JP2012518651A - (+)−モルフィナニウムn−オキシドおよびそれらの生成方法 - Google Patents

(+)−モルフィナニウムn−オキシドおよびそれらの生成方法 Download PDF

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    • C07D489/00Heterocyclic compounds containing 4aH-8, 9 c- Iminoethano-phenanthro [4, 5-b, c, d] furan ring systems, e.g. derivatives of [4, 5-epoxy]-morphinan of the formula:
    • C07D489/02Heterocyclic compounds containing 4aH-8, 9 c- Iminoethano-phenanthro [4, 5-b, c, d] furan ring systems, e.g. derivatives of [4, 5-epoxy]-morphinan of the formula: with oxygen atoms attached in positions 3 and 6, e.g. morphine, morphinone
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    • A61P35/00Antineoplastic agents
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    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Abstract

本発明は、(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはそれらの薬学的に許容される塩を、対応する第三級N置換(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩から生成するための方法も提供する。本発明のさらに別の態様は、(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩の調製のための方法を包含する。上記方法は、17位に第三級アミンを含む(+)−モルフィナンまたはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、17位に第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩を形成することを含む。

Description

(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年2月23日に出願された米国仮特許出願第61/154,451号からの優先権を主張し、その全体が本明細書により参照として援用される。
(発明の分野)
本発明は、(+)−モルフィナニウムN−オキシドに一般に関する。本発明は、特に、(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物、および(+)−モルフィナニウムN−オキシドを対応する第三級N置換(+)−モルフィナン化合物から生成するための方法を提供する。
(発明の背景)
オピオイドは、アヘンまたはモルヒネ様の特性を呈する一群の薬剤である。オピオイドは、主として中程度から強度の鎮痛剤として使用されるが、眠気、呼吸抑制、便秘、気分の変化、および意識喪失を生じることがない精神的混濁を含めた、多くの他の薬理学的効果も有する。モルヒネおよびコデインは、群を抜いて最も重要な天然に存在するアヘン剤アゴニストである。これらの化合物のモルフィナン環の窒素原子の置換は、薬理学的特性に影響を与える。例えば、種々の窒素置換基を有するモルフィナン誘導体は、部分アゴニスト/アンタゴニスト活性または強力なアンタゴニスト活性を呈する。第四級アミンを含むモルフィナン化合物もまた公知である。例えば、ある特定のモルフィナンのN−オキシドは、対応する第三級アミンよりも活性が低いことが多岐にわたって報告されている。
最近の調査では、アヘン剤受容体アンタゴニストを含むモルフィナン、特に、そのそれぞれの第四級アミンが、血管上皮成長因子(VEGF)の強力な阻害剤であることが示されている。VEGF阻害剤は、種々の腫瘍の処置および黄斑変性の処置において重要な添加剤である。より最近の研究では、VEGF阻害活性が、モルフィナン環系の立体化学構造とは無関係であるように思われることが示唆されている。すなわち、(+)−モルフィナンの第四級化合物は、薬理学的に活性な(−)−モルフィナンの第四級化合物と同様に、VEGFを阻害すると思われる。したがって、(+)−モルフィナニウムN−オキシドなどの他の(+)−モルフィナン誘導体は、アヘン剤受容体と相互作用しないため、改善されたVEGF阻害剤として有用である可能性がある。したがって、(+)−モルフィナニウムN−オキシドを合成するための方法が必要とされている。
本発明は、(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはそれらの薬学的に許容される塩を、対応する第三級N置換(+)−モルフィナン化合物またはそれらの薬学的に許容される塩から生成するための合成方法も提供する。
本発明の一態様は、式(II):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を包含する。
本発明の別の態様は、式(IV):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
本発明のさらに別の態様は、(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩の調製のための方法を包含する。上記方法は、17位に第三級アミンを含む(+)−モルフィナンまたはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、17位に第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩を形成することを含む。
本発明のさらなる態様は、式(II)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の調製のための方法を提供する。上記方法は、以下の反応:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって、式(I)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、式(II)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することを含む。
本発明のなお別の態様は、式(IV)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の調製のための方法を包含する。上記方法は、以下の反応:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
にしたがって、式(III)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、式(IV)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩を形成することを含む。
本発明の他の態様および反復を、以下に、より詳細に記載する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、VEGF阻害剤として有用であり得る(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物を提供する。本発明はまた、(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の生成のための方法も提供する。上記方法は、(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩の第三級アミンを、第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩に直接N−酸化することを利用する。特に、上記方法は、(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させることを含む。
(I)(+)−モルフィナニウムN−オキシド
(a)式(II)を含む化合物
本発明の一態様は、第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはその薬学的に許容される塩を包含する。一実施形態において、上記化合物は、式(II):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、ヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、酸化剤と反応しないことを条件とする。
好ましい反復において、R、R、R、およびRは、それぞれ、水素である。Rは、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、または、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。
この実施形態の一反復において、上記化合物は、式(IIa):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
代表的な式(IIa)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、および(+)−エトルフィンのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態の別の反復において、上記化合物は、式(IIb):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、
、R、R、Y、およびZは、式(IIa)を含む化合物について先に定義した通りである]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
代表的な式(IIb)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、および(+)−モルヒネ−6−グルクロニド(glucoronide)のN−オキシドが挙げられる。
この実施形態のさらに別の反復において、上記化合物は、式(IIc):
Figure 2012518651
[式中、
、R、R、およびZは、式(IIa)を含む化合物について先に定義した通りである]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
代表的な式(IIb)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−テバインおよび(+)−オリパビンのN−オキシドが挙げられる。
(b)式(IV)を含む化合物
本発明の別の実施形態において、(+)−モルフィナニウム第四級N−オキシド化合物は、式(IV):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、ヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、酸化剤と反応しないことを条件とする。
好ましい反復において、R、R、R、およびRは、それぞれ、水素である。Rは、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、または、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。
この実施形態の一反復において、上記化合物は、式(IVa):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
代表的な式(IVa)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態のなお別の反復において、上記化合物は、式(IVb):
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、
、R、R、Y、Z、およびZ’は、式(IVa)を含む化合物について先に定義した通りである]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
この実施形態のさらに別の反復において、上記化合物は、式(IVc):
Figure 2012518651
[式中、
、R、R、Y、Z、およびZ’は、式(IVa)を含む化合物について先に定義した通りである]
またはその薬学的に許容される塩を含む。
式(II)、式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)、式(IV)、式(IVa)、式(IVb)、式(IVc)を含む化合物、およびそれらの薬学的に許容される塩は、全て、偏光の回転に対して(+)配向を有する。より詳細には、各キラル中心は、R配置またはS配置を有する。特に、5位の炭素は、キラルであるとき、S配置を有し、13位の炭素は、R配置を有し、14位の炭素は、キラルであるとき、R配置を有し、9位の炭素は、S配置を有する。本発明の化合物の各々において、17位の窒素は、R配置またはS配置を含み得る。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、6位にキラル炭素を含んでいてよく、その配置は、RであってもSであってもよい。他の実施形態において、本発明の化合物は、7位にキラル炭素を含んでいてよく、その配置は、RであってもSであってもよい。
これらの実施形態の各々において、薬学的に許容される塩として、非限定的に、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、酒石酸、重酒石酸塩、ステアリン酸塩、フタル酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、一水塩(monohydrate)、ムチン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、サリチル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、イソ酪酸塩、次亜リン酸塩、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸塩、イソクエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、テレフタル酸塩などが挙げられる。
したがって、本発明は、限定されないが、(+)−モルヒネ硫酸塩、(+)−モルヒネ塩酸塩、(+)−モルヒネ酢酸塩、(+)−モルヒネクエン酸塩、(+)−モルヒネ重酒石酸塩、(+)−モルヒネステアリン酸塩、(+)−モルヒネフタル酸塩、(+)−モルヒネ臭化水素酸塩、(+)−モルヒネヨウ化水素酸塩、(+)−モルヒネ乳酸塩、(+)−モルヒネ一水塩、(+)−モルヒネ硝酸塩、(+)−モルヒネリン酸塩、(+)−モルヒネサリチル酸塩、(+)−モルヒネフェニルプロピオン酸塩、(+)−モルヒネメチルヨウ化物、(+)−モルヒネイソ酪酸塩、(+)−ジヒドロモルヒネ塩酸塩、(+)−ジヒドロモルヒネヨウ化水素酸塩、(+)−ジヒドロモルヒネ一水塩、(+)−エチルモルヒネ塩酸塩、(+)−コデインリン酸塩、(+)−コデイン硫酸塩、(+)−コデイン塩酸塩、(+)−コデインクエン酸塩、(+)−コデインサリチル酸塩、(+)−ジヒドロコデイン重酒石酸塩、(+)−ジヒドロコデインヨウ化水素酸塩、(+)−ジヒドロコデイン酒石酸塩、(+)−ジヒドロコデインリン酸塩、(+)−ジヒドロコデイン塩酸塩、(+)−ジヒドロコデイン硫酸塩、(+)−ヒドロコドン重酒石酸塩、(+)−ヒドロコドン酒石酸塩、(+)−ヒドロモルホン塩酸塩、(+)−ヒドロモルホン硫酸塩、(+)−ヒドロモルホンテレフタル酸塩、(+)−ヒドロモルホン重酒石酸塩、(+)−ヒドロモルホン酒石酸塩、(+)−ヒドロモルホンヨウ化水素酸塩、(+)−オキシコドン塩酸塩、(+)−オキシコドン酒石酸塩、(+)−オキシモルホン塩酸塩、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−ナロキソン塩酸塩、(+)−ナルトレキソン塩酸塩、(+)−ナルブフィン塩酸塩、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン塩酸塩、(+)−エトルフィン塩酸塩、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−ノルオキシモルホン、(+)−ブプレノルフィン塩酸塩などを含めた(+)−モルフィナン化合物のN−オキシドを包含する。
(II)(+)−モルフィナニウムN−オキシドの合成
本発明の別の態様は、(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩の生成のための方法を提供する。上記方法は、第三級アミンを含む(+)−モルフィナン化合物の直接N−酸化により、第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物を生成することを含む。特に、上記方法は、第三級(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、第四級の(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩が生成されるようにすることを含む。
(a)式(II)を含む化合物の合成
本発明の一実施形態において、式(II)を含む(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはその薬学的に許容される塩は、式(I)を含む(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩と酸化剤との反応によって生成される。説明の目的で、反応スキーム1は、本発明の一態様による式(II)を含む(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]。
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、ヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、酸化剤と反応しないことを条件とする。
好ましい反復において、R、R、R、およびRは、それぞれ、水素である。Rは、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、または、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。
この実施形態の反復において、式(II)を含む化合物は、式(IIa)を含む。説明の目的で、反応スキーム2は、本発明の一態様による式(IIa)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]。
代表的な式(IIa)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン(oxymophinone)、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、および(+)−エトルフィンのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態の別の反復において、式(II)を含む化合物は、式(IIb)を含む。説明の目的で、反応スキーム3は、本発明の一態様による式(IIb)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、
、R、R、Y、およびZは、反応スキーム2について先に定義した通りである]。
代表的な式(IIb)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、および(+)−モルヒネ−6−グルクロニドのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態のさらに別の反復において、式(II)を含む化合物は、式(IIc)を含む。説明の目的で、反応スキーム4は、本発明の一態様による式(IIc)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
、R、R、Y、およびZは、反応スキーム2について先に定義した通りである]。
代表的な式(IIc)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−テバインおよび(+)−オリパビンのN−オキシドが挙げられる。
(b)式(IV)を含む化合物の合成
本発明の別の実施形態において、式(IV)を含む(+)−モルフィナニウムN−オキシド化合物またはその薬学的に許容される塩は、式(III)を含む(+)−モルフィナン化合物またはその薬学的に許容される塩と酸化剤との反応によって生成される。説明の目的で、反応スキーム5は、本発明の一態様による式(IV)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から独立して選択され、
およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORからなる群から独立して選択され、
は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]。
用語「置換ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分を称し、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、ヘテロ原子は、本明細書において定義されているような、酸化剤と反応しないことを条件とする。
好ましい反復において、R、R、R、およびRは、それぞれ、水素である。Rは、好ましくはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルメチル、アリル、もしくはアリールであり、または、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、ベンジル、もしくはプロパルギルである。
この実施形態の反復において、式(IV)を含む化合物は、式(IVa)を含む。説明の目的で、反応スキーム6は、本発明の一態様による式(IVa)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}からなる群から選択され、
は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルからなる群から選択され、
Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択され、
Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシからなる群から選択される]。
代表的な式(IVa)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファン、および(+)−ジヒドロシノメニンのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態の別の反復において、式(IV)を含む化合物は、式(IVb)を含む。説明の目的で、反応スキーム7は、本発明の一態様による式(IVb)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
A、R、R、Y、Z、およびZ’は、反応スキーム6について先に定義した通りである]。
代表的な式(IVb)を含む化合物またはそれらの薬学的に許容される塩として、(+)−シノメニンのN−オキシドが挙げられる。
この実施形態のさらに別の反復において、式(IV)を含む化合物は、式(IVc)を含む。説明の目的で、反応スキーム8は、本発明の一態様による式(IVc)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩の生成を示す:
Figure 2012518651
[式中、
、R、R、Z、およびZ’は、反応スキーム6について先に定義した通りである]。
(c)反応混合物
本発明の方法は、式(I)または式(III)を含む化合物と酸化剤とを合わせることによる反応混合物の形成によって開始する。種々の酸化剤が本発明の方法での使用に好適である。用いられ得る酸化剤の例として、限定されないが、酸化タングステン(VI)、酸化クロム、二クロム酸塩、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銀、水銀の酸化物、鉛の酸化物、酸化セレン、酸化ルテニウム、過酸化水素、ペルオキシスルフェート、ペルオキシ酢酸、3−クロロペルオキシ安息香酸、RCOH(ここで、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、二クロム酸塩(例えば、二クロム酸アンモニウム、二クロム酸カリウム、二クロム酸ナトリウムなど)からなる群から選択される);臭素酸塩(例えば、臭素酸バリウム、臭素酸マグネシウム、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムなど);塩素酸塩(例えば、塩素酸アンモニウム、塩素酸バリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウムなど);亜塩素酸塩(例えば、亜塩素酸銅、亜塩素酸鉛、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウムなど);クロロイソシアヌル酸(例えば、トリクロロイソシアヌル酸など);クロム酸塩(例えば、クロム酸カリウムなど);酸化クロム(例えば、無水クロム酸(三酸化クロム));二クロム酸塩(例えば、二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウムなど);過酸化水素;次亜臭素酸塩(例えば、次亜臭素酸ナトリウムなど);次亜塩素酸塩(例えば、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなど);次亜ヨウ素酸塩(例えば、次亜ヨウ素酸ナトリウム、次亜ヨウ素酸カリウムなど);無機過酸化物(例えば、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化セシウム、過酸化リチウム、過酸化マグネシウム、過酸化カリウム、過酸化ルビジウム、過酸化ナトリウム、過酸化ストロンチウムなど);ヨウ素酸塩(例えば、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ素酸塩カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸亜鉛など);ヨウ素酸化物(例えば、五酸化二ヨウ素など);酸化鉛(例えば、二酸化鉛など);二酸化マンガン;硝酸塩(例えば、硝酸アンモニウム、硝酸セリウムアンモニウム、硝酸バリウム、硝酸カリウム、硝酸銀、硝酸ナトリウムなど);硝酸;亜硝酸塩(例えば、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムなど);過塩素酸塩(例えば、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウムなど);過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸カリウム、過ヨウ素酸ナトリウムなど);過ヨウ素酸(例えば、メタ過ヨウ素酸など);過マンガン酸塩(例えば、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸マグネシウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムなど);ペルオキソホウ酸塩(例えば、ペルオキソホウ酸アンモニウムなど);過塩素酸;ペルオキソ二硫酸塩(例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸(peroxydisulfate)カリウムなど);ペルオキシ酸(例えば、ペルオキシ酢酸、ペルオキシ安息香酸、ペルオキシギ酸、トリフルオロ過酢酸など);有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイルなど);四酸化物(例えば、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウムなど);ジメチルジオキシラン;および酸素が挙げられる。酸素源として、空気を用いてもよい。例示的な実施形態において、酸化剤は過酸化水素である。
式(I)または式(III)を含む化合物対酸化剤のモル対モル比は、変動し得るであろう。一般に、式(I)または式(III)を含む化合物対酸化剤のモル対モル比は、1:1〜約1:20の範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、式(I)または式(III)を含む化合物対酸化剤のモル対モル比は、約1:1、1:1.1、1:1.5、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、または1:20であってよい。好ましい実施形態において、式(I)または式(III)を含む化合物対酸化剤のモル対モル比は、約1:10〜約1:15の範囲内であってよい。
反応混合物は、本明細書において詳述されているように、溶媒も一般に含む。当業者は、利用する溶媒が、出発化合物の化学的性質を含めた種々の因子に依るであろうことを認識するであろう。いくつかの実施形態において、溶媒は、プロトン性溶媒であってよい。プロトン性溶媒の非限定的な好適な例として、限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ギ酸、酢酸、水、およびこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な実施形態において、プロトン性溶媒はメタノールである。他の実施形態において、溶媒は、非プロトン性溶媒であってよい。好適な非プロトン性溶媒の非限定的な例として、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、酢酸エチル、ギ酸エチル、エチルメチルケトン、ホルムアミド、ヘキサクロロアセトン、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸メチル、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、塩化メチレン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、スルホラン、テトラメチル尿素、トルエン、トリクロロメタン、キシレン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに他の実施形態において、溶媒は、有機溶媒であってよい。好適な有機溶媒として、限定されないが、アルカンおよび置換アルカン溶媒(シクロアルカンを含む)、芳香族炭化水素、エステル、エーテル、これらの組み合わせなどが挙げられる。使用され得る具体的な有機溶媒として、例えば、アセトニトリル、ベンゼン、酢酸ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クロロメタン、クロロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、酢酸エチル、ジエチレングリコール、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸n−プロピル、テトラヒドロフラン、トルエン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。追加の実施形態において、溶媒は、先に記述したように、プロトン性、非プロトン性、および/または有機溶媒の混合物を含んでいてよい。
反応混合物中の溶媒の量は、変動してよい。典型的には、溶媒対式(I)または式(III)を含む化合物の重量対重量比は、約2:1〜約100:1、好ましくは約3:1〜約30:1、またはより好ましくは約5:1〜約15:1の範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、溶媒対式(I)または式(III)を含む化合物の重量対重量比は、約1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、または1:15であってよい。
(d)反応条件
一般に、酸化反応は、式(I)または式(III)〜式(II)または式(IV)をそれぞれ含む化合物の実質的な部分を変換するのに十分である期間にわたって、約−10℃〜約120℃の範囲内の温度で行われ得る。一実施形態において、反応の温度は、約−10℃〜約80℃の範囲内であってよい。別の実施形態において、上記温度は、約−10℃〜約50℃の範囲内であってよい。さらに別の実施形態において、反応の温度は、約−5℃〜約30℃の範囲内であってよい。さらなる実施形態において、反応の温度は、約室温(約25℃)であってよい。反応は、好ましくは周囲圧力下で、好ましくは不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)中で実施される。
典型的には、反応を、クロマトグラフィ(例えば、TLCまたはHPLC)によって決定される、反応が完了するまでの十分な期間にわたって進行させる。この文脈において、「完了した反応」とは、反応混合物が、それぞれ、十分に減少した量の式(I)または式(III)を含む化合物、および十分に増加した量の式(II)または式(IV)を含む化合物を、反応の開始時に存在するそれぞれの量と比較して含有することを一般に意味する。典型的には、反応混合物中に残存する式(I)または式(III)を含む化合物の量は、約5%未満、好ましくは約1%未満であってよい。
反応の完了の際に、反応混合物は、約4℃以下に冷却されてよい。溶液が一旦冷却されたら、(例えば、セライトプラグの使用によって)濾過が実施されて、不純物を除去してよい。生成物は、相分離抽出、液体クロマトグラフィ、結晶化、または当業者によく知られている他の手段によって単離されてよい。最終生成物は、洗浄および乾燥され、HPLC、UPLC、MS、NMR、IR、またはTGAによって分析されてよい。式(II)または式(IV)を含む化合物の収率は変動し得る。典型的には、上記化合物の収率は、約60%〜約99%、より詳細には約70%〜約80%の範囲内であり得る。
定義
本明細書において記載されている化合物は、不斉中心を有し得る。非対称に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学活性型またはラセミ型で単離され得る。具体的な立体化学または異性型が具体的に示されていない限り、構造の全てのキラル型、ジアステレオマー型、ラセミ型および全ての幾何異性型が意図される。本発明の化合物を調製するのに用いられる全ての方法および上記方法において作製する中間体は、本発明の部分であるとみなされる。
用語「アシル」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、有機カルボン酸のCOOH基からヒドロキシ基を除去することによって形成される部分、例えば、RC(O)−(ここで、Rは、R、RO−、RN−、またはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、または複素環であり、Rは、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を示す。
用語「アシルオキシ」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、酸素連結(O)を介して結合した上記のようなアシル基、例えば、RC(O)O−(ここで、Rは、用語「アシル」に関連して定義されている通りである)を示す。
用語「アルキル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に1〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルキルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であっても、あるいは環状であってもよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどを含む。
用語「アルケニル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に2〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルケニルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であっても、あるいは環状であってもよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ヘキセニルなどを含む。
用語「アルキニル」は、本明細書において用いられるとき、主鎖中に2〜8個の炭素原子および最大で20個の炭素原子を含有する好ましくは低級アルキニルである基を記載している。これらは、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどを含む。
用語「芳香族」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、場合により置換された単素または複素環式芳香族基を示す。これらの芳香族基は、6〜14個の原子を環部分に含有する好ましくは単環式、二環式、または三環式基である。用語「芳香族」は、以下に定義する「アリール」基を包含する。
用語「アリール」または「Ar」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、場合により置換された単素環式芳香族基、好ましくは、6〜12個の炭素を環部分に含有する単環式または二環式基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを示す。フェニルは、好ましいアリールである。
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を称する。
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を称する。ヘテロ原子の例として、酸素、窒素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄およびハロゲンを称するが、ヘテロ原子は、酸化剤と反応しないことを条件とする。
用語「複素環」または「複素環式」は、単独でまたは別の基の部分として本明細書において用いられるとき、少なくとも1個の環中に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環中に5または6個の原子を有する、場合により置換された、完全に飽和または不飽和の、単環式または二環式の、芳香族または非芳香族基を示し、但し、ヘテロ原子は、酸化剤と反応しないことを条件とする。複素環基は、環中に1もしくは2個の酸素原子および/または1〜4個の窒素原子を好ましくは有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残り部分に結合する。
用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、本明細書において用いられるとき、炭素および水素元素から専らなる有機化合物またはラジカルを記載している。これらの部分として、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分が挙げられる。これらの部分はまた、他の脂肪族または環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、およびアリール部分、例えば、アルカリール、アルケンアリールおよびアルキンアリールも挙げられる。別途示さない限り、これらの部分は、1〜20個の炭素原子を好ましくは含む。
用語「保護基」は、本明細書において用いられるとき、酸素原子を保護することが可能な基を示し、ここで、保護基は、保護が使用された反応の後に、分子の残り部分に支障を来すことなく、除去されてよい。例示的な保護基として、エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、p−メトキシベンジル(PMB)、p−メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β−メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2−メトキシ−2−プロピル(MOP)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS))などが挙げられる。種々の保護基およびその合成は、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts、John Wiley & Sonsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」(1999年)に見出すことができる。
本明細書に記載の「置換ヒドロカルビル」部分は、少なくとも1個のヘテロ原子で置換されたヒドロカルビル部分であり、炭素鎖原子がヘテロ原子で置換されている部分を含めるが、ヘテロ原子は、酸化剤と反応しないことを条件とする。好適な置換基として、ハロゲン、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルが挙げられる。
冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、本発明の要素または好ましい実施形態を導入するとき、1種または複数種の要素が存在することを意味することを意図している。用語「comprising(含む)」、「including(含む)」および「having(有する)」は、包含的であることを意図しており、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味している。
本発明を詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることが明らかであろう。
以下の実施例は、本発明の種々の反復を説明する。
(実施例1)
(+)−ヒドロコドンN−オキシドの合成
以下のスキームは、(+)−ヒドロコドンからの(+)−ヒドロコドンN−オキシドの合成を示す。
Figure 2012518651
過酸化水素(2.5mL、50%w/v、36.8mmol、11当量)を氷浴中の(+)−ヒドロコドン(1.0g、3.34mmol、1.0当量)の10mLメタノール(MeOH)冷却溶液中に滴下添加した。反応混合物を、一晩かけて徐々に室温まで加温した。高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析により、反応が終了したことが示された。約50mgのMnOを反応物に添加して、過剰の過酸化水素を分解した。MnOの添加後にバブリングが観察された。バブリングが停止した後、反応物をセライトを通して濾過し、固体残渣をメタノールで洗浄した(3mL×3)。合わせた濾液から揮発性物質をロトエバポレータユニットにおいて除去した後に、灰色固体が残存した。灰色固体を30mLの塩水に添加し、得られた懸濁液を氷浴において約0℃に冷却し、6NのHClによってpHを1に調整した。生成物をジクロロメタンで抽出し(3×20mL)、合わせた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥した有機相から揮発性物質をロトエバポレータによって除去した後に、0.78g、74%の収率、98.7%の純度の白色固体が残った。2個のピークが超高圧液体クロマトグラフィ(UPLC)分析において観察され、より小さいピークが5.17%の比率を有し、より大きいピークが94.83%の比率を有した。両方のピークは、LC−MS分析においてM+1=316.3およびフラグメンテーションパターンを有した。
(実施例2)
(+)−ヒドロコドンN−オキシドの合成および異性体の単離
以下の反応スキームは、(+)−ヒドロコドンN−オキシドを形成する(+)−ヒドロコドンの酸化を示す。
Figure 2012518651
(+)−ヒドロコドンN−オキシドを、プロトン性溶媒の存在下、過酸化水素を用いた(+)−ヒドロコドン塩基のN−酸化によって、高収率で調製することができる。したがって、4.348gの(+)−ヒドロコドン塩基(14.52mmol)の50mLメタノール懸濁液を19mLの30%過酸化水素(H)(186mmol、12.8当量)と室温でゆっくり混合してよい。懸濁液を窒素下に室温で一晩中撹拌してよい。反応の完了をTLC分析(例えば、CHCl:MeOH:NHOH、80:20:1)によってモニタリングすることができる。出発物質は、消費されるべきであり、2種の生成物を検出することができる(主生成物、R0.44、副生成物、R0.25)。反応混合物を氷水浴で冷却し、次いで二酸化マンガン(MnO)によってクエンチしてよい。セライトのプラグを通して濾過した後に濃縮し、粗製反応混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl:MeOH:NHOH勾配、100:0:1〜95:5:1)に供して、両方の生成物を単離するようにしてよい。質量分光(MS)分析によると、主生成物(3.7g)および副生成物(230mg)の両方が、N−オキシド異性体と一致する同じ分子量および類似のフラグメンテーションパターンを有する。HPLCを用いて、両方のピーク(6.65分に主生成物、4.37分に副生成物)がクロマトグラフィ的に純粋であることを判断することができる。核磁気共鳴(NMR)を用いて、副生成物が2または3種の化合物の混合物であり得ることを示すことができる。NMR分析は、主生成物が、アキシアルN−O結合を有する(+)ヒドロコドンN−オキシドであることを示すことができる。主異性体をフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl:MeOH:NHOH勾配、100:0:1〜95:5:1)によって精製することができ、4画分が収集される(F1、97.55%領域、F2、98.05%領域、F3、97.51%領域、およびF4、98.19%領域)。画分2および4を合わせることができ、溶媒の除去後、1.45gの主生成物をオフホワイト色の泡状物として得ることができる(C1、98.36%領域)。画分1および3を合わせることができ、溶媒の除去後、1.26gの生成物をオフホワイト色の泡状物として得ることができる(C2)。C1を、赤外分光法(IR)、熱重量分析(TGA)、NMR、HPLC、およびMS法によってさらに分析および同定することができる。

Claims (17)

  1. 式(II):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORから独立して選択され、
    は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す。]
    を含む化合物またはその薬学的に許容される塩。
  2. 式(IIa):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}から選択され、ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよく、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、および(+)−エトルフィンから選択される化合物のN−オキシドである、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
  4. 式(IIb):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、(+)−モルヒネ、(+)−コデイン、および(+)−モルヒネ−6−グルクロニドから選択される化合物のN−オキシドである、請求項4に記載の化合物。
  6. 式(IIc):
    Figure 2012518651

    [式中、
    は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、そして
    Zは、ヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1に記載の化合物。
  7. 前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、(+)−テバインおよび(+)−オリパビンから選択される化合物のN−オキシドである、請求項6に記載の化合物。
  8. 式(IV):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORから独立して選択され、
    は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合(ここで、Aは、7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合が存在するとき、{−}C(O){−}ではない)、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
    を含む化合物またはその薬学的に許容される塩。
  9. 式(IVa):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項8に記載の化合物。
  10. 前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、(+)−デキストロルファン、(+)−デキストロメトルファンおよび(+)−ジヒドロシノメニンから選択される化合物のN−オキシドである、請求項8または9のいずれかに記載の化合物。
  11. 式(IVb):
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、および{−}CH(A){−}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項8に記載の化合物。
  12. 式(IVc):
    Figure 2012518651

    [式中、
    は、水素、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから選択され、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択される]
    またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項8に記載の化合物。
  13. (+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩の調製のための方法であって、17位に第三級アミンを含む(+)−モルフィナンまたはその薬学的に許容される塩を酸化剤と接触させて、17位に第四級アミンを含む(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩を形成する工程を含む方法。
  14. 17位に第三級アミンを含む前記(+)−モルフィナンが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、前記(+)−モルフィナニウムN−オキシドが、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、前記方法は、以下の反応:
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORから独立して選択され、
    は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合(ここで、6位の炭素および14位の炭素は、アルカノ架橋によって接続されていてもよい)、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
    にしたがって進行する、請求項13に記載の方法。
  15. 17位に第三級アミンを含む前記(+)−モルフィナンが、式(III)の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、前記(+)−モルフィナニウムN−オキシドが、式(IV)の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、前記方法は、以下の反応:
    Figure 2012518651

    [式中、
    Aは、{−}C(O){−}、{−}C(=CH){−}、{−}CH{−}、{−}CH(A){−}、および{−}C(A){=}から選択され、
    は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アミド、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    およびRは、ヒドロカルビルおよび置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから独立して選択され、
    およびRは、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロゲン、{−}OH、および{−}ORから独立して選択され、
    は、水素、ヒドロカルビル、および置換ヒドロカルビルから選択され、
    Yは、存在するとき、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Zは、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、
    Z’は、水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、アルコキシ、およびアシルオキシから選択され、そして
    6位の炭素原子と7位の炭素原子との間、7位の炭素原子と8位の炭素原子との間、および8位の炭素原子と14位の炭素原子との間の破線は、(a)全ての炭素原子間での単結合、(b)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の単結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の二重結合、ならびに(c)6位の炭素と7位の炭素との間、および8位の炭素と14位の炭素との間の2箇所の二重結合、ならびに7位の炭素と8位の炭素との間の単結合(ここで、Yは、8位の炭素と14位の炭素との間の二重結合が存在するときには、存在しない)からなる群から選択される炭素−炭素結合を表す]
    にしたがって進行する、請求項13に記載の方法。
  16. 前記(+)−モルフィナニウムN−オキシドまたはその薬学的に許容される塩が、(+)−モルヒネ、(+)−ジヒドロモルヒネ、(+)−コデイン、(+)−ジヒドロコデイン、(+)−ヒドロコドン、(+)−ヒドロモルホン、(+)−オキシコドン、(+)−オキシコデイノン、(+)−オキシモルホン、(+)−オキシモルフィノン、(+)−テバイン、(+)−オリパビン、(+)−ナロキソン、(+)−ナルトレキソン、(+)−ナルブフィン、(+)−ナルフラフィン、(+)−ナルメフェン、(+)−ブプレノルフィン、(+)−エトルフィン、(+)−モルヒネ−6−グルクロニド、(+)−シノメニン、(+)−ジヒドロシノメニン、(+)−デキストロルファン、および(+)−デキストロメトルファンから選択される(+)−モルフィナンの誘導体である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記酸化剤が、遷移金属触媒、過酸化水素、ペルオキシスルフェート、ペルオキシ酢酸、3−クロロペルオキシ安息香酸、およびRCOHから選択され、ここで、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、およびこれらの組み合わせから選択され、(+)−モルフィナン対酸化剤のモル対モル比は、約1:1〜約1:20であり、酸化反応は、約−10℃〜約80℃の範囲の温度で行われる、請求項13から16のいずれかに記載の方法。
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