JP2012252696A - 会計仕訳ファイルデータ標準化システムとそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】関与先会計仕訳ファイル17を読み込み、その関与先会計仕訳ファイル17を作成した仕様に対応する関与先データ配置構造aを予め用意して読み出して、この関与先データ配置構造aを関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データから検索し、関与先データ配置構造aのデータ項目及びデータ位置と,羅列データに含まれる個々のデータを結合させ、羅列データのどの位置にどのようなデータが存在しているかを認識可能な関与先標準化ファイル18を生成することで異なる複数の関与先の会計仕訳ファイルの標準化を図る。
【選択図】図1
Description
会計ソフトウェアも様々なソフトウェアハウスから販売されており、インターネットを介して提供されるソフトウェアも出現している。
このような状況にあっては、企業内の例えば本社と支社間で異なるソフトウェアを使用していたり、あるいは税理士事務所や会計事務所で関与している企業先や個人事業主先の間でも複数の異なるソフトウェアを使用していたりすることがあり、異なるソフトウェアで作成されることから会計仕訳ファイルの仕様が相違してしまうことが頻繁に生じていた。
従って、会計仕訳ファイルを用いて、例えば監査業務等の共通の会計処理を企業内で単一のソフトウェアを用いて行うことができず、それぞれの会計仕訳ファイルに沿って個別に会計処理を行う必要があり、処理が煩雑になってしまうという課題があった。また、それ以前に何より異なるソフトウェアのコマンドや取扱いをそれぞれ覚えて操作しなければならず、そもそもソフトウェアが異なると機能自体が異なり、不整合な箇所については利用者が手入力で打ち直し等が必要となり、煩雑かつ多大な労力を必要として効率的ではないという課題があった。
さらに、会計ソフトウェアは、利用者が借方科目名や貸方科目名を独自に追加したり、修正することが可能になっているものが多く、利用者自身が事業内容に沿って科目名をカスタマイズしており、ソフトウェアハウス間での仕様相違に加えて会計仕訳ファイルを用いて行う会計処理を一層煩雑化させていた。
そこで、これまで仕訳処理や税務・会計処理の煩雑化を解決するために様々な技術が開発されている。
この記帳システムは、複数のデータ入力/表示行を備えたデータ入力画面と、摘要と勘定科目及び課税区分等の科目情報を対応させて記憶した摘要辞書と、データ入力済みの前記データ入力/表示行に表示されている摘要文字列のうち、所望の摘要文字列を指定する摘要文字列指定手段と、摘要文字列指定手段によって指定された摘要文字列の摘要辞書への登録指示を行う摘要登録指示手段と、摘要登録指示手段による摘要登録指示に基いて、摘要文字列指定手段によって指定された摘要文字列と摘要文字列に対応付けられている科目情報とを含む摘要辞書レコードを生成して摘要辞書に登録する摘要辞書レコード登録手段を備えるものである。
このように構成される記帳システムでは、記帳画面上で摘要入力によって自動仕訳する際に、利用者が必要と考える摘要文字列を登録指示することで、摘要辞書に登録できるので、逐一摘要登録画面を開いて別個に摘要文字列を摘要辞書に入力する手間を省くことができる。
この技術によれば、財務情報に含まれる勘定科目が、辞書から取得された勘定科目との比較において一致しない場合に、財務情報に含まれる勘定科目を辞書に追加して階層化文書情報を生成することにしたので、利用者が理解できないまま勘定科目を選択するようなことがなく、利用者の使い勝手を向上させることができる。
この文献に開示されている技術は、標準化された財務諸表の勘定科目に関する原取引データである複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式(例えば、XBRL(eXtensible Business Report Language)の仕様のデータ形式)に変換し、データベースに蓄積することにより、経営状況の分析を支援するものである。また、この技術では外部の業務システムから入力される取引データを標準化された財務諸表構造ルールの勘定科目名と同一名称を含むデータ変換構造ルールを用いて統一化した構造化言語に変換し、財務情報データとして蓄積することにより、OS(オペレーティングシステム)やプラットフォームに依存せずにデータの再利用が可能となる。
このような財務諸表構造ルールを用いることによって、外部の業務システムにより作成された財務諸表と蓄積された財務データとについて、勘定科目の要素名をキーとした連携が財務諸表連携部において可能となり、これにより財務諸表の各勘定科目の原取引データを収集することなどが可能となるため、従来は不可能であった財務諸表のより詳細な経営分析が可能となる。
本技術によれば、入力データの種別や形式に依存せず、所望の仕訳帳票を作成するための仕訳データを得ることができる。
また、特許文献2に開示される技術によれば、会計仕訳ファイルによって異なる勘定科目について自動的に辞書に追加して階層化文書情報を生成してくれるので、利用者が勘定科目を選択する必要はなくなるものの、異なる会計仕訳ファイル毎に共通の階層化文書情報が生成されることは担保されておらず、結局、個別の会計仕訳ファイル内の利用者によってカスタマイズされるような場合の便利さのみに留まってしまうという課題があった。
さらに、特許文献3に開示される技術によれば、複数の業務システムから入力される取引データを統一した構造化言語のデータ形式を用いるため、複数の会計仕訳ファイルに共通したデータ形式が採用され、本文献にも記載されるように、様々な演算式によって演算される経営指標の随時算出が可能となる。
この技術では、販売管理システム等の業務システムから入力される売上高や売上日等の取引データを、取引毎に、コンピュータ上にて再利用可能な構造化言語のデータ形式のファイルであるインスタンス文書に変換し、インスタンスデータベースに順次蓄積させておく。そして、経営指標の算出が必要な際には、インスタンスデータから算出したい経営指標の演算式に用いられる勘定科目を抽出し、これをキーとして標準的に用いられている財務諸表タクソノミの勘定科目を抽出し、この財務諸表タクソノミの勘定科目の要素名をキーに財務情報インスタンスデータベースを検索して財務指標インスタンス及び経営指標インスタンスを作成する。
しかしながら、この技術では、予め共通のデータ形式を日々の取引データの入力毎に用いる、あるいは予め共通のデータ形式を日々の取引データの変換に用いるものであり、言わば会計仕訳ファイルの作成時から共通の要素を取り入れており、会計仕訳ファイルが生成された後に発生する労力や時間を仕訳ファイルの生成時に転嫁するに留まる。従って、同一企業内における本社と支社間における税務・会計処理業務であれば適用も可能であるかもしれないが、税理士事務所や会計事務所で関与している多数の企業先や個人事業主先の間で複数の異なるソフトウェアを使用している場合等で会計仕訳ファイルの仕様が相違しているケースなどでは現実的ではないという課題があった。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化システムでは、複数の異なる仕様によって作成された会計仕訳ファイルのデータ項目とデータ位置に係るデータ配置構造をファイルデータ配置情報データベースに格納しているので、ファイルデータ配置標準化部は、関与先会計仕訳ファイルを読み込む際に、その関与先会計仕訳ファイルを作成した仕様に対応する関与先データ配置構造を読み出して、関与先会計仕訳ファイルに含まれる羅列データを検索して、関与先データ配置構造と、羅列データに含まれる個々のデータを結合させ、前記羅列データのどの位置にどのようなデータが存在しているかを認識可能とするように作用する。また、関与先会計仕訳ファイルの羅列データに含まれる個々のデータと関与先データ配置構造が結合させた関与先標準化ファイルを生成して出力するという作用を有する。
なお、本願特許請求の範囲及び明細書では、関与先の会計仕訳ファイルを関与先会計仕訳ファイルといい、その関与先会計仕訳ファイルのデータ配置構造を関与先データ配置構造という。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化システムでは、請求項1に記載の発明の作用のうち、ファイルデータ配置標準化部は、関与先会計仕訳ファイルを読み込む際に、その関与先会計仕訳ファイルを作成した仕様に対応する関与先データ配置構造を読み出して、関与先会計仕訳ファイルに含まれる羅列データを検索して、関与先データ配置構造と、羅列データに含まれる個々のデータを結合させる作用に代えて、ファイルデータ配置標準化部が、関与先会計仕訳ファイルの羅列データに含まれる個々のデータを、標準データ配置構造に結合させるという作用を有する。すなわち、関与先のデータ配置構造から標準のデータ配置構造へ配置変換を行うという作用を有する。従って、本請求項2における発明では、請求項1のように関与先データ配置構造のまま羅列データとデータ項目とデータ位置に関する情報が結合される関与先標準化ファイルとは異なり、羅列データに含まれる個々のデータが標準データ配置構造へ変換された関与先標準化ファイルとなる。この場合も、ファイルデータ配置標準化部による関与先標準化ファイルの生成と出力という作用を有している。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化システムでは、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、会計仕訳ファイルを関与先標準化ファイルとして生成させた後に、これに含まれる借方科目名や貸方科目名を突合処理する作用を有するものである。
もう少し具体的に説明すると、科目突合処理部のうち関与先科目検索部が、関与先標準化ファイルに含まれるデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名を抽出して、これらをキーとして、関与先科目情報データベースから既に標準科目IDを備えた紐付科目を検索するという作用を有する。
このような処理が終了することで、関与先標準化ファイルに用いられた借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、紐付科目を介して標準科目IDが紐付けられる。
なお、本願発明では、「借方科目名及び/又は貸方科目名」のように「及び/又は」を多用しているが、これはいずれか一方の場合と両方の場合のいずれをも含む意味を表現するものである。また、本願でいう「ID」とは識別子を意味しており、数字や文字あるいは記号の羅列によって識別可能なものや信号を含む概念である。識別可能な文字も含むことから、標準科目名そのものも標準科目IDに含まれる概念である。また、借方科目名及び/又は貸方科目名は、それぞれ関与先会計仕訳ファイルに含まれ,これらを認識可能に付与されている科目コードを含む概念である。
さらに、本願で「紐付ける」とは、関与先標準化ファイルに含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して標準科目IDを結合させることを意味する。具体的には、関与先標準化ファイルに含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名と標準科目IDを対応させたデータを生成し、このデータに関与先標準化ファイルがアクセスすることで借方科目名及び/又は貸方科目名に対する標準科目IDを容易に入手できるような状態を意味する概念である。また、関与先毎に、標準科目IDが紐付けられた借方科目名及び/又は貸方科目名、あるいはそれに標準科目IDを併せて紐付科目といい、複数の関与先に跨った状態で、標準科目IDが紐付けられた借方科目名及び/又は貸方科目名、あるいはそれに標準科目IDを併せて突合済科目という。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化システムでは、請求項1に記載した会計仕訳ファイルデータ標準化システムをプログラム発明として捉えた発明であるので、その作用は請求項1に記載される発明の作用と同様である。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化プログラムでは、請求項2に記載した会計仕訳ファイルデータ標準化システムをプログラム発明として捉えた発明であるので、その作用は請求項2に記載される発明の作用と同様である。
上記構成の会計仕訳ファイルデータ標準化プログラムでは、請求項3に記載した発明をプログラム発明として捉えた発明であるので、その作用は、請求項3に記載した発明の作用と同様である。
勘定科目名を含めて標準化させることができるので、その後の税務・会計処理を統一させることが可能であり、共通の処理を施すことが可能である。従って、複数の異なる関与先からの会計仕訳ファイルを用いて、均質で精度の高い税務・会計処理に係るサービスを提供できる。
この効果を発揮する中心的な役割を果たすのは、科目突合処理部であるが、この科目突合処理部は、関与先科目検索部を備えており、この関与先科目検索部によって関与先標準化ファイルに含まれる借方科目名や貸方科目名を抽出して、これらをキーとして関与先科目情報データベースから紐付科目を検索することができる。従って、関与先科目情報データベースを設けておき、これに個々の関与先が用いる借方科目名や貸方科目名を予め所望に定めた標準科目IDと紐付けておき、個々の関与先で標準科目IDを用いて管理できるようにすることで、逐一複数の異なる関与先の借方科目名や貸方科目名を検索する労力と時間を節約することができる。
図1は、本発明の本実施の形態に係る会計仕訳ファイルデータ標準化システムの概念図である。
図1において、会計仕訳ファイルデータ標準化システム1は、入力部2、ファイル読込設定部3、演算部4、出力部10及びデータベース群として、ファイルデータベース11、標準化ファイルデータベース12、ファイルデータ配置情報データベース13、標準科目情報データベース14、関与先科目情報データベース15及び突合済科目情報データベース16から構成されている。
入力部2の具体例としては、キーボード、マウス、ペンタブレット、光学式の読取装置あるいはコンピュータ等の解析装置や計測機器等から通信回線を介してデータを受信する受信装置など複数種類の装置からなり目的に応じた使い分け可能な装置が考えられる。また、会計仕訳ファイルデータ標準化システム1への入力に対するインターフェースのようなものであってもよい。
また、出力部10は、ファイル読込設定部3、ファイルデータ配置標準化部5あるいは科目突合処理部6(関与先科目検索部7、標準科目検索部8、抽出科目紐付処理部9)から検索や処理の結果やデータ入力を促すための入力画面(インターフェース画面)等の情報について、あるいは各データベースからデータを読み出して外部へ出力するものである。具体的にはCRT、液晶、プラズマあるいは有機ELなどによるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置などの出力装置、さらには外部装置への伝送を行うためのトランスミッタなどの発信装置などが考えられる。もちろん、外部装置への伝送のための出力に対するインターフェースのようなものであってもよい。
ファイルデータ配置情報データベース13に格納されるデータ配置構造a〜nは、会計仕訳ファイルの仕様の相違、例えば、それぞれ異なるソフトウェアを用いて会計仕訳ファイルを作成したことによって生じるデータ配置構造の相違に対応するものであり、仕様毎に異なるデータ配置構造として読み出し可能にファイルデータ配置情報データベース13に格納されている。このほか、本会計仕訳ファイルデータ標準化システム1の利用者あるいは管理者によって予め所望に定められる標準データ配置構造20を格納している。これらのデータ配置構造a〜n及び標準データ配置構造20はファイル読込設定部3を介して生成してもよいし、外部で作成したものを入力部2を介してファイルデータ配置情報データベース13に格納してもよい。あるいは、ファイル読込設定部3を介して生成したり、入力部2を介してファイルデータ配置情報データベース13に格納することなく、以下に説明するファイルデータ配置標準化部5に予め備えておいてもよい。
ファイルデータ配置標準化部5は、複数の異なる関与先から収集した関与先会計仕訳ファイル17を標準化処理するものである。関与先会計仕訳ファイル17の標準化処理とは、異なる複数の関与先会計仕訳ファイル17に含まれるデータ配置構造、すなわちデータ項目とデータ位置に関する情報を関与先会計仕訳ファイル17毎にファイルデータ配置情報データベース13から読み出して、関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データの個々のデータと、データ項目とデータ位置に関する情報を結びつけて、関与先会計仕訳ファイル17の羅列データのどの位置にどのようなデータが存在しているかを認識可能なファイルとして生成することを意味する。
なお、ファイルデータ配置標準化部5による関与先データ配置構造の読み出し方は、2通りある。
(1)関与先会計仕訳ファイル17の個々のデータを複数のデータ配置構造のデータ位置にそれぞれ当てはめ、その複数のデータ配置構造のデータ項目に入るべきデータの種類(数値、テキスト)であるか否かのチェックを行う方法。
(2)関与先会計仕訳ファイル17の個々のデータを複数のデータ配置構造のデータ位置に当てはめ、関与先会計仕訳ファイル17の特定のデータが複数のデータ配置構造の特定のデータ項目に当てはまっているかをチェックする方法。具体的には、関与先会計仕訳ファイル17の「伝票番号」に関するデータが、複数のデータ配置構造の「伝票番号」に関するデータ項目の位置に合致しているかチェックする方法、「伝票番号」の他、「日付」、「借方科目名」、「貸方科目名」等でもよい。
(3)関与先会計仕訳ファイル17に含まれる空白欄や空白行の位置をチェックする方法。これはソフトウェア等の仕様によって特徴的な空白欄や空白行ができることから、その位置を把握できれば関与先会計仕訳ファイル17を作成したソフトウェアが特定できることによるものである。
(4)関与先会計仕訳ファイル17に含まれるデータの周期性をチェックする方法。これは関与先会計仕訳ファイル17が、日々の伝票に関する仕訳をソフトウェアに入力して作成しているものであることから、「日付」、「伝票番号」、「借方科目名」、「貸方科目名」等のデータ項目が周期的に配置されることになるが、そのデータ項目数が異なったり、データ項目の配置が異なったりすることで、その周期性がソフトウェア毎に特徴的となっている。従って、その周期性を把握できれば関与先会計仕訳ファイル17を作成したソフトウェアが特定でき、その関与先データ配置構造が特定できる。
(5)現在のソフトウェアでは関与先会計仕訳ファイル17にそれが作成されたソフトウェアを特定する情報(IDやコード、文字、記号等の識別子)が含まれていないが、これが含まれる場合には、その情報を読み出すことでソフトウェアが特定でき、その関与先データ配置構造が特定できる。
また、このファイルデータ配置標準化部5では、関与先会計仕訳ファイル17に含まれるデータ配置構造を、ファイルデータ配置情報データベース13から読み出して、関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データの個々のデータ項目とデータ位置に関する情報を結びつけると同時に、ファイルデータ配置情報データベース13から読み出される標準データ配置構造20に従って、関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データを並び替えてもよい。並び替えることで、この後に説明する科目突合処理部6を用いた科目突合処理以降の処理や検索を画一化することができ、処理や検索時間の短縮化や処理の精度を向上させることが可能である。(特に請求項2に記載の発明に対応)
なお、この標準データ配置構造20については、本願明細書では、ファイルデータ配置情報データベース13に格納されており、これをファイルデータ配置標準化部5によって読み出すように構成しているが、前述のとおり、ファイルデータ配置情報データベース13から読み出す以外に、本会計仕訳ファイルデータ標準化システム1を用いて処理する際に、ファイル読込設定部3を介して生成させて用いてもよい。ただ、最も効率的なのは、予めファイルデータ配置標準化部5自身に備えておく方法である。いずれも関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データを並び替えることが可能である。
科目突合処理部6はファイルデータ配置標準化部5によって標準化処理された関与先標準化ファイル18に対して、科目突合処理を行うものである。この処理の具体的な内容を説明する前にまず、特許文献1や2においても課題として指摘されている状況について説明する。
小規模法人や個人事業主が会計データ入力を行う場合には、会計ソフトウェアを用いることが多く、その際には借方科目名と貸方科目名を記入しながら、それぞれの金額を記入するいわゆる複式簿記を採用しながらの仕訳処理を行うことが多い。しかしながら、専門的な会計・税務知識のないこれらの小規模法人や個人事業主は、それぞれの業務内容に沿った借方科目名や貸方科目名を追加したり、元々デファクトとしてソフトウェアに用いられている借方科目名や貸方科目名を変更したりすることが多く、ソフトウェアもそれを許容する作りになっているため、会計仕訳ファイルを用いて行う、その後の税務処理や損益計算書や貸借対照表あるいはキャッシュフローステートメント等の財務諸表の作成や監査等を行う会計処理では、それぞれの勘定科目(借方科目及び貸方科目)が正しく用いられているのか誤りを含んでいるのか、あるいは誤りでなくとも財務諸表作成の根拠となるべき勘定科目との整合性を把握する必要があり、その処理、作業が労力と時間を要していたのである。
そこで、本願では、これを改善して複数の異なる関与先に対して共通の税務・会計処理を可能としてサービスの均質化を図ると共にサービスの精度の向上を図るようにしたのである。
本実施の形態に係る会計仕訳ファイルデータ標準化システム1で、複数の異なる関与先から提出される関与先会計仕訳ファイル17を標準化した関与先標準化ファイル18とすることは極めて重要な意味を持ち、さらに、この関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名を、例えば、財務諸表作成の根拠となるべき勘定科目名を標準科目名として、これに合せなくとも、突合させていわゆる紐付き状態とすることで、その後の税務処理や監査等の会計処理が極めて容易となり、精度を高めることが可能なのである。本願ではこの突合処理も標準化処理の一部として捉えるものである。
標準科目名とは、予め所望に設定される科目名であり、上述のように財務諸表作成の根拠となるべき勘定科目名や最も通例用いられているような科目名をこの標準科目名として設定しておき、さらに、これを標準科目IDと対応させておくことで、税務処理や監査等の会計処理を統一的に容易に演算処理できる。
まず、科目突合処理部6の関与先科目検索部7が、標準化ファイルデータベース12から関与先標準化ファイル18を読み出す。そして、この関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名や貸方科目名を抽出して、これらをキーとして、関与先科目情報データベース15に格納されている紐付科目データ22を読み出して検索して、検索によって検出された場合には、そのまま次の科目を検索する。この作業を関与先標準化ファイル18に含まれている借方科目名及び貸方科目名について実行するのである。
もし、この関与先科目検索部7で検索時に検出されない借方科目名又は貸方科目名があった場合には、後述するように標準科目検索部8が次の検索を実行することになる。
図8において、通番は個々の紐付科目の通番であり、IDはそれぞれの関与先の借方科目名及び貸方科目名に付与されたIDであり、それをそのまま関与先の紐付科目のIDとしているものである。また、IDの右隣には、関与先の借方科目名又は貸方科目名に対応した標準科目IDが紐付けられている。また、この紐付科目の科目コードと科目名は関与先の独自の科目コードと科目名であり、関与先毎あるいは関与先のソフトウェア等の仕様によって基本的には異なるものである。
なお、本願では、先にIDの概念について述べたが、更に、このIDとコードを便宜上区別している。IDは本願システムあるいはプログラムにおいて固有に用いられ、その生成は乱数発生装置やその機能等によって生成される30桁以上のものである一方、コードは関与先のソフトウェアの仕様等、関与先の都合によって定められたり、本願システムやプログラムでも使用される識別子である。従って、前述の通り関与先の借方科目名及び/又は貸方科目名とそれらに付与されている科目コードは同一視可能であり、借方科目名及び/又は貸方科目名の概念に含めることもできるのである。
また、本実施の形態においては、関与先の借方科目名及び/又は貸方科目名に対して標準科目IDが結びつけられている状態を紐付きと呼び、そのような科目を紐付科目と呼んでいるが、その後の演算処理ができればよいので、IDを用いなくとも標準科目名(テキスト)を用いて演算処理が可能であれば、標準科目名を用いた紐付き状態も可能である。後述の突合済科目データ23や抽出科目に対する紐付処理においても同様である。逆に、関与先の借方科目名及び/又は貸方科目名についても付与されたIDではなく、それぞれの借方科目名及び/又は貸方科目名に標準科目IDを紐付けてもよい。
関与先科目情報データベース15と関与先科目検索部7を備える科目突合処理部6によれば、データ項目に含まれる勘定科目名(借方科目名及び/又は貸方科目名)を標準化させることができ、勘定科目名を含めて標準化させることができるので、その後の税務・会計処理を統一させることが可能であり、共通の処理を施すことが可能である。
従って、複数の異なる関与先からの会計仕訳ファイルを用いて、均質で精度の高い税務・会計処理に係るサービスを提供できる。
関与先科目検索部7が紐付科目データ22を検索しても検出できなかった場合には、検索の指令を標準科目検索部8に対して送信して、これを受信して標準科目検索部8が突合済科目情報データベース16の検索を開始するなどのロジックを組んでおくとよいことは言うまでもない。
図9の下方側の表において、通番は個々の突合済科目データ23の通番であり、すべての紐付科目の集合となっている。所属グループ区分は、科目の属性について付された区分であり、例えば貸借対照表や損益計算書等で用いられる属性に基づく区分である。また、所属グループIDは、その所属グループ区分に対して付与されるIDである。さらに、図9の下側の表に示される通り、標準科目IDが共通しながら(図9の上側表と下側表間において矢印で結ばれる破線の部分)、異なる科目コードと科目名が表示されているが、これは関与先によって異なる科目名を付しながら、それらの科目名は図9の上側の表で示される標準科目データ21の「標準科目コード 6201」の「標準科目名 消耗品費」が対応していることが理解できる。なお、この図9上方側の表に示される標準科目データ21については後述する。
また、異なる科目コードと科目名は、それぞれの関与先で付与されている科目コードと科目名であり、関与先によって様々にカスタマイズされている実情も理解できる。
標準科目IDは、それぞれ科目コードと科目名に結び付けられており、それらの科目のそれぞれ紐付科目であることが示されている。この紐付科目の個々の科目コードと科目名は関与先の独自の科目コードと科目名であり、関与先毎あるいは関与先のソフトウェア等の仕様によって基本的には異なるものである。
このように突合済科目情報データベース16の突合済科目データ23を検索することができれば、標準科目検索部8は関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、その突合済科目データ23において紐付けられている標準科目IDを紐付けて、その関与先の関与先科目情報データベース15に紐付科目データ22として読み出し可能に格納する。あるいは、標準科目検索部8は突合済科目データ23に新たに紐付けられた紐付科目を加えて、突合済科目情報データベース16に格納してもよいし、両方のデータベースに格納してもよい。
但し、突合済科目データ23に加えて突合済科目情報データベース16にのみ格納する場合には、再度同じ借方科目名又は貸方科目名が関与先会計仕訳ファイルに含まれた場合であっても、関与先科目情報データベース15に含まれないため、再び突合済科目情報データベース16を検索することになるため、多少非効率的ではある。
このようにして、科目突合処理部6は関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して標準科目IDを紐付けるのである。
なお、科目突合処理部6を備えている場合には、この科目突合処理部6での紐付けを終了してから、ファイルデータ配置標準化部5は関与先標準化ファイル18を標準化ファイルデータベース12に格納するとよい。関与先標準化ファイル18の存在によって、紐付処理が完了していることが認識できるためである。
このように関与先科目情報データベース15に加えて突合済科目情報データベース16を備え、科目突合処理部6に関与先科目検索部7に加えて標準科目検索部8を備えることによれば、関与先科目検索部7が検索できない場合には、標準科目検索部8が突合済科目情報データベース16から突合済科目を検索して借方科目名や貸方科目名を標準化することができる。
抽出科目紐付処理部9は、標準科目情報データベース14に予め所望に登録された標準科目IDから所望に選択された標準科目IDの入力を入力部2から受けて、その標準科目IDを,突合済科目データ23で検索できなかった借方科目名及び/又は貸方科目名に紐付けて、突合済科目として突合済科目情報データベース16に読み出し可能に格納する。あるいは、抽出科目紐付処理部9は、入力部2から入力される所望の新規な標準科目IDを受けて、その標準科目IDを,突合済科目データ23で検索できなかった借方科目名及び/又は貸方科目名に紐付けて、突合済科目として突合済科目情報データベース16に読み出し可能に格納してもよい。また、突合済科目として突合済科目情報データベース16に格納するのに代えて、あるいは加えて紐付科目として当該関与先に関する関与先科目情報データベース15に読み出し可能に格納してもよい。但し、突合済科目として突合済科目情報データベース16に格納しない場合は、他の関与先で同様に新規な借方科目名又は貸方科目名が発生すると、突合済科目情報データベース16を検索しても検出できないため、再度抽出科目紐付処理部9で処理しなければならず非効率であるので、他の関与先も標準科目IDを紐付可能なように突合済科目として突合済科目情報データベース16に格納しておくことが望ましい。
なお、いずれも抽出科目紐付処理部9では、標準科目検索部8が検索できなかった借方科目名及び/又は貸方科目名に対しては、いずれの標準科目ID(標準科目)を対応させるのかについては、自動で判断できないので、予め所望に標準科目IDを登録している標準科目情報データベース14から、候補となる標準科目データ21に関する情報を出力部10に表示しながら、いずれの標準科目ID(標準科目)が選択されるべきかという判断に関する入力を、入力部2を介して利用者から受ける必要がある。あるいは、標準科目情報データベース14に登録されていない新規な標準科目IDを対応させる場合には、出力部10に表示された入力画面で新規な標準科目IDを追加することを選択する等して、入力部2から新規な標準科目ID(標準科目)自身の入力を受ける必要があってもよい。
図10においては、未学習科目として、科目コード6117の「リース料」と科目コード6225の「備品・消耗品費」が表示されている。これは、標準科目検索部8が、突合済科目情報データベース16の突合済科目データ23で検索できなかった科目に関する情報を抽出科目紐付処理部9に対して送信して、出力部10で表示しているものである。利用者はこの表示に示される科目のうち、「備品・消耗品費」を選択しており(右最上欄)、これに対して、標準科目情報データベース14から標準科目データ21を読み出しており、これを右欄に表示するようにしている。そして、この標準科目データ21に含まれる標準科目を絞り込むために、所属グループ欄から「販管費」を選択し、科目グループ欄から「その他販管費」を選択して、絞り込まれた標準科目として所望に設定された「消耗品費」(標準科目コード6201)を選択して、これを科目コード6225の備品・消耗品費に対応する標準科目として設定しているのである。なお、この図10において、標準科目IDは示されていないが、標準科目コードとして6201が示されている。
また、標準科目情報データベース14の標準科目データ21にはない新規な標準科目を追加する場合には、図10に示される右欄の中央付近の「新しい標準科目を追加する」の欄にマークすることで、新規な標準科目ID及び標準科目(標準科目コード)を入力することができる。
そして、この場合も科目突合処理部6は、関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、突合済科目データ23上で標準科目IDを紐付けるのである。
なお、標準科目検索部8が突合済科目データ23を検索しても検出できなかった場合には、検索の指令を抽出科目紐付処理部9に対して送信して、これを受信して抽出科目紐付処理部9が標準科目情報データベース14の標準科目データ21を読み出したり、図10に示す入力画面を出力部10に示すなどのロジックを組んでおくとよいことは言うまでもない
以上のことから、この抽出科目紐付処理部9を備えることで、科目突合処理部6は、いずれの関与先でも記載されたことのなかった借方科目名や貸方科目名に所望に予め定めた標準科目の標準科目IDを紐付けて突合済科目として処理することができ、結局、関与先標準化ファイル18に初出の借方科目名や貸方科目名を標準化させることができる。すなわち、どのような借方科目名や貸方科目名であっても標準科目IDを付すことができ、標準化させることができるのである。
このように関与先科目情報データベース15、突合済科目情報データベース16に加え、標準科目情報データベース14を備え、科目突合処理部6に関与先科目検索部7、標準科目検索部8に加え、抽出科目紐付処理部9を備えることによれば、関与先科目検索部7や標準科目検索部8が検索できない場合に、抽出科目紐付処理部9が標準科目情報データベース14からあるいは新規に標準科目を選択して借方科目名や貸方科目名を標準化することができる。このような3段構えで借方科目名や貸方科目名を標準化することで、標準化のプロセスで個々の関与先の会計仕訳ファイルに関する管理が極めて容易になると同時に、更なる労力の節減と時間の短縮を可能としているのである。
なお、抽出科目紐付処理部9を備えた科目突合処理部6を有する場合も、先に説明した理由から、この科目突合処理部6での紐付けを終了した後に、ファイルデータ配置標準化部5は関与先標準化ファイル18を標準化ファイルデータベース12に格納するとよい。
この標準科目データ21のデータ構造の一例を図9を参照しながら説明する。先にも述べたが、図9の上方側の表に示されるのが標準科目データ21のデータ構造の一例である。通番は個々の標準科目データ21のものであり、科目コードや科目名もそれぞれ標準科目コードと標準科目名として記載されている。図9の下方側に示される突合済科目データ23と同様に所属グループ区分や所属グループIDも付されている。もちろん、標準科目IDが付与されている。
本実施の形態に係る会計仕訳ファイルデータ標準化システムにおけるデータ処理の流れを示すフローチャートである。なお、本願発明の会計仕訳ファイルデータ標準化プログラムに対しては、その実行工程を表すものでもあり、この図を参照しながら会計仕訳ファイルデータ標準化システム1におけるデータ処理の流れを説明することは会計仕訳ファイルデータ標準化プログラムの実施の形態について説明することと同義である。
図2において、ステップS0としてファイル読込設定工程があるが、ここではまず、ステップS1について説明する。図2において、工程に関する記載を覆うようにして破線で示しているのは図1に示される会計仕訳ファイルデータ標準化システム1の構成要素であり、符号を同一としている。
ステップS1はファイルデータ配置標準化部5によって実行されるファイル読込工程である。ファイルデータ配置標準化部5は、ファイルデータベース11から関与先会計仕訳ファイル17を読み込む。関与先会計仕訳ファイル17は、図3に示されるようなデータ構造をしている。
本実施の形態においては、関与先会計仕訳ファイル17を読み出し可能に格納するファイルデータベース11を設けているが、特にファイルデータベース11を設けなくとも、入力部2から入力される関与先会計仕訳ファイル17をそのまま読み込むようにしてもよい。
関与先会計仕訳ファイル17には、通常、伝票日付、伝票番号、摘要、借方・貸方課税区分、借方・貸方科目コード、借方・貸方科目名、借方・貸方金額のそれぞれが入力されている。しかしながら、本図3では生の関与先会計仕訳ファイル17の構造を示しているのでいずれの欄がいずれを意味しているのかは明示されていない。
日々の伝票処理では複式簿記を考慮して借方と貸方の両方について、その関与先が使用するソフトウェア等の仕様によって前述の通り科目コードが付されており、関与先会計仕訳ファイル17の作成者は1回の伝票処理毎に、摘要を記入あるいは選択しながら、その借方科目名と貸方科目名を入力したり、それらの科目コードを選択して入力して、同一の借方金額と貸方金額を入力するのである。
このようなデータ構造を備えた関与先会計仕訳ファイル17はファイルデータ配置標準化部5によって読み込まれ、標準化処理が開始されるのである。また、ファイルデータ配置標準化部5は、この関与先会計仕訳ファイル17が作成された仕様に基づいて、ファイルデータ配置情報データベース13からその関与先会計仕訳ファイル17に合致したデータ配置構造aを読み込むが、そのタイミングは関与先会計仕訳ファイル17を読み込む前でも後でも構わないが、具体的標準化処理を実行する前に読み込む必要がある。
このファイルデータ配置情報データベース13に読み出し可能に格納されているデータ配置構造a〜nは、本会計仕訳ファイルデータ標準化システム1を使用する前に入力部2から直接格納してもよいが、ステップS0に示される通り、ファイル読込設定部3を用いて生成させて格納するとよい。ファイル読込設定部3は、複数の異なるソフトウェア等の仕様毎に異なるデータ配置構造a〜nを生成できるように、図4で示されるような入力画面を出力部10から表示可能に備えている。
図4に示されるように、仕訳ファイル名を入力し、データ開始行(図中では1行目)に関する情報、伝票日付の位置(図中では1列目)、伝票番号の位置(図中では2列目)、摘要(図中では3列目)の位置に関する情報、読込レコード指定(図中では、1列目の値が日計の場合以外読み込む)に関する情報等が設定登録することができる。
このような入力画面を出力部10から表示することで、本システムの利用者は容易に入力部2からデータ配置構造に関する情報を入力することができる。なお、これらのデータ配置構造に関して入力される情報は、予め複数の異なるソフトウェアで作成された関与先会計仕訳ファイル17毎に解析して入手するとよい。
また、図4に示される入力画面は共通項目に関するデータ配置構造について入力する場合であり、この他にも図中に示される通り、借方科目、貸方科目毎に入力する内容や任意項目として任意に設定して登録する内容を入力することも可能である。
また、このファイル読込設定部3によって生成されてファイルデータ配置情報データベース13に登録される関与先会計仕訳ファイル17に関するデータ配置構造の仕様規格の一例を図5に示す。一覧表で示される中で最左欄に示される項目名が、先の図4で示される入力画面で聞かれてくる項目名となっている。具体的には、仕訳ファイル名、データ開始行、伝票日付、伝票番号、摘要等である。先に述べた通り、共通項目の他、借方科目、貸方科目に関するデータ位置に関する仕様規格も含まれており、任意項目についても仕様規格が含まれている。さらに、図4を参照して説明した日計に関する読込レコード不要等のように、読込レコード指定に関する仕様規格も含まれている。
このように予め異なるソフトウェア会社毎にデータ配置構造a〜nを把握しておき、これをファイルデータ配置情報データベース13に格納しておくことで、そのソフトウェア会社のソフトウェアを用いた関与先会計仕訳ファイル17について標準化する際に、そのソフトウェアに合致したデータ配置構造を読み出し、これを用いてその関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データが意味するデータ項目とそれぞれのデータ位置が把握可能なのである。
先程説明した通り、ファイルデータ配置標準化部5が、読み出した関与先会計仕訳ファイル17に合致するデータ配置構造aをファイルデータ配置情報データベース13から読み出し、このデータ配置構造aの情報に従って、関与先会計仕訳ファイル17を検索する。ファイルデータベース11から読み出した関与先会計仕訳ファイル17の例を図3に示し、図6にはファイルデータ配置標準化部5によって生成される関与先標準化ファイル18の例を示す。また、この関与先会計仕訳ファイル17を作成したソフトウェアに関するデータ配置構造aに関する情報について図4を参照しながら示す。
図6では、関与先会計仕訳ファイル17のデータ配置構造を明確化するために、行番号と列番号を付している。0行目には、それぞれの列に示されるデータ項目(伝票日付、伝票番号、摘要等)が明示されているが、これはステップS3で生成される関与先標準化ファイル18において、行番号と列番号に関する情報を付加してデータ項目とデータ位置を認識可能に結合された状態を模式的に示すものである。
この関与先データ配置構造の検索は、具体的には、ステップS2−1の読込開始行検索工程、ステップS2−2の読込列検索工程、ステップS2−3の読込不要行検索工程の3工程がある。
そして、ファイルデータ配置標準化部5は、この関与先標準化ファイル18を標準化ファイルデータベース12に読み出し可能に格納する。
さらに、このステップS3では、ファイルデータ配置情報データベース13から標準データ配置構造20を読み出して、関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データの個々のデータと、標準データ配置構造20(データ項目とデータ位置に関する情報)を結びつけて、標準データ配置構造20に即すように関与先会計仕訳ファイル17の羅列データを並べ替えて認識可能な関与先標準化ファイル18として生成してもよい。ここでも、標準データ配置構造20はファイルデータ配置情報データベース13から読み出すことに限定するのではなく、ファイル読込設定部3を介して生成されたものを読み出したり、ファイルデータ配置標準化部5に備えられたものを読み出してもよい。
羅列データを並べ替えた関与先標準化ファイル18としての具体例としては、図7に示されるようなデータ配置構造である。これはファイルデータ配置標準化部5が標準データ配置構造20に沿って関与先会計仕訳ファイル17に含まれる羅列データを並べ替えた状態を模式したものである。図6に示された関与先会計仕訳ファイル17のデータ配置構造と比較すると、行番号と列番号に関する情報が付加されていること、及び一行目にデータ項目が配置されていることは共通するものの、その列における配置は、図6において3列目に配置される「摘要」が図7では13列目に配置され、同様に、「伝票日付」が1列目から3列目、「伝票番号」が2列目から4列目、「借方金額」が7列目から8列目、「貸方金額」が11列目から12列目等、移動されている。
また、2行以降は、伝票番号に沿って伝票日付の早いものから、伝票毎に羅列されている。
なお、5列にある借方科目コード、9列目にある貸方科目コードはそれぞれ関与先会計仕訳ファイル17を作成したソフトウェアに採用されているコードをそのまま採用するものであり、図6から図7に並べ替えられた際にも変更されるものではない。また、図7の1列目の「ID」と2列目の「Header ID」は本システム又はシステム運用者によって適宜付されたIDであり、「ID」は仕訳伝票単位で付されている。
7列目の借方課税区分、11列目の貸方課税区分は、それぞれ消費税の申告上必要となる課税区分であり、具体的には、消費税の課税、非課税、不課税等があり、これらを分類するための区分である。
このように標準データ配置構造20に沿ってデータの並び替えを実施することで、関与先会計仕訳ファイル17のデータ配置構造a〜nに関わらず、データ配置構造が統一されることから、その後のデータ処理においては、共通の配置のデータを扱えばよく、画一化された処理による処理効率が向上すると共に、誤処理の頻度も低減される可能性が高く、データ処理の精度を向上させることができる。また、利用者は画一化されたデータ構造を扱う方が、データ内容のチェックが必要な際には容易であり、取り扱い性も容易となる。
もちろん、標準データ配置構造20に即してデータを並べ替えなくとも、データ項目とデータ位置の結びつきを把握できていれば、ステップS4以降の処理も可能である。
なお、関与先科目検索部7は標準化ファイルデータベース12から関与先標準化ファイル18を読み出してもよいが、ファイルデータ配置標準化部5からそのまま関与先標準化ファイル18を受信してステップS4を実行してもよい。
ステップS5は、関与先科目検索工程であり、これも関与先科目検索部7によってステップS4に引き続いて実行される工程である。
ステップS4で抽出された借方科目名と貸方科目名が関与先科目情報データベース15に格納されている紐付科目データ22として既に登録されているかを検索するものである。
紐付科目とは、既に関与先科目情報データベース15について説明した際にも図8を参照しながら説明したが、関与先標準化ファイル18において、既に標準科目データ21に含まれる標準科目の標準科目IDとの紐付けが完了している関与先標準化ファイル18内の科目をいう。関与先標準化ファイル18は、関与先会計仕訳ファイル17をベースに作成されるが、この関与先会計仕訳ファイル17は日々作成される仕訳伝票を基に作成されるものであるため、通常、毎日生成あるいは更新されるものである。
従って、新しい関与先の関与先会計仕訳ファイル17が読み込まれた際には、紐付科目はなく、すべての科目について標準科目との間で紐付処理されて、紐付科目が生成されることになるが、年月が経つに従って、既に紐付処理されている科目が増えて、紐付処理が少なくなっていくことになる。
これらのステップS4とステップS5は関与先科目検索部7によって実行される工程であり、これらの工程を実行することによる効果は既に関与先科目検索部7と関与先科目情報データベース15を備えることによる効果として説明した通りである。
関与先科目検索部7が関与先科目情報データベース15に格納されている紐付科目データ22を検索しても借方科目名及び/又は貸方科目名が検出できなかった場合には、次のステップS6に進む。
突合済科目とは、既に説明した通り、全ての関与先から集められた借方科目名及び/又は貸方科目名に対して標準科目IDが紐付けてある紐付科目の集合をいい、そのデータ構造の模式図は図9の下方に示されるが、これを突合済科目情報データベース16から読み出して検索する。
検索してその借方科目名又は貸方科目名が検出されれば、その突合済科目データ23において対応させられている標準科目IDを紐付けて、その関与先の関与先科目情報データベース15に紐付科目データ22として読み出し可能に格納する。あるいは突合済科目情報データベース16に突合済科目データ23として読み出し可能に格納する。
このようにして、先に説明した通り、科目突合処理部6は関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して標準科目IDを紐付けるのである。
その後、次の検出されなかった科目を検索する。
このステップS6は標準科目検索部8によって実行される工程であり、この工程を実行することによる効果は既に標準科目検索部8と突合済科目情報データベース16を備えることによる効果として説明した通りである。
一方、その借方科目名又は貸方科目名が検出されない場合には、次のステップS7に進む。
なお、抽出科目紐付処理部9における標準科目IDの入力については、図10を参照しながら、既に抽出科目紐付処理部9について説明した際に述べた通りである。また、この標準科目データ21のデータ構造の一例は、既に述べた通り図9の上方側の表に示される通りである。
このステップS7は抽出科目紐付処理部9によって実行される工程であり、この工程を実行することによる効果は既に抽出科目紐付処理部9と標準科目情報データベース14を備えることによる効果として説明した通りである。
以上のようなステップS1からステップS7まで実行することで、関与先標準化ファイル18に含まれる勘定科目名(借方科目名及び貸方科目名)はすべて標準科目IDに紐付けされたことになる。具体的には、紐付科目データ22が関与先毎に関与先科目情報データベース15に読み出し可能に格納され、しかも、当該関与先では初めての科目名であって、紐付科目データ22に含まれていないような借方科目名あるいは貸方科目名が発見された場合で他の関与先で既に突合済科目データ23として含まれているような場合には、当該関与先の科目に対してこの突合済科目の標準科目IDを付して紐付科目として関与先科目情報データベース15に読み出し可能に格納される。
このようにして、科目突合処理部6は、関与先標準化ファイル18に含まれる借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、標準科目データ21上あるいは突合済科目データ23上で標準科目IDを紐付けるのである。
なお、ステップS4からステップS7については、科目突合処理部6によって実行されるが、これらの工程については選択的に実行可能なようにしておいてもよい。その場合には、前述の通りステップS4の実行時にファイルデータ配置標準化部5から関与先標準化ファイル18を直接受けて検索や処理を実行するとよい。また、それぞれの工程後に関与先標準化ファイル18を標準化ファイルデータベース12に格納するとよい。
図11は、本発明の参考例に係る監査システムの概念図である。
図11において、監査システム1aは、実施の形態として説明した会計仕訳ファイルデータ標準化システム1の構成を備えつつ、演算部4に巡回監査処理部30及び決算監査処理部35が加わり、データベース群として、科目合計残高データベース40、残高チェックデータベース43、会計仕訳情報データベース46、科目チェックデータベース50及び決算監査データベース53が追加された構成となっている。会計仕訳ファイルデータ標準化システム1に含まれる構成については既に実施の形態の説明時に述べているので、本参考例ではその説明を省略する。
巡回監査処理部30は、科目合計残高計算部31、科目残高チェック実行部32、会計仕訳集計部33及び科目チェック実行部34から構成されている。実施の形態に係るファイルデータ配置標準化部5によって生成された関与先標準化ファイル18を用いて、伝票仕訳について勘定科目(借方科目及び貸方科目)毎に合計残高や仕訳内容自体に誤りがないかチェックするものである。
図14に勘定科目毎に計算された科目合計残高を含む科目月次合計残高データ41の例を示す。左列から年、月、ID、科目コード科目名、借方金額、貸方金額、合計残高金額が示されている。上の行から現金、普通預金、売掛金等勘定科目毎に月次で合計残高が計算されている。
ここで、ID及び科目コード科目名は関与先に固有のものであり、標準科目や標準科目IDが含まれていない。これは、この科目合計残高については関与先のIDあるいは科目コード科目名を用いて演算が可能であるためである。
すなわち、科目合計残高計算部31で科目合計残高を計算するまでは、紐付科目データ22や突合済科目データ23を検索する必要がない。そこで、本参考例においては、科目合計残高計算部31を巡回監査処理部30に含めたが、この機能を実施の形態に係る会計仕訳ファイルデータ標準化システム1のファイルデータ配置標準化部5に設けておいてもよい。その場合には、関与先標準化ファイル18に科目月次合計残高データ41が含まれていることになる。また、ファイルデータ配置標準化部5に科目合計残高計算部31の機能を持たせる場合には、科目合計残高計算部31はファイルデータ配置標準化部5に相当することになる。
ここで、図15及び図16を参照しながら、残高チェック項目について説明する。図15は、残高チェック項目データ44を生成する際のデータ入力画面(インターフェース画面)の一例を示す概念図である。図16は、残高チェック項目データ44に含まれる項目の内容を具体的に示す一覧表である。
残高チェック項目データ44は科目残高チェック実行部32によって生成されて残高チェックデータベース43に読み出し可能に格納されてもよいし、巡回監査処理部30か演算部4の内部において専用の生成部として備えられてもよい。
図15において例として示されるのは科目コード6215の「リース料」に関して、前月の科目合計残高と当月の科目合計残高を照合して、借方金額が異なる場合に、検出時メッセージである「リース料の変動がありました。」を出力部10を介して表示するようにしている。また、検出時メッセージとして「契約書や支払明細を用意してください。」を出力部10を介して表示することで、本システムの利用者のその後に取るべきアクションを提示することで監査業務の円滑化を促すことが可能となっている。
従って、複数の異なる関与先の異なる仕様による勘定科目名についての科目合計残高であっても、すべて共通の残高チェック項目を適用することが可能であり、効率的かつ均質で高精度な月次の科目残高チェックを実行することができるのである。
なお、金額条件としては借方金額となっているのは、借方金額が借方科目のリース料に対するリース契約元からの請求金額で、貸方金額は現金等関与先が支払う金額であるため、この借方金額が変動しているのは、検出時のメッセージに示される通りリース料の変動等があったことに他ならないからである。
図15に示されるのは一例であるが、この他にも残高チェック項目データ44として格納される具体的な項目が図16に記載されている。
この中で、「チェックID」は、残高チェック項目毎に一意に付与されるIDであり残高チェック項目と同一視できるが、科目残高チェック実行部32ではこのチェックIDを用いて残高チェックを実行する。また、「チェック項目名称」とは、説明の欄に記載されるとおり、条件に該当するものが存在した場合にユーザーに通知するタイトル名称である。「検出時メッセージ」も、下欄で説明するような文章が格納されている。
なお、下方の欄には、具体例を記載している。残高がマイナスとなっている科目の有無に対して残高チェックの項目を設けている。金額条件区分としては、「残高(合計)金額」について、「−1」円「以下」のものを検出するようになっている。その際の検出時メッセージも「残高がマイナスになっている科目があります」として、利用者に注意を促すようになっている。また、本図中の「チェック対象科目ID」の説明に「図9」とあるのは、本願の図9を意味している。
科目残高チェック実行部32は、この残高チェック項目データ44を残高チェックデータベース43から読み出し、さらに科目合計残高計算部31で計算された科目月次合計残高データ41を科目合計残高データベース40から読み出して、あるいは直接科目合計残高計算部31から受信して、残高チェック項目データ44に対して、借方科目及び貸方科目毎の科目合計残高を照合する。
その際の処理をもう少し詳細に説明すると、科目残高チェック実行部32が残高チェック項目を関与先の借方科目及び貸方科目毎の合計残高に照合させる場合には、関与先科目情報データベース15にアクセスして紐付科目データ22を検索することで、関与先の借方科目名及び貸方科目名に対応する科目IDから紐付科目の標準科目IDを検出し、その後、この標準科目IDに対応する標準科目の残高チェック項目を検索して、先の関与先の科目合計残高に対応させるのである。すなわち、関与先の借方科目名及び貸方科目名に対応する科目ID毎に、紐付科目データ22から標準科目ID、標準科目IDから残高チェック項目を検索して、関与先の借方科目名及び貸方科目名毎の科目合計残高を照合するのである。
このようにすることで、複数の関与先の勘定科目毎に共通の残高チェック項目を対応させることができる。また、税務、会計上1つの勘定科目でまとめられるものを関与先によっては専門知識がないために分けて仕訳しているような場合であっても、共通の標準科目に関する残高チェック項目を用いて同時にチェックを実行できるのでこの点でも効率的で漏れのない監査を実施することが可能である。
科目残高チェック実行部32は、照合して該当する残高チェック項目のチェック項目IDと関与先の借方科目名又は貸方科目名に対応する関与先科目IDを少なくとも抽出し、残高チェック結果データ45として残高チェックデータベース43に読み出し可能に格納する。
本参考例においては、チェック項目IDと関与先科目IDの両方で示されていることから、チェック項目の具体的内容もいずれの勘定科目に対するチェックなのかも直接このデータから把握できないが、科目残高チェック実行部32は、紐付科目データ22や突合済科目データ23、更には残高チェック項目データ44を検索することで、チェック項目の内容や勘定科目についての内容を表示することが可能である。従って、ここではチェック項目IDと残高チェック項目、関与先科目IDと関与先の借方科目名及び貸方科目名とは同一視できる。
この会計仕訳集計部33における機能も科目合計残高計算部31と同様に、会計仕訳ファイルデータ標準化システム1のファイルデータ配置標準化部5に設けておいてもよく、その場合には関与先標準化ファイル18に月次仕訳情報データ47が含まれることになる。
また、ファイルデータ配置標準化部5が会計仕訳集計部33の機能を備える場合には、関与先標準化ファイル18に月次仕訳情報データ47が含まれるので、科目チェック実行部34は、ファイルデータ配置標準化部5から月次仕訳情報データ47を読み出すか、あるいは標準化ファイルデータベース12に格納される月次仕訳情報データ47を読み出すことになる。この場合、会計仕訳集計部33はファイルデータ配置標準化部5に相当することになる。
ここで、図18及び図19を参照しながら、科目チェック項目について説明する。図18は、科目チェック項目データ51を生成する際のデータ入力画面(インターフェース画面)の一例を示す概念図である。図19は、科目チェック項目データに含まれる項目の内容を具体的に示す一覧表である
科目チェック項目データ51は科目チェック実行部34によって生成されて科目チェックデータベース50に読み出し可能に格納されてもよいし、巡回監査処理部30か演算部4の内部において専用の生成部として備えられてもよい。
図18において例として示されるのはチェック項目名称を「報酬の支払確認」とし、科目コード6040の「管理諸費」、科目コード6041の「雑費」、科目コード6042の「支払報酬料」及び科目コード6049の「その他管理費」に関するものである。仕訳内容(摘要の記載)に関するキーワードとして「報酬」、「顧問」及び「士」が含まれるものを検索するように指定されている。このような科目チェック項目に対して、会計仕訳情報を照合して、これらのキーワードを仕訳内容に検出した場合には、検出時メッセージである「報酬の支払いがありました。」を出力部10を介して表示するようにしている。また、検出時メッセージとして「支払調書、請求書を用意してください。」を出力部10を介して表示することで、本システムの利用者のその後に取るべきアクションを提示することで監査業務の円滑化を促すことが可能となっている。なお、キーワードに「士」が含まれるのは、弁護士、税理士や弁理士などいわゆる士業を営む者に対して報酬を支払う機会があるためである。
また、残高チェック項目データ44における科目コード及び科目名と同様に、科目チェック項目データ51においても、例えば科目コード6040と科目名の管理諸費は、それぞれ標準科目コードと標準科目名である。すなわち、科目チェック項目も標準科目(コード)に対応するチェック項目である。そこで、この科目チェック項目を関与先の借方科目及び貸方科目毎の会計仕訳情報に照合させる場合には、科目チェック実行部34は科目残高チェック実行部32と同様に、関与先の借方科目及び貸方科目に対応する科目IDから紐付科目の標準科目IDを検出し、この標準科目IDに対応する標準科目の科目チェック項目を検索して、先の関与先の会計仕訳情報に対応させるのである。
従って、複数の異なる関与先の異なる仕様による勘定科目名についての会計仕訳情報であっても、すべて共通の科目チェック項目を適用することが可能であり、効率的かつ均質で高精度な月次の科目チェックを実行することができるのである。
図18に示されるのは一例であるが、この他にも科目チェック項目データ51として格納される具体的な項目は様々あり、図19に示す通り利用者によって所望に具体的に定めることが可能である。
この中で、「チェックID」は、科目チェック項目毎に一意に付与されるIDであり科目チェック項目と同一視できるが、科目チェック実行部34ではこのチェックIDを用いて科目チェックを実行する。また、「チェック項目名称」とは、図16の残高科目チェック項目と同様に、条件に該当するものが存在した場合にユーザーに通知するタイトル名称であり、「検出時メッセージ」も本図の下欄で説明するような文章として格納されている。
なお、下方の欄には、具体例を記載しているが、これは図18を参照して説明した報酬の支払確認のケースが示されている。また、本図の「チェック対象科目ID」の説明中に「図9」とあるのは、本願の図9を意味している。
科目チェック実行部34は、科目チェック項目データ51を科目チェックデータベース50から読み出し、さらに会計仕訳集計部33で集計された月次仕訳情報データ47を会計仕訳情報データベース46から読み出して、あるいは直接会計仕訳集計部33から受信して、科目チェック項目データ51に対して、仕訳単位(伝票毎)の仕訳情報を照合する。
従って、科目チェック実行部34が科目チェック項目を関与先の会計仕訳情報に照合させる場合には、関与先科目情報データベース15にアクセスして紐付科目データ22を検索することで、月次仕訳情報データ47に含まれる関与先の借方科目名及び貸方科目名に対応する科目IDから紐付科目の標準科目IDを検出し、その後、この標準科目IDに対応する標準科目に関する科目チェック項目が検索されて、月次の会計仕訳情報に照合させるのである。このようにすることで、複数の関与先の勘定科目毎に共通の科目チェック項目を対応させることができる。また、先の科目残高チェック時と同様に、税務、会計上1つの勘定科目でまとめられるものを関与先によっては専門知識がないために分けて仕訳しているような場合であっても、共通の標準科目に関する科目チェック項目を用いて同時にチェックを実行できるのでこの点でも効率的で漏れのない監査を実施することが可能である。
科目チェック実行部34は、照合して該当する科目チェック項目のチェック項目IDと会計仕訳情報を少なくとも抽出し、科目チェック結果データ52として科目チェックデータベース50に読み出し可能に格納する。
この科目チェック結果データ52のデータ構造において説明すると、「ID」及び「Header ID」は既に図7の説明時に述べた通りである。図19において、ID=1の会計仕訳情報におけるNGは、備考欄によれば、訪問時に関与先に確認を取ることになっているが、これはこの科目チェック結果を科目チェック実行部34が出力部10を介して利用者に示し、これに対して処理を利用者が入力部2を介して備考として入力したものが示されているものである。また、ID=132の会計仕訳情報におけるNGは、例えば現金で支払った寄付金に対する消費税の課税区分を修正するような場合の表示で、備考欄にその旨の記載がある。
この備考は、図17に示される残高チェック結果データ45と同様に、自由に利用者によって記入できるようになっているもので、科目チェック実行部34によって出力部10を介してデータを入力するように促す入力画面(図示せず)を出して適宜入力部2を介して利用者によって入力され、その後に科目チェック結果データ52として科目チェックデータベース50に格納されるものである。確認区分の欄も同様である。
この科目チェック実行部34においては、科目残高チェック実行部32と異なり、仕訳単位(伝票単位)で会計仕訳情報をチェックするが、そのチェック項目の内容は図19にも記載される通り、勘定科目(借方科目及び貸方科目)に対応するため、月次仕訳情報データ47に含まれる関与先毎の科目IDと科目チェック項目に含まれる標準科目毎に対応するチェック項目を標準科目IDで結び付ける必要があり、それによって前述のような優れた効果を発揮するのである。
本参考例においては、科目合計残高計算部36を決算監査処理部35に含めたが、科目合計残高計算部36に代えて巡回監査処理部30の科目合計残高計算部31を用いてもよい。また、この機能を実施の形態に係る会計仕訳ファイルデータ標準化システム1のファイルデータ配置標準化部5に設けておいてもよい。その場合には、関与先標準化ファイル18に科目決算合計残高データ42が含まれていることになる。また、ファイルデータ配置標準化部5に科目合計残高計算部36の機能を持たせる場合には、科目合計残高計算部36はファイルデータ配置標準化部5に相当することになる。
また、税務検証部37は、その科目決算合計残高データ42及び科目月次合計残高データ41を科目合計残高データベース40から読み出して、あるいは直接科目合計残高計算部36から受信すると共に、月次仕訳情報データ47を会計仕訳情報データベース46から読み出して、あるいは直接会計仕訳集計部33から受信して、決算監査に関する検証を実行する。
検証する項目については、決算監査データベース53から予め所望に定めた検証項目を検証項目データ54として、決算監査データベース53に読み出し可能に格納しておく。税務検証部37は、この検証項目データ54を読み出して、科目月次合計残高データ41、科目決算合計残高データ42及び月次仕訳情報データ47と照合し、該当する検証項目を少なくとも抽出し、これを検証結果データ55として、読み出し可能に決算監査データベース53に格納する。
このように構成される決算監査処理部35では、これまで巡回監査処理部30において実行された処理をベースに決算監査を実行するものであるが、既に、標準科目IDを用いて効率的で均質かつ高精度に監査業務が実行されているので、この決算監査業務でもその利益を受け継ぎ、決算監査を均質で高精度かつ高効率に実行することができる。
なお、決算監査では、個々の借方科目や貸方科目毎に検証するようなことが少ないため、この決算監査処理部35における処理では科目残高チェック実行部32や科目チェック実行部34で実行される処理のように、関与先の借方科目名及び貸方科目名の科目IDから紐付科目の標準科目IDを検出し、その後、その標準科目IDに対応する標準科目に関する検証項目を検索して、科目月次合計残高データ41、科目決算合計残高データ42及び月次仕訳情報データ47と照合するという説明は省略しているが、もちろん、検証項目として標準科目IDを介して共通な標準科目に関する検証項目があれば、同様な処理を実行することが望ましいことは言うまでもない。
ステップS8は、科目合計残高計算部31によって実行される科目合計残高計算工程である。この工程は、標準化ファイルデータベース12に格納された関与先標準化ファイル18を読み出して計算が実行され、科目月次合計残高データ41が生成されて科目合計残高データベース40に読み出し可能に格納される。その計算の内容については、既に図11を参照しながら説明した通りである。
また、この工程は、図2を参照しながら説明したステップS3のファイルデータ配置標準化工程において実行されていてもよい。この場合は、ファイルデータ配置標準化部5によって実行され、関与先標準化ファイル18に科目月次合計残高データ41が含まれることになるので、特に科目合計残高データベース40は設ける必要はなく、ステップS8は省略可能である。
既に述べたが、このステップS12における会計仕訳集計部33の機能もステップS8と同様に、ファイルデータ配置標準化部5に含めることが可能であり、その場合には関与先標準化ファイル18に月次仕訳情報データ47が含まれるので、特に会計仕訳情報データベース46を設ける必要はなく、ステップS12も省略可能である。
このような月次監査時に関するデータ処理の流れによる作用、効果については、既に図11等を用いて説明しているのでここでは省略する。
ステップS16は、科目合計残高計算部36によって実行される科目決算合計残高計算工程である。この工程は、科目合計残高データベース40に格納された科目月次合計残高データ41を読み出して計算が実行され、科目決算合計残高データ42が生成されて科目合計残高データベース40に読み出し可能に格納される。
このような決算監査時に関するデータ処理の流れによる作用、効果については、既に図11等を用いて説明しているのでここでは省略する。
なお、ステップS16〜20までの決算監査に関する工程も、ステップS8〜11とステップS12〜15の月次監査(巡回監査)に関する工程とは別個独立に実行することが可能であるので、決算用のデータがそろっているのであれば、必ずしも月次監査に関する工程を実行してから決算監査に関する工程を実行しなければならないということはない。
Claims (6)
- 複数の関与先からの会計仕訳ファイルを用いて関与先毎に共通の会計処理をするための関与先標準化ファイルを生成する会計仕訳ファイルデータ標準化システムであって、
複数の異なる仕様によって作成された会計仕訳ファイルのデータ項目とデータ位置に係るデータ配置構造を格納するファイルデータ配置情報データベースと、
関与先会計仕訳ファイルを読み込み、この関与先会計仕訳ファイルを作成した仕様に対応する関与先データ配置構造を前記ファイルデータ配置情報データベースから読み出して、この関与先データ配置構造に従って前記関与先会計仕訳ファイルに含まれる羅列データを検索し、前記関与先データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置と,前記羅列データに含まれる個々のデータとを結合させ、前記羅列データのどの位置にどのようなデータが存在しているかを認識可能な関与先標準化ファイルを生成して出力するファイルデータ配置標準化部と、
を有することを特徴とする会計仕訳ファイルデータ標準化システム。 - 前記ファイルデータ配置標準化部は、前記関与先配置データ構造に従って,前記関与先会計仕訳ファイルに含まれる羅列データを検索した後、前記関与先データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置に代えて,会計仕訳ファイルのデータ項目とデータ位置を予め所望に定めた標準データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置と,前記羅列データに含まれる個々のデータと,を結合させた関与先標準化ファイルを生成して出力することを特徴とする請求項1記載の会計仕訳ファイルデータ標準化システム。
- 予め定めた所望の借方科目名及び/又は貸方科目名を標準科目名として標準科目IDを付与し、
前記関与先標準化ファイルのデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、所望に対応させられる前記標準科目名の前記標準科目IDが紐付けられた紐付科目を格納する関与先科目情報データベースと、
前記関与先標準化ファイルのデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、所望に対応させられる前記標準科目名の前記標準科目IDを紐付ける科目突合処理部と、を有し、
前記科目突合処理部は、
前記関与先標準化ファイルからデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名を抽出して,これらをキーとして前記関与先科目情報データベースに格納されている前記標準科目IDが紐付けられた紐付科目を検索する関与先科目検索部と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の会計仕訳ファイルデータ標準化システム。 - コンピュータによって、複数の関与先からの会計仕訳ファイルを用いて関与先毎に共通の会計処理をするために関与先標準化ファイルを生成する会計仕訳ファイルデータを標準化するために実行されるプログラムであって、
複数の異なる仕様によって作成された会計仕訳ファイルのデータ項目とデータ位置に係るデータ配置構造をファイルデータ配置情報データベースに格納するファイルデータ配置情報格納工程と、
関与先会計仕訳ファイルを読み込む会計仕訳ファイル読込工程と、
この関与先会計仕訳ファイルを作成した仕様に対応する関与先データ配置構造を前記ファイルデータ配置情報データベースから読み出して、この関与先データ配置構造に従って前記関与先会計仕訳ファイルに含まれる羅列データを検索するデータ配置構造検索工程と、
前記関与先データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置と,前記羅列データに含まれる個々のデータとを結合させ、前記羅列データのどの位置にどのようなデータが存在しているかを認識可能な関与先標準化ファイルを生成して出力するファイルデータ配置標準化工程と、
を実行させることを特徴とする会計仕訳ファイルデータ標準化プログラム。 - 前記ファイルデータ配置標準化工程は、前記関与先データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置に代えて,会計仕訳ファイルのデータ項目とデータ位置を予め所望に定めた標準データ配置構造の前記データ項目及びデータ位置と,前記羅列データに含まれる個々のデータと,を結合させた関与先標準化ファイルを生成して出力する工程であることを特徴とする請求項4に記載の会計仕訳ファイルデータ標準化プログラム。
- 予め定めた所望の借方科目名及び/又は貸方科目名を標準科目名として標準科目IDを付与し、
前記関与先標準化ファイルのデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、所望に対応させられる前記標準科目名の前記標準科目IDが紐付けられた紐付科目を格納する関与先科目情報データベースを備え、
前記関与先標準化ファイルのデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名に対して、所望に対応させられる前記標準科目名の前記標準科目IDを紐付ける科目突合処理工程を有し、
前記科目突合処理工程は、
前記関与先標準化ファイルからデータ項目のうち借方科目名及び/又は貸方科目名を抽出する借方貸方科目抽出工程と、
この借方貸方科目抽出工程において抽出された借方科目名及び/又は貸方科目名をキーとして前記関与先科目情報データベースに格納されている前記標準科目IDが紐付けられた紐付科目を検索する関与先科目検索工程と、
を実行させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の会計仕訳ファイルデータ標準化プログラム。
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