JP2010117015A - 固定具及びそれを用いた壁構造 - Google Patents

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一徳 堤
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Abstract

【課題】高い制震性能をもつ耐力壁を、一般的な構造用面材10を用いて、かつ部品点数も少なくて施工手間も少なく容易に実現できる固定具J1と、その固定具J1を用いて形成される制震壁構造とを提供する。
【解決手段】構造用面材10を柱2等に固定する固定具J1は、その構造用面材10と柱2等とが互いに離隔するように移動する際に、胴部22が柱2等から抜けるときの引き抜き抵抗力(F1)、頭部20が構造用面材10から抜けるときの頭貫通抵抗力(F2)、又は構造用面材10と柱2等とが互いにずれるように移動する際に、首部21及び胴部22が構造用面材10から軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力(F3)、胴部22が柱2等から同方向に沿って抜けるときの側面抵抗力(F4)の4つの抵抗力のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型のものとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、固定具及びそれを用いた壁構造に関し、特に制震技術に関するものである。
従来、一般住宅用の壁構造としては、構造用合板、火山性ガラス質複層板、石膏ボード、ケイカル板、OSB等の剛性を有する面材(構造用面材)を、柱や間柱、梁や土台等の構造材に釘やビス等の固定具を利用して留め付けて形成したものが知られている。これにより、耐力壁を構成して、住宅に大きな剛性を付与できるので、広く普及している。
ところが、上記の壁構造では、地震時の揺れを低減して損傷を抑えるような高い制震性能を付与することは困難であり、そうするためには、さらに大きな剛性を住宅に与える必要があった。その解決手段として、さらに高い剛性を有する面材を用いて強い耐力壁を構成することや、耐力壁となる箇所を多く設けることが考えられる。
しかしながら、高い剛性を有する面材を用いたとしても、留め付ける釘やビス等の固定具固有の引き抜き性能等に大きく影響されてしまったり、構造材同士の接合部で破壊されてしまうことがあるので、壁構造としては必ずしも強い剛性を得られるものではない。また、耐力壁を多くの箇所に設けると、住宅の間取りを設計する際に制約がかかってしまい、自由度が失われるという問題がある。
一方、特許文献1に示されるように、超塑性合金の制震ダンパーを柱と梁との仕口部に取り付けて耐震補強をする技術が提案されている。
また、本出願人は特許文献2に示されるように、軸材と面材との間に制震部材を介設する制震構造も提案している。
特開2005−42403号公報 特開2007−308940号公報
しかし、特許文献1に示される方法では、制震性能を付与することはできるものの、柱や梁等の構造材に部分的、集中的な応力がかかるので、壁構造として大きな剛性を得ることは困難であった。
また、特許文献2に示される制震部材によってある程度の制震性能(減衰性能)は得られるものの、一般汎用品の釘やビス等の固定具を用いて面材を柱や梁等の構造材に留め付けることになるので、さらなる高い制震性能を付与することは困難である。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、高い制震性能をもつ耐力壁を、一般的な構造用面材を用いて、かつ部品点数も少なくて施工手間も少なく容易に実現できる釘、ネジ、ビス等の固定具、及びその固定具を用いて形成される制震壁構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、固定具として、その引き抜き抵抗力、頭貫通抵抗力及び側面抵抗力のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さいものとした。
具体的には、請求項1の発明では、軸線方向に連続する頭部、首部、胴部及び先端部からなり、被固定部材に重ねられた固定部材に対し先端部を先頭にして固定部材から被固定部材に向かって軸線方向に進んで、首部の一部が固定部材を貫通しかつ首部の残部と胴部とが被固定部材に嵌入された状態で、該固定部材を被固定部材に固定する固定具が対象である。
そして、上記固定部材と被固定部材とが上記軸線方向に沿って互いに離隔するように移動する際に、上記胴部が被固定部材から上記軸線方向に沿って抜けるときの引き抜き抵抗力、及び上記頭部が固定部材から上記軸線方向に沿って抜けるときの頭貫通抵抗力、並びに上記固定部材と被固定部材とが上記軸線方向と直交する方向に沿って互いにずれるように移動する際に、上記首部が固定部材から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力、及び上記首部及び胴部が被固定部材から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力の4つの抵抗力のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さいことを特徴とする。尚、本発明では、上記4種類の抵抗力を単に「抵抗力」と言うことがある。
この請求項1の発明では、被固定部材に重ねられた固定部材に対し固定具が固定部材から被固定部材に向かって軸線方向に進んで、首部の一部が固定部材を貫通しかつ首部の残部と胴部とが被固定部材に嵌入された状態で、固定部材が被固定部材に固定される。
そして、固定具の引き抜き抵抗力、頭貫通抵抗力及び側面抵抗力のいずれよりも引っ張り降伏応力が小さく形成されているので、この固定具を用いて、例えば固定部材としての構造用面材を被固定部材としての柱等の構造材に留め付けるだけで、他に特殊な部材を用いることなく、剛性のある耐力壁を形成することができ、高い制震性能を付与することができる。
すなわち、上記引き抜き抵抗力、頭貫通抵抗力及び側面抵抗力のいずれよりも引っ張り降伏応力が小さく形成されている固定具を用いて構造用面材を柱等の構造材に留め付けて壁を構成すると、地震等の強い振動を壁に受けた場合において、固定具の弾性変形領域では構造用面材は破壊に至らず、また、構造材からの固定具の引き抜きもされずに、固定具の弾性変形領域を超えて塑性変形領域に至るまで壁構造として保ったまま履歴減衰を付与することができる。つまり、一般的な固定具のように、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が大きい場合は、固定具の弾性変形領域内で構造用面材や構造材が破壊されてしまうか、構造材から固定具が引き抜かれてしまうので、履歴減衰を付与することができず、大きな制震性能を得ることができないのに対し、本発明に係る固定具では、壁に高い制震性能を付与することができる。
尚、履歴減衰とは、鋼材等の材料が力を受けて変形するときに描くヒステリシスループを振動の吸収エネルギーとして利用するものである。
また、固定具は各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さく形成されているので、特殊な工具等を用いることなくハンマーやドライバー等の通常の工具で簡単に施工できるとともに、長期に亘って剛性と制震性能とを維持することができる。
本発明について、さらに説明すると、固定具の上記各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さく形成されている技術的思想を有する本発明は、単なる設計事項や材料の選択に属するものではなく、当業者では想定困難な発明である。例えば、極低降伏点鋼を用いてブレースや鋼板等を製作し、補強金物や筋交いに適用することで、耐力壁等に制震性能を付与する技術は、特開平11−62306号公報、特開2005−232760号公報、特開2008−150893号公報等多数存在する。しかし、本発明はこれらとは全く異なる技術的思想を持つものであり、例えば通常の構造材と通常の構造用面材とを用いて、通常の施工方法で構成するにも拘わらず、高い制震性能と剛性とをもつ壁構造を得ることができる等の効果が得られる。
すなわち、一般的な固定具(鉄やステンレス製の汎用釘等)は上記各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が大きい性能を持つ。このため、通常の構造材と通常の構造用面材とを用いて通常の施工方法で構成すると、地震等の強い振動を受けることにより固定具の弾性変形領域内で構造用面材や構造材が破壊されてしまったり、構造材から固定具が引き抜かれたりするので、壁構造として大きな制震性能を得ることができない。その対応として、特殊な部材や特殊な施工方法を必要としていたのである。
これに対し、本発明に係る固定具は、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さく形成されているので、固定具の弾性変形領域では構造用面材や構造材は破壊に至らず、また、構造材から固定具が引き抜かれてしまうことなく、固定具の弾性変形領域を超えて塑性変形領域に至るまで壁構造として保たれることになり、履歴減衰を付与することができて、壁に高い制震性能を付与することができるものである。
換言すると、「各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さく形成されている固定具」とは、これを用いてある特定の面材を特定の構造材に留め付けて壁構造を構成した場合において、地震等の強い振動を受けることにより、頭貫通抵抗力、引き抜き抵抗力、側面抵抗力の限界を超えて面材や構造材が破壊されたり、構造材から固定具が引き抜かれてしまうより前に、固定具が塑性変形領域に到達して履歴減衰を付与することができ、壁構造に対して高い制震性能を与えることを可能としたものである。例えば、木質の軸材に針葉樹合板をN50の釘を用いて構成した壁構造においては、頭貫通抵抗力は1400N程度、側面抵抗力は1500N程度、引き抜き抵抗力は800N程度必要となるが、本発明の固定具を適用した場合では、それぞれよりも、引っ張り降伏応力が小さいという機能を有する固定具であればよい。
請求項2の発明では、上記請求項1の固定具において、その首部の径が胴部の径よりも小さいことを特徴とする。
この請求項2の発明では、固定具の首部の径が胴部の径よりも小さいので、首部において固定具の引っ張り降伏応力を小さくすることができる。つまり、首部の径を胴部の径よりも小さくすることで、固定具の全体に極低降伏点鋼等の特殊な材料を用いなくとも、例えば一般的な鉄やステンレス鋼であっても、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具を実現することができる。
固定具の首部の径が胴部の径よりも小さいので、胴部において抜けたり切れたりするよりも、首部の方が先に変形するようになり、固定具固有の引っ張り降伏応力を小さくすることができる。
そして、胴部よりも首部が先に変形することで、住宅の制震性能を向上させることができる。つまり、構造用面材を柱や梁等の構造材に留め付けて壁を構成した場合、構造用面材及び構造材が地震等による揺れによって、特に横方向(固定具の軸線方向に対して直交方向)に力が加わると、面材や構造材が破壊されるよりも先に、固定具の首部が粘りをもって塑性変形するようになり、このことで、震動エネルギーを吸収する(履歴減衰を付与する)ことができ、結果として高い制震性能を持つ壁構造を形成することができる。
尚、胴部の径よりも小さい径をもつ首部は、構造用面材(固定部材)を柱や梁等の構造材(被固定部材)に留め付けた場合において、構造用面材と柱や梁等の構造材との境界面に位置することが望ましい。地震による横方向への力が最も加わる箇所が境界面であり、その箇所に胴部が位置すると、首部での塑性変形よりも先に弾性変形領域内であっても破壊が起こる可能性があり、的確な履歴減衰を付与できない場合があるのに対し、境界面に引っ張り降伏応力の小さい首部が存在することで、固定具の引き抜けや面材等の破壊に先立って、的確に固定具を塑性変形させることができる。
また、胴部の径よりも小さい径をもつ首部の長さは、胴部の径の2倍以上の長さであることが望ましい。この首部の長さを胴部の径の2倍以上とすることで、固定具の引っ張り降伏応力をより小さくすることができるとともに、より的確に、面材と構造材との境界面に固定具の首部を位置させることができる。
請求項3の発明では、請求項1又は2の固定具により、固定部材としての剛性を有する面材が、被固定部材としての、構造材又は該構造材に固定される受材に留め付けられていることを特徴とする。
この請求項3の発明では、剛性を有する面材を、上記各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具を用いて構造材又は受材に留め付けて壁構造としているので、他に特殊な部材を用いることなく、剛性のある耐力壁を形成することができるとともに、高い制震性能を付与することができる。それにより、住宅の制震性能を向上させることができる。
一般に、耐力壁となる壁構造の耐震性能(耐力)は、面材における固定具の頭部貫通抵抗力や引き抜き抵抗力、面材の強度等によって決定される。請求項3の発明の構成によれば、少なくとも各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具が使用されて履歴減衰が付与されるので、制震性能の高い壁構造を得ることができる。この履歴減衰は、地震による壁構造の破壊に至る過程において、特に重要なエネルギー吸収力である。
また、面材や構造材における固定具の頭部の頭貫通抵抗力や側面抵抗力、引き抜き抵抗力は、全てが固定具の引っ張り降伏応力よりも大きいことが必要である。引っ張り降伏応力よりも小さいと、固定具が履歴減衰を付与する前に構造材から引き抜かれたり、面材や構造材が破壊されてしまうので、必要な制震性能を得ることが難しくなるからである。
尚、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具のみを使用して、剛性を有する面材を構造材や受材に留め付けて壁構造を構成してもよく、一部の固定具を一般汎用品にしてもよい。本発明の固定具と一般汎用品の固定具とを併用することで、耐力壁としての剛性をさらに高めることができる。
また、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具における性能は、全ての使用箇所に同等のものを用いてもよいし、異なる性能のものを必要な箇所に必要な強度に応じて適宜留め付ける施工としても構わない。
請求項4の発明では、請求項3の壁構造において、面材は構造材又は受材に対し、面材の垂直部又は水平部の一方が、請求項1又は2の固定具で留め付けられ、他方が、請求項1又は2とは異なる固定具(例えば材料が鉄やステンレス鋼等の非極低降伏点鋼からなる一般汎用品の固定具)で留め付けられていることを特徴とする。
この請求項4の発明では、剛性を有する面材を構造材又は受材に固定具で留め付けて形成した壁構造において、面材の垂直方向又は水平方向のどちらか一方は、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい請求項1又は2の固定具で留め付けられ、他の方向は、請求項1又は2とは異なる例えば一般汎用品等の固定具で留め付けられているので、どちらかの方向に優先的に履歴減衰を付与させることができ、効率のよい制震性能を得ることができる。
例えば、面材の垂直方向は各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具で留め付けて、面材の水平方向は一般汎用品の固定具で留め付けると、垂直方向において面材へ内部応力を大きく吸収することができ、振動を低減し損傷を抑えることができる。
つまり、面材の水平方向に留め付ける固定具を一般汎用品とすることで、その高い剛性によって水平方向における構造材と面材との変形(相対的ずれ)を防ぐことができる一方、面材の垂直方向に留め付ける固定具は各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具とすることで、垂直方向において履歴減衰を付与し、震動エネルギーを吸収することができ、よって、高い剛性と制震性能を併せ持った壁構造を得ることができる。
一般に、構造用面材はその長手方向が垂直方向となるように留め付けられるため、その分、垂直方向の固定具本数は水平方向よりも多くなり、垂直方向に本発明の固定具を取り付けた方が、効率よく履歴減衰を付与させることができる。
請求項5の発明では、上記請求項3又は4の壁構造において、上記面材と構造材との間に制震部材が介在されていることを特徴とする。
この請求項5の発明では、面材が制震部材を介して構造材に固定されているので、より高度な制震性能(減衰性能)を付与した壁構造を得ることができる。
以上説明したように、請求項1の発明の固定具によると、胴部が被固定部材から軸線方向に沿って抜けるときの引き抜き抵抗力、及び頭部が固定部材から軸線方向に沿って抜けるときの頭貫通抵抗力、並びに首部が固定部材から軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力、及び首部及び胴部が被固定部材から軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力の4つの抵抗力のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さいことにより、固定具を用いて例えば固定部材としての構造用面材を被固定部材としての柱や梁等の構造材に留め付けた場合に、他に特殊な部材を用いることなく、剛性のある耐力壁を形成して、高い制震性能を付与することができるとともに、特殊な工具等を用いることなくハンマーやドライバー等の通常の工具で簡単に施工して、長期に亘って剛性と制震性能とを維持することができる。
請求項2の発明の固定具によると、その首部の径を胴部の径よりも小さくしたことにより、首部での引っ張り降伏応力を小さくして、固定具の全体に特殊な材料を用いなくとも、各抵抗力よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具を実現することができる。
請求項3の発明によると、剛性を有する面材を、構造材又は該構造材に固定される受材に固定具により留め付ける壁構造として、その固定具に請求項1又は2の固定具を用いたことにより、他に特殊な部材を用いることなく、剛性のある耐力壁を形成して、高い制震性能を付与でき、住宅の制震性能を向上させることができる。
請求項4の発明によると、面材の垂直部又は水平部の一方を、請求項1又は2の固定具で構造材又は受材に留め付ける一方、他方は、請求項1又は2とは異なる一般汎用品等の固定具で留め付けるようにしたことにより、面材の垂直部又は水平部のどちらかの方向に履歴減衰を付与させることができ、効率のよい制震性能を得ることができる。
請求項5の発明によると、面材と構造材との間に制震部材を介在させたことにより、より高度な制震性能を付与した壁構造を得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[実施形態1]
図3〜図5はそれぞれ本発明の実施形態に係る互いに異なる耐震壁構造を示す。これらの図において、1は住宅における土台で、この土台1は住宅の主要な構造強度を受け持つ構造材を構成する下部横架材であり、例えば105×105mmの木材や集成材等の木質系材料からなる。
上記土台1上の端部及び中間部には垂直方向の構造材としての例えば105×105mmの複数本の柱2,2が、またこれら隣り合う柱2,2間の位置に同様の構造材としての少なくとも1本の例えば30×105mmの間柱3がそれぞれ各室内外側面を土台1の室内外側面と略面一にして立設固定されている。上記柱2,2の間隔は例えば910mmであり、間柱3は柱2,2間に例えば455mmの間隔で配置される。
また、上記柱2及び間柱3の上部には上部横架材としての例えば105×180mmの桁4が架設されて固定され、この桁4の下面において柱2及び間柱3間には例えば30×40mmの上側受材5,5が釘等により取付固定されている。
上記土台1の上面には複数枚の床下地材6,6が周縁端縁を土台1上面の幅方向中央部に位置付けて載置固定され、この各床下地材6の端部は土台1に対し釘等により取付固定されている。
図示しないが、上記土台1上に固定される床下地材6の端部において、土台1上の上記各柱2と干渉する部分には、その柱2を嵌め込む床下地材欠込み部が形成されている。一方、上記各間柱3の下端部には、該下端部の隅角部を矩形状に欠き込んでなる間柱欠込み部が設けられており、上記床下地材6の端部は、その一部が上記各間柱3の間柱欠込み部の下部に差し入れられ、かつ端部における各床下地材欠込み部がそれぞれ柱2を嵌め込まれた状態で上記土台1上に載置されて固定されている。
さらに、上記床下地材6の端部上には、隣接する柱2及び間柱3間の長さに切断された例えば40×40mmの下側受材7,7が柱2及び間柱3の下部間に位置するように差し込まれ、この各下側受材7は、柱2及び間柱3間において床下地材6の端部を挟んだ状態で上記土台1に釘等により一体的に固定されている。
そして、床下地材6の端部のうち、床面の周縁に位置する端部近くの上面には、例えば長さ(高さ)2551.5mm、幅910mm、厚さ15mmの構造用合板からなる複数枚の構造用面材10,10が下端部を床下地材6上面から離隔して立設されている。この各構造用面材10は壁下地材を構成しており、その下端部は上記下側受材7の室内側面に、また左右側部は上記柱2,2の室内側面に、さらに左右中間部は各間柱3の室内側面に、また上端部は上記上側受材5の室内側面に、それぞれ少なくとも第1固定具J1,J1,…を用いて固定されている。構造用面材10としては、構造用合板の他、火山性ガラス質複層板、石膏ボード、ケイカル板、OSB等を用いてもよい。
本実施形態では、上記構造用面材10が本発明でいう「剛性を有する面材」を構成している。また、土台1、柱2、間柱3及び桁4はいずれも構造材と呼ばれるものであるが、そのうちの柱2及び間柱3が本発明でいう「構造材」を構成している。また、上側受材5及び下側受材7は、「構造材に固定される受材」であり、構造用面材10が柱2及び間柱3と上側受材5及び下側受材7とに少なくとも第1固定具J1,J1,…により留め付けられている壁構造とされている。
構造用面材10を柱2及び間柱3と上側受材5及び下側受材7とに留め付けるために用いられる第1固定具J1,J,…は、本発明の実施形態1に係るものであり、この第1固定具J1について説明する。以下の説明では、第1固定具J1により上記構造用面材10を左右側縁部で柱2に固定する構造について例示的に説明することとし、左右中央部や上下縁部で間柱3、上側及び下側受材5,7に固定する構造については、柱2に固定する構造と同じであるので、説明を省略する。尚、この実施形態では、構造用面材10が「固定部材」を、また柱2、間柱3、上側及び下側受材5,7が「被固定部材」をそれぞれ構成している。
すなわち、第1固定具J1は、図1(a)に拡大して示すように、軸線方向に連続する頭部20、首部21、胴部22及び先端部23からなるリングネイルと呼ばれる釘、又は図1(b)に拡大して示すように、軸線方向に連続する頭部20、首部21、胴部22及び先端部23からなるねじで構成されている。
釘からなる第1固定具J1は、図2(a)に示すように、柱2(被固定部材)に重ねられた構造用面材10(固定部材)に対し打ち込まれることで、先端部23を先頭にして構造用面材10から柱2に向かって軸線方向に進んで、首部21の一部が構造用面材10を貫通しかつ首部21の残部と胴部22とが柱2の一部に嵌入された状態で、その構造用面材10を柱2に固定する。一方、ねじからなる第1固定具J1は、図2(b)に示すように、柱2(被固定部材)に重ねられた構造用面材10(固定部材)に対しねじ込まれることで、先端部23を先頭にして構造用面材10から柱2に向かって軸線方向に進んで、首部21の一部が構造用面材10を貫通しかつ首部21の残部と胴部22とが柱2の一部に嵌入された状態で、その構造用面材10を柱2に固定する。図中、25は固定具J1の貫通により構造用面材10に形成された貫通孔、26は同様に柱2に形成された嵌入孔である。
そして、第1固定具J1は、通常一般のリングネイル又はねじと同じ形状であるが、材料がそれらと異なっている。つまり、第1固定具J1は、例えば極低降伏点鋼等からなっており、その構造用面材10と柱2とが第1固定具J1の軸線方向に沿って互いに離隔するように移動する際に、上記胴部22が柱2から上記軸線方向に沿って抜けるときの引き抜き抵抗力(F1)、及び上記頭部20が構造用面材10から上記軸線方向に沿って抜けるときの頭貫通抵抗力(F2)、並びに上記構造用面材10と柱2とが上記軸線方向と直交する方向に沿って互いにずれるように移動する際に、上記首部21及び胴部22が構造用面材10から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力(F3)、及び上記胴部22が柱2から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力(F4)の4つの抵抗力(F1)〜(F4)のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型とされている。
上記極低降伏点鋼は低降伏点鋼とも呼称されるもので、本発明では応力300N/mm以下で塑性変形する鋼材、或いは降伏荷重が小さくて変形能力に優れた超塑性合金からなる鋼材をいう。
上記各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が小さい第1固定具J1の具体例としては、例えば長さ50mm、釘頭径6.5mm、胴部径2.8mm、リング外径2.9mm、降伏点100N/mmの釘が挙げられる。
(固定具の施工パターンの例)
上記説明した図3〜図5は、上記構造用面材10を柱2、間柱3、上側及び下側受材5,7に固定する場合の第1固定具J1の種々の施工パターンを例示している。
図3及び図4に示す例では、上記第1固定具J1に加えて、第2固定具J2が用いられて固定されている。この第2固定具J2は、鉄やステンレス鋼等の通常一般のリングネイル(釘)やねじからなる非減衰付加型のものとされている。
まず、図3に示す例では、例えば構造用面材10の周縁部及び左右中央部において第1及び第2固定具J1,J2が1本ずつ交互に並ぶように配置されて施工され、同じ種類の第1固定具J1,J1間及び第2固定具J2,J2間にはそれぞれ一定の間隔があけられている(尚、図中、第1固定具J1は黒丸で、また第2固定具JJ2は白丸でそれぞれ示している)。具体的に、構造用面材10は周縁部では、例えば第1固定具J1,J1間及び第2固定具J2,J2間がいずれも300mmの間隔(第1及び第2固定具J1,J2間は150mmの間隔)をあけて柱2、上側及び下側受材5,7に固定され、左右中央部では、第1固定具J1,J1間及び第2固定具J2,J2間がいずれも400mmの間隔(第1及び第2固定具J1,J2間は200mmの間隔)をあけて間柱3に固定される。
また、図4に示す例では、構造用面材10の周縁部のうちの左右縁部及び左右中央部のみが第1固定具J1,J1,…により柱2及び間柱3に固定され、上下縁部は第2固定具J2,J2,…により受材5,7に固定されていて、構造用面材10の縦目地部(垂直部)のみに第1固定具J1を使用している。第1固定具J1,J1の間隔及び第2固定具J2,J2の間隔はいずれも例えば150mmである。尚、図4に示す例とは異なり、構造用面材10の周縁部のうちの上下縁部のみを第1固定具J1,J1,…により受材5,7に固定し、左右縁部及び左右中央部は第2固定具J2,J2,…により柱2及び間柱3に固定して、構造用面材10の横目地部(水平部)のみに第1固定具J1を使用してもよい。
一方、図5に示す例では、構造用面材10の周縁部の全てが第1固定具J1,J1,…により柱2、間柱3及び受材5,7に固定されている。また、この図5に示す例では、構造用面材10において柱2、間柱3、受材5,7側にある室外側面の左右側部には、柱2の近傍位置に上下方向に延びる角材からなるダンパー受材12が、その長さ方向(上下方向)の中央を構造用面材10の上下中央位置と一致せしめて取付固定され、このダンパー受材12の上下部と、該ダンパー受材12近傍の柱2との間に制震ダンパー13(制震部材)が介在されている。この制震ダンパー13は、図6に拡大して示すように、断面L字状で一側部が柱2の左右側面にビス止めにより固定されかつ他側部がダンパー受材12に対向して配置される軸材取付部14と、ダンパー受材12に被さるように室外側から外嵌合されてビス止めにより固定される断面コ字状の面材取付部15と、一側面が上記軸材取付部14の他側部の室内側面に、また他側面が面材取付部15の室外側面にそれぞれ一体に接着されて、該軸材取付部14及び面材取付部15の間に介在された粘弾性ダンパー16とからなり、この粘弾性ダンパー16によって制震するようにしている。
上記粘弾性ダンパー16とは、例えばシリコン系粘弾性体、ジエン系粘弾性体、イソプレンゴム(IR)系粘弾性体、天然ゴム(NR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)やイソプレンゴム(IR)やニトリルゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)等をベースとした高振動減衰性のゴム組成物等の粘弾性を有する材料により得られ、高減衰性能を有するものであり、長尺板状、方形板状、円柱状等に形成されている。
尚、各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具J1,J2における性能は、全ての使用箇所に同等のものを用いてもよいし、異なる性能のものを必要な箇所に必要な強度に応じて適宜留め付ける施工としても構わない。
また、第1及び第2固定具J1,J2の全てをリングネイルで構成し、又は全てをねじで構成してもよく、さらには第1及び第2固定具J1,J2としてリングネイルやねじを混在して使用することもできる。
(実施形態1の効果)
したがって、この実施形態においては、耐震壁構造の施工時、各構造用面材10は、下端部が下側受材7に、左右側部が柱2,2に、さらに左右中間部が間柱3に、また上端部が上側受材5に、それぞれ第1固定具J1,J1,…及び第2固定具J2,J2,…の2種類により固定される。
具体的には、これら柱2、間柱3及び受材5,7に重ねられた構造用面材10に対し各固定具J1,J2が構造用面材10から柱2、間柱3及び受材5,7に向かって軸線方向に進んで、首部21の一部が構造用面材10を貫通しかつ首部21の残部と胴部22とが受材5,7、柱2又は間柱3の一部に嵌入された状態で、構造用面材10が柱2、間柱3及び受材5,7に固定される。
そして、上記2種類の固定具J1,J2のうちの第1固定具J1が極低降伏点鋼等からなり、その引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)及び側面抵抗力(F3),(F4)の4つのいずれよりも引っ張り降伏応力が小さいので、この第1固定具J1を用いて構造用面材10を柱2、間柱3、受材5,7に留め付けるだけで、他に特殊な部材を用いることなく、剛性のある耐力壁を形成して、高い制震性能を付与することができ、住宅の制震性能を向上させることができる。
すなわち、この実施形態では、引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)及び側面抵抗力(F3),(F4)のいずれよりも引っ張り降伏応力の小さい第1固定具J1を用いて構造用面材10を柱2、間柱3等の構造材に留め付けて壁を構成しているので、地震等の強い振動を壁に受けた場合に、固定具J1の弾性変形領域では構造用面材10は破壊に至らず、また、構造材からの固定具J1の引き抜きもされずに、固定具J1の弾性変形領域を超えて塑性変形領域に至るまで壁構造として保ったまま履歴減衰を付与することができる。この履歴減衰は、地震による壁構造の破壊に至る過程において、特に重要なエネルギー吸収力である。
そして、一般的な固定具(鉄やステンレス製の汎用釘等)は上記各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が大きい性能を持つので、仮に、この一般的な固定具のみを用いて構造材と構造用面材10とを通常の施工方法で施工すると、地震等の強い振動を受けることにより固定具の弾性変形領域内で構造用面材10や構造材が破壊されてしまったり、構造材から固定具J2が引き抜かれてしまうので、履歴減衰を付与することができず、壁構造として大きな制震性能を得ることができない。
これに対し、本発明の実施形態に係る第1固定具J1は、各抵抗力(F1)〜(F4)の4つよりも引っ張り降伏応力が小さく形成されているので、固定具J1の弾性変形領域では構造用面材10や柱2、間柱3、受材5,7等の構造材は破壊に至らず、また、構造材から固定具J1が引き抜かれてしまうことなく、固定具J1の弾性変形領域を超えて塑性変形領域に至るまで壁構造として保たれることになり、履歴減衰を付与することができるので、壁に高い制震性能を付与することができるのである。尚、上記第1固定具J1の引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)や側面抵抗力(F3),(F4)は、引っ張り降伏応力よりも小さいと、固定具J1が履歴減衰を付与する前に柱2等から引き抜かれたり、構造用面材10や柱2等が破壊されてしまい、必要な制震性能を得ることが難しくなるので、全ての抵抗力(F1)〜(F4)が固定具J1の引っ張り降伏応力よりも大きいことが必要である。
また、各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が小さい第1固定具J1と一般汎用品からなる第2固定具J2とを使用して、剛性を有する面材を構造材や受材に留め付けて壁構造を構成することで、耐力壁としての剛性をさらに高めることができる。
さらに、各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が小さい固定具J1であるので、特殊な工具等を用いることなく、ハンマーやドライバー等の通常の工具で簡単に施工できるとともに、長期に亘って剛性と制震性能とを維持することができる。
[実施形態2]
図7及び図8は本発明の実施形態2を示し、第1固定具J1の構成を変更したものである。すなわち、上記実施形態1では、第1固定具J1は、その材料を極低降伏点鋼等からなすことで、引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)及び側面抵抗力(F3),(F4)の4つのいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型とされている。
これに対し、本実施形態では、第1固定具J1の材料は、通常一般の釘やねじと同様の鉄やステンレス鋼等が用いられており、形状のみが異なる。
具体的には、第1固定具J1は、図7(a)に示すように、軸線方向に連続する頭部20、首部21、胴部22及び先端部23からなるリングネイルと呼ばれる釘、或いは図7(b)に示すように、軸線方向に連続する頭部20、首部21、胴部22及び先端部23からなるねじであるが、いずれも、その首部21の径dが胴部22の径D(釘の場合は最大径、ねじの場合は山部の径)よりも小さくされており(d<D)、首部21は全体が胴部22よりも小径とされている。このことで、第1固定具J1は、引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)及び側面抵抗力(F3),(F4)の4つの抵抗力(F1)〜(F4)のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型とされている。尚、釘にあっては、首部21は全体が同じ径の棒状のものとされ、ねじの首部21は軸線方向の中央が最小径で頭部20及び先端部23に向かって滑らかに徐々に大径になっており、この最小径部分の径が首部21の径dとされている。
この首部21の長さLは、首部21の径dの2倍以上に設定されている(L≧2d)。
そして、この固定具J1は、構造用面材10を柱2等に固定した状態では、図8(a),(b)に示すように、構造用面材10と柱2との境界面を中央にして首部21の長さLに相当する所定長さの範囲に亘り固定具J1の嵌入による構造用面材10の貫通孔25及び柱2の嵌入孔26の各内周面との間に隙間27が形成されるようになっている。
第1固定具J1のその他の構成は実施形態1と同様である。また、この第1固定具J1を用いて構造用面材10を柱2、間柱3、上側及び下側受材5,7に固定する施工構造も実施形態1と同じである(図3〜図5参照)。
(実施形態2の効果)
したがって、この実施形態2においては、第1固定具J1の首部21の径dが胴部22の径Dよりも小さいので、首部21において固定具J1の引っ張り降伏応力を小さくすることができる。つまり、首部21の径dを胴部22の径Dよりも小さくすることで、胴部22において抜けたり切れたりするよりも、首部21の方が先に変形するようになり、固定具J1固有の引っ張り降伏応力を小さくすることができる。そのため、実施形態1のように、固定具J1の全体に極低降伏点鋼等の特殊な材料を用いずに、一般的な鉄やステンレス鋼であっても、抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力が小さい第1固定具J1が実現する。
そして、胴部22よりも首部21が先に変形することで、住宅の制震性能を向上させることができる。つまり、構造用面材10を柱2や間柱3等の構造材に留め付けて壁を構成した場合、構造用面材10及び構造材が地震等による揺れによって特に横方向(固定具J1の軸線方向に対して直交方向)に力が加わると、構造用面材10や構造材が破壊されるよりも先に、第1固定具J1の首部21が粘りをもって塑性変形するようになり、このことで、震動エネルギーを吸収することができ(履歴減衰を付与することができ)、結果として高い制震性能を持つ壁構造を形成することができる。よって、実施形態1と同様の作用効果が得られる。
また、第1固定具J1の胴部22の径Dよりも小さい径dをもつ首部21は、構造用面材10と柱2や間柱3等の構造材との境界面に位置している。すなわち、地震による横方向への力が最も加わる箇所が境界面であり、その箇所に胴部22が位置すると、首部21での塑性変形よりも先に弾性変形領域内であっても破壊が起こる可能性があり、的確な履歴減衰を付与できない場合があるのに対し、境界面に引っ張り降伏応力の小さい首部21が存在することで、固定具J1の引き抜けや面材等の破壊に先立って、的確に固定具J1を塑性変形させることができる。
また、胴部22の径Dよりも小さい径dをもつ首部21の長さLが、胴部22の径dの2倍以上の長さであるので、固定具J1の引っ張り降伏応力をより小さくすることができるとともに、構造用面材10と構造材との境界面に固定具J1の首部21をより的確に位置付けることができる。
[その他の実施形態]
上記各実施形態では、第1固定具J1は釘又はねじからなるものとしたが、その他、頭部、首部、胴部及び先端部からなるビスで構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1固定具J1は、材料に極低降伏点鋼等を用いるか、或いは首部21の径dを胴部22よりも小さくすることで、引き抜き抵抗力(F1)、頭貫通抵抗力(F2)、及び側面抵抗力(F3),(F4)のいずれよりも引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型としているが、実施形態1のように材料に極低降伏点鋼等を用い、かつ実施形態2のように首部21の径dを胴部22の径Dよりも小さくすることで、各抵抗力(F1)〜(F4)のいずれよりも引っ張り降伏応力が小さい減衰付加型の第1固定具を構成してもよい。また、その他の手段により各抵抗力(F1)〜(F4)よりも引っ張り降伏応力を小さくするようにしてもよく、例えば中芯材料をゴム系材料で、また外側周囲材料を金属系材料でそれぞれ構成した複合材料で固定具J1を形成したり、胴部22と首部21とを異種材料とすることにより固定具J1を形成したりして、上記機能を実現させてもよい。要は、固定具J1が4つの抵抗力(F1)〜(F4)のいずれよりも引っ張り降伏応力が小さいという機能を有すればよい。
さらに、上記実施形態では、構造用面材10を木質材料からなる構造材や受材に固定する場合を説明したが、本発明は、構造用面材10を金属材料からなる構造材や受材に固定する場合にも適用できる。
本発明は、剛性を有する面材が構造材や受材に留め付けられている耐震壁構造及びその面材の固定具の分野で極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
図1は、本発明の実施形態1に係る第1固定具を示す拡大正面図である。 図2は、実施形態1に係る第1固定具により構造用面材を柱に固定した構造を示す拡大断面図である。 図3は、耐震壁構造を室内側から見て示す正面図である。 図4は、構造用面材に対する固定具の施工パターンの変形例を示す図3相当図である。 図5は、構造用面材に対する固定具の施工パターンの他の変形例を示す図3相当図である。 図6は、図5のVI−VI線拡大断面図である。 図7は、本発明の実施形態2に係る第1固定具を示す図1相当図である。 図8は、実施形態2に係る第1固定具により構造用面材を柱に固定した構造を示す図2相当図である。
符号の説明
J1 第1固定具
1 土台
2 柱(構造材、被固定部材)
3 間柱(構造材、被固定部材)
4 桁
5 上側受材(被固定部材)
7 下側受材(被固定部材)
10 構造用面材(剛性を有する面材、固定部材)
13 制震ダンパー(制震部材)
20 頭部
21 首部
22 胴部
23 先端部
27 隙間
d 首部の径
D 胴部の径

Claims (5)

  1. 軸線方向に連続する頭部、首部、胴部及び先端部からなり、被固定部材に重ねられた固定部材に対し先端部を先頭にして固定部材から被固定部材に向かって軸線方向に進んで、首部の一部が固定部材を貫通しかつ首部の残部と胴部とが被固定部材に嵌入された状態で、該固定部材を被固定部材に固定する固定具であって、
    上記固定部材と被固定部材とが上記軸線方向に沿って互いに離隔するように移動する際に、上記胴部が被固定部材から上記軸線方向に沿って抜けるときの引き抜き抵抗力、及び上記頭部が固定部材から上記軸線方向に沿って抜けるときの頭貫通抵抗力、並びに上記固定部材と被固定部材とが上記軸線方向と直交する方向に沿って互いにずれるように移動する際に、上記首部が固定部材から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力、及び上記首部及び胴部が被固定部材から上記軸線方向と直交する方向に沿って抜けるときの側面抵抗力の4つの抵抗力のいずれよりも、引っ張り降伏応力が小さいことを特徴とする固定具。
  2. 請求項1の固定具において、
    首部の径が胴部の径よりも小さいことを特徴とする固定具。
  3. 請求項1又は2の固定具により、固定部材としての剛性を有する面材が、被固定部材としての、構造材又は該構造材に固定される受材に留め付けられていることを特徴とする壁構造。
  4. 請求項3の壁構造において、
    面材は構造材又は受材に対し、面材の垂直部又は水平部の一方が、請求項1又は2の固定具で留め付けられ、他方が、請求項1又は2とは異なる固定具で留め付けられていることを特徴とする壁構造。
  5. 請求項3又は4の壁構造において、
    面材と構造材との間に制震部材が介在されていることを特徴とする壁構造。
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