JP4585470B2 - 建築物及び建造物の補強部材並びに補強構造 - Google Patents

建築物及び建造物の補強部材並びに補強構造 Download PDF

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Description

本発明は木造建築物又は鉄骨建造物における柱構造材並びに柱構造材とこれに連結する他の構造材との間に架け渡して用いられる補強部材及び該補強部材を使用した防振性及び耐震性が付与された建築物及び建造物の補強構造に関する。
木造建築物及び鉄骨建造物における防振性、耐震性の必要性は近年、益々理解が深まり、その関心度も高くなっている。なお、本発明において木造建築物というときは、木造建築物或いは木造建造物を含んだ意味で用いられ、鉄骨構造建造物というときは、軽量鉄骨建築物及び重量鉄骨建造物を含んだ意味で用いられる。
従来、木造建築物及び鉄骨建造物を補強するための補強構造としては、木造軸組建築物における柱、間柱、土台、梁及び胴差等の構造材間、木造枠組壁工法建築物における角材等の構造材間において構築される筋交いやブレス構造等の補強材を架け渡した補強構造、又は鉄骨建造物における柱、梁材等の構造材間に設けられたラーメン構造やブレス構造等の補強構造が用いられ広く知られている。
上記の補強構造は、このような補強構造が存在しない構造の建築物や建造物に比べて、耐震性や防振性が向上する。また、建築物及び建造物を補強するための補強構造として、さらに制震構造を用いて耐震性能をより高いものとするための補強構造が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1、特許文献2に示された補強構造は、一方の構造材(構造材A)と他の構造材(構造材B)とで形成される角部において、構造材Aの途中から他方の構造材Bの途中に、バネ鋼からなる補強部材を架け渡して固定してなるものである。また特許文献2に記載の補強構造は、上記構造材Aと構造材Bと補強部材とで構成される空間部内に合成樹脂発泡体を圧縮状態で固定してなるものである。
また、例えば、特許文献3には、建築物や建造物における二つの構造材で形成された仕口に設置される補強部材であって、耐震性能の高い制震構造を有し、該仕口の変形に追従して減衰効果を発揮し、また該仕口の角度を正常な位置に復元するための復元力が発揮された補強部材が示されている。
また、特許文献4には、土台と土台上に立設する柱とを締結する1枚の平板状金具に係止爪を設けた構造の柱脚金具が示されている。
特開平2003−96911号公報 特開平2003−20729号公報 国際公開第2004/051015号パンフレット 特開平8−312008号公報
この様な従来の補強構造は、一方の構造材と他方の構造材(例えば、柱と梁)との間に形成される角部において、一方の構造材と他方の構造材との間に補強部材を架け渡して補強する方式である。このような補強構造では、柱の曲げ歪が大きくなると補強作用が良好に発揮されない。また木造建築物の場合、木部の強度が固定部材の強度に負け木部が破壊する虞がある等柱の曲げ強度や固定部の強度等の性能に大きく影響され易いという問題がある。
本発明の補強部材及び補強構造は、上記のごとき従来の補強部材及び補強構造とは全く異なる発想に基づく補強部材及び補強構造であって、柱構造材の曲げ強度や固定部の強度等の性能に大きく影響されず、柱構造材にかかる引張剪断力や伸長力を吸収、減衰させ、曲げ歪も吸収することができる従来のものとは全く異なる構成からなる補強部材及び補強構造を提供するものである。
即ち、本発明の第1の発明は建築物及び建造物、特に木造建築物の補強部材に関し、
(1)木造建築物の柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部において、柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材の面に沿わせて該連結部を跨いで架け渡して取り付ける補強部材であって、
柱構造材表面と相対向して取付けられる取付け用金属部材と、エネルギー吸収体および柱構造材と連結する他の構造材との固定部を有する表面金属部材とで構成され、前記エネルギー吸収体を柱構造材の面に対応した位置となるように、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材との間にエネルギー吸収体を挟持して一体に構成し、前記表面金属部材の固定部は前記取付け用金属部材およびエネルギー吸収体が存在しない個所に設け、前記取付け用金属部材は幅方向を、前記表面金属部材の柱構造材の面に沿う部位よりも幅広として、前記取付け用金属部材の幅広部が柱構造材への取付け部を形成していることを特徴とする木造建築物の補強部材。
(2)前記エネルギー吸収体が、等価減衰常数(Heq)が10〜60%、剪断弾性係数(G)が0.05〜2.0N/mmである高減衰性ゴム、粘弾性熱可塑性樹脂から選ばれる1種であることを特徴とする上記(1)記載の木造建築物の補強部材。
(3)前記取付け用金属部材が、平板形状または長さ方向に対し垂直断面の形状がコ字形状であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の木造建築物の補強部材。
(4)前記表面金属部材が、T字形状、L字形状、または十字形状から選ばれる金属部材であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の木造建築物の補強部材。
(5)前記表面金属部材がバネ鋼で構成されていることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の木造建築物の補強部材
(6)前記取付け用金属部材表面の一端縁部付近に突起ピンが設けられ、前記表面金属部材の前記突起ピンに対応する端縁部付近に貫通する開口部を設け、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材間に前記エネルギー吸収体を挟持して、前記突起ピンを前記表面金属部材の開口部に挿入し一体に形成してなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の木造建築物の補強部材。
また、本発明の第2の発明は前記補強部材を建築物及び建造物の構造材に配置した建築物及び建造物の補強構造に関し、
(7)上記(1)〜(6)記載の補強部材を用いて、エネルギー吸収体を挟持した取付け用金属部材を柱構造材の面に相対向させて配置し、表面金属部材を柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材間に沿わせて、柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部を跨いで架け渡し、取付け用金属部材の幅広部を柱構造材に固定し、表面金属部材における、取付け用金属部材およびエネルギー吸収体の存在しない構造材との固定部において表面金属部材を柱構造材と連結する他の構造材に固定すること、を特徴とする木造建築物の補強構造。
を要旨とする。
本発明の補強部材は、建築物及び建造物の柱構造材又は柱構造材と連結される他の構造材への取付け用金属部材と、エネルギー吸収体及び表面金属部材とで構成され、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材との間にエネルギー吸収体が挟持されて一体的に構成されている構造であり、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材との間に挟持されたエネルギー吸収体が、構造材に対して外部から加わる引張剪断力又は伸縮力(引張/圧縮及び剪断による複合力)のエネルギー(変形エネルギー)を吸収し、減衰させ構造体の変形を抑制する。さらに本発明の補強部材は、補強部材を構成する金属部材が補強効果をさらに高めることができるので、防振性及び耐震性に優れた補強構造が提供される。
また、本発明の補強部材は、柱構造材と梁や土台等の柱構造材と連結される構造材との連結部に架け渡して建築物及び建造物の外壁側又は内壁側に取付けることができるので、柱構造材の曲げ強度に依存し柱1本毎のバネ強度の補強構造としてのエネルギー吸収量が耐力として加算されて補強効果を発揮する。また本発明の補強部材は柱構造材と柱構造材と連結される構造材との連結部又は柱構造材において建築物及び建造物の外壁側又は内壁側に取付けることができるので、例えば、窓と窓との間にある柱を補強することもできる。
本発明の補強部材は、個々の柱構造材等の構造材に取付けて補強することができるので、新築の建物においては勿論のこと、例えば地震などにより傾いたり歪んだりした場合の一時的な補強にも適用することができる。
また、補強部材を構成する前記表面金属部材における構造材との固定部に係止爪を設け、施工に際して該係止爪を構造材に打ち込んで使用することにより、梁や土台と柱構造材との連結部の引き抜きに対する補強を高めることができる。
前記表面金属部材が2枚のI字形状(短冊形状)で構成され、取付け用金属部材が複数に分割して配置され、そのうちの一つが2枚の表面金属部材を連結するように配置され、取付け用金属部材と表面金属部材との間にエネルギー吸収体が挟持されて一体的に構成された補強部材は、これを柱構造材の中間部に配設して柱構造材自体を補強することができる。
前記表面金属部材が2枚のI字形状で構成され、取付け用金属部材が複数に分割して配置され、そのうちの一つが2枚の表面金属部材を連結するように配置し、取付け用金属部材と表面金属部材との間にエネルギー吸収体が挟持されて一体的に構成された補強部材と、補強部材を構成する前記表面金属部材が他の形状であり柱構造材と柱構造材と連結される他の構造材とに架け渡して構造材に設置する本発明の補強部材とを併用することにより、建築物及び建造物の補強効果をさらに高めることができる。
本発明の取付け用金属部材と表面金属部材との金属部材間に高減衰ゴムのようなエネルギー吸収体が挟持されて一体的に構成された減衰効果が大きい補強部材を、建築物又は建造物の柱構造材又は柱構造材と連結される構造材に設置した補強構造は、このような補強部材を使用しない場合に比べ、構造部材に加わる引張り剪断力の30〜40%の減衰効果が得られる。また地震等による応答加速度の変形は40〜50%の減衰効果が得られる。
本発明は、木造建築物の柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部において、柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材の面に沿わせて該連結部を跨いで架け渡して取り付ける補強部材であって、
柱構造材表面と相対向して取付けられる取付け用金属部材と、エネルギー吸収体および柱構造材と連結する他の構造材との固定部を有する表面金属部材とで構成され、前記エネルギー吸収体を柱構造材の面に対応した位置となるように、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材との間にエネルギー吸収体を挟持して一体に構成し、前記表面金属部材の固定部は前記取付け用金属部材およびエネルギー吸収体が存在しない個所に設け、前記取付け用金属部材は幅方向を、前記表面金属部材の柱構造材の面に沿う部位よりも幅広として、前記取付け用金属部材の幅広部が柱構造材への取付け部を形成している木造建築物の補強部材に関する。また、本発明は、上記構成からなる補強部材を用いて、エネルギー吸収体を挟持した取付け用金属部材を柱構造材の面に相対向させて配置し、表面金属部材を柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材間に沿わせて、柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部を跨いで架け渡し、取付け用金属部材の幅広部を柱構造材に固定し、表面金属部材における、取付け用金属部材およびエネルギー吸収体の存在しない構造材との固定部において表面金属部材を柱構造材と連結する他の構造材に固定した木造建築物の補強構造に関する。
本発明において、柱構造材を「柱部材」、柱構造材と連結する構造材を「梁や土台等」ということがある。またこれらを総称して「構造材」ということがある。
本発明の補強部材について、図面を参照して具体的に説明する。
本発明の補強部材の一例を挙げその構成の概要を説明する分解斜視図を図8に示す。
図8は本発明の補強部材を説明するために模式的に示したもので、補強部材Iを構成する表面金属部材がT字形状のものを例としたものである。図8(1)は取付け用金属部材が平板状の金属部材であり、表面金属部材がT字形状である態様を示す。
図8(2)、図8(3)は、取付け用金属部材がその長手方向に対し垂直断面の形状(以下、単に断面形状という)がコ字形状の金属部材で、表面金属部材がT字形状である態様を示す。また図8(3)は、前記図8(2)の態様において、取付け用金属部材の一端縁部付近に突起ピンが設けられており、表面金属部材におけるT字形状の縦長部分の端縁部付近に、前記突起ピンを挿入する貫通する開口部が設けられている態様を示す。
上記図8(3)の態様において、取付け用金属部材に突起ピンを設ける代わりに表面金属部材の前記開口部を介して釘やネジ釘、又はボルト等により取付け用金属部材と一体に構造材に設置することもできる。
ここで、1、11は取付け用金属部材を示し、1は断面形状がコ字形状の金属部材、11は平板状金属部材を示し、2は表面金属部材を示し、3はエネルギー吸収体を示し、5は取付け用金属部材に設けられた突起ピンを示し、6は表面金属部材に設けられた貫通する開口部を示す。尚、前記突起ピンは取付け用金属部材が平板状金属部材の場合にも同様に設けることができる。
本発明に係る補強部材Iは、取付け用金属部材1又は11と、エネルギー吸収体3、及び柱構造材と連結する他の構造材との固定部を有する表面金属部材2とで構成され、前記表面金属部材において柱構造材と連結する他の構造材との固定部は、取付け用金属部材及びエネルギー吸収体を配置しない表面金属部材2で構成される部分(図8では表面金属部材のT字形状の横長部分に相当する)を形成して、前記取付け用金属部材1又は11と表面金属部材2とにより前記エネルギー吸収体3が挟持されて一体に構成されている。
取付け用金属部材1又は11、エネルギー吸収体3を配置しない表面金属部材2で構成される部分は、柱部材又は柱部材と連結する他の構造材に対する補強部材Iの固定部を形成する部分として用いられる。この補強部材Iの構造材との固定部は、例えば、前記表面金属部材がT字形状である場合はT字形状の横長部分に形成され、I字状形状の場合はI字形状表面金属部材の端部に形成される補強部材の構造材との固定部には表面金属部材と構造材との間にスペーサーを設けることができるが、スペーサーは施工時に適宜配置してもよく、予め表面金属部材に配設しておいてもよい。また構造材との固定部にスペーサーを設けることなく表面金属部材を直接構造材に取付けることもできる。表面金属部材を構造材に直接取付ける際には、構造材への取付け部(固定部)が取付け用金属部材の底面(構造材への取付け側)と面一となるようにする。
表面金属部材における構造材との固定部を形成する個所には、図7に示すように複数の係止爪22を設けることができる。この係止爪は、予め折り曲げられており、又は施工時に折り曲げ、柱部材又は柱部材と連結される他の構造材である梁や土台に打ち込み、補強部材の構造材に対する固定を更に強固にし、柱部材の引き抜きに対する強度を高めることができる。また、梁や土台に多くに釘等を打ち込むことによる亀裂の発生を抑えることができる。
本発明の補強部材Iにおいて取付け用金属部材が、断面形状がコ字形状である場合は、例えば、図10及び図11或いは参考例の図12に示すように、コ字形状部を柱部材12の側部に嵌め込み柱部材の側面部で固定することができる。取付け用金属部材として、断面形状がコ字形状を示す金属部材とした場合には、柱部材への取付け金属部材を強固に取付けることができ、また柱部材を補強する機能もあり平板状のものに比べより大きな補強効果を得ることが可能である。
本発明の補強部材において、取付け用金属部材1又は11の一端縁部付近に突起ピン5を設け、表面金属部材2の対応する個所に貫通する開口部6を設け、該開口部に突起ピンを挿入した構造とした場合、又は取付け用金属部材に突起ピンを設ける代わりに表面金属部材の開口部を介して釘やネジ釘、又はボルト等により取付け用金属部材と一体に設置した場合、引張剪断力及び伸長力が加わった際に補強部材Iにおける高減衰性ゴムなどエネルギー吸収体3の変形量を抑制し表面金属部材2と取付け用金属部材1又は11との乖離を防止する効果を奏する。
また、参考例の図6で示されるように、取付け用金属部材が複数に分割され、その一つが2枚の表面金属部材を連結するように配置されている場合には、表面金属部材を連結するように配置される取付け用金属部材の、表面金属部材の固定部に対向する他端部付近に貫通する開口部を設け、該開口部に対応する個所に突起ピンを設けて表面金属部材に挿入するようにしてもよい。また表面金属部材の開口部を介して釘やネジ釘、又はボルト等により取付け用金属部材と一体に設置することもできる。この場合も前記と同様に高減衰性ゴムなどエネルギー吸収体3の変形量を抑制し表面金属部材2と取付け用金属部材との乖離を防止する効果を奏する。
表面金属部材に設けられる前記開口部は、エネルギー吸収体の変形量を抑制することができる範囲の大きさで、突起ピンや釘やネジ釘又はボルト等の径に対し、変形量を制限させるための間隙であればよく、表面金属部材の大きさ、突起ピンの径や釘やネジ釘、又はボルト等の径にもよるが、突起ピンや釘やネジ釘又はボルト等の径と開口部の径との間隙が2〜10cm程度となる大きさが採用される。
補強部材Iを構成する表面金属部材2は、T字形状以外にL字形状、十字形状、I字形状(短冊状)又は縦断面がL字形状(かね折り形状)等が挙げられる。表面金属部材2がT字形状である場合は、梁や土台等の構造材への固定が安定しているので一つの好ましい態様である。また、表面金属部材2がL字形状である場合は、隅柱を補強する補強部材として使用するのに好適である。また、十字形状である場合には、梁を挟んで上下の柱部材を補強することができる。縦断面がL字形状(かね折り形状)である場合には、柱部材と梁や土台等の構造材とで形成される角部に取付けて補強することができる。また、本発明の補強部材Iを構成する表面金属部材2には胴縁や桟木等の外装材取付け用部材固定用ネジ孔を適宜の位置に設けることが望ましい。
本発明に係る補強部材Iの具体的な実施態様の例を図1〜図4に示す。
図1は、本発明の補強部材Iを構成する取付け用金属部材が、断面形状がコ字形状であり、表面金属部材がT字形状である態様を示す。図1(1)は平面図、図1(2)は側面図、図1(3)は、図1(1)におけるA−A線切断断面図、図1(4)は、図1(1)におけるB−B線切断断面図、図1(5)は外観斜視図を夫々示す。
図1の態様において、図1(2)、図1(3)及び図1(4)に示すように、表面金属部材2のT字形状の横長部分にはエネルギー吸収体3が配置されず、T字形状の縦長部分にエネルギー吸収体3を配置して取付け用金属部材1と挟持し接合されて一体に構成されている。エネルギー吸収体3が配置されていないT字形状の横長部分は、補強部材の構造材との固定部を形成する。また、取付け用金属部材1及びエネルギー吸収体3は、表面金属部材のT字形状の横長部分から柱部材の変形を緩衝し得る所望の間隔を設けて配置されている。この態様において補強部材Iの柱部材への固定は、取付け用金属部材1のコ字形状部で柱部材の側面部にスクリューネジや釘などの固定用治具で固定される。
前記の補強部材Iにおける構造材への固定部を形成する、取付け用金属部材及びエネルギー吸収体が配置されていないT字形状の横長部分の裏面にはスペーサー4を設けることができる。該スペーサー4は補強部材の表面金属部材2と梁や土台等の構造材との間に設けられ表面金属部材の柱部材部分との高さを水平に保つためのパッキング材で、適宜の材質のものが使用される。勿論エネルギー吸収体と同種のものを用いてもよい。なお、スペーサーを配置することなく、前記したように、構造材への取付け部(固定部)が取付け用金属部材の底面(構造材への取付け側)と面一となるようにして表面金属部材を直接構造材に取付けることもできる。
図2は、図1において補強部材Iを構成する取付け用金属部材が平板状である態様を示す。図2(1)は平面図、図2(2)は側面図、図2(3)は、図2(1)におけるA−A線切断断面図、図2(4)は、図2(1)におけるB−B線切断断面図、図2(5)は外観斜視図を夫々示す。図2の態様においては、補強部材Iを構成する表面金属部材2のT字形状の縦長部分の幅は取付け用金属部材11の幅よりも小さく、取付け用金属部材2の表面金属部材に相対向する幅広部が柱部材への取付け部を形成している。この態様の補強部材は、表面金属部材2のT字形状の縦長部分の幅より幅広い取付け用金属部材11の取付け部でスクリューネジや釘などの固定用治具により柱部材に固定される。この態様においても前記図1の態様と同様に補強部材Iの構造材との固定部を形成する表面金属部材のT字形状の横長部分の裏面にはスペーサー4を設けることができる。
図3は、補強部材Iを構成する取付け用金属部材が、断面形状がコ字形状であり、表面金属部材がL字形状である態様を示す。図3(1)は平面図、図3(2)は側面図、図3(3)は図3(1)におけるA−A線切断断面図、図3(4)は、図3(1)におけるB−B線切断断面図、図3(5)は外観斜視図を示す。
この態様においても、図3(3)、図3(4)に示すようにエネルギー吸収体3を、L字形状表面金属部材2の縦長部分と取付け用金属部材1との間に配置して挟持し接合されて一体に構成されている。本態様の補強部材においても表面金属部材2の梁や土台等の構造材との固定部を形成するL字形状の横長部分には取付け用金属部材及びエネルギー吸収体は配置されておらず、必要に応じ前記T字形状の場合と同様にスペーサー4を設けることができる。図3の態様の補強部材は隅柱への適用に好適である。尚、上記において取付け用金属部材1を平板状の金属部材とすることもできる。
図4は、本発明の補強部材Iを構成する取付け用金属部材が平板状であり、表面金属部材が十字形状金属部材である態様を示す。図4(1)は平面図、図4(2)は、図4(1)におけるA−A線切断断面図、図4(3)は、図4(1)におけるB−B線切断断面図、図4(4)は外観斜視図を夫々示す。
本態様においても、図4(3)、図4(4)に示すように、十字形状表面金属部材2の縦長部分にエネルギー吸収体3を配置して取付け用金属部材11と挟持し一体に構成されており、表面金属部材2における構造材(梁)との固定部を構成する十字形状の横長部分には、前記他の態様と同様に取付け用金属部材及びエネルギー吸収体は配置されず、スペーサー4が設けられるが、十字形状の縦長部分の構造材への取付け部を屈曲させ構造材へ直接取付けるようにすることもできる。平板状の取付け用金属部材は表面金属部材の幅よりも幅広く柱部材等の構造材への取付け部が形成されている。尚、上記において取付け用金属部材11を断面形状がコ字形状の金属部材とすることもできる。
図5、図6は、補強部材Iの参考例で、図5は縦断面がL字形状(かね折り形状)金属部材の例を示す。図5(1)は柱部材への取付け用金属部材が、断面形状がコ字形状の金属部材である場合、図5(2)は柱部材への取付け用金属部材が平板状の金属部材11である場合の外観斜視図をそれぞれ示す。図5の補強部材においても表面金属部材2の構造材(梁や土台等)への取付け固定部にはエネルギー吸収体3は配置されず表面金属部材2が梁又は土台に直接取付け固定される。図5の補強部材は柱部材と梁や土台等の構造材との間で形成される角部の補強に使用するのに好適である。
参考例の図6は、表面金属部材2が2枚のI字形状で構成され、取付け用金属部材111が複数に分割され、そのうちの一つが2枚の表面金属部材2、2を連結するように配置され、前記表面金属部材と前記取付け用金属部材の間にエネルギー吸収体3が配置され挟持されて一体に構成されている。
図6(1)は平面図、図6(2)は図6(1)におけるA−A線切断縦断面を示す。本例は、分割された取付け用金属部材111の一つが、分割された2枚の表面金属部材2、2を連結するように取付け用金属部材111が配置され、エネルギー吸収体3が2枚の表面金属部材と取付け用金属部材の間に配置されて一体に接合されて構成されている。前記2枚の表面金属部材それぞれの表面金属部材2、2におけるエネルギー吸収体の存在しない一端側に構造材(柱部材)との固定部が形成されている。分割された個々の平板状の前記取付け用金属部材111は、表面金属部材の幅より広く、個々の取付け用金属部材の柱部材への取付け部が形成されている。前記取付け用金属部材は断面コ字形状であってもよい。
参考例の図6は、柱部材に取付けて主として柱部材を補強する補強部材であり、2枚の表面金属部材それぞれの表面金属部材2、2におけるエネルギー吸収体の存在しない一端側で柱部材に固定され、柱部材に加わる横方向の力に対しエネルギー吸収体の作用によりエネルギー(変形エネルギー)を吸収、減衰し構造体の変形を抑制する。
また、表面金属部材の固定部に対向するそれぞれの他端部には所望に応じて開口部を設け、2枚の表面金属部材を連結するように配置される取付け用金属部材の前記開口部に対応する個所に突起ピンを設けて表面金属部材の開口部に挿入するようにしてもよい。
図7に、表面金属部材2がT字形状である補強部材において、表面金属部材2の梁や土台等の構造材との固定部(T字形状の横長部分)に複数の係止爪22を設け、T字形状の縦長部分で、梁や土台等の構造材との連結部近傍に相当する位置に、横長部分に対して平行に左右に張り出し部(ストッパー)21を形成した構造のものを示す。図7(1)は平面図、図7(2)は側面図、図7(3)は図7(1)におけるA−A線切断断面図、図7(4)は図7(1)におけるB−B線切断断面図、図7(5)は外観斜視図を夫々示す。
図7の補強部材においては図7(5)の破線で示した部位で屈曲させ固定部を構造材に直接取付けるようにされている。実際の施工の際には、複数の係止爪22を折り曲げて梁や土台等に打ち込み、前記張り出し部21に接するように、柱部材の梁や土台等の構造材との連結部側にボルトやネジ釘などを張り出し部と略等しい高さに設け、取付け用金属部材と一体に構造材(柱部材)に固定される。前記張り出し部21に接するように柱部材の梁や土台等の構造材との連結部側に設けられたボルトやネジ釘は、柱部材の梁又は土台との連結部における引き抜きに対するストッパーとして機能し、柱部材の引き抜きに対する補強効果を補助することができる。
図7において、表面金属部材の梁や土台等の構造材との固定部(T字形状の横長部分)に複数の係止爪22を設け、T字形状の縦長部分で、梁や土台等の構造材との連結部近傍の位置に、横長部分に対して平行に左右に張り出し部(ストッパー)21を形成しない態様、また表面金属部材のT字形状の縦長部分で、梁や土台等の構造材との連結部近傍の位置に、横長部分に対して平行に左右に張り出し部(ストッパー)21を形成し、表面金属部材の梁や土台等の構造材との固定部に複数の係止爪22を設けない態様とすることもできる。
本発明の補強部材により、建築物又は建造物の構造材自体及び構造材間の補強を行うに際しては、前記したごときの本発明における種々の形状の補強部材を併用することもできる。例えば、構造材間の角部に参考例の図5で示す構造の補強部材を配置し、柱部材とそれに連結する梁や土台等の構造材間に前記図1〜図4又は図7に示す補強部材のいずれかを取付けることができる。また、参考例の図6に示す補強部材を柱部材に取付け、前記図1〜図4又は図7に示す補強部材のいずれかを柱部材とそれに連結する梁や土台等の構造材間に取付けることができる。このように2種類以上の補強部材を併用することにより補強をさらに強固にする補強効果が発揮される補強構造を得ることができる。
本発明における補強部材Iを構成するエネルギー吸収体3は、外部からの力により構造材間に加わる引張剪断力及び伸縮力(引張/圧縮及び剪断による複合力)を吸収、減衰し元の形状に復元させ得る機能を有するもので、等価減衰定数(Heq)が10〜60%、剪断弾性係数(G)が0.05〜2.0N/mm2を示すものが使用される。等価減衰定数(Heq)が10%未満はエネルギー吸収量が小さく好ましくない。また剪断弾性係数(G)が0.05N/mm2未満のものは、柔らか過ぎてエネルギー吸収量が小さく、2.0N/mm2を超えるものでは、剛性が高すぎエネルギー吸収量が小さく、引張剪断力や伸縮力によるエネルギーを十分に吸収し、かつ変形に対して抗することができず所期の目的が得られない。実用的な観点から等価減衰定数(Heq)は10〜40%が好ましい。また、剪断弾性係数(G)は好ましくは、0.1〜1.2N/mm2である。
この様な特性を示すものとしては、例えば、高減衰性ゴムや粘弾性熱可塑性樹脂が挙げられる。これらのうち、特に高減衰性ゴムが好適である。粘弾性熱可塑性樹脂は、例えば、硬質ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
本発明に用いられるエネルギー吸収体3の厚みは、エネルギー吸収体の種類や本発明の補強部材が施工される建築物や建造物の構造部材の材質や種類、即ち木質部材か鉄骨部材か、また施工される個所などにより異なり、これらを勘案して適宜の厚みが採用されるが、エネルギー吸収体が高減衰性ゴムの場合は、通常1〜50mm、好ましくは1〜30mm、さらに好ましくは5〜20mmである。エネルギー吸収体の厚みが1mm未満の場合は変形に対するエネルギーを十分に吸収することができず、一方50mmを超えるような場合には、補強部材全体が厚くなり、またコスト高となる。また、エネルギー吸収体3の幅は表面金属部材の幅と同等で柱部材の幅に対し10〜100%の範囲であればよく、通常20〜100%が採用される。
本発明における補強部材を構成する取付け用金属部材及び表面金属部材の厚みは、これら金属部材の材質や本発明の補強部材が施工される建築物や建造物の構造部材の材質や種類、即ち対象とする建築物や建造物が木質系か鉄骨系か、また施工される個所などにより異なり一概には決められないが、取付け用金属部材は通常1〜6mmの範囲のものが使用され、好ましくは1.5〜5mmである。また表面金属部材2は2〜12mmの範囲のものが使用され、好ましくは2〜10mmである。取付け用金属部材と表面金属部材との厚みは同一であることが望ましいが必ずしも同一である必要はない。木造建築物の場合には、上記両金属部材は2〜3.5mmの厚さのものが用いられる。金属部材の厚みが薄過ぎる場合には、変形に対する強度が不十分となる虞があり、厚さが厚過ぎる場合は、補強部材の変形に対する強度の点では差し支えないが、全体の重量が大きくなり、例えば、木造建築物の場合、柱部材や梁や土台等の構造材への保持に対して固定部が耐えられなくなる虞がある。また全体のコストが高くなる。
これらの金属部材は通常鋼板やステンレスが使用され、取付け用金属部材と表面金属部材とは同じであっても異なってもよいが、特に表面金属部材はバネ鋼であることが好ましい。
また前記取付け用金属部材の幅の大きさは該取付け用金属部材の形状や構造材への取付け個所などにより異なるが、柱部材へ取付けられる取付け用金属部材は、柱部材の幅に対し50〜100%である。表面金属部材がT字形状、十字形状、L字形状、I字形状(短冊状)あるいは縦断面の形状がL字形状である場合は、柱部材に取付けられる金属部材の幅に対し20〜100%の範囲で用いられる。
本発明の補強部材Iにおいて柱部材とこれに連結する他の構造材間に架け渡す表面金属部材がT字形状、十字形状、L字形状の金属部材である場合、これら金属部材における梁や土台等の構造材に対応する部分(横長部分)の長さは、縦長部分から張り出した少なくとも片側の長さが10cm〜100cmの範囲であれば良く、一般的には10cm〜80cm、好ましくは20cm〜50cmあれば十分である。また表面金属部材の柱部材に対応する部分(縦長部分)の長さは特に制限されないが、一般的には柱部材と梁や土台等の構造材との連結部に相当する個所からの長さが20cm〜100cm程度、好ましくは30cm〜80cm程度であれば良い。
本発明の補強部材における取付け用金属部材と表面金属部材間に配置されるエネルギー吸収体を、取付け用金属部材と表面金属部材とで挟持し接合させて一体化するには、例えば、取付け用金属部材及び表面金属部材のエネルギー吸収体と接合される面を、接着性能を高めるためにブラスト研磨等を行い、両方の金属部材のエネルギー吸収体との接合面に、金属部材とゴムの両者に接着性を有する接着材、例えば、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、フェノール樹脂/ゴム系接着材を塗布し、高減衰性ゴム等のエネルギー吸収体を配置し挟持した状態で加硫処理を行う等により取付け用金属部材及び表面金属部材とエネルギー吸収体とが一体的に強固に接合された本発明に係る補強部材を得ることができる。
次に、本発明に係る補強部材を用いた補強構造について、木造建築物に適用した場合の補強構造を例に説明する。
本発明の補強部材Iを用いた補強構造の実施態様の一例を図9〜図11に示す。図12、図13は、それぞれ図5、図6に示した参考例の補強部材を用いた補強構造の一例を示す
図9〜図11は補強部材Iを柱部材及び柱部材と連結する構造材(梁)に架け渡して設置した実施態様で、図9は補強部材Iを構成する表面金属部材がT字形状金属部材で、取付け用金属部材が平板状である例である補強部材Iを、図10は補強部材Iを構成する取付け用金属部材の断面形状がコ字形状である補強部材Iを、夫々柱部材12と梁13との連結部に適用した補強構造の実施態様を示す。
図9(1)は、補強部材Iの構造材への取付け用金属部材が平板状金属部材11であり、表面金属部材がT字形状金属部材2である補強部材Iを用いた外観斜視図を示す。図9において補強部材Iは、取付け用金属部材11の下方端部付近に突起ピン5を設け、表面金属部材2においてT字形状の縦長部分の端部付近で前記突起ピン5に対応する部分に貫通する開口部6が設けられ、該開口部6に突起ピン5を挿入した補強部材Iを柱部材12と梁13との連結部に適用した補強構造の実施例を示す外観斜視図である。図9(2)は図9(1)におけるA−A線切断断面図を示し、図9(3)は図9(2)の円Xで示した部分の拡大図を示す。
補強部材Iを構成する表面金属部材2の構造材(梁)13との固定部である表面金属部材2のT字形状の横長部分は図9(2)に示すようにスペーサー4を介して梁13に固定用治具9(例えば、スクリューネジ、釘等)により固定されている。
柱部材12への取付け用金属部材が平板状である場合、本発明の補強部材Iにおいて、柱部材12への取付け用金属部材11は図9に示すように表面金属部材よりも幅広とした構造材(柱部材)への取付け部において固定用治具(例えば、スクリューネジ、釘等)により柱部材12に取付け固定されている。
図10(1)は構造材への取付け用金属部材が、断面形状がコ字形状の金属部材1であり、表面金属部材がT字形状金属部材2である補強部材Iを用いた外観斜視図を示す。
図10の補強部材においても、図9と同様取付け用金属部材1の下方端部付近に突起ピン5を設け、表面金属部材2におけるT字形状の長手部分の端部付近で前記突起ピン5に対応する部分に貫通する開口部6が設けられ、該開口部に突起ピン5を挿入した態様の補強部材Iを柱部材12と梁13との連結部に適用した補強構造の実施例を示す。図10(2)は図10(1)におけるA−A線切断断面図を示す。図10(2)に示すように補強部材を構成する取付け用金属部材1のコ字形状部を柱部材12に嵌め込み、固定用治具8(例えばスクリューネジ、釘等)で柱部材に固定される。補強部材Iを構成する表面金属部材2の構造材(梁)13との固定部である表面金属部材2のT字形状の横長部分において図9と同様に梁13に固定用治具9(例えば、スクリューネジ、釘等)により固定されている。
図11は、補強部材Iを構成する取付け用金属部材1が、断面形状がコ字形状の金属部材である補強部材を用いた補強構造の実施態様を示し表面金属部材がL字形状の金属部材2であり、隅柱に適用し柱部材12と梁13とに架け渡して設置した実施態様の外観斜視図を示す。図12は、図5に示した参考例の補強部材を用いた補強構造を示し、表面金属部材が縦断面がL字形状の金属部材2を梁と柱とで形成される角部に適用した例の外観斜視図を示す。図11、図12において構造材への取付け用金属部材1のコ字形状部を柱部材12に嵌め込み、固定用治具8(例えばスクリューネジ、釘)で柱部材に固定される。補強部材Iを構成するL字形状の横長部分は梁13に固定用治具9(例えばスクリューネジ、釘)で固定される
図13は、図6に示した参考例の補強部材を、柱部材の中間部に適用した補強構造のを示す。補強部材Iを構成する分割された平板状取付け用金属部材111はそれぞれ表面金属部材よりも幅広とした構造材(柱部材)への取付け部において固定用治具8で柱部材12に固定され、補強部材を構成する2枚の表面金属部材2、2は、エネルギー吸収体3の存在しない表面金属部材2、2に形成される固定部で固定用治具9により柱部材12に固定されている。
次に、本発明の補強部材を用いた補強構造について、取付け用金属部材が平板状であり表面金属部材がT字形状である補強部材を用いた補強構造を例として、本発明の補強部材に引張剪断力や伸長力が加わったとき変形エネルギーを吸収、減衰し、元の状態に復元する状態を図14、図15及び図16の説明図により説明する。
図14は補強部材が柱構造材と連結する構造材である梁と柱部材間、土台と柱部材間に架け渡された態様で、補強部材を構成する取付け用金属部材が柱部材に取付けられて固定され、補強部材の柱構造材と連結する構造材の梁および土台への固定部を構成する部分(図において表面金属部材のT字形状の横長部分)で表面金属部材が梁又は土台に固定されている。
図15に本発明の表面金属部材、エネルギー吸収体及び取付け用金属部材で構成される補強部材において外力が加わったときの状態を説明するための説明図を示す。図14におけるE−E線切断断面図で示す図15(1)は変形前の状態を示し、図15(2)は力(P)が矢印方向に加わったときの変形時の状態を表す。
図14において矢印方向に力(P)が加わったとき、柱部材は、土台と柱部材との連結部(Z)を支点として破線で示すように変形する。この際、補強部材は柱部材の変形に追従して変形する方向に作用する。このとき補強部材を構成する取付け用金属部材は、柱部材に取付けられて固定されているので、柱部材の変形に追従して変形する方向に作用する。
補強部材を構成するT字形状の表面金属部材は、構造材との固定部であるT字形状の横長部分が梁又は土台に固定されており、梁の移動方向(変形方向)に追従する。表面金属部材のエネルギー吸収体と一体に構成されたT字形状の縦長部分も柱部材の変形方向に追従するが、このときT字形状の縦長部分の端部分は矢印aの方向及び矢印bの方向への力が働き、一方柱部材と土台とに架け渡された補強部材の表面金属部材においては、T字形状の縦長部分の端部分は矢印c、d方向への力が働くことになる。このとき補強部材においては、図15(2)に示すように、取付け用金属部材は柱部材の変形に追従するが、取付け用金属部材と表面金属部材との間に挟持されて一体に形成されているエネルギー吸収体(例えば、高減衰性ゴム)の作用により、加わる力(変形エネルギー)を吸収し、減衰させる作用が働き、表面金属部材は変形(移動)が抑制され元の状態を保とうとする復元力が働き補強効果が発揮される。
また別の実施態様の例として、図16に示すように、補強部材を構成する表面金属部材のT字形状の横長部分に取付け用金属部材及びエネルギー吸収体を配置し表面金属部材と一体に構成した補強部材においては、表面金属部材のT字形状の縦長部分端部に形成された構造材との固定部で補強部材を柱部材に表面金属部材に固定し、主として梁又は土台の部分で変形エネルギーを吸収し、減衰させるようにすることもできる。
この場合は、図16に示す矢印方向の力(P)が加わったとき、柱部材は土台との連結部(Z)を支点として破線で示すように変形する。このとき、柱部材の変形に追従して柱部材に固定されたT字形状の縦長部分は柱部材の変形方向に追従する。一方、T字形状の横長部分にエネルギー吸収体を挟持し一体化した取付け用金属部材が梁又は土台に取付け固定されており、T字形状の横長部分は梁又は土台の変形に追従して、矢印e、f、g、hで示す方向への変形(移動)が働くが、このとき、エネルギー吸収体の作用により加わる変形エネルギーを吸収し、エネルギーを減衰させる作用が働き、変形(移動)が抑制され元の状態を保とうとする復元力が働き補強効果が発揮される。
以上は木造建築物における補強構造について説明したが、本発明の補強部材は、木造建築物に限らず、鉄骨建造物の補強部材として使用することもできる。鉄骨建造物の場合は補強部材を構成する構造材への取付け用金属部材、及び表面金属部材は木造建築物の補強の場合よりも、先に記述した範囲内で幾らか厚みの厚いものを使用することが望ましい。またエネルギー吸収体の厚みも先に記述した範囲で厚みが厚い方が望ましい。鉄骨建造物の補強構造として用いられる補強部材においては構造材への取付け用金属部材は平板状の部材が使用される。補強部材の構造材への固定は通常ボルトナットなどが使用される。
本発明の補強部材の一実施態様を示し、取付け用金属部材は断面形状がコ字形状で、表面金属部材がT字形状の態様の補強部材である。 本発明補強部材の別の実施態様を示し、取付け用金属部材が平板状で、表面金属部材がT字形状の態様の補強部材である。 本発明補強部材の別の実施態様を示し、取付け用金属部材は断面形状がコ字形状で、表面金属部材がL字形状の態様の補強部材である。 本発明補強部材の別の実施態様を示し、取付け用金属部材が平板状で、表面金属部材が十字形状の態様の補強部材である。 補強部材の参考例を示す図である。 補強部材の参考例を示す図である。 補強部材の別の実施態様を示し、T字形状の表面金属部材に複数の係止爪を有する態様の補強部材である。 本発明補強部材の構成の概要を説明する分解斜視図を示す。 本発明の補強部材を使用した補強構造の実施態様の一例を示す。 本発明の補強部材を使用した補強構造の別の実施態様の一例を示す。 本発明の補強部材を使用した補強構造の別の実施態様の一例を示す。 図5に示した参考例の補強部材を使用した補強構造の一例を示す。 図6に示した参考例の補強部材を使用した補強構造の一例を示す。 本発明における補強部材を用いた補強構造において引張剪断力や引張力が加わったときの変形を抑制する効果を説明するである。 本発明の補強部材における変形の抑制を説明するである。 本発明の補強部材を用いた補強構造における別の実施態様の引張剪断力や引張力が加わったときの変形を抑制する効果を説明するである。
1、11、111 取付け用金属部材
2、 表面金属部材
21 張り出し部(ストッパー)
22 係止爪
3 エネルギー吸収体
4 スペーサー
5 突起ピン
6、 開口部
8、9 固定用治具
12 柱構造材
13 構造材(梁、土台)
I 補強部材

Claims (7)

  1. 木造建築物の柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部において、柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材の面に沿わせて該連結部を跨いで架け渡して取り付ける補強部材であって、
    柱構造材表面と相対向して取付けられる取付け用金属部材と、エネルギー吸収体および柱構造材と連結する他の構造材との固定部を有する表面金属部材とで構成され、前記エネルギー吸収体を柱構造材の面に対応した位置となるように、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材との間にエネルギー吸収体を挟持して一体に構成し、前記表面金属部材の固定部は前記取付け用金属部材およびエネルギー吸収体が存在しない個所に設け、前記取付け用金属部材は幅方向を、前記表面金属部材の柱構造材の面に沿う部位よりも幅広として、前記取付け用金属部材の幅広部が柱構造材への取付け部を形成していることを特徴とする木造建築物の補強部材。
  2. 前記エネルギー吸収体が、等価減衰常数(Heq)が10〜60%、剪断弾性係数(G)が0.05〜2.0N/mmである高減衰性ゴム、粘弾性熱可塑性樹脂から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1記載の木造建築物の補強部材。
  3. 前記取付け用金属部材が、平板形状または長さ方向に対し垂直断面の形状がコ字形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の木造建築物の補強部材。
  4. 前記表面金属部材が、T字形状、L字形状、または十字形状から選ばれる金属部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の木造建築物の補強部材。
  5. 前記表面金属部材がバネ鋼で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の木造建築物の補強部材
  6. 前記取付け用金属部材表面の一端縁部付近に突起ピンが設けられ、前記表面金属部材の前記突起ピンに対応する端縁部付近に貫通する開口部を設け、前記取付け用金属部材と前記表面金属部材間に前記エネルギー吸収体を挟持して、前記突起ピンを前記表面金属部材の開口部に挿入し一体に形成してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の木造建築物の補強部材。
  7. 前記請求項1〜6記載の補強部材を用いて、エネルギー吸収体を挟持した取付け用金属部材を柱構造材の面に相対向させて配置し、表面金属部材を柱構造材及び柱構造材と連結する他の構造材間に沿わせて、柱構造材と柱構造材と連結する他の構造材との連結部を跨いで架け渡し、取付け用金属部材の幅広部を柱構造材に固定し、表面金属部材における、取付け用金属部材およびエネルギー吸収体の存在しない構造材との固定部において表面金属部材を柱構造材と連結する他の構造材に固定する、ことを特徴とする木造建築物の補強構造。
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