JP2012255098A - 共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子 - Google Patents

共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な光電変換効率を達成するための手段を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の共役系高分子は、下記化学式1で表される部分構造を少なくとも1種含む。
Figure 2012255098

式中、Arは、置換されたもしくは非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、ピリジン、ピリダジン、キノキサリン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオシサジアゾール、またはベンゾトリアゾールを表し、
mは、1または2を表し、
Qは、3つのカルボニル基、または2つのカルボニル基および1つのスルホニル基が隣接した窒素原子を含む特定の構造である。
【選択図】なし

Description

本発明は、共役系高分子およびこれを用いた有機光電変換素子に関する。より詳しくは、本発明は、有機光電変換素子の光電変換効率を向上させるための技術に関する。
近年、地球温暖化に対処するため、二酸化炭素排出量の削減が切に望まれている。また、近い将来、石油、石炭、および天然ガスなどの化石燃料が枯渇することが予想されており、これらに替わる地球に優しいエネルギー資源の確保が急務となっている。そこで、太陽光、風力、地熱、原子力など利用した発電技術の開発が盛んに行われているが、なかでも太陽光発電は、安全性の高さから特に注目されている。
太陽光発電では、光起電力効果を利用した光電変換素子を用いて、光エネルギーを直接電力に変換する。光電変換素子は、一般的に、一対の電極の間に光電変換層(光吸収層)が挟持されてなる構造を有し、当該光電変換層において光エネルギーが電気エネルギーに変換される。光電変換素子は、光電変換層に用いられる材料や、素子の形態により、単結晶・多結晶・アモルファスのSiを用いたシリコン系光電変換素子、GaAsやCIGS(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体)等の化合物半導体を用いた化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子(グレッツェルセル)などが提案・実用化されている。
しかしながら、これらの太陽電池を用いた場合の発電コストは、依然として化石燃料を用いて発電・送電する場合のコストと比較して高く、これが太陽光発電の普及の妨げとなっていた。また、基板に重いガラスを用いなければならないため、屋根などに設置する場合に補強工事が必要であり、これらも発電コストを高騰させる一因であった。
太陽光発電における発電コストを低減させるための技術として、透明電極と対電極との間に、電子供与性有機化合物(p型有機半導体)と電子受容性有機化合物(n型有機半導体)との混合物を光電変換層として含むバルクへテロジャンクション型の光電変換素子が提案され、5%を超える光電変換効率が報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。なお、光電変換素子としての耐久性を向上させることを目的として、通常の有機光電変換素子とは逆順に各層を積層し、透明電極側から電子を取り出し、仕事関数の深い安定な金属電極側から正孔を取り出す、いわゆる逆層型の有機光電変換素子も提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
バルクへテロジャンクション型有機光電変換素子は、軽量で柔軟性に富むことから、様々な製品への応用が期待されている。また、構造が比較的単純であり、p型有機半導体およびn型有機半導体を塗布することによって光電変換層を形成できることから、大量生産に好適であり、コストダウンによる太陽電池の早期普及にも寄与するものと考えられる。より具体的には、バルクへテロジャンクション型有機光電変換素子において、電極(陽極および陰極)や、正孔輸送層等を構成する金属酸化物層は、塗布プロセス以外の手法(例えば、真空蒸着法など)により形成されうる。その一方で、これら以外の層は塗布プロセスを用いて形成することができる。したがって、バルクへテロジャンクション型光電変換素子の製造は高速でかつ安価に行うことが可能であると期待され、上述した発電コストの課題を解決できる可能性があると考えられるのである。さらに、従来のシリコン系光電変換素子、化合物系光電変換素子、色素増感型光電変換素子などの製造とは異なり、160℃よりも高温の製造プロセスを必須に伴うものではないため、安価でかつ軽量なプラスチック基板上への形成も可能であると期待される。
しかしながら、有機光電変換素子は、他のタイプの光電変換素子と比較して、光電変換効率や、熱や光に対する耐久性が十分とはいえない。そこで、光電変換効率や耐久性を向上させるために、各種改良が進められている。例えば、p型有機半導体の改良として、非特許文献2では、ベンゼン系骨格が含まれた共役系高分子が開示されている。また、非特許文献3および4では、チオフェン系骨格が含まれた共役系高分子が開示されている。
特開2009−146981号公報
A.Heeger et al.,Nature Mat.,vol.6(2007),p497 Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry Volume 49, Issue 6, pages 1453-1461, 15 March 2011 Journal of the American Chemical Society 2010;132(15):5330−5331 Journal of the American Chemical Society 2010;132(22):7595−7597
しかしながら、上記非特許文献2〜4に記載の共役系高分子を以ってしても、十分な光電変換効率は達成されておらず、さらなる改良が望まれていた。
そこで本発明は、有機光電変換素子において、十分な光電変換効率を達成するための手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を行った。そして、3つのカルボニル基、または、2つのカルボニル基および1つのスルホニル基が隣接した窒素原子を含む、特定の部分構造を有する共役系高分子を用いることにより、光電変換効率を著しく向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の共役系高分子は、下記化学式1で表される部分構造を含む点に特徴を有する。
Figure 2012255098
式中、Arは、置換されたもしくは非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、ピリジン、ピリダジン、キノキサリン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオシサジアゾール、またはベンゾトリアゾールを表し、
mは、1または2を表し、
Qは、下記化学式2を表し;
Figure 2012255098
式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;アミノ基;置換されたもしくは非置換の、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、または炭素原子数1〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基;を表す。
Xは、炭素原子または硫黄原子を表し、ここで、Xが炭素原子を表す場合、nは1を表し、Xが硫黄原子を表す場合、nは2を表す。
炭素原子C、または場合によって存在するRに含まれる前記炭素原子Cと結合した炭素原子は、前記化学式1におけるArと互いに結合し環を形成してもよい。
本発明によれば、有機光電変換素子において、十分な光電変換効率を達成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。 本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。
<共役系高分子>
以下、本発明の好ましい形態を説明する。本発明の一形態は、3つのカルボニル基、または、2つのカルボニル基および1つのスルホニル基が隣接した窒素原子を含む、特定の部分構造を有する共役系高分子に関する。
本形態の共役系高分子は、下記化学式1で表される部分構造を含む点に特徴を有する。
Figure 2012255098
化学式1中、Arは、置換されたもしくは非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、ピリジン、ピリダジン、キノキサリン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオシサジアゾール、またはベンゾトリアゾールを表す。なお、理解を助けるために、Arが、非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、ピリジン、ピリダジン、キノキサリン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオシサジアゾール、またはベンゾトリアゾールである場合の化学式1の構造を下記化学式3に示す。
Figure 2012255098
これらのうち、光電変換効率をより向上させる観点から、Arがチオフェン構造を含むことが好ましい。具体的には、Arが、チオフェン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、またはチエノチオフェンであることが好ましく、チオフェンであることがより好ましい。Arがチオフェン構造を含むことにより、共役系高分子全体として高い平面性を保持することができる。これにより共役系高分子の結晶性が高まり、キャリアの移動度が向上するため、光電変換効率が向上するものと考えられる。
化学式1中、mは、1または2を表す。mが2である場合のQの置換位置は特に制限はないが、共役系高分子全体として高い平面性を高めるという観点から、Ar上の置換可能な位置のうち、立体障害が最も小さくなるような位置にQが置換することが好ましい。一例として、Arが非置換のベンゼンである場合の2つのQの最も好ましい置換形態を下記化学式4に示す。
Figure 2012255098
化学式1中、Qは、下記化学式2を表す。
Figure 2012255098
化学式2中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;アミノ基;置換されたもしくは非置換の、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、または炭素原子数1〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基;を表す。
上記アルキル基としては、特に制限はなく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、1−ブチルペンチル、デシル、2−エチルオクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキセニル、2−ヘキシルデセニルなどの、直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基が挙げられる。
このうち、アルキル基が直鎖である場合、共役系高分子の結晶性を高め、キャリアの移動度を向上させる観点;または、共役系高分子を製造する際のモノマーの溶解性を向上させる観点からは、炭素数が比較的大きな直鎖アルキル基であることが好ましい。具体的には、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシルなどの炭素数6〜20の直鎖アルキル基であることが好ましい。一方、発生した励起子を効率よく電荷分離させるためには、炭素数が比較的小さな直鎖アルキル基であることが好ましく、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチルといった炭素数1〜5の直鎖アルキル基であることが好ましい。
より好ましい形態として、一の共役系高分子中に、上記化学式1で表される部分構造を少なくとも2種含み、一の部分構造におけるRと、他の一の部分構造におけるRとが、互いに炭素原子数の異なる直鎖のアルキル基である共役系高分子が挙げられる。具体的には、一の部分構造におけるRは、炭素原子数1〜5の直鎖のアルキル基であり、他の一の部分構造におけるRは、炭素原子数6〜20の直鎖のアルキル基である共役系高分子が好ましい。このように、一の共役系高分子内に、炭素原子数の比較的小さな直鎖アルキル基を有する部分構造と、炭素原子数の比較的大きな直鎖アルキル基を有する部分構造とが存在することによって、キャリアの移動度やモノマーの溶解性および電荷分離効率を共に向上させることが可能となる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは4〜8である。具体的な基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
上記アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜12であり、さらに好ましくは1〜8である。具体的な基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ等が挙げられる。
上記アルキルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6である。具体的な基としては、例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ等が挙げられる。
上記アシルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜10である。具体的な基としては、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。
上記アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜16であり、さらに好ましくは2〜12である。具体的な基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
上記アリールオキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、好ましくは7〜20であり、より好ましくは7〜16であり、さらに好ましくは7〜12である。具体的な基としては、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
上記RおよびRに場合によって存在する置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基などを挙げることができる。
以上で挙げた基のうち、Rおよび/またはRは、置換されたまたは非置換のアルキル基であることが好ましい。Rおよび/またはRがアルキル基であると、モノマーの溶解度が向上するため、本形態の共役系高分子を調製する際に、分子量の大きなポリマーが得られやすくなる。また、アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれであってもよいが、光電変換効率を向上させる観点からは、直鎖であることが好ましい。これは、分岐鎖よりも直鎖の方が、共役系高分子の結晶性が向上するためである。
上記化学式2において、Xは、炭素原子または硫黄原子を表す。ここで、Xが炭素原子を表す場合、nは1を表す。一方、Xが硫黄原子を表す場合、nは2を表す。すなわち、化学式2において、窒素原子(N)には、カルボニル基(−C(=O)−)またはスルホニル基(−S(=O)−)が結合している。
上記化学式2において、炭素原子C、または場合によって存在するRに含まれる前記炭素原子Cと結合した炭素原子は、上記化学式1におけるArと互いに結合し環を形成してもよい。例えば、当該環が5員環または6員環である場合、上記化学式1で表される部分構造は、それぞれ、下記化学式5または6で表される。
Figure 2012255098
式中、Ar、n、R、Xは、上記化学式1または2と同様である。
Figure 2012255098
式中、Ar、n、R、Xは、上記化学式1または2と同様である。
化学式5または6のように環構造が形成される場合、骨格の立体障害が軽減するため、共役系高分子全体としての平面性が向上し、キャリアに高い移動度を与えることができる。特に、化学式6のように5員環構造が形成される場合、骨格の立体障害がより軽減されるため、より一層、光電変換効率を向上させることが可能となる。
以下、化学式1で表される部分構造の好ましい形態を例示する。
Figure 2012255098
Figure 2012255098
以上のような、化学式1で表される部分構造は、電子求引性基であるカルボニル基またはスルホニル基が窒素原子に3つ結合しているため、深いHOMO準位および狭いバンドギャップを有する。また、このように平面性の高い部分構造を含むことにより、共役系高分子のスタッキング能が向上し、キャリアの移動度を向上させることができるため、従来よりも優れた光電変換効率を達成することが可能となる。また、当該部分構造により、光電変換効率の他にも開放電圧および短絡電流や、素子の耐久性、溶媒との親和性も向上しうる。
一般に、化学式1で表される部分構造のように同じπ電子数を有する炭化水素芳香環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなど)よりもLUMO準位またはHOMO準位が深くなるような部分構造(ユニット)を「アクセプター性ユニット」という。一方、同じπ電子数を有する炭化水素芳香環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなど)よりもLUMO準位またはHOMO準位が浅くなるような部分構造(ユニット)を「ドナー性ユニット」という。本形態の共役系高分子は、化学式1で表される部分構造を少なくとも1種含む限りにおいて、(1)アクセプター性ユニットのみからなる共役系高分子であってもよいし、(2)アクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとが交互に配列してなる共役系高分子高分子であってもよい。このうち、太陽光スペクトルの広い範囲にわたる放射エネルギーを効率よく吸収させるためには、後者(2)の共役系高分子高分子であることが好ましい。これは、ドナー性ユニットとアクセプター性ユニットとが交互に配列させることにより、吸収域を長波長域に拡大することができるからである。したがって、このような共役系高分子高分子は、従来のp型有機半導体の吸収域(例えば、400〜700nm)に加え、長波長域(例えば、700〜100nm)の光も吸収することが可能となる。
なお、本形態の共役系高分子に含まれるアクセプター性ユニットは、上記化学式1で表される部分構造を含む限りにおいては、他の部分構造(電子求引性を有する構造)を含んでもよい。ただし、より高い光電変換効率を達成するためには、共役系高分子に含まれるアクセプター性ユニットのうち、上記化学式1で表される部分構造の割合が多いほど好ましい。具体的には、共役系高分子に含まれる全アクセプター性ユニットの数に対して、上記化学式1で表される部分構造の数が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましく、100%であることが最も好ましい。
本形態の共役系高分子に含まれうるドナー性ユニットとしては、同じπ電子数を有する炭化水素芳香環(ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなど)よりもLUMO準位またはHOMO準位が浅くなるようなユニットであれば、制限なく使用できる。例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、シクロペンタジエン、シラシクロペンタジエンなどの複素5員環、およびこれらの縮合環を含むユニットである。
具体的には、フルオレン、シラフルオレン、カルバゾール、ジチエノシクロペンタジエン、ジチエノシラシクロペンタジエン、ジチエノピロール、ベンゾジチオフェンなどを挙げることができる。これらのユニットのうち、高い移動度を付与できるチオフェン構造を有していることが好ましく、これにより光電変換効率を一層向上させることが可能である。また、環構造を構成する原子に結合している水素原子を、炭素原子数1〜20の直鎖または分岐鎖のアルキル基やアルコキシ基などに置換することにより、溶解性や結晶性を向上させることも可能である。
これらのドナー性ユニットのうち、好ましい構造を下記化学式9に示す。
Figure 2012255098
なお、本形態において、以上で例示したアクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとの組み合わせは、特に制限はなく、任意のアクセプター性ユニットと、任意のドナー性ユニットとを適宜組み合わせて共役系高分子を合成し、使用することが可能である。後述の実施例では、下記表1に示す組み合わせの共役系高分子を合成しその性能を評価しているが、本発明の技術的範囲は、これらの例にのみに制限されない。
Figure 2012255098
<有機光電変換素子>
上述のように、本発明に係る共役系高分子は、十分な光電変換効率を発揮することができるため、有機光電変換素子に好適に用いられうる。すなわち、本発明の他の一形態によると、第一の電極と、第二の電極と、第一の電極および第二の電極の間に存在する、n型有機半導体および上述のp型有機半導体を含む光電変換層と、を含み、当該p型有機半導体は、上述の本発明の共役系高分子を含む、有機光電変換素子が提供される。
以下、添付した図面を参照しながら本形態を説明するが、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載により定められるべきものであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る、順層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。具体的には、図1の有機光電変換素子10は、基板25上に、陽極11、正孔輸送層26、光電変換層14、電子輸送層27、および陰極12がこの順に積層されてなる構成を有する。なお、基板25は、主に、その上の陽極11を塗布方式で形成するのを容易にするために任意に設けられる部材である。
図1に示す有機光電変換素子10の作動時において、光は基板25側から照射される。本実施形態において、陽極11は、照射された光が光電変換層14へと届くようにするため、透明な電極材料(例えば、ITO)で構成される。基板25側から照射された光は、透明な陽極11および正孔輸送層26を経て光電変換層14へと届く。
光電変換層14はp型有機半導体およびn型有機半導体を含むが、この光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体の電子が最高被占軌道(以下、「HOMO」とも称する)から最低空軌道(以下、「LUMO」とも称する)に励起され、次いでこの電子はn型有機半導体の伝導帯に移動する。その後、当該電子は、電子輸送層27および陰極12を経た後、外部回路を経由して共役系高分子の伝導帯に移動する。そして、p型有機半導体の伝導帯で生じた電子は、LUMOのレベルに移動する。
一方、光電変換層14に光が入射されると、p型有機半導体のHOMOのレベルに発生した正孔は、正孔輸送層26および陽極11を経た後、外部回路を経由してn型有機半導体の価電子帯に移動する。こうして光電変換層14において光電流が流れ、発電が行われるのである。このような光電荷分離はp型有機半導体とn型有機半導体の接触界面が大きいほど促進されると考えられていることから、本発明では、p型有機半導体とn型有機半導体とが一様に混合されたバルクへテロジャンクション型の光電変換層14(図示は省略する)が用いられることが特に好ましい。ただし、かような形態のみには限定されない。
なお、正孔輸送層26は、正孔の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した正孔を効率よく陽極11へと輸送する機能を担っている。一方、電子輸送層27は、電子の移動度が高い材料で形成されており、光電変換層14のpn接合界面で生成した電子を効率よく陰極12へと輸送する機能を担っている。
図2は、本発明の他の一実施形態に係る、逆層型の有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図2の有機光電変換素子20は、図1の有機光電変換素子10と比較して、陽極11と陰極12とが逆の位置に配置され、また、正孔輸送層26と電子輸送層27とが逆の位置に配置されている点が異なる。すなわち、図2の有機光電変換素子20は、基板25上に、陰極12、電子輸送層27、光電変換層14、正孔輸送層26、および陽極11がこの順に積層されてなる構成を有している。このような構成を有することにより、光電変換層14のpn接合界面で生成される電子は電子輸送層27を経て陰極12へと輸送され、正孔は正孔輸送層26を経て陽極11へと輸送される。
図3は、本発明の他の一実施形態に係る、タンデム型(多接合型)の光電変換層を備えた有機光電変換素子を模式的に表した断面概略図である。図3の有機光電変換素子30は、図1の有機光電変換素子10と比較して、光電変換層14に代えて、第1の光電変換層14aと、第2の光電変換層14bと、これら2つの光電変換層の間に介在する電荷再結合層38との積層体が配置されている点が異なる。図3に示すタンデム型の有機光電変換素子30では、第1の光電変換層14aおよび第2の光電変換層14bに、それぞれ吸収波長の異なる光電変換材料(p型有機半導体およびn型有機半導体)を用いることにより、より広い波長域の光を効率よく電気に変換することが可能となる。
以下、本発明に係る有機光電変換素子の各構成について詳細に説明する。
[電極]
本形態の有機光電変換素子は、第一の電極および第二の電極を必須に含む。第一の電極および第二の電極は、各々、陽極または陰極として機能する。本明細書において、「第一の」および「第二の」とは、陽極または陰極としての機能を区別するための用語である。したがって、第一の電極が陽極として機能し、第二の電極が陰極として機能する場合もあるし、逆に、第一の電極が陰極として機能し、第二の電極が陽極として機能する場合もある。上述したように、光電変換層14で生成されるキャリア(正孔・電子)は、電極間をドリフトし、正孔は陽極12へ、電子は陰極16へと到達する。なお、本発明においては主に正孔が流れる電極を陽極と呼び、主に電子が流れる電極を陰極と呼ぶ。また、タンデム構成をとる場合には電荷再結合層(中間電極)を用いることでタンデム構成を達成することができる。さらに、電極が透光性を有するものであるか否かという機能面から、透光性を有する電極を透明電極と呼び、透光性のない電極を対電極と呼び分ける場合もある。順層構成の場合、通常、陽極は透光性のある透明電極であり、陰極は透光性のない対電極である。
本形態の電極に使用される材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる電極材料を適宜採用することができる。上述のように、順層型の有機光電変換素子においては、陽極11は仕事関数が比較的大きい材料から構成され、陰極12は仕事関数が比較的小さい材料から構成される。
上述の図1に示す順層型の有機光電変換素子10における陽極11は、比較的仕事関数が大きく、透明な(380〜800nmの光を透過可能な)電極材料から構成されうる。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく(例えば、4eV以下)、通常、透光性の低い電極材料から構成されうる。
このような、順層型の有機光電変換素子10において、陽極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、白金などの金属;インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO、ZnOなどの透明な導電性金属酸化物;金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。また、陽極の電極材料として導電性高分子を用いることも可能である。陽極に使用されうる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン、ポリナフタレンおよびこれらの誘導体などが挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。
一方、順層型の有機光電変換素子において、陰極(対電極)に使用される電極材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電子電導性化合物、およびこれらの混合物が使用されうる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。このうち、電子の取り出し性能や、酸化などに対する耐久性の観点から、仕事関数が低い第一の金属と、第一の金属よりも仕事関数が大きく安定な金属である第二の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物や、安定な金属であるアルミニウムなどを用いることが好ましい。また、これらの材料のうち金属を用いることも好ましく、これにより、第一の電極側から入射し光電変換層で吸収されずに透過した光を、第二の電極で反射させて光電変換に再利用することができ、光電変換効率を向上させることが可能である。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。なお、陰極(対電極)の厚さは特に制限はないが、通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmである。
また、図2に示す逆層型の有機光電変換素子では、光が入射する基板25側に陰極12が位置し、反対側に陽極11が位置する。したがって、図2に示す逆層型の形態における陽極11は、比較的仕事関数が大きく、通常、透光性の低い電極材料から構成される。一方、陰極12は、比較的仕事関数が小さく、透明な電極材料から構成される。
逆層型の有機光電変換素子において、陰極(透明電極)に使用される電極材料としては、例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなどの金属、金属化合物、および合金;カーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤー、カーボンナノ構造体などの炭素材料;が挙げられる。これらの電極材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上の材料を混合して使用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電極を構成することも可能である。このうち、カーボンナノワイヤーを用いることにより、透明で導電性の高い陰極を塗布法により形成できるため好ましい。また、金属系の材料を使用する場合、陽極(対電極)と対向する側に、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀化合物などを用いて、1〜20nm程度の厚さの補助電極を作製した後、上述の順層型の有機光電変換素子の陽極(透明電極)材料として例示した導電性高分子の膜を設けることで、陰極(透明電極)とすることができる。
一方、逆層型の有機光電変換素子において、陽極(対電極)に使用される電極材料は、上記陰極(透明電極)よりも相対的に仕事関数が大きい電極材料であれば特に制限はない。一例を挙げると、銀、ニッケル、モリブデン、金、白金、タングステン、および銅などの仕事関数が大きな金属材料を用いて陽極(対電極)が形成されうる。
[光電変換層]
光電変換層は、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。本形態の有機光電変換素子は、光電変換層に、n型有機半導体および上述の本発明の共役系高分子を必須に含む点に特徴を有する。これらの光電変換材料に光が吸収されると、励起子が発生し、これがpn接合界面において、正孔と電子とに電荷分離される。
本形態の光電変換層は、上述の本発明の共役系高分子を必須に含み、必要に応じて、他のp型有機半導体材料を含みうる。他のp型有機半導体材料の一例を以下に示す。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、へプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、およびこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェンおよびそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008000664に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロールおよびそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレンおよびそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。より好ましくは、本発明のn型有機半導体材料であるフラーレン誘導体と適度な相溶性を有するような化合物(適度な相分離構造形成し得る化合物)であることが好ましい。
またバルクへテロジャンクション層上にさらに溶液プロセスで電子輸送層や正孔ブロック層を形成する際には、一度塗布した層の上にさらに塗布することができれば、容易に積層することができるが、通常溶解性の良い材料からなる層の上にさらに層を溶液プロセスによって積層使用とすると、下地の層を溶かしてしまうために積層することができないという課題を有していた。したがって、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料が好ましい。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
なお、本形態の光電変換層に含まれるp型有機半導体は、上述の共役系高分子を含む限りにおいては、上記他のp型有機半導体材料の含有量は特に制限はない。ただし、より高い光電変換効率を達成するためには、光電変換層に含まれるp型有機半導体の総量(光電変換層が2層以上含まれる場合には、全ての層における総量)に対して、上述の共役系高分子の割合が多いほど好ましい。具体的には、p型有機半導体の総量に対する共役系高分子の割合が、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
本形態における光電変換層に含まれるp型有機半導体のバンドギャップは、1.8eV以下であることが好ましく、1.6〜1.1eVであることがより好ましい。バンドギャップが1.8eV以下であると、幅広い波長域を吸収することができ、高い短絡電流密度Jsc(mA/cm)が出やすくなる。一方、バンドギャップが1.1eV以上であると、開放電圧Voc(V)が出やすくなり、変換効率が向上しうる。なお、本形態において、p型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても勿論構わない。
一方、本形態の光電変換層に使用されるn型有機半導体も、アクセプター性(電子受容性)の有機化合物であれば特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。このような化合物としては、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、オクタアザポルフィリンなど、上記p型有機半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(例えば、パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニンなど)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドなどの芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物などが挙げられる。
このうち、p型有機半導体と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができるという観点から、フラーレンもしくはカーボンナノチューブまたはこれらの誘導体を用いることが好ましい。より具体的には、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン(円錐型)など、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換されたまたは非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基などによって置換されたフラーレン誘導体が挙げられる。
特に、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、[6,6]−フェニルC71−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PC71BM)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報に記載のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報に記載のメタロセン化フラーレン、米国特許第7,329,709号明細書に記載の環状エーテル基を有するフラーレンなどのような、置換基により溶解性が向上されてなるフラーレン誘導体を用いることが好ましい。なお、本形態において、n型有機半導体は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
本形態の光電変換層における、p型有機半導体およびn型有機半導体の接合形態は、特に制限はなく、平面へテロ接合であってもよいし、バルクへテロ接合(バルクヘテロジャンクション)であってもよい。平面ヘテロ接合とは、p型有機半導体を含むp型有機半導体層と、n型有機半導体を含むn型有機半導体層とが積層され、これら2つの層が接触する面がpn接合界面となる接合形態である。一方、バルクヘテロジャンクションとは、p型有機半導体とn型有機半導体との混合物を塗布することにより形成され、この単一の層中において、p型有機半導体のドメインとn型有機半導体のドメインとがミクロ相分離構造をとっている。したがって、バルクヘテロジャンクションでは、平面へテロ接合と比較して、pn接合界面が層全体にわたって数多く存在することになる。よって、光吸収により生成した励起子の多くがpn接合界面に到達できることになり、電荷分離に至る効率を高めることができる。このような理由から、本形態の光電変換層における、p型有機半導体とn型有機半導体との接合は、バルクヘテロジャンクションであることが好ましい。
また、バルクヘテロジャンクション層は、通常の、p型半導体材料とn型半導体層が混合されてなる単一の層(i層)からなる場合の他に、当該i層がp型半導体からなるp層およびn型半導体からなるn層により挟持されてなる3層構造(p−i−n構造)を有する場合がある。このようなp−i−n構造は、正孔および電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
本発明において、光電変換層に含まれるp型有機半導体とn型有機半導体との混合比は、質量比で2:8〜8:2の範囲が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4の範囲である。また、光電変換層の膜厚は、好ましくは50〜400nmであり、より好ましくは80〜300nmである。
(基板)
本発明の有機光電変換素子は、必要に応じて基板を含みうる。基板は、電極を塗布方式で形成する場合における、塗布液の被塗布部材としての役割を有する。
基板側から光電変換される光が入射する場合、基板はこの光電変換される光を透過させることが可能な、即ちこの光電変換すべき光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。基板は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。なかでも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度およびコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素および水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を転写する反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
(正孔輸送層)
本形態の有機光電変換素子は、必要に応じて正孔輸送層を含みうる。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有し、かつ電子を輸送する能力が著しく小さい(例えば、正孔の移動度の10分の1以下)という性質を有する。正孔輸送層は、光電変換層と陽極との間に設けられ、正孔を陽極へと輸送しつつ、電子の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。一例を挙げると、例えば、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT:PSS、欧州特許第1647566号等に記載のポリチエノチオフェン類、特開2010−206146号に記載のスルホン化ポリチオフェン類、ポリアニリンおよびそのドープ材料、国際公開第2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物などが挙げられる。
また、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどもまた、用いられうる。
また、これら以外にも、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物、およびスチリルアミン化合物などが使用可能であり、これらのうちでは、芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。なお、場合によっては、モリブデン、バナジウム、タングステンなどの金属酸化物やその混合物などの無機化合物を用いて正孔輸送層を形成してもよい。
さらに上記化合物に含まれる構造単位を高分子鎖に導入した、あるいは、上記化合物を高分子の主鎖とした高分子材料を正孔輸送材料として用いることもできる。また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.,Applied Physics Letters,80(2002),p.139に記載されているような、p型正孔輸送材料を用いることもできる。さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送材料を用いることもできる。一例を挙げると、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載された材料が挙げられる。なお、これらの正孔輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて正孔輸送層を構成することも可能である。
正孔輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
正孔輸送層の導電率は、一般的に高い方が好ましいが、高くなりすぎると電子が移動するのを阻止する能力が低下し、整流性が低くなりうる。したがって、正孔輸送層の導電率は、10−5〜1S/cmであることが好ましく、10−4〜10−2S/cmであることがより好ましい。
(電子輸送層)
本形態の有機光電変換素子は、必要に応じて電子輸送層を含みうる。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有し、かつ正孔を輸送する能力が著しく小さいという性質を有する。電子輸送層は、光電変換層と陰極との間に設けられ、電子を陰極へと輸送しつつ、正孔の移動を阻止することで、電子と正孔とが再結合するのを防ぐことができる。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料は、特に制限はなく、本技術分野で使用されうる材料を適宜採用することができる。例えば、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、光電変換層に用いられるp型有機半導体のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、光電変換層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。よって、より好ましくは、n型半導体のHOMO準位よりも深い材料が電子輸送材料として用いられる。このような電子輸送材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体、および酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物およびフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等が用いられうる。また、光電変換層に用いたn型有機半導体単体からなる層を用いることもできる。なお、これらの電子輸送材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電子輸送層を構成することも可能である。
電子輸送層の厚さは、特に制限はないが、通常1〜2000nmである。リーク防止効果をより高める観点からは、厚さは5nm以上であることが好ましい。また、高い透過率と低い抵抗を維持する観点からは、厚さは1000nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。
(電荷再結合層;中間電極)
図3で示すような、2以上の光電変換層を有するタンデム型(多接合型)の有機光電変換素子において、光電変換層間には、電荷再結合層(中間電極)が配置される。
電荷再結合層(中間電極)に用いられる材料は、導電性および透光性を併せ持つ材料であれば、特に制限はなく、上述の電極材料として例示した、ITO、AZO、FTO、酸化チタンなどの透明金属酸化物、Ag、Al、Auなどの金属、およびカーボンナノ粒子、カーボンナノワイヤーなどの炭素材料、PEDOT:PSS、ポリアニリンなどの導電性高分子などが用いられうる。これらの材料は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各材料からなる層を2種以上積層させて電荷再結合層を構成することも可能である。
電荷再結合層の導電率は、高い変換効率を得る観点から、高いことが好ましく、具体的には、5〜50000S/cmであることが好ましく、100〜10,000S/cmであることがより好ましい。また、電荷再結合層の厚さは、特に制限はないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることが好ましい。厚さが1nm以上とすることにより、膜面を平滑化することができる。一方、厚さが1000nm以下とすることにより、短絡電流密度Jsc(mA/cm)の低下を軽減することができる。
(その他の層)
本形態の有機光電変換素子は、上記の各部材(各層)の他に、光電変換効率の向上や、素子の寿命の向上のために、他の部材(他の層)をさらに設けてもよい。その他の部材としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などが挙げられる。また、上層に偏在した金属酸化物微粒子をより安定にするため等にシランカップリング剤等の層を設けてもよい。さらに本発明の光電変換層に隣接して金属酸化物の層を積層してもよい。
また、本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していてもよい。光学機能層としては、例えば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層等が挙げられる。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物等のナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層等を挙げることができる。
<有機光電変換素子の製造方法>
上述の本形態の有機光電変換素子の製造方法は特に制限はなく、従来公知の手法を適宜参照することにより製造することができる。以下、図2に示すような逆層型の有機光電変換素子の製造方法を例に挙げて、本形態の有機光電変換変換素子の好ましい製造方法を説明する。ただし、当該製造方法における各工程は、逆層型の有機光電変換素子のみならず、図1に示すような順層型の有機光電変換素子や、図3に示すようなタンデム型の製造に適用可能である。
本形態の有機光電変換素子の製造方法は、陰極を形成する工程と、前記陰極の上に、p型有機半導体材料およびn型有機半導体材料を含む光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層の上に、陽極を形成する工程とを含む。以下、本形態の有機光電変換素子の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
本形態の製造方法では、まず、陰極を形成する。陰極を形成する方法は、特に制限はないが、操作の容易性や、ダイコータなどの装置を用いてロール・ツー・ロールで生産可能なことから、基板の上に、陰極の構成材料を含む液体を塗布し、乾燥させる方法であることが好ましい。またこれ以外にも、市販の薄膜状の電極材料をそのまま使用しても構わない。
上記で陰極を形成した後、必要に応じて、この陰極上に、電子輸送層を形成してもよい。電子輸送層を形成する手段としては、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。溶液塗布法を用いて電子輸送層を形成する場合には、上述した電子輸送材料を適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。溶液塗布法に用いられる塗布法としては、キャスト法、スピンコート法、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、グラビアコート法、スプレーコーティング法、ディッピング(浸漬)コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法、Langmuir−Blodgett(LB)法等の通常の方法を用いることができる。なかでも、ブレードコーティング法を用いることが特に好ましい。なお、塗布法に使用する溶液の固形分濃度は、塗布方法や膜厚によっても変動しうるが、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜10質量%である。また、なお、塗布の際の塗布液および/または塗布面の温度は、特に制限はないが、塗布・乾燥時の温度変動による析出、ムラを防ぐといった観点から、好ましくは30〜120℃であり、より好ましくは50〜110℃である。さらに、乾燥の具体的な形態についても特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。乾燥条件の一例を挙げると90〜140℃程度の温度で、数分間〜数十分間程度といった条件が例示される。乾燥に使用する装置としては、温風乾燥、赤外線ヒーター、マイクロウエーブ、真空乾燥機などが挙げられるが、これ以外の乾燥装置を用いることも勿論可能である。
続いて、上記で形成した陰極または電子輸送層上に、p型有機半導体およびn型有機半導体を含む光電変換層を形成する。ここで、本形態の製造方法は、p型有機半導体として、上述の本発明の共役系高分子を必須に含む。光電変換層を形成するための具体的な手法について特に制限はないが、好ましくは、p型有機半導体およびn型有機半導体をそれぞれ、または一括して、適当な溶剤に溶解・分散させた溶液を、適当な塗布法(具体的な形態については、上述した通りである)を用いて陰極上に塗布し、乾燥させればよい。なお、p型有機半導体およびn型有機半導体を一括して溶剤に溶解・分散させた溶液を、塗布法により塗布する。その後、残留溶媒および水分、ガスの除去、および半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、光電変換層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、光電変換層の正孔と電子(キャリア)の移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。このようにして、p型有機半導体およびn型有機半導体が一様に混合され、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子とすることができる。
一方、p型有機半導体とn型有機半導体の混合比の異なる複数層からなる光電変換層(例えば、p−i−n構造)を形成する場合には、一の層を塗布後に、当該層を不溶化(顔料化)し、その後、他の層を塗布することにより形成することが可能である。
なお、当該光電変換層を形成する工程は、酸素や水分に曝さないようにするために窒素雰囲気下のグローブボックス内で行うことが好ましい。このように、窒素雰囲気下で行うことにより、大気中の酸素または水分によりp型有機半導体が劣化するのを防ぎ、素子の耐久性を高めることができる。
次に、上記で形成した光電変換層上に、陽極を形成する。陽極を形成するための手段についても特に制限はなく、蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは蒸着法(例えば、真空蒸着法)が用いられる。なお、光電変換層と陽極との間に正孔輸送層を設ける場合には、蒸着法または溶液塗布法、好ましくは溶液塗布法を用いて、正孔輸送層が形成される。なお、当該正孔輸送層を形成する工程は、上記光電変換層を形成する工程と同様、窒素雰囲気下のグローブボックス内で行うことが好ましい。このように、窒素雰囲気下で行うことにより、大気中の酸素または水分により光電変換層が劣化するのを防ぎ、素子の耐久性を高めることができる。本発明に係る共役系高分子は、3つのカルボニル基、または2つのカルボニル基および1つのスルホニル基が隣接した窒素原子を含む特定の部分構造を含むため、各種溶媒との親和性が高い。よって、溶液塗布法を用いて正孔輸送層を形成する場合、光電変換層の表面において正孔輸送材料を含む塗布溶液がはじかれるのを効果的に防ぐことができ、正孔輸送層の製膜性が向上しうる。
さらに、上述した各種の層以外の層が含まれる場合には、これらの層を形成するための工程を、溶液塗布法や蒸着法などを用いることで適宜追加して行うことができる。
<有機光電変換素子の用途>
本発明の他の形態によれば、上述の第1の形態に係る有機光電変換素子や、第2の形態に係る製造方法により得られる有機光電変換素子を有する太陽電池が提供される。本形態の有機光電変換素子は、優れた光電変換効率、耐久性を有するため、これを発電素子とする太陽電池に好適に使用されうる。
また、本発明のさらに他の形態によれば、上述した有機光電変換素子がアレイ状に配列されてなる光センサアレイが提供される。すなわち、本形態の有機光電変換素子は、その光電変換機能を利用して、光センサアレイ上に投影された画像を電気的な信号に変換する光センサアレイとして利用することもできる。
本発明の作用効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<共役系高分子の合成>
[実施例1−1]化合物101の合成
Figure 2012255098
[化合物A11の合成]
Figure 2012255098
(化合物P02の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P01を1.8g取り、50mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に2.1gのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で24時間攪拌した。不溶物を濾別し、母液を減圧濃縮し、化合物P02を得た。
(化合物P03の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P02を1.6g取り、5mlの28%アンモニウム水溶液に溶解した。得られた溶液を300℃で24時間加熱還流した。得られた固体をシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P03を1.5g得た。
(化合物P04の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P03を1.6g取り、50mlのジクロロメタンに溶解した後に、3.1gのトリエチルアミンと、0.1gのジメチルアミノピリジンを加え、氷冷した。得られた溶液に1.0gのアセチルクロライドを徐々に加え、室温で12時間攪拌した。反応液に50mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、150mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを除去した後、有機溶媒を減圧留去し、シリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P04を1.0g得た。
(化合物A11の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P04を2.0g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.56gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A11を2.0g得た。
[化合物D7の合成]
Figure 2012255098
Journal of the American Chemical Society,2009,131,7792−7799を参考に、化合物D7を合成した。
[化合物101の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A11を0.36g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物101を0.10g得た。
化合物101の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=29000、多分散度(polydispersity index:PDI)=1.8であった。
[実施例2−1]化合物102の合成
Figure 2012255098
[化学式13]
[化合物A21の合成]
Figure 2012255098
(化合物P06の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P05を1.5g取り、50mlのジクロロメタンに溶解した後に、3.1gのトリエチルアミンと、0.1gのジメチルアミノピリジンを加え、氷冷した。得られた溶液に1.0gのアセチルクロライドを徐々に加え、室温で12時間攪拌した。反応液に50mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、150mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを除去した後、有機溶媒を減圧留去し、シリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P06を2.0g得た。
(化合物A21の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P06を1.9g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.56gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A21を1.5g得た。
[化合物102の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A21を0.35g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物102を0.15g得た。
化合物102の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=32000、多分散度(PDI)=1.9であった。
[実施例3−1]化合物103の合成
Figure 2012255098
[化合物A27の合成]
Figure 2012255098
(化合物P07の合成)
Tetrahedron,1996,Vol.52,#41,13227−13242を参考に、化合物P07を合成した。
(化合物P08の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P07を2.8g取り、50mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に2.1gのジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で24時間攪拌した。不溶物を濾別し、母液を減圧濃縮した。得られた残渣を窒素置換した100ml 3口フラスコに移し、50mlのトルエンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.54gの2−エチルヘキシルアミンを加え、24時間加熱還流した。トルエンを減圧留去した後にシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P08を2.5g得た。
(化合物P09の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P08を2.6g取り、5mlの28%アンモニウム水溶液に溶解した。得られた溶液を300℃で24時間加熱還流した。得られた固体をシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P09を2.4g得た。
(化合物P10の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P09を2.6g取り、50mlのジクロロメタンに溶解した後に、3.1gのトリエチルアミンと、0.1gのジメチルアミノピリジンを加え、氷冷した。得られた溶液に2.0gのヘプタン酸クロライドを徐々に加え、室温で12時間攪拌した。反応液に50mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、150mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを除去した後、有機溶媒を減圧留去し、シリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P10を2.1g得た。
(化合物A27の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P10を3.7g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.6gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A27を4.0g得た。
[化合物103の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A27を0.53g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物103を0.18g得た。
化合物103の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=37000、多分散度(polydispersity index:PDI)=2.0であった。
[実施例4−1]化合物104の合成
Figure 2012255098
[化合物A42の合成]
Figure 2012255098
(化合物P12の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P11を1.5g取り、50mlのジクロロメタンに溶解した後に、3.1gのトリエチルアミンと、0.1gのジメチルアミノピリジンを加え、氷冷した。得られた溶液に2.0gのイソプロピル酸クロライドを徐々に加え、室温で12時間攪拌した。反応液に50mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、150mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを除去した後、有機溶媒を減圧留去し、シリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物P12を1.5g得た。
(化合物A42の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P12を2.2g取り、50mlのジクロロメタンに溶解し、氷冷した。得られた溶液に3.6gのN−ブロモスクシンイミドを加え、室温で24時間攪拌した。ジクロロエタンを減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物A42を3.0g得た。
[化合物104の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A42を0.38g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物104を0.20g得た。
化合物104の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=30000、多分散度(PDI)=1.8であった。
[実施例5−1]化合物105の合成
Figure 2012255098
[化合物A44の合成]
Figure 2012255098
上記実施例4−1の(化合物P12の合成)において、イソプロピル酸クロライドに代えてオクチル酸クロライドを用いたことを除いては、同様の方法を用いて化合物A44を合成した。
[化合物105の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A44を0.45g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物105を0.12g得た。
化合物105の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=45000、多分散度(PDI)=1.9であった。
[実施例6−1]化合物106の合成
Figure 2012255098
[化合物D3の合成]
Figure 2012255098
国際公開第2008−127029号パンフレットを参考に、化合物D3を合成した。
[化合物106の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A44を0.45g、化合物D3を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物106を0.11g得た。
化合物106の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=29000、多分散度(PDI)=1.8であった。
[実施例7−1]化合物107の合成
Figure 2012255098
[化合物A54の合成]
Figure 2012255098
上記実施例4−1の(化合物P12の合成)において、イソプロピル酸クロライドに代えてドデシル酸クロライドを用いたことを除いては、同様の方法を用いて化合物A54を合成した。
[化合物107の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A44を0.45g、化合物A54を0.51g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物107を0.24g得た。
化合物107の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=33000、多分散度(PDI)=2.1であった。
[実施例8−1]化合物108の合成
Figure 2012255098
[化合物A54の合成]
Figure 2012255098
上記実施例4−1の(化合物P12の合成)において、イソプロピル酸クロライドに代えてアセチルクロライドを用いたことを除いては、同様の方法を用いて化合物A41を合成した。
[化合物108の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A41を0.35g、化合物A44を0.45g、化合物D7を0.77g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物108を0.21g得た。
化合物108の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=40000、多分散度(PDI)=1.9であった。
[実施例9−1]化合物109の合成
Figure 2012255098
[化合物D4の合成]
Figure 2012255098
(化合物P13の合成)
Chemistry Letters,2007,Vol.36,#11,1336−1337を参考に、化合物P13を合成した。
(化合物D4の合成)
窒素置換した100ml 3口フラスコに化合物P13を5.4g取り、50mlの脱水テトラヒドロフランに溶解し、−78℃にて攪拌した。得られた溶液に17mlのn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)を徐々に加え、その後、1時間かけて0℃まで昇温させた。さらに0℃で1時間攪拌した後、反応液に50mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、150mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを除去した後、有機溶媒を減圧留去し、トリエチルアミンで処理したシリカカラムクロマトグラフィーで精製することで化合物D4を5.5g得た。
[化合物109の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A41を0.35g、化合物A44を0.45g、化合物D4を0.74g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物109を0.19g得た。
化合物109の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=41000、多分散度(PDI)=1.9であった。
[実施例10−1]化合物110の合成
Figure 2012255098
[化合物D5の合成]
Figure 2012255098
(化合物D5の合成)
Journal of the American Chemical Society,2008,130,16144−16145を参考に、化合物D5を合成した。
[化合物110の合成]
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに化合物A41を0.35g、化合物A44を0.45g、化合物D5を0.74g取り、予め窒素ガスをバブリングして脱気したトルエン20mlに溶解した。得られた溶液にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを0.12g加え、20時間加熱還流した。反応終了後、反応液を室温付近まで冷却した。この反応液をメタノール200mlに加えて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。
得られた沈殿物をクロロホルムに溶解し、濾過して不溶物を除去した。得られたクロロホルム溶液をアルミナカラムに通して精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、メタノール200mlに加えて再沈殿した。この沈殿を減圧乾燥し、化合物110を0.15g得た。
化合物110の分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)=46000、多分散度(PDI)=1.7であった。
<逆層型の有機光電変換素子の作製>
特開2009−146981号公報の記載を参考に、以下のようにして逆層型の有機光電変換素子を作製した。
[実施例1−2]
(透明電極(陰極)の形成)
ガラス基板上に、インジウムスズ酸化物(ITO)透明導電膜を110nm堆積させ(表面抵抗率13Ω/□)、これをフォトリソグラフィおよび塩酸エッチングを用いて2mm幅にパターニングした。そして、これを界面活性剤および超純水の混合液により超音波洗浄した後、さらに超純水により超音波洗浄し、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄することにより、透明電極(陰極)を形成した。
(電子輸送層の形成)
上記透明電極が形成された基板をグローブボックス(酸素濃度10ppm、露点温度−80度)に入れ、窒素雰囲気下で、150mMのTiOx前駆体溶液を透明電極上にスピンコート(回転速度2000rpm、回転時間60秒間)し、所定のパターンに拭き取った。そして、これを空気中で2時間放置して、TiOx前駆体を加水分解させた後、150℃で1時間加熱処理することにより30nmのTiOx層からなる電子輸送層を形成した。
なお、上記150mMのTiOx前駆体溶液は、次の方法(ゾルゲル法)により調製した。100mL三口フラスコに、2−メトキシエタノール12.5mLと、6.25mmolのチタニウムテトライソプロポキシドとを入れ、氷浴中で10分間冷却した。次に、12.5mmolのアセチルアセトンをゆっくり加えて、氷浴中で10分間撹拌した。次に、この混合溶液を80℃で2時間加熱後、1時間還流した。これを室温(25℃)まで冷却し、2−メトキシエタノールを用いて濃度150mMに調整し、TiOx前駆体溶液を得た。なお、上記工程は全て窒素雰囲気で行った。
(光電変換層の形成)
クロロベンゼン(溶媒)に、p型有機半導体として化合物102を1.0質量%、およびn型有機半導体としてPCBM(Nanom Spectra E100、フロンティアカーボン社製)を0.8質量%溶解させた混合溶液を調製した。この混合溶液を0.45μmのフィルタを用いて濾過しながら、上記電子輸送層の上にスピンコート(700rpmで60秒間、次いで2200rpmで1秒間)した。その後、これを室温(25℃)で30分間乾燥することにより光電変換層を形成し、グローブボックスから取り出した。
(正孔輸送層の形成)
大気下(相対湿度40%)において、上記光電変換層の上に、有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液(エノコートHC200、化研産業社製)をスピンコート(2000rpm、60秒間)し、これを風乾することにより、正孔輸送層を形成した。
(対電極(陽極)の形成)
上記正孔輸送層の上に、銀電極層を膜厚約100nmになるように真空蒸着し、その後後150℃で10分間加熱処理を行うことにより、対電極(陽極)を形成した。以上の工程により、逆層型の有機光電変換素子を完成させた。
[実施例2−2〜10−2]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として実施例2−1〜10−1で合成した化合物をそれぞれ用いたことを除いては、上記実施例1−2と同様の方法で、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
[比較例1−2]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として下記化学式31で表されるPDTSTPDを用いたことを除いては、上記実施例1−2と同様の方法で、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
なお、PDTSTPDは、Journal of the American Chemical Society,2011,133,4250−4253に記載の方法により合成した。
Figure 2012255098
[比較例2−2]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として下記化学式32で表される比較化合物001を用いたことを除いては、上記実施例1−2と同様の方法で、逆層型の有機光電変換素子を作製した。
なお、比較化合物001は、国際公開第2008/127029号パンフレットを参考にして合成した。
Figure 2012255098
[実施例7−3〜10−3、ならびに比較例1−3および2−3]
上記実施例7−2〜10−2、ならびに比較例1−2および2−2において、光電変換層を作成後、窒素雰囲気下のグローブボックス(GB)(酸素濃度10ppm、露点温度−80度)から取り出すことなく、そのままグローブボックス内で正孔輸送層の形成を形成したことを除いては、同様の方法で逆層型の有機光電変換素子の作製を行った。
(光電変換層上への正孔輸送層の製膜性評価)
上記実施例7−2〜10−2および7−3〜10−3、ならびに比較例1−2、2−2、1−3、および2−3について、逆層型の有機光電変換素子の作製をそれぞれ5回ずつ試みた。そして、光電変換層上に正孔輸送層を塗布する際に、光電変換層上で有機溶剤系PEDOT:PSSの分散液に含まれる親水系溶媒が光電変換層上で弾かれることなく、良好に正孔輸送層が形成された回数により製膜性を評価した。結果を表2に示す。
(開放電圧、曲線因子、および光電変換効率の評価)
上記有機光電変換素子に、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)を用いて100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を1cmにしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)、および曲線因子FFを、同素子上に形成した4箇所の受光部についてそれぞれ測定した。得られたJsc、Voc、およびFFについて、それぞれ平均値を求め、下記式1に従って、光電変換効率η[%]を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2012255098
(耐久性評価)
上記実施例7−2〜10−2および7−3〜10−3、ならびに比較例1−2、2−2、および2−3で得た有機光電変換素子を、温度80℃、湿度80%に保持した容器内に保存し、定期的に取りだして電圧−電流特性を測定し、初期の光電変換効率を100として、初期の効率の80%の効率まで低下した時間をLT80[時間]として評価した。LT80の値が大きいほど、耐久性が良好であることを意味する。結果を表2に示す。
Figure 2012255098
表2の結果より、本発明の共役系高分子を用いた実施例1−2〜10−2は、比較例1−2および2−2と比べて高い光電変換効率が得られることが示された。また、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)についても、実施例1−2〜10−2では、比較例1−2および2−2よりも高い値が得られた。なお、同様の効果が、実施例7−3〜10−3と、比較例2−3との比較においても確認された。
また、素子の耐久性評価においては、実施例7−2〜10−2は、比較例1−2および2−2よりも著しく耐久性が向上(LT80が5.3〜7.5倍増大)することが示された。なお、同様の効果が、実施例7−3〜10−3と、比較例2−3との比較においても確認された(LT80が6.3〜8.4倍増大)。
さらに、酸素および水分が少ないグローブボックス内で正孔輸送層を形成した例である実施例7−3〜10−3は、大気下で正孔輸送層を形成した例である実施例7−2〜10−2と比較して、光電変換効率、FF(曲線因子)、素子の耐久性がより一層向上することが示された。一方、比較例1−3および2−3は、PDTSTPDまたは比較化合物001を用いて光電変換層を形成したため、正孔輸送層を塗布する際に、親水性溶媒が弾かれて製膜が著しく困難であることが分かった。
<順層型の有機光電変換素子の作製>
[実施例7−4]
(透明電極(陽極)の形成)
実施例7−1の「(透明電極(陰極)の形成)」と同様の方法で、陽極として機能する透明電極を形成した。
(正孔輸送層の形成)
上記透明電極上に、導電性高分子であるBaytron(登録商標)P4083(スタルクヴィテック社製)を30nmの膜厚となるようにスピンコートした後、140℃の大気中で10分間加熱乾燥した。そして、これをグローブボックス内に持ち込み、再度140℃の窒素雰囲気下で10分間加熱処理することにより、正孔輸送層を形成した。
なお、これ以降の作業についても、グローブボックス中、窒素雰囲気下で行った。
(光電変換層の形成)
クロロベンゼンに、p型有機半導体として化合物107を0.6質量%、およびn型有機半導体としてPCBM0.9質量%を溶解させた混合溶液を調製した。この混合溶液を0.45μmのフィルタを用いて濾過しながら、上記正孔輸送層上にスピンコート(700rpmで60秒間、次いで2200rpmで1秒間)した。その後これを室温(25℃)で30分間乾燥することにより、光電変換層を形成した。
(電子輸送層および対電極(陰極)の形成ならびに封止)
得られた積層体を大気に晒すことなく真空蒸着装置内に設置した。2mm幅のシャドウマスクが透明電極と直交するように積層体をセットし、10−3Pa以下に真空蒸着機内を減圧した後、電子輸送層としてのフッ化リチウムを0.6nm、対電極としてアルミニウムを100nm蒸着した。なお蒸着速度は2nm/秒で、2mm角のサイズとした。最後に120℃で30分間の加熱を行うことにより、電子輸送層および対電極を形成した。
得られた積層体を、窒素雰囲気下でUV硬化樹脂(UV RESIN XNR5570−B1、ナガセケムテックス社製)を用いて透明バリアフィルムGX(水蒸気透過率0.05g/m/d、凸版印刷社製)と貼り合わせて封止することにより、有機光電変換素子を完成させ、大気下に取り出した。
[実施例8−4〜10−4]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として実施例8−1〜10−1で合成した化合物をそれぞれ用いたことを除いては、上記実施例7−4と同様の方法で、順層型の有機光電変換素子を作製した。
[比較例1−4]
光電変換層の形成において、p型有機半導体としてPDTSTPDを用いたことを除いては、上記実施例7−4と同様の方法で、順層型の有機光電変換素子を作製した。
[比較例2−4]
光電変換層の形成において、p型有機半導体として比較化合物001を用いたことを除いては、上記実施例7−4と同様の方法で、順層型の有機光電変換素子を作製した。
(開放電圧、曲線因子、および光電変換効率の評価)
上記<逆層型の有機光電変換素子の評価>と同様の方法で、開放電圧、曲線因子、光電変換効率について評価を行った。結果を表3に示す。
(耐久性評価)
上記<逆層型の有機光電変換素子の評価>と同様の方法で、耐久性について評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2012255098
表3の結果より、本形態の共役系高分子を用いた実施例7−4〜10−4の順層有機光電変換素子は、比較例1−4および2−4よりも、高い光電変換効率が得られることが示された。また、Voc(開放電圧)、FF(曲線因子)についても、実施例7−4〜10−4は、比較例1−4および2−4よりも、高い値が得られた。さらに、実施例7−4〜10−4は、比較例1−4および2−4よりも素子の耐久性が向上(LT80が2.5〜5倍増大)することが示された。
10、20、30 有機光電変換素子、
11 陽極、
12 陰極、
14 光電変換層、
14a 第1の光電変換層、
14b 第2の光電変換層、
25 基板
26 正孔輸送層、
27 電子輸送層、
38 電荷再結合層。

Claims (12)

  1. 下記化学式1で表される部分構造を少なくとも1種含む、共役系高分子;
    Figure 2012255098
    式中、Arは、置換されたもしくは非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、フラン、ピロール、セレノフェン、ピリジン、ピリダジン、キノキサリン、チエノピラジン、チエノベンゼン、チエノピリジン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾオシサジアゾール、またはベンゾトリアゾールを表し、
    mは、1または2を表し、
    Qは、下記化学式2を表し;
    Figure 2012255098
    式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ヒドロキシ基;アミノ基;置換されたもしくは非置換の、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基、炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、または炭素原子数1〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基;を表し、
    Xは、炭素原子または硫黄原子を表し、ここで、Xが炭素原子を表す場合、nは1を表し、Xが硫黄原子を表す場合、nは2を表し、
    炭素原子C、または場合によって存在するRに含まれる前記炭素原子Cと結合した炭素原子は、前記化学式1におけるArと互いに結合し環を形成してもよい。
  2. アクセプター性ユニットと、ドナー性ユニットとが、交互に結合されてなり、
    前記アクセプター性ユニットは、前記化学式1で表される部分構造を少なくとも1種含む、請求項1に記載の共役系高分子。
  3. 前記化学式1で表される部分構造が、下記化学式5または6で表される部分構造である、請求項1または2に記載の共役系高分子;
    Figure 2012255098
    式中、Ar、n、R、Xは、上記化学式1と同様である;
    Figure 2012255098
    式中、Ar、n、R、Xは、上記化学式1と同様である。
  4. 前記化学式1で表される部分構造が、前記化学式6で表される部分構造である、請求項3に記載の共役系高分子。
  5. 前記Arは、チオフェンを表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共役系高分子。
  6. 前記Rは、炭素原子数1〜20の直鎖のアルキル基を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の共役系高分子。
  7. 前記化学式1で表される部分構造を少なくとも2種含み、
    一方の部分構造におけるRと、他方の部分構造におけるRとが、互いに炭素原子数の異なる直鎖のアルキル基を表す、請求項6に記載の共役系高分子。
  8. 前記一方の部分構造におけるRは、炭素原子数1〜5の直鎖のアルキル基を表し、前記他方の部分構造におけるRは、炭素原子数6〜20の直鎖のアルキル基を表す、請求項7に記載の共役系高分子。
  9. 第一の電極と、
    第二の電極と、
    前記第一の電極および前記第二の電極の間に存在する、n型有機半導体およびp型有機半導体を含む光電変換層と、
    を含み、
    前記p型有機半導体は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の共役系高分子を含む、有機光電変換素子。
  10. 前記第一の電極は透明電極であり、
    前記第二の電極は対電極であり、
    前記第一の電極を構成する電極材料の仕事関数は、前記第二の電極を構成する電極材料の仕事関数よりも小さい、請求項9に記載の有機光電変換素子。
  11. 請求項9または10に記載の有機光電変換素子を含む、太陽電池。
  12. 請求項9または10に記載の有機光電変換素子がアレイ状に配置されてなる、光センサアレイ。
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