JP2012237390A - 回転軸装置における転がり軸受の取付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】内輪、外輪の軌道面および転動体の転動面の摩耗を無くすとともに、フレッチングおよびクリープの発生を無くした転がり軸受の取付け構造を提供する。
【解決手段】内輪20の内周の軸方向両端に一対の係合テーパ24を形成し、回転軸70に転がり軸受10側へ突出した突出部73を形成し、この突出部73に一対の係合テーパ24の一方に面接触する第1の受合テーパ74を形成し、一対の係合テーパ24の他方に対応する位置で回転軸70に係合溝75を形成し、この係合溝75に半径方向に弾性力を有する弾性リング85を嵌め込み、この弾性リング85の係合溝75と反対側の周面に一対の係合テーパ24の他方に面接触する第2の受合テーパ86を形成し、弾性リング85の係合溝75側の周面に第2の受合テーパ86よりも緩やかな傾斜を有する被作動テーパ87を形成し、係合溝75に被作動テーパ87に面接触する作動テーパ76を形成した。
【選択図】図1
【解決手段】内輪20の内周の軸方向両端に一対の係合テーパ24を形成し、回転軸70に転がり軸受10側へ突出した突出部73を形成し、この突出部73に一対の係合テーパ24の一方に面接触する第1の受合テーパ74を形成し、一対の係合テーパ24の他方に対応する位置で回転軸70に係合溝75を形成し、この係合溝75に半径方向に弾性力を有する弾性リング85を嵌め込み、この弾性リング85の係合溝75と反対側の周面に一対の係合テーパ24の他方に面接触する第2の受合テーパ86を形成し、弾性リング85の係合溝75側の周面に第2の受合テーパ86よりも緩やかな傾斜を有する被作動テーパ87を形成し、係合溝75に被作動テーパ87に面接触する作動テーパ76を形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、内輪、外輪、転動体とからなる転がり軸受を、回転軸およびハウジングの少なくともどちらか一方に取付けるための回転軸装置における転がり軸受の取付け構造に関する。
図3(特許文献1)に示すように、ハウジング100に対し回転軸110を回転可能に軸支するためには、ハウジング100および回転軸110間に内輪121、外輪122、転動体123とからなる転がり軸受120が使用される。この転がり軸受120の取付けは、ハウジング100の内周に外輪122が半径方向にごく僅かな隙間を持って嵌合され、回転軸110の外周に内輪121が半径方向にごく僅かな隙間を持って嵌合され、外輪122が、ハウジング100の段部101と、ハウジング100の係合溝102に係合した一対のリング140、141とで軸方向に挟み込まれ、内輪121が、回転軸110の段部111と、回転軸110の係合溝112に係合したテーパ状のバネリング130とで軸方向に挟み込まれることによってなされる。
さらにリング140は、内径方向に縮小しようとする弾性力を有し、リング141は外径方向に拡張しようとする弾性力を有し、リング140、141の互いに向かい合う面に、それぞれテーパ140a、141aが形成されている。リング140、141自体の弾性力と、テーパ140a、141aによって、外輪122をハウジング100の段部101へ押し付ける軸方向の力が発生し、外輪122の端面とハウジング100の段部101間の摩擦力によってハウジング100に対する外輪122の軸方向および半径方向の移動を不能にしている。また、バネリング130は内径方向にすぼまる弾性力を有し、バネリング130の大径側の一端が内輪121の端面に当接することにより、内輪121を回転軸110の段部111へ押し付ける軸方向の力が発生し、内輪121の端面と回転軸110の段部111間の摩擦力によって内輪121に対する回転軸110の軸方向および半径方向の移動を不能にしている。
ハウジング100の内周に外輪122が半径方向にごく僅かな隙間を持って嵌合され、回転軸110の外周に内輪121が半径方向にごく僅かな隙間を持って嵌合されているため、ハウジング100の内周の軸線に対し回転軸110の軸線が半径方向に若干ずれた位置に取付けられる。この結果、ハウジング100の内周に対し回転軸110が振れ回り回転し、回転軸110の遠心力によって内輪121、外輪122の軌道面および転動体123の転動面が摩耗しやすい。
ハウジング100の係合溝102および回転軸110の係合溝112に、リング140、141およびバネリング130に代えてCワッシャを嵌め込んだものは、構造が簡単なため組み付けやすいメリットがある反面、軸方向に隙間があるため、外部からの振動により回転軸110が軸方向に繰り返し移動し、内輪121、外輪122の段部111、101側の端面にフレッチングが発生する。また、ハウジング100の内周および外輪122間と、回転軸110の外周および内輪121間とにそれぞれ半径方向に隙間があるため、ハウジング100に対し外輪122が回転し、内輪121に対し回転軸110が回転することによって、クリープが発生する。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、振れ回り回転を無くして内輪、外輪の軌道面および転動体の転動面の摩耗を無くすとともに、フレッチングおよびクリープの発生を無くした回転軸装置における転がり軸受の取付け構造を提供する。
請求項1に記載の発明は、ハウジングに転がり軸受を介して回転軸を回転可能に軸支した回転軸装置において、内輪、外輪、転動体とからなる前記転がり軸受を、前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に取付けるための転がり軸受の取付け構造であって、前記内輪の内周および前記外輪の外周の少なくともどちらか一方の軸方向両端に一対の係合テーパを形成し、前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に前記転がり軸受側へ突出した突出部を形成し、この突出部に前記一対の係合テーパの一方に面接触する第1の受合テーパを形成し、前記一対の係合テーパの他方に対応する位置で前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に係合溝を形成し、この係合溝に半径方向に弾性力を有する弾性リングを嵌め込み、この弾性リングの係合溝と反対側の周面に前記一対の係合テーパの他方に面接触する第2の受合テーパを形成し、前記弾性リングの係合溝側の周面に前記第2の受合テーパよりも緩やかな傾斜を有する被作動テーパを形成し、前記係合溝に前記被作動テーパに面接触する作動テーパを形成したものである。この構成により、ハウジングの内周の軸線に対し回転軸の軸線が同軸に配置されることにより、回転軸の振れ回りが無くなり、内輪、外輪の軌道面および転動体の転動面の摩耗が無くなる。さらに、ハウジングに対して外輪が軸方向および半径方向に移動不能に固定されるか、内輪に対して回転軸が軸方向および半径方向に移動不能に固定されることにより、フレッチングおよびクリープの発生を無くすことができる。
請求項2に記載の発明は、前記回転軸の係合溝に嵌め込まれる弾性リングは、内径側へ縮小する弾性力を有するものである。これにより、回転軸に内輪が軸方向および半径方向に移動不能に固定される。
請求項3に記載の発明は、前記ハウジングの係合溝に嵌め込まれる弾性リングは、外径側へ拡張する弾性力を有するものである。これにより、ハウジングに外輪が軸方向および半径方向に移動不能に固定される。
本発明によれば、ハウジングの内周の軸線に対し回転軸の軸線が同軸に配置されることにより、回転軸の振れ回りが無くなり、内輪、外輪の軌道面および転動体の転動面の摩耗が無くなる。さらに、ハウジングに対して外輪が軸方向および半径方向に移動不能に固定されるか、内輪に対して回転軸が軸方向および半径方向に移動不能に固定されることにより、フレッチングおよびクリープの発生を無くすことができる。
本発明の一実施形態について、図1および図2を参酌しつつ説明する。図1は転がり軸受の取付け構造を示す縦断面図であり、図2は図1のA矢視図である。
回転軸装置10は、ハウジング61と、このハウジング61に取り付けられる転がり軸受10と、この転がり軸受10を介して回転可能に軸支される回転軸70とからなっている。転がり軸受は、転動体として玉を使った玉軸受10である。玉軸受10は、リング状の外輪11と、外輪11の内周側に配置されるリング状の内輪20と、外輪11と内輪20間に配置されるリング状の保持器30と、保持器30に保持される複数の玉40とからなっている。
前記外輪11の内周には、断面円弧状の外輪側軌道面12が形成され、外輪11の外周には、円筒状の被嵌合面13が形成され、被嵌合面13の軸方向の両端には、一対の係合テーパ14が形成されている。前記内輪20の外周には、断面円弧状の内輪側軌道面22が形成され、内輪20の内周には、円筒状の被嵌合面23が形成され、被嵌合面23の軸方向の両端には、一対の係合テーパ24が形成されている。
前記保持器30は円周方向に複数のポケット部31を有し、各ポケット部31に玉40が回転可能に保持されている。前記玉40は、金属製で、球形状を有し、外面が転動面となる。
前記ハウジング61には、回転軸70の回転軸線と同軸に円筒状の内周面62が形成され、この内周面62は、外輪11の被嵌合面13が径方向に僅かな隙間を持って嵌合できるような内径を有する。内周面62には玉軸受10側へ突出した突出部63が形成され、この突出部63には、一対の係合テーパ14の一方に面接触する第1の受合テーパ64が形成されている。また内周面62には、一対の係合テーパ14の他方に対応する位置に係合溝65が形成され、この係合溝65は突出部63に向かって径が拡大する作動テーパ66が形成されている。係合溝65には、Cリング80が嵌め込まれ、Cリング80の外周には、作動テーパ66に面接触する被作動テーパ82が形成され、Cリング80の内周には、一対の係合テーパ14の他方に面接触する第2の受合テーパ81が形成され、被作動テーパ82は、第2の受合テーパ81と比べて緩やかなテーパを有する。Cリング80は、図1の状態よりもさらに外径方向に拡張しようとする弾性力を有し、円周上1箇所に切欠き83を有する。
前記回転軸70には、これの回転軸線と同軸に円筒状の外周面72が形成され、この外周面72は、内輪20の被嵌合面23が径方向に僅かな隙間を持って嵌合できるような外径を有する。外周面72には転がり軸受10側へ突出した突出部73が形成され、この突出部73には、一対の係合テーパ24の一方に面接触する第1の受合テーパ74が形成されている。また外周面72には、一対の係合テーパ24の他方に対応する位置に係合溝75が形成され、この係合溝75は突出部73に向かって径が縮小する作動テーパ76が形成されている。係合溝75には、Cリング85が嵌め込まれ、Cリング85の外周には、作動テーパ76に面接触する被作動テーパ86が形成され、Cリング85の内周には、一対の係合テーパ24の他方に面接触する第2の受合テーパ86が形成され、被作動テーパ87は、第2の受合テーパ86と比べて緩やかなテーパを有する。Cリング85は、図1の状態よりもさらに内径方向に縮小しようとする弾性力を有し、円周上1箇所に切欠き88を有する。
続いて、回転軸装置60へ玉軸受10を取付ける動作について説明する。
まず回転軸70の外周面72に、玉軸受10の被嵌合面23を嵌め込み、突起部73の第1の受合テーパ74に玉軸受10の一対の係合テーパ24の一方を面接触させる。係合溝75にCリング85を嵌め込み、Cリング85の第2の受合テーパ86を玉軸受10の一対の係合テーパ24の他方に面接触させ、Cリング85の被作動テーパ86を回転軸70の作動テーパ76に面接触させる。Cリング85は内径方向に縮小しようとする弾性力を有し、作動テーパ76によってCリング85は突起部73側へ移動し、一対の係合テーパ24のテーパ作用によって、玉軸受10は回転軸70に対し同軸に取付けられる。
続いてハウジング61の内周面62に、玉軸受10の被嵌合面13を嵌め込み、突起部63の第1の受合テーパ64に玉軸受10の一対の係合テーパ14の一方を面接触させる。係合溝65にCリング80を嵌め込み、Cリング80の第2の受合テーパ81を玉軸受10の一対の係合テーパ14の他方に面接触させ、Cリング80の被作動テーパ82をハウジング61の作動テーパ66に面接触させる。Cリング80は外径方向に拡張しようとする弾性力を有し、作動テーパ66によってCリング80は突起部63側へ移動し、一対の係合テーパ14のテーパ作用によって、玉軸受10はハウジング61の内周面62に対し同軸に取付けられる。
このようにして取付けられた回転軸70を回転させると、ハウジング61の内周面62の軸線に対し、回転軸70の軸線が同軸となっているため、回転軸70の振れ回りが無く、外輪11の外輪側軌道面12、内輪20の内輪側軌道面22、および玉40の転動面の摩耗が無い。また外部から回転軸装置60に振動が作用しても、ハウジング61に対して外輪11が、軸方向および半径方向に移動不能に固定され、内輪20に対して回転軸70が、軸方向および半径方向に移動不能に固定されているので、フレッチングおよびクリープの発生が無い。
本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
上述した実施形態は、一対の係合テーパを使用して、外輪11および内輪20をそれぞれハウジング61および回転軸70に対し同軸に固定した例について述べた。他の実施形態として、一対の係合テーパを使用して、内輪20のみを回転軸70に対し同軸に固定しても良い。
上述した実施形態は、玉軸受10に上述した取付け構造を適用した。他の実施形態として、円すいころ軸受、円筒ころ軸受等の他の軸受にも、上述した取付け構造を適用しても良い。
10:玉軸受(転がり軸受)、11:外輪、14:係合テーパ、20:内輪、24:係合テーパ、40:玉(転動体)、60:回転軸装置、61:ハウジング、63:突出部、64:第1の受合テーパ、65:係合溝、66:作動テーパ、70:回転軸、73:突出部、74:第1の受合テーパ、75:係合溝、76:作動テーパ、80:Cリング(弾性リング)、81:第2の受合テーパ、82:被作動テーパ、85:Cリング(弾性リング)、86:第2の受合テーパ、87:被作動テーパ
Claims (3)
- ハウジングに転がり軸受を介して回転軸を回転可能に軸支した回転軸装置において、内輪、外輪、転動体とからなる前記転がり軸受を、前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に取付けるための転がり軸受の取付け構造であって、前記内輪の内周および前記外輪の外周の少なくともどちらか一方の軸方向両端に一対の係合テーパを形成し、前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に前記転がり軸受側へ突出した突出部を形成し、この突出部に一対の係合テーパの一方に面接触する第1の受合テーパを形成し、一対の係合テーパの他方に対応する位置で前記回転軸および前記ハウジングの少なくともどちらか一方に係合溝を形成し、この係合溝に半径方向に弾性力を有する弾性リングを嵌め込み、この弾性リングの係合溝と反対側の周面に前記一対の係合テーパの他方に面接触する第2の受合テーパを形成し、前記弾性リングの係合溝側の周面に第2の受合テーパよりも緩やかな傾斜を有する被作動テーパを形成し、前記係合溝に前記被作動テーパに面接触する作動テーパを形成したことを特徴とする回転軸装置における転がり軸受の取付け構造。
- 前記回転軸の係合溝に嵌め込まれる弾性リングは、内径側へ縮小する弾性力を有することを特徴とする請求項1に記載の回転軸装置における転がり軸受の取付け構造。
- 前記ハウジングの係合溝に嵌め込まれる弾性リングは、外径側へ拡張する弾性力を有することを特徴とする請求項1に記載の回転軸装置における転がり軸受の取付け構造。
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JP2011107210A JP2012237390A (ja) | 2011-05-12 | 2011-05-12 | 回転軸装置における転がり軸受の取付け構造 |
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Cited By (1)
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CN112567144A (zh) * | 2018-08-23 | 2021-03-26 | 日本精工株式会社 | 滚动轴承的预压方法、轴承预压装置、轴承组件、机械及车辆 |
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2011
- 2011-05-12 JP JP2011107210A patent/JP2012237390A/ja not_active Withdrawn
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CN112567144A (zh) * | 2018-08-23 | 2021-03-26 | 日本精工株式会社 | 滚动轴承的预压方法、轴承预压装置、轴承组件、机械及车辆 |
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