JP3221857U - 和装服 - Google Patents

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洋子 藤森
洋子 藤森
しのぶ 菅原
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Abstract

【課題】より迅速に、簡易に装用することができる和装服を提供する。【解決手段】上身頃部10と、上身頃部10の下端部に設けられた帯部20と、帯部20の下端部に設けられた下身頃部30と、上身頃部10に設けられた一対の袖部40と、を備え、上身頃部10は上部前身頃部11と上部後身頃部12とを有すると共に、下身頃部30は下部前身頃部31と下部後身頃部32と、を有し、上部前身頃部11、上部後身頃部12、下部前身頃部31及び下部後身頃部32は帯部20の裏面側において互いに縫合固定されており、下身頃部30の下端部から使用者が被る。【選択図】図1

Description

本考案は、和装服に係り、特に、着物と同様の外観を有し、容易かつ迅速に着脱することができる和装服に関する。
着物は男女を問わず広く日本人に愛されているが、特に、女性用の着物は、着付ける際に、多くの作業、作法が必要となり非常に煩雑であった。
即ち、着物を着付ける場合には、先ず、着物本体を決められた手順に従って着込み、上前身頃部及び下前身頃部を重ね合わせた状態で衿を適切に整えると共に御端折りを整え、胸紐で押さえた後、さらに伊達締めを装着する。この場合、衿元の押さえ方、胸紐の取り方、御端折りの形成の仕方が非常に煩雑であり、一人で着付けるためには多くの訓練を要していた。
その後、着物の上から帯を結ぶ必要があるが、このような帯結びを行う場合には、帯本体、腰板、帯枕、帯揚げ、帯押さえ紐等を必要に応じてあらかじめ準備し、先ず、帯本体を前柄の位置を確認しつつ締めていくが、背面側で結び目を形成し、背面側で鏡を見ながら所定の帯結びを形成しなければならず、指導者について所定の訓練を要するものであり非常に煩雑であった。
従って、帯結びを含む着物本体を着付けるためには、全体として60以上に及ぶ作業工程を経なければならず、当然のことながら、着付け手順、着付け技術を知らない一般人では一人で着付けを行うことが不可能であった。
着物は日本文化の華であり、いつの時代も日本女性のあこがれの的であったが、上記のような着付けの難しさ、煩雑さや、現代生活形態の複雑さ、忙しさから、戦前ほど、日常生活の中で、女性が着物を着付けることが少なくなっている。
近年においては、成人女性の場合、成人式や大学等の卒業式を過ぎると、浴衣を除き、主に冠婚葬祭の折のみに、着付ける場合が多い。このため、着物を着付ける場合には、レンタルして着付け技能を有する専門家に着付けてもらうか、又は、時間に余裕がある場合には、着物の着付けを指導する学校にて講習を受け、自分で練習を行った後に、試行錯誤のうえ、自分の体形にあった着付けを行う技術を習得しなければ独力で着物を着衣することは不可能である。
しかしながら、着物をレンタルする場合であっても、非常に高額な賃料を支払わねばならず、また、着付けを指導する学校へ入学することも、多忙な現代人にとっては、時間的にも費用的にも極めて煩雑であり、着物文化が日常生活から遠ざけられる一因となっていた。
また、戦前より、着物は海外において「KIMONO」として、日本の伝統文化として広く認識されており、外国人にあっても、日本において着物を着衣したい、という要望がある。
特に、近年、日本への海外の旅行者が増え、欧米人のみならず、中国、韓国等の多くのアジア人にあっても、日本において着物を着た状態で日本の町を散策したい、という要望があり、観光地には、多くの「KIMONOレンタルショップ」等も存在し、多くの外国人により利用されている。
従って、現在、多くの日本人のみならず、外国人からも、「着物を簡単に着て楽しみたい」という切なる要望がある。
このように、従来より、「着物を簡単に着たい」という要望は多くの女性、人々の切なる要望であった。
このような従来の事情から、着物を容易に着たい、という多くの人々の要請に応えるべく、特許出願による様々な提案がされていた。
特許文献1(特許第3902615号公報)には、「対丈に形成された長着であって、前身頃部の胴部両脇、脇線から0.5〜1.5cmの位置に、脇線に対して実質的に平行となる7〜14cm長のタック部が設けられており、後身頃部の胴部両脇、脇線から1.5〜3.5cmの位置に脇線に対して実質的に平行となる7〜14cm長のタック部が設けられていること、下前身頃部の胴部表面と上前身頃部の胴部裏面に、一対のベルベット式ファスナ部が取付けられており、該ベルベット式ファスナ部の係止により、前記長着が身体に適合して着衣できるものであること、および、前記長着の肩山が、衿付け位置から4〜9cm位置まで裾に実質的に平行であり、その後肩先までダーツが設けられ、肩先部で、衿付け位置より0.8〜2cm下がった状態となっていることを特徴とする簡易長着。」が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された簡易長着にあっては、一般の着物と同様の形態に形成され、上前身頃部胴部表面及び下前身頃部胴部裏面に設けられた一対のベルベット式ファスナ部(以下、「面ファスナ部」とも称する)を係止することにより、上前身頃部と下前身頃部を重ね合わせた状態で固定して着衣するように構成されているものであり、胴部における一対の面ファスナ部のみにより前身頃部を固定することから、着衣した状態で着座する場合や、歩行する場合に、前身頃部の重ね合わせがずれ、着崩れする可能性がある、という不具合がある。
また、上前身頃部胴部表面に設けられた一対の両面ファスナ部が外部から視認されるために、着付け品質を確保するとためには、この一対の両面ファスナ部を隠すために、所定の幅寸法を有する帯を装着せざるを得ず、適切に帯を装着するためには、上記のように時間を要し、外観品質を確保した状態で着衣しようとした場合には、全体として着付け作業がなお煩雑である、という不具合がある。
また、特許文献2(特許第5771003号公報)には、「使用者の別にバスト、アンダーバスト、ウエストおよびヒップを含む身体各部から採寸された各曲線情報に基づく曲線を付与して各別に裁断された上身頃部体と下身頃部体とを、御端折りを介在させることなくウエストラインの位置にて立体的に縫い合わせて一体化される対丈着物であって、着衣時の下前表にあって右側縫い線から下前の横幅方向やや中央寄りに入り込んだ位置にある前記ウエストラインの上側にその一端部が固着された第1結び紐と、着衣時の上前裏にあって衽の身幅分だけ上前の横幅方向やや中央寄りに入り込んだ位置にある前記ウエストラインの下側にその一端部が固着された第2結び紐と、着衣時の下前裏にあって右側開放端から下前の横幅方向やや中央寄りに入り込んだ位置にある前記ウエストラインの下側にその一端部が固着された第3結び紐と、着衣時の上前裏にあって左側縫い線から後身頃部の横幅方向やや中央寄りに入り込んだ位置にある前記ウエストラインの上側にその一端部が固着された第4結び紐と、着衣時の下前裏にあって前記右側開放端から下前の横幅方向やや中央寄りに入り込み、かつ、前記下身頃部体の縦長さ方向での中間位置から12cm前後上方に位置する部位にその一端部が固着された第5結び紐と、着衣時の上前裏にあって前記左側縫い線に沿った上前側における前記下身頃部体の縦長さ方向での中間位置から17cm前後上方に位置する部位にその一端部が固着された第6結び紐とを備え、その着衣時には、前記第3結び紐と前記第4結び紐とを結んで下前を若干せり上がらせ、使用者の膝上位置にて前記第5結び紐と前記第6結び紐とを結んで下前左裾をさらに若干せり上がらせるとともに、前記第1結び紐と前記第2結び紐とを結んで上前右裾を若干せり上がらせるようにして裾周りの仕舞いを整え可能としたことを特徴とする対丈着物。」が開示されている。
しかしながら、上前身頃部及び下前身頃部の裏面側に全体として6本の結び紐を設け、着衣時にはこれら6本の結び紐を互い結束して上前身頃部と下前身頃部の重ね合わせ固定を行うように構成されており、着衣時に結束作業が煩雑であると共に、このような構成の着物を製作する場合には、使用者の体形に応じて6本結び紐の取り付け位置を個別に確定する必要があり、製作作業が煩雑である、という不具合があった。
さらに、特許文献3(特開2015−218396号公報)にあっては、「着物本体と帯からなり、着物本体は、後身頃部に縦方向にスリット状の開口部を設け、衿は該開口部で左右に分かれ、前身頃部の胸位置を重ね留めし、脇にゴムの縫い留め部分を設け、該胸位置に帯を固定する付着部を設けたことを特徴とする着物。」が開示されている。
しかしながら、このような着物にあっては、後身頃部の中央に上下方向に沿って形成された開口部を利用して着衣するが、着衣後に開口部はファスナ部を利用して閉じる必要があり、使用者は背面側のファスナ部を把持することはできないため、使用者以外の他者にファスナ部を引き上げて開口部を閉じてもらう必要があり、一人のみで着衣することは不可能であった。また、別個に帯を装着する必要があることから着物として着衣状態に至るためには煩雑であり、簡易に着衣したい、という要望を充たせるものではなかった。
特許第3902615号公報 特許第5771003号公報 特開2015−218396号公報
そこで、本考案の課題は、より迅速に、簡易に装用することができる和装服を提供することにある。
このような課題達成のため、請求項1記載の考案においては、上身頃部と、前記上身頃部の下端部に設けられた帯部と、前記帯部の下端部に設けられた下身頃部と、前記上身頃部に設けられた一対の袖部と、を備え、前記上身頃部は上部前身頃部と上部後身頃部とを有すると共に、前記下身頃部は下部前身頃部と下部後身頃部とを有し、前記上部前身頃部、前記上部後身頃部、前記下部前身頃部及び前記下部後身頃部は前記帯部の裏面側において互いに縫合固定されており、前記下身頃部の下端部から使用者が被ることを特徴とする。
従って、請求項1記載の和装服にあっては、前記上部前身頃部、前記上部後身頃部、前記下部前身頃部及び前記下部後身頃部は前記帯部の裏面側において互いに縫合固定されており、従来の伝統的な着物及び従来提案されていた改良された着物とは異なり、着衣時に上下の前身頃部を身体の前で合わせる必要がなく、また、合わせた前身頃部の上から帯を装着する必要がない。
請求項2記載の考案にあっては、前記上部前身頃部は、表側上部前身頃部と、前記表側上部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側上部前身頃部と、を有すると共に、前記下部前身頃部は、表側下部前身頃部と、前記表側下部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側下部前身頃部と、を備え、前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部は、重ね合わされた状態のまま前記帯部の裏面側において縫合固定されていることを特徴とする。
請求項3記載の考案にあっては、前記帯部は、帯状の生地が前記上身頃部の下端部周縁全域に亘って縫合固定されて形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の考案にあっては、前記下身頃部は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記裏側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部の表面側に重ね合わされて配置される前記表側下部前身頃部、並びに、使用者の胴下半部及び両脚部を背面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記下部後身頃部、により構成され、前記下部後身頃部の両側縁部において前記裏側下部前身頃部の一方の側縁部と前記表側下部前身頃部の一方の側縁部とが上下方向に沿って縫合固定されていることを特徴とする。
従って、請求項4記載の考案にあっては、2枚の下前身頃部が使用者の腰部及び脚部を覆うものである。
請求項5記載の考案にあっては、前記上身頃部の下端部及び前記下身頃部の上端部、の一方側の脇部には、上下方向に沿って前記帯部を跨るように配設されたスリット部が設けられていることを特徴とする。
請求項6記載の考案にあっては、前記スリット部にはファスナ部が設けられ開閉可能に形成されていることを特徴とする。
請求項7記載の考案にあっては、前記ファスナ部は、前記スリット部の全長に跨るスライド式ファスナ部を備えることを特徴とする。
請求項8記載の考案にあっては、前記袖部は、袂部が設けられているとともに、前記上身頃部の左右方向両端部において、前記前身頃部及び前記後身頃部に夫々縫合固定されており、前記袂部の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部により開閉可能に形成された開口部を有する収納部が設けられていることを特徴とする。
請求項9記載の考案にあっては、前記上身頃部の前記帯部よりも上方又は下方の何れか一方には、上下方向に沿ってタック部が設けられていることを特徴とする。
請求項10記載の考案にあっては、前記帯部の下端部には、前記下身頃部の上端部の表面側に配置される御端折り部が設けられていることを特徴とする。
請求項11記載の考案にあっては、前記ファスナ部は、前記スリット部のうち前記帯部に対応した部位を開閉する雌雄の異なる一対の面ファスナ部と、前記スリット部のうち前記下身頃部の上端部に対応した部位を開閉するスライドファスナ部と、を備えることを特徴とする。
請求項12記載の考案にあっては、前記帯部は、前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部が、裏面側において重ね合わされた状態のまま縫合固定されている固定側帯部と、前記固定側帯部の表面と重なるように、前記スリット部の近傍で一端が前記固定側帯部に支持された背面帯部、及び、使用者の背面側から胴回り方向を周回して前記スリット部を覆ったうえで前記背面帯部の前記一端の表面と係合する係合部を他端の裏面側に備えた正面帯部、を一体に備える自由端側帯部と、を備えることを特徴とする。
請求項13記載の考案にあっては、前記帯部には、使用者の背面側において帯結び部が縫合固定されていることを特徴とする。
請求項14記載の使用者の身長及び胸囲の数値に基づき複数のサイズを有することを特徴とする。
請求項15記載の考案にあっては、前記背面帯部の前記一端は、前記スリット部の近傍で前記固定側帯部に縫合支持、若しくは、前記スリット部の近傍の前記固定側帯部の表面に設けた支持側係合部に被支持側係合部が係合支持、されることを特徴とする。
請求項16記載の考案にあっては、前記帯部は、前記自由端側帯部の帯幅が前記固定側帯部の帯幅よりも広いことを特徴とする。
請求項1記載の考案にあっては、上身頃部と、前記上身頃部の下端部に設けられた帯部と、前記帯部の下端部に設けられた下身頃部と、前記上身頃部に設けられた一対の袖部と、を備え、前記上身頃部は上部前身頃部と上部後身頃部とを有すると共に、前記下身頃部は下部前身頃部と下部後身頃部とを有し、前記上部前身頃部、前記上部後身頃部、前記下部前身頃部及び前記下部後身頃部は前記帯部の裏面側において互いに縫合固定されており、前記下身頃部の下端部から使用者が被ることから、従来の伝統的な着物、及び従来提案されていた改良された着物とは異なり、着衣時に上下の前身頃部を身体の前で合わせる必要がなく、また、合わせた前身頃部の上から帯を装着する必要がない。したがって、従来の伝統的な着物の着付けのように、煩雑な着衣作業並びに帯の装着作業を行う必要がなく、下身頃部の下端部から使用者が被るだけの着衣作業で事足りるため、伝統的な着物における、全体として約60工程に及ぶ着付け作業をほぼ1工程に簡略化することができるため、迅速かつ簡易に着付けることができる。
請求項2記載の考案にあっては、前記上部前身頃部は、表側上部前身頃部と、前記表側上部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側上部前身頃部と、を有すると共に、前記下部前身頃部は、表側下部前身頃部と、前記表側下部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側下部前身頃部と、を備え、前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部は、重ね合わされた状態のまま前記帯部の裏面側において縫合固定されていることから、和装服を構成するパーツを容易に縫合して仕立てることができ、迅速かつ簡易に着衣できると共に、容易に作成することが可能な和装服を提供することができる。
請求項3記載の考案にあっては、前記帯部は、帯状の生地が前記上身頃部の下端部周縁全域に亘って縫合固定されて形成されていることから、従来のように、使用者は、別途に帯用布材を着物本体の上から身体に巻き付けて帯を形成する作業を行う必要がなく、使用者は和装服を着衣するのみで別途に帯を形成する必要がなく、迅速、簡易に着衣できる。
また、帯状の生地を上身頃部及び下身頃部に縫合固定するのみで帯相当部分を形成することができ、製作作業も容易である。
請求項4記載の考案にあっては、前記下身頃部は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記裏側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部の表面側に重ね合わされて配置される前記表側下部前身頃部、並びに、使用者の胴下半部及び両脚部を背面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記下部後身頃部、により構成され、前記下部後身頃部の両側縁部において前記裏側下部前身頃部の一方の側縁部と前記表側下部前身頃部の一方の側縁部とが上下方向に沿って縫合固定されていることから、下身頃部は、着物のような重ね合わせの前開きを可能としたまま洋服のスカートのように構成されており、作成が容易な和装服を提供することができる。
請求項5記載の考案にあっては、前記上身頃部の下端部及び前記下身頃部の上端部、の一方側の脇部には、上下方向に沿って前記帯部を跨るように配設されたスリット部が設けられており、請求項6記載の考案にあっては、前記スリット部にはファスナ部が設けられ開閉可能に形成されていることから、和装服の着衣時にはファスナ部を下げてスリット部を開放しておき、上身頃部及び下身頃部の生地の張りに余裕がある状態で、下身頃部の下端部側から被るように身体を通し、着衣後にはファスナ部を閉止して上身頃部及び下身頃部を本来の形に形成して着付けを完了する。また、和装服の脱衣時には、ファスナ部を下げて上身頃部及び下身頃部の生地に余裕を持たせた状態で脱ぐことができる。したがって、請求項1記載の考案の効果に加えて、より容易かつ迅速な着衣並びに脱衣作業が可能となる。
請求項7記載の考案にあっては、前記ファスナ部は、前記スリット部の全長に跨るスライド式ファスナ部を備えることから、使用者は一連の操作でスリット部を開閉することができる。
請求項8記載の考案にあっては、前記袖部は、袂部が設けられているとともに、前記上身頃部の左右方向両端部において、前記前身頃部及び前記後身頃部に夫々縫合固定されており、前記袂部の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部により開閉可能に形成された開口部を有する収納部が設けられていることから、使用者は着衣時には、収納部に身の回りの携帯用小物を適宜収納して、ファスナ部によりスリット部を閉止して、収納物の落下を防止した状態で持ち歩くことができる。
従って、伝統的な着物や、改良された従来の着物とは異なり、身の回りの小物の収納性、携帯性に富んだ和装服を提供することができる。
請求項9記載の考案にあっては、前記上身頃部の前記帯部よりも上方又は下方の何れか一方には、上下方向に沿ってタック部が設けられていることから、洋服の場合と同様に、立体的なシルエットを形成することができ、ゆとりのある着心地を提供できると共に、使用者の身体が各種の立ち居振る舞い、日常の運動作業を行う場合にも、生地が張ってしまい身体の動きが規制されることがなく、余裕をもって作業することができる和装服を提供することができる。
請求項10記載の考案にあっては、前記帯部の下端部には、前記下身頃部の上端部の表面側に配置される御端折り部が設けられていることから、従来の伝統的な着物と同様の外観品質を提供することができ、使用者は違和感なく着衣することができる。
請求項11記載の考案にあっては、前記ファスナ部は、前記スリット部のうち前記帯部に対応した部位を開閉する雌雄の異なる一対の面ファスナ部と、前記スリット部のうち前記下身頃部の上端部に対応した部位を開閉するスライドファスナ部と、を備えることから、帯部に対応する使用者の胴回りは、面ファスナ部の胴回り方向に沿う係合位置を調整することにより締め付け力を調整することができる。
請求項12記載の考案にあっては、前記帯部は、前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部が、裏面側において重ね合わされた状態のまま縫合固定されている固定側帯部と、前記固定側帯部の表面と重なるように、前記スリット部の近傍で一端が前記固定側帯部に支持された背面帯部、及び、使用者の背面側から胴回り方向を周回して前記スリット部を覆ったうえで前記背面帯部の前記一端の表面と係合する係合部を他端の裏面側に備えた正面帯部、を一体に備える自由端側帯部と、を備えることから、帯部に見かけ上の立体感を具備させることができるとともに、固定側帯部の縫い目を覆い隠すことができ、より一層着物を着付けたような風合いを確保することができる。
請求項13記載の考案にあっては、前記帯部には、使用者の背面側において帯結び部が縫合固定されていることから、従来の伝統的な着物や、従来の改良された着物とは異なり、別途に帯を装着する必要がない。また、その帯の装着にあたって、面倒な帯結び部を形成する必要がないことから、従来、非常に煩雑であった帯結び部の形成作業が不要となるため、迅速かつ容易な装用が可能となる和装服を提供することができる。
請求項14記載の考案にあっては、使用者の身長及び胸囲の数値に基づき複数のサイズを有することから、洋服と同様の概念で、使用者の体形、身体の大きさに合わせて複数種類のサイズの和装服を準備しておくことにより、使用者に最適な大きさの和装服を迅速かつ容易に着衣してもらうことが可能となる。
請求項15記載の考案にあっては、前記背面帯部の前記一端は、前記スリット部の近傍で前記固定側帯部に縫合支持、若しくは、前記スリット部の近傍の前記固定側帯部の表面に設けた支持側係合部に被支持側係合部が係合支持、されることにより、用途に応じて自由端側帯部を縫合又は係合により支持することができる。
請求項16記載の考案にあっては、前記帯部は、前記自由端側帯部の帯幅が前記固定側帯部の帯幅よりも広いことにより、使用者の座高の高低に応じて帯による締め付け位置を調整することができる。
本考案に係る和装服の一実施の形態を示し、(A)は和装服の正面図、(B)は和装服の背面図である。 本考案に係る和装服の一実施の形態を示し、各パーツを布単位で分離した展開図である。 本考案に係る和装服の一実施の形態におけるファスナ部の周辺構造を示す説明図である。 本考案に係る和装服の一実施の形態における帯部を含むスリット部を開閉するファスナ部の周辺構造を示し、(A)はファスナ開放状態の説明図、(B)はファスナ封止状態の説明図である。 本考案に係る和装服の一実施の形態における袖部のファスナ部の周辺構造を示し、(A)はファスナ開放状態の説明図、(B)はファスナ封止状態の説明図である。説明図である。 本考案に係る和装服の一実施の形態を示し、日米で異なるサイズの一覧の図表である。 本考案に係る和装服の他の一実施の形態を示し、(A)は和装服の正面図、(B)は和装服の背面図である。 本考案に係る和装服の他の一実施の形態を示し、各パーツを布単位で分離した展開図である。 本考案に係る和装服の他の一実施の形態におけるファスナ部の周辺構造を示す説明図である。 本本考案に係る和装服の他の一実施の形態における帯部を含むスリット部を開閉するファスナ部の周辺構造を示し、(A)はファスナ開放状態の説明図、(B)はファスナ封止状態の説明図である。 本考案に係る和装服の他の一実施の形態の変形例を示し、各パーツを布単位で分離した展開図である。 本考案に係る和装服の他の一実施の形態の変形例を示し、(A)は固定側帯部を下方寄りとした場合、(B)は固定側帯部を上方寄りとした場合、の説明図である。
次に、本考案に係る一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、着物の各部位等の正式名称或いは一般名称とは別の名称等で呼称する場合がある。また、使用される生地の種類(例えば、縮緬)や色・柄等は任意である。
(実施の形態1)
図1に示すように、実施の形態1に係る和装服1は、上身頃部10と、上身頃部10の下端部に設けられた帯部20と、帯部20の下端部に設けられた下身頃部30と、上身頃部10の外側部に設けられた一対の袖部40と、を備える。
上身頃部10は、上部前身頃部11と上部後身頃部12とを有する。上身頃部10は、図2に示すように、使用者の左右で回転対称の生地13,14を用い、この生地13,14のうち、折れ線P1を境界として図示上側の上部後身頃部12に対応する部位13a,14aの人体中心側縁部13b,14bを縫合固定することによって構成される。したがって、上身頃部10は、生地13,14を折れ線P1で折り返すことにより使用者の正面側と背面側とに分かれ、上部前身頃部11と上部後身頃部12となる。なお、図1(B)における符号N1はその縫合筋である。これにより、生地13,14のうち、折れ線P1を境界として図示下側の上部前身頃部11に対応する部位13c,14cは、使用者の右手側に配置される表側上部前身頃部15と、表側上部前身頃部15の裏側で一部が重ね合わされた状態で使用者の左手側に配置される裏側上部前身頃部16となる。さらに、生地13,14の上部後身頃部12に対応する部位13a,14aの上縁部13d,14dから生地13,14の上部前身頃部11に対応する部位13c,14cの傾斜縁部13e,14eにかけて連続する縁部分には、図1に示すように、衿部17が設けられている。
衿部17は、図2に示すように、略長方形(両端部の形状は任意)の帯状の生地18を長手方向に沿う折れ線P2で半折りしたものを上縁部13d,14dから傾斜縁部13e,14eに沿って縫合固定したものである。したがって、折れ線P1は、衿部17の衿幅と奥襟を考慮した分だけ上縁部13d,14dから部位13c,14cに寄った位置となる。なお、折れ線P3は上縁部13d,14dから傾斜縁部13e,14eに至る屈曲部分である。さらに、衿部17の内側には、図1に示すように、生地18とは異なる色や種類の飾り衿部17Aが設けられている。
なお、図2の展開状態は、図1(A)に示す使用者の正面側を基準として示し、使用者の左手側及び右手側と左右方向(図2の紙面では逆方向)とが一致している。また、図2に示した各生地13,14,18は、図1(A)に示した状態を単純に展開して示しており、具体的な形状や大きさ(比率を含む)を限定的に示すものではなく、例えば、必要に応じて縫い代等が設けられる。
図1に示すように、衿部17を含む上部前身頃部11及び上部後身頃部12は、一部が前後で重ね合わされた状態のまま帯部20の裏面側において、縫合固定されている。
なお、上身頃部10は、例えば、表側上部前身頃部15及び裏側上部前身頃部16の適宜位置に一つ以上のタック部19が設けられている。タック部19は、帯部20の上方において正面側の左右に対で設けられており、その下端は帯部20の上縁部分で収束している。
このように、上身頃部10の帯部20よりも上方には、上下方向に沿ってタック部19が設けられていることから、洋服の場合と同様に、使用者のウエスト部分からバスト部分へと向かう周り方向の拡径に伴う立体的なシルエットを形成することができ、ゆとりのある着心地を提供できると共に、使用者の身体が各種の立ち居振る舞い、日常の運動作業を行う場合にも、生地が張ってしまい身体の動きが規制されることがなく、余裕をもって動作をすることができる和装服1を提供することができる。
帯部20は、図3に示すように、使用者の正面側を被覆しうる長さ寸法に形成された前帯部21と、使用者の背面側を被覆しうる長さ寸法に形成された後帯部22と、前帯部21及び後帯部22の各裏面側に位置する前側裏地部23及び後側裏地部24と、で使用者の左手側の背面から右手側の脇腹を経由して再び左手側の正面に回り込むように構成されている。また、後帯部22には、所定の帯結びとされた(図示例は半巾帯で文庫結び)帯結び部25が縫合固定されている。なお、前帯部21及び後帯部22、並びに、前側裏地部23及び後側裏地部24は、それぞれ使用者の正面側と背面側とで分割されていてもよい。なお、この帯に関する「長さ」は、一般的な帯における呼称として用いられる帯幅の方向に直交する方向の「長さ」である。
なお、前帯部21と後帯部22とは、一般的な絹製の帯と同様に生地が伸縮性を備えていないことから、使用者の胴部を基準とする胴巻きの機能を備えている。したがって、前帯部21と後帯部22、及び、前側裏地部23と後側裏地部24とは、例えば、使用者の前後で分割せずに、例えば、使用者の右手側を一体とした1枚物として構成してもよい。
帯部20は、前帯部21及び後帯部22の上端部21a,22aが、上部後身頃部12の下端部12a、表側上部前身頃部15の下端部15a及び裏側上部前身頃部16の下端部16aと、前側裏地部23及び後側裏地部24と共に縫製S1,S2によって縫合固定されている。
前側裏地部23及び後側裏地部24は、図2に示すように、和装服1と同一、すなわち上述した上身頃部10と同一でありかつ前側裏地部23と後側裏地部24とが連続する1枚の生地28を用い、その長さ方向の中央部分の折れ線P4が使用者の右脇腹に位置する前後の境界として前帯部21及び後帯部22と略同一の大きさと形状からなっている。
帯結び部25は、後帯部22の上縁に沿って縫製S3により縫合固定されている。また、帯結び部25には、市販の帯締め26の中央が固定されており、前面結部27で予め結ばれている。
したがって、帯部20には、使用者の背面側である後帯部22において帯結び部25が縫合固定されていることから、従来の伝統的な着物や、従来の改良された着物とは異なり、別途に帯を装着する必要はなく、また、その伝統的な着物用の帯の装着に当たって、面倒な帯結びを形成する必要がないことから、従来、非常に煩雑であった帯結びの形成作業が不要となるため、迅速かつ容易な装用が可能となる和装服1を提供することができる。
このように、帯部20は帯状の生地(前帯部21,後帯部22)が上身頃部10の下端部12a,15a,16aの縁部全域に亘って縫合固定されている。したがって、使用者は、従来の着物を着付ける場合のように、別途に帯を着物本体の上から身体に巻き付けて帯を形成する作業を行う必要がなく、あらかじめ帯状の生地が上身頃部10と一体に縫合固定されていることから、使用者は和装服1を着衣するのみで別途に帯を形成する必要がなく、迅速、簡易に着衣できる。
また、帯状の生地(前帯部21,後帯部22)を上身頃部10及び下身頃部30に縫合固定するのみで帯相当部分を形成することができることから、製作作業も容易である。
なお、図2に示した、生地28は、具体的な形状や大きさを示すものではなく、例えば、必要に応じて縫い代等が設けられる。さらに、前帯部21、後帯部22、帯結び部25は、例えば、市販の帯地を用いることができる。
市販の帯地は、袋帯で帯幅は8寸(約30cm)、長さは1丈1尺〜1丈2尺(約420cm)、半幅帯は袋帯の半分の帯幅で4寸(約15cm)、長さは8尺5寸(約322cm〜350cm)である。なお、この帯に関する「幅」は、上述したように一般的な帯における呼称として用いられる帯幅の方向に一致する「幅」であることを意味し、他の生地等における使用者の人体の身幅、すなわち、左右方向に一致する「幅」とは異なっている。
そして、これらの市販の帯地を用い、前帯部21、後帯部22、帯結び部25に用いるように分断し、帯結び部25を結ったうえで後帯部22に後縫いで縫合固定することができる。したがって、市販の帯地の柄に応じて、結った際の柄合わせを容易に行うことができる。
一方、帯部20の下方には御端折り部50が設けられている。御端折り部50は、前帯部21の下方に位置する前側御端折り部51と、後帯部22の下方に位置する後側御端折り部52とを備える。
前側御端折り部51と後側御端折り部52とは、図2に示すように、下身頃部30の生地と同じ生地53,54から構成されており、長手方向に延びる折れ線P5を折れ線として折り返えされる。
したがって、帯部20の下端部には、下身頃部30の上端部の表面側に配置される御端折り部50(前側御端折り部51、後側御端折り部52)が設けられていることから、従来の伝統的な着物と同様の外観品質を提供することができ、使用者は違和感なく着衣することができる。
なお、図2に示した、生地53,54は、具体的な形状や大きさを示すものではなく、例えば、必要に応じて縫い代等が設けられる。
下身頃部30は、下部前身頃部31と下部後身頃部32とを有する。
下部前身頃部31は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成された裏側下部前身頃部33と、裏側下部前身頃部33の表面側に裏側下部前身頃部33と略一致する身幅寸法で重ね合わされて配置される表側下部前身頃部34とを備える。
下部後身頃部32は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成されている。
下部後身頃部32、裏側下部前身頃部33及び表側下部前身頃部34は、図2に示すように、使用者の胴下半部及び両脚部を背面側から被覆しうる身幅寸法に形成された3つの生地35,36,37により構成される。なお、以下の説明において、生地35,36,37における「左右」は図1に示した和装服1として仕立てた状態を基準に、使用者の右手側を「右」、使用者の左手側を「左」として定義する。
3つの生地35,36,37は、図示中央に位置して下部後身頃部32に対応する生地35の右側縁部35aと、裏側下部前身頃部33に対応する生地36の右側縁部36aと、が互いに縫合固定される。同様に、図示中央に位置して下部後身頃部32に対応する生地35の左側縁部35bと、表側下部前身頃部34に対応する生地37の左側縁部37aと、が互いに縫合固定される。
これにより、生地36,37は、表裏で重ね合わされるように巻かれた状態、すなわち、図3に示すように、裏側下部前身頃部33及び表側下部前身頃部34として重ね合わされた状態で、下部後身頃部32、裏側下部前身頃部33及び表側下部前身頃部34の各上端部32a,33a,34aが前帯部21及び後帯部22の各下端部21b,22bの裏面側において縫製S4,S5によって前側御端折り部51及び後側御端折り部52と一緒に縫合固定されている。
このように、下身頃部30は、裏側下部前身頃部33及び表側下部前身頃部34が重ね合わされた状態のまま帯部20の裏面側において縫合固定されていることから、和装服1を構成するパーツ(生地35,36,37)を容易に縫合して仕立てることができ、迅速かつ簡易に着衣できると共に、容易に作成することが可能な和装服1を提供することができる。
また、御端折り部50は、独立して帯部20に縫合固定されるため、帯部20の下方における身丈方向の高さを一定に保つことができ、しかも、従来の着物の場合のように、下身頃部30と連続した状態ではないため、着崩れの要因となることもない。
なお、図2に示した、生地35,36,37は、具体的な形状や大きさを示すものではなく、例えば、必要に応じて縫い代やつま先部36b,37b等が設けられる。
このように、下身頃部30は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成された裏側下部前身頃部33及び裏側下部前身頃部33の表面側に裏側下部前身頃部33と一致する身幅寸法で重ね合わされて配置される表側下部前身頃部34、並びに、使用者の胴下半部及び両脚部を背面側から被覆しうる身幅寸法に形成された下部後身頃部32、により構成され、下部後身頃部32の両側縁部(生地35の左側縁部35a,35b)において裏側下部前身頃部33の一方の側縁部(生地36の右側縁部36a)と表側下部前身頃部34の一方の側縁部(生地37の左側縁部37a)とが上下方向に沿って縫合固定されていることから、下身頃部30は、着物のような重ね合わせの前開きを可能としたまま洋服のスカートのように構成されており、作成が容易な和装服1を提供することができる。
このように、上身頃部10の上部前身頃部11は、表側上部前身頃部15と、表側上部前身頃部15の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側上部前身頃部16とを有すると共に、下身頃部30の下部前身頃部31は、表側下部前身頃部34と、表側下部前身頃部34の裏側で少なくとも一部が重ね合わされて配置される裏側下部前身頃部33と、を備え、上身頃部10の上部後身頃部12、表側上部前身頃部15及び裏側上部前身頃部16、並びに、表側下部前身頃部34及び裏側下部前身頃部33は、重ね合わされた状態のまま帯部20の裏面側において縫合固定されていることから、和装服1を構成するパーツ(生地35,36,37)を容易に縫合して仕立てることができ、迅速かつ簡易に着衣できると共に、容易に作成することが可能な和装服1を提供することができる。
袖部40は、上身頃部10の左右に位置する右袖部41と左袖部42とを備えている。右袖部41及び左袖部42は、使用者の左右で回転対称の生地43,44を用い、この生地43,44を図示二点鎖線で示す折れ線P6で折り返すことにより使用者の正面側に位置する前面袖部43a,44aと使用者の背面側に位置する背面袖部43b,44bとを構成する。
なお、袖部40の長さは、図1に示す右袂部45と左袂部46の長さに応じて、図2に示す紙面上下方向の長さが規定される。また、左袂部46の内部には、袋状の収納部47が設けられている。
これにより、袖部40は、下部に右袂部45と左袂部46とが設けられているとともに、上身頃部10の左右方向両端部及び各袂部45,46を除く内側の上縁部において、使用者の腕が通るように前身頃部11及び後身頃部12に夫々縫合固定される。
次に、図2に示した展開状態の各生地13,14,18,28,35,36,37,43,44,53,54の縫合結合状態を説明する。なお、図2に示した状態は、紙面では裏生地側が見えているものとする。
上述した各生地13,14,18,28,35,36,37,53,54において、使用者の左右方向に延びる縁部分は、帯部20に対して縫製S1,S2,S4,S5で縫合固定されている。
これに対し、生地13と生地43、並びに、生地14と生地44とは、折れ線P1及び折れ線P6でそれぞれ折り返されて使用者の正面側と背面側とに位置する状態において、生地13の人体外側縁部13fの折れ線P1を境界とする略上側半分と、生地43の人体内側縁部43cの折れ線P6を境界とする略上半分と、が袖入口(図示せず)を構成するように縫合結合される。同様に、生地14の人体外側縁部14fの折れ線P1を境界とする略上側半分と、生地44の人体内側縁部44cの折れ線P6を境界とする略上半分と、が袖入口(図示せず)を構成するように縫合結合される。
一方、生地13の人体外側縁部13fの折れ線P1を境界とする残りの略下側半分が互いに縫合結合される。
また、生地43の人体内側縁部43cの折れ線P6を境界とする略下半分を含む残りの縁部全周のうち、使用者の手が通る右袖出口41aに対応する部分を除く縁部が互いに縫合結合されて袋状に構成される。
他方、生地14の人体外側縁部14fの折れ線P1を境界とする略下側半分は、生地14と生地44との縫合結合部分の直下の所定範囲(例えば、2〜5cm)のみが縫合結合され、残りの下部は縫合されない非縫合構造部分となっている。
また、生地44の人体内側縁部44cの折れ線P6を境界とする略下半分を含む残りの縁部全周のうち、使用者の手が通る左袖出口42aに対応する部分、及び、収納部47を構成する袋状生地48の開口部48aに対応する部分、を除く縁部が互いに縫合結合されて袋状に構成される。なお、開口部48aは、生地44の人体内側縁部44cの折れ線P6を境界とする略下半分と対応する部分において、前後で互いに縫合結合される。したがって、開口部48aは収納部47の開口部47a(後述する図5参照)として機能する。
生地28は、使用者の肥大側背面から左側正面に回り込むことでそれぞれ使用者の背面側及び正面側の各左手側において両方の縁部28a,28bが縫合されない非縫合構造部分となっている。これにより、この非縫合構造部分は上述した生地14の非縫合構造部分と連続する。
さらに、生地35と生地36とは、右側縁部35aと右側縁部36aとが上下方向の全体に跨って縫合結合される。これに対し、生地36と生地37とは、左側縁部35bと左側縁部37aとが、使用者の高さ方向の上縁から下方に向かう所定範囲(例えば、12〜20cm)は縫合されない非縫合構造部分となっており、残りの縁部が互いに縫合結合されている。
したがって、図1(A)に示すように、使用者の左手側の身丈方向に沿う高さについて、高さH1の範囲は生地14と生地44との縫合結合範囲となる。また、高さH2の範囲は生地14の使用者の正面側と背面側との縫合結合範囲(例えば、2〜5cm)となる。高さH3の範囲は、生地14の非縫合構造部分、生地28の両方の縁部28a,28bの非縫合構造部分、生地36の左側縁部35bと生地37の左側縁部37aとの非縫合構造部分(例えば、12〜20cm)、が一連に連続し、図4(A)に示すように、スリット部W1となる範囲となる。高さH4は、生地36の左側縁部35bと生地37の左側縁部37aとのに縫合結合範囲となる。
一方、図3に示すように、上身頃部10及び下身頃部30の使用者の左側の脇部には、上下方向に沿って帯部20を跨るように配設された、高さH3の範囲における非縫合構造部分(スリット部W1)には、ファスナ部F1が設けられている。
ファスナ部F1には、例えば、図2に示すように、周知のスライドファスナ38が用いられている。したがって、使用者の左側の脇部は、人体外側縁部14fの下部付近は非縫合結合とされてスライド式ファスナ38の一部(上端部)が設けられ、縁部28aと縁部28bとは非縫合結合とされてスライド式ファスナ38の一部(中央部)が設けられ、左側縁部35bと左側縁部37aとの上部付近は非縫合結合とされてスライド式ファスナ38の一部(下端部)が設けられ、これら一連のスライド式ファスナ38によって構成されたファスナ部F1によってスリット部W1が開閉可能とされている。これにより、図4(A)に示すように、和装服1の着衣時にはファスナ部F1を下げて開放しておき、上身頃部10及び下身頃部30の生地の張りに余裕がある状態で、下身頃部30の下端部側から被るように身体を通す。一方、着衣後には、図4(B)に示すように、ファスナ部F1を閉止して上身頃部10及び下身頃部30を本来の形に形成して着付けを完了する。また、和装服1の脱衣時には、ファスナ部F1を下げて上身頃部10及び下身頃部30の生地に余裕を持たせた状態で脱ぐことができる。従って、より一層、容易かつ迅速な着衣並びに脱衣作業が可能となる。
また、袖部40は、下部に右袂部45と左袂部46とが設けられているとともに、上身頃部10の左右方向両端部及び右袂部45と左袂部46とを除く内側の上縁部において、使用者の腕が通るように上部前身頃部11と上部後身頃部12とに夫々縫合固定されており、図5に示すように、左袂部46の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部F2により開閉可能に形成された開口部47aを有する収納部47が設けられている。ファスナ部F2には、例えば、図2に示すように、周知のスライドファスナ49が用いられている。したがって、使用者は着衣時には、図5(A)に示すように、ファスナ部F2により開口部47aを開放して、収納部47に身の回りの携帯用小物を適宜収納することができる。そして、図5(B)に示すように、ファスナ部F2により開口部47aを閉止して、収納物の落下を防止した状態で持ち歩くことができる。
従って、伝統的な着物や、改良された従来の着物とは異なり、身の回りの小物の収納性、携帯性に富んだ和装服1を提供することができる。
このように、和装服1は、上身頃部10と、上身頃部10の下端部に設けられた帯部20と、帯部20の下端部に設けられた下身頃部30と、上身頃部10の外側部に設けられた一対の袖部40と、を備え、上身頃部10は上部前身頃部11と上部後身頃部12とを有すると共に、下身頃部30は下部前身頃部31と下部後身頃部32と、を有し、上部前身頃部11、上部後身頃部12、下部前身頃部31及び下部後身頃部32は帯部20の裏面側において互いに縫合固定されており、下身頃部30の下端部から使用者が被るだけの着衣作業で事足りることから、従来の伝統的な着物、及び従来提案されていた改良された着物とは異なり、着衣時に上下の前身頃部を身体の前で合わせる必要がなく、また、合わせた前身頃部の上から帯を装着する必要がないことから、従来の伝統的な着物の着付けのように、煩雑な着衣作業や帯の装着作業を行う必要がなく、下身頃部30の下端部から使用者が被るだけの着衣作業で事足りるように構成されていることから、伝統的な着物における、全体として約60工程に及ぶ着付け作業をほぼ1工程に簡略化することができるため、迅速かつ簡易に着付けることができる。
この際、上身頃部10及び下身頃部30の脇部には、上下方向に沿って帯部20を跨るように配設された非縫合構造のスリット部W1をファスナ部F1で開閉可能に形成することにより、和装服1の着衣時にはファスナ部F1を下げてスリット部W1を開放しておき、上身頃部10及び下身頃部30の生地の張りに余裕がある状態で、下身頃部30の下端部側から被るように身体を通し、着衣後にはファスナ部F1を閉止して上身頃部10及び下身頃部30を本来の形に形成して着付けを完了する。また、和装服1の脱衣時には、ファスナ部F1を下げて上身頃部10及び下身頃部30の生地に余裕を持たせた状態で脱ぐことができる。従って、より一層、容易かつ迅速な着衣並びに脱衣作業が可能となる。
なお、このような構成の和装服1は、図6に示すように、使用者の身長及び胸囲の数値に基づき複数のサイズを用意することができる。この際、例えば、小柄とされる日本人を基準とするサイズと、例えば、大柄とされるアメリカ等を基準とする外国人用のサイズとを用意するのが好ましい。これにより、洋服と同様の概念で、使用者の体形、身体の大きさに合わせて複数種類のサイズの和装服1を準備しておくことにより、使用者に最適な大きさの和装服1を迅速かつ容易に着衣してもらうことが可能となる。
ところで、図2に示すように、表側上部前身頃部15を構成する生地13の下縁部及び裏側上部前身頃部16を構成する生地14の下縁部は、使用者の左右脇腹に向かう程に緩やかに丈が短くなっており、前帯部21の上端部21aを裏面側で重ね合わされて縫合結合するための重ね部分13g,14gが設けられている。
そして、この重ね部分13g,14gのうちの斜線で示す範囲を手繰り寄せるようにして縫製S2で縫合結合することにより、タック部19が形成される。なお、重ね部分13g,14gは、和装服1のサイズに応じた数だけ設けられる(図では2タック分)。
また、重ね部分13g,14gのうちの斜線で示す範囲を手繰り寄せた状態で前帯部21の上端部21aと縫合結合することにより、生地13の下縁部及び生地14の下縁部が使用者の左右脇腹に向かう程に緩やかに丈が短くなっていることと相俟って、表側上部前身頃部15及び裏側上部前身頃部16に対して前帯部21が斜めになることなく、見掛け上の水平状態での縫合結合を可能とすることができる。
(実施の形態2)
図7〜図10は、実施の形態2(他の一実施の形態)に係る和装服2を示す。なお、この実施の形態2において、上記実施の形態1と同一もしくは実質的に同一の構成には、同一の符号を付して個々の具体的な説明は省略し、大略の構成と実施の形態1との相違部分を主として説明する。なお、袖部40は、実施の形態1と同一である。
この実施の形態2において、上記実施の形態1と大きく異なる点は、以下に示す3点である。
1点目として、通常の着物にあっては、反物を所定の形状に切断して縫い合わせることにより作製されている。ここで、着物用の反物は、旧式の9寸5分(約36cm)では身長が163cm程度の女性にしか対応ができないことから、近年では9寸8分(約37cm)が標準とされており、例外的に1尺(約37.9cm)〜1尺1寸(約41.7cm)程度の広幅まで織られるようになっている。これにより、例えば、図1(B)に示した縫い目N1のように、布材と布材とのつなぎ目が見かけ上において存在する。
これに対し、上記実施の形態1では、その縫い目を使用者の側面側に配置して、上述した外国人を含む大柄な人でも着ることができる和装服1としていたが、この場合には、着物の慣習としての縫い目が存在せず、見かけ上での着物との差が大きくなってしまう。
そこで、この実施の形態2に係る和装服2では、図7に示すように、上述した縫い目N1と同様に、生地の縫合固定による縫合筋N2〜N4を追加した。なお、図8に示した生地上では、分離した図示とはせずに、そのまま生地を縫製した縫合筋N2〜N4として図示している。これにより、縫合筋N1〜N3は、通常の着物と同様の使用者の左右中央に位置する縫い筋となっており、縫合筋N4は、通常の着物と同様の衽(おくみ)としての縫い筋となっている。したがって、下身頃部30は、縫合筋N3〜N4を追加して生地を細分化した以外の実質的な構成は実施の形態1と同一であるため、この縫合筋N3〜N4を追加した下身頃部30を実施の形態1に採用してもよい。同様に、実施の形態1にいて、また、実施の形態1に示した表側上部前身頃部15に縫合筋N2を追加することも可能である。なお、詳細は後述するが、左側縁部35bと左側縁部37aとの上部付近は非縫合結合とされてスライド式ファスナ39が設けられている。
2点目として、上記実施の形態1では、帯部20を構成する生地28に使用者の上下に位置する各生地13,14,35,36,37を縫合固定したことにより、その縫製S1,S2,S4,S5の糸目が見えてしまい、目立ち易かった。
そこで、この実施の形態2では、上述した帯部20を、固定側帯部70と、固定側帯部70の表面側に、使用者の胴回りを周回以上回り込む自由端側帯部80と、で構成したものである。
固定側帯部70は、図9に示すように、使用者の正面側を被覆しうる長さ寸法に形成された前帯部71と、使用者の背面側を被覆しうる長さ寸法に形成された後帯部72と、で使用者の前後に跨るような長さに構成されている。前帯部71と後帯部72とは、図8に示すように、一般的な絹製の帯と同じ生地73を用いている。
後帯部72のうち、展開状態で示す生地73の左側の折れ線P7から延長された左側端部73aは、所定の長さ寸法(例えば、2〜4cm)だけ長く延長され、その表面側には雌雄一方の面ファスナ74が設けられている。
同様に、前帯部71のうち、展開状態で示す生地73の右側の折れ線P7から延長された右側部73bは、所定の長さ寸法(例えば、2〜4cm)だけ長く延長され、その表面側には、面ファスナ74と係合するように雌雄を異ならせた面ファスナ75が設けられている。
固定側帯部70は、前帯部71の上端部71aが表側上部前身頃部65の下端部65a及び裏側上部前身頃部66の下端部66aと、及び、後帯部72の上端部72aが上部後身頃部62の下端部62aと、それぞれ縫製S1,S2によって縫合固定されている。
固定側帯部70は、前帯部71の下端部71bが裏側下部前身頃部33の上端部33a及び表側下部前身頃部34の上端部34aと、後帯部72の延長部分を除く下端部72bが下部後身頃部32の上端部32aと、端折り部51及び端折り部52と、それぞれ縫製S4,S5によって縫合固定されている。
この際、図8に示すように、生地73の折れ線P7から延長された左側端部73a及び右側端部73bが非縫合結合部分として使用者の左手側において折れ線P7で身体側に折り返されることにより、図9に示すように、後帯部72及び前帯部71の持出部72c及び持出部71cとなる。これにより、面ファスナ74と面ファスナ75とが互いに係合するようになっている。
このように、固定側帯部70の前帯部71及び後帯部72とは、実施の形態1の前帯部21及び後帯部22に設けた一連のスライドファスナを用いたファスナ部F2とは異なり、折れ線P7から延長された持出部71c,72cに設けた面ファスナ74,75を用いたファスナ部F3による係合状態とすることができる。
自由端側帯部80は、使用者の正面側を被覆しうる長さ寸法と使用者の背面側を被覆しうる長さ寸法とを加えた長さ寸法よりも長く、使用者の背中側から胴回り方向を周回する以上の長さ寸法を有する被覆帯部81と、使用者の背面側に位置して所定の帯結びとされた(図示例は全巾帯でオリジナルのお太鼓結び)帯結び部82と、を備える。
帯結び部82は、被覆帯部81の上縁に沿って縫製S3により縫合固定されている。また、帯結び部82には、帯締め26の中央が固定されており、前面結部27で予め結ばれている。
被覆帯部81は、図8に示すように、生地73と同じ生地83を用いている。この被覆帯部81に対応する生地83は、生地73の折れ線P7と一致する始端部83aから右側に向かう所定の位置、すなわち、生地73の長さ方向中央付近の下側に雌雄一方の面ファスナ84が設けられている。また、生地83の終端部83bは、下向きに先細りとなるように傾斜され、被覆帯部81と帯結び部82との間に入り込ませることができるようになっている。生地83の終端部83bには、面ファスナ84と係合可能な雌雄の異なる面ファスナ85が設けられている。
被覆帯部81は、例えば、帯地の2枚重ねから生地83を構成している。被覆帯部81は、使用者の背面側の左右両端付近の上下が後帯部72と縫製S6,S7によって固定されている。この際、縫製S6,S7は、2枚重ねの内側で折り返し、見掛け上で縫製糸が見えないようになっている。
このように、帯部20は、固定側帯部70と自由端側帯部80とで構成するとともに、前帯部71に対する表側上部前身頃部65及び裏側上部前身頃部66、並びに、後帯部72に対する上部後身頃部62、を縫合固定するための縫製S1,S2、前帯部71に対する裏側下部前身頃部33及び表側下部前身頃部34、並びに、後帯部72に対する下部後身頃部32、を縫合固定するための縫製S4,S5、を自由端側帯部80で覆い隠すことができる。
また、半幅帯で太鼓結びをする場合には、例えば、小春太鼓や風船太鼓のように帯幅を広げる必要があるが、予め結んだ帯を縫製S3で縫い付けているため、結び部81を袋帯と同じ帯幅として、垂れ82aや羽根82bを備えるなど、バラエティに富んだ袋帯や半幅帯を用いたオリジナルの結びとすることができる。また、固定側帯部70と自由端側帯部80との二重帯構造を採用したことで、固定側帯部70と自由端側帯部80との正面側の間に、結び部81を持ち上げるための市販の帯揚げ(図示せず)を収納することも可能となり、より一層、正式な着物らしい着付けを実現することができる。
3点目として、実施の形態1では、高さH3の範囲における非縫合構造部分の全長をスライド式ファスナを採用したファスナ部F1で開閉可能としたが、この実施の形態2では、身体の上部から順に、一部(図7に示す高さH5)を非縫合部分、一部(図7に示す高さH6)に面ファスナ74,75からなるファスナ部F3を採用した開閉可能部分、一部(図7に示す高さH7)にスライド式ファスナ39からなるファスナ部F4を採用した開閉可能部分としたものである。
図7に示すように、実施の形態2における上身頃部60は、上部前身頃部61と上部後身頃部62とを有する。
上身頃部60は、図8に示すように、使用者の左右で一部を除き回転対称である生地63,64を用いている。この生地63,64のうち、折れ線P1を境界として図示上側の上部後身頃部62に対応する部位63a,64aの人体中心側縁部63b,64bを縫合固定することによって構成される。したがって、上身頃部60は、生地63,64を折れ線P1で折り返すことにより使用者の正面側と背面側とに分かれ、上部前身頃部61と上部後身頃部62となる。
なお、図7(B)における符号N1はその縫合筋である。これにより、生地63,64のうち、折れ線P1を境界として図示下側の上部前身頃部61に対応する部位63c,64cは、使用者の右手側に配置される表側上部前身頃部65と、表側上部前身頃部65の裏側で一部が重ね合わされた状態で使用者の左手側に配置される裏側上部前身頃部66となる。
さらに、生地63,64の上部後身頃部62に対応する部位63a,64aの上縁部63d,64dから生地63,64の上部前身頃部61に対応する部位63c,64cの傾斜縁部63e,64eにかけて連続する縁部分には、図7に示すように、衿部67が設けられている。
衿部67は、図8に示すように、略長方形(両端部の形状は任意)の帯状の生地68を長手方向に沿う折れ線P2で半折りしたものを上縁部63d,64dから傾斜縁部63e,64eに沿って縫合固定したものである。したがって、折れ線P1は、衿部67の衿幅と奥襟を考慮した分だけ上縁部63d,64dから部位63c,64cに寄った位置となる。なお、折れ線P3は上縁部63d,64dから傾斜縁部63e,64eに至る屈曲部分である。さらに、衿部67の内側には、図7に示すように、生地68とは異なる色や種類の飾り衿部67Aが設けられている。
ところで、図8に示すように、表側上部前身頃部65を構成する生地63の下縁部及び裏側上部前身頃部66を構成する生地64の下縁部は、使用者の左右脇腹に向かう程に緩やかに丈が短くなっており、前帯部71の上端部71aを裏面側で重ね合わされて縫合結合するための重ね部分63g,64gが設けられている。
そして、この重ね部分63g,64gのうちの斜線で示す範囲を手繰り寄せるようにして縫製S2で縫合結合することにより、タック部69が形成される。なお、重ね部分63g,64gは、和装服2のサイズに応じた数だけ設けられる(図では2タック分)。
また、重ね部分63g,64gのうちの斜線で示す範囲を手繰り寄せた状態で前帯部71の上端部71aと縫合結合することにより、生地63の下縁部及び生地64の下縁部が使用者の左右脇腹に向かう程に緩やかに丈が短くなっていることと相俟って、表側上部前身頃部65及び裏側上部前身頃部66に対して前帯部71が斜めになることなく、見掛け上の水平状態での縫合結合を可能とすることができる。
なお、図8の展開状態は、図7(A)に示す使用者の正面側を基準として示し、使用者の左手側及び右手側と左右方向(図8の紙面では逆方向)とが一致している。また、図8に示した各生地63,64,68は、図7(A)に示した状態を単純に展開して示しており、具体的な形状や大きさ(比率を含む)を限定的に示すものではなく、例えば、必要に応じて縫い代等が設けられる。
図7に示すように、衿部67を含む上部前身頃部61及び上部後身頃部62は、一部が前後で重ね合わされた状態のまま帯部20の裏面側において、縫合固定されている。
なお、上身頃部60は、例えば、表側上部前身頃部65及び裏側上部前身頃部66の適宜位置に一つ以上のタック部69が設けられている。タック部69は、帯部20の上方において正面側の左右に対で設けられており、その下端は帯部20の上縁部分で収束している。
このように、上身頃部60の帯部20よりも上方には、上下方向に沿ってタック部69が設けられていることから、洋服の場合と同様に、使用者のウエスト部分からバスト部分へと向かう周り方向の拡径に伴う立体的なシルエットを形成することができ、ゆとりのある着心地を提供できると共に、使用者の身体が各種の立ち居振る舞い、日常の運動作業を行う場合にも、生地が張ってしまい身体の動きが規制されることがなく、余裕をもって動作をすることができる和装服2を提供することができる。
ここで、この実施の形態2における生地64には、展開状態における折れ線P1を境として上部後身頃部62に対応する部位63aの上部並びに上部前身頃部61に対応する部位63cの下部のそれぞれに、人体外側縁部64fよりも外側に突出された突片部64hが設けられている。
この突片部64hは、折れ線P8で内側に折り返されることにより、図10に示すように、高さH5に対応する部分のスリット部W2によって外側から内側が見えないようにする持出部62bを構成する。
これにより、図10に示すように、高さH3の範囲における非縫合構造部分(スリット部)のうち、図10(A)に示すように、高さH5に対応する生地64の非縫合構造部分としてのスリット部W2は、図10(B)に示すように、持出部62bが合わさることにより、見掛け上で閉じた状態とすることができる。また、高さH6に対応する生地73の非縫合構造部分としてのスリット部W3は、図10(B)に示すように、持出部62bに設けた雌雄の異なる面ファスナ74,75で構成されるファスナ部F3で開閉可能となっている。さらに、高さH7に対応する生地36の左側縁部35bと生地37の左側縁部37aとの非縫合構造部分としてのスリット部W4は、下部前身頃部31及び下部後身頃部32に設けたスライド式ファスナ39から構成されるファスナ部F4で開閉可能となっている。
したがって、高さH5における持出部62bは、対応する生地64の突片部64hの突出量が面ファスナ74,75の長さと略同長さだけ突出しているのが望ましい。なお、この「長さ」とは、上述した帯における「幅幅」の方向と直交する方向を意味する。したがって、高さH6は、帯幅方向に一致している。
したがって、使用者の胴回り寸法に応じて、面ファスナ74,75の長さに対する係合位置を調整することにより、ある程度の締め付け力の調整が可能となっている。
このように、固定側帯部70の表面と重なるように、スリット部W3の近傍に始端部83aが縫製S6,S7によって縫合固定され、使用者の背中側から胴回り方向を周回してスリット部W3を覆ったうえで面ファスナ85を裏面側に設けた被覆帯部81を設けたことにより、着物としての見掛けを確保することができる。
また、使用者の左側の脇部は、人体外側縁部64fの下部付近(高さH5)は非縫合結合とされ、左側端部73aと右側端部73bとは全幅に跨って(高さH6)非縫合結合とされて面ファスナ74,75によりファスナ部F3が設けられ、左側縁部35bと左側縁部37aとの上部付近(高さH7)は非縫合結合とされてスライド式ファスナ39によりファスナ部F4が設けられ、実施の形態1におけるファスナ部F1と同様の機能(着易さ・脱ぎ易さ)が担保されている。
(実施の形態2の変形例)
なお、上記実施の形態2では、帯部20を、固定側帯部90と、固定側帯部90の表面側に、使用者の胴回りを周回以上回り込む自由端側帯部100と、で構成するとともに、それらの帯幅(使用者の高さ方向)を同一としたものであるが、同一でなくてもよい。
例えば、実施の形態2の変形例として、図11及び図12に示すように、帯部20を、固定側帯部90と、固定側帯部90の表面側に、使用者の胴回りを周回以上回り込む自由端側帯部90と、で構成するとともに、自由端側帯部90の帯幅を固定側帯部90の帯幅よりも広くしてもよい。なお、この帯幅の広狭は、どちらを基準としてもよく、結果的に自由端側帯部90の帯幅の方が固定側帯部90の帯幅よりも広いことを意味する。
この際、固定側帯部90は、上記実施の形態2と同様に、使用者の正面側を被覆しうる長さ寸法に形成された前帯部91と、使用者の背面側を被覆しうる長さ寸法に形成された後帯部92と、で使用者の前後に跨るような長さに構成されている。前帯部91と後帯部92とは、図11に示すように、一般的な絹製の帯と同じ生地93を用いている。
後帯部92のうち、展開状態で示す生地93の左側の折れ線P9から延長された左側端部93aは、所定の長さ寸法(例えば、2〜4cm)だけ長く延長され、その表面側には雌雄一方の面ファスナ94が設けられている。後帯部92のうち、展開状態で示す生地93の左側の折れ線P9よりも内方の表面側には、帯幅方向の略全幅に跨るように雌雄一方の面ファスナ96が設けられている。さらに、後帯部92のうち、展開状態で示す生地93の右端付近、すなわち、生地93の全長に対する中央の折れ線P4を境界として後帯部92と前帯部91とに割り当てられる場合に、その境界よりも後帯部92として用いられる使用者の右手側の端部付近には、帯幅方向の両端(使用者の身丈方向である上下方向の両端)には、雌雄一方の一対の面ファスナ97が設けられている。
同様に、前帯部91のうち、展開状態で示す生地93の右側の折れ線P9から延長された右側部93bは、所定の長さ寸法(例えば、2〜4cm)だけ長く延長され、その表面側には、面ファスナ94と係合するように雌雄を異ならせた面ファスナ95が設けられている。
固定側帯部90は、前帯部91の上端部91aが表側上部前身頃部65の下端部65a及び裏側上部前身頃部66の下端部66aと、及び、後帯部92の上端部92aが上部後身頃部62の下端部62aと、それぞれ縫製S1,S2によって縫合固定されている。
固定側帯部90は、前帯部91の下端部91bが裏側下部前身頃部33の上端部33a及び表側下部前身頃部34の上端部34aと、後帯部92の延長部分を除く下端部92bが下部後身頃部32の上端部32aと、端折り部51及び端折り部52と、それぞれ縫製S4,S5によって縫合固定されている。
この際、生地93の折れ線P9から延長された左側端部93a及び右側端部93bが非縫合結合部分として使用者の左手側において折れ線P9で身体側に折り返されることにより、後帯部92及び前帯部91の持出部92c及び持出部91cとなる。これにより、面ファスナ94と面ファスナ95とが、スリット部W3を開閉するファスナ部(F3)として互いに係合するようになっている。
自由端側帯部100は、使用者の正面側を被覆しうる長さ寸法と使用者の背面側を被覆しうる長さ寸法とを加えた長さ寸法よりも長く、使用者の背中側から胴回り方向を周回する以上の長さ寸法を有する被覆帯部101と、使用者の背面側に位置して所定の帯結びとされた(図示例は全巾帯でオリジナルのお太鼓結び)帯結び部(図示せず)と、を備える。
被覆帯部101は、固定側帯部90の生地93と同じ生地103を用いている。この被覆帯部101に対応する生地103は、生地93の折れ線P9と一致する始端部103aから右側に向かう所定の位置、すなわち、生地93の幅方向中央付近の下側に雌雄一方の面ファスナ104が設けられている。また、生地103の終端部103bは、下向きに先細りとなるように傾斜され、被覆帯部101と帯結び部との間に入り込ませることができるようになっている。生地103の終端部103bには、面ファスナ104と係合可能な雌雄の異なる面ファスナ105が設けられている。
被覆帯部101は、使用者の背面側において左右両端に位置する部位のうち、左端付近には帯幅方向の略全幅に跨るように面ファスナ96と雌雄を異ならせた面ファスナ106が設けられ、右端付近には帯幅方向の両端(使用者の身丈方向である上下方向の両端)に位置するように、面ファスナ97と雌雄を異ならせた一対の面ファスナ107が設けられている。なお、面ファスナ107は、その帯幅方向の高さが面ファスナ97の帯幅方向の高さよりも高くなっている。
上記実施の形態2においては、被覆帯部81は、スリット部W3の近傍を含む使用者の背面側の左右両端の上下が後帯部92と縫製S6,S7によって縫合固定(縫合支持)されていた。これに対し、この変形例では、使用者の背面側の左右両端のうちの左端であるスリット部W3の近傍は、固定側帯部90の表面に設けた支持側係合部としての面ファスナ96に被支持側係合部としての面ファスナ106が係合して係合支持される。同様に、使用者の背面側の左右両端のうちの右端付近は、上下一対の面ファスナ107に面ファスナ107が係合することにより係合支持される。
ここで、図11に示すように、自由端側帯部100としての生地103の帯幅である高さH8は固定側帯部90としての生地93の帯幅である高さH9よりも高い(広い)くなっている。
これにより、例えば、総じて東洋人或いは世代の古い日本人の体形に多い腰骨よりも上方の座高が高い(足が短い)使用者と、総じて西洋人或いは世代の若い日本人の体形に多い腰骨よりも上方の座高が低い(足が長い)使用者と、によって固定側帯部90の腰骨を基準とした使用者の座高の高低に応じて固定側帯部90による締め付け位置を調整することができる。
図12は、その固定側帯部90による締め付け位置を調整した一例を示す。例えば、総じて東洋人或いは世代の古い日本人の体形に多い腰骨よりも上方の座高が高い(足が短い)使用者の場合には、図12(A)に示すように、自由端側帯部100の下縁部と固定側帯部90の下縁部とが一致する最大下方許容位置までの範囲において、固定側帯部90を下げることができる。また、総じて西洋人或いは世代の若い日本人の体形に多い腰骨よりも上方の座高が低い(足が長い)使用者の場合には、図12(B)に示すように、自由端側帯部100の上縁部と固定側帯部90の上縁部とが一致する最大上方許容位置までの範囲において、固定側帯部90を上げることができる。
なお、自由端側帯部80、100は、1枚でなくて複数枚で構成して重厚感を確保することも可能である。また、全体として帯生地は、実際の着物用の帯生地を使用せず、他の装飾等を施した生地を使用することも可能である。
1 和装服
2 和装服
10 上身頃部
11 上部前身頃部
12 上部後身頃部
12a 下端部
12b 持出部
13 生地
13a 部位
13b 人体中心側縁部
13c 部位
13d 上縁部
13e 傾斜縁部
13f 人体外側縁部
13g 重ね部分
14 生地
14a 部位
14b 人体中心側縁部
14c 部位
14d 上縁部
14e 傾斜縁部
14f 人体外側縁部
14g 重ね部分
14h 突片部
15 表側上部前身頃部
15a 下端部
15b 持出部
16 裏側上部前身頃部
16a 下端部
17 衿部
17A 飾り衿部
18 生地
19 タック部
20 帯部(固定側帯部)
21 前帯部
21a 上端部
21b 下端部
22 後帯部
22a 上端部
22b 下端部
23 前側裏地部
24 後側裏地部
25 帯結び部
26 帯締め
27 前面結部
28 生地
28a 縁部
28b 縁部
30 身頃部
31 下部前身頃部
32 下部後身頃部
32a 上端部
33 裏側下部前身頃部
34 表側下部前身頃部
35 生地
35a 右側縁部
35b 左側縁部
36 生地
36a 右側縁部
36b つま先部
37 生地
37a 左側縁部
37b つま先部
38 スライドファスナ
39 スライドファスナ
40 袖部
41 右袖部
42 左袖部
43 生地
43a 前面袖部
43b 背面袖部
43c 人体内側縁部
44 生地
44a 前面袖部
44b 背面袖部
44c 人体内側縁部
45 右袂部
46 左袂部
47 収納部
47a 開口部
48 袋状生地
48a 開口部
49 スライドファスナ
50 端折り部
51 端折り部
52 端折り部
53 生地
60 上身頃部
61 上部前身頃部
62 上部後身頃部
62a 下端部
62b 持出部
63 生地
63a 部位
63b 人体中心側縁部
63c 部位
63d 上縁部
63e 傾斜縁部
63f 人体外側縁部
63g 重ね部分
64 生地
64a 部位
64b 人体中心側縁部
64c 部位
64d 上縁部
64e 傾斜縁部
64f 人体外側縁部
64g 重ね部分
64h 突片部
65 表側上部前身頃部
65a 下端部
66 裏側上部前身頃部
66a 下端部
67 衿部
67A 飾り衿部
68 生地
69 タック部
70 固定側帯部
71 前帯部
71a 上端部
71b 下端部
71c 持出部
72 後帯部
72a 上端部
72b 下端部
72c 持出部
73 生地
73a 左側端部
73b 右側端部
74 面ファスナ
75 面ファスナ
80 自由端側帯部
81 被覆帯部
82 帯結び部
82a 垂れ
82b 羽根
83 生地
83a 始端部
83b 終端部
84 面ファスナ
85 面ファスナ
90 固定側帯部
91 前帯部
91a 上端部
91b 下端部
91c 持出部
92 後帯部
92a 上端部
92b 下端部
92c 持出部
93 生地
93a 左側端部
93b 右側端部
94 面ファスナ
95 面ファスナ
96 面ファスナ(支持側係合部)
97 面ファスナ
100 自由端側帯部
101 被覆帯部
103 生地
103a 始端部
103b 終端部
104 面ファスナ
105 面ファスナ
106 面ファスナ(被支持側係合部)
107 面ファスナ
H1 高さ
H2 高さ
H3 高さ
H4 高さ
H5 高さ
H6 高さ
H7 高さ
H8 高さ(帯幅)
H9 高さ(帯幅)
F1 ファスナ部
F2 ファスナ部
F3 ファスナ部
F4 ファスナ部
P1 折れ線
P2 折れ線
P3 折れ線
P4 折れ線
P5 折れ線
P6 折れ線
P7 折れ線
P8 折れ線
P9 折れ線
S1 縫製
S2 縫製
S3 縫製
S4 縫製
S5 縫製
S6 縫製
S7 縫製
W1 スリット部
W2 スリット部
W3 スリット部
W4 スリット部
請求項8記載の発明にあっては、前記袖部は、袂部が設けられているとともに、前記上身頃部の左右方向両端部において、前記上部前身頃部及び前記上部後身頃部に夫々縫合固定されており、前記袂部の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部により開閉可能に形成された開口部を有する収納部が設けられていることを特徴とする。
請求項8記載の発明にあっては、前記袖部は、袂部が設けられているとともに、前記上身頃部の左右方向両端部において、前記上部前身頃部及び前記上部後身頃部に夫々縫合固定されており、前記袂部の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部により開閉可能に形成された開口部を有する収納部が設けられていることから、使用者は着衣時には、収納部に身の回りの携帯用小物を適宜収納して、ファスナ部によりスリット部を閉止して、収納物の落下を防止した状態で持ち歩くことができる。

Claims (16)

  1. 上身頃部と、前記上身頃部の下端部に設けられた帯部と、前記帯部の下端部に設けられた下身頃部と、前記上身頃部に設けられた一対の袖部と、を備え、
    前記上身頃部は上部前身頃部と上部後身頃部とを有すると共に、前記下身頃部は下部前身頃部と下部後身頃部とを有し、
    前記上部前身頃部、前記上部後身頃部、前記下部前身頃部及び前記下部後身頃部は前記帯部の裏面側において互いに縫合固定されており、前記下身頃部の下端部から使用者が被ることを特徴とする和装服。
  2. 前記上部前身頃部は、表側上部前身頃部と、前記表側上部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側上部前身頃部と、を有すると共に、
    前記下部前身頃部は、表側下部前身頃部と、前記表側下部前身頃部の裏側で一部が重ね合わされて配置される裏側下部前身頃部と、を備え、
    前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部は、重ね合わされた状態のまま前記帯部の裏面側において縫合固定されていることを特徴とする請求項1記載の和装服。
  3. 前記帯部は、帯状の生地が前記上身頃部の下端部周縁全域に亘って縫合固定されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の和装服。
  4. 前記下身頃部は、使用者の胴下半部及び両脚部を正面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記裏側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部の表面側に重ね合わされて配置される前記表側下部前身頃部、並びに、使用者の胴下半部及び両脚部を背面側から被覆しうる身幅寸法に形成された前記下部後身頃部、により構成され、前記下部後身頃部の両側縁部において前記裏側下部前身頃部の一方の側縁部と前記表側下部前身頃部の一方の側縁部とが上下方向に沿って縫合固定されていることを特徴とする請求項2記載の和装服。
  5. 前記上身頃部の下端部及び前記下身頃部の上端部、の一方側の脇部には、上下方向に沿って前記帯部を跨るように配設されたスリット部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の和装服。
  6. 前記スリット部にはファスナ部が設けられ開閉可能に形成されていることを特徴とする請求項5記載の和装服。
  7. 前記ファスナ部は、前記スリット部の全長に跨るスライド式ファスナ部を備えることを特徴とする請求項6記載の和装服。
  8. 前記袖部は、袂部が設けられているとともに、前記上身頃部の左右方向両端部において、前記前身頃部及び前記後身頃部に夫々縫合固定されており、
    前記袂部の脇対向部位には上下方向に沿ってファスナ部により開閉可能に形成された開口部を有する収納部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の和装服。
  9. 前記上身頃部の前記帯部よりも上方又は下方の何れか一方には、上下方向に沿ってタック部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の和装服。
  10. 前記帯部の下端部には、前記下身頃部の上端部の表面側に配置される御端折り部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の和装服。
  11. 前記ファスナ部は、前記スリット部のうち前記帯部に対応した部位を開閉する雌雄の異なる一対の面ファスナ部と、前記スリット部のうち前記下身頃部の上端部に対応した部位を開閉するスライドファスナ部と、を備えることを特徴とする請求項6記載の和装服。
  12. 前記帯部は、
    前記表側上部前身頃部及び前記裏側上部前身頃部、並びに、前記表側下部前身頃部及び前記裏側下部前身頃部が、裏面側において重ね合わされた状態のまま縫合固定されている固定側帯部と、
    前記固定側帯部の表面と重なるように、前記スリット部の近傍で一端が前記固定側帯部に支持された背面帯部、及び、使用者の背面側から胴回り方向を周回して前記スリット部を覆ったうえで前記背面帯部の前記一端の表面と係合する係合部を他端の裏面側に備えた正面帯部、を一体に備える自由端側帯部と、
    を備えることを特徴とする請求項11記載の和装服。
  13. 前記帯部には、使用者の背面側において帯結び部が縫合固定されていることを特徴とする請求項3及び請求項12記載の和装服。
  14. 使用者の身長及び胸囲の数値に基づき複数のサイズを有することを特徴とする請求項1記載の和装服。
  15. 前記背面帯部の前記一端は、前記スリット部の近傍で前記固定側帯部に縫合支持、若しくは、前記スリット部の近傍の前記固定側帯部の表面に設けた支持側係合部に被支持側係合部が係合支持、されることを特徴とする請求項12及び請求項13記載の和装服。
  16. 前記帯部は、前記自由端側帯部の帯幅が前記固定側帯部の帯幅よりも広いことを特徴とする請求項15記載の和装服。
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