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シルク繊維の加工方法
本発明は、シルク製品を家庭で容易に洗濯できるようにするために、シルク繊維にウォッシャブル性と防汚性とを付与するためのシルク繊維の加工方法に関するものである。
日本に限らず古来より正装用の着衣にはシルク素材が多く用いられている。例えば、日本のきもの、韓国のチマチョゴリ、中国のチャイナドレスなどが有名であるが、これらはいずれも家庭で洗濯を行うことが容易にできないという問題がある。この理由として、シルクは湿潤状態において、繊維強度が著しく低下しスレやピリングといった素材劣化や著しい寸法変化(収縮)が起こってしまうからである。
このシルクの湿潤状態での劣化の問題に関しては、従来、架橋剤などでシルク繊維を改質する手法や表面に樹脂被膜をコーティングして安定的にする手法が用いられている。
しかしながら、この樹脂被膜をコーティングする手法では、シルク繊維の持つ本来の平衡水分率や風合いに大きな変化を与えてしまい、シルクが持つ本来の優美な光沢や、しなやかな肌ざわりで着心地が良いといった特性が損なわれてしまい、また、薬品の安定性や加工性、コストなどの問題で、現状、市場で認知されるほど容易に実現できるものではなかった。
そのため、シルク製品の洗濯は、大抵の場合、専門店に依頼してドライクリーニングによる洗濯が行われることが一般的であった。
しかし、このドライクリーニングに使用される溶剤は、昨今の地球温暖化やオゾンホールの破壊の大きな原因の一つであると言われており、更には、大気汚染や土壌汚染といった環境破壊要因の一因にも成り得ることより削減すべき洗濯法の1つであると考えられている。
このようなことからも、シルク製品を家庭で簡単に洗濯できるようスレによる繊維の毛羽立ちやピリングの発生を抑制する効果を付与したものや防縮性、防皺性を付与したシルク素材の製造方法や加工方法を確立することが必要とされ、例えば、特許文献1に示すようなシルク繊維の改質方法が提案されている。
特開2002−138369号公報
しかしながら、上記特許文献1は、蛋白質系繊維を改質し、スレによる繊維の毛羽立ちやピリングの発生を抑える効果は見られるが、寸法など外観を維持する防縮性を付与する改質加工ではない。
また、防縮性を付与するために、従来は、例えば、BAP(Bisulfite Adduct Polyurethane)樹脂を用いて繊維同士を点接着して繊維間の相互移動を抑制するBAP加工法などの後加工技術を用いたり、従来法である蒸絨法、真空蒸絨法などを用いたり、或いは、これらを組み合わせた防縮加工処理が行われているが、市場に供給されるシルク製品の防縮率は、JIS基準値の3%をぎりぎり満たす程度のものが殆どである。
この収縮率3%という数値は、例えば、一般的な大人の和装のきものの場合であれば、3%収縮するということは身丈が5cm近くも縮んでしまうことになり、元の外観から大きく変化してしまうため、JIS基準値内といっても、とてもウォッシャブル性を有すると言える数値ではないのが現状である。
そこで、本発明は、家庭で洗濯しても、毛羽立ちやピリングが殆ど発生せず、シルクの持つ優美な光沢や、しなやかな肌触りで着心地の良さが保持され、しかも、収縮率が極めて小さく寸法変化が殆どない、耐久性、防縮性に優れたシルク繊維を得るためのシルク繊維の加工方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨を説明する。
製織して生地状にしたシルク繊維にウォッシャブル性と防汚性とを付与するシルク繊維の加工方法であって、前記シルク繊維に、水溶性ビニルスルホン誘導体を架橋剤として用いる劣化防止処理と、蒸絨法、真空蒸絨法、若しくはサンフォライズ法のいずれかを用いる防縮処理と、フッ素系撥水加工剤を用いる撥水加工処理とを施すことを特徴とするシルク繊維の加工方法に係るものである。
また、前記シルク繊維に、前記劣化防止処理を施し、次いで、この劣化防止処理を施したシルク繊維に前記防縮処理を施し、次いで、この防縮処理を施したシルク繊維に前記撥水加工処理を施し、次いで、この撥水加工処理を施したシルク繊維に、再度、前記防縮処理を施すことを特徴とする請求項1記載のシルク繊維の加工方法に係るものである。
また、前記劣化防止処理は、染色機を用いて行うことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のシルク繊維の加工方法に係るものである。
また、前記撥水加工処理は、前記フッ素系撥水加工剤及びブロックイソシアネート系架橋剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシルク繊維の加工方法に係るものである。
本発明は上述のようにしたから、家庭で洗濯しても、洗濯時の摩擦により繊維強度の弱い部分が切れたり毛羽立ったりしないのでピリングの発生もなく、また、緩和収縮による寸法変化も殆ど生じず、しかも、洗い皺も殆ど生じないので、安心して家庭で洗濯できるシルク製品を提供し得るシルク繊維を得ることができる。
また更に、超撥水性を付与したことにより、汚れにくくなり、その分、洗濯をする回数も低減できるので、洗濯によってシルク繊維に与える擦れなどの負荷を軽減することができるので、その分、衣類を長持ちさせることができ、しかも、衣類に付着した汚れ自体も落ちやすくなるので、例えば、水洗いのみの簡易な洗濯で十分綺麗にすることができる実用的且つ経済性に優れた従来ない画期的なシルク繊維に改質することができるシルク繊維の加工方法となる。
本実施例に示す加工方法で加工したシルク繊維生地と未加工のシルク繊維生地とを洗濯した際の繊維表面状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本実施例に示す加工方法で加工したシルク繊維生地の防縮性を評価した結果を示すものである。
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
本発明は、架橋剤として用いた水溶性ビニルスルホン誘導体がシルク繊維の非結晶部(繊維強度の弱い部分)に反応して架橋結合するので、従来、擦れによって劣化し易かった繊維強度の弱い非結晶部の繊維強度が向上し、洗濯時にシルク繊維同士が擦れあっても劣化し難いシルク繊維となり、よって、摩擦による繊維の断裂や毛羽立ちがなくなり、ピリングの発生も抑制され、洗濯による劣化防止性能に優れた効果を発揮するものとなる。
また、シルク製品を家庭で洗濯した際の収縮の原因のほとんどは緩和収縮によるものであり、この緩和収縮が起こる原因としては、シルク繊維を生地にする製織工程の段階や生地にしたシルク繊維を染色したりする加工工程の段階でシルク繊維に張力を掛けて繊維を伸長した状態で加工することがあげられる。よって、できるだけ製織工程や染色工程の段階でシルク繊維に張力を掛けない、即ち、シルク繊維を引っ張らず伸長させないように処理を行うこと、或いは、製織工程や染色工程の段階で伸びてしまったシルク繊維を縮める加工を施すことで洗濯した際の緩和収縮の発生を軽減することができる。
具体的には、本発明では、蒸絨法、真空蒸絨法、若しくはサンフォライズ法のいずれかを用いて加工中に伸ばしてしまったシルク繊維を縮めて緩和収縮を起こり難くする防縮処理を施している。
また更に、加工中にできるだけ繊維を伸ばさないように、劣化防止処理の際に、繊維を伸ばさずに劣化防止処理を施すことができるつり染め法の染色機を用いて処理を施し、より一層緩和収縮が起こり難くい防縮性に優れたシルク繊維に改質している。
また、本発明は、撥水加工処理を施すことで、シルク繊維に汚れを付き難くするだけでなく、付着した汚れを落とし易くする効果もあり、よって、例えば、水のみ(洗剤無し)で洗濯しても汚れを落とし、更に、洗い皺ができ難くなるなり、シルク繊維を劣化させないと共に、手間の掛るアイロンがけ作業の負荷を軽減できる。
このように、本発明は、劣化防止処理、防縮処理、撥水加工処理の全ての処理を施すことで、シルク繊維の劣化を抑制すると共に従来なし得なかった外観寸法が殆ど変らない程度の安定した小さな収縮率を実現でき、一般家庭の洗濯機で容易に洗濯することができるシルク製品を提供し得るシルク繊維に加工することができる画期的なシルク繊維の加工方法となる。
本発明の具体的な実施例について説明する。
本実施例は、製織して生地状にしたシルク繊維にウォッシャブル性と防汚性とを付与するシルク繊維の加工方法であって、前記シルク繊維に、水溶性ビニルスルホン誘導体を架橋剤として用いる劣化防止処理と、蒸絨法、真空蒸絨法、若しくはサンフォライズ法のいずれかを用いる防縮処理と、フッ素系撥水加工剤を用いる撥水加工処理とを施すことでシルク繊維にウォッシャブル性と防汚性を付与するシルク繊維の加工方法である。
また、本実施例は、製織して生地状にしたシルク繊維に、第一工程として、劣化防止処理を施し、次いで、第二工程として、この劣化防止処理を施したシルク繊維に防縮処理を施し、次いで、第三工程として、この防縮処理を施したシルク繊維に撥水加工処理を施し、次いで、第四工程として、この撥水加工処理を施したシルク繊維に、再度、防縮処理を施す手順で行われる。
本実施例を具体的に説明すると、第一工程の劣化防止処理は、生地状にしたシルク繊維の染色処理の前後いずれかに実施するものであり、水溶性ビニルスルホン誘導体を染色機にて20℃〜90℃で反応させ、シルク繊維を架橋結合によって改質する処理であり、具体的には、架橋剤をシルク繊維の非結晶部(繊維強度の弱い部分)に反応させ、非結晶部をブリッジすることでこの非結晶部の繊維強度を高めるための処理である。
この劣化防止処理に用いる染色機は、浸漬染め、ウインス染色機、液流染色機、パディング染色機、連染色機など、ほぼ全てのタイプの染色機を用いることができ、特に、つり染め法の染色機を用いることで、処理時にシルク繊維を引っ張らずに処理することで緩和収縮を軽減することができるので、本実施例では、このつり染め法の染色機を採用して劣化防止処理を施している。
また、第二工程の防縮処理は、蒸絨法、真空蒸絨法、シュリンクサーファー法(サンフォライズ法ともいう)のいずれかで、緩和収縮を適正値にセットすることで、緩和収縮の程度を小さくするものである。
尚、この防縮処理は、撥水加工処理を施した後に行うと、蒸絨法などの蒸気を利用した場合、この蒸気の吸い込みが撥水加工処理によって大きく阻害され、防縮性の付与に大きな影響を及ぼしてしまうので、本実施例では、この防縮処理を撥水加工処理前に行う手順としている。
また、第三工程の撥水加工処理は、フッ素系撥水加工剤及びブロックイソシアネート系架橋剤を用いており、具体的には、水溶性パーフルオロアルキレート5wt%と及びブロックイソシアネート1wt%をパディング法で浸漬、絞り、乾燥処理を行い、これを150℃〜210℃でキュアリングして、生地状のシルク繊維に超撥水性を付与するものである。
この撥水加工処理で用いるフッ素系撥水加工剤には、フルオロアルキル基を有するアクリレート若しくはメタクリレートからなるフルオロアルキル(メタ)アクリレートと、このフルオロアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能なフッ素を含まない単量体とを併用している。
また、このフルオロアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、炭素数が2〜20のパーフルオロアルキル基を有するもので、より好ましくは、炭素数6〜16のものを用いると良く、このパーフルオロアルキルアクリレートの具体例としては、アサヒガードGS−10(旭硝子社製)、AG−7005(旭硝子社製)、AG−E081(旭硝子社製)、AG−1100(旭硝子社製)などが挙げられる。
また、洗濯耐久性を高める効果を発揮するブロックイソシアネート系架橋剤の具体例としては、メイカネートFM−1(明成化学工業社製)、メイカネートMF(明成化学工業社製)、メイカネートWEB(明成化学工業社製)などが挙げられる。
この第三工程の撥水加工処理におけるキュアリングの際に若干伸長したシルク繊維をもとの状態(伸長したシルク繊維を縮ませる)にするため、第四工程として、再度、防縮処理を行っている。この防縮処理は、前述した第二工程の防縮処理と同様に、蒸絨法、真空蒸絨法、シュリンクサーファー法(サンフォライズ法ともいう)のいずれかで、緩和収縮を適正値にセットするものである。
このように、本実施例では、防縮処理を撥水加工処理の前後に、二回に分けて行っており、これによって、撥水処理の阻害を受けずに効果的に防縮性を付与することができ、より緩和収縮の度合いを低いものとすることができる。
以下に、上述した本実施例をより具体的な条件を示して詳細に説明する。
本実施例は、第一工程の劣化防止処理おいて、架橋剤としてビニルスルホン誘導体を用いた場合であり、また、加工する生地は、染色処理後のシルク100%の五越絽(長さ13m、幅38cm)を採用している。
第一次工程の劣化防止処理は、つり染め法の染色機に、N,N’−ビス(ビニルスルホニルアセチル)エチレンジアミン1%owf、芒硝15g/lを調液し浴比30:1にした溶液と生地とを入れ、60℃で40分間処理し、水洗後乾燥して、架橋剤をシルク繊維の非結晶部と反応させ、繊維強度の弱い非結晶部の強度を高める繊維改質を行う。
次いで、第二工程の防縮処理を行う。
この第二工程の防縮処理は、真空蒸絨法を採用しており、具体的には、多孔シリンダーに生地を巻き込み、これを高圧容器に入れ容器内を真空引きして、一度、生地の持つ緩和収縮以上に伸ばした後、容器内に蒸気を導入して適正な収縮率に縮めセットする処理を行う。
次いで、第三工程の撥水加工処理を行う。本実施例では、フッ素系撥水加工剤としてアサヒガードGS−10(旭硝子社製)、ブロックイソシアネート系架橋剤としてメイカネートFM1(明成化学工業社製)を用い、このアサヒガードGS−10(旭硝子社製)50g/l、メイカネートFM1(明成化学工業社製)10g/lをニップ&ディップ法(ピックアップ率80%)で処理した後、乾燥処理(80℃、3分間)し、次いで、170℃で二分間キュアリングする。
次いで、第四工程の防縮処理を行う。この防縮処理は、第二工程の防縮処理で採用した真空蒸絨法とは異なる防縮処理を採用しており、具体的には、蒸絨法を採用し、蒸気滞留時間を1秒、乾燥温度を80℃に設定し処理を行う。
この最終工程となる第四工程の防縮処理において、同じ防縮処理である第二工程で採用した真空蒸絨法を採用せず蒸絨法を採用した理由としては、真空蒸絨法は防縮の効果は大きい反面、加工の際に皺が入り易いため、この皺を伸ばす処理が必要となる。これに対して蒸絨法は緩和収縮を抑える効果は若干落ちるものの、皺を伸ばしつつ縮めて行くのが特徴であるため、第二工程で生じた皺と第三工程で生じた伸びの両方を同時に対応できるため、本実施例では、この蒸絨法を仕上げの防縮工程に採用している。
以上の手順、条件で処理することで、洗濯時のスレに対する耐久性が向上し、また、縮率が安定して家庭で洗濯しても殆ど縮むことがなく、更に、撥水加工により汚れが付きにくく、また、付いた汚れも落ち易い、従来にない画期的なシルク製品を提供し得ることができるシルク繊維に加工することができる。
また、本実施例において、各工程での処理終了後に生地の収縮率を測定した結果、第一工程の劣化防止処理後は、たて−10.5%、よこ−1.0%、第二工程の防縮処理後は、たて−1.3%、よこ−0.5%、第三工程の撥水加工処理後は、たて−2.7%、よこ−0.5%、第四工程(最終工程)の防縮処理後は、たて−0.8、よこ−0.5%となり、よって、上述した四つの工程、全てを施すことにより、洗濯後の収縮率を1%以下にすることが実現可能となることを確認した。
また、本実施例で示した具体的な加工条件で加工することでシルク繊維に優れたウォッシャブル性と防汚性を付与されることを実証するために、洗濯耐久性、防縮性、撥水性、そして、風合いを評価する様々な試験・評価を行ったので、以下に結果を示す。
図1は、JIS L 0217 104法 吊干し(中性洗剤使用)に基づいた洗濯処理を5回行い、その繊維表面の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示すものである。
SEM写真からも分かるように、加工無しのもの(写真B)には毛羽立ちが確認できるが、加工有りのもの(写真C)には毛羽立ちが見られず、洗濯処理前、即ち、洗濯処理をしていないもの(写真A)とほぼ同等の表面状態を維持していることが確認でき、よって、洗濯時の繊維同士の擦れによる繊維切れや毛羽立ち、ピリングが発生しない洗濯耐久性に優れた劣化防止性能が付与されたことが確認できた。
図2は、防縮性を評価した結果を示すものであり、製織方法が異なる生地H〜Nに対して洗濯処理を3回行い、1回の洗濯処理毎に寸法を測定し、その変化量を算出して収縮率を求めた結果を示すものである。
図中の寸法変化率は、実験前の寸法、即ち、洗濯処理を行わない状態の生地の寸法に対しての変化の割合であり、マイナス(−)符号は、洗濯前に比べて生地が収縮したことを意味する。
この防縮性の評価結果より、洗濯処理3回後でも寸法変化率、即ち、収縮率は、0%〜−1.4%であり、外観寸法上、著しい変化があると感じられない−1.5%以下を実現することが確認でき、また、大半は、1回目の収縮以降、大きな変化が見られないことより、更に洗濯処理の回数を増やした場合でも、殆ど収縮が進まず、よって、外観寸法も大きく変化することなく、洗濯による縮みで体裁が悪くなることもなくなるので、安心して洗濯を行うことができるシルク製品を提供することができ得るようになる。
また、浸透度と撥水度との品質試験を行った結果を以下に示す。
浸透度試験(JIS L 1099 A−1法)は、3試験片に対して行い、結果は478g/m・h、498g/m・h、474g/m ・hであり、未加工品の486g/m・hと差がない結果が得られた。
即ち、従来の加工では、表面に加工を施すことで通気性が損なわれたり、ごわつきが生じたりして、着心地の低下がみられることが多かったが、本実施例の条件で加工することにより、加工しないシルク繊維そのものの状態とほとんど変わらない着心地、風合いを維持することが確認できた。
また、撥水度試験は、JIS L 0217 104法 吊干し(中性洗剤使用)で洗濯処理(処理回数5回,10回,15回,20回)した試験片をJIS L 1093 スプレー試験に基づいて試験を行った。その結果、洗濯処理5回までの試験片では、全て5級となる結果を得、また、洗濯処理10回〜20回の試験片でも4級若しくは5級と良好な結果を得た。
即ち、本実施例の加工方法で付与した超撥水性は、洗濯処理回数を重ねていっても、殆ど撥水機能が損なわれないことが確認できたので、繰り返し洗濯しても防汚性の低下がなく汚れが付きにくい性能を維持するので、安心して着ることができ、また、洗濯の際も洗い皺を殆ど発生させることがないの、洗濯後のアイロンがけ作業が容易になり、一層実用性に優れたシルク製品を提供することができるシルク繊維に加工することができる。
このように、本実施例で示したシルク繊維の加工方法を用いてシルク繊維を改質することによって、シルクの持つ優美な光沢やしなやかな肌触りで着心地の良さが保持され、スレ、ピリングが殆ど発生しない洗濯耐久性に優れた劣化防止性能(抗ピリング性)、従来ではなし得なかった優れた防縮性能、洗濯耐久性に優れた高レベルの超撥水性が付与されたウォッシャブル性と防汚性を兼ね備えた従来ない画期的なシルク繊維を得ることができる。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

Claims (4)

  1. 製織して生地状にしたシルク繊維にウォッシャブル性と防汚性とを付与するシルク繊維の加工方法であって、前記シルク繊維に、水溶性ビニルスルホン誘導体を架橋剤として用いる劣化防止処理と、蒸絨法、真空蒸絨法、若しくはサンフォライズ法のいずれかを用いる防縮処理と、フッ素系撥水加工剤を用いる撥水加工処理とを施すことを特徴とするシルク繊維の加工方法。
  2. 前記シルク繊維に、前記劣化防止処理を施し、次いで、この劣化防止処理を施したシルク繊維に前記防縮処理を施し、次いで、この防縮処理を施したシルク繊維に前記撥水加工処理を施し、次いで、この撥水加工処理を施したシルク繊維に、再度、前記防縮処理を施すことを特徴とする請求項1記載のシルク繊維の加工方法。
  3. 前記劣化防止処理は、染色機を用いて行うことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のシルク繊維の加工方法。
  4. 前記撥水加工処理は、前記フッ素系撥水加工剤及びブロックイソシアネート系架橋剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシルク繊維の加工方法。
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