JP5762236B2 - 建築用耐力パネル、ならびにこれを用いた建築物及び耐震性増強工法 - Google Patents

建築用耐力パネル、ならびにこれを用いた建築物及び耐震性増強工法 Download PDF

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Description

本発明は木造軸組建築物を始めとする各種の建築物における耐震性向上に必要な耐力パネルに関する。
従来の木造軸組建築物は、柱間及び横軸組材の間に筋交いを固定して耐震性を確保し、柱の室内側には杉や檜などの板を打ちつけ内装壁の仕上げとするか、または木板の代わりに石膏ボードを用いて内装壁の下地材としている。近年では、木造軸組建築物の耐震性を高めることが着目されており、耐震性を増強する目的で、既存又は新築の建築物に耐震要素を追加することが行われている。かかる耐震要素の追加に関しては、耐震性確保の為に耐力を増大する剛性部材(耐震要素)を追加し補強する方法と、変形能力が大きい場合にエネルギーの吸収を考えて変形に追従する塑性部材(耐震要素)を付加する方法がある。
耐力を増大させる剛性の部材を追加する方法としては、構造用合板などの剛性を有する面材を梁、桁、土台などの横軸組材及び柱や間柱などの縦軸組材に釘にて打ちつける工法が用いられている。この工法は壁倍率1.5の筋交いより高い壁倍率2.0〜2.5として平成2年11月26日建設省告示第1897号に認定されている。なお構造用合板や筋交いを横軸組材と縦軸組材とに打ち付けて壁倍率が1.5以上を得るためには縦軸組材である柱間に間柱を設け、柱と間柱との間隔は500mm以下が好ましく、間柱は該建設省告示第1897号の認定の必須要件である。
またエネルギーの吸収を考えて変形に追従する塑性部材(耐震要素)を付加する方法としては、曲げ強度の高い耐力壁パネルを柱や横軸組材の外側に固定することによって、筋交いや間柱を使用しないで高い耐震性を得る工法が用いられている。このようなパネルとしては特許文献1(特開2003−306993号公報)および特許文献2(特開2007−70965号公報)で提案されている。
特許文献1では、小角材を複数個接着してパネル化し、2枚のパネルを上下隣接して使用し、その隣接部には室内側から柱間に角材を設け、室外側から釘でパネルを角材に打ちつけ、2枚のパネルを角材によって継合一体化して耐力壁パネルとしている。しかし該角材の施工はコストアップ要因であるとともに、室内側で使用するために、耐力壁パネルの室内側をそのまま内装壁として使用する場合はパネル接合部の角材が内装壁に現れるために内装壁デザインとして大きな制約材料となる。またパネルは小角材を縦方向に並べて製作されるが、湿度の変化によって小角材の含水率が変化し幅方向での寸法変化が大きい。その結果パネルの幅方向で伸縮する欠点を有し、施工後の室内湿度の変化によってパネルは幅方向で大きく伸縮する。湿度が高い場合はパネルは幅方向に伸長し、その結果パネル両端の柱の間隔を押し広げ、湿度が低い場合は柱間を縮める寸法安定性に欠ける短所を有している。
また特許文献2では、変形後の耐力要素の交換を容易にかつコスト的に有利に行うことができる耐力壁の構造として、高さ方向の中間部に低耐力要素である孔あき鋼板が備えられると共に、高さ方向の上下両側に高耐力要素である無孔鋼板が備えられ、水平力により、中間の孔あき鋼板が上下の無孔鋼板に先行して変形をしエネルギーの吸収を行うようになされており、かつ、孔あき鋼板は交換可能に備えられている耐力壁の構造が提案されている。
特開2003−306993号公報 特開2007−70965号公報
曲げ強度の高い耐力壁パネルを柱や横軸組材の外側に固定することで、変形時のエネルギーを吸収し耐震性を確保することは種々提案されており、また低耐力要素である孔あき鋼板を備えた耐力壁も提案されているが、耐力壁パネルの面に沿う方向に対する大きなせん断変形能力を有し有効なせん断強度を持つ耐力壁パネルとすることについて、未だ改良の余地がある。
そこで本発明では、有効な面内せん断強度を有しながら変形に追従する能力の高い耐力壁パネルとすることを第一の課題とする。
また、耐震性を向上させるためには、耐力パネルはせん断強度が高いだけではなく、更に変形時のエネルギー吸収を効率的に行う必要がある。
よって本発明では、耐力パネルはせん断強度及びエネルギー吸収性能のバランスが取れた耐力パネルを提供することを第二の課題とする。
そして従来の合板を作った耐力壁は、パネル自体の面内せん断変形が小さいため、周囲の固定材部分での釘のスリップにより、最大1/30の変形角までを限界としていた。しかし大きな外力が作用した場合に、大きな面内変形能力を備えながら、その外力に抗する耐力を有する耐力パネル(耐震要素)を実現できれば、パネルが面外に変形したり、破損するといった事態を大幅に減じることができ、木造建物の倒壊限界とされる1/15の変形角まで耐震効果を維持できる。
そこで本発明では、耐震要素として、パネルの面内方向の大きなせん断変形を有し、かつ補強に必要な耐力を有する耐力パネルを提供することを第三の課題とする。
上記課題の少なくとも何れかを解決するため、厚さ方向に貫通する複数の開口を設けることで面内変形能力を向上させた耐震要素としての耐力パネルを提供するものであり、特に開口の形状や配列、或いはパネル自体の曲げ強度と開口割合などに着目することで、面内変形能力を向上させ、耐震性を向上させることのできる耐力パネルを提供するものである。
即ち本発明では、建築物における耐震性を向上させるために使用される耐力パネルであって、規則的または不規則に配置された複数の開口部がパネルの厚さ方向に貫通しており、各開口部は対向する辺を有する形状に形成されている耐力パネルを提供する。
開口部の形状に関し、対向する辺を有する形状としては、もっとも望ましくは四角形であるが、当該四角形には正方形、長方形、ひし形など、各種の四角形が含まれる。また四角形に限らず、6角形、8角形など、各種の2の倍数となる多角形状に形成しても良い。更に、このような多角形における角部分を丸めた形状、即ち多角形の角を倒した形状にすることもできる。このような形状に形成することで、対向する辺同士により開口部自体が変形可能となり、これにより耐力パネルは塑性を発揮することができる。更に、本発明にかかる耐力パネルは、面内における変形を何れかの方向に集中させたい場合、或いは集中させたくない場合には、開口部を一部に曲線部分を有する形状に形成して変形時の応力を分散させることも考えられる。
また上記耐力パネルにおいて、前記開口部は、内角を構成する隅部分の少なくとも何れか又は全ての角部分が円又は楕円形状に拡大された形状であることが望ましい。特に、略四角形に形成された四隅の少なくとも何れかの角部分が円又は楕円形状に拡大された形状である事が望ましい。この耐力パネルでは複数の開口により、建物の変形に追従し変形を許容させる所、従来のパネルに比較し大幅に面内変形量を大きくすることができる。塑性変形させる所本発明では開口部を特に四角形に形成することでパネル自体を網目状にし、塑性変形(面内変形)しやすく、塑性変形によるエネルギー吸収が期待出来、また面内変形量を大きくすることができる。しかしながら、一方で変形時の荷重が大きくなった場合には、その応力は四角形に形成された開口部の四隅に集中することになり、その結果、当該耐力パネルは各開口部の四隅から破断することが考えられる。またこの開口部の四隅において変形の自由度を持たせれば、より面内(塑性)変形しやすくなる。そこで、本発明にかかる耐力パネルでは、開口部の四隅における少なくとも何れかの角部分、望ましくは4隅の対角位置に存在する角部分、更に望ましくは全ての角部分は、円又は楕円形状に拡大させた形状に形成することが望ましい。即ち、このように円又は楕円形状に拡大された角部分では、拡大された円又は楕円形状の1/4範囲で四角形の角部分と交差した形状に開口することになる。ここで、角部分を円または楕円形状に拡大させる形状とは、単に角を円形に倒すのではなく、四角形の角よりも外側に広がる様に、円または楕円形状を拡大させた形状である。更に、単に角に円形を加えたものだけではなく、四角形の角よりも外側に広がる様に円形または楕円形状に類似の高次の多角形状を拡大させた形状も含む。
また本発明にかかる耐力パネルにおいて、前記複数の開口部は、夫々の開口部の対角線上に配置されている事が望ましい。このように配置することで、当該耐力パネルは、開口部の各辺方向に沿う向きに変形することができ、よって面内変形能力を発揮することができる。なお、何れかの角部分を円又は楕円形状に拡大した場合には、厳密な意味での対角線は存在しないことになるが、この場合には各辺の交点を角部分と想定して対角線を特定することができる。
また本発明において、前記開口部は、当該耐力パネルの高さ方向に沿う辺と、幅方向に沿う辺とで構成することができる。このように形成すれば、仮に耐力パネルが全体としてひし形に形成されて設置された場合でも、建築物の高さ方向に交差する向きに面内変形し、塑性領域まで変形しながら、その振動エネルギーを吸収・減衰させることができる。
上記開口部は、耐力パネルの設置状態における高さ方向及び幅方向に整列させて配置することが望ましいが、より多くの変形量を確保したい場所がある場合には、当該場所に開口部を多く設けることができる。
また本発明にかかる耐力パネルが合板を用いて形成される場合には、合板の厚さをT(mm)、四角形に形成された開口部の対辺間の距離をL(mm)、開口部の四隅に形成された丸孔部の直径をR(mm)、開口部同士のピッチをA(mm)とした場合、以下の条件を満たして形成されることが望ましい。
「L/T」の値が1.85以上で、7.4以下である。
「R/L」の値が0.4以上で、1.6以下である。
「A/T」の値が3.335以上で、13.34以下である。
一方、本発明にかかる耐力パネルが鋼板等の金属板を用いて形成される場合には、合板の厚さをT(mm)、四角形に形成された開口部の対辺間の距離をL(mm)、開口部の四隅に形成された丸孔部の直径をR(mm)、開口部同士のピッチをA(mm)とした場合、以下の条件を満たして形成されることが望ましい。
「L/T」の値が1.85以上で、14.8以下である。
「R/L」の値が0.4以上で、3.2以下である。
「A/T」の値が3.335以上で、26.68以下である。
合板又は金属板のそれぞれについて、耐力パネルの厚さ(T)、四角形に形成した開口部の対辺間の距離(L)、開口部の四隅に形成した丸孔部の直径(R)、開口部同士のピッチ(A)を上記の要件を満たすように設定することで、大きな面内変形能力を確保すると共に、面内変形が進んでも十分な耐力を維持できるという、2つの効果をバランスよく発揮することができる。
そして本発明では、前記課題の少なくとも何れかを解決するために、上記本発明にかかる耐力パネルを用いて構築乃至は改築された建築物を提供する。即ち本発明では、耐震要素を追加することで耐震性が増強された、既存又は新築の建築物であって、当該耐震要素として、上記本発明にかかる耐力パネルが使用されており、当該耐力パネルは、建築物が大きく変形した場合に変形のエネルギーを吸収しながら変形に追従する建築物を提供する。
特に木造建築物の場合には、耐力パネルにより強度を補強しながらも、揺れに対しては塑性変形して振動エネルギーを減衰させることができ、これにより耐震性が向上された建築物とすることができる。なお、この耐力パネルは他のパネルと組み合わせて形成したモジュール化されたパネルの一部に使用することもできる。
上記した本発明にかかる耐力パネルは、木造建築に使用する場合には木製の構造用合板を使用する事が望ましいが、他の素材でも耐震強化の効果を期待することができる。例えば、樹脂板(炭素繊維やガラス繊維等の繊維補強のものを含む)、合板と樹脂板を接着した複合板、鉄板、合板と鉄板を接着した複合板、PC板を含む鉄筋コンクリート板(壁・床)等を基材として用いて、これに上記のような開口部を形成することで本発明にかかる耐力パネルとすることができる。また、その他にもアルミニウム板や銅板等の金属板や変形性能の大きな耐力面材、火山性ガラスと鉱物質繊維からなる無機質系耐力面材(例えば、大建工業(株)製、商品名「ダイライト」など)などを使用することもできる。
即ち、樹脂板(繊維補強のものを含む)や金属版なども木製の構造用合板と同様に耐震要素の基材として使用することができる。素材として大きな変形能力のものも考えられることから、更なる効果も期待できる。全体として面内せん断変形(部分的には面内曲げ変形)を発生しやすくするものであり、開口部として、四角形の四隅に丸孔を有する四角孔を配した耐震要素を付加すれば、この耐震要素は高次のラーメン構造となり、一定の変形が期待できる。構造用合板と樹脂板を接着した複合板も同様に判断でき、面外耐力が合板のみの場合に比較して大きいので、更なる効果も期待できる。
また、鉄板も木製の構造用合板と同様に耐震要素の基材として使用することができる。耐震要素として使用した場合、鉄板は剛性が高いことから、従来は使用した耐震壁に応力が集中し、それを前提にした設計がなされるが、本発明に係る耐力パネルでは、特に、無開口パネルや丸孔のパネルに比較して、使用した耐震壁に過度に応力が集中するのを防ぐ効果が期待できる。また降伏しやすい鋼材(即ち、低降伏応力度鋼材)を使用した場合には、特に大きな制震効果も期待できる。
また、鉄筋コンクリートも木製の構造用合板と同様に耐震要素の基材として使用することができる。但し、一般的に鉄筋コンクリートではパネルの面内変形はほとんど期待できないが、それでも本発明にかかる耐力パネルとして、四角形の四隅に丸孔を有する四角孔の開口部を配すれば、高次のラーメン構造となり、一定の変形が期待できる。またラーメン構造となる交差部の端部で曲げの塑性変形が発生すれば、一定のエネルギー吸収効果も期待できる。
本実施の形態にかかる耐力パネルを示す斜視図 開口部の形状を示す要部拡大図 他の実施の形態にかかる耐力パネルを示す正面図 実施例における四隅に丸孔を有す試験体を示す図面 実施例における四角孔試験体を示す図面 実施例における丸孔試験体を示す図面 実施例2の試験体Aを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Bを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Cを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Dを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Eを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Fを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Gを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Hを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Iを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Jを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Kを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Lを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Mを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Nを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Oを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。 実施例2の試験体Pを示す図面(A)、その試験結果を示す表(B)、その試験結果を示すグラフ(C)。
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる耐力パネル10を説明する。
図1は本実施の形態にかかる耐力パネル10の基本構成を示す斜視図であり、図2は他の実施の形態にかかる耐力パネル10を示す斜視図であり、図3は更に他の実施の形態にかかる耐力パネル10を示す斜視図である。
図1に基づき望ましい実施形態にかかる耐力パネル10の形態を示すと、この耐力パネル10は、構造用合板の平面部分に厚さ方向に貫通する開口部20を複数形成してなり、個々の開口部20は、四角形(特に正方形)の四隅を円形に拡張した部分22を具備する形状に形成されている(図2(A)参照)。
図2は、この開口部20の形状を示すよう部拡大図であり、図2(A)は図1に示した開口部20を示しており、図2(B)は他の実施の形態にかかる、対向する辺21を具備する四角形に形成した開口部20の例を示している。特に図2(A)に示すように、開口部20における直線状の縁部(対向する辺21)の交差部分(即ち角部分22)を円形に繰り抜くことにより、揺れによって発生する変形応力を当該円形に形成された縁部分22で分散することができる。即ち何れかの部分に応力が集中することが無いことから、破断することなく塑性変形量を大きくすることができる。また図2(B)に示すように、直線状の縁部(対向する辺21)を有する四角形に形成した場合には、塑性変形時に角部分に応力が集中しやすくなるが、少なくとも対向する辺21を有しており、対向する辺21同士が別々に移動可能であることから、変形時の応力が小さくなり、単なる円形の開口部20を形成した場合に比べて、より変形しやすい耐力パネル10が実現する。
再び図1を参照すると、上記のように形成される開口部20は、各開口部20の対角線が直線状になるように配置されている。また、この実施の形態にかかる開口部20は略正方形に形成されていることから、各開口部20は縦横に直列配置されており、全体として略網目構造を呈している。なお、かかる開口部20の配置は、その他にも例えば図3に示すように、交互に段違いにして配置することもできる。
そしてこの耐力パネル10は、図1及び図3に示すように、それ自体も四角形に形成されており、その四隅を、最寄の開口部20の1/4程度を含む範囲まで切除した切り欠き部14を具備している。このように耐力パネル10の角部分を切除することにより、揺れによって生じる応力が逃がされ、面内変形を拘束せず、むしろ面内変形を許容する効果が期待できる。その結果大きな変形になった場合に面が広がる方向に塑性領域まで変形し、エネルギーを吸収することが期待できる。
なお、当然のことながら、各開口部20の配置場所、配置間隔、および大きさなど、ならびに耐力パネル10の全体の大きさや厚さおよび形状などは、要求される塑性変形量や剛性(耐力)に応じて適宜調整することができる。
〔試験目的〕
本実施例では、耐震性を増強する目的で変形能力が大きい場合にエネルギーの吸収を考えて変形に追従する耐震要素を付加する方法に関し、木造で多く採用される構造用合板の耐震要素に大きな面内変形能力を付加する可能性を試験したものである。
即ち、面内変形能力の向上には構造用合板に開口することが考えられるが、開口する孔の形状で大きく性能が変化することを確認するべく、孔の形状に着目し、優位性の高い形状を試験したものである。
〔試験概要〕
試験体として、図4に示すように四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角)の開口部を設けた試験体(以下「四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体」)、図5に示すように四角孔(53mm角) の開口部を設けた試験体(以下「四角孔(53mm角) 試験体」)、そして図6に示すように丸孔(直径60mm)の開口部を設けた試験体(以下「丸孔(直径60mm)試験体」)を用意し、各試験体について耐力と変位状況を確認した。なお、夫々の試験体において、開口部は6行×6列の合計64個とし、構造用合板性耐力パネル(厚さ12mmでほぼ同じ開口率)の四隅をカットしたものを準備した。また変形角の測定については、図4に示すように、試験体を土台、桁材、柱材からなる周辺材に枠材で固定した状態において、土台の高さ方向の中心から桁材の高さ方向中心までの距離を900mmとし、桁材の高さ方向中心における水平方向への移動距離から算出した。即ち当該移動量が10mmである場合には、変形角は10/900であり、1/90となる。よって変形角が1/30とは、桁材の高さ方向中心における水平方向への移動距離が3mmであり、また1/15とは、桁材の高さ方向中心における水平方向への移動距離が6mmである。
その他の要点を以下に示す。
(1) 試験体形状
図4〜6参照
(2)試験基準
(財)日本住宅・木材技術センターが発行する「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)」に準拠して行った。
〔試験結果要点比較検討〕
試験結果より各タイプの要点を比較検討する。
(1) 変形能力
(イ)1/30の変形角状況
各試験体で今回3回の押し引きの繰り返し試験を1/30の変形角でも実施したが、その際の状況を以下に示す。
・丸孔(直径60mm)試験体:
3体中2体で枠に破損が発生し、大きく面外方向に変形が確認された。十分に面内変形能力がないことが確認された。
・四角孔(53mm角) 試験体:
1体で、この前の1/50の変形角試験の段階から端部に剥離破損が生じ、1/30の段階で破損した。面外方向に変形が確認されたが、丸孔試験体より小さい変形であった。
・四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体:
1体で、一部に亀裂を生じたが、全体として3回の繰り返し試験を終了した。面外方向に変形が確認されたが、面外方向への変形量は、四角孔試験体よりさらに小さい変形量であった。
(ロ)最終変位状況
各試験体で耐力がなくなるまで、加力してその最大変位を調べたが、その際の状況を以下に示す。
・丸孔(直径60mm)試験体:
平均最大変位 55.335mm
・四角孔(53mm角) 試験体:
平均最大変位 60.750mm
・四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体:
平均最大変位 64.468mm
この結果から四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体が最も大きな変形能力を持っていることがわかった。
(2)最大耐力
前出の設計基準で各タイプの試験体の平均短期許容応力を算出すると、以下のようになった。
・丸孔(直径60mm)試験体:
平均短期許容応力 7.268 kN
・四角孔(53mm角) 試験体:
平均短期許容応力 7.439 kN
・四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体:
平均短期許容応力 6.360 kN
この結果から四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角)試験体の耐力が最も低いものとなった。しかし、極端に低いものではなく、今回目標とした変形能力向上の確保の目的から問題ないものと判断できる。
〔考察〕
以上の試験結果から大きな開口を有する構造用合板の耐震要素において、四隅に丸孔を有する四角孔の試験体の変形能力向上に果たす効果は大きいことが確認された。そして面内変形量を大きくしながらも十分な耐力を有することから、四角孔(53mm角) 試験体と、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) 試験体においては、丸孔(直径60mm)試験体に比べても高い変形能力を具備すると共に、変形が進んでも耐力が維持されるという有効性が立証された。特に、四隅に丸孔を有する四角孔の試験体においては、この変形能力と変形時の耐力のバランスが向上することから、より望ましい耐力パネルとなることが分かった。
この実験では、耐力パネルの材質、耐力パネルの厚さ、開口部の有無、開口部の形状の違い、四角の開口部の大きさとその四隅に形成した丸孔の大きさとの関係等による耐力とせん断変形量を確認するべく、図7〜21に示す試験体A〜Pの試験体を作成し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加した時の力と、面内せん断変形量を確認した。なお、各図面(A)中に示した数字は長さを表しており、単にはミリメートルである。また変形角の測定方法は前記実験例1と同じである。
〔試験体A〕
図7(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(40mm角) である。この試験体を図7(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図7(B)に、この表をグラフにしたものを図7(C)に示す。
〔試験体B〕
図8(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:2級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(40mm角) である。この試験体を図8(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図8(B)に、この表をグラフにしたものを図8(C)に示す。
〔試験体C〕
図9(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、丸孔(直径50mm)である。この試験体を図9(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図9(B)に、この表をグラフにしたものを図9(C)に示す。
〔試験体D〕
図10(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用いて試験体を作成した。この試験体Dは、その厚さ方向に貫通する開口部は形成されていない。この試験体を図10(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図10(B)に、この表をグラフにしたものを図10(C)に示す。
〔試験体E〕
図11(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、丸孔(直径60mm)である。この試験体を図11(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図11(B)に、この表をグラフにしたものを図11(C)に示す。
〔試験体F〕
図12(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔を形成していない単なる正方形(53mm角)である。この試験体を図12(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図12(B)に、この表をグラフにしたものを図12(C)に示す。
〔試験体G〕
図13(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(50mm角) である。この試験体を図7(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図13(B)に、この表をグラフにしたものを図13(C)に示す。
〔試験体H〕
図14(A)に示すように、厚さ12mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を図14(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図14(B)に、この表をグラフにしたものを図14(C)に示す。
〔試験体I〕
図15(A)に示すように、厚さ15mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を図15(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図15(B)に、この表をグラフにしたものを図15(C)に示す。
〔試験体J〕
図16(A)に示すように、厚さ2.3mmのスチール板を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図16(B)に、この表をグラフにしたものを図16(C)に示す。
〔試験体K〕
図17(A)に示すように、厚さ3mmのアルミニウム板を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図17(B)に、この表をグラフにしたものを図17(C)に示す。
〔試験体L〕
図18(A)に示すように、厚さ15mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径24mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図18(B)に、この表をグラフにしたものを図18(C)に示す。
〔試験体M〕
図19(A)に示すように、厚さ15mmの構造用合板(日本農林規格:1級)を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径6mm)を有する四角孔(55mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図19(B)に、この表をグラフにしたものを図19(C)に示す。
〔試験体N〕
図20(A)に示すように、厚さ2.3mmのスチール板を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径6mm)を有する四角孔(30mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図20(B)に、この表をグラフにしたものを図20(C)に示す。
〔試験体O〕
図21(A)に示すように、厚さ2.3mmのスチール板を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径9mm)を有する四角孔(45mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図21(B)に、この表をグラフにしたものを図21(C)に示す。
〔試験体P〕
図22(A)に示すように、厚さ2.3mmのスチール板を用い、その厚さ方向に貫通する複数の開口部を縦横方向に整列させて形成した。開口部の形状は、四隅に丸孔(直径12mm)を有する四角孔(65mm角) である。この試験体を前記図16(A)に示すように試験機に設置し、桁材に対して、その長さ方向に荷重を付加し、その時の力と、面内せん断変形量を確認した。
結果の表を図22(B)に、この表をグラフにしたものを図22(C)に示す。
〔考察〕
上記の各試験体についての実験結果から、開口部は四角形の四隅に丸孔を形成した形状であれば、より面内変形能力が高く、耐力の維持能力も高いことを確認することができた。また、スチール板を用いた試験体J,N,O,Pの実験結果から、スチール板などの金属板を用いても本発明の効果を発揮できる耐力パネルとし得ることを確認できた。
一方、単に丸い孔を形成した試験体C及びDでは、変形角1/30付近で面がい破壊が発生してしまい、耐力パネルとして十分な効果が得られなかった。
更に試験体L〜Pの実験結果から、面体変形量と耐力の維持能力のバランスを考えれば、構造用合板を用いたもの、及びスチール板等の金属板を用いたものの夫々が、以下の関係式を満たすことが望ましいことが確認された。
<合板の場合>
今回の実験により最も有効となったものは、以下の試験体であった。
四角孔部分の辺寸法 55mm×55mm
四隅の丸孔部分径 12mm
合板厚 15mm及び12mm
そこで、最も安定的変形性状を示した15mm厚として関係式を求めると、
厚さ:T(mm)
四角孔の辺寸法:L(mm)
四隅の丸孔直径:R(mm)
開口穴のピッチ:A(mm) とすると以下の関係式(1)〜(3)を満たすことが望ましい。
関係式(1): L=3.7×T
関係式(2): R=0.8×L
関係式(3): A=6.67×T
合板の性状の違いも考慮すると、この関係式(1)〜(3)の下限値として約50%以上、上限値として約200%以下の範囲で有効性があると考察する。
そして上記の実験で一定の効果が確認されたのは、四角孔部分の辺寸法が40mmのものであり、これは換算値72%相当となっており、上記の範囲に入っている。
依って、合板を用いた場合には、以下の関係式を満たすことが望ましい。
「L/T」の値が1.85以上で、7.4以下である。
「R/L」の値が0.4以上で、1.6以下である。
「A/T」の値が3.335以上で、13.34以下である。
<鋼鈑等金属板の場合>
鋼鈑等金属板は剛性が高く、一般的に無開口では極めて面内せん断変形は小さい。そこで上記の実験では、合板と同じ大きさの開口部からスタートし、開口部を小さくして、その数を増加された試験体で実験したところ、面内せん断変形量の増加がみられた。
合板の実験による開口部の有効バランス関係式から各要素の数値を求めると、
L=3.7×2.3=8.51≒9mm
R=0.8×2.3=1.84≒2mm
A=6.67×2.3=15.34≒16mm となる。
よって、金属板は上記関係式(1)〜(3)の下限値として約50%以上、上限値として約400%以下の範囲で有効性があると考察する。
そして上記の実験で一定の効果が確認されたのは、L=30mm、R=6mm、A=50mmであったことから、それぞれの換算率は、L:333%、R:300%、A:313%となっている。
よって金属板を用いた場合には、以下の関係式を満たすことが望ましい。
「L/T」の値が1.85以上で、14.8以下である。
「R/L」の値が0.4以上で、3.2以下である。
「A/T」の値が3.335以上で、26.68以下である。
合板又は金属板のそれぞれについて、耐力パネルの厚さ(T)、四角形に形成した開口部の対辺間の距離(L)、開口部の四隅に形成した丸孔部の直径(R)、開口部同士のピッチ(A)を上記の要件を満たすように設定することで、大きな変形能力を確保すると共に、変形が進んでも十分な耐力を維持できるという、2つの効果をバランスよく発揮することができる。
また、上記の実験では、最も有効性の確認された厚さ15mmの合板に四角穴を配置し、コーナーの丸穴のみ大きくした場合と小さくした場合の試験を行っている。即ち、四隅の丸孔の直径を24mmにした試験体L(大きな孔)においては、面外変形は発生しなかったが、変形角1/30から耐力が上昇しなくなった。このことより、より高い耐力が要求される耐震要素として使用する場合には、四隅の丸孔の孔径をあまり大きくしないことが望ましいことが確認された。一方、四隅の丸孔の直径を6mmにした試験体M(小きな孔)においては、変形角1/20から面外変形が発生していた。このことから十分な変形能力という部分での変形能力を求められる場合の耐震要素として使用する場合には、四隅の丸孔の孔径をあまり小さくしないことが望ましいことが確認された。
以上の実験結果から、本発明にかかる耐力パネルについて、従来のパネル利用の耐震要素にはない、変形能力と変形が進んでも耐力が維持されるという有効性が立証された。
即ち、上記の実験結果では、変形角1/20でも安定して耐力を示し、耐震壁としての試験を行っても、十分な応答値を示していた。また、最大約1/10の変形角まで一定の耐力を保持していた事が確認された。これはパネルの面内変形能力と耐力の維持能力の極めて高いということを示すものである。
本発明によって新しい耐力パネルが提供されることにより、建築物における耐震性の向上が図られ、例えば木造軸組み建築や、わが国古来の木造建築物においても、振動による変形エネルギーを効果的に吸収しながらも、変形に追従する耐震要素が実現する。
その結果、木造で多く採用される構造用合板の耐震要素に大きな面内変形能力を付加することができ、建築物全般において耐震性を向上させることが可能になる。
10 耐力パネル
14 切り欠き部
20 開口部
21 辺
22 角部分

Claims (5)

  1. 建築物における耐震性を向上させるために使用される耐力パネルであって、
    規則的または不規則に配置された複数の開口部がパネルの厚さ方向に貫通しており、
    各開口部は対向する辺を有すると共に、略四角形に形成された四隅の少なくとも何れかの角部分が円又は楕円形状に拡大された形状に形成されていることを特徴とする耐力パネル。

  2. 前記複数の開口部は、夫々の開口部の対角線上に配置されている、請求項1に記載の耐力パネル。
  3. 前記開口部は、当該耐力パネルの高さ方向に沿う辺と、幅方向に沿う辺とで構成されている、請求項1又は2に記載の耐力パネル。
  4. 耐震要素を追加することで耐震性が増強された、既存又は新築の建築物であって、
    当該耐震要素として、請求項1〜の何れか一項に記載の耐力パネルが使用されており、
    当該耐力パネルは、建築物が大きく変形した場合に変形のエネルギーを吸収しながら変形に追従することを特徴とする、建築物。
  5. 既存又は新築の建築物に対して耐震要素を追加する建築物の耐震性増強工法であって、
    曲げ強度の高い耐力パネルを柱及び横軸組材の少なくとも何れかの外側又は内側に固定する耐力パネル固定工程を含み、
    当該耐力パネルが、請求項1〜の何れか一項に記載の耐力パネルであることを特徴とする建築物の耐震性増強工法。
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