JP5691449B2 - 有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイ - Google Patents

有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイ Download PDF

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Description

本発明は、有機光電変換素子、太陽電池及び光センサアレイに関し、さらに詳しくは、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子、この有機光電変換素子を用いた太陽電池及び光センサアレイに関する。
近年の化石エネルギーの高騰によって、自然エネルギーから直接電力を発電できるシステムが求められており、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いた太陽電池、GaAsやCIGS等の化合物系の太陽電池、あるいは色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)等が提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池で発電するコストは未だ化石燃料を用いて発電・送電される電気の価格よりも高いものとなっており、普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、設置時に補強工事が必要であり、これらも発電コストが高くなる一因であった。
このような状況に対し、化石燃料による発電コストよりも低い発電コストを達成しうる太陽電池として、陽極と陰極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とが混合されたバルクヘテロジャンクション層を挟んだバルクヘテロジャンクション型光電変換素子(例えば、非特許文献1及び特許文献1)が提案されている。
これらのバルクヘテロジャンクション型太陽電池においては、陽極・陰極以外は塗布プロセスで形成されているため、高速かつ安価な製造が可能であると期待され、前述の発電コストの課題を解決できる可能性がある。さらに、上記のSi系太陽電池・化合物半導体系太陽電池・色素増感太陽電池等と異なり、160℃より高温のプロセスがないため、安価かつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
なお太陽電池の効率は、開放電圧(Voc)×短絡電流(Jsc)×曲線因子(FF)の積で表される。短絡電流Jscは太陽光スペクトルを完全に吸収した場合に得られる理論Jscと外部量子効率(EQE)との積であるが、この外部量子効率が0.3〜0.5と低く、いっそうの効率向上を阻んでいた。たとえば前記非特許文献1の外部量子効率は0.5程度である。
また発電コストは、初期の製造コスト以外にも発電効率及び素子の耐久性も含めて算出されなければならない。前記非特許文献1では、太陽光スペクトルを効率よく吸収するために、約900nmまで吸収可能な低バンドギャップ有機高分子を用いることによっても、5%を超える変換効率を達成するに至っている。
光電変換プロセスには大きく分けると、(i)入射光の吸収、(ii)電荷の生成、(iii)薄膜中の電荷の輸送、(iv)電極での電荷収集が含まれる。例えば(i)を満たすためにp型材料として低バンドギャップの材料を用いると、n型分子とのエネルギーレベルが一致しないことにより(ii)の効率が低下したり、また電荷移動度が低いことによって(iii)がスムーズに起こらなかったりすることで、変換効率の向上につながらないことがある。高い光電変換効率の素子を得るためには、(i)から(iv)のプロセスを同時に効率化する材料が必要である。
又、材料単体としての電荷移動度が高くても、素子の性能はバルクヘテロジャンクション層における材料のナノレベルの構造体としての性質で決まるため、高い光電変換効率を有する素子を得るために、これらの性能を満たす材料が待望されていた(非特許文献2)。
さらに、仕事関数の深い安定な金属電極を利用できるために耐久性の観点で有利である透明電極側をカソードとしたいわゆる逆層構成(非特許文献3)では、透明電極をアノードとした順層構成よりも曲線因子が低下しやすいが、このような逆層構成においても高い曲線因子および光電変換効率が得られる素材が待望されている。
国際公開第08/066933号
Nature Mat.vol.6(2007),p497 Journal of American Chemical Society,2008,130(48),p16144−16145 APPLIED PHYSICS LETTERS 89,p143517、NREL Shaheen等
本発明の目的は、高い曲線因子、開放電圧、および光電変換効率を有し、かつ耐久性を有する有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討したところ、陽極と陰極の間に下記一般式(1)並びに一般式(2)で表される部分構造を有する化合物を、含有する層を存在させることで目的を達成できることを見出した。
即ち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.
陰極、陽極、およびp型半導体材料とn型半導体材料が混合されたバルクヘテロジャンクション層を有する有機光電変換素子であって、
前記陰極と陽極の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有する層を有することを特徴とする有機光電変換素子。
(式中、Xは酸素原子もしくは硫黄原子もしくはセレン原子を表し、YはC−Rまたは窒素原子を表す。R、Rは水素原子もしくは置換基を表す。Z、Zは炭素原子もしくは窒素原子を表す。)
2.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Xが硫黄原子の化合物であることを特徴とする前記1に記載の有機光電変換素子。
3.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Yが窒素原子の化合物であることを特徴とする前記1又は2に記載の有機光電変換素子。
4.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Z、Zのうち少なくとも一方が窒素原子であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
5.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Z、Zが窒素原子であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
6.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rが置換基を表す化合物であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
7.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rが電子求引基の化合物であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
8.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rがシアノ基、カルボニル基、エステル基、フルオロアルキル基のいずれかの化合物であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
9.
前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
(式中、R、R〜Rは水素原子もしくは置換基を表す。)
10.
前記一般式(1)又は(2)で表される部分構造を有する化合物を含有する層が、溶液塗布法によって作製されたことを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
11.
透明電極をカソードとした、逆層構成であることを特徴とする、前記1〜10のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
12.
前記1〜11のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池。
13.
前記1〜11のいずれか1項に記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなることを特徴とする光センサアレイ。
本発明により、高い変換効率を達成可能で、耐久性が高く、安価な製造を可能とする塗布プロセスに対応可能な有機光電変換素子、それを用いた太陽電池、及び光センサアレイを提供することができた。
バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図。 p−i−nの三層構成の光電変換層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図。 光センサアレイの構成を示す概要構成図。
新規の有機光電変換素子用材料の開発が待ち望まれている中、本発明者はHOMO準位が深く、バンドギャップが狭い縮環型芳香族化合物を見出した。
本発明の化合物は芳香環内にヘテロ原子を有しており、電子欠乏性ヘテロ環化合物として振る舞う。そのため本発明化合物は、HOMO準位が深くなり、バンドギャップが狭くなる。
さらに縮環している5員環部分をチアゾール環とし、6員環部分をピリジン環、ピリダジン環というように窒素原子を含有させることで、その効果がさらに向上することを見出した。
高い光電変換効率を得るためには高い開放電圧を得る必要があるが、一般に開放電圧はバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位とn型半導体材料のLUMO準位との差分と相関があるといわれ、この差分の値が大きいほど高い開放電圧が得られると考えられている。
また高い短絡電流を得るには幅広い波長の光を吸収できることが求められるため、p型半導体材料のバンドギャップが狭いほど高い短絡電流が得られると考えられている。さらに高い発電効率を得るにはバルクヘテロジャンクション層内で好適なモルフォロジを形成している事が好ましいと考えられている。
前記非特許文献2ではチアジアゾール環とベンゼン環が縮環した化合物が含まれた材料が有機光電変換素子用材料として用いられているが、この化合物に比べ本発明の化合物は高い発電効率を与える。詳細な理由は不明であるが、その要因としては5員環上の2位が炭素原子であるためであると推測している。特にその炭素原子が置換基を有している場合、置換基の存在により化合物の溶解度が向上し、ポリマー化した際の分子量を向上させることができる。またポリマー自身の溶解度も向上する。その効果は水素原子を有している際より、置換基を有している際に効果が大きいことを見出した。これらの点が好適なモルフォロジの形成に影響を与えていると考えている。
したがって、本発明のようなHOMO準位の深く、バンドギャップが狭く、5員環上に水素原子もしくは置換基を有する化合物を有機光電変換素子用材料として用いることができれば、一層高い光電変換効率が得られると推定される。
またさらには、仕事関数の深い安定な金属電極を利用できるために耐久性の観点で有利である透明電極側をカソードとしたいわゆる逆層構成では、透明電極をアノードとした順層構成よりも曲線因子が低下しやすいが、このような逆層構成においても高い曲線因子および光電変換効率を提供できることを見出した。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
まず、本発明における一般式(1)及び一般式(2)で表される部分構造を有する化合物について説明する。
下記一般式(1)において、Xは酸素原子もしくは硫黄原子もしくはセレン原子を表し、YはC−Rまたは窒素原子を表す。R、Rは水素原子もしくは置換基を表す。Z、Zは炭素原子もしくは窒素原子を表す。
置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基等を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、好ましくは炭素数4〜8であり、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。
アルキニル基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、プロパルギル、3−ペンテニル等が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル、p−メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、チエニル等が挙げられる。
アシル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
アミノ基としては、好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。
シクロアルキルオキシ基としては、好ましくは炭素数4〜8であり、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えば、フェニルオキシカルボニル等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
スルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ等が挙げられる。
スルホニル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メシル、トシル等が挙げられる。
スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。
ウレイド基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。
リン酸アミド基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
ヒドロキシ基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。
前記一般式(1)で表されるような5員環と6員環が縮環した構造は深いHOMO準位および狭いバンドギャップを有しており、高い開放電圧および短絡電流を有する素子を得ることができる。
また5員環上の2位に水素原子もしくは置換基が結合している炭素原子を有することにより好適なモルフォロジを与え、高い発電効率を得ることができる。中でも、これらの構造を複数有する材料が効果的である。
一般式(1)においてXが硫黄原子である場合、導電性が向上し高い移動度を与える。
一般式(1)においてYが窒素原子である場合、5員環上に窒素原子が導入されているため環全体の電子欠乏性が向上し、よりHOMO準位が深くなる。
また6員環部分をピリジン環、ピリダジン環と変更し、含有窒素原子を増やしていくと、さらに環全体の電子欠乏性が向上し、さらにHOMO準位が深くなる。
さらにRが置換基である場合、溶解度が向上し本化合物を含むポリマーを調製する際に高い分子量を持つポリマーが得られやすくなる。また、置換基としては一般式(1)の説明の際に挙げられたものと同様のものを有することができる。
好適なモルフォロジを与えるには適度な分子量を持つことが必要であるとされており、10000から100000の間の分子量を持つポリマーが好ましく、15000から50000の間の分子量を持つポリマーがさらに好ましい。なお、分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
またこの置換基が電子求引基である場合、化合物のHOMO準位がさらに深くなり、高い開放電圧を与える。中でも好ましい置換基としては、シアノ基、カルボニル基、エステル基、フルオロアルキル基が挙げられる。
下記一般式(2)において、R、R〜Rは水素原子もしくは置換基を表す。
化合物中にシリコン原子を含有したポリチオフェンを有することで正孔輸送能が向上し、高い光電変換効率を得ることができる。
置換基としては一般式(1)の説明の際に挙げられたものと同様のものを有することができる。
以下、本発明の一般式(1)及び(2)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。なお、例示化合物のnは重合度を表し、通常10000から100000の間の分子量に対応する値を表す。
このような構造を有する化合物は、参考文献Comptes Rendus des Seances de l’Academie des Sciences, Serie C: Sciences Chimiques; vol. 263;(1966);p.1385−1387等を参考として合成することができる。
下記に、代表的具体例を示す。
(例示化合物606の合成)
例示化合物606は下記化合物(A)と化合物(B)の重合反応より合成できる。
化合物(A)の合成
化合物(A)は以下に示す工程により変換可能である。
化合物(C)は特許文献:特開2001−172269号公報を参考にすることで合成可能である。
化合物(D)は非特許文献Chemische Berichte:vol.36:(1903);p.1731を参考することで合成可能である。
化合物(E)の合成
窒素置換した100mlの3口フラスコに化合物(D)を12.9g取り、50mlのジエチルエーテルに溶解し、氷冷した。得られた溶液に26.6gの化合物(C)をジエチルエーテル20mlに溶解させた溶液を加え、室温で2時間攪拌した。ジエチルエーテルを減圧留去し、残渣を100度で2時間加熱した。
得られた油状物質を四塩化炭素に溶解し、不溶物を濾別した。母液である四塩化炭素溶液を2%水酸化アンモニウム水溶液で洗浄し、蒸留する事で化合物(E)を15.0g得た。
化合物(F)の合成
窒素置換した200mlの3口フラスコに化合物(E)を15.0g取り、50mlのTHFに溶解し、氷冷した。得られた溶液にヒドラジン一水和物を20mlを加え、室温で8時間攪拌した。TLCにて化合物(E)の消失を確認した後に水100mlを加え、酢酸エチルで抽出した。
得られた有機層を、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、溶媒を減圧留去して、カラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(F)を9.7g得た。
化合物(A)の合成
窒素置換した200ml 3口フラスコに化合物(F)を5.0g取り、50mlのトルエンに溶解し、氷冷した。得られた溶液にオキシ臭化リンを20ml加え、室温で8時間攪拌した。TLCにて化合物(F)の消失を確認した後に水100mlを加え、トルエンで抽出した。
得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別した後、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することで、化合物(A)を4.5g得た。
化合物(B)は特許文献US2010078074号を参考に合成できる。
例示化合物606の合成
十分に窒素置換された100mlを3口フラスコに化合物(A)を0.18g、化合物(B)を0.44gを取り、15mlの予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.06g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。その反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、例示化合物701を0.15g得た。
例示化合物606の分子量を測定したところ、Mw=30,000 PDI=1.8であった。
(例示化合物701の合成)
例示化合物701は化合物(A)と化合物(H)との重合反応により合成できる。
化合物(H)は非特許文献Chemical Communications,2009,5570−5572(2009)を参考に合成できる。
例示化合物701の合成
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物(A)を0.18g、化合物(H)を0.43g取り、20mlの予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエンに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.06g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。その反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、例示化合物701を0.12g得た。
例示化合物701の分子量を測定したところ、Mw=28,000 PDI=1.9であった。
(有機光電変換素子および太陽電池の構成)
本発明の有機光電変換素子及び該素子を用いた太陽電池について説明する。尚、本発明の太陽電池の層構成は、本発明の有機光電変換素子の層構成と同一の層構成が用いられる。
図1は、順層型の有機光電変換素子の一例を示す模式断面図である。図1において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、透明電極(一般に陽極)12、正孔輸送層17、光電変換層14、電子輸送層18及び対極(一般に陰極)13が順次積層されている。
基板11は、順次積層された透明電極12、光電変換層14及び対極13を保持する部材である。本実施形態では、基板11側から光電変換される光が入射するので、基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。
基板11は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板11は必須ではなく、例えば、光電変換層14の両面に透明電極12及び対極13を形成することで、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
光電変換層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合した光電変換層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。
ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
図1において、基板11を介して透明電極12から入射された光は、光電変換層14の光電変換層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
発生した電荷は内部電界、例えば、透明電極12と対極13の仕事関数が異なる場合では透明電極12と対極13との電位差によって、電子は電子受容体間を通り、また正孔は電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。
ここで、通常透明電極12の仕事関数は対極13の仕事関数よりも大きいため、正孔は透明電極12へ、電子は対極13へ輸送される。つまり対極13は仕事関数が浅く酸化されやすい金属を使う必要がある。この金属が酸化されると、導電性がなくなったり、逆に仕事関数が深くなって相関の接触抵抗が大幅に増加して素子の電気特性が劣化してしまうことが、順層型素子において耐久性が低い大きな要因である。
図2は、逆層型の有機光電変換素子の一例を示す模式図である。図2の素子では、仕事関数の関係を逆転させ、さらに図1における正孔輸送層17と電子輸送層18の位置を入れ替えた、図2に示されるような逆層構成の有機光電変換素子とすることで、対極の酸化に起因する素子の劣化を大幅に抑制することができ、順層型の素子よりも更に高い安定性を提供できるようになっている。
これは、透明電極12の仕事関数よりも対極13の仕事関数を大きくすることで、電子を透明電極12へ、正孔を対極13へと輸送するように設計することで、対極13を酸化されにくく安定な、仕事関数の大きい金属を使用している事に由来する。
なお、図1、図2には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
更に、本発明の有機光電変換素子を太陽電池として用いる場合を想定し、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図3に記載のように光電変換層を積層したタンデム型の構成としてもよい。尚、図3は、タンデム型の光電変換層を備える有機光電変換素子の一例を示す模式図である。
タンデム型構成の場合、基板11上に順次透明電極12、第1の光電変換層14′を積層した後、電荷再結合層15を積層した後、第2の光電変換層16、次いで対電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。
第2の光電変換層16は、第1の光電変換層14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。
また、第1の光電変換層14′、第2の光電変換層16と各電極の間には、正孔輸送層17や電子輸送層18を有していても良いが、本発明においてはタンデム構成においてもそれぞれの光電変換層14′、16は、図2に示されるような逆層構成を有していることが好ましい。
尚、上記の図1〜3において、本発明に係る電荷輸送層とは、正孔(ホール)または電子を輸送することが可能な層であればよく、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、電子注入層等を挙げることができるが、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率の高い有機光電変換素子を得る観点からは、本発明に係る一般式(1)で表される化合物を正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、正孔阻止層に含有させることが好ましく、特に好ましくは、電子輸送層や正孔阻止層(ホールブロック層ともいう)等の電子輸送の機能を有する層に含有させることが好ましい。
以下に、本発明の化合物のほかに有機光電変換素子および太陽電池の層を構成する材料について述べる。
〔p型半導体材料〕
本発明のバルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。より好ましくは、本発明のn型有機半導体材料であるフラーレン誘導体と適度な相溶性を有するような化合物(適度な相分離構造形成し得る化合物)であることが好ましい。
またバルクヘテロジャンクション層上にさらに溶液プロセスで電子輸送層や正孔ブロック層を形成する際には、一度塗布した層の上にさらに塗布することができれば、容易に積層することができるが、通常溶解性の良い材料からなる層の上にさらに層を溶液プロセスによって積層使用とすると、下地の層を溶かしてしまうために積層することができないという課題を有していた。したがって、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料が好ましい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17,Fukuoka,Japan,2007,P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834号等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
[n型半導体材料]
本発明のバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、各種のp型半導体材料と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
《光電変換層の作製方法》
本発明の有機光電変換素子の光電変換層(本発明では、電子受容体と電子供与体とが混合されたような光電変換層、バルクヘテロジャンクション層が好ましい)の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また、塗布法は製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
光電変換層は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成可能である。
〔電子輸送層・正孔ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間に電子輸送層18を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
電子輸送層18としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深い材料を電子輸送層として用いることである。また、電子を輸送する特性から、電子移動度の高い化合物を用いることが好ましい。
このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
〔正孔輸送層・電子ブロック層〕
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層17を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層17としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006/019270号等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。
これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。光電変換層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
〔その他の層〕
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
《電極》
本発明の有機光電変換素子においては、少なくとも第一の電極、第二の電極を有する。また、タンデム構成をとる場合には、中間電極を用いることでタンデム構成を達成することができる。なお、本発明においては、主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。
また、透光性があるかどうかといった機能から、透光性のある電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合がある。本発明においては、逆層構成であるため、透光性のある透明電極をカソードとして使用し、透光性のない対電極はアノードとして使用する。
(透明電極(カソード))
本発明の透明電極は、好ましくは380nm〜800nmの光を透過する電極である。
透明電極の構成材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、AZO、FTO、SnO、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等を用いることができる。
また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせてカソードとすることもできる。
(対電極(アノード))
陰極は導電材単独層であってもよいが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。
カソードである透明電極の仕事関数がおよそ−5.0eV〜−4.0eVであるため、バルクヘテロジャンクション層で生成したキャリアが拡散してそれぞれの電極に到達するためには、ビルトインポテンシャル、すなわちアノードとカソード間の仕事関数の差がなるべく大きいことが好ましい。
したがって、アノードの導電材としては、仕事関数の大きい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、金、銀、銅、白金、ロジウム、インジウム、ニッケル、パラジウム等が挙げられる。
これらの中で、正孔の取り出し性能、光の反射率、及び酸化等に対する耐久性の点から、銀が最も好ましい。
アノードはこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
また、アノード側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の陰極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性陰極とすることができる。
(中間電極)
また、前記図3のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記陽極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、SnO、ZnO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt等の非常に薄い金属層または金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ等のナノワイヤやナノ粒子を含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお、前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
〔基板〕
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔光学機能層〕
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤ等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
〔パターニング〕
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取っても良いし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしても良い。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチング又はリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
(封止)
また、作製した有機光電変換素子10が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、有機光電変換素子だけでなく有機エレクトロルミネッセンス素子などで公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミまたはガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上10を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
(光センサアレイ)
次に、以上説明したバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10を応用した光センサアレイについて詳細に説明する。光センサアレイは、前記のバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子が受光によって電流を発生することを利用して、前記の光電変換素子を細かく画素状に並べて作製し、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する効果を有するセンサである。
図4は、光センサアレイの構成を示す図である。図4(A)は、上面図であり、図4(B)は、図4(A)のA−A’線断面図である。
図4において、光センサアレイ20は、保持部材としての基板21上に、下部電極としての陽極22、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換部24及び陽極22と対をなし、上部電極としての陰極23が順次積層されたものである。光電変換部24は、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有してなる光電変換層24bと、バッファ層24aとの2層で構成される。図4に示す例では、6個のバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子が形成されている。
これら基板21、陽極22、光電変換層24b及び陰極23は、前述したバルクヘテロジャンクション型の光電変換素子10における陽極12、光電変換部14及び陰極13と同等の構成及び役割を示すものである。
基板21には、例えば、ガラスが用いられ、陽極22には、例えば、ITOが用いられ、陰極23には、例えば、アルミニウムが用いられる。そして、光電変換層24bのp型半導体材料には、例えば、前記BP−1前駆体が用いられ、n型半導体材料には、例えば、前記例示化合物が用いられる。また、バッファ層24aには、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)−PSS(ポリスチレンスルホン酸)導電性高分子(スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP)が用いられる。このような光センサアレイ20は、次のようにして製作された。
ガラス基板上にスパッタリングによりITO膜を形成し、フォトリソグラフィにより所定のパターン形状に加工した。ガラス基板の厚さは、0.7mm、ITO膜の厚さは、200nm、フォトリソグラフィ後のITO膜における測定部面積(受光面積)は、0.5mm×0.5mmであった。次に、このガラス基板21上に、スピンコート法(条件;回転数=1000rpm、フィルター径=1.2μm)によりPEDOT−PSS膜を形成した。その後、該基板を、オーブンで140℃、10分加熱し、乾燥させた。乾燥後のPEDOT−PSS膜の厚さは30nmであった。
次に、上記PEDOT−PSS膜の上に、例示化合物703とPCBMの1:1混合膜を、スピンコート法(条件;回転数=3300rpm、フィルター径=0.8μm)により形成した。このスピンコートに際しては、例示化合物703およびPCBMをクロロベンゼン溶媒に=1:1で混合し、これを撹拌(5分)して得た混合液を用いた。例示化合物703とPCBMの混合膜の形成後、窒素ガス雰囲気下においてオーブンで180℃、30分加熱しアニール処理を施した。アニール処理後の例示化合物703とPCBMの混合膜の厚さは70nmであった。
その後、所定のパターン開口を備えたメタルマスクを用い、例示化合物703とPCBMの混合膜の上に、電子輸送層を5nm蒸着し、ついで陰極としてのアルミニウム層を蒸着法により形成(厚さ=10nm)した。その後、PVA(polyvinyl alcohol)をスピンコートで1μm形成し、150℃で焼成することで図略のパッシベーション層を作製した。以上により、光センサアレイ20が作製された。
この光センサアレイ20上に、所定のパターンを有する光を照射したところ、光の当たったセルのみから光電流が検出され、光センサとして機能することが確認された。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《有機光電変換素子1の作製》
特開2009−146981号公報の記載を参考として、以下のようにして逆層型の有機光電変換素子を作製した。
(TiOx層の作製)
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積したもの(表面抵抗率13Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅にパターニングして、透明電極を形成した。
パターン形成した透明電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下でこの透明基板上に、以下の手順で作製した150mMのTiOx前駆体溶液をスピンコート(回転速度2000rpm、回転時間60s)し、所定のパターンに拭き取りを行った。
次に、空気中で放置してTiOx前駆体を加水分解させ、続いて、TiOx前駆体を150℃で1時間加熱処理して30nmのTiOx層を電子輸送層として得た。
(TiOx前駆体の調製:ゾルゲル法)
先ず、100ml三口フラスコに2−メトキシエタノール12.5mlと、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドとを入れ、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンをゆっくり加えて、氷浴中で10分間撹拌した。
次に、混合溶液を80℃で2時間加熱後、1時間還流した。最後に、室温まで冷却し、メトキシエタノールを用いて所定の濃度(150mM)に調整し、TiOx前駆体溶液を得た。なお、上記工程は全て窒素雰囲気で行った。
(光電変換層の作製)
次いで、TiOx層の上クロロベンゼンにp型半導体材料として、PSBTBTを1.0質量%、n型半導体材料としてPCBM(フロンティアカーボン製、Nanon Spectra E100H)を0.8質量%を溶解した液を作製し、0.45μmのフィルターでろ過をかけながら700rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分乾燥し、光電変換層を得た。
PSBTBTはJournal of American Chemical Society,2008,130(48),16144−16145(2008)を参考にし、調製した。
(正孔輸送層の作製)
得られた光電変換層(有機半導体層ともいう)の上に有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(化研産業製、エノコートHC200)をスピンコート(2000rpm、60s)して導電性ポリマー層を成膜し、風乾して正孔輸送層を作製した。
次に、正孔輸送層の上に銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着を行った後、150℃で10分間加熱処理を行い、逆層型の有機光電変換素子1を作製した。
《有機光電変換素子2〜13の作製》
有機光電変換素子1の作製において、PSBTBTを表1に示す化合物に変更した以外は同様にして、有機光電変換素子2〜13を各々作製した。
(変換効率の評価)
得られた有機光電変換素子1〜13の評価は、以下のように太陽電池として評価した。
得られた有機光電変換素子1〜13は、各々エポキシ樹脂とガラスキャップで封止を行い、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルター)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、曲線因子(フィルファクター)FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、平均値を求めた。また、Jsc、Voc、FFから式1に従って光電変換効率η(%)を求めた。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF
表1から、比較の有機光電変換素子1に比べて、本発明の有機光電変換素子2〜13は、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)及び光電変換効率が高く、太陽電池としての優れた特性を示すことがわかった。
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 透明電極(陽極)
13 対電極(陰極)
14 光電変換層
14p p層
14i i層
14n n層
14′ 第1の光電変換層
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換層
17 正孔輸送層
18 電子輸送層

Claims (13)

  1. 陰極、陽極、およびp型半導体材料とn型半導体材料が混合されたバルクヘテロジャンクション層を有する有機光電変換素子であって、
    前記陰極と陽極の間に、少なくとも下記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物を含有する層を有し、
    (式中、Xは酸素原子もしくは硫黄原子もしくはセレン原子を表し、YはC−Rまたは窒素原子を表す。R、Rは水素原子もしくは置換基を表す。Z、Zは炭素原子もしくは窒素原子を表す。)
    前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、10000から100000の間の分子量を持つポリマーであり、p型半導体材料として光電変換層に含まれることを特徴とする有機光電変換素子。
  2. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Xが硫黄原子の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機光電変換素子。
  3. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Yが窒素原子の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機光電変換素子。
  4. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Z、Zのうち少なくとも一方が窒素原子を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  5. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Z、Zが窒素原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  6. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rが置換基を表す化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  7. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rが電子求引基の化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  8. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物において、Rがシアノ基、カルボニル基、エステル基、フルオロアルキル基のいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  9. 前記一般式(1)で表される部分構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される部分構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
    (式中、R、R〜Rは水素原子もしくは置換基を表す。)
  10. 前記一般式(1)又は(2)で表される部分構造を有する化合物を含有する層が、溶液塗布法によって作製されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  11. 透明電極をカソードとした、逆層構成であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機光電変換素子。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機光電変換素子を用いたことを特徴とする太陽電池。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなることを特徴とする光センサアレイ。

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