本発明は、膨らみのある冊子を搬送手段と搬送手段間で受け渡す際に上流側の搬送速度を下流側の搬送速度より大きくすることによって、冊子を上流側の搬送手段から下流側の搬送手段の受渡す際に、冊子の表側のシートの膨らんだ部分を下流側の搬送手段によって撓ませて扱き、冊子の膨らみ及びずれを補正することを特徴とする。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態における画像形成装置と、複数のシート処理装置とからなる画像処理システムのシステム構成を示す図である。本実施形態では、画像形成装置PRの後段に第1ないし第3のシート後処理装置1,2,3がこの順で連結されている。
第1のシート後処理装置1は、画像形成装置PRからシートを1枚ずつ受け取り、順次重ね合わせ整合し、シート束を作成するスタック部を有するシート束作成機能を有するシート後処理装置で、シート束排紙ローラ10から後段の第2のシート処理装置にシート束を排紙する。第2のシート後処理装置2は、搬送されてきたシート束を受け取り、中綴じ中折りを施す中綴じ製本装置である(以下、第2のシート後処理装置について中綴じ製本装置とも称する)。
中綴じ製本装置2は製本した冊子を第3のシート処理装置3に排紙する。第3のシート処理装置3は、搬送されてきたシートの小口を断裁する断裁装置である(以下、第3のシート後処理装置について断裁装置とも称する)。断裁装置3で断裁処理された冊子は、そのまま装置外に排紙され、図示しない排紙トレイに積載される。あるいは、この後段にさらにシート処理装置が連結されていれば、そのまま当該シート処理装置に排紙される。画像形成装置PRは入力された画像データ、若しくは読み取った画像の画像データに基づいてシート状の記録媒体に可視画像を形成するもので、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機などがこれに相当する。
図2は図1における中綴じ装置2の詳細な構成を示す図である。同図において、中綴じ装置2は入口搬送路241、シートスルー搬送路242、及び中折り搬送路243を備えている。入口搬送路241のシート搬送方向最上流部には、入口ローラ201が設けられ、第1のシート後処理装置1の前記シート束排紙ローラ10から整合されたシート束が装置内に搬入される。なお、以下の説明では、シート搬送方向上流側を単に上流側と、シート搬送方向下流側を単に下流側と称す。
入口搬送路241の入口ローラの201の下流側には、分岐爪202が設けられている。この分岐爪202は図において水平方向に設置され、シート束の搬送方向をシートスルー搬送路242あるいは中折り搬送路243に分岐する。シートスルー搬送路242は、入口搬送路241から水平に延び、後段の図示しない処理装置若しくは排紙トレイにシート束を導く搬送路であり、シート束は上排紙ローラ203によって後段に排紙される。中折り搬送路243は分岐爪202から垂直下方に延び、シート束に対して中綴じ、中折りを行うための搬送路である。
中折り搬送路243は、中折りするための折りプレート215の上部でシート束を案内する束搬送ガイド板上207と、折りプレートの215の下部でシート束を案内する束搬送ガイド板下208を備えている。束搬送ガイド板207には、上部から束搬送ローラ上205、後端叩き爪221、束搬送ローラ下206が設けられている。後端叩き爪221は、図示しない駆動モータによって駆動される後端叩き爪駆動ベルト222に立設されている。後端叩き爪221は駆動ベルト222の往復回転動作により、シート束の後端を後述の可動フェンス側に叩き(押圧し)シート束の整合動作を行う。また、シート束が搬入される際、及びシート束が中折りのための上昇する際には、束搬送ガイド板上207の中折り搬送路243から退避する(図2破線位置)。
符号294は後端叩き爪221のホームポジションを検出するための後端叩き爪HPセンサであり、中折り搬送路243から退避した図2破線位置をホームポジションとして検出する。後端叩き爪221は、このホームポジションを基準に制御される。
束搬送ガイド板下208には、上方から中綴じスティプラS1、中綴じジョガーフェンス225、及び可動フェンス210が設けられている。束搬送ガイド板下208は束搬送ガイド板上207を通って搬送されてきたシート束を受け入れるガイド板であり、幅方向には一対の前記中綴じジョガーフェンス225が設置され、下方にシート束先端が当接(支持)し、上下動可能に前記可動フェンス210が設けられている。
中綴じスティプラS1はシート束の中央部を綴じるスティプラである。可動フェンス210はシート束の先端部を支持した状態で上下方向に移動し、シート束の中央位置を中綴じスティプラS1に対向する位置に位置させ、その位置でスティプル処理、すなわち中綴じが行われる。可動フェンス210は可動フェンス駆動機構210aによって支持されるともに、図示上方の可動フェンスHPセンサ292位置から最下方位置まで移動可能である。シート束の先端が当接する可動フェンスの可動範囲は、中綴じ装置2の処理可能な最大サイズから最小サイズまで処理可能なストロークが確保されている。なお、可動フェンス駆動機構210aとしては、例えばラックアンドピニオン機構が使用される。
束搬送ガイド板上207と下208との間、すなわち中折り搬送路243のほぼ中央部には折りプレート215、折りローラ対230、排紙搬送路244、及び下排紙ローラ231が設けられている。折りプレート215は、図示水平方向に往復動可能であり、折り動作を行う際の動作方向には、折りローラ対230のニップが位置し、その延長上に排紙搬送路244が設置されている。下排紙ローラ231は、排紙搬送路244の最下流に設けられ、後段に折り処理されたシート束を排紙する。
束搬送ガイド板上207の下端側には、シート束検知センサ291が設けられ、中折り搬送路243に搬入され、中折り位置を通過するシート束の先端を検知する。また、排紙搬送路224には、折り目部通過センサ293が設けられ、中折りされたシート束の先端を検知し、シート束の通過を認識する。
大略、図2に示すように構成された中綴じ装置2では、図3ないし図7の動作説明図に示すようにして中綴じ及び中折り動作が行われる。すなわち、画像形成装置PRの操作パネルPN(図20参照)から中綴じ中折りが選択されると、当該中綴じ中折りが選択されたシート束SBは、分岐爪202の反時計方向の偏倚動作により中折り搬送路243側に導かれる。なお、分岐爪202はソレノイドによって駆動される。なお、ソレノイドに代えてモータ駆動でも良い。
中折り搬送路243内に搬入されたシート束SBは、入口ローラ201と束搬送ローラ上205によって中折り搬送路243を下方に搬送され、シート束検知センサ291によって通過が確認された後、図3に示すように束搬送ローラ下206によって可動フェンス210にシート束SBの先端が当接する位置まで搬送される。その際、画像形成装置PRからのシートサイズ情報、ここでは、各シート束SBの搬送方向のサイズ情報に応じて可動フェンス210は異なる停止位置で待機している。このとき、図3では、束搬送ローラ下206はニップにシート束SBを挟持し、後端叩き爪221はホームポジション位置に待機している。
この状態で、図4に示すように束搬送ローラ下206の挟持圧が解除され(矢印a方向)、可動フェンス210にシート束先端が当接し、後端がフリーになった状態でスタックされると、後端叩き爪221が駆動され、シート束SBの後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う(矢印c方向)。
次いで、中綴じジョガーフェンス225によって幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)の揃え動作が、また、可動フェンス210と後端叩き爪221により搬送方向の揃え動作がそれぞれ実行され、シート束SBの幅方向及び搬送方向の整合動作が完了する。このとき、シートのサイズ情報、シート束SBの枚数情報、シート束厚み情報によって、後端叩き爪221、中綴じジョガーフェンス225の押し込み量を最適の値に変更し整合する。
また、束の厚みがあると搬送路内の空間が減少するため、一度の整合動作では整合しきれないケースが多い。そこで、このような場合には、整合回数を増加させる。これにより、より良い整合状態を実現することができる。さらに、上流側でシートを順次重ね合わせる時間はシート枚数が多ければ多いほど増加するので、次のシート束SBを受け入れるまでの時間が長くなる。その結果、整合回数を増加してもシステムとして時間の損失はないことから、効率的に良好な整合状態を実現できる。したがって、上流の処理時間に応じ、整合回数を制御することも可能である。
なお、前記可動フェンス210の待機位置は、通常、シート束SBの中綴じ位置が中綴じスティプラS1の綴じ位置に対向する位置に設定される。この位置で整合すると、可動フェンス210をシート束SBの中綴じ位置に移動させることなく、スタックされた位置でそのまま綴じ処理が可能となるからである。そこで、この待機位置でシート束SBの中央部に中綴じスティプラS1のステッチャを矢印b方向に駆動し、クリンチャとの間で綴じ処理が行われ、シート束SBは中綴じされる。
なお、可動フェンス210は可動フェンスHPセンサ292からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪221は後端叩き爪HPセンサ294からのパルス制御により位置決めされる。可動フェンス210及び後端叩き爪221の位置決め制御は、シート後処理装置2の制御回路250のCPU251によって実行される(図20参照)。
図4の状態で中綴じされたシート束SBは、図5に示すように束搬送ローラ下206の加圧が解除された状態で可動フェンス210の上方移動に伴って中綴じ位置(シート束SBの搬送方向の中央位置)が折りプレート215に対向する位置まで移送される。この位置も可動フェンスHPセンサ292の検出位置を基準に制御される。
図5の位置にシート束SBが達すると、図6に示すように折りプレート215が折りローラ対230のニップ方向に移動し、シート束SBの綴じられた針部近傍のシート束SBに対して略直角方向から当接し、前記ニップ側に押し出す。シート束SBは折りプレート215により押されて折りローラ対30のニップへと導かれ、予め回転していた折りローラ対230のニップに押し込まれる。折りローラ対230は、ニップに押し込まれたシート束SBを加圧し、搬送する。この加圧搬送動作によりシート束SBの中央に折りが施され、簡易製本された冊子BTが形成される。図6は、シート束SBの折り目部先端が折りローラ対230のニップに挟持され、加圧されているときの状態を示す。
図6の状態で中央部が2つ折りされたシート束SBは、図7に示すように折りローラ対230によって搬送され、さらに下排紙ローラ231に挟持されて後段に冊子BTとして排出される。このとき、冊子BT後端が折り目部通過センサ293に検知されると、折りプレート215及び可動フェンス210はホームポジションに、束搬送ローラ下206は加圧状態にそれぞれ復帰し、次のシート束SBの搬入に備える。また、次のジョブが同サイズ同枚数であれば、可動フェンス210は再び図3の位置に移動し、待機するようにしても良い。なお、これらの制御も前記制御回路250のCPU251によって実行される。
図8は断裁装置3の詳細な構成を示す図である。
同図において、断裁装置3には、冊子の搬送路300(矢印は搬送中心を示す)に沿って上流側から、搬送部300a、断裁部300b、整合部300cが設けられている。
搬送部300aは断裁処理装置入口部に当たり、入口ガイド板301a、上下の搬送コロ対302,303及び冊子BTの搬送方向(小口側)を整合するためのジョガー319を備えている(図11参照)。搬送部300aは、冊子受入口301の入口ガイド板301aから中綴じ装置2の下排紙ローラ231によって中折り中綴じされた冊子BTを受け入れる。なお、搬送コロ対302,303に代えて、冊子BTを所定圧で挟持し、搬送可能な上下に配置された搬送ベルト対を使用することもできる。
断裁部300bには、搬送路300を挟んで断裁刃と押圧部が設けられている。断裁刃は、断裁上刃305と断裁下刃307とが対となって搬送路300の上下に対向して配置されている。断裁上刃305は可動、断裁下刃307は固定である。固定側の断裁下刃307上に位置した冊子BTに対して可動側の断裁上刃305が下降し、両者の間で冊子BTの小口側を断裁する。また、断裁された冊子屑を受ける屑受け320が断裁部300bの下方に設けられている。
押圧部は、可動側の押圧部材306と固定側であるベース308とからなり、搬送路300を挟んで前者は上側、後者は下側にそれぞれ配置されている。ベース308の冊子搬送方向最上流側の縁部には、前記断裁下刃307が固定されている。固定位置は、前記断裁上刃305の刃先と断裁下刃307の刃先で断裁可能な位置に設定されている。断裁上刃305は図示しない駆動機構によって断裁下刃307を越える位置まで下側に駆動され、冊子BTを受け入れる際に障害にならない位置まで上側に駆動される。上側の待機位置が初期位置となる。
ベース308の上側に位置する押圧部材306は、図示しない駆動機構によって上下方向に駆動され、断裁上刃305が下降して冊子BTを断裁する際に冊子BTをベース308側に断裁刃305の近傍で押圧して保持する機能を有する。なお、断裁上刃305及び押圧部材306はそれぞれモータ及び当該モータと連結された減速機構を用いた図示しない駆動機構により駆動されるが、モータと減速機構に代えて油圧により上下方向に駆動するように構成することもできる。
整合部300cは、搬送路300を挟んで下側に位置する下部ユニット300c1及び上側に位置する上部ユニット300c2aを含む。下部ユニット300c1は、固定側の第1の搬送ベルト310、位置決めストッパ317及びガイド板318を備える。第1の搬送ベルト310は、駆動プーリ309aと従動プーリ309bとの間に掛け渡されている。第1の搬送ベルト310の上面はベース308の上面と同一平面上に位置し、冊子BTの搬送の基準面としても機能する。
上部ユニット300c2は、第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a、従動プーリ311b、支持部材313、ガイド軸315、加圧プレート316及び圧縮バネ314を含む。第2の搬送ベルト312は駆動プーリ311aと従動プーリ311bとの間に掛け渡されている。支持部材313は、第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a及び従動プーリ311bを一体的に支持する。ガイド軸315は支持部材の313の上面に取り付けられ、加圧プレート316が上下方向に移動可能に装着されている。また、支持部材313と加圧プレート316との間のガイド軸315には、両者が互いに離れる方向に弾性力を付与する圧縮バネ314が装着されている。第2の搬送ベルト312、駆動プーリ311a、従動プーリ311b、支持部材313、ガイド軸315、及び加圧プレート316は上部ユニット101aとして一体的に上下動可能であり、第1の搬送ベルト310の上面と第2の搬送ベルト312の下面との間の間隔を相対的に変更することができる。
この構成により、第1及び第2の搬送ベルト310,312間で冊子BTを挟み込む際には、両者の間隔を狭めることができる。その際、加圧プレート316と支持部材313間の間隔も変更可能となっているので、第2の搬送ベルト312によって冊子BTの上面を押さえた後、さらに加圧プレート316を下降させると、圧縮バネ314がさらに圧縮され、冊子BTの保持力、あるいは押圧力をより大きくすることができる。なお、上部ユニット300c2の図示しない上下方向の駆動機構は、直接的には加圧プレート316を上下方向に移動させるモータと動力伝達機構と上下方向のガイドを含み、加圧プレート316と支持部材313間の初期間隔のまま加圧プレート316を上下方向に移動させると、上部ユニット300c2全体が上下方向に移動する。また、第2の搬送ベルト312が冊子BTの上面に接触した状態で、さらに加圧プレート316を下方に移動させると、その分、圧縮バネ314が圧縮され、圧縮バネ314による加圧力が生じる。この加圧力が冊子BTの保持力若しくは押圧力となる。
第1の搬送ベルト310は、第2の搬送ベルト312とともに、冊子BTを搬送する機
能と、シート整合時のガイドとしての機能も有する。なお、本実施形態においては、第1及び第2の搬送ベルト310,312にガイド手段としてのガイド機能も持たせているが、図8に示すように下側の第1の搬送ベルト310に沿ってガイド板318を設け、当該ガイド板318にガイドとしての機能を持たせ、冊子BTの搬送機能は搬送ローラなどの他の搬送手段を使用することもできる。その際、ガイド板318の上面はベース308の上面と同一平面上に位置し、冊子BTの搬送の基準面としても機能する。また、上側の第2の搬送ベルト312によって冊子BTをガイド板318側に押圧するように構成することも可能である。
また、本実施形態では、下側の第1の搬送ベルト310は固定で上側の第2の搬送ベルト312側が昇降動作するようになっているが、上側の第2の搬送ベルト312側を固定側に、下側の第1の搬送ベルト311側を移動側とすること、あるいは、第1及び第2の搬送ベルト310,312がともに、移動するように構成することもできる。
さらに、整合部300cに設けられた位置決めストッパ317は、冊子搬送方向に移動可能な図示しない移動機構を備え、冊子BTのサイズ、断裁量等の情報に基づいて移動機構によって所定の位置に移動し、冊子BTの背側を当接させて位置決めを行う。なお、移動機構はモータとモータの駆動力伝達機構を含む。
図9ないし図19は、本実施形態における断裁装置の断裁処理動作を示す動作説明図、図20は本実施形態における画像形成システムの制御構成を示すブロック図、図21は断裁装置で実行される冊子の膨らみ補正制御の制御手順を示すフローチャートである。
図20において、本実施形態に係る画像形成システムでは、図1に示したように画像形成装置PRの後段に第1のシート後処理装置1、第2のシート後処理装置(中折り中綴じ装置)2、及び第3のシート後処理装置(断裁装置)3が一列に連結され、一体として制御される所謂インライン構成となっている。画像形成装置PR及び各シート後処理装置1,2,3はそれぞれCPU(Central Processing Unit)PR1,151,251,351、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/Oインターフェース等を有するマイクロコンピュータをそれぞれ搭載した制御回路PR0,150,250,350を搭載し、通信ポートPR2,161,162、261,262、361を介して制御的に直列に接続されている。さらに、第1ないし第3のシート後処理装置1、2,3の制御回路150,250,350のCPU151,251,351は画像形成装置PRの制御回路PR0のCPU_PR1をメインCPUとしてこのCPU_PR1の制御下におかれ、サブCPUとして機能する。また、画像形成装置PRにはマン−マシンインターフェースとして機能する操作パネルPNが接続され、操作者からの入力及び操作者への表示装置を介しての通知が可能となっている。
すなわち、各シート後処理装置1,2,3の各部は各装置に搭載されたCPU151,251,351によって制御され、システム的な制御は画像形成装置PRのCPU_PR1によって実行される。なお、各装置で実行される制御は、各装置のROMに格納されたプログラムコードを各装置のCPU151、251,351が読み込み、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。また、第1のシート後処理装置1のCPU151は通信ポート161から画像形成装置PRの通信ポートPR2を介して画像形成装置PRのCPU_PR1と相互に通信可能である。さらに、第2及び第3のシート後処理装置2,3のCPU251,351は、前段の通信ポート及びCPUを介して画像形成装置PRのCPU_PR1と相互に通信可能となっている。このような構成により、画像形成装置PRのCPU_PR1による制御に必要な情報は第3のシート後処理装置3、第2のシート後処理装置2及び第1のシート後処理装置1のCPU351,251,151から画像形成装置PR側に送信され、画像形成装置PRのCPU_PR1からの制御信号は第1のシート後処理装置151、第2のシート後処理装置251、第3のシート後処理装置351へと送信される。
このようにして後述の冊子情報が画像形成装置PRのCPU_PR1から第3のシート後処理装置である断裁装置3のCPU351に送信される。断裁装置3のCPU351は、受信した冊子情報に基づいて前述の押圧処理及び断裁処理を実行することになる。
以下、図9ないし図19の動作説明図、及び図21のフローチャートを参照しながら断裁装置3における動作とそのときの処理について説明する。なお、図21における処理手順は、本実施形態では、断裁装置3のCPU351によって実行される。なお、画像処理システムとして構成しているので、画像形成装置PRのCPU151によって制御するように構成することも可能である。また、CPU351は画像形成装置PRのCPU_PR1の制御下で画像形成システムの中の断裁装置3のとして機能する。
図9は冊子BTが断裁装置3内に搬入される直前の状態を示す動作説明図である。同図において、冊子BTは入口ガイド板301aから断裁装置3に搬入される。その際、冊子受入口301の下流側直後に設けられた入口センサSN1からの冊子先端検出信号又は中綴じ装置2の折り目通過センサ293によってシート束SBの折り目先端検出信号を検知すると、CPU351によって断裁装置3の各部は冊子受け入れ準備動作を開始する。冊子受け入れ準備動作とは上部ユニット300c2を初期位置から下降させる動作である。
受け入れ準備動作により、第2の搬送ベルト312の下面と第1の搬送ベルト310の上面との間の間隔がシート搬入時の第1の間隔d1となる位置に移動する。なお、第1の間隔d1は、シート厚、シートサイズ、冊子枚数、特殊紙等の冊子情報から断裁装置3の制御回路350内の図示しないメモリに格納されたデータベースを参照し、CPU351が決定する。また、間隔d1は冊子BTが搬送ローラ302,303対によって断裁装置3内に搬入された後、第1及び第2の搬送ベルト310,312により搬送可能な摩擦力を付与できる間隔である。すなわち、間隔d1は冊子BTを搬送できるだけの間隔であれば良い。
位置決めストッパ317は、冊子BTのサイズ、断裁量等の情報によりシートの位置決めを行う位置まで移動する。移動を完了すると、搬送コロ302,303対、第1及び第2の搬送ベルト310,312は回転を開始し、冊子BTの受け入れを開始する。第1及び第2の搬送ベルト310,312は回転の位相を合わせるため、両者の駆動プーリ309a,311aは駆動を連結してある。搬送コロ302,303対は搬送速度v1となるよう回転し、第2の搬送ベルト312と第1の搬送ベルト310は搬送速度v2となるよう回転するが、このときの速度の関係が
v1>v2
となるようにCPU351は制御する。
図10は冊子BTが搬送コロ302,303対により搬送される状態を示す図である。冊子BTは図10の状態では、搬送コロ302,303対により搬送速度v1で搬送されていく。
図11は冊子BTの搬送が搬送コロ302,303対から第1及び第2の搬送ベルト310,312での搬送に引き渡されるときの状態を示す図である。搬送コロ302,303対によって搬送された冊子BTが第1及び第2の搬送ベルト310,312での搬送に引き渡される際に、搬送コロ302,303対と第1及び第2の搬送ベルト310,312との間に搬送空間が存在するため、冊子BT先端の折り部の各用紙間にa1,a2,a3という膨らみが発生する。特にこの膨らみは冊子BTの上面側に現れやすい。これは冊子BTの下面側は搬送空間の上流側及び下流側ともガイド板301a,318に接触し、当該ガイド板301a,318に沿って移動するからであると考えられる。
さらに、図12の冊子BTの折り部の状態を示す図から分かるように、冊子BTの折り部側にシートSの膨らみa1,a2,a3が生じるので、冊子BTの小口部のずれ量はさらに大きくなってしまう。なお、前記搬送空間は、本実施形態では、断裁部300aの設置スペースであってベース308の上面と可動側の押圧部材306の下面の間全体であるが、特に、第2の搬送ベルト312の下面と押圧部材306の下面との高さの差によって生じる空間部Aが、シートの膨らんだ部分を撓ませたときの逃げ空間となる。
図13は冊子BTが第1及び第2の搬送ベルト310,312の間の最上流部に搬送されたときの状態を示す図である。図13に示すように図12の状態から、冊子BTは第1及び第2の搬送ベルト310,312の間に進んでいくが、第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度はv2であり、上流側の搬送コロ302,303対の搬送速度v1と比較すると前者の方が小さい。そのため、冊子BTは、冊子BTの表側のシートS側から第2の搬送ベルト312と第1の搬送ベルト310によって図示矢印x1,x2の方向(搬送方向と逆の方向)に力を受け、扱かれる。その結果、まず、冊子BTの表側のシートSの膨らみa1が押さえ付けられる。
次いで、図14に示すように、このx1、x2方向に扱かれる状態で冊子BTが搬送されていくことによって、冊子BTの折り部側に発生していたシートS間の膨らみa1,a2,a3が第1及び第2の搬送ベルト310,312によって表側から順次押さえ付けられていく。
図15は、図14の状態から冊子BTが位置決めストッパ位置まで搬送された状態を示す図である。図15に示すように、最終的に、シートS間の膨らみa1,a2,a3が第1及び第2の搬送ベルト310,312によって解消された状態で、冊子BTの折り部先端が位置決めストッパ317に突き当たる位置まで搬送され、停止する。
図16は、図15でシートSの膨らみが補正された冊子BTをさらに一定の厚さまで押さえ付け、さらに冊子BTの搬送方向を整合する整合動作を示す動作説明図である。冊子BTが図15の状態で停止した後、上部ユニット300c2は第1の搬送ベルト310の上面と第2の搬送ベルト312の下面との間隔が第2の間隔d2となる位置に下降する。これにより、膨らんで厚みのある冊子BTを一定の高さまで押さえ付ける。なお、第2の間隔d2も、第1の間隔d1と同様に整合間隔としてシート厚、シートサイズ、冊子枚数、特殊紙等の冊子情報に対応して決定される。この状態では、まだ、支持部材313の位置が整合位置に変更されただけである。
図16の状態で、冊子BTが第2の間隔d2に押し込まれ、間隔を第2の間隔d2に維持した状態で、ジョガー319を駆動する。ジョガー319は、冊子BTの小口側を位置決めストッパ317方向に押し、冊子BTの背側(搬送方向先端部)を位置決めストッパ317に突き当てる。これにより、冊子BTの搬送方向の位置決めが行われる。したがって、間隔d2は冊子BTを押さえ、冊子BTにゆがみやひずみが生じない状態でジョガー319により冊子BTを位置決めストッパ317側に移動可能な間隔、すなわち、シート高さを絞り込み、整合処理が可能な間隔である。
なお、冊子BTを位置決めストッパ319に突き当てる手段としては、第1及び第2の搬送ベルト310,312により冊子BTを移動させる方法も採用することも可能である。しかし、第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送力が大きいと冊子BTの表面紙にめくれが発生する場合もある。その場合には、第1及び第2の搬送ベルト310,312により冊子BTに前記めくれが発生しないように搬送力を設定する必要がある。本実施形態では、このようなめくれの発生を避けるためにジョガー319を使用している。
図17は冊子を押圧して固定するときの動作を示す動作説明図である。冊子BTが図16のようにしてジョガー319によって位置決めストッパ317との間で位置決めされると、上部ユニット300c2をさらに下降させ、第3の間隔d3の位置に移動させる。これにより、冊子BTを下部ユニット300c1側に押圧して冊子BTを第1及び第2の搬送ベルト310,312間で固定する。
その際、第1の搬送ベルト312が冊子BTの上面に当接した後に、加圧プレート316をさらに下降させる。これにより、冊子BTを最小厚に保持した状態で、圧縮バネ314の弾性力が加圧力として冊子BTに加えられる。したがって、加圧プレート316の下降量を変更し、若しくは設定することにより冊子BTに付与される加圧力を制御することができる。上部ユニット300c2の下降量(第1及び第2の搬送ベルト310,312間の間隔)及び加圧プレート316の下降量は、シート厚、シートサイズ、冊子枚数、紙種(特殊紙等)等の冊子情報に対応して決定される。間隔d3は、冊子BTの各シートが伸びた状態で冊子BTを最小厚に押圧し、最終厚さに仕上げるに足る間隔、すなわち、冊子BTを押圧し、固定することが可能な間隔である。
図18は冊子整合後に断裁するときの動作を示す動作説明図である。図17で示したように冊子BTの位置を整合し、押圧して固定した後、断裁上刃305の近傍に設けられた押圧部材306を下降させて冊子BTの断裁位置近傍をベース307の上面に押さえ付け、断裁上刃305を下降させることにより断裁下刃307との間で冊子BTの小口の断裁が行われる。断裁された小口側の冊子片は屑受け320に収容される。また、加圧プレート316の下降量は、押圧部材306が下降して冊子BTの小口側をベース306の上面に押さえる付ける際に、冊子BTの各シートS特に表面紙がずれないように保持し、固定できるような押圧力を圧縮バネ314によって付与可能な量である。
図19は断裁終了後の動作を示す動作説明図である。図18に示す断裁が行われた後、断裁上刃305及び押圧部材306が断裁位置から上方の初期位置に待避する。次いで、加圧プレート316及び上部ユニット300c2が上昇し、冊子搬送可能程度の加圧力になるまで冊子BTに加わる圧力を解除する。このときの上方への移動距離は、シート厚、シートサイズ、冊子枚数、シート種(紙質:特殊紙等)等の冊子情報に対応して決定される。その後、第1及び第2の搬送ベルト310,312を搬送方向に回転させ、小口が断裁された冊子BTを断裁装置300の機外に排出し、排紙が完了した時点で断裁装置300内の一連の動作が完了する。
本実施形態では、搬送コロ302,303対の搬送速度v1と第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度v2の関係を、
v1>v2 ・・・(1)
とすることによって冊子BTの折り部におけるシートずれを防ぐ効果を得ているが、この速度差の効果をより確実に得るためには、さらに搬送力を考慮することが望ましい。すなわち、搬送方向上流側の搬送コロ302,303対の搬送力F1と下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送力をF2とした場合、
F1>F2 ・・・(2)
とするとなお良い。本実施形態では、下流側の搬送をスリップさせてシートのずれあるいは膨らみを抑えるので、このように搬送力を設定すると、さらに冊子BTの膨らみを抑制する効果を安定して得ることができる。
なお、ここでいう搬送力は、加圧プレート316と圧縮バネ314による加圧力と、第1及び第2の搬送ベルト310,312と冊子BTの表紙との間の摩擦力とによって発生する力である。
他方、本実施形態では、搬送コロ302,303対の搬送速度v1と、第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度v2を前記(1)式のようにすることによって冊子BTのシート間のずれを防ぐように構成しているが、搬送速度v1とv2の速度差を冊子情報により変更することにより、さらに膨らみの抑制効果を安定して得ることができる。
なお、本実施形態では、冊子情報とは、冊子を構成するシートの枚数、シート厚、シートサイズ、シート種(特殊紙)などのことである。この冊子情報は、画像形成装置PRで取得し、断裁装置3のCPU351に通知される。なお、シート枚数、シートサイズは画像形成を実行する前に自動的若しくは操作パネルPNからの入力により取得される。シート厚及びシート種については、別途操作パネルPNからの入力に基づいて取得されるが、特に入力がない場合には、初期値として普通紙の値が設定される。
本実施形態では、冊子BTの枚数が多いほど、冊子小口部のずれ量は大きくなるため、冊子BTの枚数が多いほど、速度差が大きくなるように設定する。なお、冊子BTの枚数が少ないときに速度差を大きくすると、冊子BTを扱く力が大きくなりすぎ、シートに皺等が発生する原因となる。そのため、冊子BTの枚数が少ない場合には、速度差を大きくする制御は不適である。
図21は、このように冊子情報に基づいて速度差を設定し、冊子BTの膨らみを補正(抑制)する制御の制御手順を示すフローチャートである。
この制御手順では、断裁装置3のCPU351は、画像形成装置PRのCPU_PR1から断裁する冊子の冊子情報の情報を取得する(ステップS1)。そして、取得した冊子情報に基づいて搬送速度差Δvを決定する(ステップS2)。次いで、この搬送速度差Δvを実現する上流側の搬送手段の搬送速度v1と下流側の搬送手段の搬送速度v2を決定する(ステップS3)。なお、本実施形態では、上流側の搬送手段は搬送ローラ302,303対であり、下流側の搬送手段は第1及び第2の搬送ベルト310,312に相当する。
次いで、前記決定した搬送速度v1,v2で搬送ローラ302,303対と第1及び第2の搬送ベルト310,312を駆動し(ステップS4)、冊子BTの搬送が終了すると、搬送ローラ302,303対と第1及び第2の搬送ベルト310,312の駆動をそれぞれ停止する(ステップS6)。
なお、搬送ローラ302,303対の搬送速度v1は、さらに上流側の中綴じ装置2における搬送ローラ、例えば下排紙ローラ231の搬送速度と同一なので、中綴じ装置2から搬入された冊子を第1及び第2の搬送ベルト310,312側に受け渡すまでは中綴じ装置2の下排紙ローラ231と同一の搬送速度v1で回転する。そのため、速度差ΔvがステップS2で決定されれば、下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度v2をステップS3の結果から求めることができる。
前記搬送速度v1は、冊子BTの受入時には上流側の中綴じ装置2の下排紙ローラ231と同速度であるが、受入後、搬送速度v1をそのまま一定の速度とする必要はない。すなわち、一定の速度でも良いが、例えば、下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312による搬送が開始され、図13及び図14に示す冊子表紙の扱き作用がある間、すなわち数10mm程度搬送されるまでとする。その後、搬送ローラ302,303対の搬送速度v1を第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度v2に再設定する。これにより、扱き効果を得た後、過度な応力(ストレス)が冊子BTに加わることを防止することができる。
さらに、本実施形態では、本実施例では、上流側の搬送部と下流側の搬送部の間に空間部Aを設けている。この空間部Aは、図8の断裁部300bの図示部分と、図9の同じ部分の図示部分を比較すると分かるように、可動側の押圧部材306の下面及び断裁上刃305の下端との間に符号Aで示される空間部である。
この空間部Aは、図9に図示されているように、冊子搬送方向上流側の搬送ローラ302,303対の設置位置と下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の設置位置との間、本実施形態では、ベース308と可動側の押圧部材306が設置された断裁部300bの搬送経路に冊子BTの表側のシートSの撓み部分を逃げるために設けられている。そこで、この空間部Aが設けられた断裁部300bの搬送ギャップは上流側の搬送部300aの搬送ギャップ及び下流側の整合部300cの搬送ギャップよりも広くとられている。図8に示すようにこの空間部Aがないと、冊子BTの上側の表紙が矢印x1方向に力を受けたときに(図13参照)、冊子BTの表側のシートSの撓んだ部分が逃げるスペースがなく、押圧部材306と衝突して皺、縮れ、傷、折れなどの原因となる。
なお、本実施形態においては、第1ないし第3の間隔d1,d2,d3、及び加圧プレート316の下降量、速度差Δv、搬送速度v1,v2、搬送力F1,F2について参照するデータベースは、断裁装置3で断裁処理される可能性のある冊子BTのシート厚、シートサイズ、冊子枚数、シート種(特殊紙等)の各要素の組み合わせについて、予め出荷前に実機により最適な前記間隔d1,d2,d3、下降量、速度差Δv、搬送速度v1,v2及び搬送力F1,F2を求めておき、これをデータベース化したものである。
例えば、画像形成装置PRのCPU_PR1からシート厚が通常厚(薄紙、通常紙、厚紙と分けた場合の通常紙の厚さ:例えば、メートル坪量g/m2で表される)、シートサイズがA3、冊子枚数が10枚、シート種が普通紙という冊子情報が断裁装置3のCPU351に送信されてくると、CPU351はメモリのデータベースを参照し、前記冊子情報に対応する第1ないし第3の間隔d1,d2,d3、加圧プレート316の下降量、速度差Δv、搬送速度v1,v2、搬送力F1,F2を求め、求められた値に対応する制御量を決定し、前述の各制御を実行する。
また、本実施形態では、小口の断裁装置を例示しているが、この他にも、天地断裁、背の部分に角を持たせるように角処理を施すスクウェアホールドを行う冊子、穿孔処理を行う冊子を搬送する装置においても適用可能である。
以上のように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)上流側の搬送ローラ302,303対の搬送速度より下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度を低速に設定しているので、両者の速度差により搬送ローラ302,303対から第1及び第2の搬送ベルト310,312に冊子BTが受け渡される際、第1及び第2の搬送ベルト310,312の直前で冊子BTの膨らみが押さえられ表側のシートが撓む。そして、その撓んだ部分が、第1及び第2の搬送ベルト310,312に挟み込まれるときに扱かれ、搬送されるに従い、前記膨らみが補正される。これにより撓みや膨らみを補正するための装置を特に設ける必要がなく、冊子BTの搬送の過程で、冊子BTに生じている撓み、膨らみ、あるいはずれを補正することができる。したがって、冊子BT搬送の過程で処理時間の増大、装置の大型化、消費電力の増大を招くことなく冊子BTの撓みやずれを補正し、冊子BTを後段に搬送することが可能となる。
2)上流側の搬送ローラ302,303対の搬送力を下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送力より大きくしたので、下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312で搬送するときに搬送ローラ302,303対が滑ることがなく、結果として、第1及び第2の搬送ベルト310,312で挟持される直前で撓み、挟み込まれるときに、その撓みを補正することができる。
3)上流側の搬送ローラ302,303対の搬送速度と下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312の搬送速度の速度差を前記冊子BTの冊子情報に基づいて変更するので、確実に第1及び第2の搬送ベルト310,312に挟持される直前で撓ませることが可能であり、この撓みを第1及び第2の搬送ベルト310,312で挟み込むときに補正することができる。
4)上流側の搬送ローラ302,303対と下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312との間の搬送路に両者を所定間隔で隔てる搬送空間を設け、その搬送空間における冊子搬送方向に直交する方向の搬送ギャップが、第1及び第2の搬送手段の搬送ギャップより大きくし、当該搬送ギャップの差によって生じた空間部を冊子BTのシートの撓みを許容する撓み空間としたので、第1及び第2の搬送ベルト310,312に挟み込まれる直前でシートが大きく撓んだとしても、その撓みを撓み空間に逃がすことができる。これにより冊子BTの表側のシートを確実に撓ませることができるとともに、その撓み部分は搬送路内で他の部位と接触することがないので、当該接触が原因となる皺、折れ、曲がりなどの発生を防止することが可能となる。
5)上流側の搬送ローラ302,303対の搬送速度を、下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312による扱き動作終了後、第1及び第2の搬送ベルト310,312と同速度程度に減速させるので、扱き効果を得た後、過度な応力(ストレス)が冊子BTに加わることを防止することができる。
6)上流側の搬送ローラ302,303対と下流側の第1及び第2の搬送ベルト310,312との間の搬送空間に冊子BTの小口を断裁する断裁部300bを設けたので、膨らみを補正した直後の冊子BTの小口を断裁することが可能となり、製本完了後の小口を綺麗に揃えることができる。
7)画像形成装置PR、第1のシート後処理装置1、第2のシート後処理装置(中綴じ装置)2、第3のシート後処理装置(断裁装置)3によって画像形成システムを構成し、断裁装置3に本実施形態における冊子搬送装置を設けたので、画像形成から小口断裁までインラインで実行され、効率よく、綺麗な製本処理が可能となる。
なお、特許請求の範囲における第1の搬送手段は本実施形態では、搬送ローラ302,303対に、第2の搬送手段は第1及び第2の搬送ベルト310,312に、冊子は符号BTに、補正手段はCPU351に、搬送路は符号300に、搬送空間は断裁部300bが配置された空間に、空間部(撓み空間)は符号Aに、処理手段は断裁上刃305と断裁下刃307に、冊子搬送装置は搬送ローラ302,303対と第2の搬送手段は第1及び第2の搬送ベルト310,312に、画像形成システムは画像形成装置PR、第1のシート後処理装置1、第2のシート後処理装置(中綴じ装置)2、第3のシート後処理装置(断裁装置)3からなるシステムに、それぞれ対応する。
また、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲により規定される範囲に含まれる。