JP2008266904A - 木造建築の躯体構造 - Google Patents

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拓之 中島
Shigeaki Kawahara
重明 川原
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武 清水
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Abstract

【課題】建物に作用する長期荷重に応じて柱と梁の接合構造を採用することで、寸法精度を確保しつつ、部材数や接合数を節約した経済設計を行うことができ、さらには、T形などの非矩形断面の柱の採用により建物内のスペースの利用性を向上させることができる木造建築の躯体構造を提供する。
【解決手段】木質部材からなる柱2と梁3との接合部を剛接合としたラーメン構造を含む木造建築の躯体構造1。前記ラーメン構造は、長期荷重に対する負担の少ない接合部を柱勝ちラーメンとし、長期荷重に対する負担の多い接合部を梁勝ちラーメンとしている。前記柱2は、水平断面が長方形の柱ユニットを、T形、L形、又は十形の水平断面となるように組み合わせた。
【選択図】 図1

Description

本発明は木造建築の躯体構造に関する。さらに詳しくは、ラーメン構造を用いた木造建築の躯体構造に関する。
在来の木造建築は、地震力などの水平荷重に対しては主に筋交いにより抵抗する構造であり、この筋交いは複数の柱間に設けるとともに、直交する2つの方向に配置する必要がある。したがって、在来の木造建築では、筋交いを設ける壁体を確保する必要があることから、開口部の設定や屋内空間の利用に制約があった。
そこで、開口部設定の自由度を高めるとともに屋内空間の利用性を向上させることを主たる目的として、柱と梁の接合を剛接合としたラーメン構造を木造建築に適用することが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1には、柱が階層ごとに分割され、柱に対して各階層間の梁が優先するように柱と梁とが梁勝ち接合されている多階層の木質構造躯体が開示されており、この木質構造躯体では、柱と梁とからなるラーメン構面が、梁の材軸方向にのみ水平耐力を有する一方向ラーメン構面とされている。
また、特許文献2には、直交して組み立てられた、集成材梁の端部材を集成材柱を貫通させ、当該柱に剛に接合した柱・梁接合部構造が開示されている。この柱・梁接合部構造において、集成材柱は、端部材を挟んで上下に分割され、その互いに対向する面からは端部材に嵌合する切込みが2方向に形成されている。また、端部材は、上下の集成材柱に挟み込まれ、梁成方向に貫通し且つ両集成材柱間に軸方向に挿通するボルトにより締め付けられて両集成柱に接合されている。
特開2006−104729号公報 特開平6−185115号公報
しかしながら、特許文献1〜2記載の構造を含む従来の木造建築のラーメン構造では、柱と梁の接合方法が画一的であり、必ずしも実際に建物に作用する長期荷重(建物に長期的に作用する、当該建物の自重や積載荷重を含む鉛直方向の荷重)の分布を反映したものとはなっていない。このため、部材数や接合数が構造上必要な数よりも多くなり、経済設計になっていないことがある。また、柱の上に梁を載せる梁勝ちラーメンだけを採用する場合、階層間において柱が上下に分断されることから、建物の鉛直方向の寸法精度を確保するのが困難であるという問題がある。
また、2方向にラーメン構造とする場合、1本の柱に2方向の梁が接合することになるため、柱の加工による欠損量が大きくなる。したがって、この欠損による弱点を回避するために、2方向に大きな曲げ剛性を有する大断面の柱を採用することになるが、この場合、居室内の隅角部などに柱が突出し、居室の利用に支障を来たすことがある。さらに、木造の場合、2方向に大きな断面の材料を製作することは、木材資源の問題(大きな断面の木材は採取が非常に困難である)からも非常に難しい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、建物に作用する長期荷重に応じて柱と梁の接合構造を採用することで、寸法精度を確保しつつ、部材数や接合数を節約した経済設計を行うことができ、さらには、T形などの非矩形断面の柱の採用により建物内のスペースの利用性を向上させることができる木造建築の躯体構造を提供することを目的としている。
本発明の木造建築の躯体構造は、木質部材からなる柱と梁との接合部を剛接合としたラーメン構造を含む木造建築の躯体構造であって、
前記ラーメン構造は、長期荷重に対する負担の少ない接合部を柱勝ちラーメンとし、長期荷重に対する負担の多い接合部を梁勝ちラーメンとし、且つ
前記柱は、水平断面が長方形の柱ユニットを、T形、L形、又は十形の水平断面となるように組み合わせたことを特徴としている。
本発明の木造建築の躯体構造では、建物に作用する長期荷重に応じて柱と梁の接合構造を変えている。すなわち、長期荷重に対する負担の少ない接合部を柱勝ちラーメンとし、長期荷重に対する負担の多い接合部を梁勝ちラーメンとしている。
ラーメン構造の接合部は、長期的に作用する鉛直方向の荷重に対しても抵抗する必要があるが、その際、荷重負担の多い接合部のラーメン構造は、曲げモーメントだけでなく大きなせん断力も負担する必要がある。この場合、柱と柱の間に梁を配設した柱勝ちラーメン、特に軸方向に接合具を配設した柱勝ちラーメンでは、当該接合具に大きな引き抜き力と大きなせん断力が長期的に常時作用するため、木質部材との接触部分でクリープ現象が発生し、その結果、接合部に変形が生じ、梁が撓むことがある。また、接合具は引き抜き力とせん断力の複合状態にあるため、木質部材の割裂を招く惧れがある。
しかしながら、長期荷重に対して負担の大きい接合部を柱の上に梁を載せた梁勝ちラーメン構造とすることによって、ラーメン接合部に生じる大きなせん断力を接合具が負担するのを回避することができる。これにより、前述した梁の撓みや木質部材の割裂といった不具合を防止することができる。
一方、すべての柱・梁接合部を梁勝ちラーメン構造とすると、多階層構造においては、階層間において柱が上下に分断されることから、建物の鉛直方向の寸法精度を確保するのが困難となるが、本願発明では、長期荷重に対して負担の少ない接合部を柱と柱の間に梁を配置した柱勝ちラーメン構造としているので、この柱勝ちラーメン構造における通し柱を利用することで鉛直方向における寸法精度を容易に確保することができる。
また、水平断面が長方形の柱ユニットを、T形、L形、又は十形の水平断面となるように組み合わせた柱を用いているので、大きな曲げ剛性を確保しつつ、その断面形状を必要最小限のものにすることができ、その結果、屋内空間の利用性を向上させることができる。
なお、本発明では、複数の柱ユニットからT形、L形、又は十形の水平断面の1本の柱を構成しており、各柱ユニットと梁とが接合される結果、1本の柱について複数の接合部が存在することになり、1本の柱に「柱勝ちラーメン構造」と「梁勝ちラーメン構造」とが混在することがある。
長期荷重に対する負担の少ない接合部に配置した柱の側面から、長期荷重に対する負担の多い接合部に配置した梁の端部に向かってラグスクリュー又は引きボルトを埋設し、当該柱及び梁端部を一体化してなるのが好ましい。この場合、前記ラグスクリュー又は引きボルトにより柱と梁を一体構造にすることによって、接合部の変形及び割裂を防止することができる。また、曲げ剛性が増加するので、柱の断面形状を必要最小限のものにすることができ、その結果、屋内空間の利用性を向上させることができる。
長期荷重に対する負担の少ない接合部に配置した梁の側面から、長期荷重に対する負担の多い接合部に配置した柱の側面に向かってラグスクリュー又は引きボルトを埋設し、当該梁及び柱を一体化してなるのが好ましい。この場合、前記ラグスクリュー又は引きボルトにより柱と梁を一体構造にすることによって、接合部の変形及び割裂を防止することができる。また、曲げ剛性が増加するので、柱の断面形状を必要最小限のものにすることができ、その結果、屋内空間の利用性を向上させることができる。
ラーメンフレームを構成する隣接する柱間において、曲げモーメント及びせん断力を伝達し得る接合手段を介して、前記ラーメンフレームを構成する梁に補助柱を接合することができる。かかる補助柱を配置することにより水平力に対する抵抗力が増加するので、大きなグリッドの内部空間を構成することが可能になり、平面設計の自由度が増大する。
接合金具アセンブリを用いて柱の側面に梁木口が接合されており、
前記接合金具アセンブリが、
前記柱の側面と梁木口との間に配設される上部金物と下部金物とからなり、且つ、各金物が、柱の側面に当接する柱側プレートと、梁木口に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと
を備えており、
前記下部金物は、梁端部の下面を載置させ得るリブプレート、及び前記下部金物の柱側プレートの上部において柱の側面に当接する背板を有しており、
前記背板の柱側表面には、柱の側面に穿設された凹部内に嵌入される突起が形成されており、且つ
前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されているのが好ましい。
かかる接合金具アセンブリでは、梁端部の下面が下部金物のリブプレートに載置されるとともに、背板の柱側表面に形成された突起が、柱の側面に穿設された凹部内に嵌入される。また、ラグスクリューと上部金物又は下部金物を固定するためのボルトの径よりもボルト孔を大きくしているので、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断することができる。これにより、ラグスクリューにより曲げモーメントを伝達し、前記突起によりせん断力に抵抗することができる。こうして、力の伝達経路を明確に区分けすることにより、ラグスクリューへのせん断力の伝達を回避することができる。その結果、せん断力による木質部材の割裂を防止することができ、大きな曲げモーメントを伝達することができる。
また、大地震時には、ラグスクリュー接合部が破壊する前に、金物及びボルトが降伏し、塑性化するため高いエネルギー吸収性能を得ることができる。一方、前記金物などが降伏した後は、平面保持の仮定が崩れ、各構成部材への応力の再配分が生じ、局部的な応力集中が生じる。その影響は、特に大変形時において顕著となり、ラグスクリュー接合部にせん断力が生じることになるが、このときはせん断抵抗用に配設した突起が曲げモーメントにも抵抗することから、ラグスクリュー接合部への急激な応力の伝達が防止されるとともに、その破壊が抑制される。
接合金具アセンブリを用いて柱の側面に梁木口が接合されており、
前記接合金具アセンブリが、
前記柱の側面と梁木口との間に配設される上部金物と下部金物とからなり、且つ、各金物が、柱の側面に当接する柱側プレートと、梁木口に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
前記上部金物と下部金物との間における柱の側面及び梁木口に形成されたスリット内に嵌入される鋼板と
を備えており、
前記下部金物は、梁端部の下面を載置させ得るリブプレートを有しており、
前記鋼板には、当該鋼板を柱及び梁端部に固定するための固着手段が挿通する固定孔が形成されており、且つ
前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されているのが好ましい。
かかる接合金具アセンブリにおいても、前記接合金具アセンブリにおける突起と同様に、柱の側面及び梁木口に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を挿通する固着手段によりせん断力に抵抗することができ、前記と同様の作用効果を奏することができる。
接合金具アセンブリを用いて柱の木口に梁の上面又は下面が接合されており、
前記接合金具アセンブリが、
前記柱の木口と梁の上面又は下面との間に配設される第1金物と第2金物とからなり、且つ、各金物が、柱の木口に当接する柱側プレートと、梁の上面又は下面に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
前記第1金物と第2金物との間における柱の木口及び梁の上面又は下面に形成されたスリット内に嵌入される鋼板と
を備えており、
前記鋼板には、当該鋼板を柱及び梁端部に固定するための固着手段が挿通する固定孔が形成されており、且つ
前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されているのが好ましい。
かかる接合金具アセンブリにおいても、前記接合金具アセンブリと同様に、柱の木口及び梁の上面又は下面に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を挿通する固着手段によりせん断力に抵抗することができ、前記と同様の作用効果を奏することができる。
接合金具アセンブリを用いて柱の木口に梁の上面又は下面が接合されており、
前記接合金具アセンブリが、
前記柱の木口と梁の上面又は下面との間に配設される第1金物と第2金物とからなり、且つ、各金物が、柱の木口に当接する柱側プレートと、梁の上面又は下面に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
前記第1金物と第2金物との間における柱の木口及び梁の上面又は下面に形成された凹部内に嵌入される突起と
を備えており、
前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されているのが好ましい。
かかる接合金具アセンブリにおいても、前記接合金具アセンブリにおける固着手段と同様に、柱の木口及び梁の上面又は下面に形成された凹部内に嵌入される突起によりせん断力に抵抗することができ、前記と同様の作用効果を奏することができる。
本発明の木造建築の躯体構造によれば、寸法精度を確保しつつ、部材数や接合数を節約した経済設計を行うことができ、さらには、建物内のスペースの利用性を向上させることができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の木造建築の躯体構造(以下、単に「躯体構造」ともいう)の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る躯体構造1の斜視説明図である。この躯体構造1は2階建ての建物の躯体構造であり、木質部材(例えば、集成材)からなる柱と梁が2方向(X方向及びY方向)において剛に接合されたラーメン構造を採用している。このラーメン構造では、図1において「X」で示される方向が短スパンの桁行方向であり、「Y」で示される方向が当該桁行方向と直交する長スパンの梁間方向である。そして、本実施の形態では、建物に作用する長期荷重に応じて柱と梁の接合構造を変えている。すなわち、長期荷重に対する負担の少ない接合部を柱勝ちラーメンとし、長期荷重に対する負担の多い接合部を梁勝ちラーメンとしている。躯体構造1においては、原則として、梁間方向を梁勝ちラーメンとし、桁行方向を柱勝ちラーメンとしている。ただし、図1において「B」で示される部分の桁行方向は、長期荷重に対する負担が多いことから、通し柱ではなく管柱とされ、梁勝ちラーメンを構成している。
ラーメン構造の接合部は、長期的に作用する鉛直方向の荷重に対しても抵抗する必要があるが、その際、荷重負担の多い接合部のラーメン構造は、曲げモーメントだけでなく大きなせん断力も負担する必要がある。本実施の形態では、柱や梁の軸方向端面に配設した接合金物により当該柱と梁を接合しているが、この場合、柱と柱の間に梁を配設した柱勝ちラーメンでは、当該接合金物に大きな引き抜き力と大きなせん断力が長期的に常時作用すると(すなわち、長期荷重に対する負担が大きいと)、木質部材との接触部分でクリープ現象が発生し、その結果、接合部に変形が生じ、梁が撓むことがある。また、接合金物は引き抜き力とせん断力の複合状態にあるため、木質部材の割裂を招く惧れがある。
しかしながら、長期荷重に対して負担の大きい接合部を柱の上に梁を載せた梁勝ちラーメン構造とすることによって、ラーメン接合部に生じる大きなせん断力を接合金物が負担するのを回避することができる。これにより、前述した梁の撓みや木質部材の割裂といった不具合を防止することができる。
一方、すべての柱・梁接合部を梁勝ちラーメン構造とすると、多階層構造においては、階層間において柱が上下に分断されることから、建物の鉛直方向の寸法精度を確保するのが困難となるが、本実施の形態では、長期荷重に対して負担の少ない接合部を柱と柱の間に梁を配置した柱勝ちラーメン構造としているので、この柱勝ちラーメン構造における通し柱を利用することで鉛直方向における寸法精度を容易に確保することができる。
[A部の接合構造]
以下、図1においてA〜Dで示される各部位の接合部分(柱―梁接合部分、又は柱―基礎接合部分)を詳細に説明する。まず、図2〜4を参照しつつ、Aで示される部位の接合部分を説明する。
図2は、図1においてAで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。また、図3は、同じく図1においてAで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。図2〜3並びに後出する図4〜7及び図11〜12において、(a)は、いずれも接合部分を建物内側から見た図であり、(b)は(a)を図において右側から見た図である。Aで示される部位の桁行方向の接合部分(桁行方向に沿って配設される梁と柱の接合部分)は、長期荷重に対して負担の少ない接合部であることから、建物外側には通し柱2を採用している。この通し柱2は、断面が長方形であり、その長辺が建物の桁行方向に平行になるように配置されている。そして、この通し柱2の建物内側面には、同じく断面長方形の柱12が接合されている。この柱12は、図1又は図3の(b)に示されるように、長期荷重に対して負担の多い接合部に用いられるものであることから、梁勝ちラーメンを構成すべく1階部分の梁13bによって途中で分断された管柱である。前記通し柱2及び柱12によって、Aで示される部位の柱は、断面T形の柱とされている。このように、断面矩形の柱に代えて、水平断面が長方形の柱ユニットを、T形の水平断面となるように組み合わせた柱を用いることで、大きな曲げ剛性を確保しつつ、その断面形状を必要最小限のものにすることができ、その結果、屋内空間の利用性を向上させることができる。
2階部分の桁行方向の梁3aの木口及び1階部分の桁行方向の梁13aの木口は、いずれも接合金具アセンブリA1を用いて通し柱2の側面に接合される。この接合金具アセンブリA1は、柱の側面と梁木口との間に配設される上部金物61と下部金物62とからなる接合金物60と、柱に埋め込まれる柱側ラグスクリュー63と、梁に埋め込まれる梁側ラグスクリュー64とを備えている。
前記上部金物61及び下部金物62は、いずれも柱の側面に当接する柱側プレート65と、梁木口に当接する梁側プレート66と、前記柱側プレート65と梁側プレート66との間に設けられる複数のリブプレート67とを有している。また、前記下部金物62は、梁端部の下面を載置させ得るリブプレート67a、及び前記下部金物62の柱側プレート65の上部において柱の側面に当接する背板68を有している。そして、この背板68の柱側表面には、柱の側面に穿設された凹部内に嵌入される突起69が形成されている。この突起69は、鋼製の丸棒、短円筒体、短各筒体などで形成することができ、溶接により背板68の柱側表面に固着されている。また、背板68の梁側表面には、当該背板68と直交する方向であって、柱2の軸に平行な方向にリブプレート67bが配設されている。このリブプレート67bには、固定孔が穿設されており、この固定孔に挿通される丸棒又はボルトによって、当該リブプレート67bと梁3a、13aとが接合される。
前記ラグスクリュー63、64の頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリュー63、64と前記プレート65、66を固定するためのボルト70の径よりも、当該プレート65、66に形成されたボルト孔が大きくされており、ラグスクリュー63、64及びボルト70へのせん断力の伝達を遮断するように構成されている。
前記上部金物61及び下部金物62を構成するプレートは、それぞれ鋼板で作製されており、溶接により互いに固着されている。前記背板68は、下部金物62の柱側プレート65と同じ一枚の鋼板から作製されている。
前記接合金具アセンブリA1を用いた柱2と梁3aの接合は、以下のようにして行うことができる(柱2と梁13aの接合も同様にして行うことができる)。まず、柱2及び梁3aの所定箇所に穿設した下穴内にラグスクリュー63、64をねじ込んで、当該ラグスクリュー63、64を柱2及び梁3aにそれぞれ埋設する。ついで、ラグスクリュー63を埋設した柱2の側面に下部金物62を取り付ける。この場合、予め柱2の側面に穿設した凹部内に下部金物62の背板68に形成した突起69を嵌入することで、容易に下部金物62の位置決め及び取付け(仮固定)を行うことができる。ついで、柱2の下側に配設されたラグスクリュー63頭部のメネジ部にボルト70を螺入することで、下部金物62を柱側面に固定させる。
つぎに、上部金物61を梁端部上面に載置して、当該上部金物61の梁側プレート66のボルト孔を貫通して、ボルト70を、梁3a内に埋め込まれたラグスクリュー64の頭部に形成されたメネジ部に螺入する。
ついで、ボルト70により上部金物61を固定した梁3aを、前記下部金物62のリブプレート上に載置する。このとき、梁13aの端部に形成されたスリットに、前記背板68に立設されたリブプレート67bが嵌入される。
ついで、リブプレート67bに穿設された固定孔に丸棒又はボルトを挿通させ、最後に、下部金物62の梁側プレート66のボルト孔を貫通して、ボルト70を、梁3a内に埋め込まれたラグスクリュー64の頭部に形成されたメネジ部に螺入するとともに、上部金物61の柱側プレート65のボルト孔を貫通して、ボルト70を、柱2内に埋め込まれたラグスクリュー63の頭部に形成されたメネジ部に螺入する。
前述した接合金具アセンブリA1を用いた柱と梁の接合では、梁端部の下面が下部金物62のリブプレート67aに載置されるとともに、背板68の柱側表面に形成された突起69が、柱2の側面に穿設された凹部内に嵌入される。また、丸棒又はボルトによってリブプレート67bと梁13とが接合される。さらに、ラグスクリュー63、64と上部金物61又は下部金物62を固定するためのボルト70の径よりもボルト孔を大きくしているので、ラグスクリュー63、64及びボルト70へのせん断力の伝達を遮断することができる。これにより、ラグスクリュー63、64により曲げモーメントを伝達し、前記突起69及び丸棒又はボルト、並びに梁端部の下面とリブプレート67aの載置面との係合によりせん断力に抵抗することができる。こうして、力の伝達経路を明確に区分けすることにより、ラグスクリュー63、64へのせん断力の伝達を回避することができる。その結果、せん断力による木質部材の割裂を防止することができ、大きな曲げモーメントを伝達することができる。
また、大地震時には、ラグスクリュー接合部が破壊する前に、接合金物60及びボルト70が降伏し、塑性化するため高いエネルギー吸収性能を得ることができる。一方、前記接合金物60などが降伏した後は、平面保持の仮定が崩れ、各構成部材への応力の再配分が生じ、局部的な応力集中が生じる。その影響は、特に大変形時において顕著となり、ラグスクリュー接合部にせん断力が生じることになるが、このときはせん断抵抗用に配設した突起69及び丸棒又はボルトが曲げモーメントにも抵抗することから、ラグスクリュー接合部への急激な応力の伝達が防止されるとともに、その破壊が抑制される。
また、火災時には梁3aの表面に近い部分に埋設されているラグスクリュー64は、抵抗力を失う可能性があるが、木質部材は火災により一定の深さまでは炭化するが内部は火災による影響が少ない。したがって、ラグスクリュー64による接合部が火災により耐力を失った後に、前記突起69及び丸棒又はボルトによる接合がその役割を担うことによって、建物の倒壊を防ぐことが可能となる。
なお、大きな曲げモーメントに抵抗するためには複数本のラグスクリュー63、64を使用する必要があるが、これらラグスクリュー63、64を接合金物60と緊結するボルト70に均等な一定張力を導入することによって、安定した性能を確保することができる。
また、前述した接合方法においては、互いに別体である上部金物61と下部金物62とからなる接合金物60を用いて柱2の側面に梁木口を接合しており、柱2の側面に固定された下部金物62に形成されたリブプレート67a上に梁端部の下面を載置している。したがって、柱2及び梁3aに埋め込まれたラグスクリュー63、64を用いて当該柱2の側面に梁木口を接合するに際し、梁3aを上方から落とし込むことで当該梁3aを所定の位置に位置決めすることができ、従来のようにクレーンなどの重機を用いて梁3aを吊った状態で当該梁3aを所定の位置に保持し続ける必要がない。その結果、施工時間を短縮することができ、また施工のための設備も簡素化することができる。これにより、施工コストを低減させることができる。
なお、前記接合金具アセンブリA1における背板68、リブプレート67b及び突起69に代えて、前記上部金物61と下部金物62との間における柱の側面及び梁木口に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を用いることもできる。この鋼板に、当該鋼板を柱及び梁端部に固定するための固着手段が挿通し得る固定孔を形成しておき、この固定孔に丸棒又はボルトなどの固着手段を挿通する。この場合、柱の側面及び梁木口に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を挿通する固着手段によりせん断力に抵抗することができ、前記接合金具アセンブリA1と同様の作用効果を奏することができる。
また、梁3bの下面に柱12の木口を接合する場合(図2の(b)参照)、及び梁13bの上面又は下面に柱12の木口を接合する場合(図3の(b)参照)、接合金具アセンブリA2を用いて接合が行われる。
かかる接合金具アセンブリA2は、前記柱12の木口と梁13bの上面又は下面との間に配設される第1金物81と第2金物82とからなる接合金物80と、柱12に埋め込まれる柱側ラグスクリュー83と、梁13bに埋め込まれる梁側ラグスクリュー84と、前記第1金物81と第2金物82との間における柱の木口及び梁13bの上面又は下面に形成された凹部内に嵌入される突起89とを備えている。前記第1金物81及び第2金物82は、いずれも柱の木口に当接する柱側プレート85と、梁13bの上面又は下面に当接する梁側プレート86と、前記柱側プレート85と梁側プレート86との間に設けられる複数のリブプレートと87を有している。
前記ラグスクリュー83、84の頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリュー83、84と前記プレート85、86を固定するためのボルト70の径よりも、当該プレート85、86に形成されたボルト孔が大きくされており、ラグスクリュー83、84及びボルト70へのせん断力の伝達を遮断するように構成されている。
かかる接合金具アセンブリA2を用いた接合では、突起89が、第1金物81と第2金物82との間における柱12の木口及び梁13bの上面又は下面に形成された凹部内に嵌入される。また、ラグスクリュー83、84と第1金物81又は第2金物82とを固定するためのボルト70の径よりもボルト孔を大きくしているので、ラグスクリュー83、84及びボルト70へのせん断力の伝達を遮断することができる。これにより、ラグスクリュー83、84により曲げモーメントを伝達し、前記突起89によりせん断力に抵抗することができる。こうして、力の伝達経路を明確に区分けすることにより、ラグスクリュー83、84へのせん断力の伝達を回避することができる。その結果、せん断力による木質部材の割裂を防止することができ、大きな曲げモーメントを伝達することができる。
なお、前記接合金具アセンブリA2における突起89に代えて、前記第1金物81と第2金物82との間における柱の木口及び梁の上面又は下面に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を用いることもできる。この鋼板に、当該鋼板を柱端部及び梁に固定するための固着手段が挿通し得る固定孔を形成しておき、この固定孔に丸棒又はボルトなどの固着手段を挿通する。この場合、柱の木口及び梁の上面又は下面に形成されたスリット内に嵌入される鋼板を挿通する固着手段によりせん断力に抵抗することができ、前記接合金具アセンブリA2と同様の作用効果を奏することができる。
図4は、図1においてAで示される部位の脚部接合部分を示しており、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。前記柱2及び柱12の各脚部も、それぞれ接合金具アセンブリA3によって基礎に接合されている。
この接合金具アセンブリA3は、柱2、12の脚部と基礎との間に配設される柱脚金物90と、柱脚部の柱背方向両端に埋め込まれるラグスクリュー91と、基礎に固定されるアンカーボルト92とを備えている。前記柱脚金物90は、柱脚部木口に当接する上部ベースプレート93と、基礎に当接する下部ベースプレート94と、前記上部ベースプレート93と下部ベースプレート94との間に設けられる壁状の複数のリブプレート95とを有している。上部ベースプレート93、下部ベースプレート94及びリブプレート95は、鋼板で作製されており、溶接により互いに固着されて一体にされている。
また、前記上部ベースプレート93の上面には、柱脚部木口に穿設された凹部内に嵌入される突起96が形成されている。この突起96は、鋼製の丸棒、短円筒体、短各筒体などで形成することができ、溶接により上部ベースプレート93の上面に固着されている。
前記ラグスクリュー91の頭部には、メネジ部が形成されており、ボルト70を螺入することで当該ラグスクリュー91を上部ベースプレート93に固定している。この上部ベースプレート93に形成された、ボルト70用のボルト孔は、当該ボルト70の外径よりも5〜10mm程度大きくされており、柱2、12にせん断力が作用したときに、ラグスクリュー91及びボルト70に当該せん断力が伝達されるのを遮断できるようになっている。
かかる接合金具アセンブリA3を用いた接合では、脚部と基礎との間に配設される柱脚金物90の突起96が柱脚部木口に穿設された凹部内に嵌入される。また、ラグスクリュー91と柱脚金物90を固定するためのボルト70の径よりもボルト孔を大きくしているので、ラグスクリュー91及びボルト70へのせん断力の伝達を遮断することができる。これにより、ラグスクリュー91により曲げモーメントを伝達し、前記突起96によりせん断力に抵抗することができる。こうして、力の伝達経路を明確に区分けすることにより、ラグスクリュー91へのせん断力の伝達を回避することができる。その結果、せん断力による木質部材の割裂を防止することができ、大きな曲げモーメントを伝達することができる。
また、本実施の形態では、図2〜4の(b)に示されるように、柱2の側面(外部側表面)から、梁3又は梁13の端部に向かってラグスクリュー71を埋設し、当該柱及び梁端部を一体化している。前記ラグスクリュー71により柱と梁を一体構造にすることによって、接合部の変形及び割裂を防止することができる。また、曲げ剛性が増加するので、柱の断面形状を必要最小限のものにすることができ、その結果、屋内空間の利用性を向上させることができる。なお、ラグスクリュー71に代えて、引きボルトを用いることもできる。引きボルトを用いる場合、当該引きボルトで両部材を締め付けた後に、部材に別途形成した孔より、ボルトと木部先穴との間のクリア部分(クリアランス)にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂などからなる接着剤を注入することにより、より強固に一体化させることができる。また、ラーメンフレームが接する部分(柱側面など)にエポキシ樹脂、レゾルシノール樹脂などからなる接着剤を塗布したのちに、前記ラグスクリュー71や引きボルトを締め込むことにより、さらに強固に一体化を図ることができる。
[B部の接合構造]
つぎに、図5〜7を参照しつつ、図1においてBで示される部位の接合部分を説明する。
図5は、図1においてBで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。また、図6は、同じく図1においてBで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。Bで示される部位の桁行方向の接合部分は、短スパンの柱と梁の接合部であるが、長期荷重に対して負担の多い接合部であることから、柱の上に梁を載せた梁勝ちラーメン構造とされている。また、梁間方向の接合部分も、柱の上に梁を載せた梁勝ちラーメン構造とされている。そして、このBで示される部位における柱の断面もAで示される部位と同じくT形にされている。
図5に示されるように、2階部分の桁行方向の梁23aの下面と2階部分の桁行方向の柱22aの木口との接合、及び2階部分の梁間方向の梁23bの下面と2階部分の梁間方向の柱22bの木口との接合は、いずれも前記接合金具アセンブリA2を用いて接合されている。
また、図6に示されるように、1階部分の桁行方向の梁33aの上面と2階部分の桁行方向の柱22aの木口との接合、及び1階部分の桁行方向の梁33aの下面と1階部分の桁行方向の柱32aの木口との接合も前記接合金具アセンブリA2を用いて接合されている。さらに、1階部分の梁間方向の梁33bの上面と2階部分の梁間方向の柱22bの木口との接合、及び1階部分の梁間方向の梁33bの下面と1階部分の梁間方向の柱32bの木口との接合も前記接合金具アセンブリA2を用いて接合されている。
また、図7に示されるように、前記桁行方向の柱32a及び梁間方向の柱32bの各脚部も、それぞれ前記接合金具アセンブリA3によって基礎に接合されている。
[C部の接合構造]
つぎに、図8〜10を参照しつつ、図1においてCで示される部位の接合部分を説明する。このCで示される部位は、建物外壁と連続していない、建物内部における柱と梁の接合部分を含んでいる。Cで示される部位における柱は、1本の断面長方形の柱ユニットの各長辺側側面に他の柱ユニットの短辺側側面を接合することで構成されており、断面略十形にされている。
図8は、図1においてCで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。また、図9は、同じく図1においてCで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。Cで示される部位では、桁行方向が柱勝ちラーメン構造であり、梁間方向が梁勝ちラーメン構造とされている。なお、図8〜10において、「正面」とは、桁行方向が図において左右に延びる面のことをいう。
図8に示されるように、2階部分の桁行方向の梁43aの木口と2階部分の桁行方向の柱42a(通し柱である)の側面との接合は、前記接合金具アセンブリA1を用いて行われている。一方、2階部分の梁間方向の梁43bの下面と2階部分の梁間方向の柱42bの木口との接合は、前記接合金具アセンブリA2を用いて接合されている。
また、図9に示されるように、1階部分の桁行方向の梁53aの木口と前記柱42aの側面との接合は、前記接合金具アセンブリA1を用いて行われている。一方、1階部分の梁間方向の梁53bの上面と2階部分の梁間方向の柱42bの木口との接合、及び1階部分の梁間方向の梁53bの下面と1階部分の梁間方向の柱52bの木口との接合は、前記接合金具アセンブリA2を用いて接合されている。
また、図10に示されるように、前記桁行方向の柱42a及び梁間方向の柱52bの各脚部も、それぞれ前記接合金具アセンブリA3によって基礎に接合されている。
なお、図8〜9の(b)において、72は、通し柱42aを挟んで配置される梁間方向の柱42b同士、及び柱52b同士を結合するために梁側面に形成された溝内に配設された引き寄せ用のボルトである。
[D部の接合構造]
つぎに、図11〜12を参照しつつ、図1においてDで示される部位の接合部分を説明する。このDで示される部位では、ラーメンフレームを構成する隣接する柱間において、当該ラーメンフレームを構成する梁73に補助柱74が接合されている。この補助柱74は、曲げモーメント及びせん断力を伝達し得る接合手段である、前記接合金具アセンブリA2を介して梁73に接合されている。かかる補助柱74を配置することにより水平力に対する抵抗力が増加するので、大きなグリッドの内部空間を構成することが可能になり、平面設計の自由度が増大する。また、図12に示されるように、補助柱74の脚部は前記接合金具アセンブリA3を用いて基礎に接合されている。
なお、前記実施の形態においては、建物の躯体構造全体をラーメン構造としているが、本発明は、これに限定されるものではなく、部分的にラーメン構造を採用した躯体構造も含まれる。例えば、建物の出隅部分だけに2方向ラーメン構造を採用して、2方向開口としてもよい。また、少なくとも一部に前述した2方向ラーメン構造を採用する限り、他の部分において従来の筋交いを用いた躯体構造としてもよい。
また、以上の説明では、複数の柱ユニットからなる柱の断面形状はT形又は十形であったが、図1に示される建物の隅部では、略L形の断面形状である。
本発明の躯体構造の一実施の形態の斜視説明図である。 図1においてAで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてAで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてAで示される部位の脚部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてBで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてBで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてBで示される部位の脚部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてCで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてCで示される部位の中間部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてCで示される部位の脚部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてDで示される部位の上部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。 図1においてDで示される部位の脚部接合部分の説明図であり、(a)は正面説明図、(b)は側面説明図である。
符号の説明
1 躯体構造
2 柱(通し柱)
3 梁
12 柱(管柱)
13 梁
22 柱
23 梁
32 柱
33 梁
42 柱
43 梁
52 柱
53 梁
60 接合金物
61 上部金物
62 下部金物
63 柱側ラグスクリュー
64 梁側ラグスクリュー
65 柱側プレート
66 梁側プレート
67 リブプレート
68 背板
69 突起
70 ボルト
71 ラグスクリュー
72 ラグスクリュー
80 接合金物
81 第1金物
82 第2金物
83 柱側ラグスクリュー
84 梁側ラグスクリュー
85 柱側プレート
86 梁側プレート
87 リブプレート
89 突起
90 柱脚金物
91 ラグスクリュー
92 アンカーボルト
93 上部ベースプレート
94 下部ベースプレート
95 リブプレート
96 突起

Claims (8)

  1. 木質部材からなる柱と梁との接合部を剛接合としたラーメン構造を含む木造建築の躯体構造であって、
    前記ラーメン構造は、長期荷重に対する負担の少ない接合部を柱勝ちラーメンとし、長期荷重に対する負担の多い接合部を梁勝ちラーメンとし、且つ
    前記柱は、水平断面が長方形の柱ユニットを、T形、L形、又は十形の水平断面となるように組み合わせたことを特徴とする木造建築の躯体構造。
  2. 長期荷重に対する負担の少ない接合部に配置した柱の側面から、長期荷重に対する負担の多い接合部に配置した梁の端部に向かってラグスクリュー又は引きボルトを埋設し、当該柱及び梁端部を一体化してなる請求項1に記載の木造建築の躯体構造。
  3. 長期荷重に対する負担の少ない接合部に配置した梁の側面から、長期荷重に対する負担の多い接合部に配置した柱の側面に向かってラグスクリュー又は引きボルトを埋設し、当該梁及び柱を一体化してなる請求項1に記載の木造建築の躯体構造。
  4. ラーメンフレームを構成する隣接する柱間において、曲げモーメント及びせん断力を伝達し得る接合手段を介して、補助柱が、前記ラーメンフレームを構成する梁に接合されている請求項1〜3のいずれかに記載の木造建築の躯体構造。
  5. 接合金具アセンブリを用いて柱の側面に梁木口が接合されており、
    前記接合金具アセンブリが、
    前記柱の側面と梁木口との間に配設される上部金物と下部金物とからなり、且つ、各金物が、柱の側面に当接する柱側プレートと、梁木口に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
    前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
    前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと
    を備えており、
    前記下部金物は、梁端部の下面を載置させ得るリブプレート、及び前記下部金物の柱側プレートの上部において柱の側面に当接する背板を有しており、
    前記背板の柱側表面には、柱の側面に穿設された凹部内に嵌入される突起が形成されており、且つ
    前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築の躯体構造。
  6. 接合金具アセンブリを用いて柱の側面に梁木口が接合されており、
    前記接合金具アセンブリが、
    前記柱の側面と梁木口との間に配設される上部金物と下部金物とからなり、且つ、各金物が、柱の側面に当接する柱側プレートと、梁木口に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
    前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
    前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
    前記上部金物と下部金物との間における柱の側面及び梁木口に形成されたスリット内に嵌入される鋼板と
    を備えており、
    前記下部金物は、梁端部の下面を載置させ得るリブプレートを有しており、
    前記鋼板には、当該鋼板を柱及び梁端部に固定するための固着手段が挿通する固定孔が形成されており、且つ
    前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築の躯体構造。
  7. 接合金具アセンブリを用いて柱の木口に梁の上面又は下面が接合されており、
    前記接合金具アセンブリが、
    前記柱の木口と梁の上面又は下面との間に配設される第1金物と第2金物とからなり、且つ、各金物が、柱の木口に当接する柱側プレートと、梁の上面又は下面に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
    前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
    前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
    前記第1金物と第2金物との間における柱の木口及び梁の上面又は下面に形成されたスリット内に嵌入される鋼板と
    を備えており、
    前記鋼板には、当該鋼板を柱及び梁端部に固定するための固着手段が挿通する固定孔が形成されており、且つ
    前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築の躯体構造。
  8. 接合金具アセンブリを用いて柱の木口に梁の上面又は下面が接合されており、
    前記接合金具アセンブリが、
    前記柱の木口と梁の上面又は下面との間に配設される第1金物と第2金物とからなり、且つ、各金物が、柱の木口に当接する柱側プレートと、梁の上面又は下面に当接する梁側プレートと、前記柱側プレートと梁側プレートとの間に設けられる複数のリブプレートとを有する接合金物と、
    前記柱側プレートを介して柱に埋め込まれる柱側ラグスクリューと、
    前記梁側プレートを介して梁に埋め込まれる梁側ラグスクリューと、
    前記第1金物と第2金物との間における柱の木口及び梁の上面又は下面に形成された凹部内に嵌入される突起と
    を備えており、
    前記ラグスクリューの頭部に形成されたメネジ部に螺入され当該ラグスクリューと前記プレートを固定するためのボルトの径よりも、当該プレートに形成されたボルト孔を大きくして、ラグスクリュー及びボルトへのせん断力の伝達を遮断するように構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築の躯体構造。
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