JP2013002021A - きもの及びきものセット並びにゆかた - Google Patents

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Abstract

【課題】伝統的縫製のきものでありながら、簡易きもののように、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着付けることができるようにする。
【解決手段】前身頃3の身八口5を通してきもの1の内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルト18と、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられ第1の衿合わせ用ベルト18と前側で連結される第2の衿合わせ用ベルト19と、前身頃の着丈並びにきものの腰部付近を固定する腰部固定用ベルト13と、後身頃3の腰部付近の内側の面に取り付けられた後身頃用着丈調節ベルト10とを備え、後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて後身頃の着丈位置を調整してから、腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定し、他方、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を用いて衿2の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定するようにしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、きもの及びきものセット並びにゆかたに関する。さらに詳述すると、本発明は、本体部分が伝統的な縫製のままでありながら、洋装のような着やすさを特長とする立体縫製きものと同様の簡易な着付けを可能とするきもの及びきものセット並びにゆかたに関する。
伝統的なきもの、特に女性用のきものは、肌襦袢、裾よけ、長襦袢などの下着を着用した上から、複数本の腰紐や伊達締めなどを用いて、お端折りを作って着丈よりも長い身丈のきものの裾線を揃え、また衿を整えながら、さらに伊達締めで締めて着付け上がりとし、その後に帯を結んで着付けを完了するものである。したがって、各紐や伊達締めの位置や締め方が不十分であると、美しく着られないばかりか、型崩れを起こし易いものとなる。しかも、着丈より長い身丈のきものを一人でお端折りをつくる際には、裾線がきれいに出せなかったり、不要な部位に皺が出たりして、着慣れていない人には一人で簡単に美しく着用するということが極めて難しいものである。このため、近年、きものを着られる人は少なくなっている。また、ゆかたさえも一人で上手に着られる人も少なくなっている。このため、着物離れが進み、多くのきものが箪笥に仕舞い込まれたまま活用されていないのが現状である。
そこで、近年は、洋服のような感覚で誰にでも容易に着用できる簡易なきものとして、洋服のような立体縫製によって作製されたきものが提案されている。この立体縫製きものとしては、巻きスカートのような下着部と上着部とから構成されて着丈の調整を可能とする二部式きもの(特許文献1,2)と、普通のきもののように上下連続した一部式(特許文献3)とがある。一部式立体縫製きものは、縫製した際に着用者の身体に適合するように予め立体裁断された上衣部、お端折り部、下衣部を曲線縫製して立体的に構成され、身長から割り出された身丈や端折りの位置などが決められるイージー・オーダー(ハーフ・メード)なので、洋服を着るような気やすさでありながら、普通のきものと変わらぬ着用感があり、着付けが簡易ながら本物のきものを着ているような満足感が得られるものである。
また、伝統的な縫製によるきもの(本明細書においては、立体縫製による簡易きものに対する概念として「普通のきもの」と称する)を、ただ箪笥に仕舞い込んでしまうだけではもったいないので、これを利用して立体縫製の簡易きものを製作することも行われている。
特開平11−247007 特開2000−160409 特公平5−65601
しかしながら、二部式立体縫製きものは、帯様のベルトで下着部と上着部との境を覆い隠して固定することにより、上下連続した普通のきものと変わらない装いの出来映えを求めているが、見た目は本物の普通のきものを着ているように見えたとしても、巻きスカートと上着とを着用しているだけで本物の普通のきものを着ていないという意識を拭い取ることが難しいものである。殊に、着用するとき、さらには脱ぐときに、如何にも普通のきものとは異なる装い感があり、いやでも簡易版であることの意識が高まり、和装を楽しむという気分をややもすれば損なうという問題がある。
また、一部式立体縫製きものは、身長から割り出された身丈や端折りの位置などが決められるイージー・オーダーが故に、その人しか着られないという欠点がある。即ち、一部式立体縫製きものの場合には、柄や色の趣味が合うあわない以前の問題として身長がほぼ同じでないと譲渡や貸し借りまたは共用などができないという問題がある。このことは、一部式立体縫製きものの貸衣装としての使用を制約してしまうものでもある。
さらに、普通のきものを利用して一部式立体縫製簡易きものを製作する場合にも、一旦きものを解いて、生地を裁断した後にあらためて縫い直す必要があるため、非常に費用のかかるものとなってしまう問題がある。しかも、一旦解いて生地を裁断した後には、再び普通のきものに仕立て直すことはできないという致命的な問題を有している。
そこで本発明は、伝統的な縫製のままでありながら、立体縫製の簡易きもののように、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着付けることができるきもの及びきものセット並びにゆかたを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明のきものは、下前となる衿に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口を通してきものの内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルトと、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられきものの外を背側へと1周回って前記第1の衿合わせ用ベルトと前側で連結される第2の衿合わせ用ベルトと、上前となる前身頃の衿先部分に備えられて背側へと回されて前側で連結されて腰の位置で合わせ前身頃の着丈並びにきものの腰部付近を固定する腰部固定用ベルトと、後身頃の腰部付近の内側の面に取り付けられ、きものの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより後身頃の腰部付近を着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトとを備え、後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて後身頃の着丈位置を調整してから、腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定し、他方、第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定するようにしている。
ここで、後身頃用着丈調節ベルトは、後身頃の腰部付近の内側の面に丈方向に離して複数形成された後身頃用着丈調節ベルト通しのうちの1つに通されることで後身頃に取り付けられるものであり、任意の段の後身頃用着丈調節ベルト通しに通されてきものの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより後身頃の着丈調節用ベルト通しの位置を着用者の身体に固定するものであることが好ましい。
また、腰部固定用ベルトは、上前となる前身頃の衿先部分から背側を回って前側へ回される第1の腰部固定用ベルトと、上前側の衿先部分から第1の腰部固定用ベルトとは反対に前側へと回って第1の腰部固定用ベルトと前側で連結される第2の腰部固定用ベルトとを有するものであることが好ましい。
また、本発明にかかるきものセットは、後衿の内側の面に対を成す留め具の一方を設けた上述の請求項1から3のいずれか1つの記載のきものと、後衿の外側の面に留め具の他方が設けられた長襦袢とから成り、きものと長襦袢とが各々後衿部分において留め具で止め付けられて着付け前に予め一体となって羽織るように組み合わせられるものであり、かつ長襦袢の背の内側には後衿を引き下ろす衿抜きのための引き布と該引き布に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルトとを備える一方、長襦袢の前身頃の衿の下部分には身八口を通して長襦袢の内側から外へ抜けて前見頃側へ回される襟元固定用第1ベルトと、長襦袢の外から背側へ回って反対側の前見頃側へ回され襟元固定用第1ベルトと係合される襟元固定用第2ベルトとを備え、後衿部分で予め一体となったきものと長襦袢とに袖を通して羽織った状態で、長襦袢の衿抜きの深さを衿抜き用ベルトを着用者の体の前へ回して固定することにより決定してから長襦袢の襟元固定用第1及び第2ベルトを使って長襦袢を着用してからきものの着付けを行うようにしている。
さらに、本発明にかかるゆかたは、下前となる衿に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口を通してゆかたの内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルトと、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられゆかたの外を背側へと1周回って第1の衿合わせ用ベルトと前側で連結される第2の衿合わせ用ベルトと、上前となる前身頃の衿先部分に備えられて背側へと回されて前側で連結されて腰の位置で合わせ前身頃の身丈並びにゆかたの腰部付近を固定する腰部固定用ベルトと、背の内側には後衿を引き下ろす衿抜きのための引き布と該引き布に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルトとを備え、後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて後身頃の着丈位置を調整してから、腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定し、他方、第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定するようにしている。
ここで、ゆかたは生地が薄く軽いため、裾線、下前、上前を合わせて着丈を調整する際に、下見頃が生地そのものの重さで下がってくることが少ない。このため、後身頃を引き上げて裾線を合わせた後に、下見頃を固定しておく必要は少ない。しかしながら、本発明のゆかたにおいて、さらに後身頃の腰部付近の内側の面に取り付けられ、ゆかたの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより後身頃の腰部付近を着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトを備えていることが好ましい。
請求項1記載のきものによれば、後身頃用着丈調節ベルト、第1及び第2の衿合わせ用ベルト並びに腰部固定用ベルトの3種類のベルトを取り付けるだけで、普通のきものでありながら、立体縫製の簡易きもののように、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着られるきものとすることができる。即ち、本発明のきものによれば、きもの本体は普通の形態ながら、後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて後身頃の着丈位置を調整してから、腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定すると共にお端折りを形成し、さらに第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定することができるので、一人でお端折りを作って裾線を揃えながら着丈を簡易に調整することができる。
また、本発明によれば、あらゆる普通のきものをそのまま利用して簡易着付けが可能なきものを簡単に製作できる。しかも、普通のきものを解くことなくそのままの状態で利用することができるので、一旦きものを解いてから立体裁断して縫製し直す立体縫製の簡易きものに比べて、格段に費用がかからないばかりか、各ベルトを取り外すことによって普通のきものとしてもそのまま使用することも可能である。勿論、きものを着るときには、各ベルトを取り付けるだけで、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着付けることができる簡易きものに簡単に変更することができる。
さらに、後身頃の腰部付近を着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトの位置を調節することにより、普通のきものと同様に、きものを着る人の身長に合わせて身丈を調整して適切な着丈に調節することができるので、立体縫製の簡易きものとは異なり、体格や体形が変形したり、あるいは体格や体形が異なる人の間で貸し借りしても着られる。このことは、不特定多数の顧客を対象としするきもののレンタル事業などにおいては特に有用である。
しかも、後身頃用着丈調節ベルトをきものの内側で体の前に回して体に巻き付けるだけで後身頃の着丈を調整することができ、さらに下前並びに上前を合わせてから腰部固定用ベルトを巻き付けて前身頃の着丈の調整と下見頃の固定を行うので、裾線も簡単に決められると共に身丈調整も簡単である。加えて、腰部固定用ベルトで下身頃側が固定された状態でお端折りを整えることができるので、綺麗にお端折りを作ることができる。さらに、腰部固定用ベルトで下身頃側が固定された状態で、衿合わせを行って第1及び第2の衿合わせ用ベルトを使って衿を好みの形に整えると共に襟元を固定できるので、普通のきものを着慣れていなくとも、美しくかつ型崩れを起こすことが少ない襟元を簡単に作ることができる。そして、襟元を引っ張って体の前で第1及び第2の衿合わせ用ベルトを連結して固定することができるので、着付けの作業が簡単である。また、下見頃と上身頃とをそれぞれ固定してお端折りを整えることができるので綺麗に処理することができる。
また、請求項2記載のきものによれば、後身頃用着丈調節ベルトを身体に巻き付けて固定する位置は、同じ高さ、通常腰紐を締めて結ぶ位置である方がしっくりと馴染みやすいため、着付けがし易い。このため、複数段の着丈調節用ベルト通しを一般的に想定される腰紐を締めて結ぶ位置を中心に設けて、後身頃用着丈調節ベルトを通す段を変えることによって着丈調整を行うことが好ましい。
また、請求項3記載のきものによれば、第1の腰部固定用ベルトと第2の腰部固定用ベルトとを体の前で連結してきものの下見頃を腰部の位置で固定できるので、着付けの作業が簡単である。
さらに、請求項4記載のきものセットによれば、後衿部分で一体化されたきものと長襦袢とを羽織り両手を自由に動かせる状態で、襟抜きベルトを使って予め任意の衿の深さと形をつくってから長襦袢の前の固定を行って長襦袢を着用し、次いできものの着付けを、後身頃用着丈調節ベルトを使って後見頃の着丈を決めてから腰部固定用ベルトを使って前身頃の着丈調整と下見頃の固定を行うと共に第1及び第2の衿合わせ用ベルトを使って衿を好みの形に整えると共に上身頃を固定し、お端折りを綺麗に処理して完了できるので、熟練していなくとも一人で手早くかつ容易に衿抜き、着丈調整並びにきものの着用をすることができる。しかも、長襦袢ときものとを重ねて同時に洋服感覚で一人で手早くかつ容易に着ることを可能としながらも、着崩れせずに長襦袢の後衿を簡単に抜くことができる。
さらに、請求項5記載のゆかたによれば、背の内側には後衿を引き下ろす衿抜きのための引き布と該引き布に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルトとを備える一方、第1及び第2の衿合わせ用ベルト並びに腰部固定用ベルトを取り付けるだけで、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着られる着付けが簡易なゆかたとすることができる。即ち、本発明のゆかたによれば、ゆかた本体は普通の形態ながら、襟抜きベルトを使って予め任意の衿の深さと形をつくってから、腰部固定用ベルトを用いて下身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定すると共にお端折りを形成し、さらに第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定することができるので、一人で襟抜き、お端折りを作って裾線を揃えながら着丈を簡易に調整することができる。
加えて、腰部固定用ベルトで下身頃側が固定された状態で、衿合わせを行って第1及び第2の衿合わせ用ベルトを使って衿を好みの形に整えると共に襟元を固定できるので、ゆかたを着慣れていなくとも、美しくかつ型崩れを起こすことが少ない襟元を簡単に作ることができる。しかも、襟元を引っ張って体の前で第1及び第2の衿合わせ用ベルトを連結して固定することができるので、着付けの作業が簡単である。また、第1及び第2の衿合わせ用ベルトで上身頃を固定してから、お端折りを整えることができるので、綺麗に処理することができる。
さらに、着付けが簡易なゆかたに作製されても、ゆかたを着る人の身長に合わせて身丈を調整して適切な着丈に調節することができるので、着付けを簡易にするために立体縫製されるものとは異なって、体格や体形が変化したりあるいは体格や体形が異なる人の間でね貸し借りして着られる。
さらに、本発明のゆかたにおいて、後身頃の腰部付近の内側の面に取り付けられ、ゆかたの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより後身頃の腰部付近を着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトを備えた場合、後身頃用着丈調節ベルトの位置を調節することにより、裾線を揃えながら身長に合わせて身丈を調整して適切な着丈に簡易に調節することができる。しかも、後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付け固定することで、後身頃の裾線を代えずに前身頃の着丈の調節、固定をすることができるので、着付けがより一層容易なものとなる。
本発明のきものの一実施形態を前見頃を開いて示す正面図である。 同きものの衿先部分に設けられた腰部固定用ベルトの一実施形態を示す斜視図である。 本発明のきものセットに組み合わされる長襦袢の一実施形態を前見頃を開いて示す正面図である。 本発明のきものセットの一実施形態を前見頃を開いて示す正面図である。 本発明のゆかたの一実施形態を前見頃を開いて示す正面図である。 本発明のゆかたの他の実施形態を前見頃を開いて示す正面図である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に本発明にかかるきものの実施の一形態を示す。このきもの1は、普通のきもの(伝統的な縫製のきものであり、付属する各ベルトに対するときにはきもの本体と称する)に後身頃用着丈調節ベルト10、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19並びに腰部固定用ベルト13の3種類のベルトを備えたものであり、きもの本体は新たに仕立てても良いし、既存のきものをそのまま利用しても良い。
後身頃用着丈調節ベルト10は、後身頃3の腰部付近の内側の面(裏地)に取り付けられ、きもの1の内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより当該後身頃用着丈調節ベルト10が取り付けられた部分・位置の後身頃3を着用者の身体に固定するものである。具体的には、本実施形態の場合には、後身頃3の腰部付近の裏地に着丈調節用ベルト通し9を備え、この着丈調節用ベルト通し9に後身頃用着丈調節ベルト10を通すことによって、後身頃3に後身頃用着丈調節ベルト10を取り付けるようにしている。ここで、着丈調節用ベルト通し9は、丈方向に離して複数段例えば3〜5段程度形成されており、任意の段の着丈調節用ベルト通し9に後身頃用着丈調節ベルト10を通すことによって、着用者の身体に固定する後身頃3の位置を調整可能としている。即ち、後身頃用着丈調節ベルト10を身体の同じ位置(通常腰紐を締めて結ぶ位置)で固定する場合、後身頃用着丈調節ベルト10を通す着丈調節用ベルト通し9の段を変えることで、後身頃用着丈調節ベルト10から下の後身頃3の長さ(実質的な着丈長さ)を調整可能としている。勿論、着丈調節用ベルト通し9が1段であっても、即ち後身頃用着丈調節ベルト10の取り付け位置が一定の高さ(丈)であっても、後身頃用着丈調節ベルト10を身体に巻き付けて固定する位置自体を丈方向に移動させることで、後身頃用着丈調節ベルト10から下の後身頃3の長さ(実質的な着丈長さ)を調整することも可能である。しかしながら、後身頃用着丈調節ベルト10を身体に巻き付けて固定する位置は、同じ高さ、通常腰紐を締めて結ぶ位置である方がしっくりとして馴染みやすいため、着付けがし易い。このため、複数段の着丈調節用ベルト通し9を一般的に想定される腰紐を締めて結ぶ位置を中心に設けて、後身頃用着丈調節ベルト10を通す段を変えることによって着丈調整を行うことが好ましい。
着丈調節用ベルト通し9は、本実施形態の場合、後身頃3の中央(背中の中心)と左右両端の3カ所に設けられている。勿論、後身頃3の中央だけの1カ所や中央から少し離れた左右2カ所に、あるいは4カ所以上に設けることも可能であるが、後身頃3全体の着丈を揃えるように調整可能とするには、中央と両端の3カ所程度が好ましい。また、左右の2箇所の着丈調節用ベルト通し9は、前身頃との境界付近、場合によっては前身頃4側に少し入ったところに領域に設けるようにしても良い。
本実施形態の場合、下部見頃の裏地に帯布8を縦に縫いつけて着丈調節用ベルト通し9としている。この帯布8から成る着丈調節用ベルト通し9は、後身頃用着丈調節ベルト10の幅よりも僅かにおおきな間隔を以て複数箇所が裏地に縫いつけられることにより、丈方向に複数段の着丈調節用ベルト通し9が形成されている。本実施形態の場合、後身頃用着丈調節ベルト10の幅よりも僅かに大きな幅の着丈調節用ベルト通し9が5段形成されているが、これに特に限られるものでなく、着丈調整幅に応じて必要な数の着丈調節用ベルト通し9が設けられることは言うまでもない。また、着丈調節用ベルト通し9は、帯布8を区切るように縫いつけることで構成される場合に限られず、例えばループ状の紐を縫いつけたり、紐を一定間隔毎に複数箇所で裏地に縫いつけることなどによって形成するようにしても良い。尚、後身頃用着丈調節ベルト10としては、ゴム糸を織り込んだ伸縮性に富む布ベルトの使用が好ましいが、これに特に限定されるものではなく、場合によっては伸縮性のない紐などを用いても良い。ゴム糸入り布ベルトを後身頃用着丈調節ベルト10として使用する本実施形態の場合には、その両端に雌雄一対の留め具11を備え、これらを一対の留め具11を係合させることで身体の前方で連結するように設けられている。勿論、留め具11を連結させる位置は、身体の真ん前であることが操作し易いことから好ましいが、これに特に限られる理由はなく、脇線の位置よりも前方において留め具11を連結できれば、操作し易いものである。尚、普通のきものの場合、生地として正絹を用いることが多いので、きもの生地に触れる箇所の留め具34としてマジックテープ(登録商標)の使用は生地を傷めるので好ましくない。そこで、正絹のきものに使用する場合には、各ベルトを固定する留め具としては、マジックテープ(登録商標)に代わる連結手段例えば一般に「かね」と呼ばれるフック形連結金具と該フック形連結金具を引っ掛ける輪との組み合わせからなる引っ掛け式の留め具、あるいは雌雄一対のスナップやホック、ボタンとボタン穴などの使用が好ましい。
さらに、上前となる衿先2aの縁あるいは表側には、腰部固定用ベルト13が取り付けられている。本実施形態の場合、腰部固定用ベルト13は、上前となる衿先2aに縫い付けられた腰部固定用ベルト通し12に対して取り付けることによってきもの本体1に固定されている。具体的には、両端に対となる留め具の一方をそれぞれ備える1本のベルトを腰部固定用ベルト通し12に通してから折り返すようにして輪をつくり、輪が閉じた部分を縫合あるいはクリップや安全ピンのような留め具14で着脱自在に止め付けることにより、ベルトの両端がそれぞれ逆方向に向かって引き回せるように取り付けられている。つまり、1本の腰部固定用ベルト13をその途中で腰部固定用ベルト通し12に固定することによって、上から見て右回りのベルト13bと左回りのベルト13aとを構成するように設けられている。したがって、上前を合わせた後に、ベルト13の両端を互いに逆方向に引っ張って体に回してから両端の留め具を連結させて固定するように設けられている。このとき、背中を経由して前に引き回される右回りのベルト13aと直接前側に引き回される左回りのベルト13bの長さを異ならせて、丁度体の前側の中心で両ベルト端の留め具の連結が行えるようにすることが好ましい。また、この腰部固定用ベルト13は、着丈調節のために持ち上げた下身頃全体を支えるため、強い緊締力を必要とする。そこで、本実施形態の場合、腰部固定用ベルト13をゴム糸を織り込んだ伸縮性に富む布ベルトで構成すると共に、長い方のベルト13b即ち背中を経由して前に引き回されるベルト部分を二重となるように止め金具17で固定している。そして、短い方のベルト13aの端部に一般に「かね」と呼ばれるフック形連結金具15を縫い付ける一方、二重となった反対側のベルト13bの端部16(ベルトが折り返されてU形を成す端部)をフック形連結金具15と対を成す雌側の留め具として利用し、U形を成す端部16にフック形連結金具15を引っ掛けることで両ベルト13a,13bを連結する引っ掛け式の留め具が使用されている。尚、本実施形態の場合、1本のベルト13を腰部固定用ベルト通し12に通して、ベルト13a,13bの両端がそれぞれ逆方向に向かって引き回せるように構成されているが、これに特に限られず、場合によっては、2本のベルトを逆向きに上前となる衿先の縁あるいは表面側に留め具で着脱自在に取り付けたり、あるいは直接縫い付けるようにしても良い。また、場合によっては、きもの本体の周りを一周して両端部分が重なる長さの1本の腰部固定用ベルト13を腰部固定用ベルト通し12に通した状態で重さなった両端部分をホックなどで連結して固定するようにしたものでも良い。
ここで、腰部固定用ベルト通し12は、1箇所でも良いが、図2に示すように、丈方向に並べて配置される複数段の腰部固定用ベルト通し12を設けるようにしても良い。例えば、1本の帯紐を途中で縫いつけることにより複数の区画に形成したり、あるいは複数本の帯紐の両端を縫い付けたり、ループ状の複数本の紐を縫い付けるようにしても良い。具体的には、腰部固定用ベルト通し12は、本実施形態の場合、やや幅広の帯状紐を腰部固定用ベルト13の幅よりもおおきな間隔を以て一定間隔毎に複数箇所で上前側の衿先の裏面に縫いつけることによって形成されている。この場合、きものの着用者の腰の高さなどに応じて、腰部固定用ベルト通し12の位置を選択し、腰部固定用ベルト13を取り付ける位置、ひいては腰部固定用ベルト13できものを固定する位置を変更することができる。
また、両衿2の着用者の胸の部分にあたる位置には、襟元を引き合わせて固定する衿合わせ用ベルトが備えられている。この衿合わせ用ベルトは、下前となる衿に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口5を通してきもの1の内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルト18と、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられきもの1の外を背側へと1周回って第1の衿合わせ用ベルト18と前側で連結される第2の衿合わせ用ベルト19とで構成され、衿2の形を整え衿合わせを行ってから襟元を引っ張って体の前で第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を連結することで上身頃側を固定するようにしている。本実施形態の場合、下前となる衿に取り付けられる第1の衿合わせ用ベルト18は、着用者の胸の部分にあたる衿の途中、より好ましくは衿合わせしたときに上前となる衿の下に隠れる部位に、衿合わせ用ベルト通し20が縫い付けられて、そこに第1の衿合わせ用ベルト18の端部が取り付けられることによってきもの本体に固定されている。また、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられる第2の衿合わせ用ベルト19は、着用者の胸の部分にあたる衿の途中、より好ましくは衿合わせしたときに帯で隠れる部位に、衿合わせ用ベルト通し20が縫い付けられて、そこに第2の衿合わせ用ベルト19の端部が取り付けられることによってきもの本体に固定されている。ここで、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19は、ゴム糸を織り込んだ伸縮性に富む布ベルトで構成すると共に、それぞれの自由端側には、対を成す衿合わせ用の留め具21の一方がそれぞれ備えられ、両ベルト18,19を互いに逆方向に引っ張って体に回してから両端の留め具21を連結させることによって固定されるように設けられている。また、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19のきもの本体1への取り付けは、図示省略しているが、衿合わせ用ベルト通し20に通される方の端部に雌雄一対の面ファスナー(マジックテープ:登録商標)を長手方向に並べて縫いつけ、衿合わせ用ベルト通し20に端部を通して折り返したときに雌雄一対の面ファスナーを接合させて衿合わせ用ベルト通しに巻き付けて取り付けるようにしている。この場合、面ファスナーの接合あるいは剥離させるだけで容易に第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を衿合わせ用ベルト通し20に対して着脱自在に取り付け得る。また、衿合わせ用ベルト通し20が衿の裏面側あるいは縁に沿って設けられ、雄側・フック側が内向きに配置されている場合には、面ファスナーのフック側が露出したとしても、長襦袢に接触するだけなのできもの本体の生地を傷めるようなことがない。しかも、長襦袢には一般に正絹は使用されないので、面ファスナーで傷つくことはない。尚、本実施形態では、ベルト同士の連結には、凹凸の嵌合によって係合するスナップ方式の留め具を用いているが、これに特に限られる理由はなく、スナップやホック、ボタンとボタン穴あるいは使用生地によっては面ファスナーなどでも実施可能である。
ここで、各衿2の衿合わせ用ベルト通し20は、上述の腰部固定用ベルト通し12と同様に、1箇所でも良いが、丈方向に並べて配置される複数段の衿合わせ用ベルト通し20を設けるようにしても良い。例えば、1本の帯紐を途中で縫いつけることにより複数の区画に形成したり、あるいは複数本の帯紐の両端を縫い付けたり、ループ状の複数本の紐を縫い付けるようにしても良い。このように腰部固定用ベルト13あるいは第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19のいずれか一方若しくは双方のきもの本体1(あるいはゆかた本体)に対する取り付け位置を調節可能に構成すれば、きものを着る人の身長や体形に合わせて腰部並びに胸部の据わりの良い位置できものを身体に固定できる。
また、各ベルト10,13,18,19のきもの本体1に対する取り付けは、例えば、きものの裏地あるいは本体生地(ゆかたあるいは長襦袢の生地を含む)そのものに直接縫いつけて固定するようにしても良いが、きものの裏地あるいは本体生地に対して着脱自在に取り付けることが好ましい。この場合には、各ベルト10,13,18,19の取り付け位置を任意に選定できると共に、きもの1を折り畳むときに各ベルト10,13,18,19や留め具11,15,21が折り畳み作業の邪魔とならず、かつ収納時に嵩張らないし、また、きもの本体1の洗濯時にも邪魔にならない。また、各ベルト10,13,18,19の着脱自在な取り付け手段は、きものの裏地あるいは本体生地そのものにベルト通し9,12,20を縫い付けておき、それに各ベルト10,13,18,19を通して固定する手法に限定されるものでなく、例えばコーリンベルトと呼ばれる固定手段のように、各ベルト10,13,18,19あるいは紐の端にクリップを備え、クリップによってきものの所望の位置に各ベルト10,13,18,19あるいは紐が固定されるようにしても良い。この場合には、各ベルト10,13,18,19あるいは紐は任意の位置に取り付けることができるので、各ベルト10,13,18,19あるいは紐の取り付け位置に調整幅を持たせるために複数段のベルト通し9,12,20あるいは紐通しを用意する必要がなくなる。
以上のように構成された本発明のきもの1によると、例えば次のようにして簡単に着付けを行うことができる。まず、必要に応じて肌襦袢、裾よけ、長襦袢などの下着を着用した上から、きもの1を羽織る。そして、後の処理をし易くするため、下前側の衿2に取り付けられた第1の衿合わせ用ベルト18を上前となる側の身八口5を通してきもの1の外へ引き出しておく。勿論、衿合わせ時に第1の衿合わせ用ベルト18を引き出すようにしても良い。次に、きもの1を羽織った状態で、着丈に応じた高さの着丈調節用ベルト通し9に通された後身頃用着丈調節ベルト10を後ろ手で持ち上げ、裾線が床と平行で床すれすれの長さとなるように身丈調節をし、そのまま後身頃用着丈調節ベルト10をきもの1の内側で体の前に回して両端の留め具11を互いに連結して体に巻き付ける。このようにして、きもの1の後身頃3の着丈調節用ベルト通し9の位置を着用者の身体に固定することで、後身頃3の着丈を調整し、かつその状態を保時させる。さらに、前身頃4の下前側を少し褄先を上げながら上前側の下に巻き込み、左肘あるいは左手で下前の前身頃の袵6部分を上前の前身頃越しに押さえた状態のまま、上前側となる前身頃を足の甲に少しかかる位に持ち上げてから、衿先2aに取り付けられた腰部固定用ベルト13を腰回りに回して両端の留め具15,16を使って互いに連結して体に固定する。このとき、腰部固定用ベルト13は、後身頃用着丈調節ベルト10と同様に、身長に応じた高さの腰部固定用ベルト通し12に通されている。したがって、第1及び第2の腰部固定用ベルト18,19を腰回りに回して固定すると、下見頃部分全体が身丈調節された状態で固定される。このとき、必要に応じて後ろのお端折りと前のお端折りとを整える。
その後、襟元が所望の開き、形となるように整えながら身八口5から引き出された第1の衿合わせ用ベルト18を背中側を通して前へ引っ張る一方、上前側となる前身頃3の衿2に取り付けられた第2の衿合わせ用ベルト19を第1の衿合わせ用ベルト18とは反対側へ回して体の前で第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19の先端の一対の留め具21を連結して固定することにより、衿合わせを完了する。さらに必要あれば、後のお端折りと前のお端折りとを整える。これにより、普通のきものでありながら、立体縫製の簡易きもののように、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着られる。しかも、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を体の前で連結して固定するので、着付けの作業が簡単となるし、また下身頃並びに上身頃を固定してからお端折りを整えることができ綺麗に処理することが容易となる。尚、本発明のきもの1の下に着用する長襦袢としては、普通の長襦袢でも、立体縫製の長襦袢でも良い。
次に、図3及び図4に本発明のきものを含むきものセットの実施の一形態を示す。上述のように、きもの1そのものを簡易に着やすい構造としても、その下の長襦絆を着崩れのないように衿の形を整えて見栄え良く一人で手早く着ることは、そう容易ではない。この問題は、立体縫製により製作された長襦袢の着用においても完全に解決されておらず、衿抜きが上手にできない、後衿の形状が安定せず着崩れが生じ易いなどの問題がある。一方、長襦袢は、きものの着付けの良し悪しを左右すると共にコーディネートのポイントともなる重要な存在であり、衿の合わせ加減や衿の抜き具合など、長襦袢の着方で着姿がかなり決まってしまうものである。
そこで、本発明のきものセットは、図1〜図2に例示するきもの1と、図3に例示する長襦袢(総称してインナーと呼ばれるものと同義に用いる)22とを予め一体化して同時に着用できるようにしている。つまり、図1に例示するきもの1の後衿7の内側の面に着脱自在な一対の留め具31の一方例えば雄あるいは雌のホック若しくはスナップが縫いつけられている。他方、長襦袢22は、図3に示すように、後衿27の外側の面に着脱自在な一対の留め具31の他方例えば雌あるいは雄のホック若しくはスナップが縫いつけられている。そして、きもの1と長襦袢22とを重ねてそれぞれの後襟7,27を合わせて対向する留め具31で後衿7,27部分において着付け前に予め止め付けられて一体となって着られるように組み合わせられている。
また、長襦袢22には、背(後身頃24の上部)の内側には後衿27を引き下ろす衿抜きのための引き布26と該引き布26に通されて当該長襦袢22の内側で着用者の体に巻き付けられる襟抜きベルト29とを備えると共に、衿23の下部分例えば着用者の胸から腰の間には身八口25を通して長襦袢22の内側から外へ抜けて前見頃側へ回される襟元固定用第1ベルト32と、長襦袢の外から背側へ回って反対側の前見頃側へ回される襟元固定用第2ベルト33とを備えている。尚、襟元固定用第1及び第2のベルト32,33は、長襦袢本体22に対し襟元固定用ベルト通し34を通して図示していない留め具で着脱自在に取り付けたり、あるいは直接縫い付けるようにして備えられると共に、各ベルト32,33の自由端には体の前で互いの端部を係合させて連結するための留め具35が設けられている。本実施形態の場合、一方のベルト例えば襟元固定用第1ベルト32の端部に着脱自在な一対の留め具35の一方例えば雄あるいは雌のホック若しくはスナップが縫いつけられると共に、他方のベルト例えば襟元固定用第2ベルト33の端部には留め具35の他方例えば雌あるいは雄のホック若しくはスナップが縫いつけられている。
引き布26は、下に引っ張ることで衿抜きを可能とするものであり、例えば後身頃24の背中心において上端が後身頃24と衿27との縫い合わせ部分に、下端が身八口25と同程度の高さの位置で長襦袢22の後身頃24の背中心に対して左右対称になるよう配置されて縫い付けられている。したがって、引き布26に通された襟抜きベルト29を長襦袢22の内側で着用者の体に巻き付けながら着用者の体の前へ回して固定することにより、長襦袢22の衿抜きの深さを決定して固定することができる。
さらに、本実施例の場合、引き布26には、襟抜きベルト29を通すための筒状の複数の襟抜きベルト通し28、例えば上段、中段、下段の三通りの襟抜きベルト通し28が背丈方向に備えられ、いずれかの襟抜きベルト通し28を選択して襟抜きベルト29を通すことで衿抜きの深さを調整可能としている。即ち、上段、中段、下段の三通りの襟抜きベルト通し28は、ほぼ同じ高さで体に固定される襟抜きベルト29が通されることにより引き布26を下に引っ張る力を与えたり、あるいは引っ張る力を解放したりすることにより、きものの個性及び特徴に応じた後衿の深さを簡単に造りだせる。例えば、最下段の襟抜きベルト通し28は普段着等での衿抜き、中段の襟抜きベルト通し28は訪問着等での衿抜き、最上段の襟抜きベルト通し28はより深い衿姿が必要となるきもの等、夫々の個性に適したベルト通し高さを設定することができる。しかも、襟抜きベルト29を締め付けて固定した時には後衿27を下げた状態で固定されるため衿抜きが安定する。
また、襟抜きベルト29は、本実施形態の場合、その両端に留め具30を備えたゴム糸を織り込んだ伸縮性に富む布ベルトを用いるようにしている。本実施形態の場合、襟抜きベルト29は伸縮性に富むゴム入りの布ベルトを使用しているがこれに特に限定されるものではなく、長さが調整可能な布ベルトや紐を用いるようにしても良い。
以上のように構成されたきものセットは、次のようにして簡単に着用できる。まず、所望とする長襦袢22の衿抜きの深さに応じて襟抜きベルト29を通す引き布26の襟抜きベルト通し28の位置・段を決め、該当する段の襟抜きベルト通し28に襟抜きベルト29を通す。また、きもの1には、着用者の着丈に応じた高さの着丈調節用ベルト通し9並びに腰部固定用ベルト通し12に後身頃用着丈調節ベルト10並びに腰部固定用ベルト13を通す。勿論、後ろ手でベルト通しが難なくできるのであれば、予め各ベルト通し9,12に各ベルト10,13を通しておかなくとも、羽織った状態で通すようにしても良い。さらに複数段の衿合わせ用ベルト通し20が設けられている場合には、必要あれば、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を連結する位置を予め選択しておくこともできるし、必要に応じて取り付け位置を変更するようにしても良い。
次いで、長襦袢22の後衿27の外側ときもの1の後衿7の内側との間の留め具31を嵌めて、長襦袢22ときもの1とを後衿27,7部分で一体化し、互いの関係を固定してきもの1と長襦袢22を同時に羽織れるようにする。
そして、後衿27,7部分で背中の一体化され組み合わせられた長襦袢22ときもの1とに同時に袖を通して羽織る。その状態で、長襦袢22の内側から手を背中に回して襟抜きベルト29の両端を探し出して体の前へ回し、襟抜きベルト29の両端の留め具30を貼り合わせることで固定する。これにより、襟抜きベルト29が引き布26の通されたベルト通し28の段の位置に応じて、引き布26が下に引っ張られて固定されるので、長襦袢22の衿抜きの深さが決められると同時に固定される。つまり、両手を自由に動かせる状態で背中側に在る襟抜きベルト29を掴んで前に回して任意の衿の深さをつくることができるので、熟練していなくとも一人で手早くかつ容易に衿抜きができる。しかも、長襦袢22の内側で襟抜きベルト29を体の前に回して体に巻き付けるだけで後衿27の深さを決めて固定するようにしているので、後衿27部分で留め具31により一体化されたきもの1と長襦袢22とを羽織った状態でも、簡単に長襦袢22の内側の背側にある襟抜きベルト29を探し出して前方へ回し、所望の衿深さに衿23を抜いた状態で長襦袢22の背側を体に固定することができる。このため、その後の襟元固定用第1及び第2のベルト32,33を利用した長襦袢22の前側の固定の際に、衿23の形や深さが変わって着崩れを惹起することがない。しかも、衿抜きの深さ調整は、襟抜きベルト29を通す引き布26のベルト通し28を選択することで簡単に調整可能とすることができるので、熟練していなくとも一人で手早くかつ容易に衿抜きができる。しかも、その後の長襦袢22、きもの1の着付けにおいて着崩れを起こすことがない。
その後、きもの1の下前側の衿2に取り付けられた第1の衿合わせ用ベルト18を上前となる側の身八口5を通してきもの1の外へ引き出してから、長襦袢22とその上に羽織ったきもの1との間に両手を入れて、後ろ手で後身頃用着丈調節ベルト10の両端を掴み、きもの1の内側で体の前に回してきもの1の後身頃3側の着丈を調整しながら後身頃用着丈調節ベルト10を体に巻き付け、両端の留め具11を使って固定する。さらに、前身頃3の下前側を少し褄先を上げながら上前側の下に巻き込み、左肘あるいは左手で下前の前身頃3の袵6部分を上前の前身頃越しに押さえた状態のまま、上前側となる前身頃3を足の甲に少しかかる位に持ち上げてから、衿先に取り付けられた腰部固定用ベルト13を腰回りに回して両端の留め具15,16を使って互いに連結して体に固定する。
その後、襟元を整えながら身八口5から引き出された下前側の第1の衿合わせ用ベルト18と上前側となる衿に取り付けられた第2の衿合わせ用ベルト19とを体の前に引っ張って先端の留め具21を連結して固定することにより、衿合わせを完了する。同時に、後のお端折りと前のお端折りとを整える。これにより、普通のきものでありながら、立体縫製の簡易きもののように、一人で簡単に美しくかつ型崩れなく着られる。しかも、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を体の前で連結して固定するので、着付けの作業が簡単となるし、また上身頃を固定してからお端折りを整えることができ綺麗に処理することが容易となる。
尚、長襦袢22としては、普通の長襦袢でも、立体縫製の長襦袢でも良いが、より好ましくは、着用者の体形に合わせて立体縫製することにより洋服感覚で簡易に着られることを可能とした立体縫製の長襦袢とすることである。立体縫製の長襦袢は、縫製した際に着用者の身体に適合するように予め立体裁断されたパーツを曲線縫製して立体的に構成されたものであり、身体にフィットして襟元が美しく作られるように仕立てられている。
また、本発明は、図5に示すように、ゆかたにも適用できる。このゆかた36は、普通の仕立てのゆかた(伝統的な縫製のゆかたであり、付属する各ベルトに対するときにはゆかた本体と称する)に少なくとも衿抜き用ベルト29、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19並びに腰部固定用ベルト13の3種類のベルトを備えたものであり、ゆかた本体は新たに仕立てても良いし、既存のゆかたをそのまま利用しても良い。
ここで、ゆかた36は、下に長襦袢を着用しないこと、生地が薄く軽いためきものよりもきつく締め付ける必要がないこと、さらに長襦袢を着用しないが故に襟元が乱れるとだらしなく見えると共に襟抜きを必要とするなどの点で普通のきものとは違っているが、その他の点では上述の普通のきものと本質的に変わらない。このため、着付けのポイントは衿回りとなり、襟元が崩れてしまうとだらしなく見えるので注意が必要である。また、ゆかた36は、きもの1に比べて生地が薄く軽いため、後身頃38を引き上げて裾線を合わせた後に、前身頃39の下前、上前を合わせる際に後身頃38部分が自重でずり落ちることが少ないので、後身頃38部分を特別にベルトなどで強く固定しておく必要は少ない。しかしながら、着付けの当初において、後身頃38の腰部付近を着用者に固定することは、裾線を決めて着丈を調整したりお端折りを整える上で、一層着付けを容易なものとする上で有利である。
そこで、本発明のゆかたにおいては、図5に示すように、背(後身頃38の上部)の内側には後衿42を引き下ろす衿抜きのための引き布26と該引き布26に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿42の深さを決める衿抜き用ベルト29とを備える一方、下前となる衿37に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口41を通してゆかた36の内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルト18と、上前側となる前身頃側の衿37に取り付けられゆかた36の外を背側へと1周回って第1の衿合わせ用ベルト18と前側で連結される第2の衿合わせ用ベルト19と、上前となる前身頃の衿先37a部分に備えられて背側へと回されて前側で連結されて腰の位置で合わせ前身頃の着丈並びにゆかたの腰部付近を固定する腰部固定用ベルト13とを備え、後身頃用着丈調節ベルト10を着用者の身体に巻き付けて後身頃38の着丈位置を調整してから、腰部固定用ベルト13を用いて前身頃39の着丈を調整すると共に下見頃側を固定し、他方、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定することができる。因みに、お端折りは、腰部固定用ベルト13で下身頃を固定したとき、あるいは第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を用いて上身頃側を固定したときに、若しくは双方の固定が完了したときに、必要に応じて整えられる。
本発明のゆかた36においては、好ましくは、図6に示すように、さらに後身頃38の腰部付近の内側の面に後身頃用着丈調節ベルト10を備えることである。後身頃用着丈調節ベルト10は、例えば図1に示すきもの1と同様に、後身頃38の腰部付近の内側の面(裏地)に取り付けられ、ゆかた36の内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより当該後身頃用着丈調節ベルト10が取り付けられた部分・位置の後身頃38を着用者の身体に固定するものである。後身頃用着丈調節ベルト10は、例えば、後身頃38の腰部付近の裏地に縫い付けられた複数段の着丈調節用ベルト通し9を備え、任意の段の着丈調節用ベルト通し9に後身頃用着丈調節ベルト10を通すことによって、後身頃3に後身頃用着丈調節ベルト10を取り付けるようにしている。着丈調節用ベルト通し9は、後身頃3の中央(背中の中心)と左右両端の3カ所に設けられている。
ここで、ゆかた本体36ときもの本体1との間の構造上の相違は生ずるものの、上述のゆかた本体36に対する第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19並びに腰部固定用ベルト13の関係は、基本的には上述のきもの本体1に対するものと同じであるので、詳しい説明を省略する。また、ゆかた本体36と長襦袢本体22との間の構造上の相違は生ずるものの、上述のゆかた本体36に対する衿抜きのための引き布26と該引き布26に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルト29との関係は、基本的には上述の長襦袢本体22に対するものと同じであるので、詳しい説明を省略する。尚、ゆかた36の場合には、下に長襦袢を着用しないことと、生地が薄く軽いため、きものよりもきつく締め付ける必要がないので、緊締力の強いゴム糸入り布ベルトなどに代えて紐あるいは緊締力の比較的弱いゴム糸入り布ベルトを用いることもある。
以上のように構成された本発明のゆかた36によると、例えば次のようにして簡単に着付けを行うことができる。まず、好みのゆかたの衿抜きの深さに応じて襟抜きベルト29を通す引き布26の襟抜きベルト通し28の位置・段を決め、該当する段の襟抜きベルト通し28に襟抜きベルト29を通す。そして、必要に応じて下着を着用した上から、ゆかたを羽織る。その状態で、ゆかたの内側から両手を背中に回して襟抜きベルト29の両端を探し出して体の前へ回し、襟抜きベルト29の両端の留め具即ち面ファスナー30を貼り合わせて体に固定することで、引き布26を下に引っ張った状態で固定し、ゆかた36の衿抜きの深さを決めると同時に固定する。その後、ゆかた36の下前側の衿37に取り付けられた第1の衿合わせ用ベルト18を上前となる側の身八口41を通してゆかた36の外へ引き出してから、さらに、衿先から1/3位のところを両手で持ち、下見頃を持ち上げて裾線を決めると共に下前側となる前身頃を少し褄先を上げながら上前側の下に巻き込み、左肘あるいは左手で下前の袵部分40を上前の前身頃39越しに押さえた状態のまま、上前側となる前身頃39を足の甲に少しかかる位に持ち上げてから、衿先37aに取り付けられた腰部固定用ベルト13を腰回りに回して両端の留め具を使って互いに連結して体に固定する。その後、襟元を整えながら身八口41から引き出された下前側の第1の衿合わせ用ベルト18と上前側となる前身頃の衿37に取り付けられた第2の衿合わせ用ベルト19とを体の前に引っ張って第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19を体の前で連結して固定することにより、衿合わせを完了する。同時に、後ろのお端折りと前のお端折りとを整える。
尚、後身頃用着丈調節ベルト10を備える図6のゆかたの場合には、襟抜きを行った後に、後ろ手で後身頃用着丈調節ベルト10の両端を掴み、ゆかた36の内側で体の前に回してゆかた36の後身頃38側の着丈を調整しながら後身頃用着丈調節ベルト10を体に巻き付け、両端の留め具11を使って体の前で固定する。これにより、両手を自由に動かせる状態で、下前、上前を決め、腰回りを腰部固定用ベルト13で固定することができる。したがって、ゆかたを着ることについて全くの初心者でも一層極めて容易に着付けることができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、図1のきものの実施形態では、後身頃用着丈調節ベルト10は、後身頃3の腰部付近の裏地に縫い付けた着丈調節用ベルト通し9を介して後身頃に取り付けられるようにしているが、これに特に限られる理由はなく、きもので一般に用いられるホックなどの雌雄一対の留め具や、ボタンとボタン穴との組み合わせを用いて着脱自在に取り付けるようにしても良い。この場合、留め具の一方をきもの1の裏地に縫い付けると共に、他方を後身頃用着丈調節ベルト10に縫い付け、これら一対の留め具の係合で着脱可能としても良い。この場合に、裏地側に縫い付けられる留め具の一方を丈方向に何段かに設けることで、後身頃用着丈調節ベルト10の後身頃への取り付け位置を選択可能とすることも可能である。また、本実施形態では、きものに対し、後身頃用着丈調節ベルト、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19並びに腰部固定用ベルト13の3種類のベルトは着脱可能に取り付けられているが、これに特に限られる理由はなく、場合によってはきもの本体1に直接縫い付けて固定しても良い。また、ゆかた36の場合も同様で、後身頃用着丈調節ベルト10、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19並びに衿抜き用ベルト29の3種類のベルトを着脱可能に取り付けることに特に限られる理由はなく、場合によってはゆかた本体36に直接縫い付けて固定しても良い。さらには、ゆかた36において腰部固定用ベルト13を設ける場合にも同様であり、腰部固定用ベルト13を直接ゆかた36に縫い付けて固定するようにしても良い。さらに、長襦袢22における第1及び第2の襟元固定用ベルト32,33についても、同様に、長襦袢本体22に着脱可能に取り付けることに特に限られる理由はなく、場合によっては長襦袢本体22に直接縫い付けて固定しても良い。
さらに、本実施形態では、きものやゆかたを着ることについて全くの初心者でも極めて容易に着付けることができるように、後身頃用着丈調節ベルト10、第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19、腰部固定用ベルト13並びに襟抜きベルト29としては、引っ掛け式の留め具、雌雄一対のスナップやホック、ボタンとボタン穴あるいはマジックテープ(登録商標)などのワンタッチ方式の連結手段を備える、ゴム糸を織り込んだ伸縮性に富む布ベルトを用いた例を挙げて説明したが、これに特に限られるものではなく、伸縮性の無い紐さらには連結手段を備えない紐を用いるようにしても良い。したがって、本明細書における「後身頃用着丈調節ベルト10」、「第1及び第2の衿合わせ用ベルト18,19」、「腰部固定用ベルト13」並びに「襟抜きベルト29」の用語は、伸縮性の無い紐を含むものである。
1 きもの
2 衿
2a 衿先
3 後身頃
4 前身頃
5 身八口
7 きものの後衿
9 着丈調節用ベルト通し
10 後身頃用着丈調節ベルト
11 後身頃用着丈調節ベルトの両端の留め具
12 腰部固定用ベルト通し
13 腰部固定用ベルト
13a 第1のベルト(左回りの短いベルト)
13b 第2のベルト(右回りの長いベルト)
15,16 腰部固定用ベルトの留め具を構成するフック形連結金具とそれが引っ掛けら
れるベルトの端部
18 第1の衿合わせ用ベルト
19 第2の衿合わせ用ベルト
20 衿合わせ用ベルト通し
21 衿合わせ用ベルトの留め具
22 長襦袢
23 衿
23a 衿先
24 後身頃
25 身八口
26 引き布
27 後衿
28 襟抜きベルト通し
29 襟抜きベルト
30 襟抜きベルトの留め具
31 後衿用留め具
32 襟元固定用第1ベルト
33 襟元固定用第2ベルト
34 襟元固定用ベルト通し
35 襟元固定用ベルトの留め具
36 ゆかた
37 衿
37a 衿先
38 後身頃

Claims (6)

  1. 下前となる衿に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口を通してきものの内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルトと、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられきものの外を背側へと1周回って前記第1の衿合わせ用ベルトと前側で連結される第2の衿合わせ用ベルトと、上前となる前身頃の衿先部分に備えられて背側へと回されて前側で連結されて腰の位置で合わせ前身頃の着丈並びにきものの腰部付近を固定する腰部固定用ベルトと、後身頃の腰部付近の内側の面に取り付けられ、きものの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより前記後身頃の腰部付近を着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトとを備え、前記後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて前記後身頃の着丈位置を調整してから、前記腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定し、他方、前記第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定することを特徴とするきもの。
  2. 前記後身頃用着丈調節ベルトは、前記後身頃の腰部付近の内側の面に丈方向に離して複数形成された後身頃用着丈調節ベルト通しのうちの1つに通されることで前記後身頃に取り付けられるものであり、任意の段の前記後身頃用着丈調節ベルト通しに通されて前記きものの内側で着用者の体の前へ回して両端を連結することにより前記後身頃の着丈調節用ベルト通しの位置を着用者の身体に固定するものである請求項1記載のきもの。
  3. 前記腰部固定用ベルトは、上前となる前身頃の衿先部分から背側を回って前側へ回される第1の腰部固定用ベルトと、前記上前側の衿先部分から前記第1の腰部固定用ベルトとは反対に前側へと回って前記第1の腰部固定用ベルトと前側で連結される第2の腰部固定用ベルトとを有するものである請求項1または2記載のきもの。
  4. 後衿の内側の面に対を成す留め具の一方を設けた請求項1から3のいずれか1つの記載のきものと、後衿の外側の面に前記留め具の他方が設けられた長襦袢とから成り、前記きものと前記長襦袢とが各々後衿部分において前記留め具で止め付けられて着付け前に予め一体となって羽織るように組み合わせられるものであり、かつ前記長襦袢の背の内側には後衿を引き下ろす衿抜きのための引き布と該引き布に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルトとを備える一方、前記長襦袢の衿の下部分には身八口を通して長襦袢の内側から外へ抜けて前見頃側へ回される襟元固定用第1ベルトと、長襦袢の外から背側へ回って反対側の前見頃側へ回され前記襟元固定用第1ベルトと係合される襟元固定用第2ベルトとを備え、後衿部分で予め一体となった前記きものと前記長襦袢とに袖を通して羽織った状態で、前記長襦袢の衿抜きの深さを前記衿抜き用ベルトを前記着用者の体の前へ回して固定することにより決定してから前記長襦袢の襟元固定用第1及び第2ベルトを使って前記長襦袢を着用してから前記きものの着付けを行うきものセット。
  5. 下前となる衿に取り付けられ上前側となる前身頃の身八口を通してゆかたの内から外へ抜けて背側を回って前側へ回される第1の衿合わせ用ベルトと、上前側となる前身頃側の衿に取り付けられゆかたの外を背側へと1周回って前記第1の衿合わせ用ベルトと前側で連結される第2の衿合わせ用ベルトと、上前となる前身頃の衿先部分に備えられて背側へと回されて前側で連結されて腰の位置で合わせ前身頃の身丈並びにゆかたの腰部付近を固定する腰部固定用ベルトと、背の内側には後衿を引き下ろす衿抜きのための引き布と該引き布に通されて内側で着用者の体に巻き付けられ後衿の深さを決める衿抜き用ベルトとを備え、前記後身頃用着丈調節ベルトを着用者の身体に巻き付けて前記後身頃の着丈位置を調整してから、前記腰部固定用ベルトを用いて前身頃の着丈を調整しながら下見頃側を固定し、他方、前記第1及び第2の衿合わせ用ベルトを用いて衿の形を整え衿合わせを行ってから上身頃側を固定することをことを特徴とするゆかた。
  6. 前記後身頃の腰部付近の内側の面に取り付けられ、前記ゆかたの内側で前記着用者の体の前へ回して両端を連結することにより前記後身頃の腰部付近を前記着用者の身体に固定する後身頃用着丈調節ベルトを備えたものである請求項5記載のゆかた。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5739577B1 (ja) * 2014-11-19 2015-06-24 大岩 仁美 カシュクールワンピース
JP2016064003A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 有限会社エルーチーリビング 布製品
JP2018123463A (ja) * 2017-02-02 2018-08-09 株式会社リノーズ 洋服様着物
FR3085106A1 (fr) * 2018-08-24 2020-02-28 Etablissements Ponsard Et Dumas Vetement ample avec moyen de maintien interieur conservant un tombe exterieur droit

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