JP5226145B1 - 柱材の連結構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】柱材1の下端面1aにベースプレート2側のジベル7を嵌合させるとともに、ラグスクリュー部3aと雄ネジ部3cとの間の軸方向に沿った一部領域にねじ山のない緩衝部3bを有するラグスクリューボルト3を柱材1の下端面1aから内部に案内孔の内壁に食い込ませながら埋設する。この状態で柱材1を基礎B上に設置し、ベースプレート2を基礎B側のアンカーボルトAに固定する。
【選択図】図2
Description
そのため、柱材への大きな引き抜き力が作用しても柱材の割裂が発生しにくい柱材の連結構造が望まれていた。
本発明は、上記諸問題を解消するためになされたものであり、その目的は、柱材への大きな引き抜き力が作用しても柱材の割裂が発生しにくい柱材の連結構造を提供することにある。
また、請求項2に記載の発明では請求項1に記載の発明の構成に加え、前記溝に対して前記リング部材を嵌合させた状態で前記柱脚用接合金具は前記柱材の下端面に密着することをその要旨とする。
また、請求項3に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記柱材には前記ラグスクリューボルトの埋設されている領域において前記ラグスクリューボルトの進出方向と交差する方向にねじ部材が螺着されていることをその要旨とする。
また、請求項4に記載の発明では請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記リング部材は平面視において真円形状の壁面によって構成されていることをその要旨とする。
また、請求項5に記載の発明では請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記緩衝部は円柱形状とされていることをその要旨とする。
従来のラグスクリューボルトでは図12(a)に示すようにラグスクリューボルトの柱に埋設された部分の全長にわたってラグスクリュー部が形成されており、引き抜き力が発生するとすべての荷重エネルギーはラグスクリュー部から柱材に伝達され、その結果柱材の割裂が発生する可能性がある。柱材が割裂すると図12(b)に示すようにラグスクリューボルトが保持されずに下方に抜けてしまう可能性がある。つまり、ラグスクリューボルトによる柱脚用接合金具への柱材の固定作用が消失してしまうこととなる。
一方、本願発明ではラグスクリューボルトについてラグスクリュー部の下部位置に柱材と螺合しない緩衝部を形成するようにしているため、この部分が塑性変形して伸びることができるため、靭性が向上して柱材の割裂が発生しにくくなる。
更に、柱材の下端面にはリング状に溝が形成され、この溝に柱脚用接合金具側のリング部材がラグスクリューボルトを包囲するように配置されることとなる。これによって柱材の繊維に直交する方向に作用する応力(つまり柱を割裂させる力)を受け止めることができ、ラグスクリューボルトの引き抜きに伴う柱の割裂が確実に防止される。
ここに、ラグスクリューボルトの緩衝部の断面積や軸方向長さは柱材の断面積や樹種、強度によって適宜変更可能である。
また、リング部材はラグスクリューボルトの周囲を取り巻くように配置されるものであれば、その形状は問わないが、リング部材は平面視において真円形状の壁面によって構成されることが応力の均等な分散を図るために好ましい。
ここに、緩衝部は基本的に柱材との関係で力の伝達がされなければどのような形状であっても構わないが、強度計算のしやすい例えば円柱形状とすることが好ましい。
また、緩衝部の径は少なくともラグスクリュー部の小径(つまり、ラグスクリュー部の谷の間隔)よりも大きくないことが好ましい。また、雄ネジ部の小径(つまり、ネジ部の谷の間隔)は少なくとも前記緩衝部の径よりも大きいことが好ましい。これは荷重がかかった際に雄ネジ部が変形するのを防止する点からもこのような構成が望ましい。
また、溝にリング部材がラグスクリューボルトを包囲するように配置されていれば、柱材の繊維に直交する方向に作用する応力を分散させることがで
きるため、必ずしも柱脚用接合金具は柱材の下端面に密着する必然性はないが、柱の安定性の点等から溝に対してリング部材を嵌合させた状態で柱脚用接合金具を柱材の下端面に密着させることが好ましい。
また、柱材に対してラグスクリューボルトの埋設されている領域においてラグスクリューボルトの進出方向と交差する方向にねじ部材が螺着されるようにしてもよい。
このように柱材の繊維方向に交差する方向で、かつラグスクリューボルトの埋設されている領域にねじ部材を用いることで更に柱の割裂が防止される。
図1及び図2に示すように、柱材1は柱脚用接合金具としてのベースプレート2に対して内部に埋設されたラグスクリューボルト3を介して連結され、ベースプレート2は基礎Bに対して4本のアンカーボルトAによって連結される。
本実施の形態では断面正方形の柱材1の下端面1aには4本のラグスクリューボルト3が埋設されている(図2では手前側のラグスクリューボルト3が図示されている)。図3に示すように、ラグスクリューボルト3は柱材1に埋設されるラグスクリュー部3aを外周に備えたネジ部材である。ラグスクリューボルト3は全長35(〜60)cmとされ、本実施の形態では先端からラグスクリュー部3aが30(〜50)cmにわたって形成されている(全長の80%程度)。ラグスクリュー部におけるねじのピッチは6.0mmで、内径(谷径)16.7mm、外径(山径)21.2mmとされている。ラグスクリュー部に隣接した位置には緩衝部3bが5(〜8)cmにわたって形成されている(全長の15%程度)。緩衝部3bはねじ山が形成されていない部分であって径16.2mmの円柱形形状に構成されている。緩衝部3bに隣接した基端側領域には雄ネジ部3cが3(〜10)cmにわたって形成されている(全長の5%程度)。雄ネジ部3cにおけるねじのピッチは1.0mmで、内径(谷径)14.91mm、外径(山径)16.0mmとされている。
図7に示すように、柱材1の下端面1aには4箇所にラグスクリューボルト3を埋設するための案内孔4が形成され、各案内孔4を中心にしてこれを包囲するように後述するジベル7を嵌合させるための円形の溝5が形成されている。本実施の形態では案内孔4はラグスクリュー部3aの内径と同径とされている。ラグスクリューボルト3は案内孔4に対して図示しないねじ込み装置によってあたかもタップをねじ込むように埋設させられる。図2及び図4(b)に示すように、埋設が完了した状態で緩衝部3bの雄ネジ部3c寄りの一部と雄ネジ部3cは柱材1の下端面1aから下方に突出される。図2に示すように、ラグスクリューボルト3が柱材1に埋設された状態でラグスクリュー部は柱材1に食い込み、緩衝部3bは柱材1との間にわずかな隙間6を形成する。
に対向する位置には直方体形状のスペーサ10が形成されている。
ベースプレート2の柱材1の下端面1aに対する取り付けにおいては、図4に示すように、ベースプレート2は柱材1の下端面1aに対して上面側をジベル7が溝5に嵌合されるように当接させるとともに、各ラグスクリューボルト3の雄ネジ部3cをそれぞれ対応する小透孔8に挿通させた状態でワッシャ11を介してナット12によって締結しベースプレート2を柱材1に対して固定する。ベースプレート2は柱材1の下端面1aに対して密着する。
図2、図4、図5及び図8に示すように、柱材1の側面には2本の長ビス15が螺着されている。長ビス15は柱材1に対して左右方向から水平にそれぞれ先端が対向するように埋設されている。本実施の形態では長ビス15の長さは60(〜120)mmとされている。図10に示すように、長ビス15は基部側に回動操作用のプラス溝が刻設されたヘッド15aと、本体外周に一体形成されたラグスクリュー部15bとを有する先端の尖った補強部材である。長ビス15は柱材1の上下方向においてラグスクリューボルト3の埋設されている領域の上方寄りにおいて螺着され、図8に示すように平面視において前後のラグスクリューボルト3間に進出する位置まで進出させられている。
図5(a)のように、まず、基礎B上のアンカーボルトAの上方にベースプレート2の大透孔9が配置されるように柱材1を導きその位置から下降させる。各大透孔9にアンカーボルトAが挿通されるとともに、ベースプレート2裏面のスペーサ10が基礎B上に当接される。これによって、ラグスクリューボルト3の下端が基礎Bに直接当接しないように保護されることとなる。次いで、図5(b)に示すように、ワッシャ13を介して2つのナット14によって締結しベースプレート2をアンカーボルトAに対して固定する。
次いで、基礎Bにおいて図示しない型枠でベースプレート2の周囲を包囲し、ベースプレート2の下面よりも下側領域に無収縮モルタルCを打設する。これによってベースプレート2の下面側に突出したラグスクリューボルト3の雄ネジ部3c、ワッシャ11、ナット12及びスペーサ10が無収縮モルタルC内に埋設されることとなる。
(1)建物に外力が作用すると、柱材1に対して大きな引き抜き力(引張力)が作用する可能性がある。その場合に引き抜き力はラグスクリューボルト3からベースプレート2に伝達され更にアンカーボルトAへ伝達されることとなる。この場合にラグスクリューボルト3の緩衝部3bが塑性変形して伸びることができるため、靭性が向上して柱材への負荷が軽減され、柱材1の割裂が発生しにくくなる。
(2)水平方向に対して柱材1を割裂させるようなせん断力が作用した場合でも、柱材1の下端面1aの溝5に対してベースプレート2側のジベル7が嵌合されているため、せん断力を分散させることができる。
(3)長ビス15は柱材1の上下方向においてラグスクリューボルト3の埋設されている領域の上方寄りにおいて螺着・埋設されているため、柱材1を割裂させるようなせん断力が作用した場合でもこれを分散させることができる。
(4)ベースプレート2の下面側に突出したラグスクリューボルト3の雄ネジ部3c、ワッシャ11、ナット12及びスペーサ10が無収縮モルタルC内に埋設されることとなって、ナット12の緩みが防止されるとともに、ベースプレート2にかかる圧縮力を打設された無収縮モルタルC全体で受けることとなってベースプレート2にかかる圧縮力を均等に分散させることができる。
・上記実施の形態の構成は一例であって他の形態で実施することも可能である。例えば、ラグスクリューボルト3の数やアンカーボルトAの数を変更したり、ジベル7の数を増やしたり、長ビス15の数や位置を変更することも自由である。また、ベースプレート2の形状や柱1の形状は上記は一例であって他の構成で実施することも自由である。例えば図11のようにグスクリューボルト3を2本にしたり、逆に長ビス15を4本に増やすことも可能である。また、長ビス15は柱材1の上下方向に複数配置させるようにしてもよい。
・ジベル7の形状は必ずしも真円でなくとも構わない。
・ラグスクリューボルト3においてラグスクリュー部3aや緩衝部3bの全体における割合は適宜変更可能である。また、緩衝部3bの位置も適宜移動させることが可能である。例えば、図9のように緩衝部3bを上下のラグスクリュー部3aで挟む位置に形成させるようにしてもよい。要は柱材1内に埋設されるラグスクリューボルト3の部分のどこかの位置に緩衝部3bがあればよい。
・柱材1の下端面1aに取り付ける柱脚用接合金具として上記実施の形態ではベースプレート2を使用したが、他の形状の柱脚用接合金具を用いることも自由である。
・基礎Bと柱脚用接合金具の間に例えば免震用のパッキン等の介在物を設置するようにしてもよい。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない態様で変更して実施することは自由である。
Claims (5)
- 柱材の下端面に対して金属製の柱脚用接合金具を固定し、前記柱脚用接合金具を基礎側のアンカー部材に連結するようにした柱材の連結構造において、
ラグスクリュー部が形成されるとともに基端側に雄ネジ部が形成されたラグスクリューボルトの前記ラグスクリュー部と前記雄ネジ部との間の軸方向に沿った一部領域をラグスクリュー部の外径よりも小径に形成した緩衝部とし、
前記ラグスクリューボルトを前記柱材の下端面に形成した案内孔に対して前記ラグスクリュー部が前記案内孔の内壁に食い込むようにその先端側から進入させて前記雄ネジ部が前記柱材の下端面に隣接する外側位置に配置されるように埋設する一方、
前記柱材の下端面の前記ラグスクリューボルトを包囲する位置にリング状に溝を形成するとともに、前記柱材の下端面に対向する前記柱脚用接合金具の面上には前記溝に嵌合されるリング部材を形成し、
前記溝に対して前記リング部材を嵌合させるとともに、前記柱脚用接合金具に形成した第1の透孔に前記雄ネジ部を挿通させて、ナット部材を螺合させることで前記柱脚用接合金具を前記柱材に固定し、更に前記柱脚用接合金具の前記柱材の配置位置よりも外側位置に形成された第2の透孔に前記アンカー部材を挿通させて連結するようにしたことを特徴とする柱材の連結構造。 - 前記溝に対して前記リング部材を嵌合させた状態で前記柱脚用接合金具は前記柱材の下端面に密着することを特徴とする請求項1に記載の柱材の連結構造。
- 前記柱材には前記ラグスクリューボルトの埋設されている領域において前記ラグスクリューボルトの進出方向と交差する方向にねじ部材が螺着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱材の連結構造。
- 前記リング部材は平面視において真円形状の壁面によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の柱材の連結構造。
- 前記緩衝部は円柱形状とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の柱材の連結構造。
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