JP3111286U - 制振補強壁パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 構造物の柱材と横架材とで囲まれた開口部に取り付けられ、開口部を補強するとともに、地震時や強風時等の振動エネルギーを吸収することのできる構成簡素で安価な制振補強壁パネルを提供すること。
【解決手段】 並列した複数の木質部材2と、これら木質部材2同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段とから制振補強壁パネル10を構成した。地震時等には、構造物の柱材11及び横架材12、13と共にパネル10が平行四辺形状に変形し、複数の木質部材2が互いに相対変位する。この相対変位時の木質部材2同士の摩擦抵抗によって地震時等の振動エネルギーを吸収する。
【選択図】 図3
【解決手段】 並列した複数の木質部材2と、これら木質部材2同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段とから制振補強壁パネル10を構成した。地震時等には、構造物の柱材11及び横架材12、13と共にパネル10が平行四辺形状に変形し、複数の木質部材2が互いに相対変位する。この相対変位時の木質部材2同士の摩擦抵抗によって地震時等の振動エネルギーを吸収する。
【選択図】 図3
Description
本考案は、構造物の柱材と横架材とで囲まれた開口部に取り付けられ、その開口部を補強するとともに地震時や強風時等の振動エネルギーを吸収する制振補強壁パネルに関するものである。
従来、一般の木造構造物の開口部に取り付けられる制振装置として、地震時の振動エネルギーを油圧ダンパで吸収するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この制振装置は油圧ダンパを利用していることから、装置構成が複雑化し、製造コストの上昇を招く難点があった。また、構造物の取り付け作業に手間がかかる難点があった。
特開2002−357015号公報
本考案は、従来の制振装置に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、構成が極めて簡素で安価であり、新築の構造物に対しては勿論、既存の構造物に対しても簡単に取り付けることができる制振補強壁パネルを提供することを目的とする。
本考案は、構造物の左右の柱材と上下の横架材とで囲まれた開口部の一部または全部に取り付けられる制振補強壁パネルであって、
並列した複数の木質部材と、該木質部材同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段と、から構成されていることを特徴とする。
並列した複数の木質部材と、該木質部材同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段と、から構成されていることを特徴とする。
また、本考案は、前記木質部材が木材組織に沿って長い角棒木材から成り、該角棒木材を縦にして横方向に並列させたことを特徴とする。
更にまた、本考案は、前記木質部材が木材組織に沿って長い角棒木材から成り、該角棒木材を横にして縦方向に並列させたことを特徴とする。
更にまた、本考案は、前記木質部材が集成材から成ることを特徴とする。
更にまた、本考案は、前記木質部材が、該木質部材の長さ方向に並ぶ複数の木質素片から成ることを特徴とする。
更にまた、本考案は、並列して互いに隣り合う一方の前記木質部材の側面に凸部または凹部を設け、他方の木質部材の側面に該凸部または凹部に嵌合可能な相方凹部または相方凸部を設けたことを特徴とする。
更にまた、本考案は、並列して互いに隣り合う前記木質部材同士の間に弾性材を介在させたことを特徴とする。
更にまた、本考案は、並列した複数の前記木質部材のうちの両端の木質部材の外側面に、前記柱材に形成された取付凹部に嵌合可能な取付凸部を設けたことを特徴とする。
更にまた、本考案は、前記保持手段が、前記各木質部材に開設された通孔と、前記各木質部材の通孔に挿通されたボルトと、前記ボルトに螺合されたナットと、から構成されていることを特徴とする。
更にまた、本考案は、並列した複数の前記木質部材のうちの両端の木質部材に開設された前記通孔に座ぐり部を形成し、該座ぐり部に前記ボルトの頭部または前記ナットを収容したことを特徴とする。
本考案に係る制振補強壁パネルは、並列させた複数の木質部材を保持手段により互いに相対変位可能に圧接保持するだけで簡単に構成することができる。したがって、油圧ダンパを利用した従来品のように、装置構成の複雑化および製造コストの上昇を招くこともなく、構成簡素で安価な制振補強壁パネルを提供することができる。
また、本考案に係る制振補強壁パネルは、補強すべき構造物の開口部にそのまま嵌め込んで開口部の柱材等に固定するだけで簡単に取り付けることができるので、従来品のように取り付け作業に手間取ることもない。
また、本考案に係る制振補強壁パネルによれば、開口部に取り付けた状態で、複数の木質部材によって構造物の荷重を支えることができ、開口部を補強することができる。しかも、これら複数の木質部材が保持手段により圧接状態で一体的に保持されているので、荷重耐力に優れている。
そして、地震時等の横揺れによって制振補強壁パネルは、柱材及び横架材に伴なって平行四辺形状に変形し、並列した複数の木質部材は互いに相対的に変位する。したがって、この相対変位時の木質部材同士の摩擦抵抗により地震時等の振動エネルギーを吸収することができ、優れた制振効果を発揮する。また、保持手段によって木質部材同士が圧接状態で保持されているので、木質部材同士の摩擦抵抗を高めることができ、より効果的に振動エネルギーを吸収することができる。
更にまた、本考案に係る制振補強壁パネルによれば、柱材及び横架材と共に平行四辺形状に変形したときのパネルの幅が平常時よりも小さくなることから、パネルが平行四辺形状に変形することによっても木質部材同士が圧接されることになる。したがって、地震時等の揺れが大きいときほど、木質部材同士の摩擦抵抗が大きくなり、制振効果が有効に発揮される。
以下、本実施形態の制振補強壁パネル10について、図1〜図5を参照しながら詳しく説明する。
本実施形態の制振補強壁パネル10は、図1及び図2に示すように、一定の厚みを有する正面視矩形の板状体として構成されている。そして、図3に示すように、木造構造物1の左右の柱材11・11と、上部横架材である鴨居12と、下部横架材である敷居13とで囲まれた開口部14に取り付けられる。図3では、計3つの制振補強壁パネル10が開口部14に取り付けられ、開口部14の全部を完全に塞いだ例を図示しているが、制振補強壁パネル10のサイズは、補強すべき開口部に合わせて適宜に変更可能である。例えば、開口部14の開口幅に相当するパネル幅を有する制振補強壁パネルを用意し、一つの制振補強壁パネルで開口部14の全部を塞ぐようにしても良い。
本実施形態の制振補強壁パネル10は、図1及び図2に示すように、並列した複数の木質部材2と、これら複数の木質部材2同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段3とから構成されている。
木質部材2は、木材組織に沿って長い角棒木材から成り、本実施形態では間伐材から得ている。そして、取り付けるべき開口部14の開口高さとほぼ同じ長さの角棒木材を縦にして計6本、横方向に並列させている。
保持手段3は、図1及び図2に示すように、各木質部材2に開設された通孔31と、通孔31内に遊嵌状態に挿通されたボルト32と、ボルト32の先端側に刻設された雄ネジに螺合可能な雌ネジを備えたナット33とから構成されている。並列した計6本の木質部材2の通孔31にボルト32を連続的に挿通し、このボルト32にナット33を螺合し、締め付けることによって、木質部材2同士が相対変位可能に圧接保持されている。
本実施形態では、並列した計6本の木質部材2のうちの両端の木質部材2の通孔31に座ぐり部34が形成されており、これら座ぐり部34内にボルト32の頭部及びナット33を収容している。このことで、保持手段3が木質部材2の側面において外側へ突出することもなく、制振補強壁パネル10を開口部14にほぼ隙間無く嵌め込むことができる。本実施形態では、図1に示すように、木質部材2の長さ方向の上部、中央部、及び下部の計三箇所に保持手段3を設けている。
制振補強壁パネル10の開口部14への取り付けは、開口部14内に制振補強壁パネル10を嵌め込み、そして、パネル10と柱材11若しくは横架材12、13、又はパネル10同士を公知の接合金物を介して連結固定することにより行う。勿論、接合金物を使用せず、直接、パネル10を柱材11等にビス止め、釘止めしても良い。制振補強壁パネル10は、木質部材2から構成されているので、何ら特別な固定手段を用いる必要がなく、取り付け作業を容易に行うことができる。なお、制振補強壁パネル10を開口部14に取り付けた後、パネルの表面に例えば壁紙等の化粧部材を貼設してその見栄えを向上できることは勿論である。取り付け前に予めパネル表面に化粧部材を貼設しておくことも可能である。
このように本実施形態の制振補強壁パネル10は、並列させた複数の木質部材2を保持手段3により互いに相対変位可能に圧接保持するだけで構成することができる。したがって、油圧ダンパを利用した従来品のように、装置構成が複雑化して製造コストの上昇を招くようなこともなく、構成簡素で安価な制振補強壁パネルを提供することができる。
また、本実施形態の制振補強壁パネル10は、補強すべき構造物1の開口部14にそのまま嵌め込んで、パネル10を開口部14の柱材11や横架材12、13に固定するだけで簡単に取り付けることができ、従来品のように取付け作業に手間取ることもない。
また、開口部14に取り付けられた制振補強壁パネル10は、複数の木質部材2によって構造物1の荷重を支えて開口部14を補強することができる。本実施形態では、組織方向の圧縮強度に優れる角棒木材を縦にして横方向に並列させており、しかも、これら複数の角棒木材をボルト及びナットから成る保持手段3によって圧接状態で一体的に束ねているので荷重耐力に頗る優れている。
また、図4に示すように、地震時等の横揺れによって制振補強壁パネル10は、柱材11及び横架材12、13に伴なって平行四辺形状に変形し、図5に示すように、並列した複数の木質部材2は互いに相対的に変位する。したがって、この相対変位時の木質部材2同士の摩擦抵抗により地震時等の振動エネルギーを吸収することができ、制振効果を発揮する。また、保持手段3によって木質部材2同士が圧接状態に保持されているので、木質部材2同士の摩擦抵抗を高めることができ、より効果的に振動エネルギーを吸収することができる。
しかも、図5に示すように、柱材及び横架材と共に平行四辺形状に変形したときのパネル幅Sは、平常時におけるパネル幅T(一点鎖線参照)よりも小さくなることから、パネル10が平行四辺形状に変形することによっても複数の木質部材2同士が圧接されることになる。したがって、地震時等の揺れが大きいときほど、木質部材2同士の圧接の程度が大きくなり、木質部材2同士の摩擦抵抗が大きくなって制振効果が有効に発揮される。
また、本実施形態の制振補強壁パネル10は、保持手段3によって複数の木質部材2が保持されているので、振動時に中間の木質部材2が脱落してしまう惧れもない。構成簡素でありながらも確実に制振効果を発揮する制振補強壁パネルを提供することができる。
以上、本考案に係る制振補強壁パネルについて、代表的な実施形態を説明したが、本考案に係る制振補強壁パネルは、その他の形態でも実施することができる。
例えば、上記実施形態では、角棒木材から成る木質部材2を、その側面同士を単に接触させて並列させているが、例えば、図6に示す制振補強壁パネル20のように、並列して互いに隣り合う一方の木質部材4の対向側面にその長手方向に沿った凸部41を形成するとともに、他方の木質部材4の対向側面にその長手方向に沿った相方凹部42を形成し、これら凸部41と相方凹部42とを嵌合させて複数の木質部材4同士を並列させても良い。このことで木質部材4同士の接触面積を大きくすることができ、また、パネル20の捩れ強度を高めることができる。なお、一方の木質部材4の対向側面に凹部を形成し、他方の木質部材4の対向側面に相方凸部を形成して両者を嵌合させても勿論良い。
また、並列した複数の木質部材のうちの両端の木質部材の外側面に、前記柱材の内側面に設けた取付凹部に嵌合可能な取付凸部を設け、これら取付凸部と取付凹部とを嵌合させてパネルを開口部に取り付けても良い。このことで、より確実にパネルを開口部に固定でき、取付部の捩れ強度を高めることができる。
更にまた、並列して互いに隣り合う木質部材同士の間に弾性材を介在させても良い。このことで、弾性材と木質部材との摩擦抵抗を利用して振動エネルギーを吸収できるとともに、弾性材自体の弾性を利用して地震時の振動を緩衝させることができる。弾性材として、固化時に所定の弾性を有する接着剤を木質部材の間に介在させるようにしても良い。
更にまた、上記実施形態では、開口部14の開口高さとほぼ同じ長さを有する角棒木材から成る木質部材2を採用しているが、本考案は決してこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示す制振補強壁パネル30のように、各木質部材5を、長さ方向に並ぶ複数の木質素片51・52から構成しても良い。これら木質素片51・52は、縦に並べることによって開口部14の開口高さとほぼ同じ長さになる。ここでは、長さの異なる2種類の木質素片51・52を使用した例を図示している。このことで、木質部材の入手が更に容易になり、制振補強壁パネルの製造コストの低減を図ることができる。
更にまた、図8に示す制振補強壁パネル40のように、角棒木材から成る木質部材6を横にして縦方向に並列させても良い。そして、二つの制振補強壁パネル40を上下に並べた状態で開口部に取り付けるようにしても良い。上下のパネル同士は、公知の接合金物を介して連結固定しても良いが、各パネルが開口部の柱材等に固定されておれば、必ずしも上下のパネル同士が連結されていなくても良い。この制振補強壁パネル40にあっても、地震時等には木質部材6同士が相対変位してその摩擦抵抗を利用して振動エネルギーを吸収することができる。
更にまた、上記実施形態では、複数の木質部材2を圧接保持する保持手段3を、ボルトとナットとから構成しているが、本考案は決してこれに限定されるものではなく、例えば、並列した複数の木質部材の外周に、鋼材製の環状部材(箍部材)を嵌めたり、或いはゴム材製の帯状部材を巻きつけることによって複数の木質部材同士を圧接状態に保持しても良い。また、上記実施形態では、木質部材2として、間伐材から得た木材を使用しているが、複数の木材を接着して成る集成材を使用しても良い。集成材を使用すれば、間伐材を使用せずとも安価な制振補強壁パネルを市場に提供し得る。また、木質部材の数、断面形状等についても上記実施形態に限定されるものではなく種々の設計変更が可能であり、例えば、板状の木質部材を並列させてパネルを構成しても良い。
更にまた、上記実施形態では、図3に示したように制振補強壁パネル10によって開口部14の全部を完全に塞ぐ例を説明しているが、本考案は勿論これに限定されるものではなく、補強すべき開口部の一部を制振補強壁パネルで塞ぐように取り付けても良い。例えば、制振補強壁パネル10の三辺を構造物の上下の横架材及び片側の柱材に固定することにより制振補強壁パネルを開口部の脇部に部分的に取り付けても良く、また、制振補強壁パネルの上下二辺を構造物の上下の横架材にのみ固定することにより制振補強壁パネルを開口部の中程に部分的に取り付けても良い。また、制振補強壁パネルを開口部に取り付けるとき、パネルと柱材や横架材との間にスペーサまたは楔材を介在させても良い。
本考案はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの考案特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている考案特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている考案特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。
1 構造物
11 柱材
12 鴨居(上部横架材)
13 敷居(下部横架材)
14 開口部
10、20、30、40 制振補強壁パネル
2、4、5、6 木質部材
51、52 木質素片
3 保持手段
31 通孔
32 ボルト
33 ナット
11 柱材
12 鴨居(上部横架材)
13 敷居(下部横架材)
14 開口部
10、20、30、40 制振補強壁パネル
2、4、5、6 木質部材
51、52 木質素片
3 保持手段
31 通孔
32 ボルト
33 ナット
Claims (10)
- 構造物の左右の柱材と上下の横架材とで囲まれた開口部の一部または全部に取り付けられる制振補強壁パネルであって、
並列した複数の木質部材と、該木質部材同士を互いに相対変位可能に圧接状態に保持する保持手段と、から構成されていることを特徴とした制振補強壁パネル。 - 前記木質部材が木材組織に沿って長い角棒木材から成り、該角棒木材を縦にして横方向に並列させた請求項1記載の制振補強壁パネル。
- 前記木質部材が木材組織に沿って長い角棒木材から成り、該角棒木材を横にして縦方向に並列させた請求項1記載の制振補強壁パネル。
- 前記木質部材が集成材から成る請求項1記載の制振補強壁パネル。
- 前記木質部材が、該木質部材の長さ方向に並ぶ複数の木質素片から成る請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の制振補強壁パネル。
- 並列して互いに隣り合う一方の前記木質部材の側面に凸部または凹部を設け、他方の木質部材の側面に該凸部または凹部に嵌合可能な相方凹部または相方凸部を設けた請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の制振補強壁パネル。
- 並列して互いに隣り合う前記木質部材同士の間に弾性材を介在させた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の制振補強壁パネル。
- 並列した複数の前記木質部材のうちの両端の木質部材の外側面に、前記柱材に形成された取付凹部に嵌合可能な取付凸部を設けた請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の制振補強パネル。
- 前記保持手段が、
前記各木質部材に開設された通孔と、
前記各木質部材の通孔に挿通されたボルトと、
前記ボルトに螺合されたナットと、
から構成されている請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の制振補強壁パネル。 - 並列した複数の前記木質部材のうちの両端の木質部材に開設された前記通孔に座ぐり部を形成し、該座ぐり部に前記ボルトの頭部または前記ナットを収容した請求項9記載の制振補強壁パネル。
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-
2005
- 2005-04-12 JP JP2005002185U patent/JP3111286U/ja not_active Expired - Lifetime
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