JP2007303070A - 壁補強構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存住宅の内壁材を除去した左右の柱4,4間に数段の横材19を平行に配置し、上下の横架材5,2と左右の柱4の柱頭と柱脚との結合を補強金物21で補強すると共に前記横材19の両端を入隅結合金物(L形金物20)で左右の柱4に結合して金物がすべて柱の内側に位置した架構体Bを形成し、架構体Bの室内側面に耐力用の構造用合板24を上下方向で複数に分割し、上横架材(胴差5)との間に天井スペースをまた下横架材(土台2)との間に床スペースを残して、左右の柱間に固定し補強された耐力壁とする。
【選択図】図8
Description
特許文献3も同様であるが、対向する一対の柱と胴差し及び土台からなる壁構面に補助横架材を2段に取り付けこの面に面材を当て周縁を固定した構造としている。大壁構造を利用した補強構造と言える。
この発明は、面としての壁に充分な耐力を持たせ、耐震補強を図ることを課題とする。
架構体を構成する上下の横架材と左右の柱の柱頭及び柱脚との結合は、補強金物で補強される。また、前記横材の両端はL形金物など入隅結合金物で左右の柱に結合する。これらの金物はすべて柱の内側に配置されることが、耐力用板材を架構体に固定する際の障害とならず、また、仕上げ作業が短縮されるので好ましいが、家全体を一気に補強する工事となる場合のように、必ずしも内側に納めなくてもよい場合もある。
この耐力壁は、既存住宅の内壁を除去するだけで施工できるから、室内側からの施工となり、天井や床を壊したり、外壁まで壊すような拡大した工事とならない。このため、施工期間が短く低コストであり、居住したままでも行える。
図1は既存の木造軸組み工法住宅における一階の壁部分を概略で示したものであり、
基礎1に土台2(下横架材)が載置されてアンカーボルト3で基礎1に固定されている。土台2には、柱4が立設されている。左右の柱4の上端は胴差5(上横架材)に結合されている。柱4の室外面には外壁材6が、また室内面には内壁材7が固定され、この箇所の壁は大壁構造となっている。符合8は間柱である。
内壁材7は、構造用合板(910mm×1820mm)であり、一枚をそのまま柱4間に固定してある。実際には、左右の柱4の間には間柱8が取付けられ、これらへ壁野縁材14が数段に掛け渡され、また、柱4と間柱8の室内面に数個の補助横材15が固定されており、前記の内壁材7は、これらに固定されている。この場合、内壁材7の上部は天井の周囲に形成する回り縁16の下段室内側に位置し、下部は床の周囲に形成する巾木17と柱4との間に位置して固定され、左右は柱4の室内面に固定される。回り縁16は断面が段付きで天井周縁と壁との間に固定され、その室内側面には化粧材18が取付けられている。
壁部分Aから内壁材7を除去する。この際、隣接する内壁材7や天井材10及び床材12を損傷しないように施工する。
内壁材7を除去した壁部分Aは図2のように、胴差5と土台2(上下の横架材)及び左右の柱4が形成する枠構造の中央に間柱8が取付けられた構造となっており、これに回り縁16と巾木17が付加的に横断している状態となっている。このため、この箇所の上方を見ると、図3のように、回り縁16に取付けた化粧材18と柱4の室内面との間に空間が存在し、下方を見ると、図4のように巾木17と柱4の室内面との間に空間が存在する。
新内壁材24は図9(イ)のように、上下方向に3枚に分割して柱4と横材19に固定する。このため、数段の横材19は、図9(ロ)のように、分割された新内壁材の部分24a,24b,24cのそれぞれ上下辺と対応する配置とする。
また、横架材側固定面35が短いので、引寄せボルト30やアンカーボルト33に影響されずに柱脚と下横架材(土台2)とを結合することができる。このコーナー金物23aは、柱頭と上横架材(胴差5)との結合にも用いられる。図に示されているアンカーボルト39は、既存のものであるが、この箇所に既存のものがなく、コーナー金物23aを通じた引抜き力が土台2を基礎1から浮かせる危険がある場合には新規に取付けるものである。
このコーナー金物23bは、引抜き抵抗金物22bと組み合わせて利用され(図10ロ)、引抜き抵抗力とせん断抵抗および曲げせん断抵抗力を発揮する。
コーナー金物23cは、図10(ニ)のように、引抜き抵抗金物22と組合せないこともある。この構造では、柱4に対する引抜力はコーナー金物23cを通じて土台2へ直接伝達されるので、土台2を基礎1へ固定している既存のアンカーボルトが少ない場合には新たなアンカーボルト33を基礎1へ固定し、土台2と基礎1との結合を補強しておく必要がある。この場合のコーナー金物23cも全体として引抜き抵抗とせん断抵抗および曲げせん断抵抗兼用の金物である。
このコーナー金物23dの使用態様は図10(ホ)のようであり、コーナー金物23cの場合と類似するが、前記の特徴により、つぎの作用効果を発揮する。
また、柱4に地震力又は風力が作用して柱が傾斜する結果、柱4の面がコーナー金物23dの柱側固定面34を圧迫する。そして、側圧が一定値(木材が破壊される大きさ)に達したとき、柱4は圧迫箇所を支点に外側へ折り曲げられるような作用により折損する。このとき先行曲げ破壊凹部41があると、柱側固定面34と側壁面36が上部の先行曲げ破壊凹部41から降伏して柱4の移動に追随し、金物が必要以上に抵抗しないので、柱4がコーナー金物23dの上部で折損するのを防止することができる。これは柱の傾斜が逆の場合も同様であり、このときは、コーナー金物23dの柱側固定面34が柱4の傾斜で強力に引かれるが、先行曲げ破壊凹部41を弱点としてコーナー金物が変形することで金物の剛性を下げ、柱4が折損するのを防止している。
L形金物20(図9ハ)は、小型のL形金物であって、左右の柱4間に配置した横材19の両端で上下面に取付けられ、横材19を柱4へ結合する。
そして、柱4間を結合する横材19は両端がL形金物20で結合しているので、結合箇所は柔構造である。
ここで、柱頭、柱脚に使用する金物とその組合せについて整理する。
請求項1〔X〕+〔Y〕
請求項2〔A〕+〔A+B〕
請求項3〔A〕+〔C〕
請求項4〔A+B〕+〔A+B〕or〔C〕
構成要素〔C〕が採用された柱脚箇所は剛構造となるが、その他は、柔構造の場合と剛構造の場合がある。
〔筋交い1間〕と表示された線は、上下の横架材間に配置した柱の間隔を1間とし、たすき掛けに筋交いを入れた架構体の変位に伴う耐力線である。これによれば、〔筋交い1間〕は最高38kN程度まで耐えるが、変位80mm前後で一挙に破壊され、耐力が消失している。これに対して、〔G-wall l間〕と表示された線は、前記実施例図9イ、ロに示した単位Pを隣接させて1間(2P)とした本願による壁補強構造のものであり、規模において〔筋交い1間〕の場合と同じである。補強された耐力壁は、架構体Bと構造用合板24が40:60の割合で耐力を引き受けていると推測される。
〔G-wall l間〕の場合は、変位180mmから260mm程度まで29kN以上の耐力を維持しており、耐力を失うまで粘りのある状況を示している。〔G-wall l間〕の場合は、維持できる最高耐力が〔筋交い1間〕の場合に比べて低いが、むしろ、最高耐力に近い状態が持続するので、粘りのある耐力壁を複数配置することで建物の強さと粘りを確保する。すなわち、木造軸組み構造全体の設計を前提として必要な補強壁数を満たすことで、地震の際に軸組みが一挙に倒壊して被害を大きくする事態を回避する。
既存の木造軸組み住宅において、耐力壁として補強される壁箇所は住宅の間取りを勘案して実際に応じて定められる。
実施例は、内壁仕様としたが、本願の技術思想は外壁仕様、入隅仕様にも適用できる。
2 土台
3 アンカーボルト
4 柱
5 胴差
6 外壁材
7 内壁材
8 間柱
9 天井スペース
10 天井材
11 根太
12 床材
12a 床スペース
13 天井野縁
14 壁野縁
15 補助横材
16 回り縁
17 巾木
18 化粧材
19 横材
20 L形金物
21 補強金物
22 引抜き抵抗金物
22a 柱頭用引抜き抵抗金物
22b 柱脚用引抜き抵抗金物
23 せん断抵抗金物
23a〜23d コーナー金物
24 新内壁材(構造用合板)
24a〜24c 分割された新内壁材の部分
25 柱側固定部材(柱頭)
26 上横架材側固定部材
27 引寄せボルト
28 筒状係合部
29 柱側固定部材(柱脚)
30 引寄せボルト
31 筒状係合部
32 長ナット
33 アンカーボルト
34 柱側固定面
35 横架材側固定面
36 側壁面
37 挿通孔
38 ワッシャ
39 アンカーボルト
40 三角形の空間
41 先行曲げ破壊凹部
Claims (7)
- 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱頭補強金物は引抜き抵抗金物であると共に、柱脚補強金物は引抜き抵抗金物とせん断抵抗金物の組合せであり、入隅結合金物はL字形金物であることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱頭補強金物は引抜き抵抗金物であると共に、柱脚補強金物は引抜き抵抗とせん断抵抗及び曲げせん断抵抗の両方を兼ねた金物であり、さらに、入隅結合金物はL字形金物であることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱頭補強金物は引抜き抵抗金物とせん断抵抗金物の組合せであることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱脚補強金物は、コーナー金物とアンカーボルトとを備えた、引抜き抵抗とせん断抵抗の両方を兼ねた金物であって、コーナー金物は柱へのビス止めによる固定面と土台へのビス止めによる固定面とを一体に有し、土台への固定面にアンカー挿通孔を備え、アンカー挿通孔に、基部が基礎に固定され土台を貫通させたアンカーボルトの先端部を挿通し、アンカーボルトにナットを螺合して締め付ける構造であることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱頭補強金物は柱側固定部材に引寄せボルトを挿通して柱の軸方向で引寄せる構造の引抜き抵抗金物であり、柱脚補強金物は柱側固定部材に引寄せボルト又は基礎に固定したアンカーボルトを挿通して柱と基礎を直接に結合して柱の軸方向で引寄せる構造の引抜き抵抗金物とせん断抵抗金物の組合せであり、入隅結合金物はL字形金物であることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
下横架材が土台であって、土台と基礎の結合が追加の新設アンカーボルトで補強されていることを特徴とした壁補強構造。 - 既存住宅における上下の横架材と左右の柱が存在する壁箇所において、内壁材を除去した左右の柱間に数段の横材を平行に配置し、上下の横架材と左右の柱の柱頭と柱脚との結合を補強金物で補強すると共に前記横材の両端を入隅結合金物で左右の柱に結合して上下の横架材と左右の柱及び横材とからなる架構体を形成し、架構体の室内側面に耐力用板材を上下方向で複数に分割して固定してあり、
柱頭補強金物、柱脚補強金物は、真壁構造の柱あるいは上下横架材における取付けスペースに対応させて室内外方向の幅を小さくしてあることを特徴とした壁補強構造。
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