JP5593806B2 - スラスト円錐ころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明は、内輪と外輪との間に複数の円錐ころを転動可能に配置しているスラスト円錐ころ軸受に関する。
従来、例えばハウジングに対して回転するクラッシャーミル装置の主軸を支持する軸受には、スラスト荷重を支持するためにスラスト軸受が使用されている。スラスト軸受は、例えば特許文献1に記載されている。このスラスト軸受は、回転軸に嵌合された内輪(軸軌道盤)と、ハウジングに嵌合された外輪(ハウジング軌道盤)と、内輪と外輪との間に転動自在に配設された複数の円錐ころと、円錐ころを円周方向に沿って所定間隔に保持するためのポケットを有するソリッドタイプ保持器とから構成されたスラストころ軸受である。
ところで、クラッシャーミル装置の主軸を支持するスラストころ軸受は極めて大きなスラスト荷重が作用するため、当該軸受にできるだけ多くのころを使用して負荷容量を高くすることが求められている。そこで、図3に示すように、上記ソリッドタイプ保持器と比べて、ころ数を増大させることができるピン型保持器を使用することが考えられる。
このピン型保持器100は、スラストころ軸受の内輪101と外輪102との間であってかつ円錐ころ103の軸方向両側に配置された一対の内側リング104および外側リング105と、各円錐ころ103の貫通孔103aに挿通されたピン106とから構成されている。ピン106の一端にはネジ軸106aが形成されており、このネジ軸106aは、円錐ころ103の軸方向外側に配置された外側リング105のネジ孔105aに螺合されている。ピン106の他端は、円錐ころ103の軸方向内側に配置された内側リング104の内周面104a側に溶接107により固定されている。
特開2005−282714号公報
図3のピン型保持器100にあっては、ピン106の他端を内側リング104の内周面104a側に溶接により固定しているため、その内周面104aが溶接歪みにより径方向に変形し、その真円度が悪化することがある。このため、ピン型保持器100の回転案内は、内側リング104の内周面104aを回転軸108に摺接させる軸案内とすることができず、円錐ころ103により案内するころ案内とせざるを得ない。円錐ころ103は外輪102の鍔109により径方向に位置決めされている。クラッシャーミル装置の主軸を支持するスラストころ軸受は、回転軸108がハウジング110に対して大きな芯ずれや傾きを生じることで、内輪101と外輪102との間に大きな芯ずれを生じたり、大きな偏荷重が作用することがある。回転軸108がハウジング110に対して芯ずれを生じたり、偏荷重が作用したときに、回転軸108は内側リング104の内周面104aに接触することがある。回転軸108が溶接歪みにより径方向に変形した内側リング104の内周面104aに接触すると、ピン型保持器100の回転が円滑でなくなり、スラストころ軸受の回転性能が低下するという問題が生じる。
回転軸108がハウジングに対して大きく芯ずれを生じても、回転軸108が内側リング104の内周面104aに対して接触しないように回転軸108と内側リング104の内周面104aとの間隔を大きくすると、円錐ころ103の長さを短くする必要が生じ、負荷容量が小さくなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回転性能が低下することを防止することができるスラスト円錐ころ軸受を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、環状の第一軌道面を有するとともに、軸体に内周が嵌合される第一軌道部材と、前記第一軌道部材の第一軌道面に対して軸方向に対向する環状の第二軌道面を有し、前記第一軌道部材に対して相対回転可能な第二軌道部材と、前記第一軌道部材の第一軌道面と前記第二軌道部材の第二軌道面との間に転動可能に配置されている複数の円錐ころと、前記円錐ころの軸線と同心に当該円錐ころを貫通しているピンと、前記円錐ころの軸方向外側に配置され、前記ピンの一端部が取り付けられた外側リングと、前記円錐ころの軸方向内側に配置され、前記ピンの他端部が取り付けられた内側リングとを有するピン型保持器と、を備えたスラスト円錐ころ軸受であって、前記ピンは、前記一端部が前記外側リングに溶接により固定されているとともに、前記他端部が前記内側リングに螺合されたネジ軸とされており、前記内側リングの内周面前記軸体の外周面と平行になるように当該内側リングの外周面に対して傾斜し、前記軸体に摺接して前記ピン型保持器の回転を案内する案内面とされており、前記ネジ軸の軸方向の長さは、前記内側リングの内周面が前記ピンによって前記ピン型保持器の回転案内が阻害されないように、当該ネジ軸の軸方向内側の端面が前記内側リングの内周面より前記軸体側へ突出しない長さに形成されていることを特徴としている。
上記のように構成されたスラスト円錐ころ軸受によれば、ピン型保持器のピンの一端部を外側リングに溶接により固定するとともに、ピンの他端部を内側リングに螺合するようにしたので、内側リングが溶接歪みにより変形するのを防止することができる。これにより、内側リングの内周面を軸体に摺接してピン型保持器の回転を案内する案内面とすることができ、ピン型保持器の回転案内を、内側リングを用いた軸案内とすることができる。したがって、スラスト円錐ころ軸受の回転性能が低下するのを防止することができる。
また、前記案内面が、前記軸体に線接触していることが好ましい。この場合、案内面が軸体に線接触しながらピン型保持器を回転案内することができるので、ピン型保持器の回転案内をより効果的に行うことができる。
本発明のスラスト円錐ころ軸受によれば、ピン型保持器の回転案内を、内側リングを用いた軸案内とすることができるので、スラスト円錐ころ軸受の回転性能が低下するのを防止することができる
本発明の一実施形態に係るスラスト円錐ころ軸受を示す断面図である。 上記スラスト円錐ころ軸受のピン型保持器を示す拡大断面図である。 従来のスラスト円錐ころ軸受を示す断面図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスラスト円錐ころ軸受を示す断面図である。このスラスト円錐ころ軸受1は、例えばクラッシャーミル装置の主軸である回転軸(軸体)51を支持するスラスト円錐ころ軸受であり、第一軌道部材(内輪)2と、第二軌道部材(外輪)3と、第一軌道部材2と第二軌道部材3との間に転動可能に配置された複数の転動体としての円錐ころ4と、円錐ころ4を円周方向に沿って所定間隔に保持するためのピン型保持器5とから構成されている。
第一軌道部材2は、その内周面2bが回転軸51に嵌合され、軸方向の他方側(図1の右側)の端面が回転軸51の段部に当接している。第一軌道部材2の軸方向の一方側(図1の左側)の端面には、円錐ころ4を転動させる環状の平面からなる第一軌道面2aが、回転軸51の軸線に直交させた状態で形成されている。
第二軌道部材3は、その外周面3bがハウジング52に嵌合され、軸方向の一方側(図1の左側)の端面3cがハウジング52の段部に当接している。また、第二軌道部材3の軸方向の他方側(図1の右側)の端面には、円錐ころ4を転動させる環状の円錐面からなる第二軌道面3aが、第一軌道面2aに対して軸方向に対向するように形成されている。
また、第二軌道部材3の径方向外側には鍔部3dが形成されており、この鍔部3dに円錐ころ4の大径側端面を摺動させて、円錐ころ4の軸方向に作用する荷重を受け止めている。
円錐ころ4は、円錐台形状に形成されており、その小径側が回転軸51側、大径側がハウジング52側となるように配置されている。また、円錐ころ4には、その軸線に沿って貫通する貫通孔4aが形成されている。
ピン型保持器5は、円錐ころ4の軸線と同心となるように貫通孔4aに隙間を有して挿通された複数のピン13と、円錐ころ4の軸方向内側に配置されピン13の軸方向内端部(他端部)が取り付けられた環状の内側リング11と、円錐ころ4の軸方向外側に配置されピン13の軸方向外端部(一端部)が取り付けられた環状の外側リング12と、を備えている。
図2は、ピン型保持器5を示す拡大断面図である。
内側リング11は、金属(例えば、機械構造用炭素鋼)により形成されており、回転軸51と同心に配置されている。内側リング11には、周方向に所定間隔をあけて複数のネジ孔11aが形成されている。また、内側リング11の内周面11bは、図2の断面視において、回転軸51の外周面51aと平行になるように、外周面11cに対して傾斜した状態(傾斜角θ)で形成されている。内側リング11の内周面11bの内径は、回転軸51の外周面51aの外径よりも大きく形成されている。環状の外側リング12の内周面と環状の内側リング11の外周面11cとのピン型保持器5の径方向における間隔は、円錐ころ4の軸方向の長さよりも大きくなっている。これにより、内側リング11の内周面11bは、当該内周面11bが回転軸51の外周面51aに線接触しながら摺動することにより、ピン型保持器5の回転が案内される案内面して機能している。
外側リング12は、金属(例えば、機械構造用炭素鋼)により形成されているとともに、内側リング11より大きい外径を有し、内側リング11と同心に配置されている。また、外側リング12には、周方向に所定間隔をあけて複数の挿通孔12aが形成されている。
ピン13は、円錐ころ4を回転自在に支持するものであり、その軸方向の内端部には、ネジ軸13aが形成されている。このネジ軸13aは、内側リング11のネジ孔11aに螺合されている。
なお、ネジ軸13aの軸方向の長さは、その軸方向内側の端面が内側リング11の内周面11bより回転軸51側へ突出しない長さに形成されている。このため、内側リング11の内周面11bが、ピン13によってピン型保持器5の回転案内が阻害されることがない。
ピン13の軸方向の外端部13bは、その外径が漸次縮小するように形成されており、外側リング12の挿通孔12aに挿通されている。この挿通孔12aの外端部には、その孔径が漸次拡大する溶接部12bが形成されており、この溶接部12bにピン13の外端部13bが外側リング12に溶接14により固定されている。
上記のように構成された本実施形態のスラスト円錐ころ軸受1によれば、ピン型保持器5のピン13の外端部13bを外側リング12の溶接部12bに溶接14により固定するとともに、ピン13の内端部(ネジ軸13a)を、内側リング11のネジ孔11aに螺合するようにしたので、内側リング11の内周面11bが溶接歪みにより変形するのを防止することができる。これにより、内側リング11の内周面11bを回転軸51に摺接してピン型保持器5の回転を案内する案内面とすることができ、ピン型保持器5の回転案内を、内側リング11の内周面11bを用いた軸案内とすることができる。したがって、スラスト円錐ころ軸受1の回転性能が低下するのを防止することができる。
また、内側リング11の内周面11bを回転軸51の外周面51aに線接触しながらピン型保持器5を回転案内するようにしたので、ピン型保持器5の傾きを防止することができ、ピン型保持器5の回転案内をより効果的に行うことができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではない。例えば、軸体として、クラッシャーミル装置の回転軸51を例示しているが、所定角度のみ回転する回動軸であってもよい。
1:スラスト円錐ころ軸受、2:第一軌道部材、2a:第一軌道面、3:第二軌道部材、3a:第二軌道面、4:円錐ころ、5:ピン型保持器、11:内側リング、11b:内周面(案内面)、12:外側リング、13:ピン、51:回転軸(軸体)

Claims (2)

  1. 環状の第一軌道面を有するとともに、軸体に内周が嵌合される第一軌道部材と、
    前記第一軌道部材の第一軌道面に対して軸方向に対向する環状の第二軌道面を有し、前記第一軌道部材に対して相対回転可能な第二軌道部材と、
    前記第一軌道部材の第一軌道面と前記第二軌道部材の第二軌道面との間に転動可能に配置されている複数の円錐ころと、
    前記円錐ころの軸線と同心に当該円錐ころを貫通しているピンと、前記円錐ころの軸方向外側に配置され、前記ピンの一端部が取り付けられた外側リングと、前記円錐ころの軸方向内側に配置され、前記ピンの他端部が取り付けられた内側リングとを有するピン型保持器と、を備えたスラスト円錐ころ軸受であって、
    前記ピンは、前記一端部が前記外側リングに溶接により固定されているとともに、前記他端部が前記内側リングに螺合されたネジ軸とされており、
    記内側リングの内周面前記軸体の外周面と平行になるように当該内側リングの外周面に対して傾斜し、前記軸体に摺接して前記ピン型保持器の回転を案内する案内面とされており、
    前記ネジ軸の軸方向の長さは、前記内側リングの内周面が前記ピンによって前記ピン型保持器の回転案内が阻害されないように、当該ネジ軸の軸方向内側の端面が前記内側リングの内周面より前記軸体側へ突出しない長さに形成されている
    ことを特徴とするスラスト円錐ころ軸受。
  2. 前記案内面が、前記軸体に線接触している請求項1に記載のスラスト円錐ころ軸受
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