JP2012233112A - インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法及びインクカートリッジ - Google Patents

インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法及びインクカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦過性及び均一性に優れた画像を記録可能な、保存安定性及び連続吐出安定性に優れたインクジェット用水性インク、該インクを用いたインクジェット記録方法及びインクカートリッジを提供すること。
【解決手段】顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して親水性基が結合している自己分散顔料、樹脂微粒子、及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット用水性インク。このインクジェット用水性インクを用いたインクジェット記録方法、及びインクカートリッジ。
Figure 2012233112

【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用水性インク、インクジェット記録方法及びインクカートリッジに関する。
従来から、インクジェット用水性インクにおいて、画像の堅牢性を向上するために、カーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料などの顔料を水性媒体中に分散させてなるインクについての検討が行われている。一般に、水性インク中での顔料の分散は、顔料粒子に界面活性剤や水溶性樹脂などの分散剤を物理的に吸着させることで行われている。このようなインクを記録媒体に付与すると、水性媒体中に分散された顔料の分散安定性が失われることで、顔料の凝集が生じ、画像の耐擦過性が高まる。しかし、その一方で、顔料の凝集物が記録媒体において不規則に存在すると、画像の耐擦過性は低下する傾向にある。さらに、分散剤を用いて分散された顔料を含有するインクは、インク中の水性媒体の蒸発により、記録ヘッドの吐出口近傍においても顔料の凝集が生じやすく、固着しやすいという課題がある。なお、以下、記録ヘッドの吐出口近傍におけるインクの固着し難さを「耐固着性」ともいう。
上記課題に対して、顔料粒子の表面に親水性基を含む官能基を結合させ、分散剤を用いることなく分散可能とした自己分散顔料を含有するインクが知られている(特許文献1参照)。自己分散顔料を含有するインクは、分散剤を用いたインクと比較して、保存安定性や耐固着性などの信頼性が向上することが知られている。
また、画像の耐擦過性などを向上するために、自己分散顔料を含有するインクにさらに樹脂微粒子を添加することについての提案(特許文献2参照)がある。また、染料とアミン化合物を含有するインクについての提案(特許文献3参照)がある。
特表2000−513396号公報 特開2000−351931号公報 特開平6−128515号公報
しかし、上記特許文献1に記載された発明では、インクの色材として自己分散顔料を用いることで、耐固着性などの信頼性を向上させることはできるが、画像の耐擦過性は不十分である。また、自己分散顔料を含有するインクにさらに樹脂微粒子を添加している特許文献2に記載された発明では、耐擦過性の低下は抑制し得る。しかし、樹脂微粒子を使用しているために、インク中の水性媒体が蒸発すると、インクが増粘し、流動性が低下するため、耐固着性が不十分である。さらに、特許文献2に記載されたインクは樹脂微粒子を含有するため、インクジェット記録方法に用いると連続吐出安定性が不十分となる。また、インクの浸透性が低い記録媒体に画像を記録すると、顔料の凝集状態にムラが生じ、画像の均一性も不十分であった。また、特許文献3では、染料と特定構造のアミン化合物を含有するインクにより画像の耐水性を向上させることができるとされているが、顔料を含有する水性インクに特有である耐擦過性の低下という課題についての着目はない。
したがって、本発明の目的は、耐擦過性及び均一性に優れた画像を記録可能な、保存安定性及び連続吐出安定性に優れたインクジェット用水性インク、該インクを用いたインクジェット記録方法、並びにインクカートリッジを提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して親水性基が結合している自己分散顔料、樹脂微粒子、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット用水性インク。
Figure 2012233112
(一般式(1)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。R2は、水素原子又は−(CH2)a−X1であり、aは1〜4の整数である。R3は、水素原子、−(CH2)b−X2、又は−R4−Yであり、bは1〜4の整数である。R4は水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。Yは(NR6m2m)e(NHCp2p)fを表し、m及びpは2〜4の整数、e+fは0〜50の整数である。R6は(CH2)h−X4であり、hは1〜4の整数である。Zは(NR5l2l)c(NHCn2n)dであり、l(エル)及びnは2〜4の整数、c+dは0〜50の整数である。R5は(CH2)g−X3であり、gは1〜4の整数である。X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基若しくはその塩、又は、スルホン酸基若しくはその塩である。そして、R2及びR3が共に水素原子である場合、cが0になることはなく、また、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子になることもない。)
本発明によれば、耐擦過性及び均一性に優れた画像を記録可能な、保存安定性及び連続吐出安定性に優れたインクジェット用水性インク、該インクを用いたインクジェット記録方法、並びにインクカートリッジを提供することができる。
次に好ましい発明の実施の形態を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、以下の記載において、インクジェット用水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、各種の物性は、常温(25℃)において測定した値である。
先ず、本発明者は、顔料を含有するインクによって形成された画像の耐擦過性とインクの耐固着性を両立するために、以下の検討及び考察を行った。顔料を含有するインクにおいては、記録ヘッドの吐出口近傍に存在するインクから、水性媒体の蒸発により、顔料の凝集が生じてインクの耐固着性が低下する。一方、記録媒体上では、凝集した顔料は水に再度分散しづらいために、画像の耐水性が向上する。しかし、記録媒体上で凝集した顔料は剥き出しの状態であるため、大きな外力で容易に擦れ易く、画像の耐擦過性が不十分である。
そこで、画像の耐擦過性を向上させるために、記録媒体上において顔料の凝集物が剥き出しにならない方法を検討した。具体的には、インク中に水溶性樹脂を含有させたインク(以下、「インクA」ともいう)を用いて、記録媒体上で凝集する顔料を水溶性樹脂で結着する方法を検討した。その結果、水溶性樹脂の量を増やすと画像の耐擦過性が良化する傾向となることがわかったが、顔料と水溶性樹脂が一緒に削れる、又は一緒に引き伸ばされているように見られ、依然として耐擦過性は不十分であった。さらに、水溶性樹脂量の増加に伴い耐擦過性は良化するが、インクの耐固着性は逆に大幅に低下することがわかった。
次に、記録媒体上の顔料の凝集性を高める方法を検討した。具体的には、顔料と上記特許文献3に記載されたアミン化合物(本発明で用いる一般式(1)で表される化合物)を含有するインク(以下、「インクB」ともいう)を用いて、画像を記録し、検討を行った。その結果、一般式(1)で表される化合物が、顔料粒子間に網目構造を形成することにより、記録媒体上における顔料の凝集物の強度は高まり、水に再度分散しづらくなった。このため、特許文献3にも記載されているように、画像の耐水性などは良好になった。しかし、耐擦過性に関しては依然として不十分であった。これは、記録媒体上で凝集した顔料粒子間には、一般式(1)で表される化合物による網目構造が形成されているものの、顔料の凝集物が剥き出しになっていることが原因であると考えられる。
さらに、インクBに水溶性樹脂を添加したインク(以下、「インクC」ともいう)で検討した。その結果、水溶性樹脂の影響が大きく、上記インクAと同様の結果になった。
ここで、本発明者は、上記3つの検討より、以下のような考えに至った。水溶性樹脂と顔料を含有する上記インクAは、インク中の水溶性樹脂が絡み合い、顔料と水溶性樹脂が混在した状態で定着する。水溶性樹脂量が少ないと、記録媒体上において顔料の凝集物が剥き出しになって画像の耐擦過性が不十分である。一方、水溶性樹脂量を増やすと、記録媒体上において剥き出しとなっている顔料の凝集物が少なくなるが、水溶性樹脂と顔料が混在して定着する。このため、外力を加えると、顔料と水溶性樹脂が一緒に移動してしまい、耐擦過性が不十分となる。さらに樹脂量を増やすと水溶性樹脂の固化により耐擦過性は向上し得るが、水溶性樹脂の固化が強くなる。このため、記録ヘッドの吐出口近傍においては、インクの粘度が極めて上昇しやすく、耐固着性が不十分となる。また、上記インクBでは、顔料粒子間に一般式(1)で表される化合物が網目構造を形成し、記録媒体上における顔料の凝集物の強度は高まる。しかし、顔料の凝集物は剥き出しとなっているので耐擦過性が得られない。ただし、顔料粒子間に形成された網目構造は柔軟性を有するため、強固な固着状態にはならない。このため、上記インクCにおいても、インクAとBとを足し合わせたような結果となるのみであった。
画像の耐擦過性とインクの耐固着性を両立するには、以下のようにすることが必要である。先ず、記録媒体上における顔料の凝集物顔料を剥き出しにしないために、インクが記録媒体に付与された後に、画像の最表面、すなわち顔料の凝集物の上に層を設けるようにする。さらに、該層を形成する成分は、水溶性樹脂のようにインク中で絡み合いづらく、また、インク中の水性媒体の蒸発により固化しづらい成分を用いることが必要であるという結論に至った。以上の考察を基に、本発明者は、さまざまな顔料やインク組成について検討を行った結果、下記記載のインクを用いると画像の耐擦過性とインクの耐固着性を両立できるという結論に至り、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のインクは、顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して親水性基が結合している自己分散顔料、樹脂微粒子、及び後述する一般式(1)で表される化合物を含有することを要する。
本発明のインクによる画像記録のメカニズムは以下のように推測される。インクが記録媒体に付与されて形成されたドットにおいては、水性媒体が浸透や蒸発で減少すると、相対的に比重の大きい自己分散顔料がドットの下層に集まり、相対的に比重の小さい樹脂微粒子はドットの上層に集まりやすくなる。インク中では一般式(1)で表される化合物はミセルを形成しているが、このミセルは樹脂微粒子及び自己分散顔料よりも比重が非常に小さいため、ドット内においても均一に存在する。この際、上層の樹脂微粒子間には前記ミセルにより網目構造が形成され、下層の顔料粒子間にも前記ミセルにより網目構造が形成される。このようにして、2層の状態が形成された後、ドットが記録媒体に定着すると考えられる。このため、記録される画像は、ミセルにより網目構造が形成された樹脂微粒子を含む層によって、ミセルにより網目構造が形成された顔料粒子を含む層が覆われるため、耐擦過性が向上すると考えられる。
一方、自己分散顔料ではなく、水溶性樹脂や界面活性剤を分散剤として用いて分散された顔料を含有するインクでは、画像の耐擦過性は不十分になる。これは、おそらく、顔料の分散に用いられる水溶性樹脂や界面活性剤がミセルによる網目構造の形成を阻害し、前記したような層分離が発現しないためと考えられる。また、樹脂微粒子ではなく、水溶性樹脂のみを含有するインクでも、同様の理由により画像の耐擦過性が不十分となると考えられる。
また、インク中では、自己分散顔料、樹脂微粒子、及び一般式(1)で表される化合物が、水性媒体中に共存し、該化合物はミセルを形成している。水性媒体が蒸発すると、ミセルにより網目構造が形成された樹脂微粒子と、ミセルにより網目構造が形成された顔料粒子と、がインク液滴中に存在することになる。これらの網目構造は柔軟性が高いので、インクは固化しづらく、インクの耐固着性や連続吐出安定性が良好になると考えられる。
<インクジェット用水性インク>
以下、本発明のインクジェット用水性インクを構成する各成分について詳細に説明する。
(自己分散顔料)
本発明のインクに用いる色材は、顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して親水性基が結合している自己分散顔料である。自己分散顔料を用いることにより、該顔料をインク中に分散するための樹脂分散剤の添加が不要となる、又は樹脂分散剤の添加量を少量とすることができる。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.2質量%以上8.0質量%以下、特には0.3質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。自己分散顔料の含有量が上記範囲内であることで、画像濃度の向上と、顔料の凝集物が形成される際に、凝集物を形成できない顔料が少なくなりやすいため、特に好適である。
顔料粒子の表面に、直接又は他の原子団を介して化学的に結合している親水性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性基や、エチレンオキサイド基などのノニオン性基が挙げられる。上記アニオン性基は塩型であってもよく、塩を形成するカチオンとしては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アンモニウム、有機アンモニウムが挙げられる。また、前記他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホン基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基が挙げられる。また、これらの基を組み合わせた基などが挙げられる。本発明の効果をより高いレベルで得られ、また、インクの連続吐出安定性にも優れるため、顔料粒子の表面にアリーレン基を介して親水性基が共有結合している自己分散顔料を用いることが特に好ましい。
本発明においては、親水性基がアニオン性基、特にはスルホン酸基であることが好ましい。なお、アニオン性基やスルホン酸基は塩を形成していてもよい。これは、一般式(1)で表される化合物がカチオン性基を有しているため、一般式(1)で表される化合物のミセルにより自己分散顔料の網目構造の形成が容易になる。これにより、本発明の効果をより高いレベルで得ることができるとともに、インクの連続吐出安定性も向上する。特に、アニオン性基の中でもスルホン酸基はpKaが低く、一般式(1)で表される化合物のミセルと自己分散顔料との相互作用が特に効果的に発揮され、好適である。
顔料の種類としては、カーボンブラックなどの無機顔料、アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、オキサジンなどの有機顔料が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。顔料の体積平均粒径は、50〜150nmであることが好ましい。また、カーボンブラックを使用する場合、一次粒径が15〜40nm、BET比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150mL/100g、揮発分が0.5〜10%の特性を有するものが好ましい。なお、本発明においては、本発明の効果が得られる範囲で、上記自己分散顔料に加えて、他の分散方式の顔料(樹脂分散顔料、マイクロカプセル顔料、樹脂結合型自己分散顔料など)や、水溶性色材(染料など)をさらに含有させてもよい。
(樹脂微粒子)
本発明のインクには、樹脂微粒子を含有させる。インク中の樹脂微粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。含有量が0.5質量%未満であると、本発明の効果が十分に得られない場合があり、15.0質量%を超えると、インクの連続吐出安定性が十分に得られない場合がある。
樹脂微粒子を構成するユニットには、少なくとも疎水性ユニット及び親水性ユニットが含まれることが好ましい。これらのユニットは、樹脂微粒子に水分散性を持たせる観点などから適宜選択することができる。重合により疎水性ユニットとなる疎水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物類;(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、アルキルビニルエーテルなどのビニル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香族化合物類などが挙げられる。
また、重合により親水性ユニットとなる親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボキシ基を有する化合物;スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルなどのスルホン酸基を有する化合物;ビニルホスホン酸などのリン酸基又はホスホン酸基を有する化合物;これらのアニオン性基を有する化合物の塩や誘導体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどのヒドロキシ基を有する化合物類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有する化合物類などが挙げられる。アニオン性基を有する化合物の塩としては、上記化合物のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩などが挙げられる。これらのアニオン性基を有する化合物やその塩の中でも、カルボキシ基を有する化合物やその塩、スルホン酸基を有する化合物やその塩を用いることが好ましく、さらには、カルボキシ基を有する化合物やその塩を用いることが特に好ましい。
樹脂微粒子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の数平均分子量が、100,000以上3,000,000以下、特には300,000以上2,000,000以下であることが好ましい。また、樹脂微粒子は、平均粒径が、20nm以上500nm以下、さらには120nm以上250nm以下であることが好ましい。なお、本発明における樹脂微粒子の平均粒径は、体積平均粒径の50%累計値により求められる平均粒径D50である。平均粒径が120nm未満であると、樹脂微粒子の単位体積当たりの表面積が大きくなるため、乾燥しやすく、記録ヘッドの吐出口に固着し易くなり、インクの連続吐出安定性が十分に得られない場合がある。また、平均粒径が250nmを超えると、インク中での樹脂微粒子の沈降速度が大きくなるため、インクの連続吐出安定性や保存安定性が十分に得られない場合がある。
樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上90℃以下、特には50℃以上80℃以下であることが好ましい。なお、Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値である。Tgが40℃未満であると、樹脂が軟らかく、画像の耐擦過性が十分に得られない場合がある。一方、Tgが90℃を超えると、樹脂微粒子の最低造膜温度も高くなるため、画像の耐擦過性が高いレベルで得られない場合がある。ガラス転移温度を上述の範囲内とすることが容易に達成されるため、本発明においては、樹脂微粒子がアクリル系樹脂であることが好ましい。より具体的には、樹脂微粒子を構成するユニットとして、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物類に由来するユニットを含むことが好ましい。
(一般式(1)で表される化合物)
本発明のインクには、下記一般式(1)で表される化合物を含有させる。インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、特には1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
Figure 2012233112
(一般式(1)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。R2は、水素原子又は−(CH2)a−X1であり、aは1〜4の整数である。R3は、水素原子、−(CH2)b−X2、又は−R4−Yであり、bは1〜4の整数である。R4は水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。Yは(NR6m2m)e(NHCp2p)fを表し、m及びpは2〜4の整数、e+fは0〜50の整数である。R6は(CH2)h−X4であり、hは1〜4の整数である。Zは(NR5l2l)c(NHCn2n)dであり、l(エル)及びnは2〜4の整数、c+dは0〜50の整数である。R5は(CH2)g−X3であり、gは1〜4の整数である。X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基若しくはその塩、又は、スルホン酸基若しくはその塩である。そして、R2及びR3が共に水素原子である場合、cが0になることはなく、また、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子になることもない。)
1は、炭素数3〜25のアルキル基であることが好ましく、炭素数8〜16のアルキル基であることがさらに好ましい。また、R4は、炭素数2〜12のアルキル基であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。なお、以下の化合物のなかでも、分岐構造を有するものよりも、化合物1〜4、8、12、14、29、30のような直鎖構造を有するものの方が本発明の効果がより高いレベルで得られるために好ましい。勿論、本発明においては、前記一般式(1)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の化合物に限られるものではない。
化合物1:C1225NHC24COOK
化合物2:C1225NHC24NHCH2COONa
化合物3:C817NHC24COONa
化合物4:C1633NHC24NHCH2COONa
化合物5:C1837(NHC24)4N(CH2COONa)2
化合物6:C1531(NHC24)2N(CH2COOLi)2
化合物7:C1531(NHC24)N{CH2COOH・N(CH2CH2OH)3}2
化合物8:C1633NHC24N(COONa)2
化合物9:C1225N(C24COONa)2
化合物10:C4897(NHC24)3N(CH2COONa)2
化合物11:C1531(NHC24)2NHCH2COONa
化合物12:C1531NHC24COOLi
化合物13:C37(NHC24)2NHCH2COONa
化合物14:C1225NHC24COONa
化合物15:C1225(NHC24)NHCH2COOLi
化合物16:C1225(NHC24)NHC24SO3Li
化合物17:C1531(NHC24)NHCH2SO3Na
化合物18:C2041(NHC24)NHCH2SO3NH4
化合物19:C1531(NHC24)2NHC24COONH4
化合物20:C2551(NHC24)3NHCH2SO3Li
化合物21:C1531(NHC24)NHCH2SO3H・N(CH2CH3)3
化合物22:C1021(NHC24)3NHCH24COOH・NH(CH2CH3)2
化合物23:C1225(NHC24)2NHCH2COONH4
化合物24:C511(NHC24)2NHCH2COONa
化合物25:C715(NHC24)224COONa
化合物26:C1225(NHC24)4NHCH2COONa
化合物27:(C817NHC24NHC24)2NCH2COONa
化合物28:(C511NHC24)2NC24COONa
化合物29:C1225NHC36NHCH2COONH4
化合物30:C1225NHC36NHC24COONa
化合物31:C817N(CH3)C24N(CH3)C24NHC24COONa
化合物32:C1225NHC36N(CH3)C24COOLi
化合物33:C1225N(C24NHCH2COONa)(CH2COONa)
化合物34:C817N{C24(C24COONH4)2}(C24COONH4)
(水性媒体)
本発明のインクには、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を水性媒体として含有させることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、30.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。水の含有量が30.0質量%未満であると、水溶性成分を十分に溶解させることができない場合や、インクの粘度が高くなり、高いレベルの連続吐出安定性が得られない場合がある。一方、水の含有量が95.0質量%を超えると、インク中の蒸発成分が多くなり過ぎ、高いレベルの耐固着性が得られない場合がある。
また、水溶性有機溶剤としては、従来、インクジェット用のインクに一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素数が1〜4程度のアルキレングリコール類、数平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上40.0質量%以下、さらには3.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分以外にも必要に応じて、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの常温で固体の有機化合物や、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤、水溶性樹脂などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。
(インクの物性)
本発明のインクのpHは、インクの保存安定性の点から、一般式(1)で表される化合物の等電点以上であることが好ましい。特に、インク中の顔料や樹脂微粒子の分散状態を安定に保つためにも、本発明のインクのpHは6.5以上であることが好ましい。また、本発明のインクは、上述のメカニズムが生じるため、通常のインクジェット用インクと比べても低い表面張力、具体的には、20mN/m程度を下回る表面張力であっても、良好な画像品位を得ることができる。ただし、記録ヘッドからの吐出性という観点から、インクの表面張力が20〜40mN/m、さらには25〜40mN/mであることが好ましい。さらに、インクの粘度が15mPa・s以下であることが好ましく、さらには10mPa・s以下、特には5mPa・s以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備えてなり、前記インク収容部に、上記で説明した本発明のインクが収容されてなるものである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。または、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドにより上記で説明した本発明のインクを吐出して、記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式やインクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。本発明において使用することができる記録媒体としては、普通紙や光沢紙などの浸透性の記録媒体や、フィルムなどの非浸透性の記録媒体が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法は、画像の記録に先立って記録媒体を加熱する工程をさらに有することが好ましい。これは、先に述べたドット上層への樹脂微粒子の移動がより生じやすくなるだけでなく、樹脂微粒子の造膜も促進され、画像の耐擦過性が特に良好となるためである。記録媒体の加熱温度は、造膜をより効率的に生じさせるため、樹脂微粒子の最低増膜温度以上とすることが好ましい。
次に、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、成分量に関し、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
<樹脂微粒子を含む分散液の調製>
以下に示す手順により、樹脂微粒子を含む分散液1〜3をそれぞれ調製した。
三口フラスコに、撹拌棒、冷却管、滴下用シリンジ、及び窒素ガス導入管を接続し、これを50℃に保持した恒温槽中に設置した。この三口フラスコに、ホモジナイザーを用いて10,000rpmで15分間撹拌して得られた下記成分の乳化物を入れた。
・過硫酸カリウム(重合開始剤):0.5部
・ラテムルPD−104(乳化剤;花王製):3.0部
・メタクリル酸メチル:4.25部
・アクリル酸2−エチルヘキシル:0.6部
・メタクリル酸:0.15部
・イオン交換水:130.0部
次に、ホモジナイザーを用いて10,000rpmで15分間撹拌して得られた下記成分の乳化物を滴下用シリンジに入れ、1時間かけて上記の三口フラスコに滴下した。
・過硫酸カリウム(重合開始剤):0.5部
・ラテムルPD−104(乳化剤;花王製):3.0部
・メタクリル酸メチル:85.0部
・アクリル酸2−エチルヘキシル:12.0部
・メタクリル酸:3.0部
・イオン交換水:130.0部
その後、恒温槽を温度80℃として30分間保ち、成分を反応させ、樹脂微粒子を合成した。得られた樹脂微粒子の安定性を高めるために、10%水酸化カリウム水溶液と適量のイオン交換水を加え、pHが8.3、樹脂微粒子(固形分)の含有量が45.0質量%である樹脂微粒子1を含む分散液を得た。
また、上記2工程で成分を撹拌する際のホモジナイザーの回転数をいずれも表1に示すように変更した以外は、樹脂微粒子1を含む分散液の調製と同様にした。これにより、pHが8.3、樹脂微粒子(固形分)の含有量が45.0%の樹脂微粒子2、3を含む分散液をそれぞれ得た。
得られた樹脂微粒子の平均粒径及び数平均分子量を測定した。樹脂微粒子の平均粒径は、マイクロトラックUPA−EX150(日機装製)を用いて、体積平均粒径の50%累計値により求められる平均粒径を測定した。また、樹脂微粒子の数平均分子量はGPCを用いて測定した。
本発明におけるGPCの測定条件は以下の通りである。
・装置:Alliance GPC 2695(Waters製)
・カラム:Shodex KF−806Mの4連カラム(昭和電工製)
・移動相:THF(特級)
・流速:1.0mL/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料溶液の注入量:0.1mL
・検出器:RI(屈折率)
・ポリスチレン標準試料:PS−1及びPS−2(Polymer Laboratories製、分子量は7,500,000、2,560,000、841,700、377,400、320,000、210,500、148,000、96,000、59,500、50,400、28,500、20,650、10,850、5,460、2,930、1,300、及び580の17種)。
Figure 2012233112
<顔料分散液の準備>
インクの調製に使用する顔料分散液1〜7を準備した。顔料分散液の特性を表2に示す。
Figure 2012233112
(樹脂水溶液A、顔料分散液7の調製)
ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びエトキシエチレングリコールメタクリレートを原料として、酸価350mgKOH/g、数平均分子量5,000のABC型ブロック共重合体を常法により合成した。得られたブロック共重合体を水酸化カリウム水溶液で中和し、適量のイオン交換水を加え、樹脂(固形分)の含有量が50.0%である樹脂水溶液Aを調製した。
60gの樹脂水溶液A、100gのカーボンブラック、及び340gのイオン交換水を混合し、30分間機械的に撹拌して混合物を得た。次に、この混合物を、マイクロフルイダイザーを用いて、液体圧力約10,000psi(約70MPa)の条件で相互作用チャンバ内に5回通すことによって分散処理し、分散液を得た。さらに、この分散液を12,000rpmで20分間遠心分離処理することで粗大粒子を除去し、固形分を調整して、顔料分散液7を得た。顔料分散液7中の顔料(固形分)の含有量は10.0%、樹脂分散剤(固形分)の含有量は3.5%であった。
<インクの調製>
表3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.1μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、ポリエチレングリコールは数平均分子量600のものを使用した。また、化合物1〜4は上記一般式(1)で表される化合物であり、それぞれ以下の構造を有する。また、実施例及び参考例の各インクは、それぞれのインクに使用されている上記一般式(1)で表される化合物の等電点よりアルカリ側となるように、アンモニア水を用いて、インクのpHを調整した。
・化合物1:C1225NHC24COO-+
・化合物2:C1225NHC24NHCH2COO-Na+
・化合物3:C817NHC24COO-Na+
・化合物4:C1633NHC24NHCH2COO-Na+
Figure 2012233112
Figure 2012233112
Figure 2012233112
Figure 2012233112
<評価>
上記で得られた各インクを用いて、以下の評価を行った。画像の耐擦過性及び均一性、インクの連続吐出安定性の評価には、インクジェット記録装置(imagePROGRAF iPF6000S;キヤノン製)を用いた。この装置では、解像度が600dpi×600dpiであり、1/600インチ×1/600インチの単位領域に1滴あたり4pLの体積のインクを4滴付与する条件で記録した画像が、記録デューティが100%であると定義される。本発明においては、下記の各項目の評価基準でA以上を許容できるレベル、B以下を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(画像の耐擦過性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に搭載した。そして、記録媒体(キャストコート紙、商品名:ミラーコートゴールド;王子製紙製)のキャスト面側に、記録デューティを100%とした10mm×100mmのベタ画像を記録し、記録物を得た。得られた記録物を25℃の環境で3日間放置した後、JIS L0805で規定される摩擦用白布を用いて画像を擦り、擦った画像とその周囲を目視で確認して、下記の基準で画像の耐擦過性の評価を行った。
AA:画像の周囲が汚れていなかった。
A:画像の周囲がわずかに汚れていたが、画像は乱れていなかった。
B:画像の周囲が汚れ、また、擦った部分の画像の顔料が他の箇所と異なった状態となっていた。
C:画像の周囲が汚れ、また、画像から顔料が削れたが、記録媒体は見えなかった。
D:画像の周囲が汚れ、また、画像から顔料が削れ、記録媒体が見えた。
(画像の均一性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に搭載した。そして、記録媒体(キャストコート紙、商品名:ミラーコートゴールド;王子製紙製)のキャスト面側に、記録デューティを100%とした60mm×130mmのベタ画像を記録し、記録物を得た。得られた記録物の画像を、スキャナ(商品名:Canoscan5600F;キヤノン製)で読み取った。そして、60mm×130mmの領域のうち、インクで着色されている部分の面積をS0、インクがはじかれて記録媒体が露出した部分の面積をS1とした場合の、S=S0/S1の値を求めた。得られたSの値から、下記の基準で画像の均一性の評価を行った。
A:Sの値が0.8以上であった。
B:Sの値が0.8未満であった。
(インクの耐固着性)
上記で得られた各インクの15gをそれぞれガラスシャーレに入れ、温度35℃、相対湿度10%の環境で蓋をせずに1週間放置した後、インクの状態を確認して、下記の基準でインクの耐固着性の評価を行った。なお、この評価方法では、シャーレ中に入れたインクの状態から、記録ヘッドの吐出口におけるインクの固着のしやすさを判断する。下記の基準でA以上となるインクであれば、記録ヘッドにおける耐固着性が許容できるレベルであることになる。
AA:インクが流動性を有していた。
A:インクは流動性を有していたが、沈殿析出物又は液界面に膜状の析出物が見られた。
B:インクの表面は流動性を有していなかったが、内部は柔らかく流動性があった。
C:インクの表面が固くなっており、内部は流動性がなく粘調であった。
D:インク表面や内部が固体になっていた。
(インクの連続吐出安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記インクジェット記録装置に搭載した。そして、市販の上質紙に、罫線を記録する各吐出口に対応するヒーターに与えられる総パルス数が1×108パルスになるまで4本の罫線を連続して記録し、最後に記録した記録物を目視で確認して、下記の基準でインクの連続吐出安定性の評価を行った。
AA:4本の罫線のすべてにおいて、ヨレ、罫線の細り、不吐出がなく、正常に記録されていた。
A:一部の罫線にヨレがあったが、罫線の細りや不吐出はなかった。
B:一部の罫線に細りが見られたが、不吐出はなかった。
C:一部の罫線が不吐出により記録できていなく、残りの罫線にもヨレや細りが見られた。
D:すべての罫線が記録できなかった。
Figure 2012233112
また、予め80℃に加熱した記録媒体を用いること以外は上記の実施例10と同様にして画像の耐擦過性を評価するための画像を記録し、記録物を得た。得られた記録物の画像を、JIS L0805で規定される摩擦用白布を用いて、JIS L0849に準拠した方法(接触面積100mm2あたり2Nの荷重)で50回擦った。擦った前後での画像の光学濃度を、反射濃度計(RD−19I;Gretag Macbeth製)を用いて測定した。その結果、擦る前の画像の光学濃度をOD0、擦った後の画像の光学濃度をOD50とした場合の、OD=OD50/OD0を算出したところ0.9以上となり、非常に良好な耐擦過性が得られた。
上記で得られた実施例の各インクをそれぞれ密閉容器に入れ、温度60℃の環境で1カ月間保存したところ、良好な保存安定性が得られた。また、pHが本発明のインクに与える影響を評価するために、等電点が6.0〜6.5の範囲にある化合物1を含む実施例5のインクを例に挙げて以下の実験を行った。先ず、上記と同様に実施例5のインクを調製し、それを2つに分け、それぞれのpHを7と5に調整した。次に、各インクを密閉容器に入れて25℃の環境で3日間保存した。その後、各インクの状態を目視で確認したところ、pH7のインクにおいては沈殿物が生じていなかった。一方、pH5のインクにおいては沈殿物が生じており、pH7のインクと比べて相対的に保存安定性が低くなっていた。

Claims (6)

  1. 顔料粒子の表面に直接又は他の原子団を介して親水性基が結合している自己分散顔料、樹脂微粒子、及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするインクジェット用水性インク。
    Figure 2012233112
    (一般式(1)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。R2は、水素原子又は−(CH2)a−X1であり、aは1〜4の整数である。R3は、水素原子、−(CH2)b−X2、又は−R4−Yであり、bは1〜4の整数である。R4は水素原子又は炭素数1〜48のアルキル基である。Yは(NR6m2m)e(NHCp2p)fを表し、m及びpは2〜4の整数、e+fは0〜50の整数である。R6は(CH2)h−X4であり、hは1〜4の整数である。Zは(NR5l2l)c(NHCn2n)dであり、l(エル)及びnは2〜4の整数、c+dは0〜50の整数である。R5は(CH2)g−X3であり、gは1〜4の整数である。X1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立に、水素原子、カルボキシ基若しくはその塩、又は、スルホン酸基若しくはその塩である。そして、R2及びR3が共に水素原子である場合、cが0になることはなく、また、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子になることもない。)
  2. 前記自己分散顔料が、前記顔料粒子の表面にアリーレン基を介して前記親水性基が共有結合している請求項1に記載のインクジェット用水性インク。
  3. 前記親水性基がスルホン酸基であり、かつ、前記樹脂微粒子及び前記一般式(1)で表される化合物がいずれもカルボキシ基を有する請求項1又は2に記載のインクジェット用水性インク。
  4. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. さらに、画像の記録に先立って、前記記録媒体を加熱する工程を有する請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. インクを収容するインク収容部を有するインクカートリッジであって、前記インク収容部に収容されたインクが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
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