JP2012231149A - 有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子 - Google Patents

有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換特性に優れる有機光電変換素子、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板2と、基板2上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、電子受容体6及び電子供与体5を含んで形成された活性層9と、一方の該電極と活性層9との間に、下記式(I)または(II)で表わされるベンゾポルフィリン化合物を含んで形成されたベンゾポルフィリン化合物層とを備える。
Figure 2012231149

【選択図】図1

Description

本発明は、有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子に関する。特に、有機薄膜太陽電池及び光センサに用いて好適な、有機光電変換素子に関する。
従来、有機光電変換素子のひとつである太陽電池としては、多結晶シリコンを用いたものが開発され実用化されている。その製造には高純度シリコンが必要とされ、製造工程は高温プロセスからなり、製造に要するエネルギーを考慮すると、太陽電池として必ずしも省エネルギー技術に十分貢献しているとは言えなかった。また、屋外の発電用途以外では、例えば、可搬型の太陽電池に要求されるプラスチック基板上への素子作製にも課題を残していた。
一方、別の有機光電変換素子である光センサとしては、ファクシミリや複写機におけるイメージセンサなどが挙げられる。このような光センサは、シリコン結晶を用いた一次元センサによるスキャナを利用した画像読み取り装置において実用化されている。しかし、これまでのところ、スキャン不要で大面積の二次元センサは実用化されていない。
近年、上記の点を改良するため、製造に省エネルギーが期待でき、大面積化が容易な塗布プロセスを適用できる、有機材料を用いた太陽電池の開発が行われるようになってきた。例えば、有機材料を用いた湿式太陽電池として、色素増感型が検討されている。しかし、この湿式太陽電池は、電解質溶液を用いた系であるために、液漏れや液中のヨウ素抜けが生じることがあり、未だ実用化には至っていない。
また、有機材料を用いた別の太陽電池としては、全固体型の有機薄膜太陽電池が挙げられる。この太陽電池には、ヘテロ接合型とバルクへテロ接合型がある。ヘテロ接合型とは、電子供与体からなる層と電子受容体からなる層とを積層して、接合界面における光誘起によって生じる電荷移動を利用するものである。例えば、非特許文献1では、電子供与体として銅フタロシアニンを用い、電子受容体としてペリレン誘導体を用いて、変換効率1%を達成した太陽電池が報告されている。この他にも、電子供与体としてはペンタセンやテトラセン等の縮合多環芳香族化合物が検討されており、電子受容体としてはC60のようなフラーレン化合物が検討されている。
一方、バルクへテロ接合型とは、電子供与体と電子受容体とを適当な比率で混合して活性層を形成するもので、ヘテロ接合型が2層構造で活性層を形成するのとは異なる。電子供与体と電子受容体との接合は、混合活性層のバルク中において一様に存在し、太陽光を有効に活用できる。このバルクへテロ接合型素子を作製する方法としては、真空蒸着により電子供与体及び電子受容体を共蒸着して活性層を形成するものと、両者の混合溶液からスピンコートや印刷法により塗布して形成するものとがある。真空蒸着法では、銅フタロシアニンとC60とからなる活性層が報告されている(非特許文献2)。また、湿式塗布法では、共役系高分子であるポリチオフェンとフラーレンの可溶性誘導体である[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)とを混合した系が代表的なものとして挙げられる(非特許文献3)。
また、ベンゾポルフィリン化合物を用いた太陽電池に関しては、ショットキー接合型の素子(非特許文献4)やペリレン誘導体を電子受容体層とするヘテロ接合型素子(非特許文献5および特許文献1)が報告されているが、いずれも変換効率は低く、実用化には大きな課題が残されていると言える。
特開2003−304014号公報
C.W. Tang:Appl. Phys. Lett., 48巻,183−185頁,1986年 S. Uchidaら:Appl. Phys. Lett., 84巻,4218−4220頁,2004年 S.E. Shaheenら:Appl. Phys. Lett., 78巻,841−843頁,2001年 K. Yamashitaら:Bull. Chem. Soc. Jpn., 60巻,803−805頁,1987年 D. Wohrleら:J. Mater. Chem., 5巻,1819−1829頁,1995年
上述した従来の有機薄膜太陽電池においては、電子供与体と電子受容体との有効な接触面積が十分ではなく、また、電荷の移動度も低かった。このため、シリコン系太陽電池と比較して、変換効率は低く、光電変換素子としての基本性能の改善が課題となっている。
本発明は上述した課題に鑑みて創案されたもので、従来よりも光電変換特性に優れる有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、可溶性前駆体から熱変換したベンゾポルフィリン化合物を、有機光電変換素子の電子供与体として用いることにより、光電変換特性の向上が可能であることを見出した。
即ち、本発明の要旨は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、電子供与体を含んで前記電極間に形成された電子供与体層と、電子受容体を含んで前記電極間に形成された電子受容体層とを備えた有機光電変換素子の製造方法であって、ビシクロ環を有する、下記式(I)または(II)で表わされるベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体を、熱変換により、前記電子供与体である前記ベンゾポルフィリン化合物に変換して、前記電子供与体層を形成する工程を有することを特徴とする有機光電変換素子の製造方法に存する(請求項1)。
Figure 2012231149
Figure 2012231149
(前記式(I)及び(II)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
このとき、前記可溶性前駆体は、下記式(III)または(IV)で表される化合物であることが好ましい(請求項2)。
Figure 2012231149
Figure 2012231149
(前記式(III)及び(IV)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Y1〜Y4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
また、前記の熱変換により前記電子供与体層を形成する工程の後に、前記電子受容体層を、液相から塗布法で形成する工程を有することが好ましい(請求項3)。
若しくは、前記可溶性前駆体の層を塗布法により形成する工程と、前記可溶性前駆体の層の上に前記電子受容体層を形成する工程とを行ない、その後、前記の熱変換により前記電子供与体層を形成する工程を行なうことも好ましい(請求項4)。
本発明の別の要旨は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、前記式(I)または(II)で表わされるベンゾポルフィリン化合物を含んで前記電極間に形成された電子供与体層と、フラーレン化合物を含んで前記電極間に形成された電子受容体層とを備えることを特徴とする、有機光電変換素子に存する(請求項5)。
本発明の更に別の要旨は、基板と、前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、電子受容体及び電子供与体を含んで形成された活性層と、一方の該電極と該活性層との間に、前記式(I)または(II)で表わされるベンゾポルフィリン化合物を含んで形成されたベンゾポルフィリン化合物層とを備えることを特徴とする、有機光電変換素子に存する(請求項6)。
本発明の更に別の要旨は、前記請求項6記載の有機光電変換素子の製造方法であって、ビシクロ環を有する前記ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体を、熱変換により、前記ベンゾポルフィリン化合物に変換して前記ベンゾポルフィリン化合物層を形成する工程を有することを特徴とする、有機光電変換素子の製造方法に存する(請求項7)。
このとき、前記可溶性前駆体が、前記式(III)または(IV)で表される化合物である
ことが好ましい(請求項8)。
本発明の有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子によれば、光電変換特性が優れた有機光電変換素子を得ることができる。
本発明の第1実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図である。 本発明の第2実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図である。
以下、本発明について実施形態や例示物などを用いて説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物などに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
[1.ベンゾポルフィリン化合物]
本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、下記の式(I)又は(II)で表わされる。
Figure 2012231149
Figure 2012231149
(前記式(I)及び(II)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
式(I)及び式(II)において、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。
ia及びZibの例を挙げると、原子としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基;アミノ基;アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、ハロアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基等の有機基;などが挙げられる。
前記の有機基のうち、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アラルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アラルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアラルキル基の例としては、ベンジル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルケニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルケニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルケニル基の例としては、ビニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アシル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アシル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアシル基の例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アルコキシカルボニル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アルコキシカルボニル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、アリールオキシ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。アリールオキシ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このアリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアルキルアミノ基の例としては、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ジアラルキルアミノ基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ジアラルキルアミノ基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このジアラルキルアミノ基の例としては、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、ハロアルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常12以下、好ましくは8以下である。ハロアルキル基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。このハロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基などが挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族炭化水素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常6以上、好ましくは10以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族炭化水素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族炭化水素環基の例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記の有機基のうち、芳香族複素環基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常2以上、好ましくは5以上、また、通常30以下、好ましくは20以下である。芳香族複素環基の炭素数が大きすぎると、半導体特性が低下したり、溶解性が上がって積層時に再溶解をしたり、耐熱性が低下したりする可能性がある。この芳香族複素環基の例としては、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
さらに、上記の原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。前記置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基などが挙げられる。なお、この置換基は、1個が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
また、ZiaとZibとは、結合して環を形成していてもよい。ZiaとZibとが結合して環を形成する場合、当該Zia及びZibを含む環(即ち、Zia−CH=CH−Zibで表わされる構造の環)の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等の、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環;ピリジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環等の、置換基を有していてもよい芳香族複素環;シクロヘキサン環等の非芳香族環状炭化水素;などが挙げられる。
iaとZibとが結合して形成する環が有する前記の置換基は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その例としては、Zia及びZibを構成する原子団の置換基として例示したものと同様の置換基が挙げられる。なお、この置換基は、1個が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したZia及びZibの中でも、特に水素原子が好ましい。結晶のパッキングが良好で、高い半導体特性が期待できるためである。
式(I)及び式(II)において、R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。
1〜R4の例を挙げると、上述したZia及びZibと同様のものが挙げられる。また、R1〜R4が原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1個が単独又は複数で置換していてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
ただし、R1〜R4は、分子の平面性を高めるためには、水素原子、ハロゲン原子等の原子から選ばれることが好ましい。
式(I)及び式(II)において、Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。
Mが2価の金属原子である場合、その例としては、Zn、Cu、Fe、Ni、Co等が挙げられる。一方、Mが3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団である場合、その例としては、Fe−B1、Al−B2、Ti=O、Si−B34などが挙げられる。ここで、B1、B2、B3及びB4は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等の1価の基を表わす。
更に、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、例えば、1個の原子を2つポルフィリン環が共有して配位しているもの、2個のポルフィリン環が1個以上の原子あるいは原子団を共有して結合したもの、または、それらが3個以上結合して長鎖上に繋がったものであってもよい。
以下に、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物として好ましい具体例を挙げる。ただし、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は以下の例に限定されるものではない。また、ここでは対称性の良い分子構造を主に例示しているが、部分的な構造の組み合わせによる非対称構造であっても使用できる。
Figure 2012231149
Figure 2012231149
[2.ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体]
上述した本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体に対して熱変換を行なうことにより、得ることができる。以下、その可溶性前駆体について説明する。
本発明に係る可溶性前駆体は、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換しうるものである。その構造は、ビシクロ環を有し、熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換できる限り、任意である。
ただし、本発明に係る可溶性前駆体は、下記式(III)または(IV)で表される化合物が好ましい。
Figure 2012231149
Figure 2012231149
(前記式(III)及び(IV)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Y1〜Y4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
前記式(III)及び(IV)において、Zia、Zib、R1〜R4及びMは、それぞれ、式(I)及び(II)と同様である。
前記式(III)及び(IV)において、Y1〜Y4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。また、前記式(III)及び(IV)においてはY1〜Y4はそれぞれ4個ずつ存在するが、Y1同士、Y2同士、Y3同士、及びY4同士は、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
1〜Y4の例を挙げると、原子としては、水素原子などが挙げられる。
一方、原子団としては、水酸基、アルキル基などが挙げられる。ここで、アルキル基の炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。アルキル基の炭素数が大きすぎると、脱離基が大きくなるため、脱離基が揮発しにくくなり、膜内に残留する可能性がある。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。
また、Y1〜Y4が原子団である場合、当該原子団は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の置換基を有していてもよい。この置換基の例としては、前記Zia及びZibの置換基と同様のものが挙げられる。なお、この置換基は、1個が単独又は複数で置換して
いてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で置換していてもよい。
上述したY1〜Y4の中でも、水素原子、または、炭素数10以下のアルキル基が好ましい。さらにその中でも、Y1〜Y4の全てが水素原子であるか、または、(Y1,Y2)及び(Y3,Y4)のうち少なくとも一方の組がどちらも炭素数10以下のアルキル基であることが特に好ましい。溶解度が高くなり、成膜性が良好となるためである。
本発明に係る可溶性前駆体は、熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換される。変換に際してどのような反応が生じるかについて制限はないが、例えば前記の式(III)又は(IV)で表わされる可溶性前駆体の場合、熱が加えられることによって下記式(V)の化合物が脱離する。この脱離反応は定量的に進行する。そして、この脱離反応によって、本発明に係る可溶性前駆体は本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換される。
Figure 2012231149
熱変換について、上記にて例示したベンゾポルフィリン化合物BP−1を例に挙げて、具体的に説明する。ベンゾポルフィリン化合物BP−1の可溶性前駆体としては、例えば、式(III)において、Zia、Zib、R1〜R4及びY1〜Y4が全て水素原子である化合物(以下、「BP−1前駆体」という)を用いることができる。ただし、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の可溶性前駆体は、このBP−1前駆体に限定されるものではない。
BP−1前駆体は加熱されると、ポルフィリン環に結合した4個の環それぞれからエチレン基が脱離する。この脱エチレン反応により、ベンゾポルフィリン化合物BP−1が得られる。この変換を反応式で表わすと、以下のようになる。
Figure 2012231149
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、温度条件は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上である。温度が低すぎると、変換に時間がかかり、実用上好ましくなくなる可能性がある。上限は任意であるが、通常400℃以下、好ましくは300℃以下である。温度が高すぎると分解の可能性があるためである。
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、加熱時間は前記の反応が進行する限り制限はないが、通常10秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。加熱時間が短すぎると変換が不十分となる可能性があり、長すぎると実用上好ましくなくなる可能性がある。
本発明に係る可溶性前駆体を熱変換により本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する際、その雰囲気は前記の反応が進行する限り制限はないが、不活性雰囲気であることが好ましい。この際に用いることができる不活性ガスの種類としては、例えば、窒素、希ガス等が挙げられる。なお、不活性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る可溶性前駆体は、有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が高い。具体的な溶解性の程度は溶媒の種類などによるが、25℃におけるクロロホルムに対する溶解性は、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上である。なお、上限に制限はないが、通常1000g/L以下である。
本発明に係る可溶性前駆体が溶媒に対して溶解性が高いのに対し、それから誘導される本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は有機溶媒等の溶媒に対する溶解性が非常に低い。これは、本発明に係る可溶性前駆体の構造が平面構造でないために溶解性が高く且つ結晶化しにくいのに対し、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は構造が平面的であることに起因するものと推察される。したがって、このような溶媒に対する溶解性の違いを利用すれば、当該ベンゾポルフィリン化合物を含む層を塗布法により容易に形成できる。例えば、以下の方法により製造できる。即ち、本発明に係る可溶性前駆体を溶媒に溶解させて溶液を用意し、当該溶液を塗布してアモルファス又はアモルファスに近い良好な層を形成する。そして、この層を加熱処理して熱変換により本発明に係る可溶性前駆体を変換することで、平面性の高いベンゾポルフィリン化合物の層を得ることができる。この際、上述した例のように、式(III)又は(IV)で表わされる化合物のうちY1〜Y4が全て水素原子であるものを可溶性前駆体として用いると、脱離するものがエチレン分子であるため、系内に残りにくく、毒性、安全性の面で好適である。
本発明に係る可溶性前駆体の製造方法に制限はなく、公知の方法を任意に採用することができる。例えば、前記のBP−1前駆体を例に挙げると、以下の合成経路を経て製造できる。なお、ここで、Etはエチル基を表わし、t−Buはt−ブチル基を表わす。
Figure 2012231149
[3.有機光電変換素子]
[3−1.有機光電変換素子の概要]
本発明の有機光電変換素子は、少なくとも、基板と、一対の電極(即ち、正極及び負極)と、電子供与体を含んで前記電極間に形成された電子供与体層と、電子受容体を含んで前記電極間に形成された電子受容体層とを備える。ただし、電子供与体層及び電子受容体層は、それぞれ別の層として形成してもよいが、単一の層が電子供与体層及び電子受容体層としての機能を果たすように形成してもよい。
なお、前記の電子供与体層と電子受容体層とから、活性層が構成される。即ち、活性層とは、電子供与体層と電子受容体層とが別の層として形成されている場合には電子供与体層と電子受容体層とから構成される積層構造の層を指すこととなり(ヘテロ接合型)、電子供与体層と電子受容体層とが単一の層として形成されている場合には電子供与体層及び電子受容体層と同一の層を指すことになる(バルクヘテロ接合型)。
また、本発明の有機光電変換素子は、通常は、p型半導体層及びn型半導体層を備え、このp型半導体層とn型半導体層との間に前記の活性層を備える。
さらに、電子供与体層と電子受容体層とが単一の活性層として形成されている場合には、本発明の有機光電変換素子は、前記の活性層とは別に、ベンゾポルフィリン化合物を含有する電子供与体層(ベンゾポルフィリン化合物層)を備えることが好ましい。
また、本発明の有機光電変換素子は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した以外の構成要素を備えていてもよい。
ただし、本発明の有機光電変換素子においては、電子供与体層(活性層自体が電子供与体層である場合、及び、電子供与体が活性層を構成しない場合を含む)のうち少なくとも1層が、電子供与体として、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物が含んで形成されている。
さらに、本発明の有機光電変換素子を製造する際には、本発明に係る可溶性前駆体を、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換して、電子供与体層を形成する。一般に、ベンゾポルフィリン化合物を含有する電子供与体層は、真空蒸着法または湿式塗布法により形成することができる。しかし、従来の湿式塗布法の場合、ベンゾポルフィリン化合物は有機溶媒等に対する溶解度が低いため、塗布が困難であった。これに対し、本発明に係る可溶性前駆体を用いて、塗布成膜後に熱変換を行なうようにすれば、ベンゾポルフィリン化合物からなる電子供与体層を容易に形成することが可能である。
また、この場合、得られる層の結晶性及び形状を制御することも可能である。即ち、ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体を用いて、湿式法で成膜した後、加熱処理によりベンゾポルフィリン化合物に熱変換することにより、平面性の高いベンゾポルフィリン化合物を結晶状態で用いることができる。これにより、電子供与体としての移動度を改善するとともに、電子受容体との接触を有効にすることを通して、有機光電変換素子の光電変換特性を向上させることが可能である。また、ベンゾポルフィリン化合物を活性層と正極(p型半導体層を設ける場合は、当該p型半導体)との間に設けることでも、有機光電変換素子の特性を改善することが可能となる。
以下、本発明の有機光電変換素子について、実施形態を示して更に詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態に登場する構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
[3−2.第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図を示す。この図1に示すように、本実施形態の有機光電変換素子1は、基板2と、正極3と、p型半導体層4と、電子供与体層5と、電子受容体層6と、n型半導体層7と、負極8とを備える。また、この有機光電変換素子1においては、前記の電子供与体層5及び電子受容体層6とから活性層9が構成されている。
〔基板〕
基板2は有機光電変換素子1の支持体となるものである。したがって、この基板2上には、正極3、p型半導体層4、活性層9(即ち、電子供与体層5及び電子受容体層6)、n型半導体層7、及び負極8が設けられる。
基板2の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本実施形態においては基板2を通して有機光電変換素子1内に光を取り込むので、基板材料として透明な材料を使用する。通常は光のうちでも可視光を有機光電変換素子1の内に取り込むことになるため、透明な基板材料としては、当該基板2を透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。
このような観点から、基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス等の無機材料;プラスチック等の有機材料などが挙げられる。中でも、ガラス;ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の合成樹脂が好ましい。なお、基板材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、基板材料として合成樹脂を用いる場合には、ガスバリヤ性に留意することが好ましい。基板2のガスバリヤ性が低すぎると、基板2を通過する外気により有機光電変換素子1が劣化する可能性がある。このため、合成樹脂で基板2を形成する場合、当該合成樹脂基板のどちらか片側もしくは両側に、ガスバリヤ性を有する層(ガスバリヤ層)を形成することが好ましい。このガスバリヤ層としては、例えば、緻密なシリコン酸化膜などが挙げられる。
基板2の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シートなどの形状を用いることができる。
基板2の厚みには制限はない。ただし、通常5μm以上、中でも20μm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下に形成することが好ましい。基板2が薄すぎると有機光電変換素子1を保持する強度が不足する可能性があり、厚すぎるとコストが高くなったり、重量が重くなりすぎたりする可能性がある。
〔正極〕
基板2上には、正極3が形成されている。この正極3は、活性層9で電荷分離した正孔を、p型半導体層4を通して受け取る役割を果たす電極である。
正極3の材料(正極材料)は導電性を有していれば本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本実施形態では正極3を通して有機光電変換素子1の内に光を取り込むので、正極材料として透明な材料を使用する。通常は光のうちでも可視光を有機光電変換素子1の内に取り込むことになるため、透明な正極材料としては、当該正極3を透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。
このような観点から、正極材料の好適な例を挙げると、インジウム・スズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物等の金属酸化物などが挙げられる。なお、正極材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極3の厚みに制限はない。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも300nm以下とすることが好ましい。正極3が厚すぎると透明性が低下し、高コストとなる可能性があり、薄すぎると直列抵抗が大きく、性能が低下する可能性がある。
〔p型半導体層〕
正極3の上には、通常、p型半導体層4が設けられる。
p型半導体層4の材料(p型半導体材料)としては、活性層9(本実施形態では、特に電子供与体層5)で生成した正孔を効率よく正極3へ輸送できるものが好ましい。そのためには、p型半導体材料は、正孔移動度が高いこと、導電率が高いこと、正極3との間の正孔注入障壁が小さいこと、活性層9(特に、本実施形態では電子供与体層5)からp型半導体層4への正孔注入障壁が小さいこと、などの性質を有することが好ましい。
さらに、本実施形態ではp型半導体層4を通じて有機光電変換素子1の内に光を取り込むので、p型半導体材料として透明な材料を用いる。通常は光のうちでも可視光を有機光電変換素子1の内に取り込むことになるため、透明なp型半導体材料としては、当該p型半導体層4を透過する可視光の透過率が、通常60%以上、中でも80%以上となるものを用いることが好ましい。
さらに、有機光電変換素子1の製造コストの抑制、大面積化などを実現するためには、p型半導体材料として、有機半導体材料を用い、p型半導体層をp型有機半導体層として形成することが好ましい。
このような観点から、p型半導体材料の好適な例を挙げると、ポルフィリン化合物又はフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は、中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。その具体例を挙げると、29H,31H−フタロシアニン、銅(II)フタロシアニン、亜鉛(II)フタロシアニン、チタンフタロシアニンオキシド、銅(II)4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;などが挙げられる。
また、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物以外の好ましいp型半導体材料の例としては、正孔輸送性高分子にドーパントを混合した系が挙げられる。この場合、正孔輸送性高分子の例としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが挙げられる。一方、ドーパントの例としては、ヨウ素;ポリ(スチレンスルホン酸)、カンファースルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;などが挙げられる。
なお、p型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
p型半導体層4の厚みに制限はない。ただし、通常3nm以上、中でも10nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。p型半導体層4が厚すぎると透過率が低下したり、直列抵抗が増大したりする可能性があり、薄すぎると不均一な膜となる可能性がある。
〔電子供与体層〕
活性層9を構成する層のうち、電子供与体層5は、電子供与体を含んで形成された層であり、p型半導体層4の上に設けられている。電子供与体層5に含有される電子供与体は、可視光の光を効率よく吸収すること、光で誘起された正孔を効率よく輸送するために高い移動度を有すること等の性質を有することが好ましい。更に、前記の一般的要求以外に、屋外用の応用を考えた場合、電子供与体は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上の耐熱性を有することが好ましい。
このような電子供与体としては、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物が挙げられる。そして、本実施形態の有機光電変換素子1においては、この本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を、電子供与体として電子供与体層5に含有させるようにする。なお、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、電子供与体層5においては、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の電子供与体を含有していてもかまわない。その例を挙げると、ナフタセン、ペンタセン、ピレン、フラーレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のオリゴマー類;フタロシアニン、ポルフィリン等の大環状化合物;α−セキシチオフェン、ジアルキルセキシチオフェン、に代表される、チオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環を合計4個以上連結したもの;アントラジチオフェン、ジベンゾチエノビスチオフェン、α,α’−ビス(ジチエノ[3,2−b’:2’,3’−d]チオフェン)等の縮合チオフェン及びその誘導体;ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリンなどが挙げられる。中でも、レジオレギュラーポリチオフェンのような自己組織化を示すものや、ポリフルオレンやその共重合体に代表される液晶性を示す高分子が好ましい。なお、その他の電子供与体も、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、電子供与体層5に本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含有させる場合には、電子供与体として、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を多く使用することが好ましい。具体的には、電子供与体のうち、通常50重量%以上、中でも70重量%以上、更には90重量%以上が本発明に係るベンゾポルフィリン化合物であることが好ましく、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物のみを用いることが特に好ましい。本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を用いた利点を有効に発揮させるためである。
電子供与体層5の厚みに制限はない。ただし、通常5nm以上、中でも10nm以上、また、通常500nm以下、中でも200nm以下とすることが好ましい。電子供与体層5が厚すぎると直列抵抗が大きくなる可能性があり、薄すぎると光電変換に必要な光吸収が十分得られない可能性がある。
〔電子受容体層〕
一方、活性層9を構成する層のうち、電子受容体層6は、電子受容体を含んで形成された層であり、電子供与体層5の上に設けられている。電子受容体層6に含有される電子受容体は、電子供与体との接合界面で生成した電子を、効率よく電荷分離させてn型半導体層7へと輸送する働きを担うものである。
電子供与体層5から効率良く電子受容体層6へと電子を移動させるためには、各電子供与体層5及び電子受容体層6に用いられる材料の最低空軌道(LUMO)の相対関係が重要である。具体的には、電子供与体層5の材料である電子供与体のLUMOが、電子受容体層6の材料である電子受容体のLUMOより所定のエネルギーだけ上にあること、言い換えると、電子受容体の電子親和力が電子供与体の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。前記の所定のエネルギーの値は用途により様々であるが、通常0.1eV以上、好ましくは0.2eV以上、より好ましくは0.3eV以上、また、通常0.6eV以下、好ましくは0.4eV以下である。
このような条件を満たす電子受容体としては、例えば、フラーレン化合物が挙げられる。中でも好ましいフラーレン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2012231149
前記のようなフラーレン化合物を電子受容体として用いると、有機光電変換素子1が、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含む電子供与体層5と、フラーレン化合物を含む電子受容体層6とを備えることになる。この場合、光電変換特性が改善されるため、特に好ましい。
また、電子受容体としては、フラーレン化合物以外のものを、フラーレン化合物とともに併用したり、フラーレン化合物に代えて使用したりしてもよい。ただし、電子受容体層6にフラーレン化合物を含有させる場合には、電子受容体として、フラーレン化合物を多く使用することが好ましい。具体的には、電子受容体のうち、通常50重量%以上、中でも70重量%以上、更には90重量%以上がフラーレン化合物であることが好ましく、フラーレン化合物のみを用いることが特に好ましい。フラーレン化合物を用いた利点を有効に発揮させるためである。
なお、電子受容体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子受容体層6の厚みに制限はない。ただし、通常5nm以上、中でも10nm以上、また、通常500nm以下、中でも200nm以下とすることが好ましい。電子受容体層6が厚すぎると直列抵抗が大きくなる可能性があり、薄すぎると被覆率が悪くなる可能性がある。
〔n型半導体層〕
電子受容体層6の上には、通常、n型半導体層7が設けられる。このn型半導体層7に求められる役割は、活性層9(即ち、電子供与体層5及び電子受容体層6)で光を吸収して生成する励起子(エキシトン)が負極8により消光されるのを防ぐことにある。そのためには、電子供与体及び電子受容体が有する光学的ギャップより大きい光学的ギャップを、n型半導体層7の材料(n型半導体材料)が有することが好ましい。
このような観点から、n型半導体材料の好適な例を挙げると、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体等の電子輸送性を示す有機化合物;TiO2等の無機半導体などが挙げられる。なお、n型半導体材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
n型半導体層7の厚みに制限はない。ただし、通常2nm以上、中でも5nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。n型半導体層7をこのような範囲の厚みに形成することにより、正極3より入射した光が活性層9で吸収されずに透過した場合、負極8で反射されて再び活性層9に戻ることによる光干渉効果を活用することが可能である。
〔負極〕
n型半導体層7上には、負極8が形成されている。この負極8は、活性層9で電荷分離した電子を、n型半導体層7を通して受け取る役割を果たす電極である。
負極8の材料(負極材料)は導電性を有していれば本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、効率よく電子収集を行なうには、n型半導体層7とコンタクトのよい金属を用いることが好ましい。
このような観点から、負極材料の好適な例を挙げると、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。
さらに、負極8とn型半導体層7の界面に、例えばLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、有機光電変換素子1の効率を向上させる有効な方法である。
負極8の厚みに制限はない。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。負極8が厚すぎるとプロセスに時間がかかったりコストが高くなったりするため実用上好ましくなくなる可能性があり、薄すぎると直列抵抗が大きくなり効率が低下する可能性がある。
〔製造方法〕
本実施形態の有機光電変換素子1は、電子供与体層5を形成する工程において、本発明に係る可溶性前駆体を、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する工程を経て製造することができる。具体的な製造方法は、例えば、以下のとおりである。
まず、基板2を用意し、その上に正極3を形成する(正極形成工程)。正極3の形成方法に制限はないが、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成することができる。
次いで、正極3上に、p型半導体層4を形成する(p型半導体層形成工程)。p型半導体層4の形成方法に制限はないが、例えば、昇華性を有するp型半導体材料を用いる場合は真空蒸着法などにより形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶なp型半導体材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法などにより形成することができる。
そして、p型半導体層4の上に、電子供与体層5を形成する(電子供与体層形成工程)。電子供与体層5を形成する際には、まず、本発明に係る可溶性前駆体を溶媒に溶解させて前駆体溶液を用意する。この際、可溶性前駆体は、電子供与体層5に含有させるベンゾポルフィリン化合物に対応したものを用いる。なお、可溶性前駆体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、前駆体溶液に用いる溶媒の種類は、電子供与体層5が得られる限り任意であるが、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類;ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;などを用いることができる。なお、溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前駆体溶液中の可溶性前駆体の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上、より好ましくは1g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは200g/L以下である。
その後、用意した前駆体溶液をp型半導体層4に塗布し、塗膜(塗布層、前駆体層)を形成させる。塗布する際の方法に制限はなく、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、インクジェット法等を用いることができる。
そして、この塗布層を加熱処理する。これにより、本発明に係る可溶性前駆体は、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換されるので、前記塗布層を電子供与体層5に変換できる。熱変換の際の温度、圧力、時間、雰囲気等の条件は、[2.ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体]の項で上述したとおりである。なお、熱変換を行なう前に、塗布層から溶媒を乾燥・除去してもよい。その場合、塗布層はアモルファス又はアモルファスに近い良好な層となる。
なお、電子供与体として本発明に係るベンゾポルフィリン化合物以外のものを併用する場合には、前記の溶液に、併用する電子供与体を溶解又は分散させておけばよい。
このように、本発明に係る可溶性前駆体を熱変換して、平面性が高い分子構造を有するベンゾポルフィリン化合物の層を形成することで、結晶化と薄膜形状を制御することが可能となる。このため、電子供与体層5における正孔移動度を高めること、及び、電子供与体層5と電子受容体層6との接触を極大化することができる。そして、これにより、製造される有機光電変換素子1の光電変換特性を従来よりも向上させることが可能になっていると推察される。
電子供与体層5の形成後、電子受容体層6を形成する(電子受容体層形成工程)。電子受容体層6の形成方法に制限はないが、例えば、電子受容体を湿式塗布方法又は真空蒸着法により電子供与体層5の上に積層して形成することが好ましい。
湿式塗布方法は、電子受容体が可溶性である場合に採用できる方法である。この方法を用いる場合、次のようにして液相から塗布法で電子受容体層6を形成することが好ましい。即ち、まず、電子受容体を含む電子受容体溶液を用意する。電子受容体溶液に用いる溶媒の種類は、電子受容体層6が得られる限り任意であるが、例えば、前記前駆体溶液に用いる溶媒と同様の溶媒などを用いることができる。なお、溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子受容体溶液中の電子受容体の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1g/L以上、好ましくは1g/L以上、より好ましくは5g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは200g/L以下である。
その後、用意した電子受容体溶液を、可溶性前駆体から熱変換したベンゾポルフィリン化合物からなる電子供与体層5に塗布し、塗布層を形成させる。そして、この塗布層から溶媒を乾燥・除去することにより、電子受容体層6が形成される。
熱変換により結晶化したベンゾポルフィリン化合物の薄膜形状は非常に小さい結晶子からなるため、前記の塗布方法により電子受容体層6を形成することにより、電子受容体が電子供与体層5の各結晶子間に浸入することが考えられる。したがって、結果として、電子供与体及び電子受容体の接触面積が大きくなり、変換効率及び光電流の増大が実現でき、良好な光電変換特性を発現させることが可能となる。
一方、真空蒸着法を用いる場合には、電子供与体層5の形成後に電子受容体を真空蒸着により積層してもよいが、以下に説明する方法により、電子供与体層5とともに電子受容体層6を一連の工程で形成することが好ましい。即ち、電子供与体層形成工程において説明したのと同様にして、塗布法により、本発明に係る可溶性前駆体の層を形成する工程を行なう。なお、この層は、溶媒を除去したものでもよく、溶媒を含んでいてもよい。次いで、真空蒸着により、前記の可溶性前駆体の層の上に電子受容体を積層し、電子受容体層6を形成する工程を行なう。その後、加熱処理を行なって熱変換により可溶性前駆体をベンゾポルフィリン化合物に変換して、電子供与体層5を形成する。
この方法によれば、可溶性前駆体がベンゾポルフィリン化合物に変換することにより結晶化が進行するが、この結晶化の際に電子受容体層6も含めて分子の再配列が生じる。このため、最終的に、電子供与体層5と電子受容体層6との境界は両方の層が相互に拡散侵入した構造となり、電子供与体と電子受容体との接触面積は大きくなり、光電変換特性が向上することになる。
電子受容体層6の形成後、n型半導体層7を形成する(n型半導体層形成工程)。n型半導体層7の形成方法に制限はないが、例えば、p型半導体層4と同様に、真空蒸着法または湿式塗布方法により形成することができる。
その後、n型半導体層7上に負極8を形成する(負極形成工程)。負極8の形成方法に制限はないが、例えば、正極3と同様に、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成することができる。
以上の工程により、本実施形態の有機光電変換素子1を製造することができる。
〔本実施形態の有機光電変換素子の主な利点〕
本実施形態の有機光電変換素子1は以上のように構成されているので、光を取り込み、活性層9で正孔及び電子を生成し、これらを正極3及び負極8に取り出すことができるようになっている。この場合において、本実施形態の有機光電変換素子1は、従来の有機光電変換素子と比較して、電子供与体と電子受容体との接触面積を増大させ、移動度を向上させているため、光電変換特性に優れている。
本実施形態の有機光電変換素子1が発揮する光電変換特性の具体的な値は任意である。ただし、具体的な指標としては、以下の指標のうち少なくとも1つ、中でも全てを満たすことが好ましい。
即ち、本実施形態の有機光電変換素子1において、開放電圧(Voc)は、通常0.3V以上、好ましくは0.4V以上、より好ましくは0.5V以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態の有機光電変換素子1において、短絡電流(Jsc)は、通常1mA/cm2以上、好ましくは3mA/cm2以上、より好ましくは5mA/cm2以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態の有機光電変換素子1において、エネルギー変換効率(ηp)は、通常0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上である。なお、上限に制限はない。
本実施形態の有機光電変換素子1において、形状因子(FF)は、通常0.3以上、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上である。なお、上限に制限はない。
なお、前記の開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、エネルギー変換効率(ηp)及び形状因子(FF)は、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で有機光電変換素子1に照射して、電圧−電流特性を測定することにより測定した値である。
〔その他〕
本実施形態の有機光電変換素子1は、上述した構成を、更に変更して実施することもできる。
例えば、基板2は、負極8の側に形成してもよく、正極3及び負極8の両方の側に形成してもよい。
また、例えば、p型又はn型半導体層4,7は設けなくてもよい。その場合、正極3及び負極8は、前記のp型又はn型半導体層4,7を介さずに、活性層9から生成した正孔及び電子を受け取る役割を果たすことになる。
さらに、例えば、第1実施形態では正極3の側から光を取り込むようにしたが、負極8の側からであってもよい。その場合、正極3及び負極8の少なくとも一方、並びに、p型半導体4及びn型半導体層7の少なくとも一方を透明にするため、n型半導体7及び負極8は透明に形成する。
また、例えば、有機光電変換素子1を構成する各層においては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した構成材料以外の成分を、1種又は2種以上含有していてもかまわない。
さらに、例えば、有機光電変換素子1は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した基板2、正極3、p型半導体層4、電子供与体層5、電子受容体層6、n型半導体層7及び負極8以外の層や構成要素を備えていてもよい。具体例としては、負極8を覆うように、保護層(図示せず)を形成してもよい。
また、例えば、有機光電変換素子1の製造方法において、可溶性前駆体に熱変換を生じさせる加熱処理は、可溶性前駆体の層の形成後であればいつ行なってもよい。具体例を挙げると、p型半導体層4の上に可溶性前駆体の層を形成し、その後、熱変換を行なわずにその上に電子受容体層6、n型半導体層7及び負極8を形成し、最後に、加熱処理を行なうようにしてもよい。
[3−3.第2実施形態]
図2に、本発明の第2実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図を示す。この図2に示すように、本実施形態の有機光電変換素子10は、基板2と、正極3と、p型半導体層4と、電子供与体層5と、活性層11と、n型半導体層7と、負極8とを備える。即ち、電子受容体層6に代えて活性層11が設けられているほかは、第1実施形態の有機光電変換素子1と同様の構成になっている。
〔基板、正極及びp型半導体層〕
基板2、正極3及びp型半導体層4については、第1実施形態と同様である。
〔電子供与体層〕
電子供与体層5については、その構成は第1実施形態と同様である。ただし、この電子供与体層5は、活性層11とは別の層として形成されたものである。
このような活性層11とは別に形成された電子供与体層5では、第1実施形態と同様に、電子供与体として本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を用いる。これにより、電子供与体層5は、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含むベンゾポルフィリン化合物層として機能する。即ち、有機光電変換素子10は、活性層11、及び、当該活性層11と正極3(p型半導体層4を有する場合は、p型半導体層4)との間に形成されたベンゾポルフィリン化合物層を備えることになる。
〔活性層〕
本実施形態の活性層11は、電子供与体及び電子受容体を同じ層内に含有する混合活性層である。したがって、この活性層11は、電子供与体層として機能するとともに、電子受容体層としても機能している。
活性層11に用いる電子受容体は、第1実施形態の電子受容体層6に用いた電子受容体と同様である。
一方、活性層11に用いる電子供与体に制限はなく任意の電子供与体を用いることが可能である。この際、電子供与体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、活性層11の電子供与体として、第1実施形態と同様に本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を用いることも可能である。
しかし、本実施形態では、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物以外の電子供与体を用いることが好ましい。本実施形態では活性層11は電子供与体と電子受容体の混合層として形成されているが、電子供与体層5を形成することにより、活性層11を形成する際、活性層11を構成する電子受容体が、活性層11内の電子供与体だけでなく、部分的に電子供与体層5中のベンゾポリフィリン化合物とも有効に接触できる。このため、電子供与体層5と活性層11とで異なる種類の電子供与体を用いれば、吸収波長領域の異なる2種類の電子供与体が電子受容体と接触することになり、光電流の増加を生じさせて、光電変換特性を向上させることが可能となるためである。
なお、活性層11が電子供与体として本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含有していなくても、本実施形態では前記の電子供与体層5がベンゾポルフィリン化合物を含有していることから、本実施形態の有機光電変換素子11は少なくとも1層において本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含有するようになっている。
そこで、本実施形態では、活性層11には電子供与体としてベンゾポルフィリン化合物以外のもの(例えば、銅フタロシアニン)を用いているものとして説明を行なう。
活性層11において、混在する電子供与体と電子受容体との割合は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子供与体及び電子受容体の合計重量に対する電子供与体の割合で、通常5%以上、中でも10%以上、特には15%以上、また、通常95%以下、中でも90%以下、特には85%以下とすることが好ましい。電子供与体が少なすぎたり多すぎたりすると、光電変換特性が低下する可能性がある。
活性層11の厚みに制限はない。ただし、通常5nm以上、中でも10nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下とすることが好ましい。活性層11が厚
すぎると直列抵抗が大きくなる可能性があり、薄すぎると光の吸収が不十分となる可能性がある。
〔n型半導体層及び負極〕
有機光電変換素子10において、活性層11の上には、n型半導体層7及び負極8が形成されている。これらのn型半導体層7及び負極8については、第1実施形態と同様である。
〔製造方法〕
本実施形態の有機光電変換素子10は、ベンゾポルフィリン化合物層である電子供与体層5を形成する工程において、本発明に係る可溶性前駆体を、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する工程を経て製造することができる。具体的な製造方法は、例えば、以下のとおりである。
まず、基板2を用意し、その上に、第1実施形態で説明したのと同様にして、正極3及びp型半導体層4を形成する。
次に、p型半導体層4の上に、ベンゾポルフィリン化合物層である電子供与体層5を形成する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、本発明に係る可溶性前駆体を溶媒に溶解させて前駆体溶液を用意し、用意した前駆体溶液をp型半導体層4に塗布し、得られた塗布層を加熱処理して熱変換により可溶性前駆体をベンゾポルフィリン化合物に変換して電子供与体層5を形成すればよい。
そして、電子供与体層5の上に、活性層11を形成する。活性層11の形成方法は任意であるが、例えば、電子供与体及び電子受容体を湿式塗布方法又は真空蒸着法により電子供与体層5の上に積層して形成すればよい。具体的には、電子受容体に加えて活性層11に含有させる電子供与体を併用する以外は、第1実施形態における電子受容体層形成工程と同様にすればよい。このような方法を採用すれば、活性層11と電子供与体層5との境界において、当該電子受容体層形成工程と同様の利点を得ることができる。即ち、湿式塗布方法によれば、電子供与体及び電子受容体の接触面積が大きくなり、変換効率及び光電流の増大が実現でき、良好な光電変換特性を発現させることが可能となる。また、真空蒸着法により、電子供与体層5と活性層11とを一連の工程で形成すれば、電子供与体層5と活性層11との境界を両方の層が相互に拡散侵入した構造とし、電子供与体と電子受容体との接触面積を大きくして、光電変換特性を向上させることが可能となる。
その後、第1実施形態で説明したのと同様にして、n型半導体層7及び負極8を形成する。
以上の工程により、本実施形態の有機光電変換素子10を製造することができる。
〔本実施形態の有機光電変換素子の主な利点〕
本実施形態の有機光電変換素子10は以上のように構成されているので、光を取り込み、活性層11で正孔及び電子を生成し、これらを正極3及び負極8に取り出すことができるようになっている。この場合において、本実施形態の有機光電変換素子10は、活性層11の内部だけでなく、活性層11と電子供与体層5との間でも電子受容体とベンゾポリフィリン化合物とが有効に接触できるために、光電流の増加を生じるので、光電変換特性に優れている。
本実施形態の有機光電変換素子10が発揮する光電変換特性の具体的な値は任意である。ただし、本実施形態の有機光電変換素子10も、第1実施形態の有機光電変換素子1と同様の開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、エネルギー変換効率(ηp)、形状因子(FF)及び外部量子効率の最大値を実現することが可能である。
〔その他〕
本実施形態の有機光電変換素子10は、上述した構成を、更に変更して実施することもできる。例えば、第1実施形態で説明したのと同様の変更を行なってもよい。
また、例えば、活性層11の電子供与体として、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を使用することも可能である。ただし、この場合でも、電子供与体層5のベンゾポルフィリン化合物と活性層11のベンゾポルフィリン化合物とでは、異なる種類のものを含有させることが好ましい。光電流の増加を生じさせ、光電変換特性を向上させるためである。なお、この場合の活性層11の製造方法は、前駆体溶液中に電子受容体を共存させるようにする以外は、第1実施形態における電子供与体層形成工程と同様にして行なうことができる。
さらに、例えば、後述する第3実施形態と同様に、活性層11とn型半導体層7との間に電子受容体層6を設けてもよい。
[3−4.第3実施形態]
図3に、本発明の第3実施形態としての有機光電変換素子の模式的な断面図を示す。この図3に示すように、本実施形態の有機光電変換素子12は、基板2と、正極3と、p型半導体層4と、活性層13と、電子受容体層6と、n型半導体層7と、負極8とを備える。即ち、電子供与体層5に代えて活性層13を備えているほかは、第1実施形態の有機光電変換素子1と同様の構成になっている。
〔基板、正極及びp型半導体層〕
基板2、正極3及びp型半導体層4については、第1実施形態と同様である。
〔活性層〕
本実施形態の活性層13は、電子供与体として本発明係るベンゾポルフィリン化合物を含有しなくてはならない以外は、第2実施形態で説明した活性層11と同様である。この際、ベンゾポルフィリン化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。この場合、活性層13は、電子供与体層として機能するとともに、電子受容体層としても機能している。
活性層13の電子供与体として本発明係るベンゾポルフィリン化合物を用いたことにより、高い光電変換効率を実現できるという利点を得ることができる。
〔電子受容体層〕
電子受容体層6については、その構成は第1実施形態と同様である。ただし、この電子受容体層6は、活性層13とは別の層として形成されたものである。
このような活性層13とは別に形成された電子受容体層6では、第1実施形態で説明したものと同様に形成することができる。ただし、その場合でも、電子受容体層6の電子受容体は、活性層13の電子受容体とは異なる種類のものを含有さえることが好ましい。本実施形態では活性層13は電子供与体と電子受容体の混合層として形成されているが、n型半導体層7との間に電子受容体層6を形成することにより、活性層13中のベンゾポルフィリン化合物が、活性層13中の電子受容体だけでなく、部分的に電子受容体層6を構成する電子受容体とも有効に接触できる。このため、活性層13と電子受容体層6とで異なる種類の電子受容体を用いれば、吸収波長領域の異なる2種類の電子受容体がベンゾポルフィリン化合物と接触することになり、光電流の増加を生じさせて、光電変換特性を向上させることが可能となるためである。
そこで、本実施形態では、電子受容体層6には電子受容体として活性層13の電子受容体とは異なる種類のものを用いているものとして説明を行なう。
〔n型半導体層及び負極〕
有機光電変換素子12において、電子受容体層6の上には、n型半導体層7及び負極8が形成されている。これらのn型半導体層7及び負極8については、第1実施形態と同様である。
〔製造方法〕
本実施形態の有機光電変換素子12は、電子供与体層である活性層13を形成する工程において、本発明に係る可溶性前駆体を、熱変換により、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物に変換する工程を経て製造することができる。具体的な製造方法は、例えば、以下のとおりである。
まず、基板2を用意し、その上に、第1実施形態で説明したのと同様にして、正極3及びp型半導体層4を形成する。
次に、p型半導体層4の上に、活性層13を形成する。活性層13を形成する場合、前駆体溶液中に電子受容体を共存させるようにする以外は、第1実施形態における電子供与体層形成工程と同様にして行なうことができる。
その後、第1実施形態で説明したのと同様にして、電子受容体層6、n型半導体層7及び負極8を形成する。
以上の工程により、本実施形態の有機光電変換素子10を製造することができる。
〔本実施形態の有機光電変換素子の主な利点〕
本実施形態の有機光電変換素子12は以上のように構成されているので、光を取り込み、活性層13で正孔及び電子を生成し、これらを正極3及び負極8に取り出すことができるようになっている。この場合において、本実施形態の有機光電変換素子12は、活性層13の内部だけでなく、活性層13と電子受容体層6との間でも電子受容体とベンゾポリフィリン化合物とが有効に接触できるために、光電流の増加を生じるので、光電変換特性に優れている。
本実施形態の有機光電変換素子12が発揮する光電変換特性の具体的な値は任意である。ただし、本実施形態の有機光電変換素子12も、第1実施形態の有機光電変換素子1と同様の開放電圧(Voc)、短絡電流(Jsc)、エネルギー変換効率(ηp)、形状因子(FF)及び外部量子効率の最大値を実現することが可能である。
〔その他〕
本実施形態の有機光電変換素子12は、上述した構成を、更に変更して実施することもできる。例えば、第1実施形態で説明したのと同様の変更を行なってもよい。
また、例えば、活性層13とp型半導体層4との間に電子供与体層(図示せず)を設けてもよい。この電子供与体層は、本発明に係るベンゾポルフィリン化合物を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。この際、電子供与体としてベンゾポルフィリン化合物を含有していない、又は、活性層13に用いたのとは別種のベンゾポルフィリン化合物を用いた場合には、第2実施形態と同様にして、光電流の増大をもたらし、好ましい。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。なお、以下の実施例の説明において、カッコ〔〕内に示す符号は、参照する図面に表示された符号に対応している。
[実施例1]
図1に示す構造を有する有機光電発光素子を以下の方法で作製した。
即ち、ガラス基板〔2〕上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を145nm堆積したもの(シート抵抗8.4Ω)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、透明電極〔3〕を形成した。パターン形成した透明電極〔3〕を、界面活性剤による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行なった。
この透明基板〔3〕上に、導電性高分子であるポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、スタルクヴィテック社製、品名Baytron PH)を40nmの膜厚でスピンコートした後、120℃で大気中10分間加熱乾燥し、その後、窒素中180℃で3分間加熱処理して、p型有機半導体層〔4〕を形成した。
次に、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の前駆体である前記のBP−1前駆体を、クロロホルムに0.25重量%で溶かした溶液を用いて、p型有機半導体層〔4〕上にスピンコートした。塗布後、ホットプレート上において、210℃で30分間加熱処理を行なった。この加熱処理により、褐色の前駆体膜は緑色のBP−1膜と熱変換され、結晶性の45nmの平均膜厚を有する電子供与体層〔5〕が得られた。
引き続き、フラーレン化合物F−4(通称PCBM)をクロロベンゼンに1.2重量%溶かした溶液を用いて、上記ベンゾポリフィリンからなる電子供与体層〔5〕の上に、スピンコートした。塗布後、150℃で10分間加熱処理を行ない、平均膜厚40nmの電子受容体層〔6〕を積層した。
次に、上記一連の有機層〔4〕〔5〕〔6〕を成膜した基板〔2〕を真空蒸着装置内に設置した。上記真空蒸着装置の粗排気を油回転ポンプにより行なった後、真空蒸着装置内の真空度が1.9×10-4Paになるまでクライオポンプを用いて排気した。そして、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに以下に示すフェナントロリン誘導体(通称BCP)を入れ、加熱して、フェナントロリン誘導体を蒸着した。なお、蒸着時の真空度は1.7×10-4Pa、蒸着速度は1.0nm/秒とした。これにより、膜厚6nmの膜を電子受容体層〔6〕の上に積層して、n型半導体層〔7〕を完成させた。
Figure 2012231149
引続き、上部電極形成用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、透明電極〔3〕のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置した。そして、n型半導体層〔7〕を形成した際と同様にして、真空蒸着装置内の真空度が7.6×10-5Paとなるまで排気した。その後、アルミニウムを蒸着速度3nm/秒でn型半導体層〔7〕上に膜厚80nmで蒸着し、上部電極〔8〕を形成した。蒸着時の真空度は1.2×10-4Paであった。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する有機光電変換素子〔1〕からなる有機薄膜太陽電池が得られた。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.55V、短絡電流(Jsc)5.5mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.45%、形状因子(FF)0.48、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長460nmにおいて、外部量子効率の最大値52%を示した。なお、前記の分光感度は、単色光を照射し、光電変換された電流強度を測定して、当該電流量を光子1個当たりに対する割合で表わした。また、吸収補正は無しとした。以下の実施例及び比較例でも同様である。
[比較例1]
電子供与体層〔5〕として、銅フタロシアニンを膜厚25nmで真空蒸着法により形成した他は、実施例1と同様にして有機光電変換素子を作製した。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.57V、短絡電流(Jsc)3.3mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)0.72%、形状因子(FF)0.38、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長620nmにおいて、外部量子効率の最大値は19%であった。
[実施例2]
ベンゾポルフィリン化合物BP−1の塗布液として、前駆体をクロロホルム−クロロベンゼンの混合溶媒(重量比1:1で混合)に1.0重量%で溶かした溶液を用いて、p型有機半導体層上にスピンコート後、210℃で30分間加熱して、膜厚85nmの電子供与体層〔5〕を得た他は、実施例1と同様にして有機光電変換素子を作製した。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.52V、短絡電流(Jsc)6.3mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.64%、形状因子(FF)0.50、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長620nmにおいて、外部量子効率の最大値は54%であった。
[実施例3]
PCBMの塗布液として、トルエンに1.2重量%で溶かした溶液を用いて、スピンコート後、65℃で10分間加熱して、膜厚40nmの電子受容体層〔6〕を形成した以外は、実施例2と同様にして有機光電変換素子を作製した。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.55V、短絡電流(Jsc)5.6mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.74%、形状因子(FF)0.56、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長460nmにおいて、外部量子効率の最大値は50%であった。
[実施例4]
電子受容体層〔6〕を形成する際に行なう、スピンコード後の加熱処理を90℃で10分間とした他は、実施例3と同様にして有機光電変換素子を作製した。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.56V、短絡電流(Jsc)6.5mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.85%、形状因子(FF)0.51、という光電変換特性が得られた。
この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長460nmにおいて、外部量子効率の最大値は46%であった。
[実施例5]
PCBMに代えてフラーレン化合物F−5を用いた他は実施例3と同様にして、有機光電変換素子を作製した。
この有機光電変換素子に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.54V、短絡電流(Jsc)6.2mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.20%、形状因子(FF)0.36、という光電変換特性が得られた。
この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長460nmにおいて、外部量子効率の最大値は54%であった。
[実施例6]
ベンゾポルフィリン化合物BP−1をp型有機半導体層〔4〕と活性層〔11〕との間に設けた、図2に示す構造の有機光電変換素子〔10〕を、以下の方法で作製した。
即ち、ITOにより透明電極〔3〕を形成したガラス基板〔2〕上に、実施例1と同様にして、p型有機半導体層〔4〕を形成した。その後、ベンゾポルフィリン化合物BP−1の前駆体である前記BP−1前駆体を、クロロホルムとクロロベンゼンとの混合溶媒(重量比1:1)に0.25重量%で溶かした溶液を用いて、p型有機半導体層〔4〕上にスピンコートした。塗布後、ホットプレート上、210℃で30分間加熱処理を行い、結晶性の20nmの平均膜厚を有するベンゾポルフィリン化合物層〔5〕を形成した。
次に、銅フタロシアニンとC60とを重量比1:1で混合した膜を真空蒸着法により膜厚15nmで成膜し、混合活性層〔11〕を形成した。さらに、C60を30nm、及び、BCPを6nm、真空蒸着法により積層して、混合活性層〔11〕上にn型半導体層〔7〕を形成した。そして、最後に、実施例1と同様にアルミニウムを上部電極〔8〕として形成して有機光電変換素子〔10〕を完成させた。
この有機光電変換素子〔10〕に、ソーラシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cm2の照射強度で照射して、電圧−電流特性を測定したところ、開放電圧(Voc)0.40V、短絡電流(Jsc)8.9mA/cm2、エネルギー変換効率(ηp)1.74%、形状因子(FF)0.49、という光電変換特性が得られた。
また、この有機光電変換素子の分光感度の測定から、波長440nmと690nmにおいて、外部量子効率の最大値50%を得た。
[まとめ]
実施例1〜6及び比較例1から、ベンゾポルフィリン化合物を用いることで、高効率の太陽電池を作製できることが分かる。
本発明の有機光電変換素子の製造方法及び有機光電変換素子は、産業上の任意の分野において用いることが可能であるが、特に、太陽光発電素子、イメージセンサなどへ用いて好適である。
1,10,12 有機光電変換素子
2 基板
3 正極
4 p型半導体層
5 電子供与体層
6 電子受容体層
7 n型半導体層
8 負極
9,11,13 活性層

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された、少なくとも一方が透明な一対の電極と、
    電子受容体及び電子供与体を含んで形成された活性層と、
    一方の該電極と該活性層との間に、下記式(I)または(II)で表わされるベンゾポルフィリン化合物を含んで形成されたベンゾポルフィリン化合物層とを備える
    ことを特徴とする、有機光電変換素子。
    Figure 2012231149
    Figure 2012231149
    (前記式(I)及び(II)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
  2. 請求項1記載の有機光電変換素子の製造方法であって、
    ビシクロ環を有する前記ベンゾポルフィリン化合物の可溶性前駆体を、熱変換により、前記ベンゾポルフィリン化合物に変換して前記ベンゾポルフィリン化合物層を形成する工程を有する
    ことを特徴とする、有機光電変換素子の製造方法。
  3. 前記可溶性前駆体が、下記式(III)または(IV)で表される化合物である
    ことを特徴とする請求項2記載の有機光電変換素子の製造方法。
    Figure 2012231149
    Figure 2012231149
    (前記式(III)及び(IV)中、Zia及びZib(iは1〜4の整数を表わす)は、各々独
    立に、1価の原子又は原子団を表わす。ただし、ZiaとZibとが結合して環を形成していてもよい。R1〜R4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Y1〜Y4は、各々独立に、1価の原子又は原子団を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。)
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