本発明では、用紙束が所定枚数より少ない場合、2つ折りしたときの背面部の膨らみが小さいことから、当該用紙束に対して前記背面を形成する処理をせずに排紙手段へ搬送し、膨らみが大きくなる枚数の場合に、冊子を形成するシート束の折り目部を平坦に形成し、また、折り目部とその近傍の表紙部分と裏表紙部分を含む冊子背面部を加圧して平坦にすることにより、折り目部を含む背面と表紙及び裏表紙との間をほぼ直角になるように、所謂スクウェアに成形するようにしたものである。これにより、多数部の平積みを可能とし、保管及び運搬などの取り回しに際して問題が生じないようにすると共に、部の構成枚数が小数枚の場合に、背面の膨らみが大きな問題になることはないので、背面の膨らみの矯正動作を省略するようにした。これにより、本当に必要な冊子厚さの場合にのみ、背面処理を行うことになり、形状補正と冊子形成の能率化の両者を満足することが可能となる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には、同一の参照符号を付し,重複する説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態における画像形成装置、シート後処理装置、中綴じ装置、背面処理装置からなり、画像形成後に背面処理まで実行する製本システムのシステム構成を示す図である。同図では、画像形成装置の後段にシート処理装置としてシート後処理装置1が連結され、シート後処理装置1の後段に中綴じ製本装置2及び背面処理装置3が連結されて1つの製本システムが構成されている。このシステムでは、大略、シート後処理装置1のシート束排紙ローラ10から中綴じ製本装置2内に搬入されたシート束に対して中綴じ処理を施し、さらに中折りした後、下排紙ローラ231から背面処理装置3に搬送し、当該背面処理装置3でシート束の折り目部を平坦面に形成して装置外に排紙するようになっている。画像形成装置は入力された画像データ、もしくは読み取った画像の画像データに基づいてシート状の記録媒体に可視画像を形成するもので、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能のうち少なくとも2つの機能を備えたデジタル複合機(MFP100−図18参照)などがこれに相当する。
図2は図1における中綴じ製本装置の詳細な構成を示す図である。同図において、中綴じ製本装置2は入口搬送路241、シートスルー搬送路242、及び中折り搬送路243を備えている。入口搬送路241のシート搬送方向最上流部には、入口ローラ201が設けられ、画像形成装置1の前記シート束排紙ローラ10から整合されたシート束が装置内に搬入される。なお、以下の説明では、シート搬送方向上流側を単に上流側と、シート搬送方向下流側を単に下流側と称す。
入口搬送路241の入口ローラの201の下流側には、分岐爪202が設けられている。この分岐爪202は図において水平方向に設置され、シート束の搬送方向をシートスルー搬送路242あるいは中折り搬送路243に分岐する。シートスルー搬送路242は、入口搬送路241から水平に延び、後段の図示しない処理装置もしくは排紙トレイにシート束を導く搬送路であり、シート束は上排紙ローラ203によって後段に排紙される。中折り搬送路243は分岐爪202から垂直下方に延び、シート束に対して中綴じ、中折りを行うための搬送路である。
中折り搬送路243は、中折りするための折りプレート215の上部でシート束を案内する束搬送ガイド板上207と、折りプレートの215の下部でシート束を案内する束搬送ガイド板下208を備えている。束搬送ガイド板207には、上部から束搬送ローラ上205、後端叩き爪221、束搬送ローラ下206が設けられている。後端叩き爪221は、図示しない駆動モータによって駆動される後端叩き爪駆動ベルト222に立設されている。後端叩き爪221は駆動ベルト222の往復回転動作により、シート束の後端を後述の可動フェンス側に叩き(押圧し)シート束の整合動作を行う。また、シート束が搬入される際、及びシート束が中折りのための上昇する際には、束搬送ガイド板上207の中折り搬送路243から退避する(図2破線位置)。符号294は後端叩き爪221のホームポジションを検出するための後端叩き爪HPセンサであり、中折り搬送路243から退避した図2破線位置をホームポジションとして検出する。後端叩き爪221は、このホームポジションを基準に制御される。
束搬送ガイド板下208には、上方から中綴じスティプラS1、中綴じジョガーフェンス225、及び可動フェンス210が設けられている。束搬送ガイド板下208は束搬送ガイド板上207を通って搬送されてきたシート束を受入れるガイド板であり、幅方向には一対の前記中綴じジョガーフェンス225が設置され、下方にシート束先端が当接(支持)し、上下動可能に前記可動フェンス210が設けられている。
中綴じスティプラS1はシート束の中央部を綴じるスティプラである。可動フェンス210はシート束の先端部を支持した状態で上下方向に移動し、シート束の中央位置を中綴じスティプラS1に対向する位置に位置させ、その位置でスティプル処理、すなわち中綴じが行われる。可動フェンス210は可動フェンス駆動機構210aによって支持されるともに、図示上方の可動フェンスHPセンサ292位置から最下方位置まで移動可能である。シート束の先端が当接する可動フェンスの可動範囲は、中綴じ製本装置2の処理可能な最大サイズから最小サイズまで処理可能なストロークが確保されている。なお、可動フェンス駆動機構210aとしては、例えばラックアンドピニオン機構が使用される。
束搬送ガイド板上207と下208との間、すなわち中折り搬送路243のほぼ中央部には折りプレート215、折りローラ対230、排紙搬送路244、及び下排紙ローラ231が設けられている。折りプレート215は、図示水平方向に往復動可能であり、折り動作を行う際の動作方向には、折りローラ対230のニップが位置し、その延長上に排紙搬送路244が設置されている。下排紙ローラ231は、排紙搬送路244の最下流に設けられ、後段に折り処理されたシート束を排紙する。
束搬送ガイド板上207の下端側には、シート束検知センサ291が設けられ、中折り搬送路243に搬入され、中折り位置を通過するシート束の先端を検知する。また、排紙搬送路224には、折り目部通過センサ293が設けられ、中折りされたシート束の先端を検知し、シート束の通過を認識する。
大略、図2に示すように構成された中綴じ製本装置2では、図3ないし図7の動作説明図に示すようにして中綴じ及び中折り動作が行われる。すなわち、画像形成装置1の図示しない操作パネルから中綴じ中折りが選択されると、当該中綴じ中折りが選択されたシート束は、分岐爪202の反時計方向の偏倚動作により中折り搬送路243側に導かれる。なお、分岐爪202はソレノイドによって駆動される。なお、ソレノイドに代えてモータ駆動でも良い。
中折り搬送路243内に搬入されたシート束SBは、入口ローラ201と束搬送ローラ上205によって中折り搬送路243を下方に搬送され、シート束検知センサ291によって通過が確認された後、図3に示すように束搬送ローラ下206によって可動フェンス210にシート束SBの先端が当接する位置まで搬送される。その際、画像形成装置1からのシートサイズ情報、ここでは、各シート束SBの搬送方向のサイズ情報に応じて可動フェンス210は異なる停止位置で待機している。このとき、図3では、束搬送ローラ下206はニップにシート束SBを挟持し、後端叩き爪221はホームポジション位置に待機している。
この状態で、図4に示すように束搬送ローラ下206の挟持圧が解除され(矢印a方向)、可動フェンス210にシート束先端が当接し、後端がフリーになった状態でスタックされると、後端叩き爪221が駆動され、シート束SBの後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う(矢印c方向)。
次いで、中綴じジョガーフェンス225によって幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)、可動フェンス210と後端叩き爪221により搬送方向の揃え動作が実行され、シート束SBの幅方向及び搬送方向の整合動作が完了する。このとき、シートのサイズ情報、シート束の枚数情報、シート束厚み情報によって、後端叩き爪221、中綴じジョガーフェンス225の押し込み量を最適の値に変更し整合する。
また、束の厚みがあると搬送路内の空間が減少するため、一度の整合動作では整合しきれないケースが多い。そこで、このような場合には、整合回数を増加させる。これにより、より良い整合状態を実現することができる。さらに、上流側でシートを順次重ね合わせる時間はシート枚数が多ければ多いほど増加するので、次のシート束SBを受入れるまでの時間が長くなる。その結果、整合回数を増加してもシステムとして時間の損失はないことから、効率的に良好な整合状態を実現できる。従って、上流の処理時間に応じ、整合回数を制御することも可能である。
なお、前記可動フェンス210の待機位置は、通常、シート束SBの中綴じ位置が中綴じスティプラS1の綴じ位置に対向する位置に設定される。この位置で整合すると、可動フェンス210をシート束SBの中綴じ位置に移動させることなく、スタックされた位置でそのまま綴じ処理が可能となるからである。そこで、この待機位置でシート束SBの中央部に中綴じスティプラS1のステッチャを矢印b方向に駆動し、クリンチャとの間で綴じ処理が行われ、シート束SBは中綴じされる。
なお、可動フェンス210は可動フェンスHPセンサ292からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪221は後端叩き爪HPセンサ294からのパルス制御により位置決めされる。可動フェンス210及び後端叩き爪221の位置決め制御は、中綴じ製本装置2の制御回路のCPU100−1(図18参照)によって実行される。
図4の状態で中綴じされたシート束SBは、図5に示すように束搬送ローラ下206の加圧が解除された状態で可動フェンス210の上方移動に伴って中綴じ位置(シート束SBの搬送方向の中央位置)が折りプレート215に対向する位置まで移送される。この位置も可動フェンスHPセンサ292の検出位置を基準に制御される。
図5の位置にシート束SBが達すると、図6に示すように折りプレート215が折りローラ対230のニップ方向に移動し、シート束SBの綴じられた針部近傍のシート束SBに対して略直角方向から当接し、前記ニップ側に押し出す。シート束SBは折りプレート215により押されて折りローラ対30のニップへと導かれ、予め回転していた折りローラ対230のニップに押し込まれる。折りローラ対230は、ニップに押し込まれたシート束SBを加圧し、搬送する。この加圧搬送動作によりシート束SBの中央に折りが施される。図6は、シート束SBの折り目部先端が折りローラ対230のニップに挟持され、加圧されているときの状態を示す。
図6の状態で中央部が2つ折りされたシート束SBは、図7に示すように折りローラ対230によって搬送され、さらに下排紙ローラ231に挟持されて後段に排出される。このとき、シート束SB後端が折り目部通過センサ293に検知されると、折りプレート215及び可動フェンス210はホームポジションに、束搬送ローラ下206は加圧状態にそれぞれ復帰し、次のシート束SBの搬入に備える。また、次のジョブが同サイズ同枚数であれば、可動フェンス210は再び図3の位置に移動し、待機するようにしても良い。なお、これらの制御も前記制御回路110のCPU111によって実行される。
図8は図1における背面処理装置3の詳細を示す正面図である。背面処理装置3にはシート束搬送路302に沿って上流側から搬送部、補助挟持部、加圧挟持部、突き当て部、排紙部が設けられている。
搬送部は上下の搬送ベルト311,312を、補助挟持部は上下の搬送ガイド板315,316及び上下の補助挟持板320,321を、加圧挟持部は上下の加圧挟持板325,326を、突き当て部は突き当て板330を、排紙部は排紙ガイド板335及び上下の排紙ローラ340,341を、それぞれ備えている。なお、各部は図8では紙面の奥側に少なくともシート束SBの搬送幅以上の幅を有する。
上搬送ベルト311及び下搬送ベルト312はそれぞれ、揺動支点311a,312aに軸支された駆動側プーリ311b,312bと、この駆動側プーリ311b,312bよりも下流側に位置し、前記折りプレート215、折りローラ対230のニップ、下排紙ローラ231のニップを結ぶ線の延長上に設定される搬送中心301挟んで対向した従動側プーリ311c,312c間に掛け渡され、図示しない駆動モータにより駆動される。揺動支点311a,312aはシート束SBの厚さに応じて従動側プーリ311c,312cの間隔が倣うことができるように上下の搬送ベルト311,312を支持している。
図9は、上下の搬送ベルト311,312によってシート束SBを搬送する搬送機構(搬送部)の詳細を示す図である。図9(a)は初期状態を、図9(b)はシート束SBの搬送時の状態をそれぞれ示す。これらの図に示すように、駆動側プーリ311b,312bと従動側プーリ311c,312cはそれぞれ支持板311d,312dで連結され、駆動側プーリ311b,312bと従動側プーリ311c,312c間に上下の搬送ベルト311,312がそれぞれ掛け渡されている。これにより、上下の搬送ベルト311,312は、それぞれ駆動側プーリ311b,312bから駆動力を得て回転する。
一方、従動側プーリ311c,312cの回転軸には、連結軸313aによって回動可能に連結された2つの部材からなるリンク313が接続され、加圧バネ314によって常時近接する方向に弾性付勢力が付与されている。連結軸313aは、背面処理装置3の筐体に設けられた搬送方向に延びた長孔313bに沿って移動可能である。これによりリンク313の従動側プーリ311c,312cの開閉動作に伴って図9(b)に示すように連結軸313aが長孔313bに沿って移動し、シート束SBの厚さに追従してニップ間の距離が変化するとともに、所定の挟持圧を付与することが可能となる。
また、連結軸313aを例えばラックアンドピニオン機構によって長孔313bに沿って移動できるようにし、ピニオンを駆動する駆動モータを制御して連結軸313aの位置を移動させるようにすることもできる。このようにすると、シート束SBの厚さが厚い場合、シート束SBを受入れるための搬送間隔(従動プーリ311c,312c間のニップ間距離)を設定することが可能となり、シート束SBの従動プーリ311c,312c側の搬送ベルト311,312がシート束SBの折り目部先端SB1に乗り上げる際の圧力を緩和することができる。なお、一旦乗り上げた後、駆動モータへの電源供給を停止すれば、加圧バネ314だけの弾性付勢力で従動側プーリ311c,312cはシート束SBを挟持し、搬送力を付与することができる。
図10は、図9におけるリンク314に代えて揺動軸311a,312aにセクタギヤ311e,312eを設け、両者を噛合させて搬送中心301に対して対称に離間するように構成した例である。この場合も図10(a)は初期状態を、図10(b)はシート束SB搬送時の状態をそれぞれ示す。この場合も、セクタギヤ311e,312eの一方を、減速機構を含む駆動モータにより駆動できるようにしておけば、図9で示した例と同様にシート束SBを受入れるための搬送間隔を設定することが可能となる。
図8に示すように上下の搬送ベルト311,312の従動側プーリ311c,312cの搬送ニップ近傍には上下の搬送ガイド板315,316が搬送中心301を挟んで対称に配置されている。上下の搬送ガイド板315,316は、それぞれ搬送ニップ近傍から上下の補助挟持板320,321の受け渡し部分まで平坦面で形成され、この平坦面が搬送面として機能する。上下の搬送ガイド板315,316は、それぞれ上下の補助挟持板320,321に上下方向に変位可能でかつ加圧バネ317によって搬送中心301側に加圧(弾発)可能に取り付けられている。また、上下の補助挟持板320,321も上下方向に変位可能に図示しない筐体によってガイドされ、保持されている。なお、上下の搬送ガイド板315,316を省略して上下の補助挟持板320,321のシート束SBに対向する面の形状のみで代用することも可能である。
上下の補助挟持板320,321を備えた補助挟持部は、前述した搬送部の上下の搬送ベルト311,312による近接離間機構と同様に、搬送中心301に対し対称に近接離間動作を行う。この補助挟持部に設けられる近接離間機構は、搬送部で説明したリンク機構、あるいはラックとセクタギヤでの連結機構を使用することによって構成することができる。変位位置検出の基準位置は補助挟持板HPセンサSN3の検知出力によって決められる。図示しない駆動機構と上下の補助挟持板320,321は搬送部における加圧バネ314と同様にバネ等を介して連結されているため、シート束SBを挟持する際に駆動機構に過負荷による破損が生じることはない。なお、上下の補助挟持板320,321のシート束SBを挟持する押圧挟持面は搬送方向、言い換えれば搬送中心301に対して平行な平坦面となっている。
加圧挟持部は上下の加圧挟持板325,326を備えた含み、上下の加圧挟持板325,326は、前述した搬送部の上下の搬送ベルト311,312による近接離間機構と同様に、搬送中心301に対し対称に近接離間動作を行う。この加圧挟持部に設けられる近接離間機構は、搬送部で説明したリンク機構、あるいはラックとセクタギヤでの連結機構を使用することによって構成することができる。上下の加圧挟持板325,326についても加圧挟持板HPセンサSN4の検知出力によって上下変位位置検出の基準位置が決められる。動作とその他の構成は前述の補助挟持板320,321と同様であるため、説明は省略する。なお、搬送部における駆動モータは必須ではないが、補助挟持部及び加圧挟持部は、駆動モータもしくはその他の駆動源は必須であり、この駆動モータもしくは駆動源による駆動力によってシート束SBの挟持位置、及び退避位置への移動が可能となる。また、上下の加圧挟持板325,326のシート束SBを挟持する押圧挟持面も補助挟持板320,321と同様に、搬送方向、言い換えれば搬送中心301に対して平行な平坦面となっている。
加圧挟持部の下流には突き当て部が設けられている。突き当て部は突き当て板330とこの突き当て板330を昇降移動させる図示しない移動機構とからなる。突き当て板330は搬送路302に対して進出後退可能に変位し、その変位位置検出の基準位置は突き当て板HPセンサSN5の検知出力によって決められる。突き当て板330の天面は搬送路302から退避した位置では、シート束SBの搬送ガイドとして機能する。そのため、当該天面はシート搬送方向、言い換えれば搬送中心301に平行な平坦面として形成されている。前記移動機構は、例えば突き当て板330の両側面(装置の前面側と後面側)に設けられた図示しないラックアンドピニオン機構と、ピニオンを駆動する駆動モータとから構成することができる。このように構成すると、駆動モータの駆動により突き当て板330を昇降動作させ、更には、所定の位置に位置決めすることができる。
図11ないし図17はシート束SBの折り目部を平坦に、かつ、折り面部に隣接する表紙部側と裏表紙部側を平坦状に形成する背面処理装置3の背面処理動作を示す動作説明図である。以下、これらの図を参照して、シート束SBの折り目部先端、言い換えればシート束SBの背面部の平坦形成動作について説明する。
背面処理装置3の図示しない入口センサ又は中綴じ製本装置2の折り目部通過センサ293からのシート束SB検知信号により、背面処理装置3の各部は用紙受入れ準備の動作をする。受入れ準備動作では、上搬送ベルト311と下搬送ベルト312は回転を開始し、上補助挟持板320と下補助挟持板321は補助挟持板HPセンサSN3の検知位置、すなわちホームポジションに一旦移動した後、搬送中心301に向かって予め設定された搬送ギャップ(離間距離)になるように移動し、その位置で停止する。上加圧挟持板325と下加圧挟持板326も加圧挟持板HPセンサSN4の検出位置(ホームポジション)まで移動し、その後、搬送中心301に向かって予め設定された搬送ギャップ(離間距離)になるように移動し、その位置で停止する。なお、上下の補助挟持板320,321の場合も上下の加圧挟持板325,326の場合も、搬送中心301に対して対称に配置され、対称に動作するので、一方のホームポジションが検出できれば、他方も同じ状態である。そのため、HPセンサSN3,SN4は一方の側だけに設けられている。突き当て板330は突き当て板HPセンサSN5の検出位置(ホームポジション)まで移動した後、搬送中心301に向かって予め設定された距離移動し、搬送路302を塞ぐ位置で停止する。この状態は、図11においてシート束SBが搬入されていない状態に対応する。
この状態で、中綴じ製本装置2の下排紙ローラ231から排紙され、背面処理装置3に搬入されたシート束SBは、回転を開始している上搬送ベルト311と下搬送ベルト312によって図11に示すように機内に搬入される。シート束SBは搬送センサSN1により折り目部先端SB1が検出され、折り目部先端SB1が突き当て板330に突き当たる距離と、折り目部先端SB1を加工するために必要な膨らみSB2の発生のための距離分とを加算した予め設定された距離搬送された後に図12に示すように停止する。前記設定された距離は、紙厚、サイズ、綴じ、枚数、特殊紙等のシート束SB情報に対応して設定される。
図12の状態でシート束SBが停止すると、図13に示すように上補助挟持板320と下補助挟持板321は搬送中心301に向かって移動を開始し、まず、上搬送ガイド板315と下搬送ガイド板316がシート束SBを加圧バネ317の弾性力によって加圧状態で挟持する。上搬送ガイド板315と下搬送ガイド板316により一定の加圧力が加わった時点から、上補助挟持板320と下補助挟持板321はさらに搬送中心301に向かって移動し、上補助挟持板320と下補助挟持板321によりシート束SBの折り目部先端SB1よりも下流側はさらに挟持され、予め設定された加圧力に達した時点で上補助挟持板320と下補助挟持板321の移動は停止し、図14に示すように当該加圧力下でシート束SBは保持状態になる。これにより、シート束SBの折り目部先端SB1は突き当て板330に当接し、折り目部先端SB1の下流側に図13に示した膨らみSB2よりさらに大きな膨らみSB2が発生する。
次いで、図14の上下の補助挟持板320,321の加圧挟持状態から、図15に示すように上加圧挟持板325と下加圧挟持板326が搬送中心301に向かって移動を開始する。この移動に伴って折り目部先端SB1に集められた膨らみSB2は徐々に加圧され、上加圧挟持板325、下加圧挟持板326及び突き当て板330によって形成される空間の形状に倣って変形する。加圧が完了し終わると、シート束SBの折り目部先端SB1は突き当て板330の形状に倣って平坦面となり、シート束SBに平坦状の背面(背表紙)が形成される。また、折り目部近傍の表紙部SB3及び裏表紙部SB4も平坦面に成形される。これによりシート束SBの中綴じ、中折り部にスクウェアな背面部が形成された冊子を提供することができる(図17参照)。
その後、図16に示すように、上補助挟持板320と下補助挟持板321、上加圧挟持板325と下加圧挟持板326はシート束SBから離間して所定位置で停止し、突き当て板330もホームポジション側へ移動し、突き当て板の上面でシート束SBを搬送ガイドできる位置で停止する。
上下の補助挟持板320,321、上下の加圧挟持板325,326、及び突き当て板330が図16に示す待機位置に移動した後、図17に示すように上搬送ベルトと311と下搬送ベルト312、及び上排紙ローラ340と下排紙ローラ341が回転を開始し、シート束SBを背面処理装置3から機外に排出し、一連の背面処理動作は完了する。回転をしている上下の搬送ベルト311,312、及び上下の排紙ローラ340,341は、排紙センサSN2の検知情報で一定時間後に停止する。また、それに併せてその他の可動部もホームポジションに移動する。中綴じ製本装置2から続けてシート束SBが搬送されてくる場合は、上下の搬送ベルト311,312、及び上下の排紙ローラ340,341の回転停止タイミングは、後続のシート束SBの搬送状況に応じて変更される。また、その他の可動部も毎回ホームポジションに戻る必要はなく、シート束SBの受入れ位置も搬送状況やシート束SB情報に対応して移動しても良い。なお、これらの制御は、前述の制御回路のCPUによって実行される。
図18は、製本システムのオンラインの制御構成の概略を示すブロック図である。すなわち、MFP(画像形成装置)100に対してシート処理装置1が接続され、このシート処理装置1に中綴じ製本装置2が接続され、この中綴じ製本装置2に冊子背面処理装置3が接続されている。MFP100、シート処理装置1、中綴じ製本装置2及び冊子背面処理装置3はそれぞれCPU100−1,CPU1−1,CPU2−1,CPU3−1と、通信ポート100−2,通信ポート1−2,通信ポート1−3,通信ポート2−2,通信ポート2−3,通信ポート3−2を備え、MFP100とシート処理装置1は通信ポート100−2と通信ポート1−2により、シート処理装置1と中綴じ製本装置2は通信ポート1−3と通信ポート2−2により、中綴じ製本装置2と(冊子)背面処理装置3は通信ポート2−3と通信ポート3−2より相互に通信可能となっている。また、MFP100には、操作パネル105が設けられ、MFP100のCPU100−1が操作パネル105の表示と操作入力を制御し、操作パネル105をユーザインターフェイスとして機能させている。
MFP100、シート処理装置1、中綴じ製本装置2及び冊子背面処理装置3にそれぞれ搭載されているCPU100−1,CPU1−1,CPU2−1,CPU3−1は、同じくMFP100、シート処理装置1、中綴じ製本装置2及び冊子背面処理装置3にそれぞれ搭載されたROMに格納されたプログラムコードをそれぞれ読み出し、RAMに展開するとともに、RAMをワークエリアとして使用して、前記プログラムコードに記載されたプログラムを実行する。これにより、前述したあるいは以降に述べる各種制御や処理が行われる。これらの各装置は、前記通信ポート100−2,通信ポート1−2,通信ポート1−3,通信ポート2−2,通信ポート2−3,通信ポート3−2を介して直列にライン状(インライン状)に接続されている。オンライン処理の場合には、MFP100のCPU100−1と通信を行い、MFP100のCPU100−1の制御下で制御される。なお、本実施形態でインラインと言うのは、画像形成からシート処理、中綴じ処理、あるいは冊子背面処理が1つの用紙の流れの中で処理されることを意味している。
ここまでは、冊子の背面処理を確実に行う通常処理について説明してきたが、効率を考えた場合には、冊子の背面の膨らみが小さい場合には、敢て背面処理を省略し、生産性を重視した処理とすることができる。以下、このように処理する場合について実施例1として説明する。
図19は、操作パネル105の背面処理モード選択画面を示す図である。ユーザは操作パネル105の初期設定画面で、自動選択モード105−1、背面処理モード105−2、背面処理禁止モード105−3のいずれかを選択できる。自動選択モード105−1が選択された場合、図20に示したフローチャートに従い、自動で用紙束に対して背面処理をするか否か選択される。背面処理モード105−2が選択された場合、用紙束に対して背面処理がされる。背面処理禁止モード105−3が選択された場合、用紙に対して背面処理は禁止され、背面処理がなされることはない。
以下、図20に示したフローチャートに従って、各モード選択に伴う処理手順について説明する。図20は、冊子の折り部の膨らみに応じた背面処理の処理手順を示すフローチャートである。
すなわち、背面処理には処理時間を要し、生産性が低下するという問題がある。そこで、冊子の折り部に膨らみが大きいときは図11ないし図17に示した手順で背面処理をすることによって折り高さを低減することが可能である。一方、冊子の折り部に膨らみが小さいときは、背面処理を省くと、背面処理に要する時間がなくなることから生産性を確保することができる。冊子の折り部の膨らみは、用紙の枚数が多い場合又は用紙が厚紙の場合に大きくなり、用紙の枚数が少ない場合、又は用紙が薄紙の場合、用紙枚数が多くとも膨らみは小さくなる。 そこで、MFP100のCPU100−1は、まず、中綴じモードか否か判別し(ステップS1)、YESであれば、操作パネル105からの入力が自動選択モードか否か判別する(ステップS2)。自動モードであれば(ステップS2−YES)、厚紙か否か判別する(ステップS3)。
ステップS3の判別で、厚紙であれば、用紙の枚数が10枚より多いか否か判別し(ステップS4)、10枚より多ければ、搬送ベルト311,312の速度をV1として冊子を搬送し(ステップS5)、図11から図17の手順に従って冊子に対して背面処理を行い(ステップS6)、排紙トレイへ排出される。なお、ここでの10枚は便宜的なものであり、用紙の厚さに応じて枚数は適宜設定される。
一方、ステップS2で自動選択モードでなければ、図18の操作パネル105で背面処理モード105−2が選択されているか否かを判別し(ステップS7)、選択されていればステップS5で搬送ベルト311,312の搬送速度をV1として冊子を搬送し、背面処理モード105−2が選択されていなければ、搬送ベルト311,312の搬送速度をV1より大きなV2に設定して冊子を搬送し(ステップS9)背面処理を行わないで、冊子は排紙トレイへ排出される(ステップS10)。
また、ステップS3で厚紙でない場合には、用紙の枚数が20枚より多いか否か判別し(ステップS8)、20枚より多ければステップS5で搬送ベルト311,312の搬送速度をV1に設定して冊子を搬送し、図11から図17の手順に従って冊子に対して背面処理を実行し(ステップS6)、排紙トレイへ排出される。なお、この枚数20も便宜的なものである。
ステップS1で中綴じモードでない場合、ステップS7で背面処理が選択されていない場合(図6の操作パネル105から背面処理禁止モード105−3が選択されている場合)、及びステップS8で用紙枚数が20枚以下である場合、それぞれステップS9で搬送ベルト311,312を速度V2(>V1)で回転させ、ステップS10で冊子に対して背面処理は行わず、冊子は排紙トレイへ排出される。
なお、先にも触れたが、ステップS4、S8の枚数は、ステップS3で判定する用紙の厚さに応じて適宜変更される。
以上の手順により、冊子の折り部に膨らみが小さいとき(冊子の用紙枚数が少ないとき)には背面処理を省き、冊子の搬送速度を大きくすることによって生産性を確保することができる。
前記実施例1における図20に示したフローチャートの処理では、背面処理は図11から図17に示したように上下の補助挟持板320,321、上下の加圧挟持板325,326、及び突き当て板330を使用して実施していた。これに対し、冊子の折り部に膨らみが大きいときは図11から図17の手順で背面処理を施すことによって折り高さを低減し、冊子の折り部に膨らみが小さいときは図21ないし図23に示すように前記図11から図17の手順に対して背面処理の手順を一部省略することによって生産性を確保することができる。なお、用紙の枚数が多い場合又は用紙が厚紙の場合に、冊子の折り部の膨らみが大きくなる。従って、膨らみを小さくする場合には、図11から図17に示した手順で処理する。
実施例2の処理である背面処理を一部省略した手順とは、実施例1における上下の補助挟持板320,321、上下の加圧挟持板325,326、及び突き当て板330のうち、上下の補助挟持板320,321と突き当て板330を使用した処理を省略し、上下の加圧挟持板325,326のみを用いて加圧成形するものである。
すなわち、図21に示すように突き当て板330は退避(ホームポジション)位置の状態で、中綴じ装置より排出された冊子は、上搬送ベルト311と下搬送ベルト312によって搬送され、搬送センサSN1により先端部が検出され、冊子先端が上加圧挟持板325と下加圧挟持板326の間の位置にくるまで搬送された後に停止する。次に、図22に示すように上加圧挟持板325と下加圧挟持板326が搬送中心301に向かって移動することによって、冊子先端部を加圧する。
加圧後、図23に示すように上加圧挟持板325と下加圧挟持板326は冊子から離間する。最後に、上搬送ベルト311と下搬送ベルト312、上排紙ローラ340と下排紙ローラ341が回転を開始し、冊子を機外に排出して一連の動作は完了する。
なお、本実施例2では冊子の加圧は、上加圧挟持板325と下加圧挟持板326とによって行っていたが、これらの挟持板325,326に代えて、上補助挟持板320と下補助挟持板321によって冊子の上流部を加圧し、上加圧挟持板325と下加圧挟持板526によって冊子の下流部を加圧しても良い。
このように、冊子の折り部に膨らみが小さい場合、図11から図17に示した手順と比べて、突き当て板330の移動が省略されたことによって、生産性を確保できる。
図24は、実施例2における冊子の折り部の膨らみに応じた背面処理の処理手順を示すフローチャートである。
まず、CPU100−1は、中綴じモードか否か判別し(ステップS11)、中綴じモードであれば、図示しない操作パネルから自動選択モードが選択されているか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12で自動選択モードが選択されている場合、さらに厚紙か否かを判別し(ステップS13)、厚紙であれば、用紙の枚数が10枚より多いか否か判別する(ステップS14)。10枚より多ければ、ステップS15で図11ないし図17の手順に従って冊子の背面処理を行い、排紙トレイへ排出される。厚紙でなければ、ステップS17で用紙枚数をチェックし、用紙枚数が20枚より多ければ、ステップS15の背面処理を実行する。
一方、ステップS12で自動選択モードでない場合、図示しない操作パネルで品質モードが選択されているか否かを判別し(ステップS16)、選択されていれば、ステップS15で前述の背面処理を実行する。
また、ステップS11で中綴じモードでない場合、ステップS16で品質モードが選択されていない場合、ステップS17で用紙の枚数が20枚以下である場合には、図21ないし図23に示した上下の挟持板325,326のみによる背面処理を冊子に対して実行し(ステップS18)、排紙トレイへ排出される。
なお、ステップS14、S17の枚数は、ステップS13で判定される用紙の厚さに応じて適宜変更される。
以上の手順により、冊子の折り部に膨らみが小さいとき(冊子の用紙枚数が少ないとき)は背面処理の突き当て板の動作を省くことによって生産性を確保することができる。
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。