変形量との関係を揃えることができる。変形域の例として、縦弾性係数の小さい素材を用いた軟棒部21が挙げられ、他の区間と摩擦圧接法で接合する。【選択図】図1

Description

本発明は、住宅などの木造建築において、柱や梁などの部材を据え付けるための連結構造に関する。
木造建築の骨格構造は様々だが、国内では比較的細い棒材を組み上げていく軸組構法が広く普及している。この軸組構法は、隣接する部材同士をホゾなどで連結した上、筋交いや耐力壁などを併用して強度を向上させたもので、設計時の柔軟性が高い。ただし軸組構法は、大断面の部材への適用が難しく、店舗や公共施設を始めとする大形の木造建築では、より強度に優れた門形ラーメン構法などを導入することが多い。
本願発明と関連のある技術の例として、後記特許文献が挙げられる。特許文献1では、木造建築において、柱や梁などを据え付けるための締結金物が開示されており、締結される二部材を引き寄せるボルトを長尺化し、衝撃荷重を緩和することを特徴としている。この発明では、棒状の締結金物を梁などの部材に埋め込み、さらに締結金物の中心にボルトと螺合する雌ネジを形成するが、この雌ネジは、締結金物の端面近傍ではなく、端面から伸びる導入穴の奥に形成する。その結果、ボルトが長尺化され、変形しやすくなり、衝撃荷重を緩和して部材の破損を防止する。
特許文献2では、地震などによる衝撃を緩和できるほか、せん断荷重に対して変位を生じにくい締結具が開示されている。この締結具は、柱や梁に埋設軸を埋め込み、埋設軸内部の中ネジに締結ボルトを螺合させ、二部材を締結するもので、先の特許文献1と同様、中ネジは、埋設軸の端面から伸びる中穴の奥に形成してあり、必然的に締結ボルトが長尺化され、衝撃荷重を緩和できる。さらに、締結ボルトの頭部近傍の軸部を大径化し、前記の中穴に隙間なく嵌まり込む構造としてある。そのため、せん断荷重が円滑に伝達され、締結部の剛性が向上する。
特開2010−7428号公報 特開2013−44198号公報
前記両特許文献のように、部材を連結するボルトを意図的に長尺化し、衝撃を吸収する構造は、部材のひび割れを抑制できるため、部材の横断面を縮小可能で、建築物の軽量化やコストダウンが実現する。ただし、各種金物(ラグスクリューなど)に導入穴や中穴を形成するため、金物の製造原価が上昇するほか、荷重条件によっては過度に剛性が低下するなど、幾つかの課題が判明している。したがってボルトを意図的に長尺化することなく柔軟性を持たせ、衝撃を吸収できる技術も検討すべきである。
木造建築において、二部材のそれぞれにラグスクリューを埋め込み、双方のラグスクリューをボルトで密着させ、二部材を連結することがある。このような連結構造において、二部材の交角が小さい場合、必然的にボルトは長尺化する。そのため衝撃吸収の面で有利だが、剛性も低下する。対して、横断面の小さい二部材を直角に連結する場合、ボルトは短くなり、剛性の面で有利だが、前記両特許文献のような対策を講じない限り、衝撃吸収は難しい。
このようにボルトの長さは、剛性や衝撃吸収に関し大きな影響を与えるが、これを設計段階で都度考慮することは手間が掛かる。このような背景から、ボルトの長さの差による影響を受けることなく、あらゆる条件において、剛性と衝撃吸収を兼ね備えた連結構造の実現が求められている。
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、柱や梁などの部材を据え付けるため、埋設軸と引張ボルトを用いる場合において、引張ボルトの長さに依存することなく、適度な剛性と衝撃吸収を兼ね備えた連結構造の提供を目的としている。
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、棒状の一方材と各種他方材を一体化するための連結構造であって、前記一方材に埋め込む埋設軸と、前記一方材と前記他方材を引き寄せる引張ボルトと、を用い、前記埋設軸は、前記一方材と前記他方材との境界付近から伸びる下穴に埋め込み、且つ該埋設軸の中心には、前記引張ボルトの軸部を挿通させるための通し孔を設け、前記引張ボルトは、前記他方材側に組み込んだメネジまたはナットに螺合し、且つ該引張ボルトの軸部の一部区間には、他の区間と比べ弾性率の小さい変形域を設けてあることを特徴とする連結構造である。
本発明は、住宅などの木造建築において、一方材および他方材と称する二要素を連結するためのものだが、あらゆる箇所で汎用的に使用することを想定しており、柱や梁など、各種の棒状木材を一方材と称している。対して他方材は、一方材と同様、棒状木材となることもあるが、基礎コンクリートや各種金物など、木材以外となることもある。なお木材には、各種集成材を含む。また一方材と他方材の配置は自在で、一方材の端面と他方材の側面を接触させ、T字状やL字状につなぐこともできるが、一方材と他方材の端面同士を接触させ、一直線につなぐこともできる。
引張ボルトは、一方材と他方材を引き寄せ、双方を一体化する役割を担い、一方材と他方材の境界を跨ぐように配置する。なお引張ボルトは、頭付ボルトのほか、頭部のないスタッドボルトを用いることもできる。当然ながら引張ボルトの使用本数は自在で、一つの連結構造において一本だけ使用することもあれば、複数本使用することもある。そのほか引張ボルトがスタッドボルトである場合、両端にナットなどを螺合させ、一方材と他方材を引き寄せる。
埋設軸は、一方材に形成した下穴に埋め込み、引張ボルトに作用する軸力を受け止める役割を担う。そのため埋設軸は、一方材と一体化させる必要があり、金属製で丸棒状のラグスクリューや異形ロッドを用いる。ラグスクリューは、その側周面から凸条が突出しており、これが下穴の内周に食い込み、一方材と一体化する。また異形ロッドは、接着で下穴に固定するもので、接着剤との密着性を高めるため、通常は側周面にリブを形成する。
埋設軸を埋め込むため、一方材にはあらかじめ下穴を加工する。下穴は、一方材と他方材との境界付近を基点として伸び、その内径は埋設軸の外径と同等とする。さらに埋設軸の中心には、引張ボルトの軸部を差し込むため、両端面を貫く通し孔を形成する。そのほか他方材も棒状の木材であれば、他方材にもラグスクリューなどを埋め込むことがある。その場合、双方を同心に揃える。
メネジやナットは、他方材側に組み込み、引張ボルトの軸部と螺合し、一方材と他方材を引き寄せる役割を担う。ただしこのメネジやナットの配置は自在で、仮に他方材にラグスクリューを埋め込むならば、その端面にメネジを形成する。また他方材が基礎コンクリートであれば、その表面にメネジを形成したソケットなどを埋め込む。そのほか他方材が棒材であれば、その側面に窓を形成し、引張ボルトの先端を窓に到達させ、そこにナットを螺合すると、一方材と他方材が引き寄せられる。
変形域は、引張ボルトの軸部のうち、剛性を局地的に低下させ、変形を誘発させる一部区間を指し、引張ボルトに過大な軸力が作用した場合、概ねこの部分を弾塑性変形させることで衝撃を吸収する。なお引張ボルトは、埋設軸の通し孔を貫くことを前提としており、必然的に埋設軸と同等またはそれ以上の長さとなる。そのため引張ボルトが長尺化し、剛性も低下しやすくなるが、意図的に変形域を設け、それ以外の変形を抑制することで、引張ボルトの長さに依存することなく、一定の剛性を確保できる。そのほか弾性率は、作用する荷重を歪で割った値であり、所定の荷重が作用した際の歪が大きいほど、弾性率は小さくなる。
このように、意図的に変形させる区間を軸部の一部に限定することで、引張ボルトが長尺化した場合でも、過度に引張ボルトが軟化することを防ぎ、連結構造の剛性を維持しながら、適度な衝撃吸収能力を得ることができる。なお本発明において、短尺の引張ボルトは想定していない。仮に引張ボルトが短尺であれば、あえて変形域を設けることなく、ボルト全体を軟構造とすればよい。
請求項2記載の発明は、変形域を具体的に特定するもので、変形域は、他の区間と比べ縦弾性係数の小さい素材を用いた軟棒部であり、その端面を他の区間と接合してあることを特徴とする。縦弾性係数の大小は、軟棒部と隣接する他の区間との対比による。素材の具体例としては、軟棒部に建築構造用圧延棒鋼(SNR)を用い、他の区間に冷間圧造用炭素鋼線(SWCH)を用いる構成が挙げられる。建築構造用圧延棒鋼は、じん性に優れ衝撃荷重を吸収しやすく、過荷重に対し、破断することなく塑性変形を生じやすい。
軟棒部と他の区間との接合方法は自在だが、通常は摩擦圧接法を用いる。当然ながら過荷重が作用した場合でも、この接合面から破壊してはならない。また軟棒部の配置については、一方の端部に限定することもできれば、摩擦圧接を二箇所で行い、中間部だけに限定することもできる。なお軟棒部を引張ボルトの端部に配置する場合、そこにオネジを形成する。
請求項3記載の発明についても、変形域を具体的に特定するもので、変形域は、横断面を局地的に縮小した絞り部であることを特徴とする。絞り部は、引張ボルトの軸部を局地的に切削や押圧などで小径化したもので、応力集中などを避けるため、単純な段差を避け、クビレ状の曲面で構成することが望ましい。このように横断面を縮小することで、必然的に軸力による応力も大きくなり、他の区間よりも弾塑性変形を生じやすく、変形域として機能する。
請求項1記載の発明のように、一方材と各種他方材との連結構造において、埋設軸に差し込む引張ボルトに変形域を設けることで、過大な荷重が作用した際、弾塑性変形が誘発され、連結構造の破損を防止できる。また本発明では、変形域を設けることで、引張ボルトを長尺化することなく衝撃吸収を実現できる。そのため一方材や他方材に埋め込む各種金物(ラグスクリューなど)は、端面近傍にメネジを形成した汎用品を使用可能で、コスト面で優れている。
そのほか本発明では、変形域以外の剛性を高めることで、引張ボルトの長さが異なる場合でも、荷重と変形量との関係をほぼ均等に揃えることができる。そのため連結構造に作用する荷重を把握できるならば、長さを考慮することなく最適な特性を有する引張ボルトを選択可能で、設計段階での手間を削減できる。
請求項2記載の発明のように、変形域は、縦弾性係数の小さい素材を用いた軟棒部として、他の区間と摩擦圧接法で一体化することで、変形域を有する引張ボルトが具体的に実現する。また請求項3記載の発明のように、軸部の横断面を局地的に縮小した絞り部を設けることでも、変形域を有する引張ボルトが具体的に実現する。
本発明による連結構造の具体例を示す斜視図で、木造建築物の骨格となる一方材と他方材をL字状に連結することを想定している。 図1の一方材と他方材を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 図1の一方材と他方材を連結した後、荷重が作用した状態を示す縦断面図で、図上方は「小規模な変形」を生じた様子で、図下方は「大規模な変形」を生じた様子である。 登り梁と寄せ材との連結構造を示す斜視図である。 図4の一方材と他方材を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 一方材と他方材の端面同士を接触させ、一直線につなぐ連結構造を示す斜視図である。 図6の一方材と他方材を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 柱を基礎コンクリートに据え付ける連結構造を示す斜視図で、この図では柱が一方材となり、基礎コンクリートが他方材となり、双方を引張ボルトで引き寄せる。 図8の一方材と他方材を連結した状態を示す斜視図と縦断面図である。 変形域を絞り部とした引張ボルトの形状例を示す斜視図と、その使用例を示す縦断面図である。 図6および図7と同様、一方材と他方材の端面同士を接触させ、一直線につなぐ連結構造を示す斜視図と縦断面図だが、メネジを有する固着軸を用い、側窓を二箇所に抑制してある。
図1は、本発明による連結構造の具体例で、木造建築物の骨格となる一方材41と他方材51をL字状に連結することを想定している。一方材41は柱で、地面から直立しており、対する他方材51は梁で、水平に配置され、双方を引張ボルト11で一体化する。さらに引張ボルト11を有効に機能させるため、一方材41には埋設軸31を埋め込み、他方材51には固着軸33を埋め込む。埋設軸31と固着軸33のいずれも、金属製のラグスクリューだが、ここでは一方材41側を埋設軸31と称し、他方材51側を固着軸33と称するものとする。
埋設軸31と固着軸33のいずれも、その側周面には、螺旋状に伸びる凸条37を形成してあるほか、一端面には、ねじ込みの際に工具を掛けるため、六角形の頭部35を形成してある。また埋設軸31(一方材41側)の中心には、引張ボルト11を差し込むため、両端面を貫く通し孔36を形成し、対する固着軸33(他方材51側)の頭部35中心には、引張ボルト11と螺合するメネジ38を形成してある。そして一方材41の側面には、埋設軸31を埋め込むため、両側面を貫通する下穴45を加工してあり、対する他方材51の端面には、固着軸33を埋め込むため、有底の下穴55を加工してある。
引張ボルト11は、六角穴を有する頭部26から剛棒部27が突出し、剛軸部27の先端に軟棒部21を接合し、軟棒部21の先端側にオネジ28を形成してある。軟棒部21は、過大な荷重が作用した際、弾塑性変形を生じる変形域となる。なお剛棒部27と軟棒部21はいずれも円断面だが、剛棒部27の方が大径である。そして頭部26と剛棒部27は、剛性に優れた冷間圧造用炭素鋼線を素材として一体で製造され、対する軟棒部21は、建築構造用圧延棒鋼を素材とし、剛棒部27と軟棒部21の端面同士を接触させ、摩擦圧接法によって一体化する。
この図では、埋設軸31と固着軸33を上下に二組配置し、それぞれに引張ボルト11を差し込み、オネジ28をメネジ38に螺合させ、一方材41と他方材51を一体化する。引張ボルト11は、埋設軸31の通し孔36を貫通するため、必然的に長尺化するが、剛棒部27により一定の剛性を確保でき、過大な荷重が作用した際は、軟棒部21が弾塑性変形し、衝撃を吸収する。また引張ボルト11に作用する軸力は、埋設軸31や固着軸33を介して伝達される。埋設軸31や固着軸33は、凸条37で一方材41や他方材51と一体化しており、荷重が狭い範囲に集中することはない。
図2は、図1の一方材41と他方材51を連結した状態を示している。一方材41の下穴45に埋め込んだ埋設軸31と、他方材51の下穴55に埋め込んだ固着軸33は、上下とも同心に並び、埋設軸31中心の通し孔36に引張ボルト11を差し込み、そのオネジ28を固着軸33のメネジ38に螺合させている。引張ボルト11を締め付けることで、一方材41の側面と他方材51の端面が密着し、双方がL字状に一体化する。なお埋設軸31と固着軸33のいずれも、凸条37が下穴45、55の内周面に食い込み、強固に保持される。
一方材41と他方材51を密着させると、埋設軸31と固着軸33も同時に密着するよう、これらのねじ込み深さを調整してある。その結果、一方材41と他方材51の間に作用する圧縮荷重は、埋設軸31と固着軸33を介して伝達され、一方材41側面の陥没を防止する。これとは逆に、一方材41と他方材51を引き離す荷重は、引張ボルト11で受け止められる。引張ボルト11は、埋設軸31の通し孔36を抜けるため、必然的に長尺化する。
引張ボルト11の軸部は、素材の異なる剛棒部27と軟棒部21を摩擦圧接した構成で、軟棒部21は、剛棒部27と比べ縦弾性係数の小さい金属を使用し、且つ軟棒部21の方が小径である。そのため、引張ボルト11に軸力が作用した場合、軟棒部21は大きく変形するものの、剛棒部27の変形はわずかである。このように剛棒部27を設けることで、引張ボルト11が長尺化する場合でも、その変形を抑制でき、連結構造の剛性低下を抑制できる。さらに軟棒部21を設けることで、過大な荷重が作用した際に弾塑性変形を生じ、エネルギーを吸収し、建築物などの破損を防止する。
図3は、図1の一方材41と他方材51を連結した後、荷重が作用した状態を示し、図上方の「小規模な変形」では、他方材51の中間部に垂直荷重が作用し、他方材51に曲げモーメントが発生し、上側の引張ボルト11の軟棒部21がわずかに引き伸ばされている。なお軟棒部21の先端側にはオネジ28を形成してあり、その半分程度がメネジ38と螺合している。この螺合している範囲については、メネジ38による拘束で変形を生じにくく、メネジ38から外れた区間で大きな変形を生じる。
図3下方の「大規模な変形」では、他方材51に水平荷重が作用し、一方材41と他方材51に大きな隙間が生じている。このような過大な荷重が作用した際でも、剛棒部27はほとんど変形することなく、軟棒部21だけが細長く引き伸ばされる。このように、弾塑性変形を生じる範囲を限定することで、引張ボルト11の長さが異なる場合でも、軟棒部21の長さを揃えることで、荷重と変形量の関係も揃えることができ、埋設軸31の長さを考慮することなく、最適な引張ボルト11を選択することができる。
図4は、登り梁と寄せ材との連結構造を示している。登り梁は、建築物の屋根を支える部材で、斜方向に配置され、通常は左右一対を対向するように組み上げる。また登り梁の姿勢を安定させるため、左右の登り梁を寄せ材で連結する。登り梁と寄せ材との連結部分には、大きな引張荷重が作用するため、双方の境界近傍にラグスクリューを埋め込み、これらを引張ボルト11で引き寄せ、必要な強度を確保する。なお図4では、登り梁を一方材42とし、寄せ材を他方材52としており、他方材52は水平に配置する。
図4においても、先の図1と同様、一方材42と他方材52との連結に用いる要素は、埋設軸31と固着軸33と引張ボルト11で、そのうち埋設軸31と固着軸33は、ラグスクリューで、また引張ボルト11は、剛棒部27と軟棒部21を摩擦圧接したものである。ただし他方材52の端部は、一方材42の下斜面と接触できるよう、クサビ状に加工してあり、その中心には、固着軸33を埋め込むため、下穴55を加工してある。そのほか一方材42の下穴45は、一方材42の上斜面と下斜面を水平に結ぶように加工してある。
固着軸33を他方材52に埋め込む際は、図4の右下に示すように、固着軸33の全体を下穴55の中に埋め込む訳ではなく、その一部は下穴55から突出させる。これにより施工時、無理なく埋設軸31と接触できるものの、凸条37の食い込み区間が減り、他方材52との固着が弱まる恐れがある。そのため、登り梁などの斜材を連結する場合、埋設軸31や固着軸33の長さを増大することがあり、それに伴い引張ボルト11の長さも増大する。
図5は、図4の一方材42と他方材52を連結した状態を示している。一方材42(登り梁)は斜方向に伸び、登り梁を拘束する他方材52(寄せ材)は水平に伸び、埋設軸31と固着軸33は、他方材52の中心に沿って水平に並び、埋設軸31から固着軸33に向けて引張ボルト11を差し込み、一方材42と他方材52を引き寄せている。なお図5では、埋設軸31と固着軸33を密着させるため、埋設軸31と固着軸33のいずれも、その一部を下穴45、55から突出させている。その結果、凸条37の一部が本来の機能を発揮できなくなるが、埋設軸31と固着軸33の長さを増大し、必要な強度を確保してある。
埋設軸31の長さを増大すると、必然的に引張ボルト11も長尺化するが、その半分以上は剛棒部27で、弾塑性変形量が小さく、連結構造の剛性を確保できる。ただし過大な荷重が作用した際は、軟棒部21を中心に弾塑性変形を生じ、衝撃を吸収する。なお一方材42(登り梁)の傾斜角度が小さくなると、必然的に埋設軸31および引張ボルト11の長さも増大する。しかし引張ボルト11の剛棒部27を長尺化することで、傾斜角度に依存することなく一定の剛性を得ることができる。
図6は、一方材43と他方材53の端面同士を接触させ、一直線につなぐ連結構造を示している。この図では、一方材43と他方材53のいずれも、水平に伸びる梁を想定しており、これらを一直線につなぐため、埋設軸32と固着軸34と引張ボルト12とナット18を使用している。なお、一方材43に埋め込む埋設軸32と、他方材53に埋め込む固着軸34は、同一形状の異形ロッドである。異形ロッドは、一方材43や他方材53に作用する軸力を受け止める円柱状の金属棒で、接着剤62で一方材43や他方材53に固定する。接着剤62の付着性を高めるため、その側周面には、複数のリブ39が突出している。
図6で使用する引張ボルト12は、頭部のないスタッドボルトで、同心で並ぶ埋設軸32と固着軸34を引き寄せるために用い、中央の軟棒部22と両端の剛棒部27が摩擦圧接法で一体化しており、剛棒部27の先端側にオネジ28を形成してある。この引張ボルト12を差し込むため、埋設軸32および固着軸34の中心には、両端面を貫通する通し孔36を形成してあり、引張ボルト12の両端にナット18を螺合することで、埋設軸32と固着軸34を密着させる。
埋設軸32や固着軸34を埋め込むため、一方材43と他方材53のいずれにも、端面から伸びる下穴45、55を加工してある。下穴45、55は上下二列で、その内径はリブ39の外径とほぼ等しく、埋設軸32と固着軸34は同心に揃う。さらに一方材43と他方材53のいずれも、その両側面を貫通する側窓46、56を加工してある。側窓46、56は、下穴45、55の奥部と交差しており、引張ボルト12の端部にナット18を螺合する際や、締め付ける際に使用する。
図7は、図6の一方材43と他方材53を連結した状態を示している。一方材43と他方材53は上下二列の引張ボルト12で引き寄せられ、一直線に並んでいる。引張ボルト12は、埋設軸32と固着軸34の双方を貫くため、必然的に長尺化するが、その軟棒部22を中央付近に限定し、それ以外を剛棒部27とすることで、連結構造の剛性を高めることができる。ただし突発的に過大な荷重が作用した際は、軟棒部22に弾塑性変形を生じ、衝撃を吸収する。
図8は、柱を基礎コンクリートに据え付ける連結構造を示している。この図では柱が一方材44となり、基礎コンクリートが他方材54となり、双方を引張ボルト13で引き寄せる。さらに引張ボルト13に作用する軸力を受け止めるため、一方材44には埋設軸31を埋め込む。引張ボルト13は、頭部のないスタッドボルトで、上側の剛棒部27と、下側の軟棒部21を摩擦圧接法で一体化し、その両端部にオネジ28を形成してある。また埋設軸31はラグスクリューで、引張ボルト13を差し込むため、通し孔36を形成してある。
他方材54は基礎コンクリートで、そのままでは引張ボルト13を螺合できない。そのため他方材54の上部には、金属製のソケット57を埋め込んである。ソケット57の中心には、引張ボルト13を螺合できるよう、メネジ58を形成してある。また一方材44には、埋設軸31を埋め込むため、下穴45を加工してあり、さらに引張ボルト13の上部にナット18を螺合できるよう、両側面を貫通する側窓46を加工してある。そのほか結露対策などのため、一方材44と他方材54との間には、樹脂製の基礎パッキン60を挟み込む。基礎パッキン60の中心には、引張ボルト13を通すため、丸孔61を設けてある。
図9は、図8の一方材44と他方材54を連結した状態を示している。引張ボルト13は埋設軸31を貫通し、その下端部はソケット57のメネジ58に螺合している。対する上端部は側窓46に露出し、ナット18が螺合されている。そのため、一方材44が下方に引き寄せられ、基礎パッキン60を介し他方材54(基礎コンクリート)に密着している。なお一方材44を引き上げるような荷重は、埋設軸31と引張ボルト13を介し、他方材54に伝達される。その荷重は凸条37全体に分散されるため、一方材44の破損を防止できる。
引張ボルト13は、埋設軸31を貫通するため必然的に長尺化するが、下側の軟棒部21よりも上側の剛棒部27の方が長く、弾塑性変形を生じにくく剛性に優れる。ただし過大な荷重が作用した際は、軟棒部21に弾塑性変形を生じ、衝撃を吸収する。本発明では、埋設軸31が長尺化した場合でも、剛棒部27と軟棒部21の比率を変化させることで、剛性を自在に調整できる。
図10は、変形域を絞り部23とした引張ボルト14、15と、その使用例を示している。本発明で用いる引張ボルトは、軸部に何らかの変形域を設ける必要があり、これまでの各図では、変形域を軟棒部21、22としていた。しかしこれに限定される訳ではなく、この図のように、変形域を絞り部23とすることもできる。絞り部23は、単に軸部の横断面を局地的に縮小したもので、材質は他の区間と同じである。このような絞り部23は、切削加工などで形成するが、破断などを防止するため、その外縁は、滑らかな曲面として隣接する区間と段差なく接続させる。
図10上方の「絞り部のある引張ボルト(1)」では、頭部26を有し、さらに頭部26とオネジ28の間に絞り部23を設けた引張ボルト14を用い、一方材41と他方材51を連結している。なおこの一方材41と他方材51の縦断面図は、図2と同じ構成で、引張ボルトだけが異なる。図のように、引張ボルト14の絞り部23は、埋設軸31の通し孔36中に位置し、過大な荷重が作用した際は、絞り部23の応力が周辺よりも増大し、弾塑性変形が誘発される。
図10下方の「絞り部のある引張ボルト(2)」では、スタッドボルトの中央に絞り部23を設けた引張ボルト15を用い、一方材43と他方材53を連結している。なおこの一方材43と他方材53の縦断面図は、図7と同じ構成で、引張ボルトだけが異なる。引張ボルト15は、埋設軸32と固着軸34の両方を貫通するため、必然的に長尺化するが、材質や外径を調整し、連結構造の剛性を確保する。ただし絞り部23を設けることで、応力が周辺よりも高くなる区間が形成され、弾塑性変形が誘発される。このように絞り部23を設けることで、引張ボルト15の長さが変化した場合でも、荷重に対する変形量をほぼ一定に揃えることができる。
図11は、図6および図7と同様、一方材43と他方材53の端面同士を接触させ、一直線につなぐ連結構造を示しているが、メネジ38を有する固着軸33を用い、側窓46、56を二箇所に抑制してある。図11の一方材43および他方材53の端面には、下穴45、55を加工してあり、そこに図1と同様、ラグスクリューを用いた埋設軸31と固着軸33を埋め込む。また引張ボルト15は、図10下方と同様、中央に絞り部23を設けたスタッドボルトである。この引張ボルト15は、埋設軸31の通し孔36に差し込まれ、その一端側のオネジ28はナット18と螺合し、他端側のオネジ28は固着軸33のメネジ38と螺合する。そのため側窓46、56は、埋設軸31を埋め込む箇所だけに加工してある。
図11では、上下二列の下穴45、55のうち、下側についてはこれまでの各図と異なり、一方材43側に固着軸33を埋め込み、他方材53側に埋設軸31を埋め込んでいる。これは、側窓46、56を一方材43と他方材53に分散配置し、強度の向上を図るための例外的措置である。なお、一方材43と他方材53を引き離すような衝撃荷重が作用した際、引張ボルト15の絞り部23に弾塑性変形が誘発される点は、これまでの各図と同様である。
本発明は、連結される二部材のうち、一方に埋設軸を埋め込み、さらに引張ボルトを介し二部材を引き寄せる連結構造に関するもので、引張ボルトが埋設軸を貫通し、しかも引張ボルトの軸部に何らかの変形域を設け、弾塑性変形を誘発させることを特徴としている。そのため本発明は、これまでの各図に示す構成に限定される訳ではなく、各図に描いた要素を適宜選択し、様々な連結構造を構築することができる。
11 引張ボルト(頭部あり・変形域を軟棒部で形成)
12 引張ボルト(スタッドボルト・変形域を軟棒部で形成)
13 引張ボルト(スタッドボルト・変形域を軟棒部で形成)
14 引張ボルト(頭部あり・変形域を絞り部で形成)
15 引張ボルト(スタッドボルト・変形域を絞り部で形成)
18 ナット
21 軟棒部(変形域・端部に配置・オネジあり)
22 軟棒部(変形域・中間部に配置・オネジなし)
23 絞り部(変形域)
26 頭部(引張ボルトの端部)
27 剛棒部
28 オネジ
31 埋設軸(ラグスクリュー)
32 埋設軸(異形ロッド)
33 固着軸(ラグスクリュー)
34 固着軸(異形ロッド)
35 頭部(ラグスクリューの端部)
36 通し孔
37 凸条
38 メネジ
39 リブ
41 一方材(柱)
42 一方材(登り梁)
43 一方材(梁)
44 一方材(柱)
45 下穴
46 側窓
51 他方材(梁)
52 他方材(寄せ材)
53 他方材(梁)
54 他方材(基礎コンクリート)
55 下穴
56 側窓
57 ソケット
58 メネジ
60 基礎パッキン
61 丸孔
62 接着剤

Claims (3)

  1. 棒状の一方材(41乃至44)と各種他方材(51乃至54)を一体化するための連結構造であって、
    前記一方材(41乃至44)に埋め込む埋設軸(31又は32)と、前記一方材(41乃至44)と前記他方材(51乃至54)を引き寄せる引張ボルト(11乃至15)と、を用い、
    前記埋設軸(31又は32)は、前記一方材(41乃至44)と前記他方材(51乃至54)との境界付近から伸びる下穴(45)に埋め込み、且つ該埋設軸(31又は32)の中心には、前記引張ボルト(11乃至15)の軸部を挿通させるための通し孔(36)を設け、
    前記引張ボルト(11乃至15)は、前記他方材(51乃至54)側に組み込んだメネジ(38又は58)またはナット(18)に螺合し、且つ該引張ボルト(11乃至15)の軸部の一部区間には、他の区間と比べ弾性率の小さい変形域を設けてあることを特徴とする連結構造。
  2. 前記変形域は、他の区間と比べ縦弾性係数の小さい素材を用いた軟棒部(21又は22)であり、その端面を他の区間と接合してあることを特徴とする請求項1記載の連結構造。
  3. 前記変形域は、横断面を局地的に縮小した絞り部(23)であることを特徴とする請求項1記載の連結構造。
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