JP5691810B2 - 共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子 - Google Patents

共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子 Download PDF

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Description

本発明は、共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子に関する。より詳しくは、本発明は、有機光電変換素子の光電変換効率を向上させるための手段に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素排出量の削減が切に望まれている。また、近い将来、石油、石炭、および天然ガスなどの化石燃料が枯渇することが予想されており、これらに替わる地球に優しいエネルギー資源の確保が急務となっている。そこで、太陽光、風力、地熱、原子力など利用した発電技術の開発が盛んに行われているが、なかでも太陽光発電は、安全性の高さから特に注目されている。
太陽光発電では、光起電力効果を利用した光電変換素子を用いて、光エネルギーを直接電力に変換する。光電変換素子は、一般的に、一対の電極の間に光電変換層(光吸収層)が挟持されてなる構造を有し、当該光電変換層において光エネルギーが電気エネルギーに変換される。光電変換素子は、光電変換層に用いられる材料や、素子の形態により、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いたシリコン系光電変換素子、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体)等の化合物半導体を用いた化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池を用いた場合の発電コストは、依然として化石燃料を用いて発電・送電する場合のコストと比較して高く、これが太陽光発電の普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、屋根などに設置する場合に補強工事が必要であり、これらも発電コストを高騰させる一因であった。
太陽光発電における発電コストを低減させるための技術として、透明電極と対電極との間に、電子供与性有機化合物(p型有機半導体)と電子受容性有機化合物(n型有機半導体)との混合物を光電変換層として含むバルクへテロジャンクション型の光電変換素子が提案され、5%を超える光電変換効率が報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。なお、光電変換素子としての耐久性を向上させることを目的として、通常の有機光電変換素子とは逆順に各層を積層し、透明電極側から電子を取り出し、仕事関数の深い安定な金属電極側から正孔を取り出す、いわゆる逆層型の有機光電変換素子も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
バルクへテロジャンクション型有機光電変換素子は、軽量で柔軟性に富むことから、様々な製品への応用が期待されている。また、構造が比較的単純であり、p型半導体およびn型半導体を塗布することによって光電変換層を形成できることから、大量生産に好適であり、コストダウンによる太陽電池の早期普及にも寄与するものと考えられる。より具体的には、バルクへテロジャンクション型光電変換素子において、電極(陽極および陰極)や、正孔輸送層等を構成する金属酸化物層は、塗布プロセス以外の手法(例えば、真空蒸着法など)により形成されうる。その一方で、これら以外の層は塗布プロセスを用いて形成されうる。したがって、バルクへテロジャンクション型光電変換素子の製造は高速でかつ安価に行うことが可能であると期待され、上述した発電コストの課題を解決できる可能性があると考えられるのである。さらに、従来のシリコン系光電変換素子、化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子などの製造とは異なり、160℃よりも高温の製造プロセスを必須に伴うものではないため、安価でかつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
しかしながら、有機光電変換素子は、他のタイプの光電変換素子と比較して、光電変換効率や、熱や光に対する耐久性が十分とはいえない。そこで、光電変換効率や耐久性を向上させるために、各種改良が進められている。例えば、p型有機半導体の改良として、非特許文献2では、ベンゼン系化合物が含まれた共役系高分子が開示されている。また、非特許文献3および4では、チオフェン系化合物が含まれた共役系高分子が開示されている。
特開2009−146981号公報
A.Heeger et al.,Nature Mat.,vol.6(2007),p497 Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry Volume 49, Issue 6, pages 1453-1461, 15 March 2011 Journal of the American Chemical Society 2010;132(15):5330−5331 Journal of the American Chemical Society 2010;132(22):7595−7597.
しかしながら、上記非特許文献2〜4に記載の共役系高分子を以ってしても、十分な光電変換効率は達成されておらず、さらなる改良が望まれていた。
そこで本発明は、有機光電変換素子において、十分な光電変換効率を達成するための手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。そして、共役系高分子におけるアクセプター性ユニットを特定の構造とした共役系高分子を用いることにより、光電変換効率を著しく向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の共役系高分子は、アクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとが、交互に結合されてなり、当該アクセプター性ユニットは、下記化学式1で表される部分構造を含む点に特徴を有する。
化学式1中、Xは、=CH−、または=N−を表し、
およびYは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、=C(CN)、=C(COOR)(CN)、=C(COOR、=N−CN、または=N−SOを表し、当該Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、
Zは、−NH−、−NR −、−CH −、−CHR −、−CR −、または−O−を表し、
は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、または、これらの置換基が別途他の置換基により置換された基を表す。
本発明によれば、有機光電変換素子において、十分な光電変換効率を達成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。
<共役系高分子>
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本発明の一形態は、アクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとが、交互に結合されてなる共役系高分子に関する。このようなドナー性ユニットとアクセプター性ユニットとが交互に配列する構造によると、吸収域を長波長域に拡大することができる。すなわち、本形態の共役系高分子は、従来のp型有機半導体の吸収域(例えば、400〜700nm)に加え、長波長域(例えば、700〜100nm)の光も吸収することができるため、太陽光スペクトルの広い範囲にわたる放射エネルギーを効率よく吸収させることが可能となる。
本形態では、アクセプター性ユニットが、下記化学式1で表される部分構造を含む点に特徴を有する。
化学式1中、Xは、=CH−、または=N−を表し、このうち、=N−であることが好ましい。Xが=N−であると、=CH−の場合とは異なり、水素原子を有しないため、隣接する部分構造との立体障害が低減するため、共役系高分子全体として高い平面性を保持することができる。これにより共役系高分子の結晶性が高まり、キャリアの移動度を向上することができる。また、Xが=N−であると、環状構造部分の電子求引効果が高まる。これらの作用により、光電変換効率が向上するものと考えられる。
およびYは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、=C(CN)、=C(COOR)(CN)、=C(COOR、=N−CN、または=N−SOを表す。このうち、光電変換効率を向上させる観点から、YおよびYは、酸素原子または=N−CNであることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。特に、YおよびYが酸素原子または=N−CNである場合、上述のXの場合と同様に、隣接する部分構造との立体障害が低減するため、共役系高分子全体として高い平面性を保持することができる。よって、これにより共役系高分子の結晶性が高まり、キャリアの移動度を向上することができる。この際、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。具体的には、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられ、このうち、溶解性の観点から、炭素数6以上のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基などであることが好ましい。
Zは、−NH−、−NR−、−CH−、−CHR−、−CR −、または−O−を表す。このうち、光電効率向上の観点から、−NH−、−NR−、−CR −であることが好ましく、−NH−、−NR−であることがより好ましい。特に、Zが−NH−、−NR−である場合、上述のXの場合と同様に、環状構造部分の電子求引効果を高めることができる。
上記Rは、特に制限は無く、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基などを挙げることができる。なお、これらの置換基は、別途他の置換基により置換されていてもよい(以下、例えば、置換されたアルキル基および非置換のアルキル基を、「(置換)アルキル基」とも称する。)。
置換基としての上記(置換)アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12であり、さらに好ましくは1〜8である。具体的な基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、1−ブチルペンチル、デシル、2−エチルオクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキセニル、2−ヘキシルデセニルなどが挙げられる。
置換基としての上記(置換)シクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは4〜8である。具体的な基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
上記(置換)アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12であり、さらに好ましくは2〜8である。具体的な基としては、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アルキニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12であり、さらに好ましくは2〜8である。具体的な基としては、例えば、プロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アリール基の炭素原子数は、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜20であり、さらに好ましくは6〜12である。具体的な基としては、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)ヘテロアリール基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げあれる。具体的な基としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、チエニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アシル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜12である。具体的な基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アミノ基の炭素原子数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜10であり、さらに好ましくは0〜6である。具体的な基としては、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12であり、さらに好ましくは1〜8である。具体的な基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは4〜8である。具体的な基としては、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。具体的な基としては、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
置換基としての上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、好ましくは7〜20であり、より好ましくは7〜16であり、さらに好ましくは7〜10である。具体的な基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜10である。具体的な基としては、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アシルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜10である。具体的な基としては、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜12である。具体的な基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アリールオキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは7〜20であり、より好ましくは7〜16であり、さらに好ましくは7〜12である。具体的な基としては、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)スルホニルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)スルファモイル基の炭素原子数は、好ましくは0〜20であり、より好ましくは0〜16であり、さらに好ましくは0〜12である。具体的な基としては、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)カルバモイル基の炭素原子数は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アルキルチオ基の炭素原子数は、好ましくは炭素数1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)アリールチオ基の炭素原子数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。具体的な基としては、例えば、フェニルチオ等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)スルホニル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、メシル、トシル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)スルフィニル基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)ウレイド基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。
置換基としての上記(置換)リン酸アミド基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜16であり、さらに好ましくは1〜12である。具体的な基としては、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。
置換基としての上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらのうち、上記Rは、(置換)アルキル基であることが好ましく、エチル、イソプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1−ブチルペンチル、2−エチルオクチル、2−ヘキシルデシルであることがより好ましい。特に、Zが−NR−である場合に、当該Rがアルキル基であると、モノマーの溶解度が向上するため、本形態の共役系高分子を調製する際に、分子量の大きなポリマーが得られやすくなる。また、アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよいが、光電変換効率を向上させる観点からは、直鎖であることが好ましい。これは、分岐鎖よりも直鎖の方が、共役系高分子の結晶性が向上するためである。
以上のような、化学式1で表される部分構造は、深いHOMO準位および狭いバンドギャップを有する。よって、当該部分構造を含むことにより、共役系高分子スタッキング能が向上し、キャリアの移動度を向上させることができるため、従来よりも優れた光電変換効率を達成することが可能となる。また、当該部分構造により、光電変換効率の他にも開放電圧および短絡電流や、素子の耐久性も向上しうる。なお、本形態の共役系高分子に含まれるアクセプター性ユニットは、上記化学式1で表される部分構造を含む限りにおいては、他の部分構造(電子求引性を有する構造)を含んでもよい。ただし、より高い光電変換効率を達成するためには、共役系高分子に含まれるアクセプター性ユニットのうち、上記化学式1で表される部分構造の割合が多いほど好ましい。具体的には、共役系高分子に含まれる全アクセプター性ユニットの数に対して、上記化学式1で表される部分構造の数が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましく、100%であることが最も好ましい。
一方、共役系高分子に含まれうるドナー性ユニットとしては、同じπ電子数を有する炭化水素芳香環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなど)よりもLUMO準位またはHOMO準位が浅くなるようなユニットであれば、制限なく使用できる。例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、シクロペンタジエン、シラシクロペンタジエンなどの複素5員環、およびこれらの縮合環を含むユニットである。
具体的には、フルオレン、シラフルオレン、カルバゾール、ジチエノシクロペンタジエン、ジチエノシラシクロペンタジエン、ジチエノピロール、ベンゾジチオフェンなどを挙げることができる。
これらのドナー性ユニットのうち、好ましい構造を下記化学式2に示す。
式中、Tは、炭素原子、ケイ素原子、またはゲルマニウム原子を表す。このうち、共役系高分子の結晶性を向上させ、移動度を高める観点から、Tは、ケイ素原子であることが好ましい。
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20の置換されたもしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基を表す。この際、RおよびRは互いに連結して環を形成してもよい。
上記化学式2で表されるドナー性ユニットは、高い移動度を付与できるチオフェン構造が縮合してさらに大きなπ共役平面を有している。また、R、R、R、およびRに置換基を有している場合は、当該置換基により溶解性を向上させることも可能である。したがって、このようなドナー性ユニットを用いることにより、光電変換効率を一層向上させることが可能である。
本形態の共役系高分子の分子量は特に制限はないが、共役系高分子にモルフォロジを与えるためには、適度な分子量を有することが好ましい。具体的には、共役系高分子の数平均分子量が10000〜100000であることが好ましく、15000〜50000であることがより好ましい。なお、本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;標準物質ポリスチレン)で測定することができる。
以下、本形態の好ましい共役系高分子の一部を例示する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の例のみに制限されるわけではない。なお、式中のnの値は、特に制限されないが、好ましくは、数平均分子量が10000〜100000の範囲となるような任意の数字である。
<有機光電変換素子>
上述のように、本発明に係る共役系高分子は、十分な光電変換効率を発揮することができるため、有機光電変換素子に好適に用いられうる。すなわち、本発明の他の一形態によると、第一の電極と、第二の電極と、第一の電極および第二の電極の間に存在する、n型有機半導体および上述のp型有機半導体を含む光電変換層と、を含み、当該p型有機半導体は、上述の本発明の共役系高分子を含む、有機光電変換素子が提供される。
以下、添付した図面を参照しながら本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるべきものであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。具体的には、図1の有機光電変換素子10は、基板25上に、陽極11、正孔輸送層26、光電変換層14、電子輸送層27、および陰極12がこの順に積層されてなる構成を有する。なお、基板25は、主に、その上の陽極11を塗布方式で形成するのを容易にするために任意に設けられる部材である。
図1に示す有機光電変換素子10の作動時において、光は基板25側から照射される。本実施形態において、陽極11は、照射された光が光電変換層14へと届くようにするため、透明な電極材料(例えば、ITO)で構成される。基板25側から照射された光は、透明な陽極11および正孔輸送層26を経て光電変換層14へと届く。
光電変換層14はp型有機半導体およびn型有機半導体を含むが、この光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体の電子が最高被占軌道(以下、「HOMO」とも称する)から最低空軌道(以下、「LUMO」とも称する)に励起され、次いでこの電子はn型有機半導体の伝導帯に移動する。その後、当該電子は、電子輸送層27および陰極12を経た後、外部回路を経由して共役系高分子の伝導帯に移動する。そして、p型有機半導体の伝導帯で生じた電子は、LUMOのレベルに移動する。
一方、光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体のHOMOのレベルに発生した正孔は、正孔輸送層26および陽極11を経た後、外部回路を経由してn型有機半導体の価電子帯に移動する。こうして光電変換層14において光電流が流れ、発電が行われるのである。このような光電荷分離はp型有機半導体とn型有機半導体の接触界面が大きいほど促進されると考えられていることから、本発明では、p型有機半導体とn型有機半導体とが一様に混合されたバルクへテロジャンクション型の光電変換層14(図示は省略する)が用いられることが特に好ましい。ただし、かような形態のみには限定されない。
なお、正孔輸送層26は、正孔の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した正孔を効率よく陽極11へと輸送する機能を担っている。一方、電子輸送層27は、電子の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した電子を効率よく陰極12へと輸送する機能を担っている。
図2は、本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図2の有機光電変換素子20は、図1の有機光電変換素子10と比較して、陽極11と陰極12とが逆の位置に配置され、また、正孔輸送層26と電子輸送層27とが逆の位置に配置されている点が異なる。すなわち、図2の有機光電変換素子20は、基板25上に、陰極12、電子輸送層27、光電変換層14、正孔輸送層26、および陽極11がこの順に積層されてなる構成を有している。このような構成を有することにより、光電変換層14のpn接合界面で生成される電子は電子輸送層27を経て陰極12へと輸送され、正孔は正孔輸送層26を経て陽極11へと輸送される。
図3は、本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型(多接合型)の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図3の有機光電変換素子30は、図1の有機光電変換素子10と比較して、光電変換層14に代えて、第1の光電変換層14aと、第2の光電変換層14bと、これら2つの光電変換層の間に介在する電荷再結合層38との積層体が配置されている点が異なる。図3に示すタンデム型の有機光電変換素子30では、第1の光電変換層14aおよび第2の光電変換層14bに、それぞれ吸収波長の異なる光電変換材料(p型有機半導体およびn型有機半導体)を用いることにより、より広い波長域の光を効率よく電気に変換することが可能となる。
以下、本発明に係る有機光電変換素子の各構成について詳細に説明する。
[電極]
本形態の有機光電変換素子は、第一の電極および第二の電極を必須に含む。第一の電極および第二の電極は、各々、陽極または陰極として機能する。本明細書において、「第一の」および「第二の」とは、陽極または陰極としての機能を区別するための用語である。したがって、第一の電極が陽極として機能し、第二の電極が陰極として機能する場合もあるし、逆に、第一の電極が陰極として機能し、第二の電極が陽極として機能する場合もある。上述したように、光電変換層14で生成されるキャリア(正孔・電子)は、電極間をドリフトし、正孔は陽極12へ、電子は陰極16へと到達する。なお、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。また、タンデム構成をとる場合には電荷再結合層(中間電極)を用いることでタンデム構成を達成することができる。さらに、電極が透光性を有するものであるか否かという機能面から、透光性を有する電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合もある。順層構成の場合、通常、陽極は透光性のある透明電極であり、陰極は透光性のない対電極である。
本形態の電極に使用される材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる電極材料を適宜採用することができる。上述のように、順層型の有機光電変換素子においては、陽極11は仕事関数が比較的大きい材料から構成され、陰極12は仕事関数が比較的小さい材料から構成される。
上述の図1に示す順層型の有機光電変換素子10における陽極11は、比較的仕事関数が大きく、透明な(380〜800nmの光を透過可能な)電極材料から構成されうる。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく(例えば、4eV以下)、通常、透光性の低い電極材料から構成されうる。
このような、順層型の有機光電変換素子10において、陽極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、白金などの金属;インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO、ZnOなどの透明な導電性金属酸化物;金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。また、陽極の電極材料として導電性高分子を用いることも可能である。陽極に使用されうる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン、ポリナフタレンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。
一方、順層型の有機光電変換素子において、陰極(対電極)に使用される電極材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電子電導性化合物、およびこれらの混合物が使用されうる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。このうち、電子の取り出し性能や、酸化などに対する耐久性の観点から、仕事関数が低い第一の金属と、第一の金属よりも仕事関数が大きく安定な金属である第二の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物や、安定な金属であるアルミニウムなどを用いることが好ましい。また、これらの材料のうち金属を用いることも好ましく、これにより、第一の電極側から入射し光電変換層で吸収されずに透過した光を、第二の電極で反射させて光電変換に再利用することができ、光電変換効率を向上させることが可能である。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陰極(対電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
また、図2に示す逆層型の有機光電変換素子では、光が入射する基板25側に陰極12が位置し、反対側に陽極11が位置する。したがって、図2に示す逆層型の形態における陽極11は、比較的仕事関数が大きく、通常、透光性の低い電極材料から構成される。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく、透明な電極材料から構成される。
逆層型の有機光電変換素子において、陰極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、金属化合物、および合金;カーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤー、カーボンナノ構造体などの炭素材料;が挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。このうち、カーボンナノワイヤーを用いることにより、透明で導電性の高い陰極を塗布法により形成できるため好ましい。また、金属系の材料を使用する場合、陽極(対電極)と対向する側に、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀化合物などを用いて、1〜20nm程度の厚さの補助電極を作製した後、上述の順層型の有機光電変換素子の陽極(透明電極)材料として例示した導電性高分子の膜を設けることで、陰極(透明電極)とすることができる。
一方、逆層型の有機光電変換素子において、陽極(対電極)に使用される電極材料は、上記陰極(透明電極)よりも相対的に仕事関数が大きい電極材料であれば特に制限はない。一例を挙げると、銀、ニッケル、モリブデン、金、白金、タングステン、および銅などの仕事関数が大きな金属材料を用いて陽極(対電極)が形成されうる。
[光電変換層]
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。本形態の有機光電変換素子は、光電変換層に、n型有機半導体および上述の本発明の共役系高分子を必須に含む点に特徴を有する。これらの光電変換材料に光が吸収されると、励起子が発生し、これがpn接合界面において、正孔と電子とに電荷分離される。
本形態の光電変換層は、上述の本発明の共役系高分子を必須に含み、必要に応じて、他のp型有機半導体材料を含みうる。他のp型有機半導体材料の一例を以下に示す。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、およびこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェンおよびそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロールおよびそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレンおよびそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。より好ましくは、本発明のn型有機半導体材料であるフラーレン誘導体と適度な相溶性を有するような化合物(適度な相分離構造形成し得る化合物)であることが好ましい。
またバルクへテロジャンクション層上にさらに溶液プロセスで電子輸送層や正孔ブロック層を形成する際には、一度塗布した層の上にさらに塗布することができれば、容易に積層することができるが、通常溶解性の良い材料からなる層の上にさらに層を溶液プロセスによって積層使用とすると、下地の層を溶かしてしまうために積層することができないという課題を有していた。したがって、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料が好ましい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
なお、本形態の光電変換層に含まれるp型有機半導体は、上述の共役系高分子を含む限りにおいては、上記他のp型有機半導体材料の含有量は特に制限はない。ただし、より高い光電変換効率を達成するためには、光電変換層に含まれるp型有機半導体の総量(光電変換層が2層以上含まれる場合には、全ての層における総量)に対して、上述の共役系高分子の割合が多いほど好ましい。具体的には、p型有機半導体の総量に対する共役系高分子の割合が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本形態における光電変換層に含まれるp型有機半導体のバンドギャップは、1.8eV以下であることが好ましく、1.6〜1.1eVであることがより好ましい。バンドギャップが1.8eV以下であると、幅広い波長域を吸収することができ、高い短絡電流密度Jsc(mA/cm)が出やすくなる。一方、バンドギャップが1.1eV以上であると、開放電圧Voc(V)が出やすくなり、変換効率が向上しうる。なお、本形態において、p型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても勿論構わない。
一方、本形態の光電変換層に使用されるn型有機半導体も、アクセプター性(電子受容性)の有機化合物であれば特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。このような化合物としては、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、オクタアザポルフィリンなど、上記p型有機半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニンなど)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどの芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物などが挙げられる。
このうち、p型有機半導体と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができるという観点から、フラーレンもしくはカーボンナノチューブまたはこれらの誘導体を用いることが好ましい。より具体的には、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン(円錐型)など、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換されたまたは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基などによって置換されたフラーレン誘導体が挙げられる。
特に、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、[6,6]−フェニルC71−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PC71BM)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報に記載のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報に記載のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書に記載の環状エーテル基を有するフラーレンなどのような、置換基により溶解性が向上されてなるフラーレン誘導体を用いることが好ましい。なお、本形態において、n型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
本形態の光電変換層における、p型有機半導体およびn型有機半導体の接合形態は、特に制限はなく、平面へテロ接合であってもよいし、バルクへテロ接合(バルクヘテロジャンクション)であってもよい。平面ヘテロ接合とは、p型有機半導体を含むp型有機半導体層と、n型有機半導体を含むn型有機半導体層とが積層され、これら2つの層が接触する面がpn接合界面となる接合形態である。一方、バルクヘテロジャンクションとは、p型有機半導体とn型有機半導体との混合物を塗布することにより形成され、この単一の層中において、p型有機半導体のドメインとn型有機半導体のドメインとがミクロ相分離構造をとっている。したがって、バルクヘテロジャンクションでは、平面へテロ接合と比較して、pn接合界面が層全体にわたって数多く存在することになる。よって、光吸収により生成した励起子の多くがpn接合界面に到達できることになり、電荷分離に至る効率を高めることができる。このような理由から、本形態の光電変換層における、p型有機半導体とn型有機半導体との接合は、バルクヘテロジャンクションであることが好ましい。
また、バルクヘテロジャンクション層は、通常の、p型半導体材料とn型半導体層が混合されてなる単一の層(i層)からなる場合の他に、当該i層がp型半導体からなるp層およびn型半導体からなるn層により挟持されてなる3層構造(p−i−n構造)を有する場合がある。このようなp−i−n構造は、正孔および電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
本発明において、光電変換層に含まれるp型有機半導体とn型有機半導体との混合比は、質量比で2:8〜8:2の範囲が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4の範囲である。また、光電変換層の膜厚は、好ましくは50〜400nmであり、より好ましくは80〜300nmである。
(基板)
本発明の有機光電変換素子は、必要に応じて基板を含みうる。基板は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。なかでも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度およびコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素および水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(正孔輸送層)
本形態の有機光電変換素子は、必要に応じて正孔輸送層を含みうる。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有し、かつ電子を輸送する能力が著しく小さい(例えば、正孔の移動度の10分の1以下)という性質を有する。正孔輸送層は、光電変換層と陽極との間に設けられ、正孔を陽極へと輸送しつつ、電子の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。一例を挙げると、例えば、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT:PSS、欧州特許第1647566号等に記載のポリチエノチオフェン類、特開2010−206146号に記載のスルホン化ポリチオフェン類、ポリアニリンおよびそのドープ材料、国際公開第2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物などが挙げられる。
また、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどもまた、用いられうる。
また、これら以外にも、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、およびスチリルアミン化合物などが使用可能であり、これらのうちでは、芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。なお、場合によっては、モリブデン、バナジウム、タングステンなどの金属酸化物やその混合物などの無機化合物を用いて正孔輸送層を形成してもよい。
さらに上記化合物に含まれる構造単位を高分子鎖に導入した、あるいは、上記化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を正孔輸送材料として用いることもできる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、p型正孔輸送材料を用いることもできる。さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送材料を用いることもできる。一例を挙げると、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載された材料が挙げられる。なお、これらの正孔輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて正孔輸送層を構成することも可能である。
正孔輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の導電率は、一般的に高い方が好ましいが、高くなりすぎると電子が移動するのを阻止する能力が低下し、整流性が低くなりうる。したがって、正孔輸送層の導電率は、10−5〜1S/cmであることが好ましく、10−4〜10−2S/cmであることがより好ましい。
(電子輸送層)
本形態の有機光電変換素子は、必要に応じて電子輸送層を含みうる。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有し、かつ正孔を輸送する能力が著しく小さいという性質を有する。電子輸送層は、光電変換層と陰極との間に設けられ、電子を陰極へと輸送しつつ、正孔の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。例えば、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、光電変換層に用いられるp型有機半導体のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。よって、より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深い材料が電子輸送材料として用いられる。このような電子輸送材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体、および酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物およびフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が用いられうる。また、光電変換層に用いたn型有機半導体単体からなる層を用いることもできる。なお、これらの電子輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電子輸送層を構成することも可能である。
電子輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
(電荷再結合層;中間電極)
図3で示すような、2以上の光電変換層を有するタンデム型(多接合型)の有機光電変換素子において、光電変換層間には、電荷再結合層(中間電極)が配置される。
電荷再結合層(中間電極)に用いられる材料は、導電性および透光性を併せ持つ材料であれば、特に制限はなく、上述の電極材料として例示した、ITO、AZO、FTO、酸化チタンなどの透明金属酸化物、Ag、Al、Auなどの金属、およびカーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤーなどの炭素材料、PEDOT:PSS、ポリアニリンなどの導電性高分子などが用いられうる。これらの材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電荷再結合層を構成することも可能である。
電荷再結合層の導電率は、高い変換効率を得る観点から、高いことが好ましく、具体的には、5〜50000S/cmであることが好ましく、100〜10,000S/cmであることがより好ましい。また、電荷再結合層の厚さは、特に制限はないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることが好ましい。厚さが1nm以上とすることにより、膜面を平滑化することができる。一方、厚さが1000nm以下とすることにより、短絡電流密度Jsc(mA/cm)の低下を軽減することができる。
(その他の層)
本形態の有機光電変換素子は、上記の各部材(各層)の他に、光電変換効率の向上や、素子の寿命の向上のために、他の部材(他の層)をさらに設けてもよい。その他の部材としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などが挙げられる。また、上層に偏在した金属酸化物微粒子をより安定にするため等にシランカップリング剤等の層を設けてもよい。さらに本発明の光電変換層に隣接して金属酸化物の層を積層してもよい。
また、本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてもよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層等が挙げられる。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
<有機光電変換素子の製造方法>
上述の本形態の有機光電変換素子の製造方法は特に制限はなく、従来公知の手法を適宜参照することにより製造することができる。以下、図2に示すような逆層型の有機光電変換素子の製造方法を例に挙げて、本形態の有機光電変換変換素子の好ましい製造方法を説明する。ただし、当該製造方法における各工程は、逆層型の有機光電変換素子のみならず、図1に示すような順層型の有機光電変換素子や、図3に示すようなタンデム型の製造に適用可能である。
本形態の有機光電変換素子の製造方法は、陰極を形成する工程と、前記陰極の上に、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層の上に、陽極を形成する工程とを含む。以下、本形態の有機光電変換素子の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
本形態の製造方法では、まず、陰極を形成する。陰極を形成する方法は、特に制限はないが、操作の容易性や、ダイコータなどの装置を用いてロール・ツー・ロールで生産可能なことから、基板の上に、陰極の構成材料を含む液体を塗布し、乾燥させる方法であることが好ましい。またこれ以外にも、市販の薄膜状の電極材料をそのまま使用しても構わない。
上記で陰極を形成した後、必要に応じて、この陰極上に、電子輸送層を形成してもよい。電子輸送層を形成する手段としては、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。溶液塗布法を用いて電子輸送層を形成する場合には、上述した電子輸送材料を適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。溶液塗布法に用いられる塗布法としては、キャスト法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコート法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法、Langmuir−Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができる。なかでも、ブレードコーティング法を用いることが特に好ましい。なお、塗布法に使用する溶液の固形分濃度は、塗布方法や膜厚によっても変動しうるが、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜10質量%である。また、なお、塗布の際の塗布液および/または塗布面の温度は、特に制限はないが、塗布・乾燥時の温度変動による析出、ムラを防ぐといった観点から、好ましくは30〜120℃であり、より好ましくは50〜110℃である。さらに、乾燥の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。乾燥条件の一例を挙げると90〜140℃程度の温度で、数分間〜数十分間程度といった条件が例示される。乾燥に使用する装置としては、温風乾燥、赤外線ヒーター、マイクロウエーブ、真空乾燥機などが挙げられるが、これ以外の乾燥装置を用いることも勿論可能である。
続いて、上記で形成した陰極または電子輸送層上に、p型有機半導体およびn型有機半導体を含む光電変換層を形成する。ここで、本形態の製造方法は、p型有機半導体として、上述の本発明の共役系高分子を必須に含む。光電変換層を形成するための具体的な手法について特に制限はないが、好ましくは、p型有機半導体およびn型有機半導体をそれぞれ、または一括して、適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法(具体的な形態については、上述した通りである)を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。なお、p型有機半導体およびn型有機半導体を一括して溶剤に溶解・分散させた溶液を、塗布法により塗布する。その後、残留溶媒および水分、ガスの除去、および半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。このようにして、p型有機半導体およびn型有機半導体が一様に混合され、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子とすることができる。
一方、p型有機半導体とn型有機半導体の混合比の異なる複数層からなる光電変換層(例えば、p−i−n構造)を形成する場合には、一の層を塗布後に、当該層を不溶化(顔料化)し、その後、他の層を塗布することにより形成することが可能である。
次に、上記で形成した光電変換層上に、陽極を形成する。陽極を形成するための手段についても特に制限はなく、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは蒸着法(例えば、真空蒸着法)が用いられる。なお、光電変換層と陽極との間に正孔輸送層を設ける場合には、蒸着法または溶液塗布法、好ましくは溶液塗布法を用いて、正孔輸送層が形成される。さらに、上述した各種の層以外の層が含まれる場合には、これらの層を形成するための工程を、溶液塗布法や蒸着法などを用いることで適宜追加して行うことができる。
<有機光電変換素子の用途>
本発明の他の形態によれば、上述の第1の形態に係る有機光電変換素子や、第2の形態に係る製造方法により得られる有機光電変換素子を有する太陽電池が提供される。本形態の有機光電変換素子は、優れた光電変換効率、耐熱性、耐光性を有するため、これを発電素子とする太陽電池に好適に使用されうる。
また、本発明のさらに他の形態によれば、上述した有機光電変換素子がアレイ状に配列されてなる光センサアレイが提供される。すなわち、本形態の有機光電変換素子は、その光電変換機能を利用して、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する光センサアレイとして利用することもできる。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<共役系高分子の合成>
[参考例1]化合物302の合成
(化合物A1aの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物A0を2.5g取り、50mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で24時間攪拌した。不溶物を濾別し、母液を減圧濃縮した。得られた残渣を窒素置換した100ml 3口フラスコに移し、50mlのトルエンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gの2−エチルヘキシルアミンを加え、24時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後にシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A1aを2.0g得た。
(化合物A1bの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物A1aを2.5g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A1bを2.1g得た。
(化合物D1の合成)
J. AM. CHEM. SOC. 2009, 131, 7792−7799を参考に、化合物D1を合成した。
(化合物302の合成)
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A1bを0.43g、化合物D1を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物302を0.12g得た。
化合物302の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=29000、多分散度(polydispersity index:PDI)=1.8であった。
[参考例2]化合物305の合成
(化合物A2aの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物A0を2.5g取り、50mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で24時間攪拌した。不溶物を濾別し、母液を減圧濃縮した。得られた残渣を窒素置換した100ml 3口フラスコに移し、50mlのトルエンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのシクロヘキシルアミンを加え、24時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後にシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A2aを2.0g得た。
(化合物A2bの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物A2aを2.5g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A2bを2.0g得た。
(化合物305の合成)
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A2bを0.39g、化合物D1を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物305を0.22g得た。
化合物305の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=32000、多分散度(PDI)=1.9であった。
[実施例8−1]化合物504の合成
(化合物B1aの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物B0を2.5g取り、50mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で24時間攪拌した。不溶物を濾別し、母液を減圧濃縮した。得られた残渣を窒素置換した100ml 3口フラスコに移し、50mlのトルエンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのオクチルアミンを加え、24時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後にシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物B1aを2.0g得た。
(化合物B2bの合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物B1aを2.5g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物B2bを2.0g得た。
(化合物504の合成)
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物B1bを0.43g、化合物D1を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物504を0.18g得た。
化合物504の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=35000、多分散度(PDI)=2.3であった。
[実施例9−1]化合物603の合成
(化合物D2の合成)
J. AM. CHEM. SOC. 2008, 130, 16144−16145を参考に、化合物D2を合成した。
(化合物603の合成)
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物B1bを0.43g、化合物D2を0.75g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物603を0.10g得た。
化合物603の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=38000,多分散度(PDI)=2.1であった。
[実施例1−1〜7−1]化合物102、201、303、401、405、408、503の合成
上記合成例1および2、ならびに実施例8−1および9−1と同様の手法を用いて、実施例1−1〜7−1の化合物102、201、303、401、405、408、503をそれぞれ合成した。
<逆層型の有機光電変換素子の作製>
[実施例1−2]
(透明電極(陰極)の形成)
ガラス基板上に、インジウムスズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積させ(表面抵抗率13Ω/□)、これをフォトリソグラフィおよび塩酸エッチングを用いて2mm幅にパターニングした。そして、これを界面活性剤および超純水の混合液により超音波洗浄した後、さらに超純水により超音波洗浄し、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄することにより、透明電極(陰極)を形成した。
(電子輸送層の形成)
上記透明電極が形成された基板をグローブボックスに入れ、窒素雰囲気下で、150mMのTiOx前駆体溶液を透明電極上にスピンコート(回転速度2000rpm、回転時間60秒間)し、所定のパターンに拭き取った。そして、これを空気中で2時間放置して、TiOx前駆体を加水分解させた後、150℃で1時間加熱処理することにより30nmのTiOx層からなる電子輸送層を形成した。
なお、上記150mMのTiOx前駆体溶液は、次の方法(ゾルゲル法)により調製した。100mL三口フラスコに、2−メトキシエタノール12.5mLと、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドとを入れ、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンをゆっくり加えて、氷浴中で10分間撹拌した。次に、この混合溶液を80℃で2時間加熱後、1時間還流した。これを室温(25℃)まで冷却し、2−メトキシエタノールを用いて濃度150mMに調整し、TiOx前駆体溶液を得た。なお、上記工程は全て窒素雰囲気で行った。
(光電変換層の形成)
ジクロロベンゼン(溶媒)に、p型有機半導体として化合物102を1.0質量%、およびn型有機半導体としてPCBM(Nanom Spectra E100、フロンティアカーボン社製)を0.8質量%溶解させた混合溶液を調製した。この混合溶液を0.45μmのフィルタを用いて濾過しながら、上記電子輸送層の上にスピンコート(700rpmで60秒間、次いで2200rpmで1秒間)した。その後、これを室温(25℃)で30分間乾燥することにより光電変換層を形成した。
(正孔輸送層の形成)
上記光電変換層の上に、有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(エノコートHC200、化研産業社製)をスピンコート(2000rpm、60秒間)し、これを風乾することにより、正孔輸送層を形成した。
(対電極(陽極)の形成)
上記正孔輸送層の上に、銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着し、その後後150℃で10分間加熱処理を行うことにより、対電極(陽極)を形成した。以上の工程により、逆層型の有機光電変換素子を完成させた。
[実施例2−2〜9−2]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として実施例2−1〜9−1で合成した化合物をそれぞれ用いたことを除いては、上記実施例1−2と同様の方法で、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
[比較例1−2]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として下記化学式10で表されるPBDTTPDを用いたことを除いては、上記実施例1−2と同様の方法で、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
なお、PBDTTPDは、非特許文献4に記載の方法により合成した。
<逆層型の有機光電変換素子の評価>
(開放電圧、曲線因子、および光電変換効率)
上記有機光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)を用いて100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を1cmにしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)、および曲線因子FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ測定した。得られたJsc、Voc、およびFFについて、それぞれ平均値を求め、下記式1に従って、光電変換効率η[%]を算出した。結果を表1に示す。
(耐久性評価)
上記光電変換素子を、温度80℃、湿度80%に保持した容器内に保存し、定期的に取りだして電圧−電流特性を測定し、初期の光電変換効率を100として、初期の効率の80%の効率まで低下した時間をLT80[時間]として評価した。LT80の値が大きいほど、耐久性が良好であることを意味する。結果を表1に示す。
表1の結果より、実施例1−2〜実施例9−2の逆層有機光電変換素子は、比較例1−2と比較して、高い光電変換効率が得られることが示された。また、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)のついても、実施例1−2〜実施例9−2は、比較例1−2よりも、高い値が得られた。さらに、実施例7−2〜実施例9−2は、比較例1−2よりも素子の耐久性が著しく向上(LT80が4.5〜5.5倍増大)することが示された。
<順層型の有機光電変換素子の作製>
[実施例7−3]
(透明電極(陽極)の形成)
実施例1−2の「(透明電極(陰極)の形成)」と同様の方法で、陽極として機能する透明電極を形成した。
(正孔輸送層の形成)
上記透明電極上に、導電性高分子であるBaytron(登録商標)P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃の大気中で10分間加熱乾燥した。そして、これをグローブボックス内に持ち込み、再度140℃の窒素雰囲気下で10分間加熱処理することにより、正孔輸送層を形成した。
なお、これ以降の作業についても、グローブボックス中、窒素雰囲気下で行った。
(光電変換層の形成)
クロロベンゼンに、p型有機半導体として化合物503を0.6質量%、およびn型有機半導体としてPCBM0.9質量%を溶解させた混合溶液を調製した。この混合溶液を0.45μmのフィルタを用いて濾過しながら、上記正孔輸送層上にスピンコート(700rpmで60秒間、次いで2200rpmで1秒間)した。その後これを室温(25℃)で30分間乾燥することにより、光電変換層を形成した。
(電子輸送層および対電極(陰極)の形成ならびに封止)
得られた積層体を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように積層体をセットし、10−3Pa以下に真空蒸着機内を減圧した後、電子輸送層としてのフッ化リチウムを0.6nm、対電極としてアルミニウムを100nm蒸着した。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。最後に120℃で30分間の加熱を行うことにより、電子輸送層および対電極を形成した。
得られた積層体を、窒素雰囲気下でUV硬化樹脂(UV RESIN XNR5570−B1、ナガセケムテックス社製)を用いて透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d、凸版印刷社製)と貼り合わせて封止することにより、有機光電変換素子を完成させ、大気下に取り出した。
[実施例8−3および9−3]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として実施例8−1および9−1で合成した化合物をそれぞれ用いたことを除いては、上記実施例7−3と同様の方法で、順層型の有機光電変換素子を作製した。
[比較例1−3]
光電変換層の形成において、p型有機半導体としてPBDTTPDを用いたことを除いては、上記実施例7−3と同様の方法で、順層型の有機光電変換素子を作製した。
<順層型の有機光電変換素子の評価>
上記<逆層型の有機光電変換素子の評価>の方法で、開放電圧、曲線因子、光電変換効率、および耐久性について評価を行った。結果を表2に示す。
表2の結果より、実施例の順層有機光電変換素子は、比較例よりも、高い光電変換効率が得られることが示された。また、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)についても、実施例は、比較例よりも、高い値が得られた。さらに、実施例は、比較例よりも素子の耐久性が向上(LT80が2.5〜3.75倍増大)することが示された。
10、20、30 有機光電変換素子、
11 陽極、
12 陰極、
14 光電変換層、
14a 第1の光電変換層、
14b 第2の光電変換層、
25 基板
26 正孔輸送層、
27 電子輸送層、
38 電荷再結合層。

Claims (10)

  1. アクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとが、交互に結合されてなり、
    前記アクセプター性ユニットは、下記化学式1で表される部分構造を含む、共役系高分
    子;
    式中、Xは、=CH−、または=N−を表し、
    およびYは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、=C(CN)、=C(COOR)(CN)、=C(COOR、=N−CN、または=N−SOを表し、当該Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、
    Zは、−NH−、−NR−、−CH−、−CHR−、−CR −、または−O−を表し、
    は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、または、これらの置換基が別途他の置換基により置換された基を表す。
  2. 前記化学式1中、YおよびYは、酸素原子を表す、請求項1に記載の共役系高分子。
  3. 前記化学式1中、Zは、−NR−を表し、当該Rは、炭素原子数1〜20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基またはシクロアルキル基を表す、請求項1または2に記載の共役系高分子。
  4. 前記化学式1中、前記Rは、炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基を表す、請求項3に記載の共役系高分子。
  5. 前記化学式1中、Xは、=N−を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共役系高分子。
  6. 前記ドナー性ユニットは、下記化学式2で表される部分構造を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の共役系高分子;
    式中、Tは、炭素原子、ケイ素原子、またはゲルマニウム原子を表し、
    、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜20の置換されたもしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または置換されたもしくは非置換のシクロアルキル基を表し、この際、RおよびRは互いに連結して環を形成してもよい。
  7. 第一の電極と、
    第二の電極と、
    前記第一の電極および前記第二の電極の間に存在する、n型有機半導体およびp型有機半導体を含む光電変換層と、
    を含み、
    前記p型有機半導体は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の共役系高分子を含む、有機光電変換素子。
  8. 前記第一の電極は透明電極であり、
    前記第二の電極は対電極であり、
    前記第一の電極を構成する電極材料の仕事関数は、前記第二の電極を構成する電極材料の仕事関数よりも小さい、請求項7に記載の有機光電変換素子。
  9. 請求項7または8に記載の有機光電変換素子を含む、太陽電池。
  10. 請求項7または8に記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなる、光センサアレイ。
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